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( ^ω^)千年の夢のようです
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9/24(水) 夕方より投下します
よろしくお願いします
前スレ
>( ^ω^)千年の夢のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1401648478/
まとめサイト様(以下敬称略)
>ブンツンドー
http://buntsundo.web.fc2.com/long/sennen_yume/top.html
>グレーゾーン
http://boonzone.web.fc2.com/dream_of_1000_years.htm
作品フィールドマップ(簡易)
http://imefix.info/20140922/321215/rare.jpeg
http://imefix.info/20140922/321216/rare.jpeg
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ヒャッハー!支援だぁ!!
-
(;^ω^)「だんだん下り坂ばかりになって……もはや自分がどこにいるかもわからんお」
^ω^ )))「いったん戻って、少しでも高い場所から見下ろしてみるかお」
^)))
(<● ))
(<●><●> ) ))
"( <●><●>) キョロキョロ
ブーンが踵を返したその場所で、入れ違いに現れた呪術師が辺りを窺う。
ワカッテマス──ブーンとの面識はまだない。
だからその一瞬だけでは、互いの存在に気付くこともなかった。
(<●><●> ) 「ふむ…こうして歩いてみるとなかなか広い街です」
( <●><●>) 「そして程よく濁って…」
( <▼><●>) 「…まるで領主の野心と同じ。
どこも同じ、誰も同じ」
-
今から一ヶ月ほど前、この街から南西に位置する隣国公人の屋形に、この呪術師は居た。
アサピーを実験台として、不死者を弄んだ赤い森の怨念…その残り香。
( <▼><▼>) 「…少々時間がかかってしまいましたが」
懐にしまっておいた荷物が嵩張るのだ、とワカッテマスは独りごちる。
加工した "ポイズン" の臓物は、腐らぬよう氷の魔導力で凍らせてある。
覚えたての風水魔法で隔離することも考えてはみたが、その場合は繋ぐ先の空間を用意せねばならない。
人口の多い、かつ隠れる場所のないこの街ではどこに人の目があるかわからなかった。
( <●><●>) 「取りあえずは予定通り。
アサピーの話ではやや強引さの目立つ気質とも言っていましたが、しょせん俗物。
……さて、と」
( <●><●>) 「……そうだ、こうしましょう」
誰にも聴こえない声で呟きながら、ワカッテマスは何処かへとその姿を消した。
その目的──いまだ大陸への復讐を胸に。
-
丘に面した外壁沿いを歩きながら街下を眺めるブーン。
その耳に、もの悲しげな声が届き始めた。
…それは民謡にも聴こえるが、
音程は酷く曖昧で頼りない。
( ^ω^)「おっ?」
歩みを止めず進み続ける。
やがて見えたのは…しゃがみこむ一人の男。
遠巻きにこうして見るだけで、頬も腕も痩せこけていることが明確なフォルム。
据わったその目付きは鋭く、しかし脱力した様子で街を睨み付けていた。
見覚えがある。
ブーンは悠久の生に沈む泡沫の記憶から、その糸を手繰り寄せ、想起する。
('A`)y-~ 「……〜♪」
ツンが己の隣にいた頃…
三日月島でアサウルスを倒した時…
あの不思議な空間で、ハインに頼まれ救った男に相違ない。
('A`)y-~ 「ぁ?」
('A`)y-~ 「なに見てんだ」
-
丘の上を撫でてゆく風が、白い壁を避けて二人の頭上に草花を散らしていく…。
彡
彡
( ^ω^) ('A`)y-~
彡
あの時の二人は言葉を交わすどころか、
まともに目をあわせる余裕すら無かった。
現実空間に戻った時には、もう彼の姿はなかったのだから。
……名も知らぬ、不死の同族。
-
('A`)y-~「…おい、なんか言えよ」
( ^ω^)「ごめんお、なんでもないお。
君はここで何してるんだお?」
('A`)y-~ 「ぁー? お前ここの人間……って感じじゃあねえな。
訊いてどうすんだ、そんなもん」
(;^ω^)「おっ……、僕は捜しものをしていて…
ここから見えないかと思って来たんだお」
('A`)y-~ 「…」
('A`)y-~ 「ふひ、なんだそりゃ」
男はブーンに "ドク" と名乗り、口角をつり上げた。
ブーンも同様に名乗ると一層つり上げ、しかしすぐに表情と視線を戻す。
同じ不死者と知っていてシンパシーを感じたわけではあるまい。
…だが彼を知る者からすれば、ドクは少し上機嫌に見えたかもしれない。
-
('A`)y-~ 「俺も捜しもんさ。
ここから見えるわけじゃあねえけど…まあ待ってんだよ」
ひひひ、とドクは歯の奥から笑いを噛み洩らす。
( ^ω^)「そうなのかお。
もし良かったら、この街の収容所がどこにあるとか…知らないかお?」
('A`)y-~ 「あぁ? それなら」
ドクの指差す先…
街の中心から少し外れた屋根群のなか、ぽっかりと穴が開くように空洞になった箇所があった。
クレーター状の大地に建てられたこの街は道が平行でなく、坂を降るほど裕福で身分の高い者が住んでいる。
罪人からは連想しにくいが、公務員である警官が関わるならばそこではないかという。
ドクは諍いの起きていた余所の領主の首を献上するため、一足先に街の特徴を知っていたに過ぎないのだが。
( ^ω^)「高い建物だとか目立つ場所とばかり思っていたけど…まったく逆なのかお」
ε_ ('A`)y-~ フゥ
( ^ω^)「ありがとうだお、ドクオ」
-
再び街中へと歩くブーンの足取りが、心なし軽くなる。
……百年越しの出逢い。
永遠を生きるブーンにも、同じ境遇の存在がこの世界にいることが嬉しくもあり…悲しかった。
繰り返される出会いと別れは怖くない。
慣れたといえば嘘になる……
だが、必然に駄々をこねるほど幼いつもりはない。
( ^ω^)「……そうだお」
怖いのは──二度と出会えないこと。
ましてやそれが同じ時を過ごす者同士であったなら、必然と切り捨てることが果たしてできるだろうか。
( ^ω^)「まずは一つずつ、出来ることからやっていくんだお」
『初心忘れるべからず! ⊿ )ξ
見失っちゃダメよ、ブーン』
( ^ω^)「……だおね、ツン」
そのためにまずはここへ来た。
大陸中をしらみ潰し、必ずツンを助ける。
その方法を見付けるためなら、どんな苦労も厭わないつもりだ。
ブーンは想い、馳せる。
・・・
僕たちが、これまでと変わらず世界を旅するために。
-
('A`)y-~
ε_ ('A`)y-~ フゥ
ピンッ ('A`)σ ⌒ 、
(A` ) 「……ん…?」
ドクの違和感が、何を捉える。
( 'A`)「──いや、こっちが先か」
そして同時に捜しものを捉えた。
どうするか?
もちろん…ドクにとって優先順位など決まりきっている。
準備は整った。
彼は炙り出さねばならない。
そのための準備に時間を費やしたのだから。
逃走劇の主役。
餌を食べ終わるまでその場を動かなかった愚かな野うさぎには罰が下るだろう。
('A`)「ひひっ」
太陽と月が気紛れに揺れる刻となったウォール高原に、二筋の闇が射していく。
-
-
『ねえ、ブーン? ⊿ )ξ
私が──みるとしたら』
-
-
----------
収容所の入り口で、フィレンクトはぼんやりと考えていた。
「……私は、なぜ警官になった?」
国の法が法であるため、地域住人同士の繋がりは弱くない。
従順に従うならば、
生涯一人にしか使うことのない育児用品などに、限られた資源をその都度割り当てることも躊躇われるのが国の実情だ。
育児に限った話ではないが、この国において、人々は使い回せるものならば大切に保管して再利用する習慣がある。
……独裁者の理想通りにいけば、民との意識は一致するはずだった。
だが現実にはそううまくいかない。
-
『……子作りをしなければ良かった。
一つの家庭において子は一人のみ。
国にそう定められているのに、
産んだのは貴女の責任だ』
「……支給されている粗末な避妊具で、それを守りきれるわけがないじゃないか」
あの時のフィレンクトの言葉は、かつて警官学校で習った教科書の一文をそのまま読み上げたもの。
無意識にも、本心ではなかったという彼なりのささやかな反抗ではあるが、一般市民がそれを知ることはない。
伝わらない想いは身勝手な自己犠牲の元、自身を肯定させる。
レモナとダイオードの顔を思い出し、胸が痛む。
そんな彼の頭上に、大きな影が乗っかった。
( ^ω^)「ここが収容所かお? 面会したい人がいるお」
フィレンクトははっとして顔を上げる。
にこやかな青年がそこには居た。
自身と同年代……
しかし、その身に纏う雰囲気は過去に出逢った誰よりも柔らかく、どんな犯罪者よりも威圧感を覚えた。
どれくらい呆けていたのかと反省しつつ、公務員として面会者のための手続きを準備する。
…誰にも悟られてはならない。
国家への反逆心さえ、自身は抱いてはならない。
フィレンクトは揺らぐ心をしまいこみ、職務へと戻る。
-
「では本日の面会対象の名を」
( ^ω^)「ダイオード」
「──、わかりました」
規則にのっとり、面会者の指紋を採取する。
ブーンは特に抵抗なく受け入れたが、国民相手であれば拒否されることも珍しくはない。
犯罪者同士の繋がりを暴くためのシステム…なのに、こんな時までやらなくてはならない。
──バカな、あの娘は犯罪者ではない。
牢に続く第一の扉…チェーンを外し、三本からなる蝶番を順に引いていく。
都度、重たい金属音が壁の向こうで響いているのが平静を装う手から伝わった。
( ^ω^)「ずいぶんと厳重だお」
「法に背くと、大なり小なりの制約がついてしまいます。
この牢には軽犯罪者から重犯罪者までが収容されているので」
──そんな場所にあの娘を放り入れたのか、自分は?
