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Last Album

263 ◆xh7i0CWaMo:2014/10/08(水) 21:42:26 ID:cxCxhwjA0
葬儀に参列するのは五年ほど昔に父方の祖父が亡くなった時以来です。
祖父は死の数年前に脳梗塞を起こし、その際に左半身を巧く操ることが出来なくなっていました。

そのせいか末期には精神面にも異常を来しており、最期を迎えた場所は山間にある病院の、
あまりにも分厚い鉄扉に阻まれた隔離病棟の中でした。

元々交流の薄かった生前の祖父に関して私が記憶しているのは、
せいぜいロッキング・チェアに身を預けた半身不随の彼が、
叔母の飼い犬であるポメラニアンを杖で楽しげに殴打していた場面ぐらいです。
 
その葬儀で、祖母が祖父の死顔を泣きながらもみくちゃに歪ませていたことをよく憶えています。
死んだ祖父は遺影の中の彼自身とはまるで別人物でした。特段窶れていたわけでもなく、
物理的には然程違いのない相貌であったでしょう。

しかしその違和感は……不気味の谷底に落ちたような違和感は、
如何様にしても拭い去れるものではありませんでした。その意味で、私は魂の存在を信じているのかも知れません。

二十一グラムの剥落が印象に大きな変容を及ぼしているとするならば、
そのロマンチシズムは今の私にさえ大きな安堵を催させます。


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