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【祝福祭り】ブーン系創作板クリスマス・短編投稿祭

1 ◆6jiCjk8pbE:2013/12/10(火) 22:27:15 ID:a.TRkVsQ0
クリスマスを創作板で過ごすあなたに、祝福を


クリスマスシーズンの短編祭を開催します。
鬱祭なんて忘れろ!今年は祝福だ!

【祭テーマ】
祝福

【特設サイト】
ビッグ・ホール(https://sites.google.com/site/bigguhoru/home)

【タイムテーブル】
『宣伝』 予告期間(〜12/22 12:00)
『本祭』 作品投稿期間(12/22 19:00〜12/25 23:00)
『後夜祭』 感想投稿期間(12/26 0:00〜12/27 23:00)

企画詳細に関しては特設サイトをご参照ください。
不明な点がありましたら主催者までメールでご連絡ください。アドレスはサイトに掲載しております。



※12月10日より主催様から◆6jiCjk8pbEへ祭り進行及びサイト管理が譲渡されました。
お間違いないの無いように周知お願いします。

一応の前スレ(削除依頼済)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1384173121/

50名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 17:09:18 ID:qlY9oxck0
今日だったのか・・・祭りフライングネタで一本書こうと思ってたけど無理そうだな

51名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 17:21:27 ID:sppXY6gk0
本祭ってこんなに長かったのか…
書くつもりなかったけど終わるまでに一本書けそうだ

52名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 18:16:34 ID:8jrRxh460
こっちの祭はするの?
絵祭は無くなったってことでいいんだよね?

53 ◆6jiCjk8pbE:2013/12/22(日) 18:29:26 ID:P1T6qOmg0
>>52
祝福祭りはやりますよー
10分絵祭りはどうなんでしょうか……

54名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 18:48:36 ID:rjN7Tbxc0
絵祭何があったの?

55 ◆6jiCjk8pbE:2013/12/22(日) 18:55:15 ID:P1T6qOmg0
再度説明をば

【日程】
※終了 『宣伝』 予告期間(〜12/22 12:00)
本スレへの宣伝、またスレ立てができます。計画をじっくり練る人や大長編を望む人たち(短編祭なのに…)のために用意しました。
ここで作品をまるまる投下しちゃうのは「早漏組」と分類されます。早すぎ。

『本祭』 作品投稿期間(12/22 19:00〜12/25 23:00)
祝福の時間です。
作品の投下を行ってください。

『後夜祭』 感想投稿期間(12/26 0:00〜12/27 23:00)
主に本スレにて感想を言い合って祝福してください。個別スレをageたりしてもいいと思います。
感想文や感想作品を投下されると、本編投下をした人たちは祝福された気持ちになるでしょう。積極的に祝福しましょう。
ここで本編を投下するのは「遅漏組」です。サンタさんはもう行っちゃいましたよ。


【予告・宣伝について】
・「作品名」と「名前(コテ or 酉)」と「宣伝であること」の必要事項をレスに含め、本スレに投下してください。作品アピールや作者アピールは自由です。
・個人的意見ですが絵の予告はとても熱いと思います。誰かやってください。
・個別スレを立ててその中で宣伝してもいいです。ただ、スレの中に祝福祭参加の意思を示してください。


【作品について】
『テーマ』
・テーマを含めない作品は祝福祭に参加できません
・祝福の解釈は自由です。かなり広めにストライクゾーンはとっておきますのでいつも直前に作品が出来上がってなくてカオスに走っちゃう勢の皆さんもご安心ください
・祝福を必ずテーマに含めてください
・つまり裏テーマのみの作品は参加を認めません
『媒体』
・ブーン系はもちろん、絵や小説、漫画、詩、動画、音楽など、「ブーン系」と「祝福」に関連があればどのような作品も参加可能です

56 ◆6jiCjk8pbE:2013/12/22(日) 18:56:16 ID:P1T6qOmg0
【投稿について】
・一人何作品でも投下OKです
・祝福祭本スレに投下する文章作品は30レス以内にまとめ、30レスより多くなる作品はスレ立てをお願いします。個別スレの場合は祝福祭参加の意思を示してください
・本スレへの投下は他の作品が投下されていない時にことわりを入れると人格批判をされないで祝福されるでしょう
・本スレへの文章作品のながら投下はやめてください。後ろが詰まります
・VIPやシベリアへの投下をした作品は本スレへ報告をいただけるとありがたいです


>>55の裏テーマは消し忘れました
気にしないでください

57 ◆6jiCjk8pbE:2013/12/22(日) 18:57:50 ID:P1T6qOmg0
当祭りをまとめてくださるサイト様

色鉛筆様
ttp://blog.livedoor.jp/colored_pencil/


日程などの説明>>55
投下についての説明>>56
まとめサイト様>>57

58 ◆6jiCjk8pbE:2013/12/22(日) 19:00:55 ID:P1T6qOmg0
祝福祭り開催です
みなさんよろしくお願いしますー

59名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 19:50:17 ID:UBLckUSo0
えっ、いつのまに十分絵祭りやらない流れになってんの
なんも問題起きてなくないか?

60名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 22:04:51 ID:l9pvzwdo0
>>59
問題起きまくってるよ
本スレで話題になってないから判らないだけで、佐藤まで動く大惨事

61名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 22:12:25 ID:mE5ToZVg0
>>60
そりゃ忘年感想絵祭りっていう別のやつでしょ?講師がどうとか

こっちの方でやるのはこの祭りで投下された作品限定の十分絵祭りだと思う

62名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 22:17:26 ID:l9pvzwdo0
ん?あれ主催が同じじゃなかったの?
感想絵スレの方も消えてるし

63名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 22:22:37 ID:mE5ToZVg0
主催同じってマジかよ じゃあそのままお流れになるのか

64名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 22:39:19 ID:ViREBBWMO
忘年感想絵祭はスレあったぞ?
10分絵祭の主催は絵講座スレ(消えたスレ)じゃないのか?

ちょっと誰かkwsk

65名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 22:42:09 ID:sppXY6gk0
本人が出てきてくれればそれで一発なんだがな…っていうか誰かここに投下してよ
さみしーよ

66名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 22:45:54 ID:hZa1SmRQ0
え?忘年感想会なんかあったの?佐藤まで動くって何事?
誰か情弱の俺に教えてくれ

67名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 22:53:42 ID:5x0nZsXU0
>>66
荒らしが絵講座の絵師を叩く

主催者が某スレに乗り込んで反撃し大暴れ

主催者が出合い厨だとなぜか判明

大炎上

佐藤が荒らしをアク禁&絵祭スレを消して全てを無かったことに

68名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 22:56:42 ID:hZa1SmRQ0
>>67
トンクス。思った以上に大変なことになってたんだなびっくりした

69名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 23:45:13 ID:gANLfPss0
重そうな空気だったので、即興絵で和らげる試み。
流れも判ったことだし、みんなどんどん投下してどんどん祝福されればいいと思うよ。
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1432.jpg

70名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 23:55:04 ID:sxiyXD9A0
絵かわええ

若干流れ違うから詳しく知りたければ某スレ見るのが早いと思うがね

71名も無きAAのようです:2013/12/22(日) 23:57:50 ID:l9pvzwdo0
>>67
お前流れが全く違うじゃねぇかwwwwww

まぁ、これはもう話題にしたら駄目な話題らしいから、知りたい奴は自己責任で某見てこい
ただし話題はほじくり返すなよ?