フィレンクトの心に錯綜する、職務への忠誠と秘めた道徳心。
蝶番と共に、彼自身の鍵も弛んでいく。
無表情を装うフィレンクトが顔をあげた。
対するブーンの眼差しは真っ直ぐだ。
その単純な行為が、相手にとって護るべき "心の殻" を無意識にひび割れさせていく。
-
[目は口ほどに物を言う]…ブーンはそれを実現させる。
フィレンクトはブーンから目線を外すことができなくなり、まばたきすら忘れてしまった。
突き詰めれば、これもブーンのもつ【破壊】の魔導力。
良心への信仰と法への忠信に葛藤する若い警官の身に、正しい力が入るはずもない。
「……」
( ^ω^)σ「扉、開かないのかお?」
「………ッ、し、失礼。 少し具合が──」
( ^ω^)「君はきっと真面目な人なんだね」
どこか心を見透かされたことに恥ずかしさを隠しきれず、やっとの思いで顔を背けると、
ブーンの方を見ないようフィレンクトは扉をあけ、駆け足になった。
牢に続く階段を踏み歩く音が落ち着かない。
( ^ω^)「僕も力ずくで何かをするわけじゃないお」
「…」
( ^ω^)「僕の目の前で泣いてる人がいたから、手助けしたいだけなんだお」
「……」
収容所の気温は高く、暑い。
風邪をひいただろうか?
秋を忘れさせるような、なんともいえぬ汗が長袖の下、腕を伝うのはそのせいだと……フィレンクトは言い切れなかった。
-
/ ゚、。 / 「フィレンクトさん」
「面会だ。 君の私物を届けてくれた人がいる」
フィレンクトの言葉に輝いたダイオードの目は、しかしブーンの姿を捉え、戸惑いに変わる。
/ ゚、。 / 「…おじちゃん、だれ?」
( ^ω^)「はじめましてだお。
つ(▼・ェ・) これ、君のだって聞いて
届けに来たんだけど…」
/ *゚、。/ 「あっ! びーぐる!」
「今はまだ上司がいる時間だから、牢の中にまでは渡せないが…
こうして私が見ている範囲でなら触って構わないよ」
隙間越しにぬいぐるみを抱き締めるダイオードを見ても、フィレンクトの表情に変わりはない。
……変わらぬように努めている。
/* ゚、。 / 「ねえ、もうおうちに帰れるの?」
-
( ^ω^)「すぐ帰れるお。
だから良い子でもう少しここで待っててくれって、お母さんから」
本来そんなことは許されない。
フィレンクトの肩がピクリと動く。
国において法は守られるべき秩序であり、警官とはそれを執行する番人の端くれ。
この牢にいる罪人は、いわば国の所有物だ。
『他人の所有物を盗んだ者、禁固2年』
──耳の奥で法が囁く。
/* ゚、。 / 「ほんとー?」
( ^ω^)b「だお。 お母さんを待とうお」
「……」
──その法は、娘を救わないのに?
-
子供をあやしつける方便にダイオードは気付くはずもなく、無邪気な笑顔を振り撒いていた。
そう、国内の人間ならば…
この大柄で笑みを絶やさない男が言ったのでなければ、フィレンクトは何の心配もしなかったろう。
ブーンを前にして、その純たる想いと、どこか底知れない旺然さに不安を覚える。
( *^ω^) / *゚、。 /
彼は旅人である。
どんな罪を犯そうとも、
こちらが捕まえる前に国を抜け出してしまえば……
警官としての虫の知らせだった。
体内に篭る細胞が、外部からの異分子に反応するように。
ブーンが法を犯す確証などあるはずもなく、ブーンという個人の人格を疑うことともまた別次元の話。
それでももし──
「それは君たちが決めることではない」
牢内が静まり返る。
…相対、奥にはまだいくつもの牢が並び、そちらからクックッと笑い声や呻き声が耳に届くようになった。
こんな場所で、ダイオードを一人にさせているのは誰なのか。
法か?
「…そろそろ面会時間は終わりとする」
いや、他ならぬフィレンクト自身だ。
ダイオードがここにいるという現実が…
ダイオードをここに連れたという事実が……
一度揺らいだ彼の心を、更に崩壊させていった。
-
------------
〜now roading〜
( ^ω^)
HP / A
strength / B
vitality / A
agility / A
MP / H
magic power / E
magic speed / C
magic registence / F
------------
-
様々な感情が行き交う、人の命は約100年……
東方では更に永く生きる人もいた。
楽しいことばかりとはいえないが、その触れ合いに寄り添うことは
ブーンのような不死者が生を実感できるチャンスともいえる。
それはもちろん、人から承けるのみに留まらない。
年月が経ち、姿を変える土地からは、また新しい発見をすることもあった。
ガヤ… ガヤ
( ^ω^)「…ツンなら、これからどうするお?」
ガヤ
ブーンがこのウォール高原に来るのは何百年振りだろうか?
隣り合う砂漠が、まだ砂漠になる前だったのは間違いない。
大地は目まぐるしく模様を変える万華鏡…
いくら時を経ても同じ絵柄が映し出されることはない。
だから旅をしていて飽くことも決してなかった。
……今までは。
ザワ
( ^ω^)「ダイオードを助けることは、レモナさんを罪人にしてしまうお…でも」
…ザワ
どこか灰色の世界。
思い出すのはヘリカルの瞳。
ダイオードに比べてあまりに貪欲に映ったあの眼差しは、しばらく忘れられそうにない。
ザワザワ
-
ガヤガヤ
周囲の音がよく聴こえるようになった。
思いにふけた意識を視界に戻すと、
街人らの頭が右往左往に流れていく夕暮れ時の景色に改めて気が付く。
それはただただ流れるのではなく……時にぶつかり、規則性からほど遠い無規律な雑流。
「逃げろっ!! 化け物が──」
「うわあぁあ!」
あがる悲鳴。
瞬時に切り替わるブーンの脳内スイッチ。
しばらく眠っていた細胞が目まぐるしく、弛んでいた身体の芯を引き締める。
「家の中じゃあ潰される…! 離れろ、離れろぉ」
「…向こうかお」
三( ^ω^)
呟きを置き去りにブーンは駆け出していた。
腰に下げた数本の剣が、がちゃがちゃりと静かに音をたてる。
視線の先、白い建物群の頭からは鈍色ひかる鉄の翼が生えていた。
-
( ^ω^)「これは…」
境界線は無い、いつの間に足を踏み入れていたのか。
飛び交う瓦礫、人の身体。
血で血を洗うには些かその量が多すぎる。
弧を描くよう放られ、その場にタイミングよく現れたブーンの腕へ "がくん" と収まったのは肉のカタマリ。
仰向けに垂れる身体の中心には紅い背骨。
成人男性の死体。
( ^ω^)「……」
勢いよく飛んできてもその衝撃に身をよじることなく、ブーンは巨木のようにまっすぐ立ち、死体を見下ろす。
腕に伝わる死の感触……
首の肉も崩れ、千切れそうな舌がだらしなく口許から零れているのを直視してしまう。
たち込めるは新鮮な血の匂い。
死体はフィレンクトと同じ布兜…警官の格好をしていた。
ブーンの周辺にはいまもなお、宙に警官隊が浮かび、そしてぼとぼとと降り注ぎ続ける光景が止まない。
今この場を支配しているのは、聴く者を慄かせる破砕音と、雷を思わせる唸り声──
-
《グ ゴ ォ ア ア ア ァ ア!!》
('∀`)「ひひっ、ひひひ!!」
(;^ω^)「ドク?!」
ひときわ巨大な鳥が大地を暗く染める。
広げる翼が、空の蒼さをその体躯以上に隠している。
その背中で笑うのは──不死者ドク。
-
('A`)「おい、そこでいいのか?」
('∀`)「まーそのまま死ぬのもいいぜぇ?
