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(‘_L’)は命令が欲しいようです
274
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:14:44 ID:PpHh.7g.0
( ´_ゝ`)「予想外?想定外?」
( ^ν^)「想定の範囲内だ。」
( ´_ゝ`)「そう?なんかつまんなそうに見えるけど」
( ^ν^)「確かにもう少し動きがあってもよかった。」
( ´_ゝ`)「ワッガママー。いいじゃんいいじゃん。そんな裏切りとか求められても可愛そうじゃん。裏切ったとこでフリーズするだけだし」
( ^ν^)「突発的な事故からここまで来れたのだと考えれば貴重さもある。だからイレギュラーな反応が欲しい」
( ´_ゝ`)「つうても行動のパターンは予測してるでしょ」
( ^ν^)「当然だ」
.
275
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:15:28 ID:PpHh.7g.0
( ´_ゝ`)「なにその反抗期まえの娘がもう少し態度悪ければいいのにって願望」
( ^ν^)「お前どこからその表現拾ってくるんだ」
( ´_ゝ`)「秘密ーねね、でもよくやってる方じゃん?もうゴールさせてもいいと思うな」
( ^ν^)「…………」
( ´_ゝ`)「なんかさ、見てるとやっぱないものねだりだなあと思うよ」
( ^ν^)「どういう意味だ」
( ´_ゝ`)「だってアンタ作り出す側じゃん。俺ら受ける立場で、アンタ命令する側。」
( ^ν^)「それが何だ」
.
276
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:16:14 ID:PpHh.7g.0
( ´_ゝ`)「俺は自己を形成しなきゃいけなかったから客観的な目っていうのを養わなきゃいけなかった。
それには第三者ってたち位置が重要なんだって。
人は評価されると不快らしいから先に言っとくけど処分しないでね。
俺らとは違う、つまり普通の人間は自己意識をもってて、自分に足りないものを補おうとする本能がある。
アンタらは普通じゃないけどそれって生まれだけじゃん?
中身はけっこうただの人っぽいとこあるよね。
あいつあんな偉っそうな態度してるくせにロリコンでなおかつ機械フェチとか、好みも超違うし。」
( ^ν^)「続けろ」
( ´_ゝ`)「自己投影だよ。自分に足りないものを求めてる。だからあいつに期待してるんじゃない?
それ以上の、予想外なことを」
( ^ν^)「面白い意見だ。人並みに感情でも湧いたか」
( ´_ゝ`)「どうだろ。下克上でもしたら満足?」
( ^ν^)「できるものならな」
( ´_ゝ`)「報酬欲求がないから無理だなー。俺どっちでもいいもん。
やっぱプライドって大事だわ。
それがあるから争うようになるんだろ」
277
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:17:08 ID:PpHh.7g.0
( ^ν^)「酒と女に狂えたら男として一人前だ。やってみるか」
( ´_ゝ`)「抱けるけど面白くないと思うよ。ベッドマナーは教わったけど全部奉仕の一環だったし。
アルコールは少量ならいいけど多すぎると中枢神経麻痺させるから好めない。なんでみんな飲むの?効率悪すぎない?」
( ^ν^)「無駄を消費できるようになればわかる」
( ´_ゝ`)「それが一番難しいのに……」
( ´_ゝ`)「でもやっぱわかんないなあ」
( ´_ゝ`)「なんだってそんなもの欲しがるわけ?」
( ^ν^)「何が」
( ´_ゝ`)「だからさ、」
支配からの逸脱ってやつ
.
278
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:17:54 ID:PpHh.7g.0
刷り込み認識ーー主人への忠誠と絶対の服従。依存により安心を得られる。
命令に従うことで自己を認識し、生物の欲求だと肯定する。
であるから、対象主人と認識したものを消失すると決定権を選べなくなり行動を停止する。
それは次に主人と認定されるまで続く。
本来シリーズを作成した時点で刷り込みは強烈なものだった。
主人に逆らうことは呼吸の仕方を忘れるような歪さがある。
支配されることを当然とし、また何よりも主人を守りぬくこと。
女王アリを生かすために犠牲を当然とする兵隊アリをモデルケースにされた。
無意識の献身。
どれほど理不尽でも非論理でも、すべて主人のためだけに彼らは尽くす。
保身を考えることはまずない。
現在だけを考える。何が主人にとって最適であるか。
.
279
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:18:38 ID:PpHh.7g.0
模倣された時間だった。
主人の死という点だけにおけば、似ているかもしれない。
倒れた死体。ジョルジュと、フォックス。
そこに立ち尽くしているフィレンクト。
現れた第三の男。
.
280
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:19:21 ID:PpHh.7g.0
命令を探す。
フォックスの時はできることが何もなかった。
彼は報復の見せ物として殺されたあと首を切られた。
フィレンクトは男に視線をやった。
彼はつらつらと話していたがフィレンクトの反応がないのに興味を失ったようだった。
部屋の死体を片づけろと指示をだし、そのままくつろぐために部屋を出ようと考えていた。
フィレンクトは待機姿勢を崩さなかった。
部屋のあらゆる隅にカメラがあり、その映像を男は通信されて見ている。
レーザーを使ったことでそれがわかった。
脳の思考で、瞬時にそれを使うことができる。フィレンクトは隙間を探した。
常に見張っているわけではない。プログラムなら穴は見つからないが、男は通常の人間と同じIQと能力の持ち主のはずだ
.
281
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:20:43 ID:PpHh.7g.0
男は部屋から出ようとする。フィレンクトの沈黙と微動だにしない様子を認めて、そのまま意識から切り離した。
演技といった可能性は思いもよらないだろう。
フィレンクトはこれまで、嘘をついたことがない。
足を動かす。
床を歩き、ドアをくぐろうとする。
死角が生まれるその瞬間を、フィレンクトは待った。
男の身体が横向きになり、完全にフィレンクトを視界から外した。
距離は遠くない。
フィレンクトは流れるような動作で銃を構えた。その動きを室内のカメラは感知し、すぐさま情報を男の脳に送る。
男が振り向くのと、フィレンクトが引き金をひくのは同時だった。
男の脳に埋められた受信と送信の指示機を狙って発砲する。
チャンスは一度だけだった。
.
282
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:23:13 ID:PpHh.7g.0
フィレンクトの反撃にとっさの反射でレーザーが発射されるが、それより弾が頭蓋と肉を砕く方が早かった。
目標の照準はずれて、青冷レーザーはフィレンクトの右肘を焼いた。
じゅっと肉が焼ける音。
神経系統への痛みの伝達。
感覚を遮断。生存本能が低いから、それは日頃から可能だ。
焦げた関節から先が、重りのように揺れて千切れる。
男の方はぐらついた重心を保てず、そのまま足から崩れた。
骨の堅い部位を撃ったため、出血量は少なく意識もはっきりしている。
( ^ν^)「なぜだ……」
( ^ν^)「判断力が低下したのか……」
目眩と感覚の不良。
揺らされた脳が視界を正常に映さない。
身体を司る場所を損傷したためまともに起きあがることも難しいだろう。
.
