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◆xh7i0CWaMo
:2014/10/06(月) 22:04:38 ID:ok723CeU0
身体の自由が利かなくなって……現実を認識することさえ喪われた私は……
ただただ空虚な時間にものを考えるばかりだ。
こうやって、星空のように鏤められている記憶を眺めながら……それぞれを、飽きることなく咀嚼しながら……。
まったく、記憶に映るのは死人の影ばかりだ。婆さんも、知人友人も、ドラマで活躍していた大俳優でさえ……。
一抹の寂しさを覚えるとともに、自分自身の末期というものがより確かな形となって去来する……。
健康体である筈だった婆さんが、殆ど世話にならなかった病院に入院して、
そのまま他界してしまったのはあまりにも唐突な出来事であった。
確か、当初は軽い検査入院のようなものだった筈だ。
それが瞬く間に……と言って、仔細な期間を憶えているわけでもないが……
彼女は、痴呆症を患う暇もなく旅立ってしまった。
その辺りの詳しい記憶についてはもう両手で足りぬほど模索したのだが、まったく見当たらない。
どうやら、その頃に私は憶えることを放棄してしまったらしい。
然し乍ら、婆さんが死んでしまったという事実だけは、一番の巨星となって輝いているのだった。
婆さんの死は、我ら夫婦の死と同義であった。
おそらく私はこの頃から徐々に精神の均衡を喪失してゆき、現在にまで至ってしまったというわけだ。
何がそこまで私を現実から遠ざけてしまったのかは分からない。
けれども、私の人生に婆さんという存在が必要不可欠だったのは最早自明なのだ。
居丈高に振る舞っていた私の人間性は、婆さんを喪うことで易々と折れて廃れてしまったのだった。
時間も空間もなく物事ばかりを考えていると……妙な表現だが、思考回路がやや柔軟になっていくような気がする。
怒濤の如く押し寄せてくる現実を受け止める必要も、満身創痍の肉体に気を病む必要もなくなった今、
私はただ只管に過去を顧みて反芻するばかりだ。
思えば我が人生において、
時間の流れを差し置いてまで立ち止まって考える機会など訪れてはいなかったのではないだろうか。
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