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◆xh7i0CWaMo
:2014/09/28(日) 22:02:20 ID:jDTTQVVk0
……あの時のことを想起するたび、私はもう少し感傷に耽るべきなのかもしれない。泣きくれても良いはずだ。
不幸が訪れてまだ一年も経っておらず、一般的に傷が癒えるほどの時は過ぎていない。
だが、息子が逝ったときもそうだった。病院で青ざめた息子に対面したときも、
葬式で喪服に身を包み、弔辞を読み上げたときも、暗い焼却炉で骨になった彼を摘んだときも、
私は一滴の涙すら零さなかった。
妻はそうではなかった……当然だ、そうあるべきだ。死の直後こそ冷静を装っていたが、
通夜を済ませた辺りで彼女は、乱暴に言えば発狂した。咆吼のごとき号泣で数夜を明かし、
そして身近な人物……つまり私に、ある種哲学的な問題を何度もぶつけた。
何故あの子は死んだの。何故死ななければならなかったの。何故。
何故……最もどうしようもない疑問詞だ。その答えが得られる場合は驚くほど少ない。
私も当然、彼の死の意味について考えた。忙しいぐらいに考え続けた。
だから私は涙の一つも出なかったのかもしれない。私の涙は、答えを導き出せるまでお預けを食らったのだ。
しかし、答えは出なかった。いつまでも私は泣かなかった。今日まで、一度も。
それゆえ、私と妻は同じような心境でいたのだと信じている。
表現方法が少し異なっていただけなのだ。ただ、そんなことは妻には理解できまい。
彼女は、涙の一つも見せぬ私を、もしかしたら恐怖さえしていたのかもしれない。
それは仕方ないことだと思う。思えばそれは、私と妻の間における、唯一にして最大の齟齬だった。
不幸の帳が降りて以来、私たちは極端に互いへの干渉を避けるようになった。
お互いがお互いの世界へ消え入りそうだった。
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