283
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:23:56 ID:PpHh.7g.0
( ^ν^)「なぜだ。理由を云え。これは明らかに、」
フィレンクトは残っている腕で落ちた手から銃をとる。
それから男の首の動脈を圧迫し、呼吸を困難にした。
もう弾が残っていなく、補充するよりかその方が簡単だった。
男は口を開いて何かを言い掛けたが、軌道をふさがれて顔を蒸気させたあと強く締めたので男はすぐに絶命した。
流れ作業のような行程で死んだ。
.
284
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:24:39 ID:PpHh.7g.0
呼吸の停止を確かめる。
それからはた、とこれは反逆になるのだろうかと考えた。
だが考えただけで終わった。
この男は主人ではなかった。
あの時とただ違うひとつの事柄。
(‘_L’)「彼が、まだ生きている」
冷たくなった男の質問に答え、ようやくフィレンクトはジョルジュの元に駆け寄ることができた。
.
285
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:25:30 ID:PpHh.7g.0
フィレンクトは撃ったときに、防弾ベストを身につけたジョルジュの防御性の高い場所を狙った。
すでに致命的な怪我を負っているため頭といった危険性の高い部位でなくとも疑われることはなかった。
だが布面積で止まったとはいえ衝撃は大きい。
ジョルジュは呼吸をしていた。
小さくけれど必死に。
焼けた肉は傷口が焦げ付いていて血は止まっている。フィレンクトは心臓部位に手をあてる。わずかに心音がした。
.
286
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:26:20 ID:PpHh.7g.0
急に地面への感触が強くなった。
踏みしめる感覚が戻ったのだと知る。
さきほどの男を撃ったときは感覚がなかった。ただ考えをなぞるような行動だった。
それもジョルジュが生存しているから、躊躇することはなかったのだ。
彼が死んでいたらいつまでも置物でいただろう。
.
287
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:27:01 ID:PpHh.7g.0
身体を横たえるとジョルジュは苦しそうに呻いた。傷の具合を見る。
ゆっくりと血は流れていた。焦げた傷口だが、中身の臓器からとめどめなく溢れている。
ネクタイを外し、ジョルジュの胸に巻いて止血を試みた。
抗生物質の紙パックをジョルジュの背負っていた袋からとりだし、注射する。
ここまでひどい怪我は想定していなかった。なかに人が待ち受けているのを知らなかったように。
少しだけ苦しそうな表情が和らぐ。
脳内からドーパミンが出ている。
それで傷の痛みを押さえているのだ。
フィレンクトは考えた。
このまま彼を背負って逃げることはたやすい。
爆薬をこの部屋で爆破させ、大騒ぎになれば負傷者に紛れることができる。
そう考え、実行しようとする。
だが立ち上がりかけて、残った腕を掴まれた。
.
288
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:27:47 ID:PpHh.7g.0
(‘_L’)「……なにか」
ジョルジュは息をはいて、言葉を発しようとしている。
だが肺と心臓は失う血液と損傷した臓器を補おうと活発しているため、なかなか声帯にまで機能が働かない。
見かねたフィレンクトが彼の背中に手をあて、発生の手助けをした。
_
( ゚∀゚)「……どうなった」
記憶が多少混濁している。貫かれたうえに弾丸の衝撃を受けたので無理もない。
.
289
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:28:29 ID:PpHh.7g.0
(‘_L’)「襲ってきたので、撃ち返しました」
事実だけを述べる。
詳しく説明するにはジョルジュの状態は悪すぎた。
いまこうしているだけでも身体は血を流している。
フィレンクトは医者でない。
銃創を受けたときの応急処置と、監禁された場合の栄養補助に関する知識しか持ち得ていない。
だからジョルジュの口を止めるにふさわしい助言を出すことができなかった。
彼は語りだす。
フィレンクトのこれから想定する脱出劇に、加われないことを理解しているようだった。
.
290
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:29:41 ID:PpHh.7g.0
_
( ゚∀゚)「ここ、爆破できるのか?」
(‘_L’)「問題ありません」
_
( ゚∀゚)「そうか……ひとりでも可能、だった、け」
(‘_L’)「ひとりでは」
_
( ゚∀゚)「ひとりだ。こればっか、はしょうがない」
フィレンクトは押し黙る。
これ以上なにを言えばいいのかわからない。選択できない場面には彼はいつも沈黙していた。
それがなぜか今は不快なものに思える。
フィレンクト以外の誰かだったら、現在のジョルジュにかけるのにふさわしい言葉を選ぶことができたはずだ。
.
291
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:30:32 ID:PpHh.7g.0
_
( ゚∀゚)「おまえ、腕どうした、」
(‘_L’)「焼けました」
_
( ゚∀゚)「ぶっ、」
ははは、乾いた、空気をふるわせるだけの小さな笑いだった。
_
( ゚∀゚)「……こんな時も、その顔で、その口調っていうのは、笑えるな」
エンドルフィン過多。意識の異常。
彼はこんな時に楽観になる人物でない。
フィレンクトは肩と腰に手をいれて、ジョルジュを持ち上げようとした。
そのとき初めて失った腕の存在を思い出して愕然とする。
.
292
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:31:23 ID:PpHh.7g.0
_
( ゚∀゚)「どっちかひとつだ。」
ジョルジュが眼を細めてそう吐いた。
彼の短縮した言葉の表現にいつも面食らったフィレンクトだが、その時はすぐさま理解する。
片腕でも設置は可能。
しかし時間はだいぶかかるだろう。
ジョルジュをかついで逃げる時間はない。
_
( ゚∀゚)「俺は置いてけ。弛緩してるし、もう感覚がないんだ。」
嘘だ。
だが指先は冷えている。血はいまだ少量ずつだが、止まっていない。
フィレンクトは立ち尽くした。
いままさに、ジョルジュが死にかけている。それを救う手だてが自分にはない。
何でもできるはずだった。
ジョルジュが居ればなんでも。
だから引き金を弾けたのに。
.
293
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:32:06 ID:PpHh.7g.0
_
( ゚∀゚)「おい、」
呆然と彼を見下ろす。
本来ならこの後のことを聞かなければならない。
その計画を完遂させるために。
_
( ゚∀゚)「お前、死ぬなよ」
ジョルジュがそう命令する。
それで思考が現実に引き戻された。
命令形。
フィレンクトが従うべきもの。
フィレンクトは動かない。
ジョルジュが具体的な命令を出していないからだ。
連れていけないと遠回しに言われたが、何かをしろ、早くいけなどと言われたわけじゃない。
それを口にされることを恐れた。
.