ひひっ! 羨まーし〜ぃい♪」
誰に話し掛けているのか、グリガンの生み出す風に乗せられたドクの声が届く。
それを聴き取れたのは、辺り一面に動くものが無くなったからだ。
/::; <●>) …ゴトリ
──たった一つ、死体の山から立ち上がった呪術師を除いて。
大きな瞳孔、闇を模倣するフード。
その衣の奥から【カース】と囁く声がした。
ブーンがそれを捉えたと同時、黒い炎が柱となってワカッテマスを囲む。
「……気色悪いもん造りやがって」('A`)
('A`)
('A`) ( <●><●>) ('A`)
('A`)
(;^ω^)「──どうなってんだお」
-
ワカッテマスはいち早く領主に取り入り、土塊を製造していた。
元となっているのはボイズンの臓物。
そのすべての土塊の手に、長身の銃が握られている。
( <●><●>) 「…すり潰してみなさい。
貴方自身の内臓で良ければ
A`) ザザッ
( <▲><●('A`) ──ね」
ワカッテマスを護るよう身構える二体。
他の一体はドクに向けて走りだし、残る一体はワカッテマスの背後で…
('A`)「……」
('/ :
:/A`) ズ リ
ュ ッ
──身体ごと裂かれ、崩れる。
(<●><●>; ) 「?!」
( ^ω^)
?詡囈鼹鼹鼹?,
 ̄ ̄ ̄
土塊の身体から、温もりなき重い剣が姿を見せていた。
滴るものは何もない。
"隕鉄" とも異なる両刃剣は、土塊の肉と骨と血を切断面から【破壊】し尽くしたブーンの得物。
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>>379を修正して再投下します↓
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ワカッテマスはいち早く領主に取り入り、土塊を製造していた。
元となっているのはボイズンの臓物。
そのすべての土塊の手に、長身の銃が握られている。
( <●><●>) 「…すり潰してみなさい。
貴方自身の内臓で良ければ
A`) ザザッ
( <▲><●('A`) ──ね」
ワカッテマスを護るよう身構える二体。
他の一体はドクに向けて走りだし、残る一体はワカッテマスの背後で…
('A`)「……」
('/ :
:/A`) ズ リ
ュ ッ
──身体ごと裂かれ、崩れる。
(<●><●>; ) 「?!」
( ^ω^)
つΓーーーー,
 ̄ ̄ ̄
土塊の身体から、温もりなき重い剣が姿を見せていた。
滴るものは何もない。
"隕鉄" とも異なる両刃剣は、土塊の肉と骨と血を切断面から【破壊】し尽くしたブーンの得物。
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( <●><●>) 「…何者です? いえ、答えずとも良いのですが」
だが、すぐ真後ろで起きたそんな迅速劇にもワカッテマスは動じていない。
頭から割れ伏した土塊から粉が舞い、光る粒子となって人形は消えていく。
呪術師の瞳…こちらの観察に努めているのだろうとブーンは感じ取った。
相手に恐怖という感情は恐らくない。
足元に残った砂を無造作に蹴飛ばしながらブーンは続ける。
( ^ω^)「見つけたお。
君だおね? ツンにあの呪いをかけたのは」
『黒い……瞳孔の大きな… ? )ξ
あれは赤い森の────』
( <●><●>) 「さあ? 存じません。
"この私ではない" と思いますが」
( ^ω^)「【カース】…ツンはその魔法を受けてから、ああなってしまったお」
( <●><●>) 「……………ほう?」
「興味がありますね……
-
( <▼> <▼> ) …どうなりました? それ」
-
下卑た笑み…その瞳孔を弧月に歪ませる。
後頭部が熱くなる気がした。
そんなブーンの視界に映るのは
『クックッ』と笑うワカッテマスと
空の上から墜ちる、喰い千切られた "ポイズン" の下半身。
( ゚ω゚)「……やっぱりお前なのかお」
"ポイズン" の下半身は大地を前に粒子となる。
土塊はその身を繋ぎ止める媒体が破壊されればこの世に存在できない。
真上には巨獣グリガンと、不死者ドク。
ダメージを受けた様子はなかった。
……土塊はドクの力をもコピーするに至っていない。
( <●><●>) 「……解凍が早かった…仕方ありませんか」
( ゚ω゚)「ツンを元に戻すお」
(<●><●> ) 「知らないものは戻せません。
先ほど言った通り、それは私ではない。
……ですが見せてもらえるなら──」
-
突然ワカッテマスが大きく跳躍した。
動き自体は素早くないが、予備動作はなく、さらに周囲を囲む土塊までも同時にその場を離れている。
(゚ω゚ )「なん──っ」
追うつもりのブーンを襲う突風、そして鉄の羽根。
ワンテンポの遅れがその身を封じ、肉を切り刻む。
《ギィィイイッッ!!》
Σ(# ;゚ω゚)「ふおぉぉおっ!!」
──グリガンの【ダウンバースト】。
はるか上空から注ぐ刃と、
全体重を乗せた体当たりがブーンに迫り、
邪
魔
す
ん
な
と、
耳にがなり声をこびりつかせた。
爆発音はグリガンと共に、ブーンは白い瓦礫の山へと吹っ飛んでいく。
('A`)
「それは俺の獲物なんだよボケが」
-
ガリ(ガリ ガリ ;;゚ ガω゚リガリガリッ!
ブーンの意思を断ち切らんとする巨獣のメテオ。
背中に受ける衝撃が意識を失うことを許さない。
瓦礫の山を爆砕してなお、グリガンの【ダウンバースト】は止まらない。
遥か先で原型を保っていた建物という建物すら粉砕しながら翔んでいく。
('A`)「てめーはそこで戯れてな」
グリガンから降り、それを眺めていたドクは
そのままワカッテマスの消えた方角へと足を向ける。
( )「…」
( 'A)「…なんだと?」
…グリガンの攻撃が止んだ。
巨獣の体当たりは、この程度で終わる攻撃ではないはずだった。
「…待、つお……!」
空によく通る声がする。
衝撃の余波がびゅうびゅう土煙を押し退けていく。
ひらけてゆく景色…新たに出来た瓦礫の壁。
蜘蛛の巣状にひび割れたその中心に。
グググ…
::(;つ^ω^)つ::「…あいつには…訊かなきゃ、いけないことがっ、あるんだお!!」
グリガンの牙を抑え込み、膨張させた筋肉によって巨獣を怯ませるブーンの姿。
( 'A)「…」
( 'A)「ひひっ、おもしれぇ〜」
-
グググ…
::(;つ^ω^)つ::「ドクもアイツに用があったのなら、目的は一緒のはずだお!」
('A`)「んー、あぁ〜そうねえ〜」
::(;つ^ω^)つ::「それなら一緒に──」
('A`)「馴れ合うつもりはねえ。
どーしてもってんなら、てめーはそこでグリガンを倒してみろ。
おもしれーぞソイツは」
::(;つ^ω^)つ::「ド、ドク…頼むお!
