[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
すでうよのようです
42
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 13:32:36 ID:YBhiwN7g0
.
母親はきっと自分に手紙を出して、婚礼の儀を強要してくるに違いない。
そんなのはまっぴらだ、まっぴらだ、まっぴらだ、まっぴらだ、まっぴらだ、まっぴらだ。
('A`)「・・・先手を打つことにしよう」
彼はもらってもいない手紙の返事を出すことにした。
「('A`)親愛なる二重母へJ( 'ー 'ー`)し。
自己安産、心よりお慶び申し上げます。まったくもって文明ですね!
お手紙の件ですが、私は女というものにすっかり幻滅してしまいました。
あなたのような自己妊娠の才能があったら・・・、
公生活と私生活の二重化が図れたらよかったのですけどね!
ですが今は、
>>30
,
>>31
,
>>32
,
>>33
,
>>34
,
>>35
,
>>36
,
>>37
の中に一人妹がいる、
と言われても全く信じる気にならないのです。
大審問官と司法書士には私から話します。
親不孝をお許し下さい。
それでは
死ぬまで生きようお国のため
敬具」
それと入れ違いに手紙が届いた。やはり2重母からだった。
.
43
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 13:36:28 ID:YBhiwN7g0
******
さてドクオが引きこもっている最中、変色家は一本のレポートを書き上げた。
狂乱の中で清書していくうちに彼の表情筋は半壊し、
(´。ω゜`)
右目と左目がパドスとネゲブほども離れてしまった。
それは
「比較変色学における黒色人種の問題」
と題するもので、彼の嫉妬と羨望の対象、黒人に対する罵倒が内容の大半であった。
しかし彼が言葉を極めれば極めるほどその悲しみが透けて見えるのであった。
/ ,' 3「・・・このレポートを書いたのは君か?」
(´。ω゜`)「は、はいそうですが」
/ ,' 3「君は除籍処分だ」
彼の命運は一言で暗転した。
レポートの内容は荒巻准教授見習い(学術名aramaqi)の怒りをAmazonで買った。
彼は世界的なチャーリー・パーカー愛好家であったからであり、
おまけに送料無料と来たからである。
(´。ω゜`)
.
44
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 13:40:18 ID:YBhiwN7g0
.
変色家ショボンは大学を放逐され、レビューで酷評され、アカウントも消されてしまった。
(´。ω゜`)
荷物を風呂敷に包んで背負い、
講堂の入り口から、大学の門までの、半分の位置まで来て、
更にそこからその半分まで来て、更にそこからその半分まで来て、更にそこからその半分まで来て、
「おい」、と(´。ω゜`)
更にそこからもう半分まで来て、更にそこからもう半分まで来て、更にそこからもう半分まで来て、
呼び止められる声にも気づかぬ間に(´。ω゜`)
更にそこからその半分まで来て、更にそこからその半分まで来て、更にそこからその半分まで来て、
幾度かの夏が過ぎ(´。ω゜`)
更にそこからもう半分まで来て、更にそこからもう半分まで来て、更にそこからもう半分まで来て、
鈴虫の詠唱する声ぞ聞こゆ(´。ω゜`)
更にそこからその半分まで来て、更にそこからその半分まで来て、更にそこからその半分まで来て、
(-@∀@)「おいったら!」
(´。ω゜)そ; ;・. 「テッ」
背後から彼のふくらはぎを蹴る何者かがいた。
.
45
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 13:45:37 ID:YBhiwN7g0
.
(-@∀@)「おうショボン君。こいつァ、文明だな。アキレス気取りか。
亀はとっくに追い抜かしたぜ」
見覚えのある顔だった。
そうだ、政治活動で逮捕され、除籍処分となった、旭だ。
(´。ω゜`)「き・・・君は、共産主義者の?」
(-@∀@)「フッ、俺はアカなんかじゃあないぜ、言うなれば俺は、黒だな」
黒!
自分が羨望しやまない万有色、
顔料では3原色の混合、光では色を消し去るあの色、
そして自分を除籍に追い込んだあの黒人の色、黒!
