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兵どもが夢の跡のようです
1
:
名も無きAAのようです
:2013/12/27(金) 01:09:49 ID:e3MPiQKE0
第一話
( ^ω^)VS( ・∀・)
52
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:44:16 ID:b9Rve8yk0
ツンと呼ばれた女子学生は、一際大きな溜め息をついた。
ξ゚⊿゚)ξ「ったく、次は無いわよ」
そう言って出席表をカバンの中に入れる。
(*^ω^)「ありがとうございますお!」
(*'∀`)「ささ、どうぞこちらもガッツリと! 食っちゃってください」
男子学生は、満面の笑みのまま目の前の食器に手を指した。
ξ゚⊿゚)ξ「こんなに食べたら太るじゃない。残ったらあんたたち食べてよね」
(*^ω^)「イエッサー!」('∀`*)
20分後
ξ゚⊿゚)ξ「……あら、意外と少なかった?」
皿の上には、食材はキレイさっぱり無くなっていた。
53
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:47:25 ID:b9Rve8yk0
(*'∀`)「食器はわたくしめが片付けさせていただきます!」
(*^ω^)「いや、それは僕がやるお! ドクオはツン様の為に何か食後のデザートを買ってくるお!」
(*'∀`)「了解した! ツン様、何が宜しいでしょうか?」
ξ゚⊿゚)ξ「ダッツの抹茶」
(*'∀`)「かしこまりました! それでは不肖ドクオ、行って……」
ξ゚⊿゚)ξ「は食べれないから、それ以外の種類全部お願い」
(*'∀`)「かっしこまりましたー!」
ドクオと呼ばれた男は、一目散に駆けて行った。
ξ゚⊿゚)ξ「太っちゃうかしら」
(*^ω^)「いえ、ツン様のお美しい姿の維持のためには、当然のエネルギーでございますお!」
ξ゚⊿゚)ξ「そう? 最近少し運動し始めてるんだけどね」
ツンは大きく伸びをする。
54
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:48:07 ID:b9Rve8yk0
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンは昔から身体を鍛えてるし、ドクオも空手の道場に通ってるし」
ξ゚⊿゚)ξ「私も、エクササイズしないとね」
(*^ω^)「流石ツン様、まさに慧眼でございますお!」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうだ、あんたに聞きたかったんだけどさ」
(*^ω^)「お?」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたとドクオって、喧嘩したことある?」
(*^ω^)「ありませんお。ツン様の忠実な部下として、常に協力しておりますお」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、もし喧嘩したら、どっちが勝つ?」
その質問に、ブーンの動きが止まる。
55
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:49:09 ID:b9Rve8yk0
( ^ω^)「……珍しいお。ツンがそんな事聞くなんて」
ξ゚⊿゚)ξ「そう?」
( ^ω^)「格闘技とか、嫌いじゃなかったのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「んー……エクササイズって結構格闘技とか取り入れてるからね。ボクササイズとか」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと興味が出てきただけよ」
( ^ω^)「なるほどお」
ξ゚⊿゚)ξ「で、どっちなの?」
56
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:49:51 ID:b9Rve8yk0
ツンはずいとブーンに詰め寄る。
対してブーンは、その笑顔を貼り付けたまま微動だにしなかった。
( ^ω^)「……確かに僕は運動神経はある方だし、筋トレ好きでムキムキの自覚はあるお」
( ^ω^)「対してドクオはどっちかって言えば痩せ形、筋肉もあんまりないと思うお」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよね」
( ^ω^)「……だけど、多分ドクオの方が強いお」
ξ゚⊿゚)ξ「そうなの?」
聞きながらも、ツンの表情はどこか、当然であるかのような色が見える。
ブーンの笑顔は、変わらないままだ。
( ^ω^)「ドクオは空手を11年もやってるお。それも結構熱心に」
( ^ω^)「武道は弱者のためのものだって良くいうお?」
( ^ω^)「僕みたいな筋骨隆々な人間……自分で言ってて恥ずかしいお」
( ^ω^)「そんな人間に勝つための技術が、空手なんだお」
57
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:50:37 ID:b9Rve8yk0
ξ゚⊿゚)ξ「ふーん。それじゃ」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンは弱いの?」
瞬間、空気が歪んだ。
ブーンの纏う空気が、一瞬揺らいだ。
それでも、顔に貼りついた笑みは変わらない。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、どうなの?」
( ^ω^)「……僕は」
(*'∀`)「おっ待たせしましたー!」
その空気を破壊するが如く、ドクオが高々とスキップしながら食堂に飛び込んで来た。
