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( ^ω^) 剣と魔法と大五郎のようです
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懐かしい夢を見た。
体も心もまだ幼くて、それでも、だからこそ幸せだった頃の記憶。
ξ゚⊿゚)ξ (……)
薄暗闇の中、天井に手を翳す。
思えば遠くに来た。
それは、物理的な距離ではなくて。
ξ゚⊿゚)ξ (……)
体のいたるところに出来た傷跡を、死んでしまった両親が見たらどう思うだろうか。
きっと怒るのだろう。そして、悲しむのだろう。
傷を作ったことでは無くて、傷を作るに至った理由を。
ξ゚ー゚)ξ (……ふふ)
いつもそうだった。
二人の心配を無視して怪我をして、母親の手痛い拳骨を貰ったものだ。
よくよく考えれば、きっとあの頃から成長なんてしていない。
ξ ⊿)ξ =3
脳裏にちらつくあらゆる感情を息と共に吐き出して、硬く目を閉じる。
迂闊にあの頃を思ったりしないように。
幸せな夢を、もう見てしまわないように。
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o川*゚ ,゚)o 「懐いてくれるのは、嬉しいんだけどね」
( ´_ゝ`) 「懐いてるんじゃなくてお前の魔法をもっと盗みたいんだよ」
o川*゚ー゚)o 「照れ屋さん」
( ´_ゝ`) 「……」
o川*゚ ,゚)o 「そもそも、貴方たちの目的は私と一緒に居ることじゃないでしょう」
( ´_ゝ`) 「強くなるために一緒に居ようとしてるだけだ」
o川*゚ ,゚)o 「私、明日からしばらく研究漬けよ。時々材料集めはするけど、それだけ」
( ´_ゝ`) 「……」
o川*゚ー゚)o 「……別に二度と会わないって言ってるわけじゃないのよ。あくまで貴方たちは貴方たちの道を行きなさいってだけ」
o川*゚ー゚)o 「きっと、私の傍に居るよりも、その方が強くなれるわ」
( ´_ゝ`) 「………………わかった」
o川*゚ー゚)o 「よし、いいこいいこしてあげよう」
( ;´_ゝ`) 「要らねーよ!」
o川*゚ 3゚)o 「あ、なんだったらちゅーがいい?ちゅー」
( ;´_ゝ`) 「だから、子ども扱いすんなって」
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o川*゚ー゚)o 「ってかさー、前々から疑問だったんだけど、なんでそこまで強くなりたいの」
( ´_ゝ`) 「随分今更だな」
o川*゚ー゚)o 「男の子はそういうものだもの。ただ、理由は聞いたことなかったから」
( ´_ゝ`) 「…………妹がいるってのは言ったよな」
o川*゚ー゚)o 「うん」
( ´_ゝ`) 「ああ。妹はさ、俺たちよりもずっと才能があるんだよ」
o川*゚ー゚)o 「うん、それも聞いた」
( ´_ゝ`) 「俺たちなんて比にならない。それこそ兄弟の中でキュートに並べるとしたら、妹くらいだと思う」
o川*゚ー゚)o 「……へ〜〜…………そこまでなんだ」
( ´_ゝ`) 「ああ。確実に俺たちは追い抜かれる。でも、そんなのアニキとして恥ずかしいだろ」
o川*゚ー゚)o 「……」
( ´_ゝ`) 「親共は、妹に魔法と剣術を仕込んで、何かをやらせようとしてる。たぶん、危険なことだ」
o川*゚ー゚)o 「……」
( ´_ゝ`) 「その時に、守ってやれる力が欲しいんだ。そのためには普通に学んでたんじゃ身に付かないレベルの力がいる」
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( ´_ゝ`) 「キュートと初めて会った、あの革命の時だって。もしキュートがいなかったら俺たちは負けてたし、死んでた」
( ´_ゝ`) 「何もできないのは嫌だ。だから弱いままではいたくない。それは、理由にならないかな」
o川*゚ー゚)o 「……なんだ、結局男の子な理由なのね」
( ´_ゝ`) 「わるかったな、ガキで」
o川*゚ー゚)o 「ま、ガキはガキだと思うけど」
そっぽを向いたアニジャの頭を、キュートが撫でる。
身長は既にアニジャの方が高い。
微笑む彼女の顔は、やや見上げる角度だ。
o川*゚ー゚)o 「いいんじゃない?わたし、そういうのは好きよ」
( ´_ゝ`) 「だから、子ども扱いすんなって」
o川*゚ー゚)o 「照れちゃってまあ、可愛いこと」
( ´_ゝ`) 「照れてねえよ」
o川*゚ー゚)o 「あれ、どこ行くの?」
( ´_ゝ`) 「小便」
o川*゚ ,゚)o 「あらやだ」
-
森の中に入り、適当なところで用を足していると、背後に物音がする。
一瞬警戒したが、相手が分かりすぐに解いた。
木の陰から姿を見せたのは、双子の弟のオトジャである。
どうにも不満げな顔でアニジャを睨んでいた。
(´<_` ) 「……アニジャ」
( ´_ゝ`) 「なんだよ、ションベン中だって」
(´<_` ) 「……魔女に傾倒しすぎだ」
( ´_ゝ`) 「……キュートの使う魔法は、生涯を賭してやっとたどり着くかどうかの物ばっかりだ。傾倒もするさ」
(´<_` ) 「……それは、そうだが」
( ´_ゝ`) 「それに、オトジャだってそう言いながら、キュートのこと、信頼はしてるだろ?」
(´<_` ) 「だから、問題なんだ。あの『魔女』を、無警戒に信頼している今が」
( ´_ゝ`) 「……どっちにしろ今日でおしまいなんだ。オトジャが気にすることじゃない」
(´<_` ) 「……」
( ´_ゝ`) 「ったくさ。オトジャは昔から考え過ぎなんだ。ほんとはキュートに甘えたいと顔に出てる」
(´<_` ) 「…………否定はしないがな」
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森の中に入り、適当なところで用を足していると、背後に物音がする。
一瞬警戒したが、相手が分かりすぐに解いた。
木の陰から姿を見せたのは、双子の弟のオトジャである。
どうにも不満げな顔でアニジャを睨んでいた。
(´<_` ) 「……アニジャ」
( ´_ゝ`) 「なんだよ、ションベン中だって」
(´<_` ) 「……魔女に傾倒しすぎだ」
( ´_ゝ`) 「……キュートの使う魔法は、生涯を賭してやっとたどり着くかどうかの物ばっかりだ。傾倒もするさ」
(´<_` ) 「……それは、そうだが」
( ´_ゝ`) 「それに、オトジャだってそう言いながら、キュートのこと、信頼はしてるだろ?」
(´<_` ) 「だから、問題なんだ。あの『魔女』を、無警戒に信頼している今が」
( ´_ゝ`) 「……どっちにしろ今日でおしまいなんだ。オトジャが気にすることじゃない」
(´<_` ) 「……」
( ´_ゝ`) 「ったくさ。オトジャは昔から考え過ぎなんだ。ほんとはキュートに甘えたいと顔に出てる」
(´<_` ) 「…………否定はしないがな」
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( ´_ゝ`) 「……しかし、明日からは二人か。どうするかねえ」
(´<_` ) 「行く先は決めているのか」
( ´_ゝ`) 「オトジャが決めていいよ。どこ行ったってやっていけるだろ、俺たちなら」
(´<_` ) 「……」
オトジャが何か言おうと口を開いた時、枝葉の揺れる音が聞こえた。
視線を音の方向に向けると、きゅーとがひょっこりと顔を出した。
o川*゚ー゚)o 「お、いたいた。二人とも、そろそろ寝ましょ」
( ´_ゝ`) 「ああ」
o川*゚ー゚)o 「あ、何なら三人で川の字でねよっか☆」
( ´_ゝ`) 「あのな……」
(´<_` ) 「……付き合ってられん」
o川*゚Д゚)o 「ちょーっ、ふたりともいけずー!!」
* * *
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これからさらに四年後。
二人の名が傭兵として広まり、久方ぶりに故郷に帰る直前のこと。
サスガ兄弟の妹イモジャの前に、突如魔女が現れ、その力を振るった。
父も母も兄たちもいない中、姉を庇いながら善戦したイモジャではあったが、魔女には敵わず四肢を奪われる。
久しい帰郷の、その時に見た妹と姉の姿は。
兄弟たちが持っていた信頼を変貌させるに十分以上の光景だった。
そして、現代、旧ジュウシマツ砦前。
* * *
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空には、鉛を溶かしたように鈍い色の雲が浮かんでいた。
見上げれば大きな雨粒が遠慮も無く頬を叩く。
その冷たさが、火照った体に心地いい。
o川*゚ー゚)o 「あなたたちが招いた雨を浴びるなんて、いつぶりかしら」
掌を目の前へ。
指を閉じて器の形を作る。
絶え間なく降り続く雨は、すぐさま水たまりになり、指の隙間から溢れ零れた。
滴り落ちる、大きな他の雨粒より大きな水の帯。
地面にぶつかり、飛沫が返る。
o川*゚ー゚)o 「もう、懐かしいくらいだわ」
掌を逆さに。
放たれた水の塊は瞬く間に地面を流れる川の一部になる。
o川*゚ー゚)o 「貴方たちはすぐに大きくなって、強くなって、それを傍で見ているのは、思いのほか楽しかった」
言葉に対する返事は無い。
落胆を隠すため、小さく笑む。
彼らはそう言えば、どんな理由であれ笑みを向けられるのが苦手だったなと、昔を懐かしむ。
o川*‐ ,‐)o 「……それじゃあ、おやすみなさい。可愛い、可愛い、坊やたち」
やはり答えは無い。
物言わぬ屍となった双子の身体は、雨を受け、血を流し、ただ静かに眠っているようであった。
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おわりんこ
続きはたぶん近日
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乙
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過去編も現在も驚き…
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壮絶だった
乙
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あっさりやられたのかw
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勝てる気がしねぇ
おつ
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乙
今更だが魔女ってホント強いんだな……
しかし兄弟を側に置いた真意が分からん
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おお兄弟
予想外な過去だがキュートはそれなりに二人に愛着持ってたんだな
乙
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魔女の掘り下げが来るとは
仮面勢といい、謎が増えたな
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魔女の底知れぬ感ハンパない
乙
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エクストとリリ達が無事蘇生したように見えるが
果たして本当に無事なのか
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あ……あああああああああ
きょ、兄弟があああああ!!
