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Last Album

135 ◆xh7i0CWaMo:2014/10/01(水) 21:27:38 ID:h2WvNwoE0
夢から醒めるたび、わたくしはいつも口惜しい気分になってしまいます。
夢の世界は大抵において素晴らしく、美しく、そして夢の中のわたくしは、
その全てが余すところなく現実であると信じ込んでいるのです。

ところが、夢から醒めるたび、わたくしの確信はたちまちにして立ち消えてしまい、
あまつさえ、同じ夢と再会することは稀にも起きてくれないのです。

そうですからわたくしは……夢と別れるたびに……わたくしの中に僅かに潜んでいる美しき部分……
自分自身に陶酔できる部分を失ってしまうような感覚に陥ってしまうのです。

『兄さまはお元気でやっていますでしょうか。わたくしのことを、まだ憶えてくださっていますでしょうか』
 
そのあとに遺るのは自己嫌悪のわたくし……どす黒く固まってしまったわたくしだけが、
心の中に居座ってしまっているような気さえしてしまうのです……。
そしてその嫌悪感はやがて他者に及び、愛すべき家族に及び、兄さまに及び……。

『突然のお手紙にさぞや驚かれたことでしょうね。
 けれどもわたくしは、どうしても直筆で兄さまにお伝えせねばならないことが出来てしまったのです。
 兄さま、兄さま……悲しんでくださいますか。寂しがってくださいますか。

 このお手紙は他でもなく、兄さまへの別れのお手紙なのですよ……』


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