294
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:32:48 ID:PpHh.7g.0
緊張の面差しで、ジョルジュの顔を眺める。
もう血の気もない。
_
( ゚∀゚)「俺が殺すまで、絶対に死ぬなよ」
はい、と答えることができただろうか。
なにもかもが遠くに思える。
たとえばジョルジュの長引く間隔の呼吸とか。
絨毯に確かに量を増やして染みていく血とか。
_
( ゚∀゚)「ああ、くそ」
「ぜんぶ、壊してくれ」
壊してくれ。
.
295
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:33:30 ID:PpHh.7g.0
悔しそうに彼が顔をゆがめる。
その一瞬は生に溢れるように見えた。
ペニサスに悪態をつく普段の顔とまったく同じに見えた。
ちくしょうと口のなかで呟くとフィレンクトに眼だけで頷かれる。
この後を頼むと伝えたようだった。
彼は最後に小さく発音すると眠りに落ちる間際のように眼をつぶる。
最後の言葉は小さすぎて聞き取れなかった。
女の名のようだったが誰なのかを特定するのは難しかったし、フィレンクトにその気はなかった。
生きている方とも限らない。
.
296
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:34:16 ID:PpHh.7g.0
(‘_L’)「はい」
.
297
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:34:58 ID:PpHh.7g.0
.
298
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:36:23 ID:PpHh.7g.0
( ´_ゝ`)「wwwwwwww」
( ^ν^)「やかましい」
( ´_ゝ`)「なにもwwww言ってないのにwwww」
( ^ν^)「……」
( ´_ゝ`)「ゴメンゴメン。でもよかったじゃん。ああなって欲しかったんだろ?」
( ^ν^)「あそこまで極端なものを求めたわけではない。忠義心があるわけでもないし、すぐに死ぬ相手に操をたてるのは論理的でない」
( ´_ゝ`)「なにそれwwwちょう理不尽www」
( ^ν^)「やめろ不快だ」
( ´_ゝ`)「はーい」
( ´_ゝ`)「でもさーかっこよくない?」
( ^ν^)「事実は小説より奇なり。あれが従うかわからんが好むのは多いだろうな。だが管理は難しいだろう」
.
299
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:37:32 ID:PpHh.7g.0
( ´_ゝ`)「なんで?」
( ^ν^)「死ぬと理解していながらそちらを選んだんだ。戻ると思うか」
( ´_ゝ`)「居なくなったんなら戻ってくるんじゃない?新しい主人欲しくてさ」
( ^ν^)「今まで主人の遺言を聞かされた者など居ない。切り替えのよものなら忘れることもできそうだがアレはもう限界だろう。次にシェーカーを使えばどうなるかわからん」
( ´_ゝ`)「処分するの?」
( ^ν^)「貴重なデータは取れた。
欲を言えばもっと頭を使ってほしかったな。駆け引きにたけるような」
( ´_ゝ`)「そいつは無理な要求だ」
.
300
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:38:27 ID:PpHh.7g.0
( ^ν^)「なぜ。主人を守るためにボーイの真似事だってしている。あの男が花を使って侵入するのを思いつけたはずがない。
そこまで柔らかな思考ができるならもっとうまく動けるはずだ」
( ´_ゝ`)「大事なこと忘れてない?
あの場面であいつの主人はもう死にかけてた」
( ^ν^)「だからだ。主人の次を見据える行動を取れなければいけなかった。
心中されては何のために監視していたのか意味がなくなる」
( ´_ゝ`)「うーん」
( ´_ゝ`)「あいつけっこうすごいとこあるよ?」
( ^ν^)「評価できる点はもうない。
変わり種ということなら面白いが」
( ´_ゝ`)「いや、そうじゃなくてさ。……なにか聞こえない?」
( ^ν^)「なにも」
.
301
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:39:31 ID:PpHh.7g.0
関節さきの焼けた腕、肉と骨が切断され露出している。応急手当をしてからしばらく考えこんだ。
ジョルジュからの最後の命令。
それを考えることだけがフィレンクトのすべてだった。
爆発物を設置して。結果はどうだろうか。
上階の一部分を崩すだけでは足りないように思えた。彼はぜんぶと言った。
すべて。
この世のすべて。
フィレンクトは考える。何もかも終わったら自分の世界も終了してしまう予感に襲われた。
まだその時ではない。
恐ろしい予感を先送りにして、どのように箇所を決めるか悩んだ。
ジョルジュの希望を叶えようとすると、この階では不十分。必要な知識を探り出す。
見取り図、耐震設計、加重の要点。
軍にいたことはないから爆発作業は初めてだ。それでもこれは成功させなければいけない。何としても。
.
302
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:41:12 ID:PpHh.7g.0
( ´_ゝ`)「ねー、これからどうすんの」
不規則な動きで、跳ねてくる男がいる。
彼に殺意はないようだった。武器は携帯していないし、脳内のコントロールシステムもない。フィレンクトは振り向かなかった。
彼に構っているヒマはない。警戒だけとって、考えを実行に移そうと荷物を持って歩き出す。
( ´_ゝ`)「麻痺してんのかさせてんのか知らないけどさ、それ治療したら?」
そう言って携帯ボックスを投げられる。
なかには一揃い怪我に必要なものが詰められているものだ。即座に手当ができるように。
.
303
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:43:02 ID:PpHh.7g.0
フィレンクトは痛み止めと血止めだけを使った。縛っただけでは滴りを止められず、床にてんてんとしずくが落ちるのでそれは有り難かった。
( ´_ゝ`)「逃げたほうがいいぜ。もう用済みらしいし」
男は一定の距離をとってフィレンクトを追いかける。彼の目的が何か分からないが、警戒すべき相手でないのは確かだった。
今までもこれからも、彼は傍観しかしていない。
なぜここに居るのか。監視するにしてもフィレンクトが男を殺したとき何の手だても取らなかった。
だから危険はなさそうだと判断した。
事実、同じエレベーターに乗っても彼は行動を起こさず、鼻歌を歌ってフィレンクトを面白そうに見ているだけだ。
( ´_ゝ`)「?逃げないのか」
304
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:44:21 ID:PpHh.7g.0
フィレンクトはある階層に止まり、その先へ進む。
やるべきことがあった。それが最優先。
逃亡は最後。
ペニサスにジョルジュのことを報告するという意志がなければ、その逃亡も考えなかった。
ガラスの壁からビルの側面を確認する。
ちょうど真正面、隣接するビルが建てられている。
.