乙!過去編魅入ってしまった。魔女怖い
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おつ
魔女がさっぱりわからなくなった…
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おつ
流石兄弟が・・・つらい・・・
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これ、ツンとブーン達じゃどう考えても無理だろwwww
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ろ、ロンリードッグさんには神様と喧嘩できる魔法あるから……
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乙乙
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「いーもーじゃーー〜〜〜〜っ!!」
とっても明るいその声に、イモジャは布団の上に置いた本から視線を上げた。
パタパタと足音が近づいてきて、窓から女の子がひょっこり顔をだす。
ミ*゚∀゚彡 「遊びに来たよ!」
女の子にしては短くて癖の強い髪の毛に、赤く染まったほっぺた。
ちょっと見ただけだと男の子に見える。
この子の名前は、フゥ=イッコモン。
少し前にアネジャと散歩しているときに会って、仲良くなった。
家に引きこもりがちのイモジャにとってはとっても大切な友達だ。
l从・∀・*ノ!リ人 「いらっしゃいなのじゃ!」
ミ*゚∀゚彡 「今日はねー!すごろく持ってきた!!」
フゥは一生懸命背伸びして、大きな紙を広げて見せた。
沢山の色で絵が描いてあって、所々にお話が書いてある。
∬´_ゝ`) 「あら。フゥちゃんいらっしゃい」
ミ*゚∀゚彡 「おねーちゃんこんちわ!!!」
∬´_ゝ`) 「はいこんにちは。中に入って、丁度お菓子焼いたところなの」
ミ*゚∀゚彡 「勝ったッッッッ!!!」
∬´_ゝ`) (何に?)
-
アネジャが焼いてくれたお菓子をそばに置いて、フゥはすごろくの紙を床に広げる。
駒は四つあったけれどアネジャはこれからお出かけなので、二人で遊ぶことになった。
イモジャは専用の座椅子に座らせてもらい、紙を挟んで向こう側にフゥが座る。
ミ*゚∀゚彡 「フゥが先ね!!!」
使う駒を決めて、フゥがさいころを転がす。
出た目の分だけ駒を進めて、またさいころを手に取った。
ミ*゚∀゚彡 「次イモジャ!!」
l从・∀・ノ!リ人 「なのじゃ!」
イモジャがそっと力を込めると、さいころがふわりと浮き上がった。
手も足も無くなってしまったイモジャでも、こうして魔法を使えば簡単なことならできる。
普段はアネジャが使っちゃダメと言っているのだけれど、フーと遊ぶ時は「少しならいいよ」と言ってくれている。
そのままさいころを落として、目を出す。
駒を進めるのは魔法でやろうとすると難しいので、フーがやってくれた。
ミ*゚∀゚彡 「えーっと、2マス、進む」
l从・∀・*ノ!リ人 「やったのじゃ!!
ミ*゚∀゚彡 「負けないもんねー!」 コロコロ
l从・∀・ノ!リ人 「あ、そこ一回休みなのじゃ」
ミ;*゚∀゚彡 「にゃんと?!」
-
一度目のゲームはイモジャが最初のリードを保って勝った。
もともと運が必要なゲームは大得意だ。
ミ*゚∀゚彡 「もっかい!もっかいやろ!」
l从・∀・*ノ!リ人 「いいのじゃ!また勝つのじゃ!」
その後も何度か遊び、イモジャの勝ち越しが続いた。
流石にずっと遊んでいると飽きてきて、さいころを転がすよりもお菓子を齧りながらお話しする方が増えた。
ミ*゚∀゚彡 「ちょっとあきちゃったね」
l从・∀・ノ!リ人 「なのじゃ」
フゥが、何気なしに外を見る。
外で遊びたいのだな、と悟ってしまう。
もともと、初めて会った時もフゥは一人で木登りをして遊んでいて、家の中よりも外で遊ぶ方が好きなはずだ。
「ごめんなのじゃ」と言いそうになってイモジャは我慢した。
言わなくちゃいけないかもしれないけれど、フゥは優しい子だからイモジャが謝ったことをきっと気にしてしまう。
だから、言えない。もしかしたら気まずくなって、フゥが来なくなるかもしれないのが、イモジャは怖い。
ミ*゚∀゚彡 「……にゃ?イモジャ、アレなに? ねこさん?」
l从・∀・ノ!リ人 「? ……ああ、アレはお守りなのじゃ」
フゥが指さしたのは、扉にかけられた五つの小さなぬいぐるみ。
みんな猫の形をしているけれど、色と大きさがそれぞれ違う。
赤くて大きめなのと、紺色で頭だけ白いの、細長いのが青と水色とで二つ、ピンク色でハートマークがついたので、五つ。
イモジャもあんまりかわいいとは思えないのだけれど、とても大事なものだ。
-
ミ*゚∀゚彡 「おまもり?」
l从・∀・ノ!リ人 「そうなのじゃ。父者が作った魔法がかかってて、たいしょーしゃのじょーたいをはあくできるのじゃ!」
ミ*゚∀゚彡 「おー―……?」 ←よくわかってない
l从・∀・ノ!リ人 「イモジャの家族みんなバラバラなのじゃ。でも、あのお守りを見ればみんな元気って分かるのじゃ」
ミ*゚∀゚彡 「……おー!なるほど!!」 ←でもよくわかってない
l从・∀・ノ!リ人 「今日もなにもなってないから、みんな元気なのじゃ!!」
ミ*゚∀゚彡 「ほへー―……イモジャのトーちゃんすごいなー―……」
l从・∀・*ノ!リ人 「えへへー―……」
ミ*゚∀゚彡 「…………それね、フゥがお願いしたら作ってくれるかな?」
l从・∀・ノ!リ人 「たぶん大丈夫なのじゃ!誰のを作りたいのじゃ?」
ミ*゚∀゚彡 「うんとねー、トーちゃん」
l从・∀・ノ!リ人 「フゥの父者なのじゃ?なにしてる人なのじゃ?」
ミ*゚∀゚彡 「今はだいごろうで兵隊さんしてるの。だからね、心配なんだー―……」
-
l从・∀・ノ!リ人 「大五郎なのじゃ?イモジャの叔父者のお店なのじゃ!!」
ミ*゚∀゚彡 「おじさん?」
l从・∀・ノ!リ人 「そうなのじゃ!しゃちょーさんなのじゃ!」
ミ*゚∀゚彡
ミ*゚∀゚彡。o O ( フゥのトーちゃん=やとわれのみ イモジャのおじさん=しゃちょさん)
ミ*゚∀゚彡。o O ( フゥがイモジャを怒らせる→ イモジャがおじさんに報告する→ しゃちょさん怒ってトーちゃんクビになる)
ミ*゚∀゚彡。o O ( トーちゃん失業→ 昨今の就職難→ 生活費なくなる→ 一家離散→ フゥは悪いおじさん売られて強制労働)
_人人 人人_
ミ*゚∀゚彡。o O ( 福利厚生不整備及び労働基準法違反の劣悪な労働環境により衰弱→ > 必然の死 <
 ̄Y^Y^Y^Y ̄
ミ*゚∀゚彡 「これまでのたびかさなるぶれいなにとぞごようしゃいただきたく……」
l从・∀・;ノ!リ人 「この数秒間に何が?!」
このあと何とか説得してフゥには普通に戻ってもらった。
-
ミ*゚∀゚彡 「フゥのトーちゃんはね、すっごいんだよ!!弓矢でね、どこでも当てられるの!」
l从・∀・ノ!リ人 「ほへー、すごいのじゃ」
ミ*゚〜゚彡 「でもね、トーちゃんが強くてかっこいいけどフゥは心配なの。だから、あのねこさん、欲しいなって」
l从・∀・ノ!リ人 「そう言うことなら父者に頼んでみるのじゃ!きっと作ってくれるのじゃ!!」
ミ*゚∀゚彡 「ホント!?やったぁ!!」
l从・∀・ノ!リ人 「でも、イモジャの父者もあんまり帰ってこないから、すぐには無理かもしれないのじゃ……」
ミ*゚∀゚彡 「そっかー―…………イモジャのトーちゃんは何してるの?」
l从・∀・ノ!リ人 「母者と一緒にいろんなところを歩いて魔法の研究してるのじゃ!すごいらしいのじゃ!!」
ミ*゚∀゚彡 「すげー!かっくいい!!」
l从・∀・*ノ!リ人 「えへへー」
ミ*゚∀゚彡 「でも、あんまり帰ってこないとさびしいね」
l从・〜・ノ!リ人 「そうなのじゃ…………」
ミ*゚∀゚彡 「…………よーし!!もっかいやろ!!」
l从・∀・ノ!リ人 「もっかいなのじゃ?」
ミ*゚∀゚彡 「次はねー、色々マスに書き足しちゃうんだー!」
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イモジャとフゥは再びすごろくを遊び始める。
子供らしい悪ノリでマスのペナルティを次々と増やし、休みの回数はみるみる増えてゆく。
その荒唐無稽なさまが甚く気に入ったらしくペナルティのインフレーションは止まらない。
二人が楽しく、叫びを上げながらさいころを放るその部屋の扉。
フックに吊るされた五つのぬいぐるみの内、二つにじわじわと黒い染みが滲み始めた。
他の三つに一切の変哲は無く、同じ大きさに揃えられた青と水色のそれだけが瞬く間に色をくすませてゆく。
ミ*゚∀゚彡 「やった!!32マス進む!!」
