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◆xh7i0CWaMo
:2014/10/06(月) 21:52:25 ID:ok723CeU0
息子は鉄鋼会社に勤めながら妻と、二人の息子を養っている。今もそうしている筈だ。
その生活は決して楽なものではない。
まだ私が『正常』であった頃、彼が世間の景気や給料の額に愚痴を零しているのを聞いたことも数度ではなかった。
それに対して私は気丈に、時には喝破するようにして彼を説諭したものだった。
それぐらいの苦労は誰だって抱えている。無論、嘗ての私も多くの辛酸を舐めてきた。
辛抱に辛抱を重ねて、ようやっと見えてくる道もあるのだ、云々。
息子は黙り込んで、特段表情を変化させることもなく聴いていた。
ただただ聴き入っていたのか、それとも疲弊のあまり言葉が素通りしてしまっていたのか、
今となっては知る由もない。
……仮に、私が彼を援助していればどうなっただろう。
と言って、私の資産に然程の余裕があったというわけではない。
何とか定年まで働き続け、食い扶持に困るような事態には陥らなかったものの、
老後の余暇を満喫するほどには貯蓄できなかったのが現実だ。
そのせいで義理の娘が私の面倒を忙しなく看なければならなかった。
介護施設の入所待ちは途方もないと云うし、デイケアーにしても週に一度、依頼するのが精一杯だったのだろう。
だが、もしもあの当時、購う自宅をもう少し狭いものにしていれば。
もう少し駅から遠い場所にしておけば。もう少し庭の造作に拘りを持たなければ……。
もしかしたら、人生のあらゆる部分を切り詰めていけば、
私は息子夫婦の精神を、斯様なまでに追いつめずに済んでいたのかも知れない。
私は適切な病院で適切な終末医療を受け、安穏とした最期を迎えていたのかもしれない。
そうすれば我が子の看病は面会ということになり、精神的負担も軽減できたろう。
或いはまた、我が子の苦境に、資金という形で多少なりとも助けの手を伸ばせたかも知れぬのだ。
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