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( ^ω^)百物語のようです2014( ω )
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( ^ω^)おいすー。今年も百物語の季節がやってきたおね。
( ^ω^)ここは百物語専用スレだお。開催日まではルール確認や質問等、自由に使って欲しいお。
・開催日は八月八日(金)から八月十七日(日)まで
※ただし投下できるのは八日〜十日と十五日〜十七日の金土日のみ。投下期間以外の本スレは作品の感想などご自由に使用してください
・作品はホラーでなくても幽霊、妖怪、人外などが出るならギャグでもなんでも可。
・レス制限は一作品30レスまで。それ以上は個別スレ建てをお願いします。
・ながらはNG。個別スレを建ててそこでやるのは可。もちろんVIPに建てるのもOK。
※個別スレ参加の場合
レス制限無し。
スレ立て
↓
百物語スレにて投下開始報告、URLを貼る
↓
投下終了後、百物語スレにて投下終了報告(その際、前の人の数字を引き継いで話数宣言)
・1人何話でも投下可!
※連続投下→次に投下する人がいないか確認を取り、無ければOK
※作品の投下間隔についてはルールはありませんが少し間を開けることを推奨します
・イラストでの参加も可!一話としてカウントします。
※ただし作品への支援絵は作品としてカウントしない
・開催時間は18時から翌朝7時まで
・話が終わったら本スレ(自分でスレを立てた人はそのスレでも可)で蝋燭のAAを貼る
過去の百物語のまとめ
( ^ω^) ブーン系図書館主催・百物語のようです ( ω )
http://iroirotunpeni.blog11.fc2.com/blog-entry-521.html
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω )
http://boonbunmaru.web.fc2.com/collaboration/dreadful_story/dreadful_story.htm
( ^ω^)百物語のようです2013( ω )
http://mzkzboon.blog.fc2.com/blog-entry-755.html
( ω )なお、こちらは何があっても責任は負いませんので、自己責任での投下、閲覧をお願いいたしますお
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(´<_` )「…兄者のやつ今日は平気かなあ」テクテク
(´<_` )「ビビりのくせに調子に乗ると予想を越えてどっか行くんだよなあ」テクテク
( ,'3 ) 「ぐははっ! まちなコゾウ!」バッ
Σ(´<_`;)「うおっ ーー なんだおま、
ほ…包丁?!」
( ,'3 ) 「ちょうど良かった、有り金置いてけ。 痛い目みたくなかったらな!」
(((´<_`;)「…包丁で痛い目で許されるなら安いものだな……」
( #,'3 ) 「バッキャロー!死にてえのか!」
≡≡ξ∪#゚皿゚)ξ「ガルルーーーッ!」ドバーッ
( //3/:: ) 「ぐあぁぁ?!?!」ズバーッ
(´<_`;)「ーー お前は…!」
ξ∪#゚皿゚)ξ「ガウッガウッ!!」ズベリグシャズビュゴリッ
(´<_`;)「……ぅぉぉ……グロ…」
ーー 犬はどうやら俺を守ってくれたらしい。
滅多にない通り魔との遭遇にも驚いたが、
同時にこの犬が普通の犬ではない事も知った。
.
-
(´<_` )「……」
ξ∪’゚⊿゚)ξ「くぅん」ショボン
(´<_` )「……」
( ( ξ∪゚⊿゚)ξ トボトボ
(´<_` )「…まてよ」
ξ∪゚⊿゚)ξ
(´<_` )「ありがとう、助かったよ」
ξ∪゚⊿゚)ξ
o⊂(´<_` )「…いつものやつ、
ここに置いておくから後で食べてな」
ξ∪゚⊿゚)ξ
_` ))) テクテク
ξ∪゚⊿゚)ξ
ξ∪゚⊿゚)ξ
ξ∪*゚∀゚)ξ「アオーン」フリフリ
.
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(∪^ω^)ベロベロ
(∪^ω^)ベロベロベロベロ
(∪^ω^)ベロベロ ーー ズリュ
(∪ ゚ω ゚)バキッ グリュグリュ ベロベロ
(∪ ゚ω ゚)ハッハッハッ…
(∪*゚ω ゚)「わんわんおーん!」
.
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(´<_`白)プルル…プルル…
(´<_`白)「…仕事中か?」プルル…ピッ
(´<_` )「……」
(´<_` )「…」カタカタ
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【送り犬】
出典: 百科事典
送り犬は日本の妖怪の一種で、夜の山道を背後からついてくると言われている。場合によっては食い殺されるが ...
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(´<_` )「……兄者の言ってたのはこれか」
(´<_` )「…まだ続きがあるな」カチッ
.
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場合によっては食い殺されるが ーー
ーー 正しい対処をすれば逆に身を守ってくれるという。
もし何かの拍子で転んでしまうとたちまち 食い殺されてしまうが、
転んでも座ったように見せかけたり、
少し休憩をとる振りをすれば襲いかかってこない。
ここまでは各地とも共通だが、
犬が体当たりをして突き倒そうとする等、
地域によって犬の行動には違いがある。
また、送り犬と迎え犬にも分類され、
人を襲うのは送り犬。
人を守るのは迎え犬とも言われる。
好意を装いつつも害心を抱く者や、
女性の後をつけ狙う男のことを
「送り狼」と呼ぶのは、
この送り狼の妖怪伝承が由来である。
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.
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(´<_` )「……」
(´<_` )チラッ
白⊂ 「…」
(´<_` )「……」
+(´<_` )「流石だわ、俺」
.
-
三本目
(
)
i フッ
|_|
( ´_ゝ`)送りぬ、迎えぬ(´<_` )
のようです
(了)
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ありがとうございました
次のかたどうぞ
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乙
正統派な妖怪話でいい感じだな
-
乙!
ほのぼのさせられた
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|┃三 ガラッ
|┃ ____
|┃/⌒ ⌒\
|┃(●) (●) \
――‐.|┃:⌒(__人__)⌒:::::\ 百物語と聞いて来たお
|┃ |r┬-| |⌒) 支援だお
|┃ `ー'ォ //
(⌒ヽ・ ・ ̄ /
|┃ノ /
|┃ つ <
|┃ (::)(::) ヽ
|┃/ > )
|┃ (__)
|┃
|┃ ____
|┃/⌒ ⌒\
|┃ (―) (―)\
――‐.|┃:⌒(__人__)⌒:::::\
|┃ |
|┃ /
|┃ヽ・ ・ ̄ /
|┃ \ ,.:∴~・:,゜・~・:,゜・ ,
|┃ヽ_)つ‘∴・゜゜・・∴~・:,゜・・∴
|┃ (::)(::) ヽ ・゜゜・∴~゜
|┃/ > ) ゜゜・∴:,゜・~
|┃ (__) :,゜・~:,゜・゜゜・~.
(
)
i ジュッ
|_|
-
あ、、、あにじゃー!
-
4本目、投下させて頂きます。
.,、
(i,)
|_|
-
俺は鬱田ドクオ、絶賛夏休み中の大学四年生。大学生活はいじめられはしないものの、ボッチ生活をしている俺に遊ぶ友達などいる訳もなく、夏休みは1人でゲーム三昧の生活をおくっている。就活?そんなもんは知らん。
カチャカチャ
('A`)「…あー、くそっ、ラスボス倒せねぇ」*
こんな非生産的な生活だが、イジメを受けていた中学生の時に比べれば幸せだ。
('A`)「…本当、アイツ死なねぇかな」ボソッ
ラスボスキャラの憎たらしい笑顔が、中学の時のいじめっ子を彷彿させる
('A`)「俄然このラスボス倒したくなってきたな」
ゲームのキャラに重ねて復讐するなんて、俺は何て惨めなんだろうか
まぁ、でも現実でいじめられっ子が復讐劇を繰り広げるなんて話は無理な話な訳で…
-
カチャカチャ
(;*'A`)「……よぉしゃあああ!倒したぁああ!」
あれから2時間かけてやっといじめっ子に似たラスボスを倒すことができた、あぁ、すっきりした!