l从・∀・*ノ!リ人 「かかったのじゃ!!余りはゴールでUターンなのじゃ!!そして………」
ミ*゚〜゚彡 「Uターンした先に・・・・・・・・・・・・休むマス・・・・・・!しかも十回・・・・・・・ッ!!」
l从・∀・ノ*!リ人 「イモジャ式封印トラップなのじゃ!!勝った!!」 コロコロ
ミ*゚∀゚彡 「あ、そこイモジャの作った十五回休みマス」
l从・∀・;ノ!リ人 「なんと?!」
僅かずつ、しかし確実に広がる変色。
ぬいぐるみは小刻みに震え、やがて二つ揃って床に落ちた。
l从・∀・ノ!リ人 「しかし最後に勝つのはイモジャなのじゃ!」
ミ*゚∀゚彡 「負けないし!!」
楽しい時間は賑やかに過ぎる。
そのまま二人は、笑顔ですごろく遊びを続けていた。
* * *
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タカラの娘か
支援
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( ;;;Фωφ) 「今まででいぢばん、つおいかっだ」
雨でぬれた顔を、鬱陶しげに拭いながら、試作ちゃんが呟iいた。
彼にはキュートが作った人型キメラの中で最良の体を与えている。
知能に若干の欠陥を残すが、戦う分には何の問題も無い。
純粋な剣戟で敵う者はそうそう存在しないだろう。
それが、流石兄弟を強者と認めた。
キュートも異論を唱える気はない。
彼らは実に強かった。
剣士としても、魔法使いとしても。
しかしそれは所詮、人間としては、という話。
( ;;;Фωφ) 「ギュード、がんばっだらおながすいだ」
試作ちゃんが刀を振るって血を払う。
血は流れたものの、脂のこべりつきが目立つ。
水に濡れていることもあるし、砦に戻ってから手入れをさせなければ。
折角手に入れた名刀である。
再現は容易かろうが、無下に扱わせるわけにはいかない。
それが、彼に与えられた「杉浦ロマネスク」としての役割でもある。
o川*゚ー゚)o 「そうね、このまま濡れていたら風邪ひいちゃうし」
( ;;;Фωφ) 「うんむ。かぜよくない。さいあくしぬ」
o川*^ー^)o 「そうそう、体調の管理は気を付けないとね」
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o川*゚ー゚)o 「……さてと」
キュートの視線は再び兄弟の死体へ。
折角招いた良質な素材である。
これをこのまま捨て置く理由は何一つない。
死んで数分も経たぬ今ならば鮮度も十分。
濡れてしまったのは気がかりだが、若干のダメージならば修復は可能だ。
o川*゚ー゚)o 「…………私に関わったのが間違いだったと、諦めてね」
指を翳す。
まずは骸を雨から保護。
損傷個所を修復の後、細胞を凍結。
あとは、専用の保存液にぶち込んで、これに見合った素材が集まるまで保存すればいいだろう。
( ;;;Фωφ) 「…………むぅ?」
o川*゚ー゚)o 「どうしたの?」
( ;;;Фωφ) 「なんがそれ、いまうごいだ」
o川*゚ ,゚)o 「アニジャたちが……?でも、脈もないし……」
試作ちゃんの言葉に、キュートが視線を逸らした瞬間、伸ばした腕に何か冷たいものが絡みついた。
驚き、反射的に腕を払う。
が、飛んでいったのは体を濡らしていた水滴のみだ。
それ以外には何も無い。
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ハッピーエンド見えねぇ…
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o川*゚ ,゚)o 「……?」
( ;;;Фωφ) 「ギュード、なんが、へんながんじ、する」
o川*゚ ,゚)o (魔力の反応は無い……一体何が…………)
キュートは即座に周囲に対し魔力の探知を掛けた。
何かしらの魔法が行われているのならば、すぐに分かるはずだ
o川*゚ ,゚)o 「……いや、違う!」
一つの予感が頭に走り、キュートは魔法を発動。
火炎の魔法を発動し、周囲の雨を、水を振り払った。
轟々と盛る炎が周囲の水を瞬く間に揮発させていく。
先ほどまでのうすら寒い雨濡れの環境が一転、灼熱の空気に肌が痺れた。
( ;;;Фωφ) 「まなつのきせつ」
o川*゚ ,゚)o (よく考えたら、あの子たち、私の探知魔法の環境下にずっと潜んでたのよね……)
ならば、キュートの探知の裏で何かを仕掛けている可能性は高い。
所詮無力な人間だったと見限るよりは、死をもって何か仕掛けてきたと備える方が興も乗る。
そしておそらく。
o川*゚ー゚)o 「……―――ッ!!」
彼らはその期待に応えてくれるのだ。
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キュートと試作ちゃんを包む球状の炎を、水の刃が切り裂いた。
高位の魔法同士が干渉し合う、鮮烈な反応光。
その眩しさに視界を狭めた一瞬の後、炎の繭が消し飛ばされる。
露わになったのは、先ほどまでと大差のない砦前の景色。
唯一の変化は。
( ;;;Фωφ) 「あえ?どっがいっだ」
あったはずの死体が無い。
最期に存在を確認したのは、火炎魔法を発動したその直前。
恐らくは、キュートが異変に感づき何らかの対策を取ると睨んで、わざとバレバレな干渉をしてきたのだ。
結果として、キュートは兄弟の死体を、その在処を見失った。
o川*゚ー゚)o 「負けて死んだことすら、初めからの『仕込み』ってわけね」
口の端が引き上がる。
きっと醜い笑みだと自覚はしたが、体裁を気にしている余裕は無い。
周囲をぐるりと一瞥。
水を焼き払ったため靄がかかり視界が悪い。
風を巻き起こし吹き飛ばそうとするも、中々流れてゆかない。
これも、意図して張られた煙幕。
多少薄くなり視野は広がったが、ステルスの補強には十分な役を買っている。
-
背後僅かな魔力を感じ、振り返り指を翳す。
すぐにでも魔法が発動できる状態だったが、そこで留めた。
確実に気配を感じたその場所には、既に誰の姿も気配も無い。
o川*゚ ,゚)o 「……思ったより……」
厄介ね、と続く筈だった言葉が途切れた。
背中に走る熱い痛み。
切り裂かれたと気づいた時には、落ちて飛び散る血の音が聞こえていた。
( ;;;Фωφ) 「ギュード!!」
o川*゚ ,゚)o 「っ〜〜〜……やられた〜〜〜〜」
( ;;;Фωφ) 「はやぐなおす。ち、どびどば」
o川*゚ ,゚)o 「これくらいの傷は何ともないけど……」
問題は、傷自体では無く、傷を負わされたという現実。
キュートは常に防御膜の魔法を纏っている。
通常の刀剣類はおろか、攻城戦用の巨大な兵器を受けても傷一つ受けずに済む代物である。
それが容易く切り裂かれた。
しかも、キュート、試作ちゃんの二人係で警戒している中で、だ。
闇雲に強力な魔法を使っただけでは、どちらかが必ず気づいている。
どうやら、彼らへの認識をしっかりと改めねばなるまい。
-
o川*゚ー゚)o 「ちょっとほんきー」
キュートの瞳が、虹の混ざった黄金の輝きを湛えはじめる。
魔力を生み出し過ぎて、体内に収まらない。
溢れた魔力は空気の歪みとなって、火炎の如く揺らめく。
それまで付かず離れずでいた試作ちゃんが、やむなく傍から立ち退いた。
この多量かつ高濃度の魔力は、あらゆる生体にとって毒に他ならない。
多分に耐性を持つ試作ちゃんでも、ここまで濃密になっては危険なのだ。
o川*゚ー゚)o 「“錬成の十二番―――黒剣”」
短い詠唱と同時に、キュートが指を鳴らす。
黒い魔力の粒子が爆ぜ、虚無の空間に剣が現れた。
キュートの白い手に握られたそれは、金細工の拵えが供えられた細身のサーベル。
刀身は、震えるほどの漆黒。
どれだけ塗料で染めたとしても、これほどの「黒」にはなり得ない。
感触を確かめるように二、三度軽く振るう。
余波で生み出された魔力の飛刃により岩が真っ二つに割れた。
上々だ。久々に使った魔法ではあったが、一切の狂いなく再現できている。
( ;;;Фωφ) 「ギュード、わがはいは?」
o川*゚ー゚)o 「う〜ん、とりあえずは自分の身を守ってて。たぶん応対しきれないから」
( ;;;Фωφ) 「なさけない」
o川*^ー^)o 「今回は相手が優秀過ぎただけよ」
-
試作ちゃんに笑顔を向けつつ、キュートは黒剣を肩に担ぐ。
間も置かずに、柄を握る手に衝撃。
凄まじい音だ。耳が痺れて、奥の方が突かれたように痛い。
ちらと目をやると、黒剣の刀身に交差するように、僅かな空気の乱れが見えた。
不可視化によって姿を消した兄弟のどちらかがそこに居る。
恐らくは、剣で斬りかかってきたのだろう。
o川*゚ー゚)o 「立派なステルスだけれど」
右手と黒剣で不可視の剣を受け止めたまま、キュートは脇の下から背後へ掌を翳す。
