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( ^ω^)しん・かたながり2014のようです

76 ◆U0QTkY.0LM:2014/02/01(土) 17:46:36 ID:vg1Ji63g0
川 ゚ -゚)「……雪兎、これが私の心なのか……」

左手に持った『鞘』を見つめながら素直が呟く。
『氷』のように冷たく光を透く鞘。
その表情はどこか切な気で、それでいてやはり無感情だった。

(;^ω^)「……っ……」

それを見て内藤の背筋に悪寒が走る。
直感的な恐怖だった。

【なんとなく勝ち目の無さが分かっただろ?だから、逃げろ】

(;^ω^)

【おい相棒、聞こえてるか?】

(; ω )

【おい……】

内藤はブーンの声に反応しない。
それどころか、刀を構えたまま石のように固まってしまった。

そんな内藤をまるで気にもとめず、素直は動く。
彼女は両手の『刀』と『鞘』を向き合わせると、一気に根元まで差し込んだ。

77 ◆U0QTkY.0LM:2014/02/01(土) 18:32:39 ID:vg1Ji63g0
川 ゚ -゚)

光は無かった。
代わりに、ガラスが割れるような音がした。
日の昇った屋上の片隅に冷たい風が吹く。
季節外れの北風ではない。そもそも自然現象でもないし、本当は風ですらなかった。

『冷気』だった。

それは、素直を中心に発生した『冷気』だった。

川 ゚ -゚)「【氷刀雪兎・冬《ヒョウトウセット・フユノメイ》】」

その場で太陽に刀をかざしながら、自身や余裕のような『何か』を含んだ声で素直が言う。
現在進行形で『冷気』を撒き散らしている素直の『刀』は、刀身から先程までのような金属感が完全に消え去り、透き通っている。
まるで氷のように。氷よりも氷らしく、冷たく。

そして『冬』。

刀身には小さく、そう刻んであった。

78名も無きAAのようです:2014/02/01(土) 19:56:05 ID:KzDC2NrE0
しえん

79名も無きAAのようです:2018/10/19(金) 13:54:18 ID:09RlEh4k0
川 ゚ -゚)「死にたくなければ――」

(;^ω^)

素直が『刀』を構え、氷柱のような切っ先を内藤を射抜くように向ける。
内藤は息を吸うのも忘れ、凍りついたように動けなくなった。

そして次の瞬間。
絶対零度の如き冷風が屋上を駆け巡り、内藤の背筋を駆け上がった。


川 ゚ - )「――動くなよ」

そして、素直の姿が掻き消える。


【後ろだ相棒ォーッ!】

(;^ω^)そ

ブーンの声が内藤の脳を揺さぶるのとほぼ同時。
内藤は殆ど反射のように、背後に刀を刀を構え直そうとその身を捩る。

瞬間、内藤の視界が白に染まった。

( ^ω^)「なっ、にが――」

80名も無きAAのようです:2018/10/19(金) 14:07:09 ID:09RlEh4k0
目が眩む程の閃光。

内藤の双眸を焼くかのように光り輝いたそれは、青白く、そして冷たい。
目を擦ろうと右手を動かした内藤は、そこでよようやく『異常』に気が付いた。

( ^ω^)「……え」

腕を動かそうと脳が信号を発する。
発している筈だった。
しかしその感覚は、途絶している。

まるで『凍りついたように』うごかない自身の右腕。
内藤の背中を嫌な汗が伝う。
呼吸が苦しくなり、顎が小刻みに震え、奥歯が鳴る。

ブーンの声はない。
まるで凍てついた時の中に取り残されてしまったような恐怖。

恐る恐る、自身の右腕を確認した内藤が目にしたもの。

それは。
足元から突き上がる氷柱に呑まれ、切り離され、氷漬けになった自らの右腕と刀であった。

81名も無きAAのようです:2018/10/19(金) 14:15:11 ID:09RlEh4k0
( ^ω^)「あ」

間の抜けた声が喉元を通り過ぎていく。

( ^ω^)「あ、あ、あ」

一度漏れ出したそれは、絖るようなしつこさと粘性をもっていて、最早内藤の意思で塞き止めることは出来ない。

内藤はその場に膝をつき、残された左手で、凍り付いた断面を握る。
赤黒い氷が左手の熱で溶け、制服に吸い込まれていく。

( ;ω;)「ああああああああああ!!!!」

痛みと、恐怖と、混乱。
氷とともに溶け出したそれらが、雪解け水と雪崩のように、内藤の心を押し潰した。

82名も無きAAのようです:2018/11/08(木) 14:04:25 ID:NXEkm8b.0
ちょこっと更新されとるやんけ


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