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Last Album

207 ◆xh7i0CWaMo:2014/10/05(日) 22:02:31 ID:ecWgD/1k0
『誰も俺の頭をのぞいてはいないだろうね? 
 でも人間なんて大抵分かりやすい生き物だから、俺のことだってわかられてはいるんだよ? 
 ただ指摘するのが面倒なだけでさ?』
 
舐めたら泥の味がしそうな粘っこい雨が窓外を濡らしていたある日、ヒッキーは壁紙にこう主張した。

『爆撃の後には雨が降ると言ったのは誰だったか? 哀しい戦争の話! 
 それが真実であるならば、何故世界は延々と雨で濡れそぼっていないのだ? 
 
 今日だってどこかのベランダで誰かがロープを首に巻き付けているんだ、
 それが戦争でないというなら、何故彼らは死なねばならない?』

ヒッキーは一度だけ、自らも死んでしまおうと剃刀を手にしたことがある。
それで手首を切りつけてしばらく待ってみた。どす赤い静脈血が目一杯溢れたが、やがて止まってしまった。
ヒッキーはいつまでも意識をまともに残したままだった。その時ヒッキーはほんの少しだけ涙を流した。

大泣きできるほどに、彼は死というものに対して本気では無かったのだ。
彼は積極的に生きようとも思っていなかったが衝動的に死ねるほどの消極さも持ち合わせていなかった。


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