(*'∀`)「グリーンティー以外、計5種のハーゲンダッツでございます!」
ξ゚⊿゚)ξ「クッキーのやつは?」
('∀`)「え」
ξ゚⊿゚)ξ「クッキーで挟んでるやつと、クレープのやつは無いの?」
(;'∀`)「しばしお待ちくださーい!」
ξ゚⊿゚)ξ「冗談よ」
58
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:54:15 ID:b9Rve8yk0
ξ゚⊿゚)ξ「ところで、ドクオ。今ブーンにも聞いてたんだけど」
('∀`)「はい?」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオとブーンってどっちが強いの?」
('∀`)
('A`)「ツンは、そういうの興味無いと思ってたけどな」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、ちょっとね」
今度はドクオに、詰め寄る。
対するドクオは、平然としている。
先ほどのブーンとは異なり、極自然な表情で。
59
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:55:07 ID:b9Rve8yk0
('A`)「ま、ブーンだろうな。ムキムキだし、俺モヤシだし」
ξ゚⊿゚)ξ「でも、弱者のための空手って言うらしいじゃない?」
('A`)「そんなん、ずっと昔の空手のことだ。今時そんな技術も精神も持ってる流派の方が珍しい」
('A`)「フルコンタクトの大会で勝つ奴はデカい筋肉ダルマだし、伝統派の大会で勝つ奴は胴体視力と反射神経が良い奴だ」
ξ゚⊿゚)ξ「夢が無いわね」
('A`)「今の武道は実戦より、精神を鍛える事に重きを置いてるからな」
( ^ω^)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「……ふーん」
('A`)「でも何だってそんなこと聞くんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「……ちょっとした興味よ」
60
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:55:59 ID:b9Rve8yk0
5分後
ξ*-⊿-)ξ「ダッツ……まさに至福だわ」
(*'∀`)「おかわりはいかが致しますか?」
ξ゚⊿゚)ξ「……ん、もういいわ。これ以上は流石に太っちゃうし」
(*^ω^)「かしこまりましたお」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、この出席表コッソリ出してあげるから。感謝しなさいよ?」
(*'∀`)ゝ「サー! クイーン!」
(*^ω^)ゝ「感謝感激雨霰でありますお!」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃね」
そう言って、ツンは食堂を去っていく。
ドクオとブーンは敬礼した姿のまま、微動だにしない。
あとには、空になったハーゲンダッツの容器だけが残されていた。
61
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:56:43 ID:b9Rve8yk0
(*'∀`)ゝ
(*^ω^)ゝ
('∀`)ゝ
( ^ω^)ゝ
(;∀;)ゝ
( ^ω^)ゝ
(;∀;)ゝ「……ブーン」
( ^ω^)ゝ「誰だお前」
(;A;)ゝ「ダッツ代半額払って……」
( ^ω^)「おことわりだお」
62
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:58:05 ID:b9Rve8yk0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
男が立っている。
街外れの山の中、廃工場のど真ん中。
虫の鳴き声に、峠を走るバイクのエンジン音。
<_プー゚)フ
細身の長身にオールバック、夏だというのにコートを羽織った、20過ぎの男である。
<_プー゚)フ(……遅いな)
男はポケットに手を入れたまま、ジッと入口のドアを睨みつける。
<_プー゚)フ(あのドアに入り開始線を超え、お互いに名乗った瞬間が勝負)
<_プー゚)フ(やつは8位、俺は15位)
<_プー゚)フ(ここで勝てば一気に一桁ランカー、賞金額も跳ね上がる)
<_プー゚)フ
<_フ*゚ー゚)フ(やっべーテンション上がってきた!)
63
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 07:59:01 ID:b9Rve8yk0
男は一人、身体を震わせる。
寒さではない、喜びのためだ。
<_プー゚)フ(勝つための準備はしてきた。身体もしっかり調整してきた。秘策もちゃんと考えてある)
<_プー゚)フ(だがなにより……)
<_プー゚)フ(敵は、『女』だ)
この男の名は、エクストと言う。
以前のランキングは25位であり、二週間前に15位と闘って勝利を収めた。
その15位は、女性だった。
男女の肉体には明らかな差があり、事実として一桁ランカーに女性は一名しかいない。
<_プー゚)フ(悪いとは思わねー。女でランカーになる時点で、そのくらい覚悟してるはずだ)
<_プー゚)フ(少なくとも頭の善し悪しに男女は関係無い)
<_プー゚)フ(これが俺の考えた『勝ち方』だ)
64
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:00:09 ID:b9Rve8yk0
事実として、10位もランキングが上の相手に勝利を収めることはまずあり得ない。
それこそ、何らかの『策』を講じない限りは。
エクストの『勝ち方』は倫理的にはともかく、立派な『策』であることに間違いはなかった。
ガララッ
<_プー゚)フ(ん?)
