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◆xh7i0CWaMo
:2014/10/01(水) 21:36:25 ID:h2WvNwoE0
そうして彼は、背広の内ポケットから一枚の写真を取り出し、わたくしに手渡しました。
それはモノクロで仕上がったポラロイド調の写真で、まるで昭和以前の雰囲気を匂わせるものでした。
そしてそこには一人の、何の変哲もない若い男性が写されておりました。全然見覚えのない男性の顔が……。
(*゚ー゚)「あの、この方は……?」
( ・∀・)「きっとそう言うだろうと思っていましたよ……。いやね、依頼人には聞かされておったのです。
彼女は記憶を喪失してしまっているかもしれない、
だから僕の顔を見ても何もハッキリ思い出せないだろう……とね。
それだからこそ、私のような私立探偵にお鉢が回ってきたという具合で……。まあ、何でもいいんですよ」
彼はそこで、不自然なほどに口角をつり上げた笑みを浮かべてみせました。
その表情が何とも恐ろしく恐ろしく……わたくしはとても直視することが出来ませんでした。
( ・∀・)「ええ、落ち着いてよくお聞きください……この方は、貴女の婚約者なのですよ」
わたくしは目を見開いてその写真と、彼の顔を交互に見つめました。
そして、ヒュウ、と音階の外れた呼吸をしながら「そんな……」とやっと一言呟いたのです。
( ・∀・)「ほほう……やはり全部依頼人の……貴女の婚約者の予想した通りでしたか。
ええ、きっと何やらの特別な事情があったのでしょう。貴女はこの顔の人物を憶えていない、
それどころか、自分が誰彼と婚約したかどうかさえ、記憶していない……そういうワケですね?」
わたくしはただ、コクリと首肯するのがやっとでした。
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