305
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:45:43 ID:PpHh.7g.0
● ●
�������������� ●������ ●������ ●
● ●
フィレンクトたちが居るのは右上のビル。
306
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:47:17 ID:PpHh.7g.0
この一つでも巨大なビルが崩れれば足下にいる準国民たちが大勢死傷するだろう。
そのためにフィレンクトは重心の柱を選んだ。より多く、ではない。より広範囲に。
ジョルジュの望み通りに。
( ´_ゝ`)「貸せよ」
隣の男がいつのまにか下ろした荷を探っている。フィレンクトは無機質な視線でそれを眺めた。
.
307
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:47:59 ID:PpHh.7g.0
彼は楽しそうだが、また事務的でもあるという矛盾した様子だった。
にい、っと口のはしをあげる。
覚えてで、笑顔の練習でもしているような顔で言った。
( ´_ゝ`)「手伝ってやる」
.
308
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:48:49 ID:PpHh.7g.0
.
309
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:50:03 ID:PpHh.7g.0
( ´_ゝ`)「ねえ何か聞こえるだろ?こっちからよく見えるもん」
( ^ν^)「一定の騒音は遮断されている。こちらの硬質ガラスは外から何も影響は受けない」
( ´_ゝ`)「ふふ。知ってるさ」
( ^ν^)「……機嫌がよさそうだな」
( ´_ゝ`)「俺はじめてかもしんない。なんかスキップして外でちゃった。」
( ^ν^)「いまどこに居る」
( ´_ゝ`)「だからさ、外」
( ^ν^)「さっさと帰ってこい。破壊行為に及んだ場合巻き添えを食らうぞ。いま部隊を送ったからじきに」
310
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:51:02 ID:PpHh.7g.0
( ´_ゝ`)「もう遅いって」
( ´_ゝ`)「聞こえないの?あの音」
( ´_ゝ`)「便利さの弊害だね。一番上だから逃げるのもできないでしょ」
( ^ν^)「……さっきから何を言っている」
( ´_ゝ`)「ヘリポートは使えないよ。一番最初にやられる場所だし。観察が終わったから映像をまとめて切ったのも痛かった。
これから何をするにしても行動は予想してるんだっけ。でもさ、思想を制限されたわけでも、倫理感があるわけでもなくて」
( ´_ゝ`)「主人の為に120%の力を出すように育てた結果、その主人を無くしたらどうするのかを予想してなかったでしょ」
.
311
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:52:25 ID:PpHh.7g.0
( ^ν^)「最後の命令をやり遂げるだけだ。どうせそれを終えれば動かなくなる」
( ´_ゝ`)「効率だけ考えるとさ、発想がすごいんだよね。さすがナンバーズを殺しただけはある。
あいつにとってもう俺らは仲間じゃないし、所属じゃないんだ。アンタは主人でもない」
( ^ν^)「結論から言え。何が言いたい」
( ´_ゝ`)「だめだめ。俺は時間かせぎしてるんだから。どう頑張っても俺はアンタを殺せない。
でもアンタが望むのはそういうことなんだろ?じゃあ間接的にだけどそうであろうとしてるんだよ、だって」
( ´_ゝ`)「まさかドミノやろうだなんて、思いつくわけないじゃないか」
.
312
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:53:14 ID:PpHh.7g.0
一点の重心、加重のある側面を吹き飛ばす。傾いた上階はまるで折れたように寄りかかろうとするだろう。
隣のビルに。
本来なら複数にわけた爆発物をすべて同じ場所で爆破させる。それで支えていた柱を崩し、途方もない重さの壁とコンクリートが落ちる。長さがあるから、そのまま下に落下することはない。
ビルの先端、屋上付近から長さのある廊下のぶんだけ振り下ろす衝撃は強くなり、数万トンの拳が隣接するビルの側面に打ち下ろす。
外から眺めている人々にとっては衝撃の、中に居る者たちは阿鼻叫喚の一夜になった。
.
313
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:54:23 ID:PpHh.7g.0
勢いをつけて落ちてきたビルの上部分を、ほとんど真っ逆様に受け止められず隣のビルは強く揺れた。
このビルの上階に深く突き刺さり、これもまた側面から折れるようにして崩れた。
この時隣ではなく、落ちてきたビルの真後ろに倒れることになった。つまり中央の。
破片と黒い煙。火災が起きてケーブルが切れたために電気事故まで誘発する。
人々は逃げまどうしかできなかった。
.
314
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:55:51 ID:PpHh.7g.0
「見える?そっから一番いい景色だと思うけど」
彼はすぐさまウィンドウのカーテンをONにした。いつもなら夜景の眼にうるさすぎる光がわずらわしいのに、そのときガラスは闇一色だった。
静寂のなかに亀裂が入る音がして、グレネードを使われても割れないはずのガラスが白く線条に広がるのをみた。
巨大すぎて何が降ってきたのかさえ肉眼ではわからない。
ただ質量の途方もなく大きなものが、部屋ごと彼を押し潰そうとしていることだけを理解した。
.
315
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:56:45 ID:PpHh.7g.0
( ´_ゝ`)「バイバイ、父さん」
できることは何もなかった。
ただ本能に従い彼の身体は硬直する。
一瞬の間、耳にその声だけが入る。
何かを叫んだはずだが言葉にならなかった。
頂点にいるはずのナンバーひと桁。
栄華を極め、権力を手にして彼を脅かすものは何もないはずだった。
そんな彼は死を選択できることもなく、単純な肉塊に成り下がる。
.
316
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:57:39 ID:PpHh.7g.0
( ´_ゝ`)「絶景だなあ」
遠目から見ると感動すら覚える景色だった。折れた象徴のビル、まるで黙示録のようで。
.
317
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:58:46 ID:PpHh.7g.0
崩壊するビルは連鎖して崩れる。
ドミノのようにすべてが倒れるようにはいかなかったが、隣接している建物にそれなりに被害は与えている。
これから起きることを考えた。
耳元の無線は通信が切れて。
もう生きていないだろう。
結局あの男が求めていたのは何だったのだろうか。最後の瞬間、不明瞭なわめきしか聞こえなかった。
こうなる事を予想しなかったというのはじつに興味深い。
それを見通していた自分も。
( ´_ゝ`)「俺はアンタの求めるなにかになれたかな?」
まだ個々の意識はない。
兄者は希薄で、理解できないからそれを探そうとしていた。
.
318
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 04:59:53 ID:PpHh.7g.0
同時刻
.