僕は君と争うつもりはないんだお!」
('A`)「争ってんじゃねえか、どっちが先にワカッテマスを捕まえるかをよ」
::(;つ^ω^)つ::「ツンを助けるために、アイツから病気を治す方法を僕は知りたくて──」
('A`)「他人の事情なんざ知ったことか。
俺の用が済んでからにしろよ」
::(;つ^ω^)つ::「どうしてだお! 話を聞いてくれお! ドク!」
( 'A)「あばよ、ブーン。 …ひひっ」
そういって、ドクは去っていった。
グリガンの向こう側にいるブーンから見ることも出来ず、ただ気配でドクが居なくなったことを知る。
グググ…
::(;つ ω )つ::
::(;つ゚ω゚)つ::「……ドクオー!!!」
-
ブーンの叫びに呼応してグリガンの牙が震えだす。
──否、震えているのは鋭い体毛か。 それも全身。
七色の羽根をもつ孔雀が異性に対してアピールするのと同じように、鉄の羽根もまた、強者に向けて。
::(;つ゚ω゚)つ::「ま、マズイお!」
グリガンが短く鳴いた。
『お前の力、もっと見せてみろ』
そう言いたげに、無数の羽根が死神の鎌を連想させるほど逆立ち…欠けた月を作り出す。
『【バーストウィング】…!』
____、
`ーーーと(# ゚ω゚)つ::
ミ 「…ッこの──」
…羽根が身体を貫く音も、叫び声も、
ドクには届かない。
-
----------
「ぐあぉお!!」ギシギシッ
「ははは ( <●><●>) ははは」
「ギャアァァッ」
ギシィッ
( < ●>< ●>) つ 「【カース】…」
ギシッビシッ
「あ゛ー! あ゛あ゛あ゛ー!」
ガッシャーン
⊂(<● ><● > ) 「…【カース】」
街中に次々と、氷の柱が生えそびえる。
ドクとグリガンから逃げるワカッテマスはしかし、素直に街から出ようとしなかった。
「しね…シネ…
<●> <●>
死ね…しネ…」
ピキリ、パキリと結晶を踏み締め。
優雅に歩くその姿はさしずめ童話の笛吹男だった。
いまや凍えそうな寒空の下、愉しげに振り蒔かれる赤黒い魔導力。
なす術なく人々は瞬時に石化し "凍って" ゆく。
それが柱の正体。
《バスッ!》
「おめーが死ね」('A`)
-
咄嗟に目を向けるしか出来なかったワカッテマス。
その眼前にドクの弾丸が迫った。
( <●><▲> 「──
'=⊂('A`) ひひっ」
フード越しに頭が揺れる。
ドォゥンッ…と鈍く重い音。
──そして
('A`)「…! 野郎」
弾力性に富む分厚い衝撃吸収材を鈍器でなぐればそんな音がするだろう。
ダメージの大部分を散らす陽炎の壁がワカッテマスを囲んでいるのを、ドクは確かにみた。
('A`)「GC (ガードコンディション) …このタイミングでか」
( <●><●>) 「…貴方でなくグリガンであれば貫けたでしょうにね」
('A`)「それじゃあ意味ねぇんだよ」
-
任意で一定量の魔導物理壁を張る【シールド】とは違い、
GCは発動もまちまちで、単一では弾丸を防ぐほどの壁も作れない。
──それが魔導研究者達の常識であり、大陸戦争時代には
[戦場の奇跡][女神のお目こぼし]とも呼ばれていたほどだった。
グリガンのような規格外の存在でもなければ覆せない。
人は群れ、心から仲間と連携し、団結することではじめてGCが発動するが──
( <●><●>) 「貴方の土塊とは随分と相性がよろしい…それを収穫としておきますか」
主従関係よりも強固な上下関係。
土塊人形とワカッテマスにはおあつらえ向きなのかもしれない。
('A`)「……」
('A`)「ひひひ」
土塊から奪った銃では貫けない。
本来の得物であればGCを減少させるリングが共に在ったはず──……などと悔やむのは、限られた時間を生きる者だけの特権。
千年を生きる彼の心に、悔いるという文字はない。
('A`)「俺が諦めると思うか?」
ドクは両腕をだらりと下げ、首をかしげると
ワカッテマスを見下すよう睨み付けた。
('A`)「たっぷり時間はあるんだ、遊んでやるよぉ〜っひひひ♪」
('∀`)「…お前の企みも、怨念も、生きる目的も希望も
手足も首も顔面も目玉も舌も血も肉も骨も、
全っ部 ────
もう、俺のもんだ」
----------
-
街の至る場所で発砲音が紫空に舞っていた。
色に灰塵が混ざるのは、同時に放たれた炎のせい。
主人に寄り添うよりも優先度の高い命令を受けている土塊の所業は、常人にすれば狂気の沙汰だった。
「なぜ…私達がなにをしグェッ」
「助けてくれ! た──ッハギァ」
人々を襲う凶行。 止めることは出来ない。
土塊が引き連れた領主の姿を背景に残したまま、鉛の雨に撃たれて地に沈んでいくばかり。
|(●), 、(●)、| 「この区域の住人は反逆者だ!
収容所などもういらぬ! 資源の無駄だ!
老人もいらぬ! 国の未来に必要ない!」
|(●), 、(●)、| 「殺せ!」
興奮のあまり瞳孔を開いた領主がその手を振りかざし、控えていた警官たちも場の鎮圧にかかる。
──なにが反逆で、誰を殺せばよいのか?
誰一人としてそれを把握している者はいないのだろう。
国民を撲り倒し、流れ弾に貫かれながら、彼らの耳元では法が囁いている…。
『職務を放棄した公務員は、生命刑…つまりは死刑』
殺せ!
殺 せ!!
殺 せ!!
-
『殺せ !』
『殺 せ !!』
『 殺 せ!!』
/; ゚、。 / 「…なんのおと?」
狂気を運んでいる張本人、
ウォール高原の領主の声が地に吸われ聴こえてくるそこは、地下に建設されている収容所。
冷えているはずの壁床からじりじりと熱を感じ始める。
フィレンクトも、制服の一部である布兜ごしに、パラパラ降る小石や砂埃の重みを感じた。
表情は自然と歪み、天井のあちら側から目が離せない。
「私にも分からない……石が降る、その毛布を頭に被っておくんだ」
/ ;゚、。 / 「う、うん」
「……いったい何が起こっている?」
人間とは思えないほど悪意に満ちた頭上の声を、ダイオードはどう受け止めるだろうか。
フィレンクトは無意識に階段へと足を向ける。
/; ゚、。 / 「おかあさん! ねえ、おかあさんは??」
-
「レモナさん……そうだ! 避難活動はされているのか?!」
/; ゚、。 / 「えっ…」
「君はここで待っ……いや!」
フィレンクトは踵を返し、牢を開錠する。
二日ぶりに開かれる鉄柵。
その奥でいそいそと、薄汚れた毛布にくるまろうとするダイオードが慌てて顔を上げた。
「おいで。 私から離れないように。
レモナさんの所まで必ず送り届けよう」
/ ゚、。 / 「…うん」
もう分別のつく年頃だ。
地上に起こる騒動はともかく、フィレンクトの焦り…住民を守ろうとする優しさは感じとるのだろう。
その時──ひときわ大きな震動が収容所を揺さぶった。
他の牢ではまだ繋がれた罪人達が恐怖に叫び、
「俺達も出せ! クソガキ! おい殺すぞ!」
と、この期に及んでまだ恐喝じみた言葉を投げつけてくるが、フィレンクトの聴覚はそれを遮断する。
「上では何があるか分からないが…君はとにかくお母さんのところに行かなくては。
…怖いかい?」
問い掛けから間を置かず、
ダイオードは首を小さく横に振る。
/ ゚、。 / 「フィレンクトさんがいるならへーき」
……その口許は、笑っていた。
-
警官として特にここ数年、フィレンクトがやってきたのは誰かを罰する職務ばかりだった。
──罪を犯すほうが悪い。
──なぜ法を破るのか?
……どうして規律を破ってまで私達の目を逃れ、信用してくれないのか。
いつしか意識の谷底へと沈んでいった。
公務員試験に合格し、当初抱いていたはずの
"純粋に誰かを守り、平和に過ごせるよう助けたい" という想い……。
それがまだ自分の中に残っていて、打てばこうして鐘を響かせるのだ。
なにも恨まれ疎まれる仕事で生涯を終える必要はない。
自分にはまだ道が他にもある。
この国に拘らず、素直に生きる人生がある。
(‘_L’) 「さあ、行こう」
そう考えたフィレンクトの顔は晴れやかで、活力に充たされる。
今までの死んだような顔ではなくなった。
そして誇らしげな微笑みをダイオードに向けると、
──頭から瓦礫に潰された。
-
パラパラ……
パラ…パラ … パラ
/ ゚、。 / 「……」
( ω )
ダイオードの目の前に広がる無惨な天井瓦礫。
大量の土がザラザラと…
夕焼けに照らされた砂煙が、牢獄の空を彩った。
フィレンクトと入れ替わりその場に現れたのは、先日顔を合わせたばかりの青年──ブーンの姿。
/ ゚、。 / 「……」
ダイオードはその瞬間を見ることが出来なかった。
フィレンクトはどこにいったのだろうと、幼い瞳は瓦礫、空、ブーン、砂を順番に見つめる。
( ω )「……ぉ」
ブーンが唸り、その身に背負っていた毛布をうっとおしげに引っ張り捨てた。
それはあまりに巨大で厚みのある、ダイオードにとって見たことのない、生々しい鉄色の光沢を映し出す。
ずる
り、ず
るり、ビ
( ω ) チャッ。 /; ゚、。 /
-
彼女の頬に跳ねるは、血。
目の前に押し寄せられた毛布は一枚の絨毯のように牢獄を埋めつくし、
しかしところどころ羽をむしられ、むせかえる獣の臭いをダイオードの鼻腔に充満させた。
ブーンがそれに気付いたかは分からない。
…剣を立て、支えるように立ち上がる。
顔を上げるとはじめて辺りを見回した。
( ;; ω^)「……ダイオード?」
(;;; ω^)「いてて……。 じゃあここは、収容所かお?」
/; ゚、。 / 「……」
(;;; ω^)「?」
見開かれた瞼から覗く瞳孔が…
驚きによって小さな黒点となりながらも、ブーンからついて離れない。
正確には──その足元の瓦礫から。
-
ブーンは天を仰ぐ。 月のない空。
牢獄に開いた大穴から、相容れない熱と冷気が流れ込むのを感じた。
灰塵は見えどグリガンの気配はない。
翼を失いどこかへ去ったのだろうか。
深く息を吸って静かに吐く…。 すると背中にどっと汗をかいた。
手をあてながら、我ながら頑丈な身体と強運に感謝する。
運良くGCが発動していなければ、彼の胸を鉄の羽根が貫いていただろう。
(;;;^ω^)
つ◎ (そうなれば、後はやられ放題だったはずだお)
…肩から片翼を丸ごと分断して尚、
グリガンの攻撃は凄惨の一言に尽きるものだった。
思い出すに震える手で【ヒール】を発動する。
さらにその中のもう一つの救いは、完全にグリガンと密着していたことだった。
こちらの攻撃さえ届けばどんな強敵相手にもチャンスはあるのだから。
手の内にある使い古された両刃剣…
"デュランダル" を一瞥すると、ブーンはもう何度かの深呼吸を繰り返す。
永きに渡りブーンの愛用してきたこの不滅の刃は、不死すら屠ることが出来る。
ともすれば不死を屠るためだけに存在する剣。
-
…ドサリ。
その時、何かが倒れる音がした。
見やればダイオードが尻餅をつき、小さな歯と身体を小刻みに震わせている。
( ^ω^)つ「驚かせてごめんお…どこか怪我してないかお?」
/; ゚、。 / 「やだ」
(;^ω^)つ「?」
/; ゚、。 / 「……いやだ」
差しのべた腕は、所在無く宙に留まる。
ブーンには理由が計り知れない。
(( /; ゚、。 / 「こないで」
(;^ω^)つ「?? 僕を忘れたかお?
