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Last Album

211 ◆xh7i0CWaMo:2014/10/05(日) 22:14:20 ID:ecWgD/1k0
何時の日か、ヒッキーはこの壁面を埋め尽くしつつある言葉を使って小説を著わそうと思ったりもしている。
しかしそれが不可能であることも同時に悟っているのだ。

言ってみればここに記されているのは縫合も困難な傷口のようなもので、
どうしたって繋ぎ合わせられるものでは無い。

あまつさえ、どこにも結論が無いのだから物語を描いたところで如何様な結末も与えられない。
それでもいいのではないか、とヒッキーは考えてしまうのだが終わらない物語の苦痛について、
何日も何ヶ月も遂には数年近くも引き籠り続けているヒッキーはよく理解しているつもりだ。

死の苦しみを知った上で誰かを惨殺するほどには、彼は発狂できていない。
壊れてしまうにしてもそれはきっと内部の話で、外部に発散することは出来ないだろう。
そのような殺伐とした心情を表す言葉をヒッキーは知っている。

そしてその言葉は、壁のあらゆる所に鏤められているのだ。

『どうでもいい』

『どうでもいい』

時には迫真の態度で、時には消え入るような調子でそれは書かれている。
そして日々を越えるごとにその自暴自棄は深みを増しているような気がしている。


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