72名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 00:02:56 ID:RcIZCdwc0
>>71
文句言うなら自分で書けや
あんな馬鹿らしい騒動を真面目にまとめてられっかよ

73名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 00:09:27 ID:b60PCbsM0
はいはい祝福祝福

74名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 00:29:19 ID:0oD6YcR60
流れ違ったのか、すまん知らなかった
まあそんな事よりぼっちは寂しいので誰か二番手来てくれ

75名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 05:29:03 ID:d4hKMC3o0
え?流れ違うのかもうよくわかんねぇ
まぁいいや、そんなことより祝福だぜ

76名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 12:46:57 ID:vSERMomM0
十分絵祭り企画者だけど、あそこの話はあそこの話
別にここで十分絵祭りやらない理由にはならないから、
やってもいいならここで予定通りやるつもりだよ

新しい主催者さんや参加者の反対があるなら取り潰しもやぶさかではないけれど。
まあその辺はまだ時間あるからじっくり話してくたさいな。

77名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 13:47:03 ID:c/L71arI0
ここでその話し合いをするのはすごく荒れそうだから、
一旦10分絵祭で別スレ立てて分離した方がいいんじゃないかな

78名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 14:42:17 ID:vSERMomM0
それはもう参加者達で決めてもらうしかないよ
俺が入ってしまうと話がこじれるし、平等な意見ではなくなるだろうから

79名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 15:44:22 ID:tmzG5sbI0
お前が主催なんだから点呼とって話まとめろよ
なに自分は無関係みたいに振る舞ってんの?

80名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 15:54:41 ID:vSERMomM0
言ってる意味が伝わらないかな。
騒動に関して無関係じゃないと思われてるみたいだから
俺が手を出さない方がいいって言ってるんだけど。

81名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 16:04:45 ID:gP5fRkpU0
だからそういうのも全部まとめて個別スレ立ててそこでやってくれ
本当に荒れるだけだよ

82名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 16:11:55 ID:eDKQsbtM0
某でやれ

83名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 16:47:41 ID:PYtXMkO60
ID:vSERMomM0がコンクリなら主催者代わったほうがいいんじゃね

84名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 16:59:41 ID:OED.qG2Y0
>>80
そう思うなら主催辞めろよ
何もしない、役に立たない、祭りをやったというレッテルだけ欲しい主催なんていらないわ

85名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 17:11:28 ID:WJjVCr5.O
祝福祭主催:◆6jiCjk8pbE≠10分絵祭主催:ID:vSERMomM0だから、10分絵祭が分離すればとりあえずおk
後は他所でやってくれ

86名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 18:23:01 ID:ghaFSELE0
因縁やつの単発の多さは異常
あっ(察し)

87 ◆6jiCjk8pbE:2013/12/23(月) 18:35:17 ID:.YtBGrbQ0
スレの流れを見た印象では、十分絵祭りの開催は難しいと判断しました
ですので、独断ですが祝福祭り内の十分絵祭りは中止とさせていただきたいです
楽しみにしていらした方々、絵祭り主催者さんには申し訳なく思います

祭りの主役は投下された作品と、作者さんです
ここでの内容はそれに順したものであることを望みます
祝福祭り主催を引き継いだ者としては以上です

不快に思われた方はすみません

88名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 18:45:02 ID:vSERMomM0
了解です。
じゃあやらないということで。

89fuzzy ◆foeF4/cEvk:2013/12/23(月) 18:50:48 ID:fHXol3Yk0
すみません。
流れを見ていたら不安になってきました
今回予告させて頂いた「ファジーガールのようです」は投下を取りやめたいと思います
今回はROMに徹します、ありがとうございました
みなさん頑張ってください

90fuzzy ◆foeF4/cEvk:2013/12/23(月) 18:51:55 ID:fHXol3Yk0
とりみす…?

91fuzzy ◆foeF4/cEvk:2013/12/23(月) 18:53:46 ID:fHXol3Yk0
ああ…なんということだ…もういいやモンハンしよ…

92名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:03:28 ID:1cXiWiWo0
>>89

93名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:05:17 ID:1cXiWiWo0
ひいいごめんなさい上のはミスです、気にしないでください

>>89
予告見て楽しみだったのに残念です…いずれどこかで見てみたいものです

さて、やっとこさ書き終わったので空気を読まずに投下します、長いです

94名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:06:06 ID:1cXiWiWo0





ここは、どこだろう。

一見、学校の教室。
しかし、生徒どころか、机もイスも教卓も、黒板でさえも見当たらない、がらんどう。
なんとなく左を見てみると、カーテンから淡い光が漏れていた。
この何もない教室に、黄色い薄汚れたカーテンだけがかかっているのは、どことなく滑稽で、哀れなように思えた。
私は、カーテンを開け、その光の正体と対面しようとする。
黄色い布の向こうに窓がある、というそんな当たり前のことにも安堵を覚えた。
しかし、そこから見える景色は、存在しなかった。
ただただ、まばゆい光で満たされるばかりだった。








川 ゚ -゚)さみだれホワイト夢めぐりのようですo川*゚ー゚)o





.

95名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:06:56 ID:1cXiWiWo0
「すまない、待たせた」

光の中立ち尽くしていると、後ろから声が聞こえた。
とっさに振り向く。

川 ゚ -゚)「久しぶりだな」

女の人がひとり、机に足を組んで座っていた。
ついさっきまで、机なんてどこにもなかったんだけど。
自分で持ってきたのだろうか。

川 ゚ -゚)「ああ、きみの分を忘れていたようだ」

彼女がそうつぶやいた瞬間、わたしの目の前にイスが現れた。

川 ゚ -゚)「座りたまえ」

別に反抗する理由もない。
急にイスが現れたことに驚きはしたが、わたしは黙ってイスに腰をかけた。
わたしは彼女がこの状況を説明してくれることを期待した。
しかし、

川 ゚ -゚)「もう事情はわかってくれただろう、今から改めて話すことも特にない、まあ少し休んでいろ」

彼女の口から出たのは、わたしの望んでいたものとは違った。
事情とは何なのか、わたしは何も聞いちゃいない、どうしてここにいるのかも知らない。
思わず溢れ出る疑問が声となる……はずだった。
声が出ない、どころか、唇が動かない。
ざわり、と不安が湧き上がる、しかしその不安もからだの動きとして表に出ることはない。
まるで、このからだはわたしのものじゃないみたい。
.

96名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:07:49 ID:1cXiWiWo0
足元で何かが動くのを感じた。
反射的に下を見る。
そこにあったのは、古びたピンク色のガラケー。
気になって手を伸ばそうとするが、またしてもわたしのからだは思ったように動かなかった。
しかし、今回はこのからだに不安を覚える余裕はなかった。
不意に、そのケータイが動いたのだ。
その動きは、大型の甲虫を彷彿とさせた。
思わず悲鳴を上げそうになるが、声が出ることはない。
どうしようもなくなって顔を上げると、机の上の彼女もケータイ虫を見つめていた。

川 ゚ -゚)「……ふむ、そろそろか」

彼女が立ち上がる。
赤、青、黄、ベージュ……色とりどりの無数のケータイ虫が床をうごめく。

彼女がわたしをじっと見つめる。
大きく開いた文庫本が、鳥のように空を飛ぶ。

彼女がわたしに向かって開いた手のひらを差し出す。
床に転がったたくさんのあめ玉が、とりとめなく色を変えてゆく。

かちゃり、とわたしの腰から金属音がする。
ふわふわ浮かぶおりがみが、ひとりでにちぎれて紙吹雪を散らす。

少し視線を下に落とす。
うさぎりんごがわたしの肩を飛び跳ねる。

どうやらそこにあるのは日本刀らしい。
赤ペンが壁に丸印をたくさんつけている。

川 ゚ -゚)「それで、斬るんだ」
彼女の体を無数のポップコーンが這い回る。

川 ゚ -゚)「救われたいのなら、斬るんだ」
安っぽい表彰状から、安っぽい鳳凰が飛び出す。

わたしは、小さく、しかし力強く、うなずく。
かわのせせらぎ。しずむゆうひ。

川 ゚ -゚)「それでいい」
ざーざー、ざーざー。

川  - )「それで、大丈夫だ」
ざーざーざー、ざーざーざー。





.

