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( ・∀・)探偵モララーは信じているようです

1  ◆MgfCBKfMmo:2013/08/10(土) 20:43:45 ID:zY0bf3Qg0
スレがぎりぎりになってしまったので、後半をこちらで投下します。
見切り発車良くなかったです。

前スレ「( ^ω^)は嘘をついていたようです」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1330785724/l50

まとめ Boon Roman様
http://boonmtmt.sakura.ne.jp/matome/sakuhin/tell-a-lie2.html
ありがとうございます。

それでは後半、第七章から始めます。

212第十章 十字架 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 22:42:06 ID:EjYAGugM0
(;・∀・)「ああ」

答えたものの、体力は相当奪われていた。
考えてみたらすでに地下牢に入れられたときから満身創痍だったのだ。
痛みをこらえて立ちあがる。

(;・∀・)「ちょっと……疲れたみたいだ」

从 ゚∀从「平気か? あとちょっとだから」

(;・∀・)「出口は?」

从 ゚∀从「あそこ」

ハインが前を示す。
階段が見えた。

从 ゚∀从「あそこが教会に繋がっているんだ」

213第十章 十字架 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 22:44:05 ID:EjYAGugM0
今度はハインがモララーを先導した。
モララーの体力を考えて、ゆっくりと二人は歩く。

後ろから追ってきていた連中はどうなったのか。
あの衝撃をまともに食らっているならば立てないだろう。
しばらく追っては来れないはずだ。そうであることを祈りたい。

从 ゚∀从「なんで戻ってきたんだろうな」

ハインがぼやく。
あの聞えてきた足音の話だ。

理由はわからない。
掘削機に何か支障が生じたのだろうか。
振動はすっかり遠ざかっているので、今も稼働しているのかはわからない。

从 ゚∀从「階段、大丈夫か?」

(;・∀・)「そこまでしんどくはないよ」

モララーは笑ってごまかした。

214第十章 十字架 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 22:46:26 ID:EjYAGugM0
ハインの表情を確認する。
ぎらぎらした目もしていない。
穏やかに笑いかけてくれていた。

从 ゚∀从「あれ、探偵さん、ロザリオしてたのか」

ハインがモララーの胸のあたりを指さす。

「え?」と呟いて、モララーは下を向いた。

今更のように、思いだした。
マスがロザリオをくれたことを。
そのロザリオは今日、モララーの首から提げられていた。

(;・∀・)「ああ、兄弟がくれたんだ」

そういえばマスがいろいろといじったと言っていたけど、いったいなんのことだったのだろう。
結局わからずじまいだった。
帰ってから後で聞いてみればいい。あいつのことだから、きっと何か考えてくれたんだ。

215第十章 十字架 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 22:48:03 ID:EjYAGugM0
从 ゚∀从「そういえば、兄弟って言うけど、どっちが年上なんだ?」

(;・∀・)「え、ああ」

モララーはちょっと考えて、それからふっと笑った。

(;・∀・)「わかんないや」

从 ゚∀从「え、なんで?」

(;・∀・)「いつか話すよ」

そうだ、まだまだハインには話していないことがたくさんある。
これが終わったら、もっとじっくりとハインと話し合いたい。
また前のように、大学通りの喫茶店にでも入って、ゆったりと時間を使いたい。

階段を一歩一歩踏みしめていく。
出口の扉は、床に敷かれているのだろう。
内側から開けるときは、押す必要がある。

216第十章 十字架 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 22:50:03 ID:EjYAGugM0
从 ゚∀从「開けよう」

モララーは前に立ち、扉の取っ手を掴んだ。
鍵はかかっていない。

从 ゚∀从「モララー、あんたを信じて良かった。
 あんたはあたしが思った通りのやつだったよ」

ハインが言った。
唐突にも思えた。

从 ゚∀从「あんたはいつでも、あたしのことを信じてくれるだろ」

彼女の顔は、とても輝いて見えた。

从 ゚∀从「たった半年、いや、一年の付き合いだけど。
 あんたがそういう奴だってことを、あたしはよく知ってるんだ。
 だからあたしは安心できるのさ」

その言葉は真意だろうか。
散々彼女に振り回されたおかげだろうか、モララーは一瞬そんな疑惑を抱いた。

217第十章 十字架 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 22:52:03 ID:EjYAGugM0
でも、すぐにかき消えた。
本当かどうかなんて関係ない。