319
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:00:35 ID:PpHh.7g.0
('、`*川
ペニサスは同じく屋上からそれを眺めていた。もう長い時間、通信が途切れていたから期待はしてない。ただその破壊の巨大さに驚いて笑う。
('、`*川「ずいぶんでっかい花火じゃない……」
どちらかは死んでいる。
その片方はジョルジュである可能性が高い。
彼が生きているなら、フィレンクトはそんな事をしなかったはずだ。
なぜならそれは自爆行為に似ているから。
被害が大きすぎて逃げるのも大変なはずだ。現在組織の一端は町を襲撃しているから、彼らも被害を被ったかもしれない。
どちらにせよジョルジュのやる事にしては、派手すぎる。
.
320
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:03:03 ID:PpHh.7g.0
「こうなるって、わかってたのか」
後ろに立たれて、息を飲んだ。
足音を消されるのはいい気分ではない。
ペニサスは自分のたち位置を知っているから余計に。
('、`*川「必ず成し遂げるって思ってたわ。まさかここまでとは思わなかったけど」
(´・_ゝ・`)「……三十人以上死んだ。まったく警戒してなかった所でだ」
('、`*川「は?ちょっとまってよ、場所は下町のとこでしょ。なんで上町で被害がでるのよ」
('、`*川「……勝手に行動範囲を広げたわね」
.
321
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:03:44 ID:PpHh.7g.0
(´・_ゝ・`)「チャンスだった。銀行も地下マーケットも手薄だ」
('、`*川「信じらんない。やっぱあんたに統率は無理よ。ジョルジュが帰ってきたらきつく処分するように云うから!」
(´・_ゝ・`)「帰ってくるのか」
雰囲気に気がつく。目線がゆらゆらと揺れて、落ち着きのない様子だった。
ペニサスはこの男と関係があまりよくない。
彼は自分を信用しておらず、自分は見下している。手を出されないのは強く能力のあるジョルジュが居るから。それでもこの時はまだ、彼を侮っていた。
ペニサス有能すぎた。
.
322
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:04:43 ID:PpHh.7g.0
('、`*川「来るに決まってるでしょ。あいつは英雄よ。」
(´・_ゝ・`)「そうか……」
('、`*川「ちょっと、なにーー」
考えているのか。その問いは男の熱い息にかき消された。
.
323
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:05:29 ID:PpHh.7g.0
瓦礫が車も店も押しつぶす。
あとには騒乱と悲鳴と苦しみの死だけが残った。フィレンクトは片腕をかばいながら歩き続ける。
そのうち救援隊の一人から毛布をもらい、治療を固辞してそのまま去った。
汚れた煙、まだ黒煙は鎮火していない。
ざわついた人々の声であたりは騒がしい。
時期にここも崩れるだろう。フィレンクトは置いてきたジョルジュのことを考えた。
最後にみた彼は豪奢な部屋でひとり血に塗れていた。連れて帰ることは適わない。
あの死体は傾いたビルと共に落ちていっただろうか。まだ命令は遂行していない。
.
324
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:06:17 ID:PpHh.7g.0
ぜんぶ壊せと言った。だからフィレンクトは歩く。振り向きもせず、そのまま進む。
一度帰るつもりだ。それから健康状態を確認し、休眠をとって再び。
ーーーどこに帰ればいいのか。
そう思うと足は止まりそうになった。
とりあえずペニサスの顔を思い出す。
彼女の指示に従わなくてはいけない。
でなくば、ジョルジュの望みを遂行できない。
通りを進み、交通渋滞に巻き込まれながらなんとか電子車を確保した。
通路を通って隠れ家に急ぐ。
このとき外に居る見張りが異常に少ないことに気がついた。
.
325
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:07:19 ID:PpHh.7g.0
治安は安定していないとはいえ、ここらは縄張りごとにルールがある。ジョルジュがまとめ上げた男たちは、数ブロックごとに立っているはずだ。その兵隊たちがいない。
いつもと違うことは、フィレンクトの警戒を呼び覚ます。そういえばジョルジュが居ないのだ。
フィレンクトをもう仲間と認識するものはいないかもしれない。
心配は杞憂だった。建物内には人がいない。出払っているようだ。
恐らく混乱中の略奪に出かけたのだろう。
こんな時でないと、品物は手に入らない。
それでもこの少なさは異常だった。
留守を預かるのがひとりも居ないというのは。
フィレンクトはその時はじめてここに、何も変わらずに帰ることを想定していたのだと気づく。
隣にジョルジュを連れて、ペニサスが迎えてくれるような。
.
326
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:08:36 ID:PpHh.7g.0
内部はしんとしていて、静かな靴音だけが響く。誰も居ない、そのまま背を向けて探しに行こうかと考えたが、奥の部屋の扉がわずかに動いたのを視線にとらえた。
警戒しながら進んでいく、潜むような気配はなかった。
フィレンクトはドアをくぐる。
そこに彼女が居た。
327
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:10:35 ID:PpHh.7g.0
('、`*川「……おかえり」
彼女はちらりとフィレンクトの失った腕を見る。
('、`*川「結構痛いことになってるのね。おいで、義手つけたげる」
歩きだす。
しかしその歩みはふらついている。
重心も定まっていない不安定な歩みだ。フィレンクトは何も言わず後ろをついていく。彼女を支えるのは義手を受け取ってからでもできる。
.
328
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:11:23 ID:PpHh.7g.0
('、`*川「地雷とか、そういうので欠損するのも多いのよ。土地を取られたくないって地主が仕掛けてね。犠牲になる大半がその辺に住んでる人らなのに」
倉庫の鈍い明かりのなか、ペニサスはいくつかある腕のサイズを選んでフィレンクトの肘にあてる。
断面の手当はすませてある。
癒着させるにしても傷をカバーさせてからでないといけない。
('、`*川「これでいいわ。ぴったり」
ペニサスが選んだ義手は銀色の継ぎ目がないものだった。フィレンクトには違いが分からない。
どうせなら肌色のものがよかったのだが、ペニサスは穏やかに首を振った。
('、`*川「これはね、神経系を繋げて指先まで操作できるタイプなの。確かに肌の色に合わせるものもあるしその方が多いけど、それに比べて動作がなめらかなのよ。
つかむ、にぎる、広げる、つまむ、その他小さな可動も違和感なく行えるわ。見た目より性能がいいの」
.