それは彼にとって悪鬼的な暗号のように思われた。
(´。ω゜`)「クッ、クッ、クッ、クロだって!?」
アナキストはそれには構わず、
変色家に柔らかい息を吹きかけながら、彼の言語中枢をのっとった、
(´。ω゜`)「(-@∀@)なぁ、君も、黒色思想に染まってみないか?
黒はアナーキズム、無政府主義の色なんだぜ?」
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7a/Anarchy-symbol.svg/600px-Anarchy-symbol.svg.png
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f3/Black_flag_waving.svg/249px-Black_flag_waving.svg.png
.
46
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 13:49:44 ID:YBhiwN7g0
.
それから幾度かの政変を経て、今や果実の刈り取られる時が来た。
国会議事堂の前で、大勢の群集を前にして旭は声を張り上げる。
(-@Д@)「いいか!まもなく国会では左翼と右翼が激突する。
左派系議員と右派系議員の数はだいたい五分五分といったところだ。
そして今日は予算委員会。すなわち両翼が均衡を保ち、議論は白熱するであろう。
そこで、そこでだ!
そこに推進力が加わればどうなるか?
航空力学が働く!
政府は飛翔し、5万マイルの彼方へと消え去る!
我々はその政治的空白を乗っ取り、無政府主義を実現する。
もはや政府転覆でも、世論誘導でもない!
物理的抹消こそが唯一解だ!」
群衆の一人がやじを飛ばす、「その推進力とは?」
(-@Д@)「金の力だ!」と旭。
そして勢い良く東の彼方を指さした。
.
47
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 13:52:15 ID:YBhiwN7g0
.
旭が指差す方には、地平線の向こうから、
ザッザッザッ・・・
10万人の反逆市民が巨大な大八車に乗せて造幣局を運んでいた。
ザッザッザッ・・・
あまりにも静かにたやすく持ち上げたので、中にいる職員は気づかずに紙幣を印刷しつづけていた。
やがて国会議事堂の入り口に大八車は来た。
(-@Д@)「よーしそっと降ろせ」
旭はオーケストラの指揮者のように両手を静かに広げ、その後大げさな身振りを伴い、
(-@Д@)「せーつぞーく!!!!!!!」
と絶叫した。
.
48
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 13:55:35 ID:YBhiwN7g0
.
造幣局を国会議事堂に接続した瞬間!
閃光と爆音が響き渡った。
国会議事堂は猛烈な勢いで加速した。
建物は豆腐の如く崩れ去り、周囲は焼き払われた。
翔!
それでもなお加速する、加速する、加速する・・・そ し て 飛
天空には1000万部の号外が埋め尽くし、一瞬曇天のような様相。
(-@Д@)「やった!」
(´゜ω゜`)「うわぁあああああああああ!!!!」
なんと国会議事堂にはショボンが乗っていた。
入り口の柱廊にしがみついていた。
ふんどしのほかは何も身に着けておらず、銀の鱗粉を全身に貼り付けていた。
.
49
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 13:59:01 ID:YBhiwN7g0
.
国会議事堂は左翼と右翼の微妙なバランスを保ったまま、中天を飛ぶ。
高度が安定した頃、
(´゜ω゜`)「あれ?」
奇妙な静けさの中で、ゴミのようなものが落ちていく。
(´・ω・;)「人が・・・落ちていく」
落ちていく「先生」と秘書たちだった。
「先生」が落ちる場合、秘書が後を追った。
が、その逆は残念ながら皆無であった。
中には保身のために秘書を足蹴にして落とす「先生」もいた。
が、そんなことにはかまってられない。
ショボンが黒色思想家に合流し、この国会議事堂に乗り込んだのには
彼なりの野心があっての事だった。
そう、全てはこの日のためだった。
(´・ω・`)「僕は・・・僕は・・・虹になるんだ」
.
50
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 14:02:03 ID:UC7TQxpk0
*'``・* 。
| `*。
,。∩ *
+ (´・ω・`) *。+゚
`*。 ヽ、 つ *゚*
`・+。*・' ゚⊃ +゚
☆ ∪~ 。*゚
`・+。*・ ゚
51
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 14:06:50 ID:YBhiwN7g0
.
