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◆xh7i0CWaMo
:2014/10/01(水) 22:14:13 ID:h2WvNwoE0
『……一つ、奇妙な疑問があるのです。わたくしの処へやってきた探偵は、
わたくしの婚約者や、わたくしの両親について口にしましたが、
ただの一度として兄さまについて言及しなかったのです。
あの方は、必要最低限の情報のみを伝えたために兄さまのことを口にしなかったのでしょうか。
それとも、敢えて口に出さなかったのでしょうか……』
そうして、わたくしは手紙を書くことにしたのです。
まるで遺書のように丁寧に、どれだけ疲れても手書きで書き綴ろうと心に決めて……。
もうすぐ探偵がやってきます。そうしたら、わたくしはもう拒否の姿勢をとることは出来ないでしょう。
黙ってついていくより他にないのです。ですからそれまでに、
満身創痍の身体に鞭打って何とかこの手紙を書き終えなければなりませんでした。
『けれども、婚約した方の顔や氏名は忘れてしまっていても、兄さまのことは今なおハッキリと憶えております。
兄さまの姿形は脳裏にしっかりと浮かび上がり、揺らぐ気配もありません。
愛しい兄さま。そろそろ筆を置かねばなりませんが、
わたくしにはこの手紙を締めくくる言葉がどうにも思い浮かばないのです。まだまだ書きたいことは山とあります。
せめて、嫁いでしまう前にもう一度お会いしたかった。もう一度お顔を見たかった。もう一度お話ししたかった……』
外では太陽がキラリキラリと照り輝き、上空を舞う雲の波は、まるで畝って奇妙な芸術のように舞い躍ります。
こんなよい日にわたくしは何という思いを抱えてしまっているのでしょう。
そして、わたくしは何というものを失ってしまったのでしょう。
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