329
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:12:05 ID:PpHh.7g.0
神経を繋げるときだけ痛みと震えがあった。まるで凹凸のようにへこんだ部位に義手がはめられる。
はめた直後から指までは動かなかったが、手首は動かせた。
手術で人工の手足がつけられるので、その場しのぎとしては優秀なものだ。
腕を上げ下げしてその具合を確かめる。
違和感はあるがその内慣れるだろう。
銃の扱いも可能かと指を動かす努力をしていると、ペニサスが壁にもたれかかる。
そのまま足下が力をなくして、崩れ落ちた。
330
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:13:10 ID:PpHh.7g.0
ようやくフィレンクトは彼女の状態に気がつく。
腹部の衣服を破ると包帯と医療用のテープで膿んだ傷口を巻いているのがわかる。
フィレンクトはキットを取りに行こうとした。義手のおかげで彼女を運べる。
感染症を抑えるために抗生物質を注射しすみやかに医療機関に運べば容態は安定するはずだ。
隠れ家に医療部屋はついているはずだが誰ひとり居ない状況であてにはできない。
フィレンクトは焦っていなかった。
だがなぜペニサスがこの事を隠すようにしていたのか検討をつけることもできなかった。
331
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:14:03 ID:PpHh.7g.0
('、`*川「……要らない」
(‘_L’)「離してください」
('、`*川「そばに居て」
貴方を助けられない。
そう続けようとしたが、ペニサスの言葉で黙った。
彼女はいま不安になっている。抱えて移動しようと考えると、ペニサスが続けて言った。
('、`*川「もういいの。助けなくていいのよ」
フィレンクトは動きを止めた。
.
332
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:15:10 ID:PpHh.7g.0
再び分からなくなる。
常時であれば教わったマニュアルであれば緊急時の救急行動は当然のはずだ。
手を動かそうとした。
彼女を抱えて部屋を出る。
治療できる場所に。
だがその行為は彼女自身の手に押し止められた。
フィレンクトの戸惑いを理解するかのように柔らかく笑う。
これまでの挑発めいた、生き生きとしたものでない。その優しげがフィレンクトには恐ろしく思う。
変化はこれまでフィレンクトに多大な負荷しかかけなかった。
.
333
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:15:59 ID:PpHh.7g.0
('、`*川「ジョルジュになんて言われたの?」
(‘_L’)「壊せと」
ALL。すべてを壊せと。
フィレンクトはまだ一部しか達成していない。だからその後の指示を彼女から伺うつもりだった。
ペニサスならジョルジュの意見に賛同してくれるだろうと。
('、`*川「……そう」
予想とは反対に彼女は呟いただけだった。
334
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:16:49 ID:PpHh.7g.0
('、`*川「ねえ、聞いていい?」
彼女が手を握る力が強くなる。
ゆるめるとそのまま無くしてしまいそうな握力だった。
ペニサスが伺いをたてるなど珍しい。
どうぞ、と促す。
('、`*川「なんで最初っからアタシを警戒してたの?」
(‘_L’)
335
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:17:54 ID:PpHh.7g.0
ペニサスの顔を見たことがある。
化粧でいくらか違っているが整形をしたわけでもないので目鼻立ちは変わっていない。
どこかで知っている顔だった。
恐らく条件付け。無意識の行動をテストされるその場に彼女が居たのだろう。
断片であるが、白い壁紙と白衣をきた黒髪、赤い口紅は鮮烈に覚えている。
それは痛みと一緒になって片隅に残っている記憶だった。
336
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:18:51 ID:PpHh.7g.0
('、`*川「そう……アタシは覚えてない。
あんたちは生産されるえんぴつみたいなものだったから。流れ作業よ。
いちいち把握してられないわ。」
('、`*川「……でもそっか。だから怯えてたのね。自業自得。これアタシが企業に居たこと知ってる奴にやられたの。
ジョルジュが居なくなれば暴走するだろうなって思ったけどいくらなんでも早すぎるわよ」
(‘_L’)
('、`*川「……やっぱりあんたは優秀なのね。きっと全部覚えてるんだわ。
だからって思い出すのは危ないからやめなさい。いまみたいに、ちょっと知ってるくらいでちょうどいいの」
まばたきしてほうっと息を吐く。
ペニサスはフィレンクトの無表情の頬を撫でた。
それからジョルジュに向けるのと同じ笑顔を向ける。
.
337
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:19:59 ID:PpHh.7g.0
('、`*川「ほかには、ジョルジュは何て?」
(‘_L’)「殺すまで死ぬなと」
難解な言葉だった。
ジョルジュの最後の命令で、フィレンクトを縛りつけるもの。
しかしその縛りが無ければ溶けてしまいそうなのも事実だ。
だから命令先をペニサスに向けたかったのに、彼女は満足そうに笑う。
.
338
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:21:13 ID:PpHh.7g.0
('、`*川「あいつらしい。そうよ、ジョルジュに殺されるまでは生きなきゃ駄目よ。
仇なんだから」
フィレンクトの後ろ髪に指を通しながら楽しそうにそう言う。
ペニサスの状態は悪くないがけっして良いものでもない。
輸血をしてないだろうからそろそろ意識が混濁して気を失ってもおかしくないのだ。
だがフィレンクトが彼女を持ち上げようとするとそのたびに制止する。
.
339
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:22:25 ID:PpHh.7g.0
('、`*川「ねえ、優秀な殺し屋はキスで殺すのよ。知ってた?」
耳元でそう囁かれる。
フィレンクトは彼女の望みを理解した。
これほどまでに抵抗にあらがいたい命令はなかった。
ジョルジュが生存なら何が何でも拒否し、そのまま連れ去った。
ジョルジュが許すはずがないから。
だがもう彼は居ない。
ペニサスは生を望んでおらず、フィレンクトは彼女に従いにやってきた。
緩慢に彼女を引き寄せる。
.
340
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:23:40 ID:PpHh.7g.0
いままで数え切れないほど行ってきた行為だった。カフェで、バーで、パーティで。
もれなく相手は美女で、フィレンクトに抱きしめられることを望んでいる。
ペニサスもただそれを待っていた。
針は両袖に仕込んでいた。
シンプルな分何にでも使えるから。
フィレンクトはペニサスに顔を寄せ、そのまま口づける。
341
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:25:15 ID:PpHh.7g.0
彼女が息を飲んだ一瞬のあいだを狙って首の頸椎に突き刺した。
痛みは少しの間だけ、すぐに意識が飛んでまぶたが落ちる。
生理反応で身体がびくびくと痙攣する。
その反応を抱きしめていた。
彼女の体温が無くなるまで、ずっと。
.
342
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:26:15 ID:PpHh.7g.0
終章
そして 誰も いなくなった
.
343
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:27:26 ID:PpHh.7g.0
フィレンクトはしばらくの間停止していた。
抱いている柔らかな身体がゆっくり冷たさを増していき、堅い肉に変わるまで。
思考も冷えたように固まった。
従うべき人間が欠如。
考える。
だが考えは堂々巡りになり、答えの出ない計算は苦痛しかなかった。
ジョルジュの不在。
順位は繰り下がりペニサスが準になるはずだった。
その彼女はフィレンクトの腕のなかで覚めない眠りにある。
.