そのころ地上では旭が意気揚々と勝利宣言をしていた。
(-@∀@)「我々の勝利だ!バクーニンも誇りに思うことだろう!」
楽隊”性の拳銃”が”日本における無政府状態 Anarchy in JP” を高らかに奏で、
政府飛翔に成功した十万の反逆市民たちは歓喜の渦を巻いた。
旭は言葉を続けた、
(-@∀@)「この政治的空白を利用し、無政府主義者の連合を設立し、全国に憲法を発布する!」
(-@∀@)「そしてその後!」
旭は間を置いた。
「その後は?」と野次。
(-@∀@)「政府の代わりにただ一人の指導者が掌握する!無政府主義とはそのための前段階である!」
.
52
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 14:11:26 ID:YBhiwN7g0
.
歓喜の渦のような群衆は急に凪となった。
やがて、不穏な天候に表情を変える冬の荒海に変貌した。
「それじゃ以前よりも中央集権的だ」
「旭はインチキ野郎だ!」
「大衆を操作しやがったな、詐欺野郎!」
群衆の野次は次第に大きくなり、稲妻のとどろきのようになった。
そして、黒山の群衆は大きなうねりとなり、旭に押し寄せた。
(-@Д@;)「うわ、貴様ら・・・、偉大な指導者に何をする!」
(-@Д@;)「うわあああああああああ」
どす黒い波に黒色思想家は飲み込まれた。
..,...;,-○-○;,...
波が去った後に残ったものは彼の眼鏡だけであった。
.
53
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 14:17:32 ID:YBhiwN7g0
.
******
轟音で天空を飛ぶ国会議事堂の柱廊につかまり、
ショボンは自らの幻想の実現を固唾を飲んで待っていた。
ビュゥウ(´・ω・`)ウウウ
彼は黒色に嫉妬するのをやめ、
自らが変色して天翔る虹になろう、と思い定めていた。
(´・ω・`)「僕は色彩そのものになるんだ・・・ここから飛び出し、落下傘で弧を描くように落下する。
まばゆい陽光が僕の銀色の体躯を照らし、
そうなれば・・・そうなれば・・・みんなは僕を虹だと思うだろう」
(´・ω・`)「ん?」
国会議事堂は急速に速度を落とし始めた。
そして、高度も急速に下げつつあった。
造幣局の推進力が低下していたのだ!
(この一件の原因は2重母にあったJ( 'ー 'ー`)し。
彼女はその頃、バーゲン状態のドルをまとめ買いしていた。
おまけに火力発電用を見越して原油を買い占めていた)
.
54
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 14:21:13 ID:YBhiwN7g0
.
(´゜ω゜`)「このままでは墜落する・・・・・・」
(´゜ω゜`)「僕の計画が・・・僕の夢が・・・」
悲しいかな、いつでも政治は個人の思惑とは無関係である。
次の瞬間。
大きな「カイサン!」という音と共に、中にいる議員たちは落下傘で次々と抜け出していった。
それぞれの選挙区をめがけて不時着していくのであった。
(´゜ω゜`)「ウワァァァ」
ショボンを残してもぬけの殻となった国会議事堂は大きな火の塊となり、造幣局は爆発した。
;::: :: : :´゜ω゜`)「ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
ドッグワァアアアアアアアアアアアン!!!!
爆風とともに莫大な紙幣が宙を舞った。
議員たちは落下中も器用に金を回収していた。
.
55
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 14:24:35 ID:YBhiwN7g0
.
******
それから数ヶ月後。
変色家ショボンは病院のベッドの上にいた。
(´゜ω゜`)
茫然自失状態なのをいいことに、ありとあらゆる新薬、治療法の試験台となっていた。
(´゜ω゜`)
背骨の傷は言えたが、ずっとベッドに縛り付けられていた。
(´゜ω゜`)「僕は・・・僕は・・・、もう飛べない、虹になれない・・・」
彼は極度に精神を消耗していた。
.
56
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 14:29:15 ID:oXh5hFD60
きてた支援!
