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25 ◆xh7i0CWaMo:2014/09/28(日) 21:54:33 ID:jDTTQVVk0
(´・ω・`)「それはともかく……貴方は夕食を摂らなかったのですか?」

老婆はその問いに答えず、杖で階段を叩きながらかぶりを振った。

('、`*川「お前はわけの分からん男だね。普通、こういう時はもっと質問すべき問題を質問するべきだ。
     色々あるだろう。お前の家族のことや、失踪した理由や……」

(´・ω・`)「そういう核心は、尋ねても答えてくれないと思いまして」

「そうかね。まるで、核心へ近づくのを避けているように聞こえるがね」
 
私が真実を恐れているという老婆の推測は、半分程度当たっていると思う。
だから私はそこで要望通りの質問を投げつけることなく、沈黙することにしたのだ。
とは言え、そればかりが私の心持ちであるわけでは、当然無い。
 
地下二、三階には手頃な広さの宴会場が幾つかあり、更に下ると大規模のシアター・ホールがある。
そしてその下には会員制のクラブやカジノめいたものまで軒を連ねていると言われていた。
あらゆる客層への対応を求められていたこのホテルは階層によって来訪者の品格を大まかに区分けていたらしい。

高層へ上れば上るほど、或いは地下へ下れば下るほど、私たちの手の届かぬ世界が広がっているのだ。
このホテルのエレベーターは、私たちの使うものでは上層、下層の途中までしか移動できず、
逆に賓客のためのそれでは、最上層、最下層付近にのみ向かえる仕組みであったと記憶している。

地下三階まで下りると、光の漏れる大仰な扉が私たちを待ち受けていた。
私は老婆に許可を取ることもせずそれを押し開いた。


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