(*'A`)「ははは、ざまぁみやがれ!内藤め、現実世界でもくたばっちまえ!」
( ^ω^)「お前、相変わらず根暗だおねぇ」
(*'A`)「うっせー!ゲームくらい復讐させ……!?」
俺には自分の部屋に呼ぶような友達は居ない、つまり、俺はこの部屋に1人だ。だから背後から声がするなんてそんなことは無いわけで、しかもそれが中学の時のいじめっ子の声にそっくりだなんてただの気のせいで、振り返れば誰も居ないってオチに決まって…
('A`;)クルッ
( ^ω^)「お望み通り、現実世界でもくたばったお」
ニヤリ、と笑ったその憎たらしい顔はどんなことがあっても忘れられない、いじめっ子、内藤の顔だった。
-
('A`)ささやかな復讐を、のようです ( ^ω^)
.
-
(;'A`)「ななななんでお前、俺の部屋に!?どっから入った!?」
( ^ω^)「お前のお望み通りくたばったからだお、つまり、僕は幽霊だから壁なんか通り抜けちゃうんだお」
内藤がくたばった?幽霊?訳がわかんねぇ…でも、こいつは現在おれの目の前に居るし…
(;'A`)「お、お前が幽霊だとしても何で俺の部屋に来たんだよ…!」
( ^ω^)「おっおっ、中学の時みたいにドクオにパシリになって貰おうと思って来たんだお」
(#'A`)「ふざけんじゃねぇ!お前の言うことなんて聞くわけねぇだろ!」
( ^ω^)「…そんなこと言っていいのかお?僕はもう死んじゃったから法律とかに縛られないんだお?だから、ドクオを殺しちゃってもなんら問題ないんだお?」
ぞわり、と身体中に鳥肌が立った
こいつ本気だ…
5
(;'A`)「ちくしょうが…くたばっても変わんねぇのかよ、テメェはよ…」
( ^ω^)「おっおっおっ、ドクオも相変わらず口の悪さは治ってないみたいだおね。高校からは別々になっちゃったから性格変わっちゃったか心配だったけど、良かったおー」
全く良くない、俺はコイツのせいで性格がひん曲がったと言っても過言ではないのだから
( ^ω^)「で、パシリになってくれるおね?ドクオ」
('A`)「人を殺せとかは無理だぞ…」
( ^ω^)「そんなことパシリに頼まないお、なぁーに、ドクオでも出来る簡単な事だお」
取り敢えずは安心した、コイツなら人を殺せとか普通に言いそうだから
('A`)「じゃあ、なんだよ」
( ^ω^)「ちょっと伝言を頼みたいんだお」
('A`)「伝言?自分で伝えりゃいいじゃねーかよ」
( ^ω^)「無理だったんだお」
('A`)「無理って、どういうことだよ」
( ^ω^)「僕のことが見えるの、ドクオだけだったんだお」
…神様、どうして俺なんですか
-
( ^ω^)「だから、伝言よろしくだお。その未練さえ無くなれば僕はさっさと天国に行くお」
('A`)「お前みたいなのは地獄行きだろうよ」
( ^ω^)「まぁ、天国でも地獄でも構わないお。行くべきとこに行くお、だからパシリになってくれお」
コイツが地獄に行くのは確定だ、それに取り憑かれたり、ましてや呪い殺されるなんてまっぴらごめんだ。
それならさっさとパシリになって、地獄へ行かせてやるのが良いだろう
('A`)「分かったよ、パシリになってやるよ」
( *^ω^)「ありがとうだお、ドクオ。お前ならなってくれるって信じてたお」
('A`)「嬉しくねぇ。…それで伝言って誰に何を伝えりゃいいんだ?」
( ^ω^)「ツンに伝言を伝えて欲しいんだお」
(;'A`)「…え?ツンって、津出のことか?中学の時同じクラスだった…」
( ^ω^)「そうだお、覚えてたかお」
('A`)「当たり前だろ、同じいじめられっ子仲間だったからな」
-
そう、津出は俺と同じくいじめられっ子だった。違ったのはアイツは美人過ぎて、女子達から嫉妬でいじめられていたと言うことだ。俺は気持ち悪くていじめられていたから正反対な理由だ。
('A`)「しかし何でまた、津出に伝言なんか…」
( ^ω^)「僕たち付き合ってたんだお」
('A`)「へー、そうなのか」
まぁ、津出なら彼氏いてもおかしくないよなー
(;'A`)「…ん?」
( ^ω^)「あ、もう死んじゃったから過去形だおね」
(;゚A゚)「ちょっとまて、付き、付き合ってたあぁああ!?ええええ!?お前とあの津出が!?いつから!?」
( ^ω^)「高校から付き合ったんだお」
(;'A`)「信じられねぇ…あんな人形みたいな可愛い奴がお前なんかと付き合うなんて…」
( ^ω^)「そんなことはどうだって良いんだお、ドクオは伝言伝えることだけ考えろお」
どうでも良くねぇ…ふざけんなよ、神様。なんでこんないじめっ子の内藤がリア充やって、俺は彼女いない歴=年齢なんだよ…
-
(#'A`)「くそが…」
( ^ω^)「ほら、今から伝言内容言うからメモれお」
コイツのパシリなんて本当はやりたかねぇが、恋人に先立たれた津出は可哀想だ。ちゃんと伝言伝えてやるか…
('A`)「わぁったよ、ほら、ペンと紙用意したからさっさと始めろ」
( ^ω^)「えー、ゴホン。ツン、僕は君に前々から言わなきゃいけないことがあったんだお。そのことを今から伝えるお」
('A`)φ「どーせ愛してるよとかだろ、くっせーなー」カキカキ
( ^ω^)「僕、君のこと本当は全く好きじゃなかったんだお」
('A`)φ「ほら、思ったとおり…」カキカキ
…あ?
-
( ^ω^)「ただ顔がまぁまぁそこらの女子より良かったし、君はクラスの男子からも人気があったからステータスになると思って付き合っただけなんだお」
(;'A`)「おい、内藤、ちょっと待て」
( ^ω^)「だから、生前に君が言ってた『ブーンが先に死んじゃったとしたら私は他の人とは付き合わないし、勿論結婚もしないよ』とか本当うんざりしてたんだお、はっきりいって気色悪かったお」
('A`)「…」
( ^ω^)「はた迷惑と言うか、正直重かったんだお、こっちはただのステータスで付き合ったお遊びだったのに。だからさっさと僕のことなんか忘れて欲しいお、気持ち悪い、んじゃ、永遠にさよならだお」
( ^ω^)「…と、言うことを伝えて欲しいだお」
(#゚A゚)「んなこと言えるか、クソが!!!」
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( ^ω^)「おっ?なんでだお」
(#;'A`)「おまっ、お前、本当人間のクズだな!津出みたいな純情な奴を弄びやがって…!」
( ^ω^)「じゃあお前にやるお、僕には重すぎるんだお、あの女」
神様はどうしてこんな人間を今まで生かしていたのか、もっと早くに殺すことは出来なかったのか!?