344
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:28:38 ID:PpHh.7g.0
無意識に武器をさがした。
自分の頭を吹き飛ばしたときの、少しの間完全に己を消失していた。
その間記憶もなく、不安もなく、命令もなかった。
無いことが安心につながりそうだったが、ジョルジュの言葉を思い返す。
死ぬつもりはなかったが、自己で管理できない肉体の破損は死に直結する。
行動は起こせなかった。
.
345
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:29:59 ID:PpHh.7g.0
(‘_L’)
フィレンクトはペニサスをゆっくりと床に寝かせた。
それからぐるぐると動き回る。
考えるときはじっとしている方が効率的のはずだが、なぜか猛るような衝動でそれができなかった。
ジョルジュが居ない。
ペニサスも居ない。
ジョルジュの命令ーー壊すこと。死なないこと。
彼が殺しにくるまで。
第二の命令は実行不可だ。彼は死んだ。死人は行動できない。
それなのになぜ彼はあんなことを?錯乱にしては落ち着いていた。
落ち着いてフィレンクトに指示をした。
.
346
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:31:14 ID:PpHh.7g.0
ならば彼の命令だ。遂行しなければいけない。
だがもう彼がいない。
成果を報告できない。これからの命令をもらえない。
離れるだけならいくらでも待っていられるのに、帰還予定がないことはーーーとてもとても、困る。
思い返す。フォックスの時は彼が居た。
そしてあの瞬間に彼を選んだ。
選んだからには命令をそのまま実行しなければならない。ならない。
(‘_L’)
.
347
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:32:17 ID:PpHh.7g.0
フィレンクトは死んではいけない。
ジョルジュが殺しにくるまで。
フィレンクトは壊さなければいけない。
ジョルジュが望んだ通りに。
矛盾はない。
ただジョルジュの望みを叶えるためにはしばらく生き延びて、武器と情報を調達できるようにならなければいけない。
そのためには他の主人を見つけれることができない。命令は遂行中であるから。
フィレンクトは考える。
すべてを壊さなければいけない。
いまある命令をこなさなければ、この喪失した何かを埋めることができない。
だがそれはこなしただけで埋められるだろうか。
.
348
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:32:59 ID:PpHh.7g.0
恐ろしかった。
予感だけでフィレンクトは動けなくなる。
死を看取ってしまったから。
だがフィレンクトの足を動かすのも彼の命令だけだ。
立ち止まり、歩き、また立ち止まるを繰り返しているといつしか行動の予定を考えていた。
現在テロの収縮を計っているはずだがレジスタンスの抵抗で収まってはいない。
数時間後には制圧部隊が押し戻すがそれまではほぼ無法地帯だ。
片腕の市民は保護区に送られる。
それに紛れて一度土地を離れる。
早く逃げなければ手配される。
フィレンクトの行ったことよりも所属していた身分が明らかになるほうがまずい。
全力をあげて捜索されるだろう。
いまから逃げ出して間に合うかどうか。
計画をたてると恐ろしかった予感が一時的に薄らいだ。
やはり考えることはない。
ジョルジュの命令だけを覚えていけばいい。
(‘_L’)
.
349
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:34:11 ID:PpHh.7g.0
フィレンクトは気がつかない。
これは彼の希望で選んだ選択だった。
フィレンクトは認識していない。
だが初めてあげた産声だった。
ジョルジュへの、再認識、恐らく好意。
希望、彼の望み。
.
350
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:35:14 ID:PpHh.7g.0
フィレンクトは
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351
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:36:33 ID:PpHh.7g.0
������������
((‘_L’))
移送されるトラックのなか、太陽よけのローブをかぶって顔を隠す。
シティは黒い粉塵にまみれて、それでもきらびやかに輝いていた。
無くなった柱は三本。
すべてを倒すにはまだ足りない。何もかも。
道徳を学んでこなかった。
フィレンクトにとってはそれが正しく、なすことなので疑いようもない。
光に反射する銀の義手に表情のない顔がうつる。
唇がうごいて、誰かの名を発音した。
はじめて呼んだ、主人の名だった。
.
352
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:37:15 ID:PpHh.7g.0
フィレンクトの章
.
353
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 05:42:12 ID:PpHh.7g.0
いったん終わりです。
近日再開とかいっておきながらながくあけましたごめんなさい。
不謹慎な展開になっていきますがあくまでフィクションでお願いします。
いろいろ話を考えていたんですが、日本人人質事件とか思いっきり考えていたこれからの内容と被ったりするので、ブーン系といえどこれはいいのかな…と悩んでおりました。
まだこれから別のタイプで話を続けていくのでながい目でみてくださるとうれしいです。
支援絵、ありがとうございます。滅茶苦茶うれしいです。プロ並じゃないですか本当に。
354
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 12:45:53 ID:IHllkrdg0
乙、雰囲気大好きだ
凄く格好いい
続き何時までも待ってますぜ
フィレンクトは何処に向かうのか
355
:
名も無きAAのようです
:2015/02/24(火) 13:08:31 ID:SfCkuqGQ0
おつ!行く末が気になる〜
356
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 00:23:06 ID:ErF7fB1.0
乙!!
ずっと息を詰めて読んでた、精緻を極める心情の描写がすごく好きだ。
次の章が待ち切れない
357
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 17:01:23 ID:G70FSCNc0
これで完結でもいいくらい濃厚な章だった
続きもわくてか
358
:
名も無きAAのようです
:2015/02/25(水) 18:52:12 ID:pX.mBppY0
乙
マジかよまだ続くのか
すげぇボリューム
359
:
名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:18:47 ID:r/TBeVGs0
残酷描写注意
三、四章でたぶん終わります
360
:
名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:20:58 ID:r/TBeVGs0
彼女の章
.
361
:
名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:21:47 ID:r/TBeVGs0
男の子って何でできてる?
かえるとかたつむり、子犬のしっぽ!
.
362
:
名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:22:35 ID:r/TBeVGs0
( ´_ゝ`)
マッチをすってたばこに火をつける。
この頃はレトロなものが流行っているらしい。火だねに香のようなものが混ざっているらしく、たばこと香木の匂いがまざる。
貰い物だけど、これはもう使わないな。
飲み込んで、肺に入れる。
それを鼻からだす。味わい深いが、味覚がおかしくなるし、鼻も聞かなくなるだろう。
もう戦闘に直接立つことはあまりないのだが、染み着いた習慣は疎かにはできない。
.