ほら、おかあさんから頼まれて、ぬいぐるみを持ってきた──」
(( /; ゚、。 / 「いやあ!」
(;^ω^)「……あぅ」
はたと気付き、"デュランダル" を鞘に納めたが、ダイオードの態度は一向に変わる様子を見せない。
仕方なくブーンはその場を後にする。
「もう少しここに隠れていてくれお、おかあさんを連れてくるお」
……そう伝えてから階段を登った。
大地を揺るがした衝撃によって壊れそうな扉に、荒く手をかけながら一度振り返る。
先ほど自分の居た場所で、四つん這いのまま項垂れているダイオードの後ろ姿が見えた。
まるでそこに何かがあったかのように。
-
…きっとこの予感は当たっている。
ぬいぐるみを下敷きにしてしまったのかもしれない。
だがそれを確認するより、街の被害が拡大する前に安全を確保したかった。
レモナとダイオードを会わせなければ。
多少なりとも恨まれるのは構わない。
それでもできる限りのことはしてやりたかった。
(^ω^;)「すぐ戻ってくるお!」
返事は聞かず、地上に出てまずは周囲を確認した。
…やはりグリガンの姿はない。
代わりに人々が倒れ、秋夜の空気と混ざりあう冷気の湯気が例外なく立ちのぼっているのを見た。
場に残留する微かな魔導力が、
かつて【カース】を受けたツンを治療した際に感じたものとあまりに似通っている。
( ^ω^)「…ドクにやらせちゃダメだお」
ブーンの捜しものは形を為した。
ツンを治すための手掛かり…
ドクがあの呪術師をまだ殺害していなければ、間に合うかもしれないのだ。
そのためドクよりも先に、呪術師を捕まえる必要がある。
──だが。
はやる気持ちを抑えつつ、ブーンはレモナの住む郊外へと走り出す。
遠いどこかでブーンの知らない、誰かの笑い声が聞こえた気がした。
----------
-
無情だなぁ……
-
(推奨BGM:Eclipse of Time)
http://www.youtube.com/watch?v=Avl3A--8xYU&sns=em
-
ダイオードの拒絶以降、ブーンの表情は曇り続けていた。
道行く道は軍兵が無秩序に侵攻したかのように荒れている。
郊外に向かう分には迷いはしない。 クレーター状に緩やかなこの街は、坂を上れば高原側に進むことになるからだ。
だが街の中心地から離れても、離れても…。
惨劇の跡と静寂が、わずか半日で街中に蔓延っていた。
走るブーンの視界、白い建物は古び、冷気を帯びる死体の数もまばらになっていく。
(;^ω^)「…【ウォータ】ではこんな冷気を発しないお」タッタッタッ
(;^ω^)「まるで氷の……でもそんな魔導力は聞いたことないお」タッタッタッ
ツンの症状を思い出す。
緩やかな石化…一切の動きを停止した身体…。
(;^ω^)「誰かいないかお?!」タッタッタッ
張り上げたその声も虚しく暗闇に消えた。
この辺りはまだたくさんの人が溢れ住んでいたわけではない。
うまく避難していてくれたなら善し……さもなければ──
時折《パキリ…》と冷たい音がする。
氷の柱だった名残が、死体の一部から剥がれ落ちる音であると知り、ブーンの胸はざわついた。
まもなくレモナの家に着く頃。
前方にはビロードの医院が、その背と輪郭を現し始めた。
…窓はことごとく割れ、壁に大穴を空けて。
速かったブーンの歩調が更に速度を上げる。
-
(;^ω^)「ビロード!」
(^ω^;三「…ビロード?! 居るかお!」
穴からそのまま中に入り込むと、ブーンの声が再び飛ぶ。
医院内には人影もなく、死体も見当たらない。
「……だれ、ですか?」
(;^ω^)「!! ビロード!!」
返事があった。
弱々しくはあるが、それは紛れもなくビロードの声だった。
ブーンは声のする方角……医院の正面口へと走る。
(;^ω^)「良かった、無事だったのかお」
「………」
彼は外にいた。
[po・oq]の看板が外れ、土にめり込んでいるその真横…。
安宿入り口の石畳に座り込むビロードは俯き、顔は夜の暗さに紛れてよく見えない。
「その声は…あの時の」
( ^ω^)「だお。 怪我がなくてなによりだお」
「なにより……ですか」
-
「私の隣のこれ…お店の看板ですよね?」
ビロードの手が優しげに置かれる。
数時間…いや数十分前には入り口の扉頭上に掲げられていたであろう看板。
ビロードが重い腰をあげると腕を伸ばし、看板の端から中央にかけてシワだらけの指を這わせる。
「私ね、途中からひょっとして…と思っていました。
お久し振りです、ブーンさん。
……ですよね?」
( ^ω^)「…!」
彼が立ち上がったことで、扉に描かれたウェルカムメッセージに深い影が差す。
目の見えないビロードは言葉を続けた。
「…ぽっぽちゃんが建てた宿、まだ営業できますか?