一拍遅れで黒雷の魔法が発動。
すさまじい音と閃光を迸らせ、周囲を空間ごと焼き切り裂く。
o川*゚ー゚)o 「今の私にはあんまり意味ないかな」
黒雷が過ったとある一点、空間に四角い枠が現れ、切り抜かれたように景色がずり落ちた。
変哲のない岩山の風景が剥がれ現れたのは、同じ景色を背景にして立つ、
( ´_ゝ`) 「……」
双子の兄の方。
水の剣を肩に担ぎ、無感情にも、憎悪に満ちても見える目で魔女を捉えている。
-
キュートはその姿を見て、ぴゅう、と下手な口笛を吹いた。
小ばかにして挑発しているのではない。
むしろ真逆。心の底から、彼に、彼らに感心していた。
o川*゚ー゚)o 「まさか、『神格化』まで使えるようになってるなんてね」
( ´_ゝ`) 「……こうでもなければ、お前は殺せない」
o川*^ー^)o 「それでも、殺せるかわからないよ?」
サスガ=アニジャの身体は、淡い青の光に満ちていた。
冷たく、透き通った、それでいながら生命の力強さを覚えさせる、美しい輝き。
背中から覗いている巨大な片翼は、恐らく魔力の貯蔵庫かつ変換器だろう。
周囲の魔力を変換し蓄え、必要になる分だけ魔力を送り出している。
その魔力の供給管の役を担っているのが、全身に走る白い紋。
幾何学の均一さを持ちながら、生命の体に準じた流動性も感じる。
体表にありながら、骨のようでも、血管のようにも見えた。
美しい。まさか、一度人間として生を受けたハンデを持ちながら、この領域にたどり着くとは。
-
( ´_ゝ`) 「戯言に付き合う義理は無い」
o川*゚ー゚)o 「私はもっとお話ししたいんだけどな〜」
( ´_ゝ`) 「三途の向こうでなら、茶くらい交わしてやる」
アニジャの姿が消えた。
キュートは咄嗟に黒剣を前へ。
痛烈な衝撃。伴って響く、爆発にも似た金属の悲鳴。
体が浮き上がる。
先ほどまで自分が居たところにアニジャがいる。
接近に気付くのが、来るだろう攻撃に防御を合わせるのが手いっぱいだった。
それだけでも驚きだというのに、アニジャにはまだまだ余裕が感じられる。
( ´_ゝ`)「……」
アニジャの姿が再び消え、キュートの背後に現れた。
高速で吹き飛ぶその先だ。反応が間に合うはずもない。
アニジャの右腕が剣と共に消える。
-
風鳴。キュートの体に無数の青い線が走る。
斬られた痛みを自覚する余裕も無い。
青い線から滲む自らの血を見て、キュートはついつい笑ってしまう。
消えたんじゃない。振るったんだ。
キュートの、人としての五感を完全に置き去りにし、知覚も許さずに切り刻んだんだ。
( ;;;Фωφ) 「ギュード!!」
( ´_ゝ`) 「まずは、一回」
血飛沫を振りまき、キュートの身体は崩れ落ちた。
砂の人形がそうするように、体の形を留めず、血と肉の混ざった液体として地面に積み上がる。
( ;;;Фωφ) 「……ッ!“杉浦双刀流―――!!”」
( ´_ゝ`) 「少し黙れ」
試作ちゃんが刀を引き抜こうと腕を振る。
しかし、刀は抜けない。
見れば、掌は柄をしっかりと握っているのに、手と腕が繋がっていなかった。
目の前には、青に染まる青年。
試作ちゃんは動揺よりも先に、本能の叫びを聞く。
-
コイツには、勝てない。
だがそれ以上に、殺さねばならない。
(;;#Фωφ) 「“奪屠葬”!!」
手が無ければ、手が無くとも使える技を。
試作ちゃんの全身の筋肉が、隆起しながらも引き絞られる。
浮き出た筋は指ほどにも太く、その膂力の大きさを表す。
が。
( ;;;Фωφ) 「あえ?」
今度は体が動かない。
せめて数発、腕の骨を直接顔面に突き刺してやるつもりだったのに感覚すらもない。
まるで、地面に埋められてしまったかのようだ。
必死で体を動かそうとする試作ちゃんが意識を途切れさせる最期に見たのは、
灰色の雲に覆われた空と、首から上の無い、自分自身の背中であった。
-
「あーあ、せっかく頑張って作った虎の子だったのに」
( ´_ゝ`) 「……」
o川*゚ー゚)o 「ま、ここで死んじゃったなら、所詮それまでだったってことよね」
( ´_ゝ`) 「……当然のように生き返る」
まき散らされ、地面にこべりついた魔女の肉片が、渦を巻いて一か所に集まる。
グニグニと、混ざり合う動きを数回したのちに、全く無事なキュートの姿へと再生した。
アニジャはすぐさま斬りかかる。
相変わらずの亜光速。目で追うのは不可能だ。
こんなものでも応対しなければならないのが、魔女の辛いところ
キュートは下がりながら剣を合わせた。
見て対処するのではなく、あらゆる軌道を推測し先に斬る。
ぶつかり合う剣。
音が次々と生み出されては置き去りになった。
剣戟は減速を知らず、余波のみを視覚の領域に残しながら、二人は空へと昇る。
-
o川*゚ー゚)o 「二回目まだぁ?」
( ´_ゝ`) 「……ここからだ」
旧ジュウシマツ砦の、はるか上空。
キュートとアニジャは互いの体を弾き、距離を取る。
ただの息継ぎでは無い。
ほぼ同時に、双方が魔法の展開を開始。
ごくごくわずかな時間に、空は悍ましい数の魔法に埋め尽くされた。
アニジャの生み出した、魔力を帯びた水の榴弾が二千九百六十二。
キュートの作り出した、漆黒の槍が三千と四十三。
空を二分し対立する青と黒の勢力。
睨みあうだけで既に世界が軋みを上げている。
アニジャは、背なの片翼を大きく開いた。
応える形でキュートは黒剣を前に振るう。
宙で相対していた二種の魔法の群体が、手を打ち合わせる容易さで邂逅した。
-
まばゆい光が視界を埋めくす。
天の断末魔に、大地が嘆き震えた。
下方にそびえたつ岩山が耐えかねて巨大な亀裂を走らせる。
地鳴りと共に、分裂し、崩れる山。
粉じんは周囲の森や人里にもおよび、穏やかな自然の景色を無機質に破壊した。
リ;;;;;ー゚)o 「…………」
( ´_ゝ`) 「…………」
リ;;;;;ー^)o 「……そっちも二回目ね」
( ´_ゝ`) 「…………」
あらゆる個所に亀裂の入った岩山の上空。
キュートとアニジャは向かい合う。
キュートは爆発により、頭の半分と右腕以外を失い。
アニジャは心臓を八つの角度から貫かれている。
共に、死んでいるが死んでいない。
キュートの身体は先刻に同じく再生。
アニジャも突き刺さった槍を魔力で強引に消滅させ、すぐさま修復を終える。
-
マジで!?
支援支援
-
o川*゚ー゚)o 「ところで、オトジャはどうしたの?死んじゃった?」
( ´_ゝ`) 「……」
o川*゚ー゚)o 「それは無いか。むしろ、貴方たちの常とう手段だものね」
( ´_ゝ`) 「ああ」
o川*゚ー゚)o 「アニジャが前で引きつけて、オトジャが遠くから―――」
魔女が黒剣を振るった。
いつの間にか、いずこからか飛来した閃光の魔法と黒刃が衝突。
目を焼く光がまき散らされ、それに相応しい鳴が響く。
これは恐ろしい。
閃光の威力のあまり黒剣の刀身が消滅してしまった。
o川*゚ー゚)o 「狙撃するってのが、さ」
アニジャに対し隙を見せぬよう、魔法の反応を探る。
流石というべきか、痕跡は全て消されていた。
当然、発射地点などわからない。
-
o川*゚ ,゚)o (この二対一は……)
無数の光の軌跡が空の至る所から現れた。
流星の如きそれらは、一心不乱にキュートを目指す。
即死を約束されているのは一度受けて分かっている。
( ´_ゝ`) 「……」
その上アニジャも剣を手に接近。
愚痴を言わせてもらえば、いくらキュートでも少々重い。
o川*゚ ,゚)o 「やるっきゃないってのが、辛いとこよね」
キュートは魔法を全開にし、その場を高速離脱する。
雨あられと降り注ぐ光線の群れは更なる高速で追尾。
同方向へ飛ぶことで体感の速度を落とし、無数の光線の間を、緻密な機動ですり抜ける。
避けるだけでは追尾される。
逃げ回りながら詠唱し、効力を高めた剣を生成。
これならば、閃光を叩いても消滅はしない。
躱しながら、軌道を変え追ってくる閃光を一つ一つ丁寧に斬り弾く。
あっという間に、全弾は余波の煌めきと化す。
-
これで攻撃が終わったわけでは無い。
閃光が残り二つになっていた時点で、アニジャが肉薄。
最期の一弾を切ったその隙に、水の剣が超音速で迫る。
黒剣の柄でこれを防ぐ。
アニジャがいるのにも関わらず、再び閃光魔法の雨がキュートに降り注いだ。
一旦アニジャと距離を開け、迫る閃光を躱す。
閃光弾を掻い潜りながらアニジャが肉薄。構えた剣が残像に代わる。
キュートは閃光弾を払った流れで、その斬撃を横に受け流して位置関係を入れ替え、距離を取った。
アニジャはすぐに切り替えし再度斬りかかる。
高エネルギーを持つ両者の衝突は、その場での停止を赦さない。
二人は武器がかち合う度に衝撃で弾かれては、また接近する。
それを、何十と繰り返す。
閃光の嵐をすり抜けながら。光と音の余波をまき散らしながら。
