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(゚、゚トソンムジナのようですミセ*゚ー゚)リ

22名も無きAAのようです:2014/02/16(日) 14:12:43 ID:FUwnuIG.0

 炸薬が爆ぜるにしては、いくらかくぐもった湿り気のある音。
 銃身が白い煙を吹き出したのに気付いたころには、男の肩から血が噴き出していた。
 男は傷を抑え、叫び声をあげる。
 せっかくのサプレッサーもこれでは意味がない。

「夫が借金を抱え頼る身内も無い主婦にはした金を渡し、血を啜る。
 さて、これは公平な取引だろうか。私には相手の足元を見て、不等価の交換を行う悪しき所業に思えるが」

 再び銃が跳ねる。
 男は先ほどとは逆の肩から血を吹き出した。
 手で傷を抑えることが出来なくなり、地面に体を転がす様は針でつつかれ身もだえする芋虫のようだ。
 クールはそれを無感情な目で見下ろしている。

 彼女の言葉を、勘違いしてはいけない。
 あれはただの音だ。
 大きく深い洞穴を風が流れる時に、呻きのような音が鳴るのと大差ない。
 感情は存在せず、脳のうわべで思いついた適当な文句を、薄い唇の隙間から吐き出しているだけだ。

 義憤も嫌悪も存在しない。
 適当な理由を垂れているだけ。
 人間であることを失った彼女が人間のふりをするために身に着けた特技でしかないのだ。
 この吸血鬼を嬲り殺し出来ることに興奮して、やや饒舌になっている節はあるが。

「素直さん。それくらいにしとかないと。生かしておいたのには理由があるんだから」

「おっとそうだった。おい」

 引金にかかった指が、素早く動く。
 放たれた銃弾は、仰向けに悶える男の太腿に穴を穿った。


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