考えを巡らせていたエクストの耳に、待ち望んだ音が聞こえる。
ドアを見れば、
ξ⊆⊇)ξ「……っしょ」
錆びた戸をスライドさせる人間が一人。
フルフェイスのヘルメットを被り素顔はわからないが、身体付きから『女』とわかる。
<_プー゚)フ(……遠目でわからないけど、あれで8位か? ただのガキに見えるぜ)
ξ⊆⊇)ξ「……あ、いる」
<_プー゚)フ「……どうも」
<_プー゚)フ(まだエリア内に入っちゃいない。あのドアを踏み越えなきゃな)
65
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:01:04 ID:b9Rve8yk0
<_プー゚)フ「早く始めようぜ、暑くてたまんねーんだ」
ξ⊆⊇)ξ「……」
女は黙ったまま、もう一方の戸もスライドさせる。
錆びた戸の動く音、虫の鳴き声、バイクのエンジン音。
ξ⊆⊇)ξ「……脱げば?」
<_プー゚)フ「……入れよ。始まんねーだろ」
そう言うものの、彼女は動かない。
<_プー゚)フ(何だ? 何か仕掛けてんのか?)
エクストは女を凝視する。
女は戸の前で、こちらを眺めている。
服装は、黒のバイクスーツ。
どこかに武器を隠し持っている様子もない。
ξ⊆⊇)ξ「……アンタさ、聞きたいんだけど」
不意に女が口を開く。
66
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:02:07 ID:b9Rve8yk0
<_プー゚)フ「あ?」
ξ⊆⊇)ξ「格闘技やってるのと身体を鍛えてるの、どっちが強いと思う?」
<_プー゚)フ(……何だ? 何を狙ってる?)
質問内容に意味は無いだろう。
こちらの意識を削いで、何か仕掛ける気だろうか。
エクストは、コートのポケットの中のものを『握りしめた』。
<_プー゚)フ(この間合なら、何をされても対処出来る)
<_プー゚)フ(そして、反)
<_プー゚)フ「……げき?」
女が、不意に視界から消える。
ドアの裏に移動したのだ。
67
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:03:03 ID:b9Rve8yk0
そして爆音と共に巨大な質量が迫ってきた。
68
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:04:13 ID:b9Rve8yk0
<_フ;゚Д゚)フ「はあああああああああ!!??」
無我夢中で、進行方向の横に頭から飛び退いた。
耳のワイヤレスイヤホンが何かを言っているが、聴く余裕など無い。
しかし、『それ』は獲物を逃がさない。
鋼鉄の猪───誰も乗らない『大型バイク』は、蛇行をしながらエクストに迫って来るのだった。
69
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:05:06 ID:b9Rve8yk0
<_フ;゚Д゚)フ「うおおおおおおおおおお!!!???」
床に臥したまま、動けない。
咄嗟に、頭を抱え込む。
瞬間、走馬灯のように、視界と鼓膜がスローになった。
視界の端に、確かに、いた。
震える鼓膜が、確かに、捉えた。
70
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:06:14 ID:b9Rve8yk0
川 ⊆⊇)「8位、『正義のヒロイン』Ms.cool」
黒のフルフェイスに黒のバイクスーツ。
今度は遠目でも明らかだった。
本物の、一桁ランカー。
71
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:07:18 ID:b9Rve8yk0
耳元を、何かが通過した。
そして、誰かが飛び乗った。
<_フ; Д )フ「グブッ……!」
抱えた腕の隙間から、拳の雨が降ってくる。
一発、二発、三発四発五発六七八九十。
頭と顔へ、躊躇無い連打。
止まらない。
のどの奥から、鉄の味がする。
<_フ; Д )フ(かってぇ……グローブになんか仕込んでんな)
馬乗りの状況で、エクストに出来ることは、亀のように守りを固めること。
さらに、身体を丸めこんだ。
72
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:08:50 ID:b9Rve8yk0
拳が降るたびに腕に痺れる痛みがあるが、ダメージは格段に少なくなる。
何より、頭部のダメージを防げる。
今必要なのは、思考時間と一呼吸おける間だった。
<_フ;ー )フ(バイクで突っ込んで、開始線の入口で飛び降り、そのままダッシュ)
無駄が無い、と思った。
ルールでは、『武器等の持ち込みはお互いに認識した時点でペナルティが発生する』となっている。
だからこそ、エクストはコートにしまった『武器』をギリギリまで出さなかった。
だがこの戦闘は、『両者が開始線内に入る』時に始まる。
Ms.coolがバイクに乗っていたのは、開始線を踏み越える『直前』。
つまり、これは単なる『自然現象』でしかないのである。
そして、もう一つ。
<_フ;ー )フ「15位エグッ!」
喋っている途中で、腹に肘を落とされ遮られる。
戦闘は『ランキング・名前を発言しない限り、相手を攻撃することができない』。