(;'A`)「っていうか、こんなこと伝えられる分けないだろ!津出が受けるショックを考えろよ!」
( ^ω^)「そんなこと、僕には関係ないお」
('A`)「クズもそこまで行くと悪魔だな…」
( *^ω^)「おっおっおっ、褒め言葉にしか聞こえないお」
(;'A`)「…とにかく、ダメだ。この伝言は伝えられない」
( ^ω^)「チッ、使えないやつだおー。こんなことも言えないとか、ゴミクズ以下だお」
('A`)「テメェには言われたくねぇよ」
( ^ω^)「…伝えられないなら仕方ないお、他のことで名誉挽回しろお」
(;'A`)「名誉挽回ってなんだよ、それ。訳わかんねー奴だな…」
( ^ω^)「次のは本当に簡単だお、誰も傷つけないし」
('A`)「…本当だろうな」
( ^ω^)「本当だお。むしろドクオが何とかしてくれないと、ツンが傷付くことになるんだお」
('A`)「なんだよ、それ。どういうことだよ」
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( ^ω^)「僕の部屋に、ツンに渡すはずだった物が置いてあるからそれを捨てて欲しいんだお。親に見つかって、代わりに渡されちゃたまんないんだお」
('A`)「渡すはずだった物ってなんだよ」
( ^ω^)「別れ話の時に渡そうと思ってた奴で、今までツンから貰った物が入ってるんだお。突き返そうと思ってたんだお」
(;'A`)「信じられねぇクズだな…」
( ^ω^)「で、捨ててくれるかお?」
('A`)「お前のためじゃなくて津出のためにな」
( *^ω^)「ありがとうだお、じゃあ早速行こうお」
(;'A`)「は?早速って、もう夜だぞ。明日でいいだろ」
( ^ω^)「今ちょうど葬式やってるんだお、だからまだ僕の部屋はいじられて無いお」
(*'A`)「まじかよ、お前の葬式が見れるなんて滑稽だな!よし、いこう」
( ^ω^)「おっおっおっ、その口の悪さだけはいつまでたっても治らなそうだおね」
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一応葬式に行くのでスーツに着替え、捨てなきゃいけない物の量や大きさが分からないから車で行くことにした。
('A`)「よーし、飛ばすぞ」ガチャ
( ^ω^)「ドクオが車持ってたなんて意外だお」
('A`)「誰ともあそばねぇでバイトばっかしてたからな。車買うとかしか使い道なかった」
( ^ω^)「寂しい奴だおね、友達の一人や二人も作れないなんて」
('A`)「うっせーな」
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('A`)「それにしても風が気持ちいいな、やっぱりドライブ最高だわ」
( ^ω^)「…ドクオ、安全運転に気をつけるんだお」
('A`)「あぁ?んなこと言われなくたって分かってるわ」
( *^ω^)「おっおっおっ、ならよかったお」
いつもニヤケ顔の内藤が、一瞬だけ真面目な顔した
('A`)「……なぁ、お前の死因って、もしかして」
( ^ω^)「あ、ほら、ドクオ、着いたお!車だと早いおねぇ」
('A`)「…まぁ、いいや。本当に葬式やってんな」
( ^ω^)「当たり前だお、車は裏の駐車場に置いて早く行くお」
('A`)「おう」
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俺は同情なんかしない。内藤がどんな死に方をして死んだかとか、この若さで全て失ってしまったかなんてどうでもいい。
こんなクズな男、今まで生きてたのが罪だったのだから。
ただ今は自分が呪い殺されるのを回避するためと、可哀想な津出のためにパシリになっているだけなのだ
だから、内藤の葬式をみて少しなんとも言えない気分になったのは、そういうことなのだ。
( ^ω^)「あそこで挨拶してるのが母さんだお、事情を話して僕の部屋に入ってくれお。僕は先に部屋に入ってるお」
('A`)「分かった」
内藤の母親は遠くから見るだけでも、生気が抜けているのがわかった。そりゃそうだ、内藤は一人っ子だったし、こうもなるだろう。
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(;'A`)「あの、ご愁傷様でした…」
('、`*川「どうも…あら、貴方は、ドクオ君かしら?」
(;'A`)「えっ?あ、その、はい」
なんで内藤の母親が俺のこと知ってんだ?
('、`*川「懐かしいわね、幼稚園の時にホライゾンにブーンってあだ名付けてくれたのドクオ君だったわよね。あの子ったら、そのあだ名本当に気に入ってて、大学入ってからも使ってたのよ」
('A`)「…そう、だったんですか」
そうだ。そう言えば、俺はあいつと幼稚園の頃からの知り合いで、小学校低学年までは仲が良かったのに、高学年からは俺を虐めるようになったんだった。嫌なこと過ぎてすっかり忘れてた
('、`*川「まさかドクオ君も来てくれるなんてね、あの子も喜んでると思うわ」
来たくて来たわけじゃないですよ、と言いたいのをグッとこらえる。内藤の母親に恨みはない
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('A`)「あの、生前アイツに『もし僕が先に死んだら恥ずかしい本とかの処分頼んだお!』と言われてたんで、約束を守りに来ました。ちょっと部屋入ってもいいですかね?」
('、`*川「あらやだ!そうなの?あの子ったら、恥ずかしいったらありゃしないわね、どうぞどうぞ、入ってちょうだい!というか、うちの子が変なこと頼んじゃってごめんねー」
('A`)「いえいえ、大丈夫です」
('、`*川「私はまだ挨拶とかあるから、二階にあの子の部屋があるから一人で行ってもらえるかしら?」
('A`)「はい、一人の方が恥ずかしい本も見られないで済むので」
('、`*川「それもそうね、うふふ」
-
ガチャン
( ^ω^)「案外すんなり入れたみたいだおね」
('A`)「あぁ、俺は頭良いからな」
( ^ω^)「むしろ誇れるのは頭の良さだけだろうお」
('A`)「うっせーな。で、どこにあんだよ、捨てなきゃいけない物」
( ^ω^)「机の下にあるダンボールだお」
(;'A`)「なるほど、これか。結構でかいなー…」
( ^ω^)「色々貰ったから仕方ないんだお」
('A`)「まぁ、いいや。さっさと持ってくか」
( ^ω^)「あ、ちょっと待っててくれお」
('A`)「なんだよ」
( ^ω^)「自分の葬式、少しみてくるお。だれが泣いてるのかとか」
('A`)「悪趣味だなお前」
( ^ω^)「おっおっおっ、すぐ戻って来るお」
スッと壁を通り抜けて消えた。改めて本当に幽霊らしい…
(;'A`)「しかし、重いダンボールだな。一体今まで何を貰って来たんだよ」
…どーせ、捨てるんだから中身見ても良いだろう。もしかしたら本当に恥ずかしい本とかあるかもだし
(*'A`)「どぉーれ、何が入っているのかなぁっと」ガサガサ
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ξ;⊿;)ξ「ヒッグ…ヒッグ…!ああぁ、ブーン!ブーン!」
(;*゚ー゚)「ツンちゃん…」
(;´・ω・`)「可哀想にな、あんなになっちゃって…」ボソボソッ
从;゚∀从「自殺しなきゃいいけどな、ツンちゃん」ボソボソッ
( ^ω^)「…」
-
('A`)「おい、内藤」
( ^ω^)「ドクオ、もう来たのかお。今二階に行こうと思ったのに、せっかちな奴だお」
('A`)「…」
( ^ω^)「ん?どうかしたのかお?」
('A`)「津出に伝言、伝えてやるよ」
( ^ω^)「……おっ?いきなりどうしたんだお?」
('A`)「どーせ乗りかかった船だ、最後まで乗ってやるよ」
( *^ω^)「そうかおそうかお!それはありがたいおー!じゃあ、頼むお」
('A`)「おう」
-
ξ;⊿;)ξ「ブーン…ヒッグ…」
('A`)「津出」
ξつ⊿;)ξ「……ドクオ君?」
('A`)「久々だな、津出。内藤と付き合ってたとはビックリしたよ、まぁ、そんなことよりお前に言いたいことが」
ξ;⊿;)ξ「私、ドクオ君に言わなきゃいけないことがあるの!」
('A`)「…俺に言わなきゃいけないこと?」
ξ;゚⊿゚)ξ「そう、中学の時にブーンがドクオ君を虐めてた真相を!」
('A`)「…真相?」
ξ;゚⊿゚)ξ「あの時、ブーン、本当はドクオ君のためにドクオ君のことをいじめてたの!」
('A`)「何言ってんだ、津出。お前、俺はMじゃねーぞ」
ξ;>⊿<)ξ「自分がドクオ君をいじめることで他のいじめっ子から守ってたの!」
('A`)「……」