信じるか信じないかだ。
だめだったらだめになってから考えればいい。

モララーは身体の疲れを感じた。
早く帰ろう。
あのアパートへでもいい。

元の世界へ戻りたい。
それだけ。

扉が開かれた。

とたんに、光が差し込んできた。

218第十章 十字架 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 22:54:05 ID:EjYAGugM0
とても強い光だ。
目を開けているのは厳しかった。

目を閉じた。
声が聞える。
とてもやかましい。

傍で音がした。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

219第十章 十字架 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 22:56:26 ID:EjYAGugM0
お前は相当疲れていたんだ。
この後すぐにお前は倒れた。
強いストレスからくるショックで。

でもこの音だけは覚えていたんだってな。
ずっとずっと、忘れられない音として
お前の記憶に刻まれているんだ。

いつまでも。

この十字架はお前に突き刺さっている。




『( ・∀・)探偵モララーは信じているようです』 エピローグ 探偵事務所 へ続く。

220 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/17(土) 23:00:20 ID:EjYAGugM0
目次
>>2 登場人物
>>3-52 第七章 球場
>>56-104 第八章 猫
>>110-143 第九章 クリスマスイブ
>>150-219 第十章 十字架

明日、エピローグを投下します。
着想から一年以上、何度も書き直しを重ねた物語がようやく終わります。
今しばらくお付き合いください。

それでは。

221名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 23:13:21 ID:6U5PX.PU0
乙!!
今回も面白かった

222名も無きAAのようです:2013/08/17(土) 23:16:28 ID:cm3qmLDA0

とうとう終わりか…

223名も無きAAのようです:2013/08/18(日) 03:55:58 ID:h3TJnnzEO
そういえばと思って前作見てみたら、4月に次回作草案中って言ってるな 
一時期あんまり来ないからもう書くの辞めたのかなと思ったりしたけど 
前作もだけどこれくらい凝った作品は2、3ヶ月くらいじゃ書けないだろうな 
続きが読めてよかったよ、エピローグ早くまだ色々謎ばかりだ

224名も無きAAのようです:2013/08/18(日) 20:18:35 ID:h3TJnnzEO
エピローグマダー!

225 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:04:47 ID:t50i03ro0
お、復旧しとる。
それでは投下始めます。

226エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:05:59 ID:t50i03ro0
( <●><●>)「あのロザリオは発信機だったんです」

マスが説明する。

( <●><●>)「僕の知り合いの方々に手伝ってもらって、K大学の傍や県南、東京の方まで受信機を配っていたんです。
 そもそもは物理学科の方々の実験だったんですけどね、僕も勉強のために参加させてもらっていたんです。
 そしてロザリオにもその仕組みを応用させて、あの集会の日に利用したんです」

( ・∀・)「言ってくれても良かったろうに」

( <●><●>)「もしかしたら役に立つかも、という程度の認識だったんです。
 むしろ君があそこまで危ない目にあうなんて思いもしなかったんです。
 あのロザリオが無ければどうなっていたことか」

( ・∀・)「無くても助かっていたよ」

( <●><●>)「本当にそう考えているんですか?」

( ・∀・)「ああ」

( <●><●>)「だってあのおかげで、警察の方々は別の場所から地下道に潜入できたんですよ?」

( ・∀・)「……あ」

( <●><●>)「?」

( ・∀・)「そうか、あの地下講堂に来たやつら」

227エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:06:58 ID:t50i03ro0
( <●><●>)「何か思い当る節でも?」

( ・∀・)「地下講堂にいたとき、突然地下道の方から人が来たんだ。
 教団の連中だったんだと思うけど。
 あれはきっと別の場所から入ってきた警察に追われて逃げてきた連中だったんだな」