私の触れないところは、無事に形を残してくれていますか?」
「あっという間だったんです。
はじめは外が騒がしくなったな、と思う程度だったんです」
「でもそのあとすぐに地震が来て、私は夢中で医療用ベッドの下に潜り込みました」
その視線は当然定まらず、彼はずっとブーンに対して横を向いていた。
-
( ^ω^)「…大丈夫だお、少し修理すればすぐに…」
「街の人々は無事ですか? この国は、旅人がまた泊まりに来てくれますか?」
……ブーンは答えられなかった。
広い街ではあるが、この現状が街の反対側で起こらなかったという保障はどこにもない。
領主が何をしていたのかすら、ブーンには把握しきれていないのだから。
「……すみません。
これでは八つ当たりですね、ブーンさんに私がしていいことではない」
「流行り病にかかった時、ぽっぽちゃんは宿の扉に貴方へのメッセージを遺してから逝きました。
私たちはあの砂漠道で、ブーンさんとツンさんから、大人としてのお手本を見せてもらいました」
( ^ω^)「……」
「子供に優しくすること。
命令ではなく、一緒に行動すること。
…なによりも、あんな子供だった私たちの個人の意思を、とても尊重してくれていたのだと。
歳をとるたび、私たちは様々なことを振り返っては、貴方たちに感謝したんです」
ビロードは白衣の裾で目元を拭う。
洩れない嗚咽は、彼がここまで生きてきた我慢強さの表れか。
──なのに、その顔が見えない。
-
「おかえりなさい、ブーンさん
ここはウォール高原の貴方の家なんです。
僕たちの…もうひとつの家族のための」
ビロードは少しだけ笑っていた。
ブーンからは顔が見えなくとも、なんとなくそれが判った。
…ここにツンが居ないことを申し訳なく感じてしまう。
「一日だけしかおもてなし出来なくてごめんなさい。
もっともっと、貴方には柔らかなベッドで身体を休めて欲しかった」
「だからまた…この場所に来てください」
「その時に私はもう居ないけれど……証しを遺しておきます」
──ブーンの心臓が跳ねる。
続くビロードの言葉は、更にその激しさを増した。
-
「少しだけ触れた、貴方の指先はあの頃のままでした。
さっきも貴方が呼んでくれた声で、確信できたんです」
「普通ならそんなはず無いけれど……
きっと、ずっとずーっと長い間、貴方は生きているんですね? ──そして、これからも」
「だからまた来て欲しいんです。 私たち兄妹が住んだこのお家に。
……ブーンさんとツンさんが、旅をして、またここに来ればいつでも休めるように」
「それが、私たちから貴方への恩返しです」
-
最後まで、ビロードはこちらを向いていたはずだった。
……なのに最後まで
この時の彼の顔はブーンの記憶に残らなかった。
(推奨BGMおわり)
-
----------
ザァザァと降りしきる秋の大雨。
いつもなら風に吹かれて草木も囁く高原の自由さを、頭ごなし大地に押さえつけるかのように強く…。
大粒の滴を、これでもかと言わんばかりに放出している黒雲の仕業だ。
( ^ω^)
丘の上、見下ろす景色はここへ来た時とそう代わり映えしない。
ただ今は天候のせいで見通しが悪い。
白く高い壁がぐるりと囲むウォール高原の街は、丘にいてなお、中の様子を窺い知ることは難しかった。
二段構えの白い壁は内側から丘を展望できても、外側からは不可視となる。
戦時の際の外敵から街を守りやすい構造になっているのだろう。
………そんなウォール高原に存在した国は、皮肉にも内側から崩壊した。
-
( ^ω^)「なにが…原因だったんだお?」
ブーンからすれば、あっという間の出来事だった。
ドクとの邂逅…
思えばその時──ツンの居ない寂しさを抜きにしても──大きな喜びに浮き足立っていた気がしなくもない。
あの時点で予兆はあったのだ。
アサウルスを倒した不死者が『捜し物をしている』のだと…その言葉に、ブーンは自身の境遇を無条件に重ねてしまった。
もっと何かを感じても良かったのだ。
ドクに訊きたいことが、今になっていくつも頭に浮かぶ。
-
ビロードと別れた後、レモナとヘリカルは見つからなかった。
置き去られたダイオードは
収容所のあの場所で疲れ果てたのか、眠っていた。
目の下に、泣き晴らした跡を残して。
あの街に残っているのは一部の住人だけだった。
領主は消え、生き残り解放された警官隊が涙を流して救助活動を行っていた。
ダイオードを抱えて宿に戻った時も、ビロードの顔はやはりよく見えなかった。
( ^ω^)
( うω^)グイッ
( ^ω^)
『まってるから ⊿ )ξ
貴方がアタシを治す手段を見付けて──』
-
( ^ω^)「…もう少し待っててくれお」
フードの呪術師、そしてそれを狙うドク。
手掛かりは増えた。
どちらかを捜すことでも、ツンを治す第一歩となる。
大丈夫…まだ大丈夫なはずだ。
そう自分に言い聞かせ、ブーンはウォール高原を後にする。
雨でぬかるんだ草と土がブーツにしがみつく感触を、少しだけ疎んじた。
-
ビロードの親孝行は嬉しかった。
その気持ちに嘘はない。
だが、それを素直に受け取るためには
ツンが必要不可欠なのだとブーンは思う。
……ビロードの想いとは裏腹のエゴで。
土砂崩れに埋もれ命をおとした、
ニューのことが脳裏をよぎった。
そしてレモナの居ないあの街で、
ダイオードは大丈夫だろうかと悩んだ。
……知り及びもしない過ちに、ブーンは気付かないまま。
雨は人の言葉を通さない。
音を悪戯に拡散する。
止むまでは再現なく増殖し、見えるものも見えなくなる。
-
すれ違う。
親の心、子は知らず……。
間違い続ける。
──子の心、大人は知れず。
迷い続ける。
自分自身に抗いながら。
それでももし、いつか。
その "いつか" の為に、
人は希望を抱き、
なんとか生きているのかもしれない。
(了)
-
これで今回の投下を終わります
新年もよろしくお願いします
>>382の文字化けはツンの口です
(´・ω・`)ω・´): 傷痕留蟲アサウルス >>6
('A`) :東方不死 >>170
( ^ω^) :白い壁 黒い隔たり >>329
-
--------------------------------------------------
※千年の夢 年表※
--------------------------------------------------
-900年 ***********
→信仰の概念がうまれる
( ??)は偶像生命体として同時に生誕。
-400年 ***********
→結婚(結魂)制度のはじまり
-350年 ***********
【ふたごじま】→魔導力の蔓延
-312年 ***********
【銷魂流虫アサウルス】→前半
→ "隕鉄" が世界に初めて存在しはじめる
【東方不死】→山人の夢
→('A`) がアサウルスと相討ち
-220年 ***********
【銷魂流虫アサウルス】→後半
【傷痕留蟲アサウルス】
→騎兵槍と黒い槍が融合
→('A`) がアサウルスから解放
-210年 ***********
→大陸内戦争勃発。
【帰ってきてね】→前半
-200年 ***********
【帰ってきてね】→後半
【死して屍拾うもの】
→ "赤い森の惨劇"
-195年 ***********
→大陸内戦争終了。
【はじめてのデザート】
-190年 ***********
【その価値を決めるのは貴方】
-180年 ***********
【老女の願い】→復興活動スタート
-
-150年 ***********
【老女の願い】→荒れ地に集落が出来る
→川 ゚ -゚) が二代目( ´∀`)に指輪依頼
-140年 ***********
【老女の願い】→老女は間もなく死亡
→指輪の暴走。 川 ゚ -゚) が湖に封印。
-130年 ***********
【人形達のパレード】
【此処路にある】
→(´・ω・`)( ゚∀゚)川 ゚ -゚) の三人が集結
→二代目( ´∀`)死亡時期
→偽りの湖から( <●><●>)が引き揚げられる
-120年代 ***********
【命の矛盾】
【東方不死】
【白い壁 黒い隔たり】☆was added!
→ウォール高原の国法制度が崩壊 ☆was added!
-100年代 ***********
【繋がれた自由】
【遺されたもの】
【時の放浪者】
-40年代 ***********
【老女の願い】→集落→町になる
00年代 ***********
【老女の願い】→( ^ω^)が
官僚プギャー、炭鉱夫ギコに再会
-
乙
-
>>404の誤字を一部修正します
×→[po・oq]の看板が外れ、土にめり込んでいるその真横…。
○→[po・od]の看板が外れ、土にめり込んでいるその真横…。
小さなこだわりですが下が正しい表記です
それと今回から酉を共通にすべく変更しました
◆WE1HE0eSTs→◆3sLRFBYImM
となります
-
おひさしぶりおつ!
そしてがっつりやばいじゃないっすか・・・ビロードぉ・・・また会えてうれしいけどもう・・・
安定のドクオな
-
久々にきたな
グリガン止めるとかブーンつええ……
ビロードとかフィレンクトとかヘリカルとか……つーか色々書きたいんだがキャラの思惑みたいなのが入り乱れてて感想がまとまらん。なんだこれ
とにかく乙!面白いわ
-
おつ
-
命の矛盾じゃなくて矛盾の命じゃないか?