んな訳、あるはずが…
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爪'ー`)y-『鬱田、金よこせよ、金』
('A`)『…金なんかねーよ、不良共が』
爪#'ー`)y-『テメェは本当、口の聞き方がなってねーな!金がねぇーって言うなら、ボコられても文句は言えねーよな、あぁ!?』
( ^ω^)『待つお』
爪#'ー`)y-『あぁん?!』
( ^ω^)『そいつは僕がいじめてる子なんですお、手出さないでくださいお』
爪#'ー`)y-『はぁ?意味わかんねぇこと言ってんじゃねーぞ?』
( ^ω^)『僕はドクオを精神的にジワジワいたぶって社会的に抹殺したいんですお、言うなれば実験、ドクオはモルモットですお。モルモットには健康で居てもらわないといけないんですお、だから怪我をさせるようなことはしないで欲しいんですお』ニッコリ
爪;'ー`)y-『…ブーン、お前相変わらずの悪趣味だな。分かったよ、俺の代わりにコイツちゃんと躾けとけよ』
( *^ω^)『了解ですお』
(;'A`)『…内藤、助けてくれたのか?』
( ^ω^)『んなわけねーだろうお、パン買ってこいってパシリさせたのに帰ってこないから見にきただけだお。さっさと買ってこいお』
('A`)『分かってたよ、お前はやっぱりそういう奴だよな…』
( *^ω^)『おっおっおっ』
-
津出の後ろで腹を抱えて笑っている内藤が見えた、「そんなわけねーだろうお」
と爆笑している。
('A`)「…やっぱりあいつはただのクズだと思うぞ」
ξ;゚?゚)ξ「それは、ブーンは不器用なだけで…!」
('A`)「だから、そーいうとこがクズだと思うんだよ」
ξ;゚?゚)ξ「ドクオ君…」
相変わらずシュンとした顔も可愛いな、津出。内藤の伝言伝えるの嫌になってきたぜ…
('A`)「…まぁ、いいや。俺はそんな話を聞きたいわけじゃないんだ。お前に内藤から伝言があるんだ」
ξ;゚?゚)ξ「ブーンが、私に?」
内藤がニヤニヤしている、本当クズ野郎だ。
-
('A`)「おう、伝言っていうか…はい、これ」
ξ゚⊿゚)ξ「…この小さい箱は何?」
内藤のニヤケ顔が一瞬にして固まった、ざまぁみやがれ
('A`)「開けて見ればわかるよ」
ξ;゚⊿゚)ξ「う、うん…」パカッ
ξ゚⊿゚)ξ
ξ;⊿゚)ξ
ξ;⊿;)ξ
「……あぁ、ブーン…!!!」
-
津出は箱を、正確には箱の中に入っていた指輪を抱きしめて泣き崩れてしまった。
ごめんな、津出。お前を泣かすつもりはなかったんだけどな、俺。
ξ;⊿;)ξ「私にはブーン、貴方しか居ないのに、どうして私を置いていってしまったの、ブーン…!」
内藤は津出を見下ろしながら、今まで見た顔で一番の苦々しい顔で
( ^ω^)「…本当、うぜぇお」
と呟いた。
-
俺には津出を慰める権利はないから騒ぎが大きくなる前に逃げ出してしまった。
…約束通り、親に見せるには恥ずかしい本は持ち出してきてやった。
('A`)「…つーか、お前までなんで車のってんだよ、内藤」
( ^ω^)「どうしてツンにアレを渡したんだお」
('A`)「俺のささやか復讐劇を展開したんだよ。津出には悪いことしたけどな」
( #^ω^)「ふっざけんなお!アレじゃツンは他の人と付き合えないじゃないかお!!」
('A`)「……はぁー、お前さぁ、不器用もほどほどにしとけよ?」
( ^ω^)「別に僕は不器用なんかじゃないお」
('A`)「ざけんな。お前のその発言、どう考えたって津出のこと好きってことじゃねーかよ」
( ^ω^)「…」
-
(;'A`)「なんで気づかなかったのかなぁ…俺。中学の時虐められてたはずだったけど、そう言えばお前にパシリとか物隠されたぐらいしかされたことなくて、他の不良から目付けられても実質的な被害は被ってなかったもんなぁ…」
( ^ω^)「…それは僕のターゲットに手出させたくなかっただけだお」
(* A* )「うっせーよ、不器用野郎が。お前はもっと分かりやすく生きろよ…ふざけんなよ、本当に…」
( ^ω^)「……泣いてるのかお?」
(;A; )「うるせーよ!バーカ!」
( ^ω^)「…ドクオ」
(つA;)「なんだよ、今こっちみたらぶっ殺すぞ」
( ^ω^)「友達、がんばって作れお」
(つA⊂)「…っせーよ、お前に言われなくたって友達の一人ぐらい居るんだよ、俺だって」
( *^ω^)「おっ!?そうなのかお?名前はなんて言うんだお?」
('A`)「俺の友達の名前は…」
「ブーン」
ニヤリ、といつも笑っていた憎たらしいいじめっ子は、ふにゃりと涙を堪えた笑顔をして「ありがとう」なんて言い残して、消えて行った。
-
ブーン…
-
あいつの行く先は地獄なのだろうか、それとも天国なのだろうか?
分からないが、恐らく俺が死んだらアイツと同じ所へ行くのだろう。
なんたって俺たちは
( ;A;)「くっそ、あっちに行った時は、ボコボコにして復讐してやる…」
いじめっ子といじめられっ子と言う、少し変わった友達だったのだから
-
4本目、お終い。
(
)
i フッ
|_|
-
乙、涙腺にきたよ……
-
>>189
数字の5は消し忘れです。
>>204
ツンの口はミスです
以上です。
-
乙です
お盆らしい内容でした
-
予想はしてたけど...良いお話だたった乙
-
おつ
-
すみません創作板でスレッド作成規制されてたので誰か代行お願いします
タイトル 少女甘美のようです
本文はなんでもいいので適当にお願いします
-
>>219です
代行ありがとうございました
少女甘美のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/internet/13029/1407509573/l30
蝋燭五本目いただきます .,、
(i,)
|_|
-
少女甘美のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/internet/13029/1407509573/l30
蝋燭五本目いただきました
(
)
i フッ
|_|
-
>>221
こういうのすごい好き
乙でした
-
アメニモマケズ、
ジョジョニモマケズ、
六本目、頂きます
-
六本目
.,、
(i,)
|_|
ひと皮めくれば容易く翻弄される弱い人達のようです
-
( ´∀`)「本当に…出来たモナ?」
そう聞き返されると…
何故か照れてしまい、なんとか頷いた。
( ´∀`)「……そうか…」
嬉しくないの?
( ´∀`)「…いや、嬉しいモナ」
本当に?
( ´∀`)「本当に」
本当の本当に?
( ´∀`)「…本当の本当モナ」
じゃあどうして、浮かない顔をするの?
( ´∀`)
答えて、くれないの?
ーー そのまま私の夫は、
次の日から帰ってこなくなった。
-
『おめでたですよ』
その医師の言葉から一週間、
夫が消えて一週間…
静かな混乱の最中、
私は勤めていたパートを辞めるわけにもいかず
まだ膨らみのないお腹を意識しながら
スーパーの厨房で作られた惣菜をパック詰めしていた。
('、`*川 「どうしたの?」
同じ時期に働き始めたペニサスさんに声をかけられる。
「なにが?」
…そう惚けてはみるものの、彼女は声をかける時点で私の様子に違和感を持っていたらしい。
('、`*川 「顔色が悪いよ、どこか良くないの?」
「ううん、なんでもない」
自分でも今の状況をまだ飲み込めていない。
だから人に話す事でも無いと思っている。
('、`*川 「そう? 何かあったら言ってね。
もし辛かったら作業代わるから」
-
お礼を言って彼女から離れる。
特別ゴシップが好きとか、嫌味ったらしい性格だとかでは全然ない。
彼女はむしろ他人を気遣えるタイプだと私は思っている。
人付き合いの少ない自分にとっては
気が置けない友…と、心の中だけで認めていた。
つわりに耐えながら作業に戻り、売り場へと出る。
お店で取り扱うお総菜は多種多様で
最寄り駅近辺のスーパーと比べても人気があるためか、色々なお客さんが手に取り、私が商品を置いたそばからカゴに放っていく。
普段ならもうパートをあがり、自分は帰宅するはずの夕方時…
独り身になり、早く帰っても誰もいない家…
まだ出来たての温かい唐揚げを手にし、思い悩むサラリーマン。
子供が持ってきたお菓子をしぶしぶカゴに入れる母親。
共に店内を歩いてなにかを話し合う若い夫婦。
私の知らない生活が人々の数だけ存在する事を、おぼろ気に自覚する。
そういえばこんな風に世の中を見ることなんてあったかな ーー 。
-
…私のカテゴリーが分からなくなる。
夫のいない今、私も適当に惣菜を買って帰る日々が増えていくのだろう。
若夫婦のように、夫とまた歩ける日は来るのだろうか?