97名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:08:46 ID:1cXiWiWo0

音が弾ける。
ケータイ虫が、まっぷたつになる。
文庫鳥が、撃ち落とされる。
あめ玉は、粉々に。
折りがみは、袋にしまって。
りんごのうさぎは、フォークに刺されて息絶える。
赤ペンが壁に大きなバツをつけて、消える。
弾けるポップコーン。
燃え上がる鳳凰もどき。
きえるせせらぎ、きえるゆうひ。

ざーざー、ざーざー。

ざーざーざー、ざーざーざーざー。

外は、雨なのか。

いつの間にか足もとに散らばっていた鏡の破片。
その一つをのぞきこむと、

o川*゚ー゚)o

見覚えがあるようなないような、長年親しんだようなそうでないような顔と、目が合った。



.

98名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:09:30 ID:1cXiWiWo0

      *          *



場面が変わる。
ポップな色使いの、二階建てのたてものが正面に見えた。

o川*゚ー゚)o「幼稚園……?」

いかにもといった感じの幼稚園。
わたしが昔通っていたりしたのだろうか。

o川* − )o(斬る……って、何を、だろう)

幼稚園で、何を斬れというのか。

o川*゚ー゚)o(まあ、もしかしたら、おっそろしいモンスターとかがいるのかもしれないし……?)

刀を、握る。
不思議と、構えは自然とできた。


軽く、中の様子を伺う。
園児の数の割には、静かだった。

o川*゚ー゚)o「おじゃましまーす……」

一応声をかけて中に入るが、誰もわたしに気づく様子はない。
どうやら集会で、表彰めいたことをしているらしい。
幼稚園の先生らしき人と、一人の園児がみんなの前に立っている。

「――ちゃんは、―――の――、――が、とてもすばらし――たので、この――を、」

先生が何かを言っているようだが、あまりよく聞こえない。
集団との距離を、つめる。
きらりと輝く、きんいろのおりがみでできたメダルが、園児に手渡されるのが、見えた。

瞬間、わたしは駆け出していた。
助走をつけ、その他大勢のこどもたちを飛び越え、二つの人影の間に、着地。
たった今、その園児に渡されたばかりのきんいろのメダルを、捉える。
刀を抜く、構える。
メダルを真っ二つに、斬り裂く。
.

99名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:10:17 ID:1cXiWiWo0



それを斬った瞬間、その園児は、こどもは、かのじょは。

川゚ -゚)

こちらをみつめて。

川゚ー゚)

確かに、笑っていた。




.

100名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:11:01 ID:1cXiWiWo0

      *          *



マンションの一室、居間。
夜の7時。
とある家族のだんらんの場面らしい。

その中の、ひとりの女の子。

川゚ -゚)


o川*;゚ー゚)o(あの子だ……)

よくよく見ると、テーブルにはワンホールのケーキ。
あの女の子には見えない位置に、プレゼントの包みもある。

o川*゚ー゚)o(誕生日、なのかな……?)

しかしそれにしても、彼女は楽しそうでない。
無表情のまま、足をぶらぶらさせている。
主役は彼女ではないのだろうか。
と思った瞬間、お母さんらしき人が、例のプレゼントをその女の子に差し出した。
やはり、誕生日なのは、彼女のようだ。

大股で近づき、わたしはプレゼントを刀で突き刺した。



      *          *



また先ほどの家族のようだった。
遊園地、楽しげな雰囲気。
しかし、そこでも、

川゚ -゚)

彼女は笑おうとしなかった。



そしてわたしは、彼女のお父さんが買ってくれたばかりのポップコーンの箱を斬った。

空中に散らばるポップコーンを見て、やっぱり彼女は笑っていたような気がした。
.

101名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:11:47 ID:1cXiWiWo0

      *          *



また、情景がかわる。
薄暗い、学校の廊下。
カラフルな色彩を視界の端に感じ、壁に目を向ける。
どうやら、生徒の作品が飾られているらしい。
いかにも子どもらしい、思い切った構図と色合いに、無邪気な感情。
『いつからわたしは、こんな絵を描けなくなったのだろう』
歩き、それらを眺めながら、ふっとそんな気持ちが浮かんだ。
足が、止まる。
ひとつの絵から、目が離せなくなる。
わたしは、静かに腰へ腕を伸ばした。


そこから先は、いつもどおり。



      *          *



どこかの病室のようだ。
ベットで女の人が、半身を起こしている。
ベッドの横には、セーラー服姿の女の子が、ひとり。

川 ゚ -゚)

彼女だ。
ベッドの上の女の人は、彼女のお母さんだろうか。

二人は会話をしているようだったが、声は全く聞こえない。
しばらく待っていると、どうやら話が一段落したらしい。
彼女が、自分で持ってきたリンゴを手にとった。
わたしは、自分が警戒されることはないともう気づいていたから、遠慮なく歩みを進める。
刀を抜き、彼女の手の中のリンゴだけを、突き刺す。
そして大きく刀を振り、リンゴを空中に浮かせてから、斬った。

彼女はやっぱり笑っていたけど、どこか違和感を感じた。
.

102名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:12:34 ID:1cXiWiWo0

      *          *



また学校だった。
なんだか見覚えのある教室の中、前方の扉寄り。
わたしはそこに立っていた。
休み時間なのだろう、セーラー服をきた生徒たちが笑い合っている。
こちらへ向かってくる人影が見えたので、わたしは反射的にそれを避ける。

川 ゚ -゚)

たった今、扉を開けて教室の外へ出ていったのは、例の彼女だった。
彼女が引き戸を閉めた瞬間、教室の空気が変わった。まさしく文字通り。
重苦しい、鈍色の空気がたちこめる。
先ほどまで笑顔を浮かべていた女生徒たちの顔も、醜悪なものになっている。

「いっつもどおりウゼー」

「調子のりすぎ、マジ消えてほしい」

「アレもどーせズルしたんでしょ」

「ほんと、――ちゃんの―――だからってさー」

「そーそー、だからあんまりあからさまにもできねーし」

「気持ち悪い」

「カス」

「人間のゴミ」

「死ね」

「――――」

「――!―――――」
.

103名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:13:23 ID:1cXiWiWo0

伸びた爪、尖ったシッポ、曲がったツノ、きらめくキバ、つりあがった目。
彼女たちは、まるで悪魔のような姿へと変貌をとげていた。

o川*゚ー゚)o「カバン……、カバンを、探さなきゃ」

まどぎわ、前からよんばんめ。
そこの机に置いてあったカバンの中身をぶちまける。
たくさん詰めてあったぐしゃぐしゃの紙くずから、目的のものを探す。

ケータイを斬った。
かわいいカバーのついた文庫本を斬った。
でも、どっちも違う。

o川*゚ー゚)o「どっかにあるはず、絶対」

ケタケタ、と下卑た笑い声が聞こえる。
机を叩く音、引っ掻く音。

o川*゚ー゚)o「あった……」

わたしが見つけ出したそれは、大きく『100』と書かれたテスト、10枚くらい。

当たり前のように、まとめて斬った。



川  - )

扉のガラスの向こう側の彼女の表情が、わたしによく見えることは、なかった。
.