57
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 14:32:43 ID:YBhiwN7g0
しかし。
(´゜ω゜`)
ある晩、
(´゜ω゜`)「ん・・・ん・・・、なんだ、手のひらが緑色に光っている!」
(´゜ω゜`)「と思うと今度はピンクだ・・・!」
(´゜ω゜`)「僕は・・・僕は・・・・・・・っ!!!!」
(´゜ω゜`)「虹になったのだ!!」
理由ははっきりしないが、ショボンは一定時間ごとに変色を続ける特異体質になっていた。
(おそらく新薬の過剰投薬によって引き起こされた病態と思われる。
あるいは
>>50
のような魔法使いの仕業かもしれない)
ショボンは500階の病院の窓から
ふうわりと
飛び降り、
しっかりした足取りで着地した。
そして、踊り狂いながら春の夜を疾走する。
(´゜ω゜`)「キャホーイ!キャホーイ! 文明だ、これは文明だ、とんだ文明だ!」
******
やがて変色家ショボンはドクオのアパートの隣の部屋に越してきた。
(続く)
.
58
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 14:47:05 ID:UC7TQxpk0
乙乙
まさか魔法使いになるとは思わなんだ
59
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 15:23:46 ID:zmuY044w0
こりゃあ乙だぜ
60
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 16:26:34 ID:HmWgl0lsO
妹です、おつおつ!
61
:
名も無きAAのようです
:2013/01/04(金) 17:42:20 ID:71exLTmo0
こいつぁ文明だ
62
:
名も無きAAのようです
:2013/01/05(土) 22:03:39 ID:x2unSMB20
oh… bunmei…
63
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 11:21:00 ID:WjHstzGc0
.
四章 On a clear day
.
64
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 11:23:56 ID:J/uzz3MU0
きたか・・・ガタッ
65
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 11:26:06 ID:WjHstzGc0
.
ここまでで読者は話は
>>2
の時点まで一周したことにお気づきであろう。
それで、ここから述べることは蛇足かも知れないが、蛇にも太古は足があったということだから、
むしろこの話は蛇手と言うべきかもしれない。
(´・ω・`)
これは変色家ショボンの個人史である。
.
66
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 11:29:25 ID:WjHstzGc0
.
******
文明3年の冬のこと。
人体市腹町にある「腎臓荘」に幼体ショボンは勝手に住み着いていた。
(*-ω-)zzZ
一見日当たりの良い鎌倉時代の洋館風アパートだが、靴を脱いで上がると中は意外にだだっ広い。
茶色い床板のニスはところどころ禿げ、太平洋に面した天井からは海面が乱反射して床を照らす。
廊下を端から端まで一往復するのに3日間ほどかかり、
隣の部屋までは一週間かかるフラクタル構造であった。
(*-ω-)zzZ
セピア色の階段は冷たい優しさ、朝の光が伸びる。
そこに幼体ショボンが、汚れた毛布をかけて眠っていた。
.
67
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 11:41:55 ID:WjHstzGc0
.
(*-ω・)「ファァァァ」
(*・ω・)「ネムイヨウ」
(*゚ー゚)「おはよ、ショボン君」
(*・ω・)「ア、オネイサン・・・」
(*゚ー゚)「あら文明ね」
(*・ω・)「ブンメイ・・・」
この頃彼は半角で喋っていた。
「オネエサン」と発音できず、「オネイサン」と呼んでいた。
そしてまだ色彩の悪魔になっておらず、
夜ごと
>>56
,
>>58
,
>>59
,
>>60
,
>>61
,
>>62
を漁って変色させるような変態でもなく、
せいぜい自分で切った指から流れる血を眺めるくらいだった。
.
68
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 11:51:25 ID:ei4l/QbY0
また来てたか 来てしまっていたか
文明だな
69
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 11:52:30 ID:WjHstzGc0
.