( <●><●>)「そんなことがあったんですか……」

( ・∀・)「ちょうど爆弾を爆発させたときだよ」

( <●><●>)「ああ、あの……」

( ・∀・)「うん」

( <●><●>)「……怒ってます?」

( ・∀・)「え?」

( <●><●>)「ロザリオをいじったこと」

228エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:08:06 ID:t50i03ro0
( ・∀・)「そんなことないさ」

モララーはすぐに否定した。

( ・∀・)「そんな傲慢なことはさすがに言えないよ。
 ただ、やっぱり理屈では片付けられないものもあるからさ……」

( <●><●>)「……それはわかります」

マスは目を閉じて、うんうんとうなずいてくれた。

( <●><●>)「まあ、いろいろ感じるものはあるんでしょうね。
 でも世の中そういうものですよ。価値判断は人それぞれです。
 自分が成し遂げようとしていたものが他人にとっては都合の悪いものにもなるんです」

マスが言っていることは何から何まで正しかった。
だからモララーは口答えをしなかった。

感情的になっていたことにも反省してきた。

( ・∀・)「ごめん」

小さく謝罪する。
マスも黙ってしまった。
何を言っても無駄だと思ったのだろう。

モララー自信がそう思っている。今の自分に何を言っても無駄だ。
自分もハインも助かった、だから今こうして生きていられる。
そのことには感謝しなければいけないことなのに、文句を言うなど罰が当たる。

229エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:09:05 ID:t50i03ro0
「分手モララーさん、どうぞ」

呼ばれて、返事をする。

( <●><●>)「じゃあ、僕は外で待っています。久しぶりに僕が料理を作ってあげましょう」

ここ最近忙しかったことを、やはりマスも気にしていたようだ。
モララーは思わず微笑んだ。思った以上にマスは変わっていなかった。

軽く、手を振って、部屋の扉に向き直る。

ここは警視庁

すでに年が明けている。

モララーは取調室に入って行った。

230エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:10:06 ID:t50i03ro0
(´・ω・`)「君か」

見覚えのある顔だ。

( ・∀・)「またあんたか」

(´・ω・`)「お互い様さ。
 こういう縁もあるもんだ」

( ・∀・)「異動したばっかりじゃないの?」

(´・ω・`)「そうだけど、一応元からこの教団のことを追っていたからね。
 本部に戻っても引き続き調査しているというわけさ」

ショボンはそういって、椅子に座るようモララーを促した。

(´・ω・`)「さて、事件のことについてはだいぶ話した」

モララーは肯定する。
教会爆破と発砲その他、それに付随する教団の悪事の数々。
この数日間で明らかになることはあまりにも多かった。

231エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:11:06 ID:t50i03ro0
すべて、モララーが供述したことだ。

彼は教団にもぐりこんだときのこと、拘禁されたことも含めて
彼は教団内部で何が行われているのかを事細かに告げた。

実際に地下道に潜入した警察も、掘削機を含めて様々な証拠を見つけていた。
あの爆発で負傷した教団の人間からも証言を得られた。

警察の捜査も軌道に乗った。
大組織といえども、あの地下道のような大掛かりな証拠があれば、言い逃れはできない。
そもそも教団による被害者の数も多かった。

そして芋づる式に教団の悪事が暴かれる結果となった。

( ・∀・)「ええ、でも僕は呼び出された」

(´・ω・`)「そうだ。まだ聴きたいことがあるからだ」

モララーは溜息をつく。

( ・∀・)「もったいぶらずに言えばいいじゃないですか」

その件について荒ぶるのにももう疲れた頃だった。

(´・ω・`)「では、聞かせてもらおうか」

(´・ω・`)「高岡ハイン容疑者について」

232エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:12:06 ID:t50i03ro0
ショボンは淡々と事実を述べる。
その話題の人物が昔の同僚だということを微塵も感じさせない口ぶりだ。