104名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:14:05 ID:1cXiWiWo0

      *          *



最初に目に入ったのは、青空へと登ってゆく煙だった。
周りを見渡すと、誰もが黒っぽい服装をしている。

「かわいそうに……―――さんだけじゃなく、―――さんまで……」

ひそめた声での会話が聞こえる。
別の方向を見ると、ブレザーの制服が視界に映った。

川 ゚ -゚)

いつもどおり、彼女だ。
親戚らしきおばさんに話しかけられている。
そのおばさんが去ったあと、彼女の手には紙に包まれたアメがあった。
包み紙を開けようとするその手を、わたしは左手に握った刀の鞘ではたき、アメを空中に落とす。
右手に握った刀で、それを斬る。
地面に、包み紙がくっついたままのアメが、ふたつ落ちる。
その横に、ぽつりぽつりと二つの点ができた。







.

105名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:14:48 ID:1cXiWiWo0

      *          *



足元に、ふわりとした感触。
床には、分厚いじゅうたん。
高い天井や、大理石の壁から察するに、ホテルのようだ。
わたしは目の前にあった大きな扉を押し開けた。
扉の向こうには。

川 ゚ -゚)

いつもどおり、見慣れた顔。
その身に纏う真っ白なウェディングドレスが、傍らの姿見が反射した光を浴び、煌く。

川 ゚ -゚)「……どうだ、綺麗か?」

うん、とっても綺麗、綺麗だよ、でも、それを言うべきは私じゃない。

川 ゚ -゚)「ありがとう、きみは本当に優しいやつだ」

やめてよ、そんなこと言わないで。

川 ゚ -゚)「やめない。
     だから、わたしを斬るんだ」

いやだ、いやだ、違う、私が斬りたいのは、あなたじゃないんだ。




だから。だから、私は。

o川* ー )o「さようなら」

そう呟いて、刀の切っ先を私の胸へ向けた。

そして。










.

106名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:15:32 ID:1cXiWiWo0

川 ゚ -゚)「やめろ」

彼女が、私の手から刀を払う。
私の相棒は大きく回転しながら、姿見へと吸い込まれてゆく。
鏡の割れる音。

川 ゚ ゚)「斬るべきなのは」

彼女が鏡の破片を踏みしめ、落ちた刀に近づき、それを拾い上げ、

o川 ゚ ゚)「わたし」

数十秒前の私と同じ格好で、彼女が刀を自分に向ける。

o川 ゚ー゚)o「わかってるはずでしょ」

o川*゚ー゚)o「おねえちゃん」

彼女が、私になっていた。
それならば、私は何だというのか。
足元に転がっている一際大きな鏡の破片を、覗き込む。

川 ゚ -゚)

そこに映っていたのは、幼稚園で、遊園地で、病院で、教室で、火葬場で見た、あの顔。
なんということだ。
私は、彼女だったのか。
暫し、呆然とする。


o川*゚ー゚)o「さよなら」

しかし私は、彼女の言葉によって動かされた。
姿見の残骸に目もくれず、彼女の腕を掴む。

川  - )「嫌だ、違うんだ、やめてくれ」

私の望んだことは、こんなことじゃない。

o川* ー )o「……」

ごとん、とも、からん、ともつかない、何かが落ちる音が響いた。

o川* ー )o「ごめんね、おねえちゃん」




.

107名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:16:25 ID:1cXiWiWo0







o川 ― )o「わたし、間違えてた、だって」




川 ; -;)





o川*;ー;)o「おねえちゃん、泣いてるんだもん」










.

108名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:17:27 ID:1cXiWiWo0

      *          *



真っ赤な夕焼け、煌く水面。

o川*゚ー゚)o「懐かしいね」

そうだ、ここは初めてキュートと家出した時に来た、ちょっと遠くの河原。

川 ゚ -゚)「あの日は、確かクリスマスイブだったな」

o川*゚ー゚)o「そーそー、お母さんとしょーもないことでケンカしてさ、
       こんな悪い子のところにサンタさんは来ませんからね、なーんていわれちゃって」

川 ゚ -゚)「キュートはずっと泣いてたな、サンタさんが来ないのやだ、って」

あの時、どうして母さんとケンカなんてしたんだろう。
まあ、思い出せないほどくだらない理由だった、というわけか。

o川*゚ー゚)o「そんなわたしを見かねて、クー姉が言ったんだよ」

川 ゚ -゚)「……素直に謝ればだいじょうぶだ、絶対にサンタさんは来る、ってな」

私たちはその時のように、川に向かい、二人並んで座った。

川 ゚ -゚)「すまんな、キュート」

川 ゚ -゚)「やっと、全てを思い出したんだ」
.

109名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:18:12 ID:1cXiWiWo0

キュートは私の双子の妹で唯一の肉親だ。
父親は私が小学生の頃に事故で死んだ。母親は、私が中学校に上がった頃に病に倒れ、高校生の時に死んだ。

キュートは小さい頃から、活発で、真っ直ぐで、人見知りのしない、誰にでも好かれる女の子だった。
私の性格は、それのまるっきり反対。
不愛想で、引っ込み思案で、暗い。
友達なんて数える程、親友と呼べる人間など、キュートを除けば全く存在しない。
小学校、高校では、周りに距離を置かれるくらいだったが、中学校では、かなりの陰口を叩かれた。
幸い、人気者のキュートと同じ学校だったから、表立ってひどいことをされることはなかったのだが。
勉強ができるという取り柄はあったが、いくら良い成績をとっても虚しさが残るばかりだった。

高校を卒業し、大学を卒業し、就職をした。
それでも二人暮らしが続いていた。
そしてある日、キュートから、結婚すると告げられた。


頭の中が真っ白になった。
キュートは、私の妹で、家族で、親友だった。
いつでも、一緒だった。
キュートを、私の手から奪われる。


そこまで思いを巡らせて、寒気がした。
私はここまで、同い年のきょうだいに、依存していたのか。
呆然としていると、カレンダーが視界に入った。
そういえば、月が変わったばかりなのに、まだめくっていなかった。
先月のカレンダーの下から現れたのは、今年最後のカレンダー。

そこで、何を思ったのか、私は。

あろうことか、サンタさんにお願いをした。

『一から全てをやり直したい』、と。

.

110名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:18:57 ID:1cXiWiWo0

      *          *



ざーざー、ざーざー。


o川*゚ー゚)o「それで、おねえちゃんは、『周りとの記憶を繋がり』を斬ろうとしたの?」

私がその言葉に頷くと、キュートは大きく溜め息をついた。

o川*゚ー゚)o「おねえちゃん、成績は良いけど、実はケッコー馬鹿でしょ」

いつの間にか、また場面が変わっていた。
最初の、何もなかったあの教室。
今は教室の中央に、椅子と机が二つずつある。
一つの椅子に、キュートが座る。

私は、座らない。
机に手を当て、少し体重をかけて立つ。

川 ゚ -゚)「要はリセットをしたかったんだ」

o川*゚ー゚)o「でも、死ぬのは怖かった?」


ざーざー、ざーざーざー。


川 ゚ -゚)「その通り、情けない話だ」

o川*゚ー゚)o「でも、そのおかげで、わたしはおねえちゃんを助けられたんだよ、多分」

川 ゚ -゚)「ふむ、今までに出てきた『素直クール』は全てキュートだったのか?」

o川*゚ー゚)o「んーん、ちがうよー。わたしだったのは、最後のドレス着てたのだけ。
       それまでは、おねえちゃんのことをなんか、こう、そばから?みてるだけ?みたいな……。
       えーっと、そーゆーの、なんていうんだっけ」

川 ゚ -゚)「傍観か?」

o川*゚ー゚)o「そーそー、それ、傍観。
       で、なんかね、このままじゃいけない、おねえちゃんを助けたい、って思ったら、あそこにいたの」

川 ゚ -゚)「……むう、不思議なこともあるもんだ」
.