息を読み、意志を汲み、それでいて相手を蹂躙するために力を尽くす。
目まぐるしく触れて離れてを繰り返す二人のその姿は、手を取り合い舞いを踏むようであった。
o川*゚ ,゚)o 「ッ!」
辛うじて優位を保ち善戦していたキュートだったが、遂にオトジャの放つ魔法の一つが足先を掠めてしまう。
掠めた、と言っても膝から下が丸々消し飛ぶ衝撃。
動きが鈍る。目の前のアニジャの相手はそれを見逃す無能では無く。
-
まずは黒剣を持つ腕が撥ねられた。
次に、魔法を用いようとした逆の腕が肩口からそぎ落とされ。
切り返した刃に腹を薙がれる。
流れのまま、寝かせた切っ先が眉間に突き刺さり後頭部まで貫通。
捻り、脳をかき混ぜつつ縦に向き直った刃は、そのまま脊椎を股間まで真っ二つに両断した。
そこまで刻み、アニジャは離脱。
入れ替わりにオトジャの魔法が四方八方からキュートに迫り。
穿ち、炸裂し、その体を血の飛沫すらも残さぬほどに蹂躙した。
が。
o川*^ー^)o 「服の再生が面倒になってきちゃった。これでもいいかしら」
まるで判を押すように、キュートは一瞬で蘇る。
それまで几帳面に纏っていた黒いドレスは無く、素肌に直接ローブを羽織った姿。
魔法の余波により乱れ切った気流に裾が靡き、白の肢体が露わになった。
-
川*゚ ,゚) 「おっとっと、坊やたちには刺激が強い?」
b
オトジャの魔法が問答無用でキュートの頭をぶちまける。
o川*゚ー゚)o 「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに」
飛び散り切らぬうちに復元するキュートの頭部。
再生の速度、反応が上がっている。
伴って開き直ったキュートは防御行動をあまり行わなくなっていた。
( ´_ゝ`) 「わかったか、オトジャ」
『予想通りだ。魔女の再生は「存在情報の保護及び上書き」によるものに違いない』
( ´_ゝ`) 「やれるか」
『やらなければならないから、ここまで来た。そうだろ』
( ´_ゝ`) 「流石だよ」
-
アニジャは翼をさらに大きく広げた。
体から発せられる光がさらに強まり、全身をめぐる魔力もより昂ってゆく。
肌に感じる魔力の痺れが、先ほどまでとは比にならない。
o川*゚ー゚)o 「出し惜しみはやめるんだ?」
( ´_ゝ`) 「貴様もそうした方が良い」
o川*^ー^)o 「私はいつでも一生懸命だもの」
( ´_ゝ`) 「……」
アニジャが剣を天に掲げる。
空に未だ分厚く広がっていた雲に魔力が行き渡り、全体がアニジャと同じ青い光を帯びた。
( ´_ゝ`) 「“―――四元の一。生を抱き、死を洗う水霊界の軍勢に告ぐ”」
鈍色の雲はまるで群れた大蛇の如く、煮えたぎる溶岩の如く、重苦しい音と共に蠢き始める。
妨害を図ろうとした途端に、オトジャの狙撃を受け足を停められた。
間に合わない。ならばせめてと、黒剣の純度を上げ、体を包む防御膜をより強力なものに張り替える。
( ´_ゝ`) 「“―――淀みなき勝利を我が手に納めろ”」
雲の至る所から無数、陽光の漏れの如き鮮烈な光の柱が地面に立った。
その一つ一つの中を雲から現れた何かが降りて来る。
-
( ´_ゝ`) 「“――――――― 千兵騎行のウンディーネ”」
それは、水でできていた。
アニジャと同じ青く輝く魔力に満ち、人の形を取っている。
ただの水の人形では無い。剣を、槍を、鎚を、弓を、旗を持った水の精霊兵。
数は裕に百を超えている。
キュートの想像が、悪くも的中しているのならば、これら一体一体が今のアニジャと同等の戦力を持つ。
( ´_ゝ`) 「全軍、かかれ」
旗を持つ唯一の一体が号令を掛けたと同時に、全ての精霊たちがキュートを強襲する。
闇雲に群れて向かってくるのではない。
弓を持つ者たちが矢を放ちキュートを牽制。
その間に剣兵、槍兵が陣を組んで四方から迫る。
統率の取れた動き。
一体ずつでも相当厄介であるのに、これでは。
o川*゚ ,゚)o 「あらら……」
水刃がキュートに振り下ろされる。
魂を持たぬ水の人形にあるまじき憎悪と殺意。
キュートの体が、左の肩口から縦に割れる。
鮮血が吹き出し体が二つに分かれた。
防御魔法など、嗤えるほどに意味が無い。
しかし、想定内だ。想像以上の威力ではあったが、受けたのはあくまでわざと。
斬りつけ来た水の精の背後に回り込む形で、キュートの身体は再生。
同時に、炎熱を付加した黒刃で、十字に切り裂く。
切り裂かれた水の精は爆発的に気化。消滅する。
-
( ´_ゝ`) 「不死身とはつまり、無尽に殺されるということだ」
o川*;゚ー゚)o 「……そうね」
( ´_ゝ`) 「常人ならば一度で済むその苦しみ、何十回でも、何百でも、何千でも味あわせる」
距離を取った、と言っても一呼吸の余裕すらも与えられはしない。
精霊兵たちはすぐ隊列を組み、超音速の進撃を開始。
青い光の尾を引いて迫るその箒星の如き光景は、この最中ですら美しいと思えた。
o川*; ー )o 「ホント、おっかないの育てちゃったし」
先頭の精霊兵の槍が、キュートの腹へ。
これを、すり抜けながら首を落とす。
流れで、次に迫っていた一体の剣を受け、流し、回り込んで背を斬る。
ここで、頭を飛来した槍に吹き飛ばされる。
すぐに再生したが、その時点で精霊兵の軍勢はキュートを取り囲み、得物の切っ先は目前だ
o川*;゚ー゚)o 「敵に回しちゃったかなァ!」
咄嗟に魔法で空間跳躍(テレポート)する。
できれば使いたくなかった魔法だ。
アニジャはこの魔法を知っている。故に、対策はされている。
-
が、この一体を相手にした隙に、背中から胸へ水の矢が貫通した。
振り返ろうして、同時に水の鎚で脇腹を払われる。
吹き飛ばされればそれでもよかったが、高速かつ高密度の鎚の先端は、その場でキュートの体を抉り砕いた。
飛散する自分の血肉を見ながら、キュートは手を翳す。
既に、別の精霊兵が目の前だ。
そいつを炎熱の魔法で吹き飛ばすも、その水蒸気の煙を抜けてさらに別の精霊が迫ってくる。
体を再生しながら、応じるが、振るおうとした剣が手ごと宙を舞った。
遠距離からの槍の投擲を受けたのだ。
威力が高すぎて、刺さるのでは無く触れた部分が弾け散る。
正面から来ていた精霊兵の槍が、喉を穿つ。
口の中に血が満ちた。
槍はそのまま横に滑り、キュートの頭を胴から切り落とす。
分かれた胴と頭の両方に、直近の精霊兵たちが一切の無駄なく武器を叩き付ける。
頭部はメイスにて粉砕。
胴は数多もの矢と槍を受けて血と肉の飛沫となる。
意識が途切れる寸前に、頭を砕かれる確かな感触があった。
脳震盪のあの不快感が光の如き鮮明さで、繋がっていないはずの四肢までをも震わせる。
精霊兵から距離を取り空の中心に再生したキュートの頬を、汗が伝う。
いくらなんでも殺され過ぎだ。痛みの記憶があまりに短時間に積み重なったせいで、精神が参りかけている。
-
( ´_ゝ`) 「不死身とはつまり、無尽に殺されるということだ」
o川*;゚ー゚)o 「……そうね」
( ´_ゝ`) 「常人ならば一度で済むその苦しみ、何十回でも、何百でも、何千でも味あわせる」
距離を取った、と言っても一呼吸の余裕すらも与えられはしない。
精霊兵たちはすぐ隊列を組み、超音速の進撃を開始。
青い光の尾を引いて迫るその箒星の如き光景は、この最中ですら美しいと思えた。
o川*; ー )o 「ホント、おっかないの育てちゃったし」
先頭の精霊兵の槍が、キュートの腹へ。
これを、すり抜けながら首を落とす。
流れで、次に迫っていた一体の剣を受け、流し、回り込んで背を斬る。
ここで、頭を飛来した槍に吹き飛ばされる。
すぐに再生したが、その時点で精霊兵の軍勢はキュートを取り囲み、得物の切っ先は目前だ
o川*;゚ー゚)o 「敵に回しちゃったかなァ!」
咄嗟に魔法で空間跳躍(テレポート)する。
できれば使いたくなかった魔法だ。
アニジャはこの魔法を知っている。故に、対策はされている。
-
現れたその瞬間、キュートは周囲の確認などしている暇も無く腹に槍を受けた。
空間跳躍が読まれたのだ。
周囲に精霊兵を殺した際に散った魔力の残滓が濃く残り、
それがチャフとなって跳躍先が制限され、レーダーとなって跳躍先を把握される。
いっそのこと超長距離跳躍でやり過ごしてしまってもいいのだが、
折角のイベントをスキップするというのはあまりにもったいないし、
何より、大事な材料等が詰まった砦を置いてゆくことはできない。
これは、兄弟を舐め腐って、貴重な物を移動しておかなかったキュートのミス。
舌をちろっと出して笑顔でごまかしてみるけれど、油断した過去の自分を赦す気にはなれない。
小ボケ一発かます間にも視界は青の精霊兵に埋め尽くされる。
反射的に炎熱系の魔法を広範囲に放射してしまった。
精霊兵たちは、赤い波動を受けてもほとんど揺るがない。