お腹の子が産まれたらやがてあの母親のような顔が出来るのだろうか…。
先に作業着を脱ぐペニサスさんに挨拶をして、
仕事のふりをしながら店内を見回る。
私の頭の中は空っぽだった。
無意識にお腹に手を当てると、
まだなにも感じられないはずの奥底から
小さな…本当に小さな振動が伝わる気がする。
.
-
( ФωФ) 「…来月分のシフトの提出が遅れてるけど大丈夫ですかな?」
ーー 夫が居なくなって4ヵ月経つ。
以前に比べれば体調も良くなりはじめ、
顔色について言われる事も減った。
数日前、
店長のロマネスクさんから呼び出された時に、私が妊娠したことを告げてから
作業ペースやシフト調整を考えてくれるようになった。
「気持ちは沢山働きたいんですが…」
というと、ロマネスクさんは
( ФωФ) 「無理をするでないよ。
希望がなければこちらの方で短時間シフトと、
希望次第で少しなら残れるように入れておくが」
と言ってくれた。
少しだけ嬉しくて…でも同時に、こうして徐々に社会から離れていくのかとも思ってしまう。
ガチャリ
|⊂('、`*川 「店長、次私いいですか?」
( ФωФ) 「ああ、いい…ですぞ」
二人に挨拶して店を出た。
ほんのり膨らみかけたお腹は別段
私の動きを阻害するものではなかった。
時々感じるのは赤ちゃんが動く感触…それも僅かだけれど。
食欲も一時期に比べれば戻ってきた。
今では帰宅して自分が食べたいものを作り
栄養を考える余裕も出来てきたのは
日々のストレスを発散する手伝いになっているかもしれない。
以前なら食べたいと思わないような物も
口にするようになった。
-
「ただいま…」
そんな言葉が空虚な部屋に木霊する。
今日もまた、家を出る際に自分で切った灯りのスイッチに手を伸ばす。
『( ´∀`) おかえりモナ』
この灯りが点けば、そんな夫の姿と声が
目の前に現れるような気がして…
カチッ ーー カチッ…
「……」
今日も、昨日も、一昨日も、
そんなわけないのに。
キッチンに立ち、お鍋にお湯を沸かす。
鶏むね肉の皮を剥いで身を茹でる合間に
胡瓜をスライス。
キャベツは前日の千切りを残してあるので
それをお皿に盛り付けた。
プク ーー プクプクプク… ーー
茹でている肉の色が変わるのをただ眺める。
今晩は棒々鶏を作るつもりだった。
お酢と胡麻ダレをかけて。
なのに、どうして…
どうしてこんなに、不味そうなのかしら?
.
-
('、`*川 「お腹目立ってきたね」
お店の休憩室でペニサスさんと他愛ないお喋りをする事が増えてきた。
私のお腹は間も無く6ヶ月を迎えようとしている。
「無事に産まれてほしいの」
私が微笑むと、彼女は眉を潜めて溜め息をつく。
続けて「…どうしたの?」と聞くと、
気のない相づちと不満げな愚痴。
('、`*川 「うちもね〜子供作りたいんだけど…
旦那がその気になってくれなくって」
ーー 痛む、胸が。
「旦那さん外資系勤めでしょ、疲れてるのよ」
と、誤魔化すように相づちをうつ。
('、`*川 「子供ができたら人生観が変わると思わない?」
確かに周りの人達をみると
そう思わされる時もある。
私も変わったのかもしれない。
…変わったのは人生という河を流れる
水の行き先かもしれないけれど。
('、`*川 「あっ、いけない。
休憩時間終わっちゃうよ」
私達はエプロンの紐を結び直して
いつもの作業へと戻っていく。
もう今月中にはパートもできなくなる。
…彼女とこんな風に話す事からもお別れする時期だった。
.
-
夏の夜。
陽が延びたこの季節、
玄関の蛍光灯を付けることはない。
靴を脱いでまだ暗くない廊下を歩く。
リビングの灯りも付けずソファに座ると
エアコンのスイッチを入れて
なんとなく、窓の方を見た。
「 ーー あ…」
…エアコン風に揺れるカーテンは閉まっていた。
そういえば最後にカーテンを触ったのはいつだったかな…
そういえばいつも家ではどうやって過ごしていたんだろう…
私はおもむろに立ち上がり、洗面所へ。
手を洗い、コップでうがいを済ませながら
またリビングへと戻る。
腰の痛みに耐えながら
真っ暗な部屋の入り口で立ち尽くした。
何も見えない、灯りをつける。
ーー エアコンの風が髪をなでていく。
振り向けば、玄関まで伸びる廊下は真っ暗で…
この部屋は暗かった…
どうやってエアコンを付けたのかも
もう、思い出せない。
一週間前の定期検診の時から
私はこんな、調子で ーー
-
∬´_ゝ`) 「…最近、お腹の鼓動は感じる?」
私は少し考えて、首を振る。
∬´_ゝ`) 「…貴方自身の体調はお変わりないのかしら?」
首を縦に。
∬´_ゝ`)Ф" 「……ちょっとエコー撮りましょう」
カルテに何かを書き加えて、先生は言った。
∬´_ゝ`) 「ーー 貴方のせいじゃないの。
でも、もう死産してるわ」
…なにがですか?先生…
.
-
ーー 暗い部屋を "ブーン…" と虫の羽根のように振動する音だけが支配する。
エアコンを止めて扇風機を使うようにしたから、そんな風になっているだけ。
身体の冷やし過ぎは身体にも良くない、
そう言われたから。
最近あちこちが痒くなって、
ふと見ると湿疹が出来てたりするのが辛かった。
妊娠中、同じ症状で苦しむ人が多いみたい…
みんな同じ。
そう、同じ?
パートを辞めて以降、
私の行動範囲はひどく狭まった。
友人の少ない私が外に出ても
行き先はドラッグストアとコンビニ
そしてスーパーだけ。
…それもパート先だった所とは
正反対の場所、
品数も従業員も寂れた小さな商店。
-
私はカゴに入れる気もないカートを押して
安くもない商品棚の値札を眺めて歩く。
歩幅、歩調、それに伴うお腹の鼓動、
……は、やはり感じられない
なのに赤ちゃんはここにいる…
その事実だけ色濃く残っている。
手ぶらで帰宅すると
家の留守電には何件もの着信が入っていた。
きっと病院からだろう、
私はあの時、手術をせず逃げ出した。
予想しながらボタンを押す…
『お預かりのメッセージが、12件、 ーー 』
再生される病院からのメッセージをただ流しながら、ソファに今日も沈む。
そういえば胎教の事を忘れてたなあ…
今からでも間に合うかなあ…
はじめて意識したのが病院に怒られてる音だなんてごめんね。
.
-
全てのメッセージが終わると、
削除を求める機械音声を最後に
リビングは静寂に包まれた。
チカチカと、
電話機からオレンジ色のランプが点滅する。
それはまるで
『まだ私は生きてますよ』と光っている。
ーー 『返事をしてください』と、
私がボタンをプッシュするのを待っているようだ。
私は電話機の代わりに
膨らんだお腹を人指し指でプッシュした。
《ーー キャッキャッ 》
脳の中で声が聴こえる。
.