111名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:19:47 ID:1cXiWiWo0
o川*;゚ー゚)o「いやもうサンタさんにお願いとかしてる時点で……しかもそれ叶っちゃってるし」


ざーざーざー、ざーざーざー。


川 ゚ -゚)「そういえば、これは、今のこの世界は、夢でいいのか?」

o川*゚ー゚)o「そーじゃないかな……そう思ってたほうがいいよ、たぶん」

ふと手元に視線をやると、長い袖が目に入った。

川 ゚ -゚)「おや、今は冬か」

o川*゚ー゚)o「……?そりゃあそうでしょ、サンタさんの季節なんだし」

よくよく見ると、私たちは裾が長めのコートを着ている。私は灰色、キュートはピンク色。
当たり前のことが目に入らない、これもまた夢の特徴か。

川 ゚ -゚)「いや、なんだかやたらと雨が降っているから、梅雨時かと」

o川*゚ー゚)o「ああ、それなら、これのことじゃないかな」

そうキュートが言った瞬間、教室に大量のテレビが現れた。
幼稚園、家族、遊園地、小学校、病院、クラスメイト、火葬場……そして、夕暮れの河原。
懐かしいブラウン管や、真新しい液晶画面に、色々な場面が写っては、砂嵐が合間に流れる。

川 ゚ -゚)「……ああ」

o川*゚ー゚)o「ね?」

ざーざー、という音は、砂嵐の音だったのか。

川 ゚ -゚)「いや、どうやら早とちりのようだったな」

o川*゚ー゚)o「……? どーゆーこと?」

川 ゚ -゚)「『途切れがちに続いてゆく夢』と、『五月雨』に関連性を見出していたのだがな」

o川*゚ー゚)o「え? さみ、なんて?」

川 ゚ -゚)「いや、こっちの話だ」

o川*;゚ー゚)o「こっちってどっち?!」

教えて教えてとしつこくせがむキュートを,、軽くいなす。

o川*゚ー゚)o「……うー、やっぱりよくわかんないけど
       ……途切れがちに続くってのは、なんかあれだね、人生に似てる」
.

112名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:20:32 ID:1cXiWiWo0

川 ゚ -゚)「は?」

o川*;゚ー゚)o「うわわ、ちょっとあんまり怖い顔しないでよう……。
       えっと、あれだよ、幸せ、とか不幸、ってさ、そんなにずーっとつづいていくわけじゃないじゃん?」

o川*゚ー゚)o「いいことがあって、わるいことがあって、それでふつうのこともいっぱいあって……、
       ていう感じの意味のことわざ? みたいのがあったような……」

o川;*゚ー゚)o「……なんだっけ、えーと、たしかうまがどーとか……、なわがどーたら……」

川 ゚ -゚)「……『人間万事塞翁が馬』と、『禍福は糾える縄の如し』、か?」

o川*゚ー゚)o「あーそうそう、そんな感じの、『バンジーの縄は猛々しい』ってやつ」

川 ゚ -゚)「言ったそばから全然違うんだが」

o川*゚ー゚)o「いや、まあ、話はそれちゃったけど、よーするに、おねえちゃんにはこれからいっぱいいいことあるよ!!
       ……ってことが言いたかった」

川 ゚ -゚)「慰め文句がありがちすぎるな」

o川*;゚ー゚)o「む、むう……だってそうとしかいいようがないんだもん……。
        おねえちゃんと仲良くなりたいって思ってるひと、実は結構いるんだよ……?」

川 ゚ -゚)「……む」

川*゚ -゚)「……いや」

川*゚ -゚)「それが良いこととは……限らない、だろう」

o川*゚ー゚)o「いやもうおねえちゃん笑っちゃってるもん、ごまかせてないもん」

私は、自分の頬に触る。

川 ゚ -゚)「……私は、笑えていたのか?」

o川*゚ー゚)o「え?あー……うん、さっきは」

川 ゚ -゚)「ふむ、そうか、ではさっさと戻ろう」
.

113名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:21:17 ID:1cXiWiWo0

o川*゚ー゚)o「え? 
       ……もどる?」

川 ゚ -゚)「……?
     いや、そのままの意味だが……目的は達成したんでな、さっさと戻ろう」

o川*;゚ー゚)o「え?! いやちょっと待ってよまさか……笑う? おねえちゃん、笑いたかったの?」

川 ゚ -゚)「全くもってその通りだが」

o川*;゚ー゚)o「いやいやおねえちゃん別に普段全然笑わないとかじゃないし、
       なんか笑ってたじゃん最初の方」

川 ゚ -゚)「ああ……いや、もし繋がりを斬ってゆく中で笑えたら、もうちょっと頑張ろうと思っていたんだ。
     あと最初のあれは私であって私じゃない、記憶の中の私みたいなそんな感じ」

o川*;゚ー゚)o「急にあいまいだよう……おねえちゃん、めんどくさくなってきてない?」

私であって私でない。
ふむ、我ながらなかなか良い言い回しではないか。
そうすると、最初私がキュートの姿をとっていたのは、『繋がりを斬る』ということを、
他の誰でもない、私の妹自身にやってもらいたかった、という願望の現れか。

o川*゚ー゚)o「ていうかそもそも、どうやって帰るつもりなの」

川 ゚ -゚)「むー……あー、いや、夢は夢らしく頬をつねるとか……。
     ん?」

o川*゚ー゚)o「え、どうしたの?」

川 ゚ -゚)「いや、なんだか急に冷えだしたなと思ってな」

o川*゚ー゚)o「あー、それもそうだね……。
       あ、もしかして」

川 ゚ -゚)「?」

o川*゚ー゚)o「いや、おねえちゃん、ちょっとカーテン開けてみなよ」










.

114名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:22:08 ID:1cXiWiWo0

      *          *



ξ゚⊿゚)ξ「全く…、ホワイトクリスマスに式を挙げることになるなんて」

( ^ω^)「おっおっ、ロマンチックで素敵だおー」

ξ゚⊿゚)ξ「キュートちゃんはいいけど、あいつがロマンチック、ねぇ」

<ガシャーン

<ウ、ウワーカガミガー!!

<アアモウ、シンロウサマハソコデジットシテテクダサイ……

ξ;゚⊿゚)ξ「……あーもう」

( ;^ω^)「早速やらかしてるお」

<ガチャ

(^ω^ )「おっ?」

( ;´_ゝ`)「あーひどい目にあった……」

ξ゚⊿゚)ξ「ひどい目もくそも、どうせあんたのせいでしょうに」

( ´_ゝ`)「ギクゥ」

( ^ω^)「口で言うなお」

ξ゚⊿゚)ξ「キュートちゃんはまだ中なの?」

( *´_ゝ`)「そうだぞーもう反則的なまでにきれいかわいいんだからなー覚悟しとけー」

( ^ω^)「いやーそれにしても、兄者があのキュートちゃんとゴールインするなんて、びっくりだお」

ξ゚⊿゚)ξ「ホントよ全く、こんなのどこがいいのかしらねぇ」

( ´_ゝ`)「おまいさんそれを言うならこのピザ男くんと結婚したあなたも大概ですぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「は? ブーンとあんた一緒にしないでくれる? ブーンは世界一素敵な私の旦那よ」

( //ω//)「おっおっ……ツンやめるおーてれるおー」

( ´_ゝ`)「のろけめ」
.