つまり、エクストはいまだにMs.coolを攻撃出来することが出来なかった。
73
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:09:53 ID:b9Rve8yk0
川 ⊆⊇)「……ふむ」
川 ⊆⊇)「……フッ!」
<_フ; Д )フ「ゴバッ!」
腹の底から、沸き上がる激痛。
そして、嘔吐感
殴られた箇所は、身体の左側面、腰の少し上。
腎臓と、それを守る肋骨。
『キドニー・ブロー』と呼ばれる一撃は、エクストの最下部の肋骨を破壊した。
川 ⊆⊇)「守らないのか?」
もう一発。
同じ位置、同じ角度、同じ威力。
<_フ; 皿 )フ「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」
意識の飛びそうな激痛。
しかしガードを下げれば、また頭部への連打が待っている。
74
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:10:36 ID:b9Rve8yk0
<_フ; 皿 )フ(……ッ一発でアバラ折るなんざ、女の腕力じゃねぇ!)
<_フ; 皿 )フ(ナメてた! コイツは……)
川 ⊆⊇)「3」
<_フ; 皿 )フ(──化けモンだ!)
川 ⊆⊇)「2」
囁くようなカウントダウン。
ハスキーな声から、間違いなく女性であることは確かだ。
川 ⊆⊇)「1」
<_フ; 皿 )フ「ッ!」
砕けろと思うほど、歯を食いしばる。
次の瞬間、またもキドニーブロー。
<_フ; Д )フ「…………ガッ」
75
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:11:49 ID:b9Rve8yk0
<_フ; Д )フ(あぁ……これが)
────一桁ランカーか。
性別など関係無い。
身体能力、事前準備、作戦内容。
そして、容赦の無さ。
全てが、一流だった。
自分は、土俵にすら立てなかった。
用意した策も、武器も、何もかも意味がなかった。
<_フ; Д )フ(……こんなのが一桁の下位なんて、どんな世界なんだ)
『鬼の住処』。
エクストが意識を失う瞬間、その言葉が思い浮かんだ。
76
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:12:32 ID:b9Rve8yk0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『15位、エクスト様の戦闘不能を確認しました。8位、Ms.cool様の勝利です』
Ms.coolと呼ばれる女のイヤホンから音声が流れた。
川 ⊆⊇)「……」
無言で立ち上がる。
エクストは、口から血の泡を吹いて気絶している。
(■<_■ )「お疲れ様でした」
ξ;゚⊿゚)ξ「ッ!?」
いつの間にか、ツンの真横に男が立っている。
黒スーツに身を纏い、サングラスをかけた男。
見れば、工場内にも同じ服装の男達が、エクストの様子を調べている。
川 ⊆⊇)「……バイク、バイクっと」
(■<_■ )「こちらが賞金になります。お受け取り下さい」
川 ⊆⊇)「横の娘に渡してくれ」
(■<_■ )「……どうぞ、お受け取り下さい」
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、は、はい」
77
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:14:30 ID:b9Rve8yk0
封筒を渡される。
明らかな厚みがある。
中を覗こうという気持ちは、ツンには起こらなかった。
川 ⊆⊇)「よっ……と。動いてくれよー……」
アクセルを吹かすと、低いエンジン音が工場内に鳴り響いた。
川 ⊆⊇)「お、動いた動いた。……よっと」
(■<_■ )「お怪我等御座いましたら、何時でもご連絡下さい」
川 ⊆⊇)「ツーン、早く乗れー」
ξ;゚⊿゚)ξ「は、はい!」
Ms.coolが跨がったバイクに向かって走り出す。
エクストはすでに担架に載せられ、運ばれようとしている。
その顔は、苦悶に充ちたものだった。
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
川 ⊆⊇)「早くしろ。あとメット被れ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……はい」
78
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:15:14 ID:b9Rve8yk0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
川 ゚ -゚)「ツーン」
ξ゚⊿゚)ξ「はい?」
川 ゚ -゚)「おかわり」
ξ゚⊿゚)ξ「クーさん、もう無いです」
川;゚ -゚)「何だと!?」
クーと呼ばれる女の手にあるのは、大きな丼。
口の端には、米粒が付着している。
川;゚ -゚)「4合は炊いたはずだぞ?」
ξ゚⊿゚)ξ「おかわり4回めですよ」
川;゚ -゚)「……次からは8合炊こう」
ξ゚⊿゚)ξ(私は5回おかわりしたけど