もっと気持ちを込めてもいいじゃないか、と素直にモララーは苛立った。
ショボンの態度は完全に公私を別にしていた。
それが当たり前のこととはいえ、気にはなる。

( ・∀・)「どうしてハインは逮捕されたのですか。
 詳しく説明してほしいんです」

モララーは冷静にきこえるよう努力して質問した。

(´・ω・`)「聞いてはいなかったのかな」

( ・∀・)「教団の話こそすれ、その中の一人のことなんて
 なかなかピンポイントで知ることはできませんでしたから」

(´・ω・`)「そうか……」

ショボンは言葉を選んでいるようであった。

233エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:13:06 ID:t50i03ro0
(´・ω・`)「教団の幹部だったからな。
 教団の団員の数人も、彼女の指示により動いたことを話している。
 地下で起きた爆発も彼女が起こしたものだろう。残骸から違法な爆発物が検出された」

( ・∀・)「ハインは、教団の悪事を暴くために頑張ったんですよ?」

(´・ω・`)「ああ。でも、そのために悪事を働いた」

ショボンは鼻につくくらい論理的に説明した。

(´・ω・`)「どんな理由であれ、度を過ぎた悪事はしてはならないんだよ。
 たとえ正当な目的があったとしてもな、それで大きな被害を及ぼしてはならない。
 わかるだろう?」

( ・∀・)「……」

(´・ω・`)「と、私も言っていたんだがね」

( ・∀・)「……?」

モララーは呆然としていたが、ショボンの言葉に急に我に返る。

( ・∀・)「言っていた?」

234エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:14:06 ID:t50i03ro0
(´・ω・`)「ハインは聞く耳をもたなかった」

( ・∀・)「どういうことですか」

モララーは鋭い目をショボンに向けた。

(´・ω・`)「ハインの考えは、知っていたよ」

ショボンは何事でもないように、言う。

(´・ω・`)「実はね、君と神社で会った後にハインから電話が来たんだ。
 私はハインがこれから行おうとしていることを知った。
 そして彼女はこうも書いていた、あたしの計画の後にこの秘密を公表してくれと」

(´・ω・`)「だから私はハインが計画を遂行するのを待つことにした。
 上手くいけば教団の陰謀がすべて暴かれるかもしれない、こr」

すべてを言いきる前に、ショボンの首にモララーの左手が伸びる。
ネクタイを握る手がぎりぎりと閉まる。

頭が一つのことだけに集中していた。

ショボンは全て知っていたというのか。
知っていた上で、この結果を回避しなかったというのか。

右手に力がこもる。

235エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:15:07 ID:t50i03ro0
(´・ω・`)「……それ以上のことをすれば、君を逮捕するぞ」

ショボンは淡々と、説明する。

(´・ω・`)「君もまた独房に入りたいのなら、なるほど性急に対処してやろう。
 しかしこれはハインも望んでいないんじゃないのか」

モララーは息を荒げていた。
ショボンを強く睨みつける。
ショボンは睨まず、ただじっと、モララーを見返していた。

モララーは呼吸を整えて、手を離した。

(´・ω・`)「やれやれ、若いね」

ショボンの皮肉にもこたえる余裕は無かった。

(´・ω・`)「言っておくけど、逮捕されたのは彼女の意志だよ。
 電話口でも彼女が言ったんだ。今までの罪は償うってね」

236エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:16:07 ID:t50i03ro0
罪人は地下に潜る。
彼女が言っていたセリフを思い出す。

モララーには何も言えなかった。
彼女が自分を罪人と思っていたのなら、モララーからは何もできない。
死ぬことをやめたとしても、彼女は生きて、罪を償う道を選んだ、それだけなのだから。

(´・ω・`)「君はハインといつ頃から知り合ったのだっけ」

そこからは事情の説明がしばらく続いた。
お互い深入りすることなく、モララーは事実だけ述べ、ショボンは事実だけを書き留めた。
先ほどの昂ぶりも憤りも、ひとまずは抑えつけてある。