115名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:22:55 ID:1cXiWiWo0

o川*゚ー゚)o「あれ? もうふたりとも来てたの?」

( *^ω^)「おーキュートちゃんだおー、ドレスきれいだおー」

ξ*゚⊿゚)ξ「うわー……やっぱり素敵ね」

o川*゚ー゚)o「ふふふー、ありがとー」

( *´_ゝ`)「そうであろうそうであろう、なんてったって俺の嫁さんは世界一だからな!!」

o川*゚ー゚)o「ところでわたし、こないだのデパ地下のマカロン、また食べたいなあ……一ダースくらい」

( *´_ゝ`)「おう、もういくらでも買ってくるぞ!!」

o川*゚ー゚)o「ついでにさっき壊れた姿見の請求書もあげる」

( *´_ゝ`)「構わん構わん、どんときやがれ!」

ξ;゚⊿゚)ξ(恋は盲目……)



ξ゚⊿゚)ξ「……ん?」


         川 ゚ -|┬┴┬┴


ξ゚⊿゚)ξ(誰かしら…すごいこっちみてる)

o川*゚ー゚)o「あ、おねえちゃん!」


      ビクゥΣ川;゚ -|┬┴┬┴

      川;゚ -゚))))) |┬┴┬┴ ススス


( ^ω^)「あ、もしかして、例のキュートちゃんの双子のお姉さんかお?」

川;゚ -゚) ア、ハイ……ドウモ……

( *´_ゝ`)「クーちゃん久しぶりー、ご挨拶に行ったとき以来だね」

( ^ω^)「僕らははじめましてだおー」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね、はじめまして。私がツンで、こっちがブーン」
.

116名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:23:44 ID:1cXiWiWo0

( ´_ゝ`)「いやー双子なのにおねえちゃんと呼んでもらえるなんて羨ましい限り……
      俺の双子の弟なんてもう生意気生意気」

( ^ω^)「それでも、『おにいちゃん』なんて呼ばれた日には?」

( ´_ゝ`)「全力で殴る、気持ち悪い」

( ^ω^)「ですおねー」


<ソロソロフタリトモ、ジュンビオネガイシマース

o川*゚ー゚)o「あ、もうこんな時間?」

( ^ω^)「僕らもそろそろ行くおー」

( ´_ゝ`)「だなー……って、お? クーちゃん、どうした?」

川;゚ -゚)「エ、えーっと、あの……」

川 ゚ -゚)「……兄者さん、キュートのこと、宜しくお願いします」

川*゚ -゚)「私の大事な、自慢の妹なんです」

o川*゚ー゚)o(……)

( *´_ゝ`)「おうっ、任しとけ!」

川*゚ -゚)「……ありがとう、ございます」

<スミマセーン!ジカンオシテマース!!

( ;´_ゝ`)「うぉっと、そろそろやばいな」

o川*゚ー゚)o「……。
       ごめん、ちょっと三人とも先行っててくれる?」

( ;´_ゝ`)「え、あーまあ良いけどなるべく早くねー!」タタタ……



川 ゚ -゚)「……すまんな、遅れてしまって」

o川*゚ー゚)o「なーにやってたのよー」

川 ゚ -゚)「……絵を、描こうと思って」

o川*゚ー゚)o「絵?」
.

117名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:24:32 ID:1cXiWiWo0

川 ゚ -゚)「そう、絵だ
     夢の、目覚める直前の雪景色が、とても綺麗だったから……忘れないうちにちょっと描いておいた」

o川*゚ー゚)o「おねえちゃんの絵かー……懐かしいなー、小学校以来?」

川 ゚ -゚)「む、中学の頃はたまに描いていたんだがな、なんとなく疎遠になってしまっていてな」

o川*゚ー゚)o「わたしおねえちゃんの絵、大好きだったんだよ!
       出来上がったら見せてねー」

川 ゚ -゚)「もちろんだ」


川 ゚ -゚)「……あのさ、キュート」

o川*゚ー゚)o「?」

川 ゚ -゚)「キュートは昔から、元気で皆の人気者だったけどさ、
     やっぱりどっか無理してるのかなって、思うことが結構あったんだ
     ……でも、兄者さんの前のキュートは、なんか……」

川;゚ -゚)「こう、うまく言えないんだけどな……、
     ありのままっていうか、私が知ってるそのままの、私の一番好きなキュートなんだ、だから」

川 ゚ー゚)「彼ならお前を幸せにしてくれるよ、絶対」

川  - )「なあ、キュート」

川 ;ー;)「結婚、おめでとう」

o川*゚ー゚)o「……」

o川* ー )o「ありがとう、おねえちゃん」

o川*゚ー゚)o「おねえちゃんも」

o川*^ー^)o「おめでとう」

o川* ー )o「い、ままでほんとうに……グスッ」

o川*:ー;)o「ありがとう……」

川 ; -;)「……このバカ、泣くのは、早すぎるぞ……」

o川*;ー;)o「おねえちゃんだって、泣いてるくせにぃ……」



.

118名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:25:14 ID:1cXiWiWo0

川う -゚)「む、さすがにそろそろいかないとだめだな」

o川*;゚ー゚)o「うわほんとだ、式までいくらもない、じゃあ、またあとでね!」


o川*゚ー゚)o「……」テクテク

o川*゚ー゚)o(おねえちゃん、わたしが結婚のこと伝えてからずっと上の空だったから、元気になってよかった…….。
       それにしても、サンタさんとはねぇ……やっぱり双子って考えも似るもんなのかな)

o川*;゚ー゚)o(言えないよねぇ……わたしもサンタさんに、『おねえちゃんが元気になってほしい』、ってお願いしたなんて)


               *          *



( ´_ゝ`)「あ、やっときたきた」

o川*゚ー゚)o「おまたせー」

o川*゚ー゚)o「ところで、そっちのスピーチってドクオくんだっけ? こっちは予定通りおねえちゃんだけど」

( ´_ゝ`)「そうそう、いやーブーンがツンちゃんと結婚したときはどっちが最後に残るかヒヤヒヤだったんだが……。
      結局三人の中でドクオが最後になっちまったんだなー」

( ´_ゝ`)「あーそーいえば、クーちゃんって、キュートちゃんとは二卵性の双子なんだっけ?」

o川*゚ー゚)o「そーだよ、あんまり似てないねって、よく言われるけど」

( ´_ゝ`)「そう? さっき笑ったところなんて、そっくりだったよ?」

o川*゚ー゚)o「……」

( ´_ゝ`)「まあ、二卵性だとしても姉妹なんだし」

( ;´_ゝ`)「似てるのも当然っちゃー当然……
      って何なにどーしたの急に、あんまりぎゅっとするとドレスにシワついちゃうよ?!」

o川* ー )o「しるかばーかーばーか今度ゴデバのチョコドリンクおごりやがればーか」

( ;´_ゝ`)「いやもうそりゃあ喜んでおごらせていただきますが」

( ´_ゝ`)「……あ、そーだった忘れてたんだけど」

o川*゚ー゚)o「んえ?」

( ´_ゝ`)「いや、ドクオの、スピーチのことなんだけどね……」
.

119名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:25:59 ID:1cXiWiWo0


……
………


o川*;゚ー゚)o

( ´_ゝ`)「って」

o川*;゚ー゚)o「……いや……えーっと……」

o川*゚ー゚)o「……もう、なんかいいか……おもしろそうだし……。
       ただしお前は式が終わり次第クリスマス限定ゴデバ買ってこい」

( ´_ゝ`)「えっ」

o川*゚ー゚)o「一番高いやつな」



               *          *



川;゚ -゚)(スピーチの練習も死ぬほどしたし……大丈夫だ私、頑張れ私)

川 ゚ -゚)(……えーっと、席は)


  ξ゚⊿゚)ξ ( ^ω^)ノシ


ドンッ('A`)川 ゚ -゚)(……あそこか)

川;゚ -゚)「って、お?」

  |(;'A`)「あ」

  |(;'A`) ス、スミマセン……ブツカッチャッテ

  |'A`;)彡ピャッ

川;゚ -゚)(行ってしまった……私、そんなに怖い顔してたか……?)

