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121 ◆xh7i0CWaMo:2014/09/30(火) 21:44:40 ID:9BaR2n0c0
彼女はぼくより遙かに濡れねずみになってしまっているに違いない。
気の毒だ、というのが正直な感想で、真摯に自分のせいだと反省することができない。

どのように想っても、対岸の火事に駆けつけようともせず、
ただ遠くのほうから水を浴びせようとあくせくしているような、無様さを覚えてしまうのだ。

彼女の言ったとおり、彼女への愛情と死の問題を分けて考え、その上で死を選択し彼女を捨てたのだから、
その無様さはもはや挽回しようもない。ならば今、こうやってかけずり回っている自分は何なのだろう。

……きっと、これは誰しもの心に起きるちょっとした善意でしかない。
ぼくが彼女のことを愛していると言ったところで、誰が信用するだろう。
信用されないということは、存在しないも同然なのだ。

本屋を出ると、相変わらず強い雨が降りしきっていた。
目の前の古い木造住宅のトタン屋根に雨粒が刺さって、せわしなく不協和音を奏でている。

なんだかひどく疲れていた。


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