モララーは余計なことを考えないことにしていた。
考えてしまえば、このどうしようもない憤りがとめどなく溢れてきてしまうだろうから。

(´・ω・`)「ありがとう」

ショボンはそう言って、取り調べを終えた。

237エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:17:05 ID:t50i03ro0
( ・∀・)「……俺は、あんたのことはきっとずっと嫌いだと思う」

モララーは思うがままに述べる。

(´・ω・`)「ほう」

( ・∀・)「俺はハインを助けたいから助けた。
 助けたのにこんな仕打ちをされるのは、納得いかない」

(´・ω・`)「彼女が望んだことでもか」

( ・∀・)「そう」

(´・ω・`)「まるで子どもじゃないか」

( ・∀・)「それでもいい」

ショボンは何かを言い返そうとしたが、結局は諦めた。

238エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:18:16 ID:t50i03ro0
(´・ω・`)「何を言っても無駄だろうな。
 目を見ればわかるよ」

( ・∀・)「目?」

(´・ω・`)「そうだよ」

ショボンは嘆息を漏らす。

(´・ω・`)「今の君の目は、ぎらぎらしている。
 彼女と同じだ。絶対に、他の人の意見など聞き入れない。
 自分の信じる道を行く」

信じる、か。

239エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:19:26 ID:t50i03ro0
(´・ω・`)「だいたい、彼女が本当はどう思っているかも君はわかっていないんだろう?
 彼女も君のことについてはただ、利用していたとしか発言していないんだ」

モララーにとってそのことは初耳だった。
地下で、モララーはちゃんとしたハインからの答えを聞いたわけではない。
だから、ひょっとしたらハインはモララーのことをなんとも思っていないのかもしれなかった。

(´・ω・`)「それなのに君は彼女を信じるというのか?」

ショボンは目を細めて、モララーの反応を伺っていた。

ハインがそう答えているのは、モララーを巻き込まないという意図もあるように思える。
あるいは本当に最初から利用していたとも。
でも、モララーにはもう、その問いは無意味だった。

モララーはその目線を手で振り払い、微かに笑う。

( ・∀・)「信じているさ」

モララーははっきりという。

( ・∀・)「ハインは悪人なんかじゃない。
 これから何年かかってもいい。俺はハインとまた会えるときまであいつを信じ続ける」

そして、そのために
答えはもう決まっていた。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

240エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:20:21 ID:t50i03ro0
お前はそう言って部屋を出ていった。
まったくもって、いけすかない男だ.
お前の背中を眺めながら、俺はそう思っていたよ。

正直に言うと、俺はお前に不安な気持ちしか抱いていないんだ。

お前はあまりにもハインに似すぎている。
目標のためならば多少の危険は厭わない。
そういうタイプの人間のように私には思えるのだ。

だから、これから先にも備えて私はお前のデータを残しておくことにした。
血液や指紋、この調書のデータも全て残しておくように鑑識に頼んでおいた。
俺はお前を信頼していないんだ。

これが、お前の後ろ姿をこの部屋で見ての、このときの俺の結論だ。
しかし世の中には変わった縁があるものだ。
ハインを信じているお前はハインにまだ会えないのに
お前を信頼していない俺は後にお前に会うのだから。

おかげで、まったくもって碌な目にあわない。

なあ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

241エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:21:06 ID:t50i03ro0
( <●><●>)「探偵事務所をすぐに始める?」

( ・∀・)「そうだ」

唐突に言うものだから、マスは驚く。

( <●><●>)「急にやる気になるものなのですね」

( ・∀・)「なんだかな、やる気に満ちてるんだ」

( <●><●>)「とりあえず、卒業はしましょう」

マスはモララーをなだめる。
モララーも渋々納得した。

( <●><●>)「まったくもう、わかりやすいというか」

マスが呆れたように言う。

242エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:22:05 ID:t50i03ro0
( ・∀・)「え?」

