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(゚、゚トソンムジナのようですミセ*゚ー゚)リ

252名も無きAAのようです:2014/03/29(土) 23:39:01 ID:gpa8a09A0

 中は、想像よりもいくらか綺麗に保たれている、ように見える。
 床に埃が積もってこそいるが、掃除すればすぐにでも住めそうなほどだ。
 一歩、踏み込む。
 埃が舞い上がり、電燈の光の中で靄に変わった。
 これが、『乙鳥ロミス』が生前隠れ家にしていたという屋敷。

「住人がいなくなってから数か月、といったところか」

 ゆっくり奥に進む俺の後ろ。
 埃を指で掬い取り、クールが呟く。
 本当ならば事前に得た情報と合致する。
 埃のつもり具合で推測した物なので断定はできないが、大よそ間違ってはいないだろう。
 俺も、同じような感想を持った。

 今のところ何かが潜んでいる気配は感じない。
 埃からして、実際に何かがいるということも無いのだろう。
 それでも慎重に歩を進めるのは、ここがあくまで吸血鬼の根城であったとされる場所、だからだ。
 
 吸血鬼が、一国一城の主になるなど、普通は不可能だ。
 そう言った手合いは底抜けに運が良いか、狡猾で賢く非常に用心深いかのどちらか。
 後者であった場合、杭持ちに侵入された際に備えて罠の一つや二つしかけていてもおかしくは無い。

「こういった場所は、俺より素直さんが前に出た方がいいんじゃないですかね」

 俺も人より五感が優れているつもりだが、クールには負ける。
 クールは、六感まで含めて獣に近い感度を持っている。
 罠の類を見破るなら、彼女の方が確実性が高い。


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