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◆xh7i0CWaMo
:2014/09/30(火) 21:50:16 ID:9BaR2n0c0
それにしても稲妻をじかに見たのはいつ以来だろう……もしかしたら初めての体験かもしれない。
その一瞬の出来事は脳裏にしっかりと焼き付いているのだが、
その衝撃を説明しろと言われてもたぶん何一つ伝えられないだろう。
雷を怖がる人が多いというのも分かる気がする。
よく分からない恐怖というよりは、はっきりと目撃することによる畏怖。
科学的な原理も解明されているはずなのに、人間の手ではどうすることもできない自然の偉大さ。
そしてそれだけではなく、個人的な恐怖心を刺戟する何かがある。
ぼくの足取りは明らかに重くなっていた。落雷のために疲労は倍増していて、
そのせいかいっそう孤独感が深まっていく。薄ぼんやりと浮き上がっているような街路は、
進むにつれて迷宮の様相を呈してきた。こんな天気の下で出ていった彼女は相当強い女性なのだろう。
もちろん、ぼくが弱すぎるという可能性も否定できないが。
いや、もしかしたらぼくが見落としていただけで、彼女は意外と近所で雑誌でも立ち読みしているのかもしれない。
もちろん、そうであって欲しいという希望的観測も含まれる。
辛うじて持ち合わせていた小銭で買った切符で遠くへ行かれてしまったのであったら、もうどうしようもない。
二軒目のコンビニも不発に終わり、ぼくは更に進み続けた。
もう、どこを歩いているのかはっきりしなくなってきている。
おぼつかない足取りで家の壁だけを目で追いながら前進する。自分の目的が何かも忘れてしまいそうだ。
傘はもうほとんど役に立っていないようで、全身から雨のにおいが蒸気のように湧き上がっていた。
雨粒か自分の汗かも分からない顔の水滴をぬぐい、ようやくたどりついた曲がり角で向きを変える。
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