魔法の威力がたりていないのだ。
人間相手であれば骨も残さず焼き尽くす魔法ではあるが、相手が悪い。
キュートとほぼ同格まで昇華されている精霊兵たちは、この程度ではぬるま湯にしかならない。
精霊兵を倒すには、最低でも黒剣クラスの魔法が要る。
そして、それらの魔法は、キュートであっても秒以上の展開を要してしまうのだ。
再び体を死で塗りつぶされながら、キュートは笑った。
困ったし、面倒だし、正直ちょっとイライラしてきたけど、だけれど。
o川* ー )o
お行儀悪い、と自戒しながら唇に舌を這わせた。
仕方ないのだ。サスガ兄弟と言う激流は、キュートにこべりついていた終りの見えない退屈を、確かに灌ぎ落としているのだから。
-
空間跳躍と同じく、再生する位置も読まれている。
だから、キュートは再生と同時に空間跳躍。
ばれて反撃を受けるのを覚悟で、精霊兵の支配者であるアニジャを直接狙う。
やはり、アニジャは即座に反応した。
水の剣で現れたばかりのキュートを真一文字に薙ぎ払う。
キュートはこれを黒剣にて受け止め、押し返す。
予想通り精霊兵たちは術者本人が射線に入る攻撃を渋った。
迫ってはいるが、投擲攻撃は無いだろう。
その上精霊兵を管理するためアニジャは若干鈍く、墜すならば今が好機だ。
アニジャに乱撃を打ちこもうとした途端、無数の閃光魔法が放たれた。
弟の援護だ。キュートの口の端が吊り上がる。
本当に、お兄ちゃんが危うくなるとつい手を出しちゃうのよね、あなたは。
黒剣に注意を集中させていたアニジャの腹を蹴り、突き飛ばす。
束の間、一人になったキュートはもう目前まで迫る閃光魔法の全てを見切った。
射角に黒剣を合わせ、滑らせるように、流すように、誘うように、軌道を曲げる。
これを閃光と同じ速さで、同じ回数。
本来の目標を逸れた魔法の閃光は、迫っていた精霊兵たちを数体ずつ貫いて消滅した。
(´<_`; ) (嫌な読み方をする。それに……)
( ´_ゝ`) (さっきまで剣で防ぐので一杯だったあの魔法を流して、しかも目標に当てたか)
(´<_`; ) (この期に及んで、まだ“しろ”があるって言うのか)
-
この兄弟の予測を超えた「防御」は戸惑いとともに大きな時間をキュートに与えた。
閃光魔法によって直近の精霊兵を屠ったことで、これまでよりもはるかに余裕がある。
キュートは新たな魔法を展開。
瞬く間に完成させ、手に持った黒剣を天に掲げる。
o川*゚ ,゚)o 「“魔導の四拾弐――――”」
天井を覆っていた雲が、周囲に散り消滅した。
そこに現れたのは、青空では無く、天球を赤に染める巨大な魔法陣。
激しい明滅を皮切りに、陣の中心が扉の如く開き、そこから―――
o川*゚ ,゚)o 「“――――終焉の一睨み”」
魔とも、神ともつかぬ巨大な「目」が表れた。
音が聞こえそうなほど生々しく周囲を見渡すその瞳孔が、泡の如き光の乱反射を湛える。
(´<_`; ) 「防御ぉぉぉおおお!!!!!」
姿を消したままのオトジャが叫んだ。
瞳の中の光が爆ぜたのと、アニジャが周囲の精霊兵を変形させシェルター化したのはほぼ同時だった。
無数の、本当に数え切れぬほどの炎熱の炸裂が山を埋め尽くした。
水の蒸発する音すらない。風すらも枯れる。
名の通り、終焉以外を望めぬ絶対的な殲滅の煌めきが、乱れ世界を喰らい尽くす。
-
分に満たぬ時間で、魔法の発動は終わりに至った。
閃光と炸裂の奔流が止んでなお、山は紅く滾り、空が揺らめくほどの熱を残している。
生命は何一つとして残ってはいない。
そう、生命は。
( _ゝ`) 「……無事か」
(´<_ ) 「精霊化していなければ、完全に終わりだったな」
兄弟は、この時すでに生命の枠を逸脱している。
双方共に体の大半が揮発し消滅していたが、すぐに再生を開始。
周囲の環境が炎優位に変わってしまったため少々手間取るが、大した時間にはならない。
o川*゚ー゚)o 「はー――……すっきりした」
掃除を終えた、というような軽い満足感を言葉に含ませ、キュートは腰に手を当てた。
相変わらず裸体にローブを羽織っただけの姿。
魔法によって保護され、浮遊する旧ジュウシマツ砦の頂上の一辺に腰掛け下を覗きこんでいる。
o川*゚ー゚)o 「さてしばしの足止めには成功してるみたいだし」
( ´_ゝ`) 「オトジャ、雨を」
(´<_` ) 「もう招いているが、少しかかりそうだ」
o川*゚ー゚)o 「あの子たちをきちんと倒すのには、ただの魔法じゃもうだめね」
-
弱弱しいが、ぽつぽつと雨が降り始めた。
空の雲は異常な速さで濃く大きくなり、伴って雨粒も膨らんでゆく。
地面に触れたと同時に蒸発してしまう。周囲は湯気に包まれた。
( ´_ゝ`) 「ウンディーネたちは、まだいける」
(´<_` ) 「こっち今ので少し乱れてる。調整の為に追加で三分くれ」
( ´_ゝ`) 「……何とかするさ」
アニジャは先ほどの水の精霊の魔法の残滓をかき集める。
魔女によって消し去られたようには見えるが、それぞれが超高位の魔法体。
全てとも、半分ともいかないが、二割程度ならば新たに注ぐ雨水を用いて復活が可能だ。
( ´_ゝ`) 「“行け”」
蒸気が渦となり、雨を巻き込みながら魔女へ突進してゆく。
辿り着く前に人の形に変化。
さらに馬にまたがる騎兵の体を成して、槍を構えキュートに突進する。
数は百足らず。先ほどと比べると心もとないがその分強化されている。
確かに、これまで通りの対処をしたならば、数の減り具合ほど楽にはならないだろう。
だから。
o川*゚ー゚)o 「“魔導の九拾――――――神喰らい”」
特別な魔法でおもてなしだ。
-
黒剣にさらに漆黒の霧が沸き立ち、絡まりついた。。
深淵の魔物が唸りを上げたかのような、低く、不穏な響き。
先ほどの爆熱の魔法とは異なり、実に穏やかな発動であるにも関わらず。
(´<_`; ) 「あれは、まさか」
( ´_ゝ`) 「……」
死を克服した者共すらをも震え上がらせる、恐怖の塊。
どうやら、生易しい魔法でないことくらいは知っているようだ。
o川*゚ー゚)o 「一応、説明はした方が良いのかな?」
突進してきた精霊兵の体を雑に薙ぐ。
剣から伸びた黒の魔力が精霊兵を切り裂き、蒸気すらも残さず消滅させた。
返す刃。
これまた自分で嗤う程雑な大ぶりだが、剣から零れた魔力の余波が精霊兵を消し去った。
青い水の尖兵たちは、最早キュートに近づくことすら叶わない。
( ´_ゝ`) 「……」
o川*゚ー゚)o 「この『世界』を味方に付けようとしたところでさぁ〜」
アニジャが更なる魔法式の追加を始めた。
残っていた精霊兵たちが強化されてゆくのが分かる。
無駄なのに。
舌が口の中でのたうつ。
この意味を成さない足掻きですら、キュートには愛おしくてたまらないのだ。
-
o川*^ー^)o 「それごとぶっ壊せばいいだけなんだよね☆」
姿を消しているオトジャはとりあえず後回し。
まずは前衛役のアニジャを倒す。
キュートが手首のスナップで釣竿の先に括った糸と重石を薙げるように、剣を振るう。
飛翔したのはJ字の針でなく、漆黒の魔力。
一体を貫き消し去ったのに合わせ、手首を返し、次の対象へ。
軽い手首のみの動作で、魔力は鞭のように暴れまわり、キュートに迫っていた精霊兵たちを消去する。
その流れを維持したまま、黒い舌は兄者へ。
途中オトジャの放つ横やりの閃光魔法が黒の魔力を捉えたが、問題は無い。
消え去ったのはオトジャの魔法の方だ。
( ´_ゝ`) 「ッ!」
アニジャは高速の機動でこれを躱す。
のみならず、オトジャと合わせて防御魔法を何重にも張り巡らせた。
が、数十に至る防御のための魔法を一切無視し、キュートの魔法はアニジャの脇腹を浅く薙ぐ。
( _ゝ ) 「―――ッ!!」
未だ経験の無かった、あらゆる不快を詰め込んだような感触に、アニジャは意識を失いかけた。
宙に留まることが出来ず、ぐらりと、あたまから地面へ落ちてゆく。
傷からは、青い魔法の粒子が勢いよく吹き出し、軌跡となった。
-
o川*゚ー゚)o 「驚いた?びっくりした?」
( ´_ゝ ) 「……」
地面に衝突する寸前で意識を取戻し、何とか着地するアニジャ。
傷を手で押さえるが、一向に修復される気配が無い。
むしろ、逆に少しずつ広がってすらいる。
o川*゚ー゚)o 「私はね、『不死殺し』って、呼んでるの、この魔法」
( ´_ゝ ) 「……」
o川*゚ー゚)o 「世界の法則における対象の存在そのものを破壊しちゃうの。そうすると、いくら不死身の再生力でも、ほら、そのとーり」
( ´_ゝ ) 「……なるほどな」
o川*゚ ,゚)o 「本当は使いたくなかったのよ?これは負荷が大きすぎる」
( ´_ゝ ) 「……」
o川*゚ ,゚)o 「だから、大人しく負けを認めてくれるとありがたいんだよね。あなたたちを完全に消し去りたくもないし」
( ´_ゝ ) 「一つ、聞きたい」