-
私はあれ以来は近寄ることのなかった
産婦人科へと足を運んだ。
目的はもちろん、赤ちゃんが生きている事を伝えるために。
∬;´_ゝ`) 「心配したんですよ!一体どこに行っていたんですか?!」
「そんなことより先生? 赤ちゃんが生きているんです。声がしたんです!」
私の言葉に、医師は一拍おいて
「……調べてみます」
とだけ返答した。
まずは謝ってほしいと思ったけれど、
あの時この場から逃げ出した自分を誉めてやりたい気持ちでいっぱいだった。
危うくこの子は生きながら殺されるところだった。
世の中の流産・死産は母親の問題ではなく
未熟な医師によって生産されているのだろう。
まして医師は多忙だと聞く。
結婚はできても、子供を産む暇なんて無いに違いない…。
きっとこの女医も、妊娠する女性を心のどこかで妬んでいるに違いない。
そうしてこちらが分からないのを良い事に
隙あらば赤ちゃんを殺す…
そんなことをこの施設でずっと繰り返している、生死を司るプロなのだ。
死神なのだ。
-
∬´_ゝ`) 「……やはり、お腹の中の子は ーー 」
言いかけて先の読めたその台詞に
私はカッとなってこの女医に飛び掛かった。
そんなはずはない、そんなわけがない。
周りにいた看護婦が私の四肢を押さえ付ける。
死神に付き従う亡者だ、
私の首を狙って爪をひっかけてくるように手々が絡み付く。
「離せーッ!」
《私はここにいるよ》
∬´_ゝ`) 「暴れないで! 鎮静剤をっ ーー !」
死神の命令に亡者達が統率され動き出す。
視界の中から外から、
それまでどこにいたのかと思うほどにうじゃうじゃと。
これに捕まったら赤ちゃんの命は本当に終わってしまう…
まとわりつく鎌を振り払い、
私は診察室のドアを叩くようにスライドさせる。
逃げなくては ーー 逃げなくては ーー
《かあさん、逃げて》
∬´_ゝ`)つ 「捕まえて!外に出しちゃダメよ!」
逃げてやる ーー ここから早く ーー
《右に、次は左だよ》
お腹から声がする。
私の赤ちゃんも生きて産まれることを
渇望してるのだと確信できる。
きっと赤ちゃんはずっと語り掛けてくれていたんだ。
でも私が心を閉じていたのかもしれない。
くだらない世間体やつまらない夫に悲観して、何よりもこのお腹の鼓動から耳を塞いでいたのは私だ。
.
-
ーー ごめん、ごめんね。
《かあさん、私はここだよ》
ーー 貴方には私しかいないのに、ごめんね。
《かあさん、泣かないで》
ーー ちゃんと、産んでみせるから。
《ありがとう、かあさん、私もがんばるよ》
.
-
ーー どこを歩いたのか記憶には映らないまま…
やがて周囲を見回す余裕ができた頃、
私の足はいつのまにかパート時代の
スーパーに向けて動いていた。
別に楽しい思い出があるわけでもない…
なのにどうして。
('、`*川 「あ、お久しぶり」
「ペニサスさん?」
出逢ってもおかしくはない界隈。
かつての同期との再会にも私の気持ちは
昂らない ーー むしろ警戒心を抱かせる。
しかしよくよく観察すると
彼女のお腹は少しだけ膨らんでいた。
以前の私のように。
('、`*川 「あ…これ? ふふ、あのあとすぐにできちゃってたみたい」
その表情は柔らかく、彼女の言っていた
"人生観が変わった" 証なのかもしれない。
私が祝福の言葉を素直に贈ると微笑んで
('、`*川 「ありがとう、
お仲間がいるって思うと嬉しいわ。
二人とも無事に産まれるといいね」
と言った。
《仲間。 仲間。》
脳の奥とお腹からも喜ぶ声が聴こえる。
-
憑き物が落ちたように、
私の心は彼女に感化され穏やかな状態だった。
二人で ーー 正確には主にペニサスさんの
パートを辞めたあとの話を、ただ頷いて聞いていた。
('、`*川 「妊娠が判った時の旦那の顔がまた面白くてね〜」
('、`*川 「…もう名前は決めた?
うちもまだ考えてるところだけど…
実はもう私、お腹の子に呼び掛けたいから勝手に呼んでるの」
私がその時に感じ取れた事。
…彼女は少しだけ変わったのだ…という思い。
それまでの彼女は人のゴシップも聞かなければ
自分の話もそれほど喋るタイプではなかった。
「そうなの…なんて呼んでる?」
話を合わせるためだけに聞いてみた。
きっとすぐに忘れてしまうけれど
('、`*川 「ふふ、男の子だと思って "どくお" 。
好きな言葉の寄せ集めだけど…
努力して、たまには休んで、勇ましくって」
ーー 愕然とした。
言われてみれば私は
自分の子にまだ名前を付けてなかった…
こんなに大切に想っているはずなのに、
時々存在を失ってしまっているかのような錯覚。
彼女はそのまま話し続けた。
きっと会話を聞いていた私の顔は歪まず、うまく取り繕えていたのだろう。
-
こうして聞いてみると、
やはり身の上話というものは面白くなかった。
彼女の旦那の話、家のローンの話、
子供と三人で旅行する計画の話……
そんな話題を聞けば聞くほどに
私の顔は醜さを隠せているか不安だった。
ーー 夫はその気もないのに私に子を宿したのだろうか?
そんな風に考えてしまう。
当然、彼女がそれを知る由もない。
それ故の言葉が私の暗い記憶に染み込んで、沈殿した汚物を明るみへと浮き上がらせてしまう。
私は耐えきれずにその場を離れようとした。
《握手して、かあさん、握手して》
お腹の声に従って、
私はペニサスさんとお別れの手を握った。
《どくお、仲間になろ》
お腹の子はドクンと、
ひときわ大きく膨らんだ気がした。
.
-
雪の降りそうな季節がきて、
ついにその時がやってきた。
《かあさん、苦しい!》
破水して間も無く襲いかかる陣痛は
想像していたよりも激しさを感じさせた。
赤ちゃんの声がする…助けなければいけない。
まるで心臓が止まりそうになるほどの痛みと
思い通りにならない波打つ呼吸と戦いながら、
私は救急車を呼んだ。
この症状は【前期破水】と呼ばれるらしい。
その際、以前通っていた病院は嫌だと伝えたが
『それはこちらが決めることですので』
と、ピシャリと断られてしまった。
息を荒げながらなんとか通話を切ると、
いつまでも削除されない留守電のランプがチカチカと光る。
『新しいメッセージが、20件、あります』
もはやこれ以上の録音は不可能となっている。
結局、あれ以来消せていなかった。
すぐに新しいメッセージが埋まり、
再び全ての内容を流し直さなければ消す事はできない。
…聴くつもりもなかったが私は救急車を待つ間、
気を紛らわせるつもりで再生ボタンをプッシュした。
『ーー メッセージを、再生します ーー』
-
ピーッ 『』カチャッ
ピーッ 『』カチャッ
…繋がった後すぐに切られていく新規メッセージ群…
そのなかに、
ピーッ
『………』
物言わず、切れないメッセージ。
気になった私は顔を上げ電話機を見つめる。
『……』
『久しぶり…モナね』
「えっ?!」
と、独りの空間で不意に驚きの声をあげてしまった。
聞き覚えのあるその声は、
もはや失いかけていた夫の記憶。
『…急に居なくなってしまって…申し訳ないモナ』
陣痛の波も忘れて聞き入ってしまう。
-
『……ちゃんとご飯は食べているモナ?
君は何かに集中すると、そればっかりに目がいくから…』
『いや……こんなこと言う資格はもうモナーにはないモナね…ごめんモナ…』
夫はこの時どんな顔をしていたのだろう?
少なくとも、捨て置いた妻に対する嘲りはなく
罪悪感を多分に含んだ声色だと私は思った。
ピンポーン… ーー
玄関のチャイムと、共にノック音がする。
「救急隊員です! 扉を開けてもらえますか?」
先程電話して呼んだ救急車がいつの間にか来ていたらしい。
リビングの窓を見やると、カーテン越しの赤いランプに今更ながら気が付いた。
陣痛がまた来る前に鍵を開けるべく、テーブルに手をついてなんとか立ち上がる。
『君が妊娠したと知った時、すごく嬉しかったモナよ』
ーー 夫の独白が背中から聴こえる…
『それと同時に怖かったモナ…
僕は非閉塞性無精子症といって、
精子が体内で作られない病気だったモナ』
それは聞いたことがある。
男性側の不妊の原因となる症状で、
それは精子の数が限りなく少ないのだと。
『…モナは愚かにも君を疑ってしまったモナ…
ひょっとして別の男と交わったのか?と』
-
(なにを…バカなこと言ってるのよ…)
思わず笑ってしまった ーー
付き合う以前ならいざ知らず、
夫と出逢い、恋をして、結婚してからも…
私は彼以外との男性と性交渉をした事など無かった。
非閉塞性無精子症は妊娠の可能性がゼロではないという。
きっと私達は運が良かった…すぐにそう思えるのは私が女性だからだろうか?