( <●><●>)「どうせハインさんのことでしょう」

(;・∀・)「ああ、まあ……」

( <●><●>)「ほらほら、そういうの。
 なんで僕相手に照れるんですか。いつもいつも」

(;・∀・)「い、いや別に」

( <●><●>)「で、探偵事務所を開いて何をするつもりなんです」

( ・∀・)「ああ」

モララーはもう心に決めていた。

( ・∀・)「いろんな事件を解く。
 いろんな人を救う。
 もう、ハインや、似た境遇の人が悲しまないように」

そしていつかハインに、胸を張って会えるように。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

243エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:23:06 ID:t50i03ro0
春の足音がきこえるような、三月の陽気。
卒業式は、もう少し。

モララーは教会の焼け跡の横にある公園にきていた。
単純に、散歩していて、たまたま通りかかっただけである。

教会の方はいまだに警察によって立入禁止の状態となっていた。
あの地下通路は広大だったし、捜査もすぐ終わるものではないのだろう。
それでも新学期になるころにはおえていないと、子どもたちもボランティアもしばらくお預けとなるだろう。
応援するばかりである。

いつの間にか公園の猫は増えている。
いったいいつの間に戻ってきたというのだろう。
ラップ現象よりもよっぽど不思議な現象だ。

川 ゚ -゚)「モララーさんじゃないですか」

ベンチに座っていたら、クーと出くわした。
まるで手ぶらの状態だ。おそらくクーもただ散歩をしにきたというだけなのだろう。

( ・∀・)「クー、元気そうだな」

一時期塞ぎこんでいたというのが、もう嘘のようだ。

川 ゚ -゚)「猫、好きですから。ここにきていっぱい猫と会って、もう幸せですよ。
 それと、飼い猫戻ってきたんですよ!」

244エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:24:08 ID:t50i03ro0
( ・∀・)「え!」

川 ゚ -゚)「なんと、子どもを連れて!
 いやあ、どこで育てていたんでしょうね」

そうか、死んでいなかったのか。
地下で教団の悪事をきいたときから、勝手に殺されたり売られたりしたものだと思い込んでいた。
飼い猫にとっては本当に悪いことである。黙っておこう。
骨のことについて口に出そうとしたが、したらしたでクーがショックを受けそうなので、こちらも黙ることにした。

( ・∀・)「はは、よかったじゃないか」

川 ゚ -゚)「まったくですよ」

クーはモララーの隣に座って、一息ついた。

川 ゚ -゚)「ねえねえ、モララーさん」

すぐに、クーが話しかけてくる。

( ・∀・)「ん?」

川 ゚ -゚)「あの、マスさんってまだ学校にいますかね」

245エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:25:04 ID:t50i03ro0
なんだって急にマスの話なのだろう。
その真意は随分後にならないとモララーにはわからなかった。
ちなみにモララーはハンカチを返していないし、クーももう追求してこなかった。

( ・∀・)「ああ、どうだろう。
 就職はするみたいだけど。
 まだ学校にはくるんじゃないかな」

川 ゚ -゚)「また物理学棟で遊んでいるんですかね」

( ・∀・)「かもなー」

ちょっとだけ話が途切れた。
鳥の囀りがより良く聞える。
眠気が二人を包み込んでいた。

( ・∀・)「しかし、みんな遠くへ行くわけだよなあ」

モララーの嘆息にはいろんな意味合いが込められていた。
すでに大学の卒業式は終わっていて、モララーもクーもここから離れる。
マスはもうすこし院に残っているだろうが、もう社会人になってしまう。

( ・∀・)「なんだか寂しいな。
 それが成長ってもんなんだろうけど」

モララーが言う。ほとんど呟きに近い言葉。

クーはそれを聴いて、何とも言えない顔をする。

246エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:26:07 ID:t50i03ro0
でも、すぐに首を横に振った。