-
感想、投下中の支援、ありがとうございます
>>424
失礼しました、矛盾の命が正しい表記です
こちらで切り貼りしてるうちに書き間違えたようです
-
乙。
待ってたよ
-
待ってますぞーーー
-
お久し振りです。
投下分のお話は完成したのですが
レス数が多いのと、まとまった時間がないために投下はもうすこし先にさせていただきます。
前回から間が空いたということもあり、
せっかくなので支障のない範囲で設定集の一部を載せておきます。
ひとまずは主要のキャラクター紹介を兼ねて…
おさらいの代わりにでも、良ければ読んでいただけたら幸いです。
-
( ^ω^)
遥か昔からこの世界を旅する、最も善なる心を保ち続けて生きる不死者。
武器は剣(大剣)。
彼の行動原理は《助ける》ことと《ツン》。
土地を巡るのは人々を間近で見続けたいという想いから。
不死者のなかでも極めてスタミナがありタフだが、ステータス異常には人間と同じ程度にかかってしまうため、その欠点を補うべく得意とする魔法は【キュア】である。
ξ゚⊿゚)ξ
ブーンと同じく、遥か昔から世界を旅する不死者。
行動原理は《護り庇う》ことと《ブーン》。
戦闘では魔法を主に駆使するが腕力はブーンより強い。
(ただし彼の前でそれを振る舞うことは、ブーンのメンツを考慮しており多くはない)
武器の扱いが得意ではなく、ブーンと共に行動していても技を盗めない。
ステータス異常にひどく弱い…その理由は今後明らかになる。
-
('A`)
過去には東方にも住んでいた不死者。
武器はガンアクス(刀や峨嵋刺などの東方武器も使用可能)
傭兵名はポイズン。
痛みや死を恐れず、不死の特権を誰よりも行使している。
行動原理は《孤独》と《生死の狭間》。
彼の唄は教わったものであり、本人は認めないが気に入っている…が、唄そのものが不得意のため正確には盗めていない。
死によって訪れる記憶障害を気にする様子は窺えないものの、死そのものについては敏感であるため、いちいち原因を探ろうとしている節がある。
自身が毒を撒き散らす体質からか、ステータス異常には滅法強い。
川 ゚ -゚)
他の者と異なり、時代ごとに特定の住居や社会的立場を得ている不死者。
ショボンいわく『歴史に介入している』。
行動原理は《安定》と《信用》。
魔法の扱いに長け、資質も高い。その長所を活かした得意武器は錫杖(複数の魔導リング付属)。
たとえば同じアイテムをツンが使うとしても、クーのように同時多発的に魔法を発することは出来ない。
彼女はまだ多くの謎を残しており、それは今後解明されることとなる。
-
(´・ω・`)
ある時を境に生まれた新たな不死者。
魂のなかには死産したはずの(`・ω・´)が共に在るが、人格はあくまでショボンのみである。
行動原理は《好奇心》と《恐怖》。
得意武器は剣。刀による居合い技は独学だけでなく、当時( ´_ゝ`)の部屋にあった本から知識を得たものである。
(ツンにとっては『ツマラン』らしく、読むのをやめていた)
些か偏屈なところがあるが、根は優しく真面目。
各魔導力のもつ特有波動を感知するのが得意だが、普段は呪術(赤黒い)に的を絞っている。
_
( ゚∀゚)&( <●><●>)
赤い森の民が作る民族人形に魂を宿した人工的な不死者。
元は二重人格のようなもので、
その想いの強さからかつてはワカッテマスが前面に出ていることがほとんどだったが、
最終的にはジョルジュが主人格となる。
行動原理は《受け継ぐ》こと。
どちらも呪術を使用できるが、人格によって得意な魔法が異なっている。
体術は赤い森の男子皆が一族から物心付く前から教わるもの。
まだ幼かったジョルジュが青年になってここまで昇華できたのは、ひとえに想いの強さに他ならない。
-
ミ,,゚Д゚彡
孤児であるため親の顔も知らない、世界でも珍しい金色の髪の持ち主。不死者ではない普通の人間。
行動原理は《他人のため》。
得意武器は本来槍に限らないが、ミルナが置いていった騎兵槍のみを望んで使用している。
ミルナに似てポーカーフェイスなところがあるが、寂しがりで人と接している方が好き。
普段はナナシ(名無し)と名乗り、傭兵名はフサギコ(塞ぎ児)。
故郷でも陰口として後者が呼ばれていた。
(*゚ー゚)のことは幼少の淡い恋として心に秘めていたが、
それを表さないままに現時点で唯一、生身で時代を越えてしまった。
( ´∀`)
大陸に代々工房を構える細工職人。人間。
基本的に一族皆、同じ顔をしている。
行動原理は《探求》と《徹底》。
四代目はクーの目の前で呪術であるはずの【ドレイン】を使用しているが、なぜ習得しているのかは現時点では不明。
得意武器はナイフ。
彼ら一族は自力で魔法を使えないが、自身で製造したアイテムを媒体に魔導力を駆使することができる。
食べ物に頓着していないため、クーの料理は褒めつつもあまり嬉しいとは感じていなかった。
-
从 ゚∀从
クーやブーン達と昔から面識のあったらしき女性。
大陸などとは全く異なる空間にいるらしいが、詳細は不明。
ブーン達をその空間から逃がすことはできても、自身は脱け出せないようだった。
彼女と意図的に出逢った者は今のところいない。
グリガン
不死ではないが恐ろしく長寿の、世界でも唯一種の巨大モンスター。
地方によっては伝説上の生き物として崇められ、山頂から山頂へと飛び移る姿がときどき目撃されている。
対峙した人間はことごとく殺されてしまうが、現時点で( ^ω^)と('A`)には引き分けている。
得意技は重力を引き込みつつ、体躯を活かした必殺の【ダウンバースト】。
アサウルス
黄色の瞳と二つの太陽をその身に所持する超巨大生物。
一個体ではないため複数存在する。
三日月島付近では行動不能となって石化したアサウルスが海に佇み、東方のアサウルスは退治された以上の明記はされていない。
天から降ってくる者ともいわれ、不死者の活躍がなければ間違いなく滅亡の大天災に数えられる存在。
ハインいわく『生きる概念と生きたい願望がアサウルスを産む』。
硬質の外殻は並みの攻撃では歯が立たず、たとえ通用しても
人間とは身体的スケールの差によって微々たるダメージしか与えられない。
しかしその外殻は後に"隕鉄"として、世界に新しい素材をもたらした。
特性は《感染》と《概念や願望の増幅》。
口や身体中から噴き出す灰は独自の生命体となり、個別に動き出す。
(通称:蟻)
この蟻に咬まれると感染し、人間はそのまま蟻と同じ生命体となってしまう。
なお、不死者が蟻に感染した歴史は見られない。
-
ひとまずここで区切ります
作品本編の投下の際は、またよろしくお願いします
-
うわーひさしぶりじゃないか!
まってるぞ!
-
まってたんだからな��
-
これは楽しみ
-
『やった、ついに倒れたぞ!』
――そこには宙があった。
『皆は無事か?!』
果てはない。
…あるのはただ、彼方まで見渡す限り一面の闇。
それに抗うように点々と灯る小さな小さな光りだった。
『まだ近寄ってはならぬ!
第一衛兵長、騎兵隊長らで囲め!
あれだけのことをしでかしたのだ、万が一を考え――』
感触を確かめるべく手を伸ばすことは叶わない。
寒くもなく、暑くもない……そんな意識すらどこか遠い。
思考と乖離した、どこか身近な心の臓。
ドクドクと穴を開けて冷たいなにかを垂れ流している…そんな気がした。
『女王様! 女王様は無事かぁ!』
-
( …なにが女王だ )
あるかどうかもわからぬ胸中に独りごちる。
舌打ちができない。
…比喩ではなく。
その身体は中心部に大穴を開けられたのだから。
( 、 トソン 『女王はご無事です。
貴殿方はこの不届き者の処置を…それを民衆も、女王も望んでおります』
『トソン殿、かたじけない…我々がもっと早く――』
( 、 トソン 『侍女たる我らに遠慮や配慮は無用。
さぁ、準備をしましょう、都の人々に伝えるのです……』
( 、 トソン 『賢者様殺害、その一連の犯人が死んだことを』
( …そうだったね )
呪術師が招いた、脆く短きディストピアの崩壊を告げる侍女の声。
目視できぬ表情…しかしその声色から、俗物らしく
《してやったり!》
とでも言い含んでいることだろう。
( はぁ、くだらない )
――思い、"彼" の意識はそこで呑まれる。
-
"生まれて" はじめて。
若き不死は、今から長い夢に入る。
その死体の傍らで、粉砕した幾ばくかのオーブの欠片を散らかしたまま。
-
( ^ω^)千年の夢のようです
- 夢うつつのかがみ -
-
从 ー∀从 (・ω・` )
気がつけばそこに在た。
…辺りの風景は先ほど感じていたものと変わりはない。
―― 闇。
かつては星のように形を遺していたのだろうか…。
黒に残留する白い粒子に囲まれたショボンの前には、
いつか見た、跳ねっ返りの髪を垂らす女性が立っている。
从 ー∀从 ″
从 ゚∀从 「……おっ」
从 ゚∀从 「おいでなすったか」
乱暴に後頭部をかきながら、
「お前が来るのは珍しい」と囁いた。
(´・ω・`) 「…ハイン、リッヒ?」
从; ゚∀从 「……あれっ?」
-
彼女は辺りを見回す。
地面も空も存在しない、頼りなき黒の空間にはショボンと二人だけだ。
从 ゚∀从 「なんで憶えてんだ??」
(´・ω・`) 「? …僕はそんなに記憶力に問題のあるタイプじゃないと思うけどね」
从 ゚∀从 「いや、そういうつもりじゃあないんだが……」
(´・ω・`) 「…常人からすれば随分と長い年月ではあるかもね。
あれは大陸戦争よりも前…ふたごじまのアサウルスを倒した後だったか」
こんなことを話すには意味がある。
ショボンは当たり前を口にするのがむしろ嫌いだった。
差し障りのない返答で間を繋ぎながら、ショボンはハインを観察する。
それは警戒心ではなく、目の前の彼女が表す戸惑いを受けてのものだ。
从∀゚ 从
ハインはやはり何かを否定するよう、ほんの少しだけ…かぶりを振った。
从 ゚∀从 「まあいいや。
せっかく来たんだ、ゆっくりしていけよ」
(´・ω・`) 「…そうだね」
答えながら――
ショボンの頭の中では一瞬だけ《パチリ》と音がした…気がした。
ゆっくりする……、休息をとる…?