「オネイサン」は音や文字が色で見えるという”共感覚”の持ち主であった。
(*゚ー゚)「あなたの今日の気分は、黄色がかった赤・・・といったところね」
(*・ω・)「ミエルノ?」
(*゚ー゚)「見える、見えるわ。
晴れた日には未来も見えるの」
そしてショボンはか細い両腕に手繰り寄せられ、色彩渦巻く胸元に沈み込まれるのだった。
・・・・・・・・・・・・鴇色コチニールレッド躑躅色ルビーレッド桜色ワインレッ薔薇色バーガンディー韓紅
オールドローズ珊瑚色ローズ紅梅色ストロベリー桃色コーラルレッド紅色ピンク紅赤ボルドー臙脂
ロンド肉桂色ココアブラウン樺色 (*゚ー゚) ピーチ煉瓦色ローシェンナ錆色オレンジ桧皮色ブラウン栗色
アプリコッ黄赤タン代赭マンダリンオレンジ駱駝色 (・ω・*) コルク黄茶エクルベイジュ肌色ゴールデン
イエロー橙マリーゴールド灰茶バフ茶色アンバー焦茶ブロンズ柑子色・・・・・・・・
(*・ω・)「オネイサン・・・」
幼体ショボンは「オネイサン」が大好きであった。
.
70
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 11:56:04 ID:WjHstzGc0
.
母もなく父もなく生まれてきたショボンにとって、「オネイサン」こそが自分の心の在処だった。
(彼は廊下に置いてある金魚鉢の淀みの中から自然発生したのだ。
やがて体がつかえて、外で寝るようになった)
いつも階段のそばでうずくまっているショボンに声をかけたのも「オネイサン」だけであった。
(*・ω・)「ネェ、オネイサンハ、ドコニ スンデルノ?」
(*゚ー゚)「16進(90EE90)号室よ。ライトグリーンの番号よ」
「オネイサン」は虚空に黄色い円を書き、その中にさらに灰色の同心円を書き足しながら言った、
(*゚ー゚)「ねぇショボン君、お腹すいたでしょ。ボーリング行かない?」
空中の円に照らされながら、ショボンは
(*・ω・)「・・・イク」
と答えた。
.
71
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 12:02:10 ID:WjHstzGc0
.
******
アパートとは言うものの、腎臓荘の中にはボーリング場、銭湯、米屋、棺屋、腎臓荘など
ひと通りのものは揃っている。
(全ては10万人の反逆市民の怒りの労働の結実だ)
やがて二人は歩いて15分のボーリング場に着いた。
(*゚ー゚)「なかなかの賑わいね」
カンコロコローン
誰もいなかった。
カンコロコローン
ただただ、ピンを跳ね飛ばす音がこだましていた。
ひたすらこだましていた。
もう何十年も掲げられてすすけた垂れ幕には、
「中 施 実 時 随 会 大 グ ン リ ー ボ 大」
とある。
.
72
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 12:09:44 ID:WjHstzGc0
.
(*゚ー゚)「今日のおかずをゲットよ」
そう言いながら、自分の手にあった玉を品定めする。
どうやら優勝者にはコロッケ3枚が贈呈されるらしい。
そして文字通り青い炎を背後に揺らめかせながら、ボールを放つ。
ボールは100万マイル彼方の燃える彗星となって
花散る夜
も木枯らし吹く朝
も出産時の血みどろのような夕方
も飛び越えて
亜空間レーンをひた走る。
果たせるかな、ピンは7色の花びらとなって散った。
(*゚ー゚)「やった、文明よ!」
(*・ω・)「キャッキャッ」
二人が手を叩き合って喜んでいると、後ろから薄紫のムードが立ち込めて来た。
.
73
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 12:12:38 ID:WjHstzGc0
.
(*゚ー゚)?
(´・_ゝ・`)「やぁ」
ムードの主は鼻筋通った青年であった。
唇の薄い美青年であった。
(´・_ゝ・`)「こんばんは」
(*゚ー゚)「あれ、こんなとこで会うなんて全く文明ね」
(*・ω・)「オネイサン、ダーレ、コノヒト」
(*゚ー゚)「『眠る世界から立ち上が』った人よ」
(´・_ゝ・`)「・・・そんなことより」
(*゚ー゚)「深刻そうな顔して、どしたの?」
.
74
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 12:18:32 ID:WjHstzGc0
.