o川*゚ー゚)o 「いいよ」
( ´_ゝ ) 「この『不死殺し』、貴様にも通じるのか?」
o川*゚ ,゚)o 「まあ、理論上は?私以外に使える人なんてもういないし、自殺以外ではありえないけど……」
-
( _ゝ ) 「……そうか」
アニジャは崩れるように地面に倒れた。
魔力の流出に比例して、背なの翼の明滅も弱々しくなってゆく
( _ゝ ) 「……それは、よかったよ」
o川*゚ ,゚)o 「?」
キュートは、背後に不気味な魔法の気配を感じ取る。
振り返った視線の先には、先ほど受けたのと同じ閃光の魔法。
兄の窮地に、またもや弟が援護に出た。
自身の感じた予感を裏切り、その程度の認識で済ませてしまったため、つい雑な防御を取った。
黒剣と同じ、高純度の魔力で生成した盾を二枚。
これで十分でしょうと、ため息すら吐きそうになったその胸を、
o川* )o 「――ッ?!」
盾を射抜き現れた閃光が、深々と貫いた。
-
魔法は背まで貫通し、キュートの身体は大きく仰け反った。
口から呻きより先に血が零れる。
見上げた空に飛んでいるのは、貫かれた胸が噴き出す血流か。
自身で受けるのは初めてだが、間違いない。
規模は小さいが「不死殺し」の役を負った攻撃だ。
( _ゝ ) 「……これすら通じなかったら、どうしようかと思っていたところだったんだ」
o川* ー )o 「……っあー―――………一体、いくつ奥の手、あるんだか……」
キュートは起き上がる。
胸の傷は、これまでよりもゆっくりと、しかし確実に塞がってゆく。
不死殺しが効かなかったわけでは無い。
単にキュートの方が法則に対する干渉力が高いため相殺され効力が減衰していただけだ。
(´<_` ) 「一撃で、とはいかんか」
o川* ー゚)o 「水はともかく、そのほかの部分では、譲れないからね」
キュートの視線の先、今度は明確に姿を現したオトジャが居た。
空中に屈み込み、杖の頭を脇に抱え、石突をキュートに向け。
顔を杖に寄せ、狙いを定めている。
石突が輝き、再び閃光の魔法が、正確には閃光の魔法に偽造した不死殺しが放たれる。
魔女たるキュートの力は、いくら魔法によって身体を昇華しているサスガ兄弟とは言っても敵う者では無い。
不意打ちであっても、数発ならば耐えられるだろう。
ただし、受け続ければ何がどう転ぶかは分からない。
-
扱うキュートにとっても「不死殺し」は制御しきれる魔法では無いのだ。
どんな影響がどこでどう出るか、気軽に実験できるものでもないためロクに把握していない。
迫る魔法に、キュートは剣を振るう。
黒い魔力が靡き、完全に相殺した。
(´<_` ) 「容易くは無いか」
o川*゚ー゚)o 「……けっこう本格的に危なくなってきたわね」
剣を振るい、黒の魔力を飛ばす。
狙いはオトジャの右足。
片足を刎ねるだけでも、十二分に魔法の精度を下げられる。
(´<_` ) 「……ッ!」
o川*゚ ,゚)o 「……さすがねぇ
キュートの不死殺しは届かない。
オトジャも、キュートと同じく不死殺しによって相殺したのだ。
ただし、威力の差により、オトジャは僅かにダメージを受けている。
相殺されるのを覚悟で狙い続ければ、いつかは直撃するはずではあるが。
-
o川*゚ー゚)o (……一度軽く頭吹き飛ばして、それからかな)
できうる限り不死殺しの無駄打ちは避けたい。
だから一度物理的に追い込んで、頭部または心臓を破壊。
再生までの時間を用いて、死なない程度に体をばらす。
オトジャが再び不死殺しの閃光を放つ。
相殺。即接近。
逃げようと背を向けた時点で不死殺しで穿つ。
しかし、予想に反してオトジャは動かない。
不死殺しと異なる魔法式を組んでいるようだが、一対一のこの状況でキュートより先んじることなどあり得ない。
キュートは剣を握りなおす。
別の魔法を組んでいる最中の今ならば、不死殺しで一気に殺せる。
o川*゚ ,゚)o 「?!」
剣を振ろうとした瞬間に青い光が走り、斬られた手が宙に舞った。
視線の先には剣を構えたアニジャの姿。
また、笑顔になってしまう。
ただし今回は多分に苦み混じりだ。
まさか、あの状態でまだ挑んで来るなんて。
-
( ´_ゝ ) 「させん」
o川*゚ ,゚)o 「もー!」
既に手負いのアニジャを先に戦闘不能にしようと意識が逸れる。
一撃程度ならば受けても平気と言う驕り。
その驕りに先ほども漬け込まれたことを、キュートは失念していた。
なめて、油断したその時間。
オトジャの目が、光る。
(´<_` ) 「“―――手足を削ぐ”」
o川*゚ ,゚)o 「?!」
青い魔力の矢が、キュートの肩口に刺さった。
不死殺しですらない小さな魔法だ。すぐに再生できる。
はずだったのに。
o川*゚ ,゚)o 「えっ?」
魔法の矢が魔法陣に形状を変え、体に張り付いた。
その明滅に合わせて、キュートの内部をめぐる魔力の流れが急激に鈍る。
これは、攻撃の魔法ですらない。
封印魔法だ。
名の通り、対象の力を抑え込むための魔法。
上の上程度の効力ではあるが、魔力の塊であるキュートには下手な攻撃魔法よりも効果が大きい。
現に魔力の供給が鈍って、黒剣に纏わせていた不死殺しの制御が怪しくなる
この状態で不死殺しのコントロールは安全でない。
すぐさま解いたため自傷することは無かったが、対抗手段も失われた。
封印を喰らってしまったこと自体が、大きすぎる失敗だ。
-
それでも、封印と分かっていれば対応を変えればいい。
失敗はすぐに取り返す。
キュートは一旦アニジャからも距離を取り、封印の解除に力を入れようとした。
その首を、アニジャが斬る。
既に腹部の大半が崩れ去った彼であったが、弟の間に割って入った速さを忘れるべきでなかった。
アニジャは、この状態でもキュートに追いつけたのだ。
首を刎ねられ、ほんのわずかな時間途切れた意識の隙を縫って更なる封印魔法が追加された。
益々力を抑制される。
再生自体は、何とか出来たが。
o川*゚ ,゚)o 「こんのっ!」
( ´_ゝ`) 「効くだろ、こういうシンプルな封印ってさ」
o川*゚ ,゚)o 「生意ッ……き!」
三段階目の追加。
この時点からアニジャも封印の追加に参加した。
倍速で追加される様々な封印式。
既に力を抑制されていることも災いとなって、解除が追いつかない。
-
(´<_` ) 「“―――天恵を祓い”」
( ´_ゝ`) 「“―――怪異に奉じ”」
二人の組み上げる魔法式がこれまでのものと変わった。
そう気づいた時には既にキュートの魔力はそこらの上級魔法使い程度まで抑え込まれている。
これ以上は、そうそう封印できない下限の域。
(´<_` ) 「“―――真を欺き”」
( ´_ゝ`) 「“―――偽に殉じ”」
しかし、サスガ兄弟は手を緩めず魔法式をくみ上げていく。
神格化により大概の魔法を一瞬で扱うことが出来るはずの彼らが、こうまで時間をかける術。
(´<_` ) 「“―――森羅を畏れ”」
( ´_ゝ`) 「“―――万象を封ず”」
o川*゚ ,゚)o 「むぅ〜!!」
既にかけられた十いくつの封印魔法を、九つまで打ち消したところでキュートは封印の解除を諦めた。
ここまで外せば調子がいまいちでないなあ、程度だ。
不死殺しなどと欲張らなければ、攻撃は可能。
せめて二人の術組みを停める。いくら不死化しているとはいえ、一度体を消し飛ばせば魔法式は失敗に終わる
現状放てる最も強力な火炎の魔法を二つ発動。
これなら精霊化した兄弟にも届く。キュートは焦りを堪え、火炎の殺意を放つ。
が。
それすらもが僅かに、遅い。
-
「「“流石流特殊封神術”」」
「「“―――壊式を得る”!!!」」
.
-
ずんっ、と体を揺るがす振動。
頭の中に電流のようなノイズが走り、キュートの目の前が青に埋め尽くされた。
空や海、または宝石の色とは異なる、無機質で均一な、青。
瞬きをしても、いつもの暗転が起こらない。
「何が」と口走ったが、その言葉すらも聞こえない。
魔法を使おうとする。
いつもなら当たり前にある、魔法が発動した際の僅かな反応が無い。
魔力の流れすら、感じられない。
それどころか、今の自分が立っているのか、座っているのか、それとも倒れているのかも分からない。
呼吸は出来ているのか。
心臓は動いているのか。
そこでキュートは気づく。
この青き暗転は視覚にのみ起きているのではない。
脳の全てが、キュートの持つすべての能が、停止させられている。
思わず笑ってしまう。出ているかも分からない声を、必死に出したつもりになる。
そうでもしないと、気が狂いそうだ。
無で埋め尽くされたキュートの意識の中、はっきりと存在を感じられるものがある。
これが「恐怖」。
久しく覚えたことの無い、懐かしさすらある芯の震え。
キュートは知覚する。
自分は死ぬ。殺される。
それだけの準備が、今この時、間違いなく整えられている。
――― ――― ―――
-
……やったか?