『君が、そんなことをするはずがないと、
少し冷静になれば…今でもそう思えるモナ』
『ーー 本当にごめんモナ』
薄暗い廊下が、心なしか明るく感じられた。
彼だけを愛し、信じてきた私は、
晴れやかな気持ちで玄関の扉を開ける。
「痛みは今ありますか? すでに破水されているとのお話なので入院の準備なども早急に ーー」
救急隊員の言葉に私は
「大丈夫です。 …家族はいませんので荷物はまとめてあります」
と、玄関に用意しておいたスポーツバッグを指し示した。
背後からかすかに聴こえるメッセージ音は、徐々に遠くなっていく。
『……それでも、翌日モナは病院で検査したんだモナ。
精子が少ないだけで、可能性はゼロではないって…』
-
『でもモナーはゼロだった。
精子が全く作られてなかったモナ……』
ーー その言葉が聴こえたのは、
意識をリビングに向けていた私だけだった。
「…どうしました? 救急車で運びますから靴を履いてください」
今度は救急隊員の声が遠くから聴こえる気がした。
ーー 私の心は家の中に自ら望んで取り残されようとしている。
『……君を信じてるモナ…
でも、何度検査を受けても、
僕の身体からは子供を創る機能が欠けてるモナ…』
ーー そんなはずはない。
この子は貴方の子だ。
診断結果が間違えてるのは往々にしてあり得る。
…事実、お腹の子も何度も死産と診断されて
尚、成長し、ここまで大きく育ったのだから。
そうだ、医者は死神だ。
どうして忘れていたんだろう?
なぜ私はそんなところへと悠長に手を差し伸べてもらおうとしているのだろう。
「ーー 救急車に乗ってください!」
白衣を羽織った救急隊員が ーー 亡者が、
時を経てついに私の身体を掴んだ。
……完全に失敗した。
逃げようにもお腹の子を庇いつつ、
またも襲い来る陣痛がこの身を拘束する。
こんなに早い感覚で波が来るなんて聞いていない、陣痛はもっと段階を踏むものだと書いてあった。
なぜ私だけがこんなにも ーー
-
抗えず両肩を抑えられながら私は外に出される。
息が苦しい。
顔を伝う脂汗が視界を塞ぎ、脳内だけが
世界を俯瞰で眺めているような感覚に陥る。
そして担架に乗せられる時、
私の視線の先で見えたのは二人の見知った顔。
身を寄せあい、仲睦まじく歩いているのは ーー
( ФωФ ('、`*川
(あれは…パート先だった店長と、ペニサスさん?)
私はといえば亡者に捕らえられ、
地獄へと連れていかれる最中。
なぜあの二人が…
ペニサスさん、貴女の旦那さんはロマネスクさんじゃないわよね…?
夫婦でもないのにそんなにくっつきあって
……ああ、あれが不倫ということか。
穢らわしい。
私は愛する夫から一時でもあんな風に思われ、彼女はといえば未来を誓った旦那ではなく、
店長の精子でヘラヘラと妊娠したの?
それが貴女の好きな言葉でいう努力の賜物?
勇ましいっていうのは不倫するスリルのこと?
バカみたい、自分の旦那を蔑ろにして…
……それでも、彼女の子供は無事に産まれるのかしら?
子共は天の授かり物って言葉は誰が造ったの?
まるで私の名字が文字通り馬鹿を見る代名詞。
「素直さん、入院先が見付かりましたよ!
流石病院まで向かいます!」
どうして私は…
私が……
私の夫が… ーー !!
『…その子は一体、誰の子モナ…?』
.
-
《キャッキャッ》
*鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹顗 #鼹鼹鼹顗 *
*鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹顗 #鼹鼹鼹鼹鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹顗 #鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹顗 #鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹顗 #鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹顗 #鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹鼹鼹顗 * *鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹*
**
*鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹鼹顗 *
*鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹*
*鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹鼹*
《やっと出られた!》
-
《産ん"でくれてあ"りがとう、かあ"さん》
.
-
六本目
(
)
i フッ
|_|
一枚めくれば容易く翻弄される弱い人達のようです
(了)
-
前の人乙、七本目投下します
.,、
(i,)
|_|
電車の中で、のようです
-
ミセ*゚ー゚)リ「あっ、電車来た!トソン急いでー!」
(゚、゚トソン「ちょっとミセリ、駆け込み乗車は危ないですって……もう」
ミセ*´ー`)リ「……はー、すずしー。生き返るー」
ミセ*゚ー゚)リ「トソンは細かいこと気にしすぎだよー。そんなんじゃモテないよ?」
(゚、゚;トソン「んなッ、そういうあなたはどうなんですか、ズボラ女のくせに!」
ミセ*゚⊿ ゚)リ「あれは適度に散らかってるからいいんですぅー。どこに何があるか分かってるし」
(゚、゚;トソン「あれのどこが適度に散らかってるんですか……」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、そうそう。そういえばさぁ」
(゚、゚トソン「なんですか。話題の変え方があからさますぎですよ」
ミセ*; ゚ー゚)リ「それはどうでもいいじゃん!いいから聞いてって」
ミセ*゚ー゚)リ「この前、出掛けた帰りに満員電車に乗ったんだけど、運良く座れてさぁ」
-
ミセ*- -)リ ウトウト…
『次はぁ、ヴィップぅ、ヴィップぅ。お降りの際はお忘れ物にご注意くださぁい』
プシュー
「いやぁ、混んどりますなぁ」
「これは座れそうにないですねぇ」
ミセ*- -)リ (ん……)
ミセ*- -)リ (お年寄りの方かな……眠いけど、席譲った方g)
「あぁ、ありがとうお嬢さん。大丈夫ですよ」
ミセ*; ゚ー゚)リ (え!?)
「儂らはすぐに降りますから」
ミセ*; ゚ー゚)リ (あ、あたしに言ったんだよね?隣はおっさんとふつーの女の人だし……)
ミセ*゚ー゚)リ (……超能力使える人なのかなぁ) チラ
-
/ ,' 3 ニコニコ
ミセ*; ゚ー゚)リ (すごい優しそうなおじいちゃんだ!)
ミセ*; ゚ー゚)リ (とても超能力使えるとは思わないよ!)
ミセ*; ゚ー゚)リ(どうしよう、本当にあたしに言ったのかも分かんないし!譲っちゃう!?ミセリ譲っちゃう!?)
ミセ*; ゚ー゚)リ チラ
/ ,' 3 マイリマシタナ、サイキンノコハ
( ´W`) アンナニチイサイコモ キヅカイガデキルトハ
ミセ*゚ー゚)リ (……あれ)
ミセ*゚ー゚)リ(今、小さい子って言ったよね?)
『次はぁ、創作ぅ、創作ぅ。お降りの際はお忘れ物にご注意くださぁい』
ミセ*゚ー゚)リ(あたし、もう立派なJK……)
ミセ*; ゚ー゚)リ「――っ、!」
ミセ*; ゚ー゚)リ「す、すいません!降ります!」
プシュー
-
ミセ*; ゚ー゚)リ「……はぁ、怖。誰と話してたんだろ」
振り返って見ると、あの席には
*(‘‘)*
*(^^)* ニコッ
こっちを見て微笑む、一人の少女の姿が――
-
ミセ*゚ー゚)リ「……っていうことがあってさぁ」
ミセ*゚ー゚)リ「あの子、もしかしたら幽霊だったのかなーって」
ミセ*゚ー゚)リ「で、おじいちゃん達は見える人みたいな?」
( 、 トソン「……」
ミセ*゚ー゚)リ「……あれ、どしたの?もしかして怖いの苦手だった?」
(゚、゚トソン「……あ、いえ。面白い話でしたよ」
ミセリ、可哀想に。あなたはまだ気づいていないのですね。
私たちがすでに、死んでいることに。
-
(
)
i フッ
|_|
以上です。お粗末様でした
-
乙、いずれその事を知ったミセリを考えると切ないわ……
-
乙。もう一度読み直したくなる作品だ…
六本目の人も乙。せつねぇ…救いはないんですか。
-
乙
くるうは…
ドクオが仲間ってそういうことか
怖いな
-
>>261
おーそういうことか
じゃあ最後の素直さんってカーチャンかよorz
-
八本目投下します
-
『げんごこう』というお酒を、知ってるかい?