(´・_ゝ・`)「よく聞くんだ。
『大審問官は膝を打った』らしい」
(*゚Д゚)「え、・・・嘘でしょ・・・」
(´・_ゝ・`)「残念ながら、嘘じゃない。
つまりは・・・『朝に飲むコーヒーカップがテーブルに置かれる音がする時』
までなんだ」
(* Д )「そんな・・・そんな・・・」
(´・_ゝ・`)「怒り狂った司法書士が『地殻のネジをこじ開けるドライバー』を探し回っている。
君たちも巻き添えを食うだろう」
(*・ω・)「オネイサン、コロッケサメチャウヨ」
「オネイサン」は顔色を失った。
やがて血の通わなくなった手で幼体ショボンの顔をスカートに押し付けた。
.
75
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 12:21:38 ID:WjHstzGc0
.
青年は向き直って、両腕を「オネイサン」の腕にかけながら言った。
(´・_ゝ・`)「いいか、逃れるための手段はひとつ」
(´・_ゝ・`)「コマンドを覚えるんだ。今から言うから、復唱するんだ」
(´・_ゝ・`)「ジュマ、・・・さあ」
(*゚A゚)「ジュマ」
(´・_ゝ・`)「スパイントス」
(*゚A゚)「スパイントス」
(´・_ゝ・`)「キャマラオン」
(*゚A゚)「キャマラオン」
.
76
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 12:23:38 ID:WjHstzGc0
.
(´・_ゝ・`)「このコマンドの言わんとしていることは」
(´・_ゝ・`)「全世界のクロック数を下げ」
(´・_ゝ・`)「割り込み制御での中断を除き」
(´・_ゝ・`)「スリープす
.
77
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 12:28:42 ID:WjHstzGc0
る」
.
78
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 13:21:08 ID:/g/bQ1vc0
こいつは文明だ
79
:
名も無きAAのようです
:2013/01/14(月) 17:46:29 ID:E.d3pMKk0
文明だぜぇ…
80
:
名も無きAAのようです
:2013/01/19(土) 12:49:28 ID:sagat8V60
文明だぜ
81
:
名も無きAAのようです
:2013/01/19(土) 22:28:45 ID:m5NtFW.c0
文明すぎだ…
82
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 21:47:39 ID:e7V4I9tM0
.
(* Д )
(* ω )
(*゜Д )
(* ω・)
(*゜Д゜)
(*・ω・)
(´゜_ゝ゜`)「ちっ・・・失敗だったか」
(*゚ー;)ハッ
.
83
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 21:50:51 ID:2HmkOQUA0
きたか
84
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:00:41 ID:e7V4I9tM0
.
(´゜_ゝ゜`)「このまま時間凝固させて・・・お前らを大審問官様の食卓に供しようと思ったのに」
(´゜_ゝ゜`)「
>>78
、
>>79
、
>>80
、
>>81
の邪魔が入って台無しだ」
(*゚ー;)「あ・・・あなた・・・私達を・・・」
(´゜_ゝ゜`)「・・・気付くのが遅いな・・・共感覚の持ち主ともあろうものが」
(*゚ー;)「う・・・裏切り者・・・!」
(´゜_ゝ゜`)「おお、大審問官様、大変申し訳有りませんでした。
件についての弁明は、後日、司法書士を通して
お送りいたします」
(´゜_ゝ゜`)「はて・・・生贄をご所望ですか・・・そうですか・・・」
(´゜_ゝ゜`)「それも読者の・・・生贄ですか・・・」
(´゜_ゝ゜`)m9「おい、そこのタブレットでこのスレを見ているお前」
.
85
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:02:02 ID:uj6Fufp20
(ネットブックでスレを見てる俺のことではないよな…)
86
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:02:48 ID:EQb25i/M0
(スマホの俺ではないな)
87
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:02:56 ID:5V/OnSlY0
(PCだなんて言えない)
88
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:05:03 ID:vctIk7U20
(俺だ……)
89
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:08:23 ID:ZFfLJPo.O
(俺は携帯からだから俺でもないな)
90
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:14:21 ID:e7V4I9tM0
.
(´゜_ゝ゜`)「そうだ、
>>88
、お前のことだ、
もはやお前はどこにも行けない、
このスレの中に、生贄として、化石のごとく
埋め込まれるがいい!」
(´゜_ゝ゜`)「タブレットは持って行くが良い、
>>7
に埋め込まれよ!!!!!」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1356769946/7
7 :名も無きAAのようです [↓] :2012/12/29(土) 18:00:02 ID:Kj41X5BI0 (7/7) [PC]
.