ξ゚⊿゚)ξ「クーさーん? 式始まっちゃうわよー」

川;゚ -゚)「あ、すみませんすぐ行きます」
.

120名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:26:44 ID:1cXiWiWo0

               *          *



川 ゚ -゚)「……これで、ご挨拶とさせていただきます」

パチパチパチパチパチ……

川;゚ -゚)(やりきった……無事に終わった……よかった……)

ξ゚⊿゚)ξ「お疲れ様」

( ^ω^)「すごくよかったおー」

川*゚ -゚)「ありがとうございます」

スピーチまでの短い時間で、私は内藤夫妻とかなり打ち解けることができた。
この二人が、夢でキュートが言っていた『私と仲良くなりたい』という人たちだったのだろうか。
だとしたら、私をこの二人と相席にしたのは。

川 ゚ー゚)(全く…出来の良い妹をもって、私は幸せ者だ)

( ^ω^)「お、次はドクオのスピーチだおー」


    ((( 'A`)


川 ゚ -゚)(……あ)

先ほど二人が話していたドクオという旧友は、私にぶつかった彼のことだったのか。
.

121名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:27:43 ID:1cXiWiWo0

      *          *




('A`)「そしたら、こいつが言ったんですよ」

('∀`)「『それを言うならヒメマルカツオブシムシの再来だろ』ってね」

\ドッ/ \ハハハハ/

彼らの友人時代の笑える出来事を語るドクオ君のスピーチは、とても面白く、引き込まれた。

川;゚ -゚)(むう、なんだか今になって自分のスピーチがすごく恥ずかしくなってきた……)


('A`)「さて、長々と話してしまいましたが」

('A`)「本日は、二人とも本当におめでとうございます」

('A`)「お二人の幸せを心からお祈り申し上げ、ご挨拶とさせていただきます」

沸き起こる拍手。
もちろん私もそれに加わる。

('A`)「と、その前に」

('A`)「最後に、もう一つ言わせてください、私事なのですが」

('A`)「今日からピッタリ三か月前のことです、僕が兄者とキュートさんと、キュートさんの家の近くで話していたとき」

('A`)「とある方がキュートさんに忘れ物を届けに来ました」

('A`)「バカバカしい話だとは思いますが」

('A`)「その時、僕はその方に一目惚れをしてしまったのです」

('A`)「その方とは」

('A`)「ついさっき、スピーチをしていらした」

('A`)「新婦の、双子の姉」



('A`)「素直クールさん、です」


.

122名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:28:38 ID:1cXiWiWo0

('A`)「素直クールさん、」

( A )「どうか、この僕と」

( A )「結婚を前提にした、お付き合いを、して、いただけないでしょうか」



川;゚ -゚)


無数の視線が私に注がれるのを感じ、とっさに俯く。
人の結婚式のスピーチでこんなことを告げるなど、馬鹿げている、非常識だ。
こんなの受け入れるなんて、頭がおかしい。
わかっている、しかし、わけのわからない夢のせいで寝不足の頭では、思考が追いつかない。

:;o川* 、 )o;:

なんだよキュート、笑いをこらえて。
知ってたのかお前は。
ばか。

川 ー )

下を向いた顔に、なぜかにやけ面が浮かぶのを感じた。

ついに頭が変になったのか、妹の結婚式だから、クリスマスイブだから、気持ちが昂っているのか。
それとも、嬉しいのだろうか。

これは夢じゃないのかとも思ったが、今度ばかりは、雪景色を見ても覚めそうにない。

川 ゚ー )

いいだろう、受けて立とうじゃないか。
私は、顔を上げ、ドクオとやらに向かって、声を張り上げた。







《おしまい》
.

123名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:29:51 ID:1cXiWiWo0
投下終わりです。
みなさんも祝福されますように.。

124名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 19:34:34 ID:WJjVCr5.O
乙!
情景のきれいな話だった
素敵な景色をありがとう

125名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 20:05:40 ID:/jLQ7pTs0
乙!良い姉妹だなー
ヒメマルカツオブシムシが気になってぐぐったら害虫なのか

126名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 20:46:37 ID:CIV7CEVw0
読み返すとあったかい
おつ

127名も無きAAのようです:2013/12/23(月) 22:42:06 ID:rPnKGEPw0
ζ( ー *ζ花言葉は神の祝福のようです

奇跡なんか必要ない。
私はただ、友達がほしかった。
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1433.jpg

青い薔薇の花言葉に神の祝福があるそうなので、あのゲームをもとネタに
祝福祝福

128名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 00:05:06 ID:EjL7w.5o0
>>127
色合いとかデザインとかすごく素敵
祝福乙です

129名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 01:55:27 ID:bgPs8I7s0
投下します

130从 ゚∀从5分間の祝福のようです:2013/12/24(火) 01:56:12 ID:bgPs8I7s0
从 ゚∀从「お……雪降ってる」

トポポ…

カタン

从 ゚∀从「今年のひとり誕生日パーティーはベランダでやりますか」

从 ゚∀从 テクテク

ガラッ

从 ゚∀从「ベランダさっむ」

从 ゚∀从「完全防寒しないとな」


http://imepic.jp/20131224/059500


从 ゚∀从「ブーツブーツ」

从 ゚∀从「どっこいせ」

131从 ゚∀从5分間の祝福のようです:2013/12/24(火) 01:57:05 ID:bgPs8I7s0
从 ゚∀从っ[スマホ] ス…

[スマホ]<…〜♪

从 ゚∀从「はっぴばーすでーとぅーみー」

从 ゚∀从「はっぴばーすでーとぅーみー」

[スマホ]<〜♪〜♪

从 ゚∀从「はっぴばーすでーでぃあハインー」

从 ゚∀从「はっぴばーすでーとぅーみー」

从 ゚∀从「かんぱーい」

ゴク

132从 ゚∀从5分間の祝福のようです:2013/12/24(火) 01:57:53 ID:bgPs8I7s0
从 ゚∀从「んあー」

ポカポカ


http://imepic.jp/20131224/060250


ゴク

从 ゚∀从「ひとりで飲む酒は美味い」

从 ゚∀从「あったまったし、寝るか」

ポカポカ

从 ゚∀从「どっこいせ」

ガラ

ピシャッ


<ライネンハ、カレシツクルゾー



終わり

133名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 01:58:42 ID:bgPs8I7s0
投下終わり
もともとは総合絵題用に描いたやつなので、イラストがメインです
お題は「毛糸」と「ホットウイスキー」でした

134名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 02:13:42 ID:OW.cb7y.0
やだハインちゃん可愛い…祝福乙

135名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 02:17:15 ID:bu6.6tIo0
祝福乙 ハイン可愛い。温かくていい絵だな。

136名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 07:59:37 ID:tH6JbSZk0
祝福乙!かわいい!

137名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 11:32:29 ID:Y38iZVLs0
のんびり感がいいね 祝福乙!

138名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:46:01 ID:W4HgW3rA0
投下します。

139名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:47:14 ID:W4HgW3rA0


( ∀ )「あ――…いってえな……くそっ」


悪態をつきながら街を歩く。

傷だらけの体を嘲笑うように、あちこちでイルミネーションが輝いていた。

どうやら今日はクリスマスだったらしい。
まあ、俺には欠片も関係のない話だが。


( ∀ )「死ぬんじゃねえのか、これ」


自嘲混じりの言葉も、カップルの愛の囁きの合間に埋もれていく。



( ゚∀゚)聖夜に彼らは出会うようです


.