黙ってよう)
79
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:16:38 ID:b9Rve8yk0
ツンと、Ms.cool改めクー。
彼女たちはバイクで山を降りたあと、そのままクーの自宅に帰宅していた。
川 ゚ -゚)「しかし、今回も歯ごたえの無いやつだったな」
何事もないように、クーは言い放った。
やつとは、エクストのことだろう。
ξ゚⊿゚)ξ「……アイツ、15位ですよね?」
川 ゚ -゚)「ん?ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「もし……もし普通に戦ったら、どんな勝負になってたんですか?」
川 ゚ -゚)「普通って?」
ξ゚⊿゚)ξ「……不意打ちとか、そういうの無しで、正々堂々と」
川 ゚ -゚)「……私は正々堂々と戦ってるつもりだが」
80
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:17:22 ID:b9Rve8yk0
ツンはその時初めて、クーの目が自分の目をのぞき込んでいることに気付く。
切れ長の瞼の奥にある、焦茶色の穴。
ξ゚⊿゚)ξ「……でも」
川 ゚ -゚)「定められたルールは破っていない。ペナルティがあれば勿論受ける」
川 ゚ -゚)「むしろ、あのくらい想定出来ない向こうが悪いだろう」
またも、さぞ当然のように言い放つ。
自身が絶対であると信じてやまないその姿。
川 ゚ -゚)「まあ、男なんてのはそんなもんさ。自分が襲われる時の事など考えもしない」
ξ゚⊿゚)ξ「……だから、このランキングに参加したんですか?」
川 ゚ -゚)「女性の強さの証明ということか?」
川 ゚ -゚)「……まあ、それもあるな」
81
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:18:50 ID:b9Rve8yk0
クーは立ち上がると、部屋の隅にある小棚を漁り出す。
ξ゚⊿゚)ξ「……私、お皿洗ってきますね」
よろしくー、という締まりのない声を受けながら、お盆に皿を載せていく。
全て載せ終わった時、玄関のチャイムが鳴った。
川 ゚ -゚)「出てくれー」
ξ゚⊿゚)ξ「はいはい」
返事をし、玄関に向かう。
しかし、現在の時刻は午前2時を過ぎている。
こんな時間に一体誰が訪ねてくるというのだろう。
ξ゚⊿゚)ξ(……さっきのやつが、復讐にきたとか?)
自分で考えて、取り消す。
少なくとも帰り際の様子を見る限り、すぐに動ける状況ではないだろう。
しかし、警戒をするにこしたことはない。
82
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:19:35 ID:b9Rve8yk0
クー宅の玄関には、覗き窓が存在しない。
というのも、ここは自宅兼道場和風様式の建物であるためである。
普通に扉を開けるのを躊躇ったツンは、玄関の扉越しに声を掛けた。
ξ゚⊿゚)ξ「どちら様ですか?」
数秒間。
返事は無い。
ξ゚⊿゚)ξ「……あのー」
「クー……ではないようですが?」
女性の声だった。
綺麗な、澄んだ細い音。
ξ゚⊿゚)ξ「あっ……はい、えーっ……と」
ξ゚⊿゚)ξ「……ここの道場に住み込みの門下生です」
少し逡巡し、答える。
正確には違うが、似たようなものだ。
「……では、クーに言付けを」
ξ゚⊿゚)ξ「はい?」
83
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:20:55 ID:b9Rve8yk0
「1ヶ月後、7月16日にお会いしましょう、と」
ξ゚⊿゚)ξ「あの、どちらで……」
「25位のトソン、と言っていただければ伝わります」
ξ;゚⊿゚)ξ「……っ!」
「では、夜分遅くに失礼いたしました」
ξ;゚⊿゚)ξ「まっ……」
呼び止めようとして、止まる。
果たして、呼び止めて何をするというのだろうか。
ランカーということは、クーの側にいるツンは敵と見なされる可能性もある。
ξ;゚⊿゚)ξ「……あぁもう!」
しかし、ツンは扉を開けた。
女性で闘うランカーに対して、とある質問を投げかけるべく。
見えたのは、走り去っていくワゴン車の後ろ姿だけだった。
84
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:21:54 ID:b9Rve8yk0
ξ;゚⊿゚)ξ「クーさん!」
クーは居間で、何かのプリントの束を持って座っていた。
川 ゚ -゚)「トソンか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「今、ランカーの……」
ξ;゚⊿゚)ξそ「ってえぇ!?」
トソン、とクーの口からハッキリと放たれた。
川 ゚ -゚)「いつだって?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……1ヶ月後、7月16日」
川 ゚ -゚)「そうか、ありがとう」
全てわかっているかのようなセリフ。
クーにとってそれは、予想通りのことであった。
85