なおドライバーは複雑な手続きを経ずにすぐに入手できた。
入り口に立ったドクオの足元に放り投げられたのだ。
タブレットで顔を隠しながら去っていったその男の素性なんて、知れたもんじゃない。
ドライバーを手にとってドク・・・・・・・・・・
(*゚ー;)「ああっ・・・
>>88
さんが
>>7
に・・・・!」
.
91
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:25:23 ID:5V/OnSlY0
まさかの展開!
>>88
の冥福を祈る
92
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:35:08 ID:e7V4I9tM0
.
(´゜_ゝ゜`)「無論、こんな事で大審問官様の胃袋は満たされはしない」
(´゜_ゝ゜`)「さらにゆでイカをご所望だ」
(´゜_ゝ゜`)「ゆえに」
青年はゆっくりと頭を上げた。
(*゚ー;)?
天井に面した太平洋には今、排他的経済水域を避けて航行するタンカーがあった。
青年が指を鳴らすと、重力が逆転し、
大量の石油をまき散らしながらタンカーが降ってきた!
それはボーリング場の床に落ちた!
ピカッ
(((((*゚ ゜;)))))「ウワァァァァl!!!!」(((((;・ ・)))))
ドッグワァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
たちまちあたりは火の海に包まれた。
.
93
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:42:49 ID:e7V4I9tM0
.
(´゜_ゝ゜`)「フワハハハハハハハハ、フワフワハ」
(´゜_ゝ゜;;; ; ;: .::;;; ;;; ; :: : :: ::: ; ; . . .. ,, , ,
,,,..
青年は燃え盛る炎の中で哄笑しながらひとつまみのススとなった。
(*゚ー;)「ショボン君、逃げるよ!(*・ω・)『アイ』」
「オネイサン」は幼体ショボンを抱きかかえるようにしてボーリング場を後にした。
******
二人は逃げまくる。腎臓荘の繁華街、大リンパ通りをひた走った。
だが魚屋の前で幼体ショボンは副腎ホルモンに躓いてしま(*・ω・)「ッ」た。
ズザァァァァ(*・ω・)ァァァァ
店の親父が声をかけてきた(そこの魚は臭いことで有名であった)。
(´・ω・`)「へいらっしゃい」
魚屋のおやじはちらと軒先に身を巡らし、
(´・ω・`)「おや」
(´・ω・`)「燃えるような夕焼けだ、いつかみたいな」
とつぶやいた。
94
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:52:49 ID:e7V4I9tM0
.
火の手はいよいよ伸びてくる。
(*゚ー;)「一体どこへ逃げたらいいの・・・?」
(*゚ー;)「そうだ、もう一度腎臓荘の中に逃げ込めば・・・!」
腎臓荘の中にも腎臓荘がある(海の中にも川があるのと一緒だ)。
外延と内包の境界を知らぬ二人は、また再び腎臓荘の中に再帰的に逃げ込んだ。
だが火の手は延々と二人を追うのであった。
幼体ショボンは手を引っ張られながらふと上を見た。
(*・ω・)「アレ?」
(*・ω・)「シロイモノガ・・・ウカンデクル」
.
95
:
名も無きAAのようです
:2013/01/24(木) 22:59:50 ID:dp.98LtA0
そうだな海の中にも川はあるな
96
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 00:13:45 ID:2fEnV1R.0
.
腎臓荘の燃え盛る熱で、天井越しの太平洋は沸騰していた。
高温で煮立つ海中から、ぬらりと、ダイオウイカが浮かんで来た。
(*゚ー;)「ああっ・・・!」
大審問官の巨大な箸が横から伸び、ダイオウイカをつまんだ。
次から次へとイカは茹で上がっていき、そのたびに大審問官の巨大な箸が横から伸びた。
ついに太平洋中のダイオウイカは食いつくされてしまった!
(*゚ー;)「なんてことに・・・!」
(*゚ー;)「ああっ」
その光景に気を取られている間に炎は、上から、横から二人を取り囲んだ。
゚((゚´ω`゚))゚。「オネイサン、アツイヨウ」
ついに壁を前にして二人は行き場を失った。
.