140名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:48:49 ID:W4HgW3rA0


煌びやかなイルミネーション。

それを見ながら体を寄せ合うカップル。

幸せそうな笑顔。


忌々しい。何もかも、忌々しい。



幸せそうな空気の中、ずたぼろの体を引きずって歩く俺に目を向ける奴は滅多にいない。

たまに視線を感じるが、それもすぐに消える。
幸せの最中に、わざわざ面倒事に関わりたくないのだろう。至極当然のことだ。

.

141名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:49:57 ID:W4HgW3rA0


( ゚∀゚)「はあ……」


体を動かすのが億劫になった時、目の前に巨大な建物が見えた。

風を凌ぐのにもちょうどいいと思い、壁に寄って腰を下ろす。


( -∀-)「……寒いな」

風は凌げたが、いかんせん寒い。
時期が時期だから当たり前だとは思うが。

どこからか聞こえる軽やかなメロディをBGMに、先程までの記憶を回想する。


俺は、喧嘩に負けたのだ。

.

142名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:50:57 ID:W4HgW3rA0


俺はあちこちをふらふらする根なし草だ。


特別珍しいことじゃない。この辺りはそんな奴で溢れかえっている。

だから俺達にとって、喧嘩に負けることは自分の居場所を奪われるということだ。
ショバ。いや、縄張り、か。


そして俺は負けた。

元々、滅法喧嘩が強いわけではない。
そんな奴が多勢に囲まれて勝てるわけがなかった。


――――いや、敗因など今更どうでもいい。

重要なのは、俺はこれからどこに行けばいいのかということだ。

.

143名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:52:15 ID:W4HgW3rA0


( -∀゚)「……」


痛む顔を撫でる。思いきり腫れていた。

殴られたせいか血を流したせいか、多分両方だろうが、頭がうまく働かない。


( -∀゚)「(俺、死ぬのかもな)」


それもいい気がした。

どうせ帰る場所などないのだ。それならここで凍え死んだ方がいい気がする。


そんな自虐的な思考に身を任せていると、ふと濃い陰が落ちた。



ξ;゚⊿゚)ξ「あんた、大丈夫?」



心配そうな顔をした女が、俺を見下ろしていた。

.

144名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:53:14 ID:W4HgW3rA0


ξ;゚⊿゚)ξ「怪我してるじゃない、大丈夫なの?」

( ゚∀゚)「……何だよ、お前」


正直面喰った。好き好んで声をかけてくる奴がいるとは。

女は俺のまとっているそれと対照的な、白い毛皮のコートを着ていた。
これから恋人とデートですとでも言いだしそうなほど、綺麗な服と顔をしている。


ξ;゚⊿゚)ξ「私の家ここから近いから行きましょう。手当てしてあげる」

(;゚∀゚)「はぁ!? てめっ、触るな!」


差しのべられた手を、触れられる直前で振り払う。
女は「きゃっ」と小さく悲鳴を上げて腕を引っ込めた――――と思いきや、鬼のような顔で俺を睨む。


ξ#゚⊿゚)ξ「あったまきた! 意地でも手当てしてやるんだから! 来なさい!」

(;゚∀゚)「うお、ちょ、待ってって、おま――――」

.

145名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:53:58 ID:W4HgW3rA0


引きずられるような形で、俺は女の家に連れ込まれた。


救急箱からガーゼだの消毒液だのを取り出す女の背中をぼんやりと眺める。

さっきまで着ていたコートは既に脱いでいた。
こいつ、あんなめかしこんで、どこかに行く予定じゃなかったのか?


ξ゚⊿゚)ξ「じっとしてなさい」

言うや否や、乱暴に消毒液をぶっかけられた。しみる。
殴られた時の痛みには到底及ばないが、しみるものはしみる。思わず顔を顰めた。


( ゚∀゚)「なんつー乱暴な女だ」

ξ゚⊿゚)ξ「我慢してよ。化膿するよりましでしょ」

.

146名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:55:48 ID:W4HgW3rA0


ξ゚⊿゚)ξ「あんた、こんな傷どこでつけたのよ」


俺の腕に包帯を巻きながら、女は溜息交じりに言った。

ま、私には関係ないけど、と続け、余った包帯を切り取る。


ξ-⊿-)ξ「はあーあ、変な怪我人は拾っちゃうわ、彼氏にはふられるわ、ついてないわね」

( ゚∀゚)「ふられた……って、お前」


包帯を片づけながら、女は俺に向かって笑った。


ξ゚⊿゚)ξ「クリスマスも仕事だっていわれたのよ。でも、一目会いたくてさ。仕事が終わる時間を見計らって家に行ったわけ」

( ゚∀゚)「……」

ξ゚ー゚)ξ「そしたら、他の女と腕組んだあいつと鉢合わせしちゃったの。その場でふられちゃった。ばかよね、ほんと――――」


ばかみたいに張り切ってお洒落してさ、と女がハンガーにかけたコートを見る。

その目からぽろりと水が滴った。

.

147名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:57:37 ID:W4HgW3rA0


ξ;⊿;)ξ「うう、う"……うううう……」

(;゚∀゚)「お、おい」

ξ;⊿;)ξ「なによ……ばかあ……何もこんな日に、ふること、う"う"う"っ」


堰を切ったように女は泣きはじめた。
派手な色をしたスカートに暗い色の染みが広がっていく。

女がふられようがなんだろうが俺には全く関係のない話だが、このまま放置するわけにもいくまい。

とりあえずそっと女の手に触れる。と、びくりと目の前の体が震えた。


ξ;⊿;)ξ「あ、あんた、それ、慰めてるつもり……?」

(;゚∀゚)「あー……いや、その、なんていうか……」

.

148名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:58:35 ID:W4HgW3rA0


どうすりゃいいんだ。

恋愛なんかとは無縁の世界と生きていた俺は、女の慰め方なんて知らない。
とりあえず女の体を何度かポンポンと優しく叩く。これじゃ幼児扱いだ。


ξ;⊿;)ξ「ふう"う"う"っ……」

(;゚∀゚)「あーと、その、なんだ、男なんざ星の数ほどいるんだからよ」

ξつ⊿;)ξ「うう"う"う"う……」

(;゚∀゚)「その……美人なのに、泣いたら……、ああもう! どうしろってんだ!」


俺が大声を上げると、女は今俺の存在に気付いたかのように、視線を俺に向けた。

スンスンと鼻を鳴らしながら、乱暴に涙を拭く。目が真っ赤になっていた。


ξ;ー;)ξ「ふふっ、ふふふ」

(;゚∀゚)「な、なんだよ急に笑い出して」

ξ;ー;)ξ「あんたが急に変な声出すから、思わず笑っちゃった」

.

149名も無きAAのようです:2013/12/24(火) 20:59:28 ID:W4HgW3rA0


ξう⊿゚)ξ「はあ、泣いたら少しすっきりしたわ」

( ゚∀゚)「そりゃよかったな」


我に返ると、手当てはとっくに終わっていた。

俺に帰る場所なんてないが、いつまでもここに居座るわけにはいかない。
無視できる程度におさまった傷みを抱えて立ち上がる。


ξ゚⊿゚)ξ「え?ちょっと、どこに行く気!?」

( ゚∀゚)「もう用はねえだろ。邪魔したな」

ξ゚⊿゚)ξ「待ちなさいよ!」


女は慌てたように俺を引っ掴んだ。
体のどこからかグキリという音が聞こえた。本当に乱暴な女だ。

.


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