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Last Album

279 ◆xh7i0CWaMo:2014/10/08(水) 22:32:12 ID:cxCxhwjA0
身を乗り出して運転手に何か言おうとしましたが、
走っている道が実家付近であることに気付いて思い留まりました。
そしてタクシーが実家前に横付けされるや否や、車外へ飛び出し玄関へと走りました。

扉を開けた(鍵が掛かっていたかどうかは記憶していません)直後に、家の中が無人であることを理解しました。
皆、もう斎場へ向かっているのでしょう。すぐさま駆けつけようと踵を返しかけたところで、
私は今宵の真なる目的地が何処であるか把握していないという事実に直面したのです。

身体が自分を抱え込むような姿勢で脱力しました。
三和土に膝をついて、しゃくり上げるような激しい呼吸を繰り返しました。
頭痛は概ね治まっていましたが疲労の方は去っていなかったようなのです。

満身創痍の脳髄は直近の問題処理を拒否していました。私は頭を上げて漫然と辺りを見渡しました。
宵闇の中でぼうっと佇む靴箱、観葉植物、トイレへの扉……何れも記憶に合致する代物です。
いや、もしかしたら記憶の方が目の前の事物に媚を売っていたのか……。


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