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Last Album

270 ◆xh7i0CWaMo:2014/10/08(水) 22:05:15 ID:cxCxhwjA0
それからしばらく、K君に会う機会はありませんでした。
次に遭遇したのが、前回から一年後ぐらいのことだったと思います。
何かの用事で、普段は行かない駅前のコンビニに入ったとき、そこにK君がいました。客ではなく、店員として。

私は特に何も考えず、K君に気軽な挨拶を向けました。
するとK君は一旦私に視線を寄越したのですが、そのままふいと目を外したのです。
 
その時の彼の眼を表現するなら……深く死んでいた、とでも言うべきでしょうか。
今でもたまにその眼の色を思い浮かべるのですが、それは仕事に従順な者の眼ではない、
どす黒い嘆きや寂しさに塗れたものなのです。

私はそれ以上K君に近づくことが憚られ、そのまま黙ってコンビニを出ました。
彼の父親が経営する会社が倒産し、そのせいで演劇活動する余裕がなくなったため、
止む無く劇団を退いてアルバイトに専念しているという話を人づてに聞いたのは、それから数か月後のことでした。


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