(´・ω・`)
たしかになにもすることはない。
ここではなにもする必要がない…。
-
(´・ω・`)
思考に蓋をされている気分だった。
違和感。
なにかがおかしい。
(´・ω・`)
だが、その何かは思い出せない。
(´・ω・`)
なぜ、思い出せないのかも思い出せない……。
-
从 ゚∀从 「しばらくは俺と話でもするか?
いまなら俺も落ち着いて話していられる」
从 ゚∀从 「それとも一人、想い出にでも浸るか?
お前が望めば、いつもより多くの出来事を視ることも可能だろうな」
(´・ω・`)
(´-ω・`) 「そうだね、そうしよう」
ハインの提案に乗るようにショボンはわざとらしくニヒルに笑い、
その心では "思い出すという作業を棄てる" ことにした。
分からないことは仕方がない。
ならばそれはそれとして、確認できることがあるはずだ。
極めて単純な質疑であっても。
(´・ω・`) 「ここは、一体なんなんだ?
どうして君はここにいる?」
-
从 -∀从
从 ゚∀从 「ここは…俺にも正直わからねえんだよなあ」
先程とは異なり、間はあれど、淀みのない口調でハインは答えはじめる。
(´・ω・`) 「自分がいる場所もわからないのかい?」
从 ゚∀从 「自らすすんで来た場所ではあるが、望んで来た場所じゃあないんでね」
ハインはお手上げ…というように、両手を軽くあげておどけてみせた。
若干の嫌味を混ぜこんだつもりのショボンの言葉にも、彼女は動じない。
言葉遊び的な回答の真意は解らないが、特に深入りするつもりはショボンにもなかった。
どうでもいいのだ。 自分が作り出す目的以外は。
彼はいつも永い間、そうやって生きてきたつもりだ。
从 ゚∀从 「だが本来、ここはお前ら "不死者が死んだ" ときに来る場所だ」
从 ゚∀从 「イコール、お前は死んだからここにいる」
(´・ω・`) 「だから、死んだらなぜ僕らはここに来るのさ」
从 ゚∀从
――今度こそ。
ハインはその動きをはっきりと止める。
从 ゚∀从 「……この空間でその質問をしたのは、お前がはじめてだ」
どことなく…笑っている気がする。
まるで来る時がきたかのような、
待ちわびた者の笑み。
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(゚、゚トソン 「申し訳ありません、クー様。
此度は宮殿内にまで賊の侵入を許し、あまつさえ緊急用ドックの避難扉まで……」
川 ゚ -゚) 「いや、構わない。
私もちょうどそちらを壊してでも侵入するところだったからな」
('、`*;川 「面目も御座いません…、備えてあった【クーチラス】すら破壊され――」
川 ゚ -゚) 「お前も気にするな。
もはや年代遅れの自動戦車ごとき、また造ればいい」
水の都…
延々続くかのようなメインストリートを真っ直ぐ進むその奥に佇む、碧白き宮殿。
その内部。
川 ゚ -゚) 「死傷者は?」
('、`*;川 「はい!
衛兵からの報告では怪我人こそ多数出てしまいましたが、命に別状ある者はいなかったようです」
川 ゚ -゚) 「ここに運べ。 私が治療しよう」
【シールド】を施す紋章が刻まれた大扉
――横一文字に斬りつけられ、大破している――
の向こう側…。
両指を前に握りしめ、背筋を伸ばした女性が三人。
-
ドーム型をした天井は、骨を支えるため放射線状に壁中で柱を組む。
180°視界の開けたこの大広間は普段は開放されており、一般人も自由に出入りができた。
都中と同じく白を基調とし、
薄碧のレリーフが彫られた壁面は眼に優しく、
しかし滞在する人々の姿を浮き上がらせる。
衛兵と侍女が許す限りは、女王との謁見も比較的寛容だ。
…しかし、いまここには彼女たちしか居ない。
まるでその身分を示すように、
クーと呼ばれた女性だけが玉座を背に、他二人へと向き合っていた。
川 ゚ -゚) ( …あれだけ暴れて、誰一人として死なせず突破したか )
クー。
不死者であり、現在は水の都の女王。
川 ゚ -゚) 「都の中でその他の被害を確認しているなら報告してくれ。
些細なことでも構わない」
――同時に。
彼女が大陸戦争を引き起こした一国の主であったことは、都の誰も知る由はない。
-
(゚、゚トソン 「建築物、及び潜水艦などへの被害は微小。
数週間もあれば修復は可能との報告が上がってきています」
('、`*;川 「確認中のものとして、重要文化財にあたる物品の窃盗や破壊はいまのところ見られていません」
(゚、゚トソ 「以前、フォックス様より住民に配布されたオーブも、持ち運びされた様子はないと……」
川 ゚ -゚)
侍女らのいうオーブとは、
ワカッテマスの創り出した泥人形フォックスからの監視アイテム【ホークアイ】の亜種。
川 ゚ -゚) 「オーブとは?」
('、`*;川 「あっ! 失礼しました。
オーブについては女王不在時の処置として、賢者様から安全確保の名目により配布されておりまして――」
あえてクーは素知らぬ演技をした。
それはショボンからの願い事でもある。
-
(´・ω・`) 『君が都を大切にしたいなら、時には騙し合いもしなくちゃならないと思うよ』
(´・ω・`) 『騙される民ならとことん騙してやればいい。
君が感情に正直でいることと、他者がそれに従順でいることはイコールにはならないはずだ』
クーにとっては、いらぬ苦労をかけられている気がしてならないが仕方ない。
わざわざ単独での暴動を引き受け、あまつさえ
《内側からしか開けることの叶わない避難口まで侍女を誘導することにより、
唯一その道を知っていてもおかしくない女王と外側から合流させる》
という、遠回しな作戦を成し遂げた、
同じ不死の若造に払う敬意くらいは示さねばならない。
川 ゚ -゚) ( …ブーンやツンとはまるで逆なんだな )
侍女ペニサスの報告は続いているものの、その言葉はクーの耳に届かない。
その脳裏では、
自分以外の者が一時でも一つの国を統治、掌握したかもしれない未来が描かれていた。
摂理からすればそれもまた致し方ない。
本来ならば人の世において不死の存在がイレギュラー。
だが統治者が変わるときは、国も大きく形を変えなければならない。
更に言うならば、クーは自身を決してイレギュラーだとは考えていない。
産まれてきたのだから意味をもつのだ。
彼女もまた世界を構成する部品…卑下する要素など、何一つ在りはしない。
川 ゚ -゚) 「そうか…では、そちらにも私が処置を新たに施そう。
あとですべてのオーブを持ってきてくれ」
('、`*;川 「す、すべて…ですか?!」
川 ゚ -゚) 「すべてだ。
人も、オーブも、一つ残らず必ず頼むぞ」
…不死者は果たしてどこから来るものなのか。
ショボンよりも古い存在の彼女の記憶からは、失くなっている。
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从 ゚∀从 「―― こんな感じだ」
(´・ω・`) 「なかなか面白いものがあるね」
二人は顎を――ハインはショボンに比べるとより高く――上げ、
正面に浮かび陣取る空間へと目を向けていた。
彼ら以外に唯一、闇に浮かぶそれは薄紫のモヤに潜む円長形をしている。
ハインはそれを[かがみ]と呼んだ。
从 ゚∀从 「確証はないが、恐らくいまは現実の時間にリンクしてると思う」
(´・ω・`) 「…とは?」
从 ゚∀从 「仕組みは知らねえから答えられないぞ。
それと、俺単独ではクーの景色しか視れない」
(´・ω・`) 「僕にも視れるのかい?」
从 ゚∀从 「やってみな」
ハインの言葉のすぐあと、ショボンが[かがみ]に向かって一歩踏み出す。
視界一面は[かがみ]に埋め尽くされ、
替わりに下がったハインのことを思い出す前に、空間は歪み始める…。
从 ゚∀从 「…お前自身のことについてなら、過去が視れるだろう。
念じてみろ」
从 ゚∀从 「ただし強すぎる願いはやめとけ。
これはあくまで思い出を映
す
だ
け
の
[かがみ]
だ
か
ら
な」
-
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風景が、
歪む。
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