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:22:42 ID:b9Rve8yk0
川 ゚ -゚)「……今日の相手、トソンに勝って15位になったんだ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……!」
川 ゚ -゚)「トソンは15位、もとのエクストの順位は25位」
それでも、負けたんだ、とクーは呟く。
ξ゚⊿゚)ξ「……女性、だから?」
川 ゚ -゚)「そんな言い訳はしないさ、アイツは」
普段殆ど表情の変わらないクーが、軽く笑ったように見えた。
川 ゚ -゚)「ツン、これを読んでおけ。ランキングのルールだ」
クーは立ち上がり、ツンに束を手渡す。
86
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:24:12 ID:b9Rve8yk0
受け取ったツンは、その意外な重さに若干驚愕した。
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、はい」
川 ゚ -゚)「これからは、お前もルールを知って動いてもらうことがあるかもしれない。全部頭に叩き込んでおけ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……うわぁ」
プリントの枚数は10枚を超えるだろう。
ビッシリと細かい字で書かれたそれは、やる気を削ぐには充分だった。
ξ;゚⊿゚)ξ「クーさん、これ全部覚えたんですか?」
川 ゚ -゚)「ああ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……それくらいやらないと女性は勝てないんですか……」
その言葉に、クーはわからない程度に眉を吊り上げる。
川 ゚ -゚)「……何を勘違いしているのか知らないが」
87
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:27:12 ID:b9Rve8yk0
─────正々堂々でも、私は誰にも負けんさ。
事も無げに言い放って、居間から出て行った。
88
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:32:40 ID:b9Rve8yk0
第二話「川 ゚ -゚)VS<_プー゚)フ」
8位(正義のヒロイン)×15位
結果 ○ × ●
川 ゚ -゚)8位→8位
<_プー゚)フ15位→18位
89
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 08:33:40 ID:b9Rve8yk0
第二話終了
誰もいなさすぎワロエナイ
90
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 09:46:34 ID:FUN/USHg0
乙乙!!!
クーかっこいい!!
91
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 11:49:39 ID:Bt5L4LkI0
女性陣の胃袋が既にランク上位だわ
92
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 12:08:39 ID:lJPj0l1w0
朝だから誰も見てないだけだ!
おもしろいから安心して!
93
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 16:00:40 ID:n.9AHw/gO
乙
女性陣もカッコいいだと……?
94
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 17:16:58 ID:H2x44d.YO
読んだ、夕方だが
95
:
名も無きAAのようです
:2014/01/04(土) 23:27:14 ID:8/R9eWXs0
かませなのはわかるがエクスト雑魚すぎじゃね
97
:
名も無きAAのようです
:2014/01/05(日) 01:24:20 ID:3dx2nU76O
ω・)乙。上位ランカーが気になるな
98
:
名も無きAAのようです
:2014/01/05(日) 09:23:58 ID:pn0Z1dqI0
しつもーん
作者は喧嘩商売が好きなの?
99
:
名も無きAAのようです
:2014/01/05(日) 12:36:23 ID:7BvFZIbQ0
>>98
喧嘩商売大好き。
これももともとアイデアはあったんだけど、連載再開してテンション上がって書き出した。
ちなみに再開1話目の文さんがイケメンすぎてフイタwww
100
:
名も無きAAのようです
:2014/01/05(日) 15:26:57 ID:ci4fEFIs0
おつ
喧嘩商売というよりはエアマスターな感じ
ドクオはランキングに絡んでくるのか楽しみだ
101
:
名も無きAAのようです
:2014/01/06(月) 01:20:00 ID:DGcGkmvwO
ω・)俺もエアマスターと思った
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