( ^ω^)「……は?」
あぁ、いえいえこんな人気の無い屋台で偶々相席になったとはいえ、
急に馴れ馴れしく話してしまってごめんなさいね
『げんごこう』ですよ、ひらがなで『げんごこう』と書くんです
( ^ω^)「……いえ、知らないですお」
そうですか、そうですか
いえ誰でも良かったんですけどね、そのお酒についてお教えしたくてね
誰か私の隣にでも座ったときにお教えしようと思った次第でございます
.,、
(i,)
|_|
げんごこうのようです
.
-
ちなみに、貴方はお酒が好きなかたですか?
( ^ω^)「えぇ、先方に振り回されて毎日浴びるように飲みますが、お酒自体はとても好きですお……今日もその帰りにここへ」
あぁ、そうですよね、そうですよね
道理で貴方の顔が赤い訳だ、
ここいらのほのかに赤く光る照明にしてはやけに赤いと思っていたところだ
そうですか、お酒がお好き、なら余計に気を付けたほうが宜しいですね、『げんごこう』には
( ^ω^)「……お酒に気をつけろとは?度数が高いとか?」
いえいえまさか、『げんごこう』はそこいらの日本酒と変わりなく十五度前後でございます
しかしてそれでも度数が高いのには変わりありませんね、へっへっへ
私が気をつけろと言うのは、あまりに美味であるからということです
.
-
へぇ、意味が分からないという顔をしなさらないで、これから説明いたしますから
姿は瑠璃色の一生瓶、それに和紙のラベルで素っ気なく『げんごこう』と書いてあるだけですが、
蓋を開けると辺りに豊満で甘美な米の香りが漂います
いくらかの人達はそれだけで満足してしまうらしいですがそれじゃあ勿体無さすぎる、
容器に注ぐと不思議なもんで、見方によっては黄金色に見える光りかたをするんです
それに見とれて飲めぬという方もいるようですが、飾るわけにもいかないでしょう?
ぐいっと喉に通してみれば、先に言った米の香りが口の中いっぱいに広がって、
食べ物を含んでいればその旨みを何倍にも引き上げ、
含んでいなければ身体全てを潤すかのような清涼感に包まれ、後には至福の感情だけが残るんです
どうです?飲みたくなったでしょう?
しかしこれは何処でも手に入る訳ではないんです
今なら携帯電話でも……『すまーとふぉん』と言ったら良いのかね?
それで検索したところでそいつは出てきやいたしません
飲みの席に、そいつは突然現れるんです
.
-
( ^ω^)「……そんな馬鹿な、酒が独りでに現れるのかお」
そうです、そうです、そのとおりです
飲みの席で、飲みに飲んで、すっかり酔いが回った頃にそいつが現れるのです
( ^ω^)「……酔いが回った頃に飲む酒ほど、何を飲んだが分かりゃしないのに、どうしてそれが『げんごこう』だと分かるんだお?」
へぇ、それをこれから話そうかと思っていたところです
どうして『げんごこう』だと分かるのか、聞けばきっと気を付けるようになりますから
実はその酒『げんごこう』、飲んだが最後、恨みつらみが聴こえて来るというんです
周りの貴方に対しての恨みもよくよく聴こえるようになり、
何より酷いのがあの世の人々の無念が四六時中聴こえるようになるというんですから溜まったもんじゃありません
美味い話には裏がある、旨い酒には毒があるってね、貴方のように『げんごこう』の話を聞いてくれた方には注意をしていただきたくてね、知ってる私が教えて回っているわけです
知らずに飲んだら大変ですからね、へっへっへ
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( ^ω^)「……酒が回っている奴に注意も何も無いとは思うけど、気を付けてはおくお」
へぇ、そうしてもらえると助かります
出てきた際は蓋を開けるまでは良いですが、決して飲まないようにしてくだせぇ
あぁ、すいません、語りすぎてしまいましたね、貴方の手に取っていたおでんがすっかり冷めてしまった、直ぐに新しいのを頼みます
( ^ω^)「いえ……良いですお、これを食べたらすぐにタクシーで帰りますから」
そうですか、そうですか、では私も何かつまんでから帰るといたしましょうか
( ^ω^)「……本当に、飲んではいけなんですおね?」
はぁ、『げんごこう』でしょうか?
えぇ、決して飲まないようにしてくだせぇ
決して、ね、へっへっへ
( ^ω^)「……分かりましたお」
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………………
あぁ、いつかのお兄さんではないですか
奇遇ですね、またこの人気の無い屋台で会うなんて、あれからどうですか、お元気にしていましたか
( ω )「……私は愚かでしたお」
あぁ、よく見たら今日はここいらの照明でも顔が白く見える、酔いは回っていないようで
( ω )「……あの日はまだ、酔いが回ってても何を飲んだか分かる日だった」
( ω )「だというのに、たしかにそれは突然現れたんですお」
瑠璃色の一生瓶、和紙のラベルで素っ気なく『げんごこう』と書かれた、その酒ですか、あぁ、そうですか、それはそれは
( ω )「……皆見えていないようで、僕も見えないふりをした」
( ω )「だけど、気になるじゃないですか?……その香りが、その味が」
あぁ、そうですか
それで開けて、そして飲んでしまったのですか
どおりで、足が無くて、身体がぼんやりと透けて見える訳ですね
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( ω )「蓋を開けると、辺りに豊満な米の香りが漂った」
( ω )「会社の人達は、いい香りだと、とても幸せそうにしていたお」
( ω )「僕自身もそう思った、そして、もう止める事が出来なかった」
( ω )「だってそうでしょう?蓋を開けて、はい終わり、ではあまりにも、勿体なかったのだから」
( ω )「他の人にはどう見えていたのかは分からない、でも僕は、確かにその酒を飲んだ」
( ω )「幸せだった……身体が溶けてしまいそうな程に恍惚とした絵もいわれぬ感情が駆け巡った」
( ω )「その酒を全て一人で飲みきり、至福の余韻を残したまま家に帰った次の日から、異変が起きた」
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( ω )「貴方の言った通り、会社にいれば上司や同僚の、僕に対する恨みが聴こえ」
( ω )「家では沢山の僕以外の誰かが叫ぶ悲痛や恨みの声」
( ω )「こうして耐えきれず自殺した今でも、あの世か判らぬ場所から聴こえる恨みの声が鳴り止まない」
( ω )「どうすれば良いのか、分からないんですお」
そうですか、そうですか、『げんごこう』で死んだ者は皆口々にそう言います
ではお教えいたしましょうか、その苦しみから逃れる術を
あなたが飲んだ『げんごこう』、その魅力を誰か他の方に語ることです
あなたがこの酒について上手に語れば語るほど、酒は味を深め、旨みを増す
その酒を飲んだ相手が至福と感じたその時に、貴方はようやく解放されるのです
『語り酒』の『語』を崩して『言五口』、下らない洒落ではありますが、私がやっと解放される日が来たので、せめても酒の由来でもお教えしてお別れしましょう
さぁ、さぁ、もう私は消え行く存在ですが、次に『げんごこう』の魅力を聞くは、お兄さんが語るは、誰にいたしましょうか
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( ω )
( ω^)「……」
( ^ω^)「……おや、おや奇遇ですね」
( ^ω^ )「……こんなところでお会いするとは」
「『げんごこう』という酒を、知ってるかい?」
(
)
i フッ
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げんごこうのようです
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