-
サスガ=アニジャは、自分の手を見た。
骨ばった長い指。分厚くなった掌の皮。
そして、骨に添うように張り巡らされている青い魔力の根。
そこから供給される魔力と魔法式が、肉を透き通った青に輝かせている。
同様の状態が全身に及んでいる。
背中には周囲から収集変換した魔力を一時的にプールするための、似合わぬ翼まで生えている。
傍からの見た目は、世ほど奇天烈なものだろう。
魔女はこの魔法を「神格化」と呼んだ。
アニジャとその弟オトジャは、この魔法を「精霊化」と呼んでいた。
言葉が異なるだけで、ニュアンスは近い。
一言にしてしまえば、人間を越えた能力を手にする為の魔法だ。
身体能力は勿論、魔法能力も大きく補強される。
水属性の上級程度の魔法ならば、発動後のイメージを頭に浮かべるだけで使えるほどだ。
それは魔女と同じ領域であり、魔女を倒すには辿り着かなければならない頂だった。
この魔法の為に費やしたものは多い。
収集したタリズマンはほとんどこの魔法の準備に使った。
発動した今、魔法の負荷に耐え兼ね、ただの灰と化している。
体にも相当な負荷がかかっているだろう。
上質な大地のタリズマンを粉末化して生成した顔料を用いて特殊な刺青を体に刻むことで軽減している。
してはいるが、あくまで僅かな効果だ。
あと十分と経たず、精霊化の維持は解けるだろう。
そして解けた時にどれだけの副作用が襲い掛かるか、予想は付いていない。
-
これもまた、途方もない過程が必要であった。
発動に必要な魔法式のパーツを他の魔法や攻撃に偽造し、魔女に打ち込み、潜伏させ。
「精霊化」によって飛躍的に向上した魔法能力により、「魔法式を自動で組み上げる魔法」を数個発動し。
それらを統括し、さらに仕上げるための膨大な魔法式を、二人がかりで完成させた。
そうしてやっと、魔女の魔法を完全に封じることに成功した。
ここまでしないと封じられないその能力に改めて慄いてもいる。
一時的に魔女を抑えるために用いた魔法でさえ、上級の魔法使いならば完封できるクラスのものだったのだ。
( ´_ゝ`) 「……」
手に、「不死殺し」の魔法を生み出す。
なるべく濃く、強く、より確実に消滅させるために、入念に魔力を込める。
魔女が健全な状態では相殺されてしまい十分な効果が得られなかった。
だが、今は別だ。
魔女は魔法の一切を、意識的なものも無意識的なものも全て使えない。
不死殺しによって、魔女のあらゆる情報をこの世から消し去る。
そうすれば、魔女は死より空虚な無となり、復活は不能だ。
態々危険を冒して正面から何度か殺し確かめたので間違いない。
魔女本人の口からも聞いている。
不死殺しで魔女は死ぬ。
その瞬間が、サスガ兄弟の勝利。
-
(´<_` ) 「……アニジャ、躊躇うなよ」
( ´_ゝ`) 「……当然だ」
アニジャの右手に、オトジャの左手に、澄んだ藍色の魔力が迸る。
激しい明滅と、煩わしい音。
高出力の魔法は、操作を誤ればアニジャたち本人を消し去りかねない。
( ´_ゝ`) 「“―――神に奉じる”」
(´<_` ) 「“―――磔刑の茨”」
二人が魔女に向かって跳躍。
同時に振りかぶり、魔法の発動を全開にする。
灰色の空が白黒に瞬くほどに強い光を放つ、「不死殺し」。
( ´_ゝ`) 「「“―――魔屠る槍の一投となりて”」」 (´<_` )
意識の無い魔女の胸に、二人の手刀が突き刺さる。
鮮血は吹き出す間もなく消滅し、代わりに殺意の魔法が魔女の体に侵攻すした。
白い肌の輪郭が、激しく毛羽立ち、肉が鳴らすとは思えぬ激しい音をまき散らす。
魔力による抵抗は一切ない。
不死殺しは、肉体のみならずそれを存在させるための法則の世界にまで浸透した。
激しい魔力の明滅の中、兄弟は視線を一瞬合わせた。
不死殺しに、最後の魔法式を追加する。
-
( #゚_ゝ゚) 「「“―――刻を喰らう”」」 (゚<_゚# )
.
-
充填された魔力の全てが、白い光と化した。
視界が一色に染まる。
魔女の身体は内よりその奔流に飲まれ、影を生むことすらない。
そして 魔女は。
-
( ´_ゝ`) 「……」
(´<_` ) 「……」
...: ..::.
. . . ::: :::
(´<_` ) 「……帰ろう、アニジャ」
( ´_ゝ`) 「……ああ」
この世界から、消滅した。
-
やったか!?
-
まじで!?
-
一旦終了。
次から捕捉と言うかこの世界観における魔女がなぜ死ななかったか、
サスガ兄弟の魔法でなぜ消し去ることが出来たかを説明するっす。
本編中で書かれていることが何となくでも分かれば不要なんだけど、
原理とか気になっちゃうひとはサラッと読んでみてね。
-
やったの!?!?
え、うそ!?
-
☆前提
世界は二重に構造となっており、世界の根底を成す「法則の世界」と
法則の世界によって現象として実行されている「現実の世界」の表裏一体で構成されています。
(メタ的に言えば、「法則」は「プログラム」、「現実」は「プログラムに従って出力された映像や音」と言った感じ)
以前の説明にもありますが作中における魔法とは、
「法則の世界」に直接干渉して法則を一時改変し、「現実の世界」に本来ありえない現象を生み出すことを指します。
-
☆普通の場合
現実の世界 法則の世界
┃
( ^ω^) ┃ ( ^ω^)
┃
「現実」と「法則」は表裏一体。
現実で起きたことは、法則でもそう書き換えられます。
例:怪我する
┃
( メω^) ―╂→ ( メω^)
┃
こうして法則にも、「怪我をした」という情報が同期されます。
逆に、法則の側に「怪我をした」情報が書き込まれた場合、今度は現実の方に怪我をした状態が反映されます。
┃
( メω^) ←╂─ ( メω^)
┃
魔女が何度か用いた、相手を問答無用でチョンパしたりする魔法はこれに当たります。
現実と法則が常に同じ状態。
これが原則であり、通常のことです。
※以降の説明のために回りくどいことを言っていますが、特別なことは言ってません。
-
☆「魔女」や「精霊化」等による不死者の場合。
基本的には同じく、二つの世界は同期した状態にあります。
ただし、怪我等の望ましくない状況が起きた場合に少々異なります。
現実の世界 法則の世界
┃
( メ_ゝ`) ―╂→ ( メ_ゝ`)
┃
一旦はこうして怪我をした情報が共有されるのですが……
┃
( メ_ゝ`) ┃ ( ´_ゝ`) キュピーン
┃
法則の世界の方に、怪我をしてない状況の情報を上書きします。
すると……
┃
( ´_ゝ`) ←╂― ( ´_ゝ`)
┃
法則の世界に従い、現実の怪我も治ります。
治療魔法のように代謝を促進し再生させているわけでは無いので、
痕や後遺症、部分的な老化現象なども一切起きません。
魔女たちはこれがオートで行われるので、たとえ頭が吹き飛んで意識が途切れても元に戻ります。
-
☆「不死殺し」とは。
上記のような不死者の場合、法則の世界に健常な状態の記録がある限り死にません。
そこで考えられたのが「法則内の情報そのものを消す」というもの。
これが作中における「不死殺し」です。
現在の情報のみならず、過去に遡って該当者の存在を消去するので、
過去の情報を引き出しての上書きも出来なくなります。
故に、該当者は事実上蘇生不能となり、消え去ります。
特定の状態を別個に保存している場合でも、本体が消し去られてしまえば自動復活は起きません。
魔法には魔力が必須となりますが、本体が完全削除された場合、魔力も全て消えてしまうので魔法が発動しないのです。
なので流石兄弟はまず、封神術で完全に魔法を使えなくし、余計な予防策を練られないうちに
☆法則の世界における「過去の情報」について。
動植物に限らず、世界に存在する物は、過去の状態の情報を一定期間保存されています。
その期間は、人の価値観で表すと約49日です。
故に、たとえ不死殺しを用いなくとも、死んでから49日経過すれば、過去の情報の上書きによる再生は不能になります。
故に、たとえ魔女であっても49日以前の状態を再現することはできません。
※個別に保存している限りはこの限りではありません。
-
「なー―――〜〜んてね☆」
.
-
ですよね
-
うわあああああ
-
ですよねえええええええ!!!
-
( ´_ゝ`) 「!」
その明るい声は、まるで当然のように響き渡った。
振り返ったと同時に、アニジャの右腕が宙を舞う。
それを目で追うと、オトジャの左腕も同じように撥ね飛ばされるのが見えた。
( # _ゝ`) 「なんで……ッ!」
(´<_ ; ) 「……バカな、完全に……」
( # _ゝ`) 「なんで居るんだよ………!」
飛ばされた腕の付け根を抑え歯を食いしばったまま、アニジャは呻くように吠えた。
喰らったのは不死殺し。精霊化を解いてはいなかったが、再生は始まらない。
体を形成している青い水の魔力が、勢いよく吹き出している。
o川*^ー^)o
( # _ゝ゚) 「キュート!」
音も無く、予備動作も無く放たれた不死殺しの黒い閃光が、アニジャの足を吹き飛ばす。
オトジャが反撃の魔法を放とうとするも、それより先に脇腹がこの世から消滅した。
-
o川*゚Д゚)o 「……あ、あー―――……うん……」
o川*゚ー゚)o 「……えーっと、うん。状況は、分かった」
(´<_`; )
o川*゚ー゚)o 「まずは二人とも、良く、ここまで出来たわね」
( #´_ゝ`) 「この……」
o川*゚ー゚)o 「ここまで私を追い込んだのは、神様以来よ。そこは純粋に賞賛するわ」
ごく自然に、何事も無かったかのように立つ、キュート。
相変わらず服を着ず、全身の素肌を晒したままであるが、先に負わせたはずの不死殺しの傷すらも無い。
美しいと称さずにいられないその体には、一切の傷も、穢れも、見られなかった。
キュートは穏やかな笑みで目を伏せ、胸に手を当てる。
川*‐ ,‐) 「本当に、死んでしまうかと思った。怖くて、こわくて、仕方なかった」
ぅ
川*‐ ,‐) 「生きたくて、死にたくなくて、仕方なかった」
ぅ
( #゚_ゝ)、 「がはっ……」
川*^ー^) 「……だから、ありがとう、二人とも。“私を殺してくれて”」
ぅ
魔女は笑う。
その背後に沸き立ったのは、これまでとは比にならぬ、死の魔力だった。
-
☆なぜ魔女は復活できたのか。
現時点で明確な理由は不明です。
-
おわりっす
大体>>727、>>734のせい
次は未定ですが、なるべく早く来たい気概は忘れずに
-
乙
予告が冗談になってなくてワロタ
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