川 ゚ -゚)「何を言っているんですか、モララーさん。
 猫だってこうしてここに戻ってきたんですよ」

クーは周りを見回して、言う。

川 ゚ -゚)「確かに離れるけど、どこかには生きていて、春がきたり、何かがあればまた会える。
 生きている限り、そうでしょう」

モララーは頭の中で一瞬煌めきを感じた。
クーの言ったことが、まさに自分の聞きたかったことのように感じた。

まったくもって、急に核心をつくやつだと、モララーは思う。
思わずクーを見て、つい笑ってしまう。

川;゚ -゚)「な、なに笑ってるんですか? こわいですよ」

( ・∀・)「いやいや、なんでもない」

ふと、猫探しのときもこんなふうにクーに笑われたことを思い出した。
嫌な感情など微塵も無い笑いなのだと、ようやくわかった。

247エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:27:10 ID:t50i03ro0
春が近づく。
猫は戻る。
社会に出るものは出て。
ハインは罪を償いに。

そして、モララーは探偵事務所を開いた。








〜探偵モララーは信じているようです おわり〜

248エピローグ 探偵事務所 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:30:35 ID:t50i03ro0
目次
>>2 登場人物
>>3-52 第七章 球場
>>56-104 第八章 猫
>>110-143 第九章 クリスマスイブ
>>150-219 第十章 十字架
>>226-247 エピローグ 探偵事務所

249 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:33:58 ID:t50i03ro0
>>223

実際に書いていたのは今年の五月頃からです。
一年間は本当に、忙しくて執筆どころじゃなかったので。
構想だけこねくりまわしてなかなか終わりまでできずもやもやしていましたね。

250あとがき  ◆MgfCBKfMmo:2013/08/18(日) 22:47:56 ID:t50i03ro0
探偵モララーの過去のお話、いかがだったでしょうか。
このお話を思いついたのが去年の三月とか四月頃。
実際に書き始めたのが上にも書いたように今年の五月。
そして八月初旬で大改編しています。
後半はもうほとんど投下ギリギリまで書き直しています。
それこそ血反吐を吐くかと思いました。
なにせ話を盛り上げるのに苦労しましたから。

とはいえ、一番書きたいのは地下道のシーンでした。
そこの描写、第十章だけはほとんど手を加えてありません。
まあ、いろいろ書きすぎました。疲れた。

本当は次回作の予告書きたかったけど時間無かった。残念。

質問等ありましたらどうぞ書いてください。

それでは、お読みいただきありがとうございました。

251名も無きAAのようです:2013/08/18(日) 23:43:18 ID:h3TJnnzEO
リアルが許せば月一くらいの現行書いてほしい 
まあ年一短期完結でもいいんだけども

252 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/19(月) 00:19:38 ID:Yk3KobIk0
>>251
次の作品はそうしたいですね。
なんかこう、次のはもっと気軽な題材で書こうと思うので。
できるだけ努力して、九月末までに一話を投下したいです。

253名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 01:40:29 ID:1/.vVDCw0
おつ
次回作も期待してるよ

254名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 01:50:34 ID:poiPbRUY0
乙!

255名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 03:21:43 ID:Pm0Rcvzo0

モララーの印象めちゃめちゃ変った
熱い男だぜ

256名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 07:39:19 ID:lt22Jj1U0

嘘をついていたようですを読み直してくる

257名も無きAAのようです:2013/08/20(火) 02:46:34 ID:NUrXVUQo0
内藤事件の時にはハインは40歳か…

258 ◆MgfCBKfMmo:2013/08/23(金) 00:32:34 ID:UHuBuTEc0
遅くなりましたが、新しい現行を書き始めました。
これまでとかなり違ってファンタジーなので、合わない人もいるでしょうが……
報告をしておきます。

( ^ω^)優しい衛兵と冷たい王女のようですζ(゚ー゚*ζ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1377054485/

259名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 02:04:25 ID:OoLKN7.oO
あれ、あんただったのか一話が長いなとは思っていたけど

260名も無きAAのようです:2013/08/28(水) 04:45:26 ID:iuBGDzYg0
そっちも楽しませてもらってます

261名も無きAAのようです:2013/09/04(水) 18:40:21 ID:bop8rN5g0
モララーの過去話面白かった!おつ

そんで冷たい王女あんただったのかよ…超面白いしボリュームやべぇよ…


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