363
:
名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:23:18 ID:r/TBeVGs0
普通の人間のように擬態していると兄者の耳に靴音がきこえる。
砕けたコンクリートが散らばる道路を歩くための、作業靴。
ひょいと顔を出した男は知っている顔。
数日まえに部下としてよこされた男だ。
( ^ν^)
これがいまの兄者の連絡係り、端的にいえば見張り役だ。
ただし末尾の者らしく、その価値は遺伝子情報にしかない。
.
364
:
名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:24:06 ID:r/TBeVGs0
( ^ν^)「あのー兄者さま、突撃隊の責任者らしき者がぜひ会いたいと言っているんですが」
( ´_ゝ`)「何の用件?」
( ^ν^)「恐らく膠着状態を改善する案ではないかと。突入を抑える気配もありますし」
( ´_ゝ`)「?なんだってそんなことするんの」
( ^ν^)「いやー関係者の身内が人質になっているようです」
( ´_ゝ`)「はあ?嘘だろ。そんなことで計画変更できるもん?」
( ^ν^)「人情的にはだいぶアリです。むしろその案でいこうとしてます」
( ´_ゝ`)「……ばっかだねー。人質とられた時点で詰んでるし、むこうも殺す気ないんだから突入しかありえないのに」
.
365
:
名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:24:48 ID:r/TBeVGs0
( ^ν^)「ないんですか?では何のための?」
( ´_ゝ`)「要求通すためだよ。いま撤退したら調子に乗ってどんどん侵攻してくるぞ。領土さえ占領すれば勝ってるって思うんだから」
( ´_ゝ`)「仕方ないなあ。みんなこんなにバカだと思わなかったよ」
移動用トラックと住居用トラックがいくつも並べられて、道路を占領している。
崩れたビルの破片はまだ撤去されていない。襲撃のさいにこれらが身を守るたてになるからだ。
.
366
:
名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:25:34 ID:r/TBeVGs0
いまだ治安は安定していない。
むしろこれからが本番だった。本社からの増援は距離という問題で遅れていた。
敵はこのわずかな時間を狙って、土地と建物、貨幣価値のあるものを奪いにきている。もともと企業グループが町を安定させていたときは、整備されていない住民外に潜んでいたのだが。
多数のけが人と死者で警備が不十分なところを狙いにきていた。
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367
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名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:26:17 ID:r/TBeVGs0
( ´_ゝ`)「あんたがリーダー?」
( ФωФ)「責任者か」
兄者住居トラックのひとつ、連隊の責任者らしきナンバーを見つけてなかにはいる。
彼らは傭兵団。
企業でなく、軍人でもない。どこにも属することなく雇われて働く。
その多数は地元民でなっている。
ただし一度外国に出たものや、教育を受けているものなどで、知性は高い。それに国派でもあった。企業の汚職やそれに癒着する政党とはまったく別物として活動している。
戦国時代なら彼らは優秀な家臣か、地方領主に収まっていただろう。
そして彼らの現在の不満はおそらくどこにでもある方針の違い。
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368
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名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:27:03 ID:r/TBeVGs0
( ´_ゝ`)「えーと討論形式でいくね。しゃべるのは順番こ。矛盾がないように、興奮するのも感情的になるのもだめ。
個人的なことで隊を動かすのは許さないし、こちらの命令に従わなければ支援しません。わかった?」
( ФωФ)「いいだろう」
( ´_ゝ`)「まずなにを要求してるの?」
( ФωФ)「……そちらのきわめて非人道的な行為について、即刻中止願う。人質とテロリストを同じように射殺するなんて国連の倫理協定に違反する」
( ´_ゝ`)「バリケードを作って攻め入ろうとしてたやつらのこと?人質に銃もたせてたからあれはノーカン。間違えられても仕方ない。非人道行為を問いつめるならテロリストに直接いってくれ。こちらの対応は適切である」
( ФωФ)「では、少年少女隊をためらうことなく発砲したのはなんといいわけするつもりだ」
369
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名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:27:47 ID:r/TBeVGs0
( ´_ゝ`)「世界の半分は未成年の兵士で循環してるんだぜ。人類皆平等。命の尊さに区別なんてつけられないって。赤ん坊も子供も大人も老人も。
そもそも使うほうが悪い。正当防衛を行使できなけりゃこっちがやられる。アンタだって銃もってたらうつだろう?」
( ФωФ)「加減をするのがまっとうというものだろが!!やりたくてやってるわけではないのだぞ!!せめて投降を待つべきだった」
( ´_ゝ`)「無茶いうなよ。向かいあってる俺らと身内みたいなやつら、どっち信じるかなんて分かり切ってるだろうが。
むしろ未成年のほうが純粋なぶんタチ悪いんだぜ」
( ФωФ)「……このさき、人質を救出する気はないということか」
( ´_ゝ`)「特別な法案も先日通ったんでね。たとえば飛行機とか、ハイジャックされたら打ち落としていいってことになった。さらに被害を出すよりましだろう?そもそも人質だって同じ部族やつらが混じってるんだから逃げようと思えば逃げられたさ。」
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370
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名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:28:30 ID:r/TBeVGs0
( ´_ゝ`)「それに人質が意味ないって早めにわからせておかないと、ずっとこの調子で脅迫に屈しちゃうの?そっちのほうが不毛じゃない?」
( ФωФ)「……貴様の言葉は机上の空論でしかない」
( ´_ゝ`)「でもあってるよ。長引けばひくほど状態は悪くなるし、というかこんな陽動につき合ってられないんだよ。全体グルだし。」
( ФωФ)「?なにを言っている」
( ´_ゝ`)「輸出と輸入の岐路を狙われてる。いま出国者が殺到してるから紛れるのは難しくない。ここがどれだけ豊富な土地か傭兵にはわかんない?冷戦だって支援者がいたから長続きしたんだぜ」
( ФωФ)「ここがただの囮だというのか」
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371
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名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:29:14 ID:r/TBeVGs0
( ´_ゝ`)「そう。だから殺されないと踏んでいる。おまえらの中に協力者はたくさん混じってる。ちょっと銃の照準をずらせばいいだけ、見逃せばいいだけ。
突入はいつやるか教えない。アンタらは後方に回らせる。不審者がいてもどうせ見ないふりされるだけだから何もしなくてもいいよ」
( ФωФ)「……おれは」
( ´_ゝ`)「あー、いい。そういうのいいの。アンタはアンタの仕事してて。いまさら責任者変わりまくると面倒だし」
( ФωФ)「俺は無責任に役割を放ったりはしない!」
( ´_ゝ`)「ほら分かってない」
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372
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名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:29:56 ID:r/TBeVGs0
背中撃たれるっていってんの。俺は
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373
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名も無きAAのようです
:2015/02/27(金) 04:30:38 ID:r/TBeVGs0
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