97
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 00:30:18 ID:2fEnV1R.0
.
(* - )「・・・ショボン君、お姉さんもうここでだめ」
(* - )「その代わりあなたは逃げて」
(* - )「色召喚するから・・・」
(* - )「黒色の走者を」
(* - )「黒なら」
(* - )「今・・・作れるもの・・・」
そう言い残して「オネイサン」は炎の魔手に自ら身を託した。
火は渦をなすように「オネイサン」の体を巻き込んだ。
(*;ω;)゚。「オネイサーン」
炎の中で黒ずみとなっていく「オネイサン」は、
最後の力を振り絞り、自らの黒色である者を召喚させようとしたのだった。
゚((゚´ω`゚))゚。「オネイサーン!!!!!!」
.
98
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 00:37:49 ID:0qQq19Sw0
オネイサーン!!!
99
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 00:49:36 ID:2fEnV1R.0
.
゚((゚´ω`゚))゚。「オネイサーン!!!!!!」
その時だ。
(*;ω;)「ウグッ・・・オネイサーン・・・ウグッ」
泣きじゃくる幼体ショボンは、ふうわりと誰かに抱き上げられたような心地がした。
(*;ω;)「アレ?」
気がつくと、高速で駆け抜けている。
(*;ω;)「ホノオガ・・・ヨケテク」
あまりの高速に、行く手の炎がまるでモーセの水の如く別れていく。
自分を抱く胸元の服装は白く、手は真っ黒だった。
「オネイサン」によって召喚された走者が、幼体ショボンを抱きかかえて走っていたのだ。
猛スピードで。
.
100
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 01:14:11 ID:2fEnV1R.0
幼体ショボンは自分を抱きかかえて走る者の顔を仰ぎ見た。
(*;ω;)「・・・・・・」
(::゜e゜)エッサホイサノ サノホイサ
手と同様に黒々とした顔。厚ぼったい唇。巨大な体躯。
召喚された黒色の走者とは、X大学のエチオピア留学生、アディスアベバ・ジョーンズだった
(マラソン特待生として招待されたジョーンズは、その後帰化し、
戦中の学徒出陣により旧軍唯一の黒人兵士となったのであった)。
エチオピア留学生は、
速度をまし、
加速度をまし、
加加速度をまし、
加加加速度をまし、
加加加加速度をまし、
加加加加加速度をまし、
加加加加加加速度をまし、
加加加加加加加速度をまし、
加加加加加加加加速度をまし、
カロカロカロカロカロカロカロカロカロカロカロえ束度をましたため
(後はひたすら微分方程式を解いていけば良い)、
ビッグバンの膨張加速度をはるかに超えて、時間の流れをすら周回遅れにしてしまった。
.
101
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 01:40:29 ID:2fEnV1R.0
時空のトラックの上で、はるか後方にいる「時」を西部アムハラ語で嘲りながら
アディスアベバ・ジョーンズは疾駆していく。
そしてグラウンドの上の季節は何重にも渦を巻き、何万回目かの桜散る春を迎えた。
(::゜e゜)「おやとっと夏だぜ」
孤独な勝者は立ち止まり(それには走る以上の歳月が必要だった)、
幼体ショボンを地に置いた。時の風のなかで幼体ショボンの涙は乾き、ワジとなっていた。
(*・ω・)
巨躯なるアディスアベバ・ジョーンズは、上下白ランに軍刀をぶら下げた学生将校スタイルで
幼体ショボンに対峙している。
(::゜e゜)
(*・ω・)「・・・」
彼は歌い出した。
(::゜e゜)「・・・みやこのー・・・」
(::゜e゜)「ほくーせー・・・」
(::゜e゜)「い!」
「い」の音が正規音よりも五♭度高く歌われたその瞬間、
アディスアベバ・ジョーンズは突如白ランの胸を開き、漆黒よりも黒い肌をあらわにした。
((゜ω゜))「ウワアアアアアアアアアアン」
その闇の中にまっすぐ頭から幼体ショボンは吸い込まれていった。
●
.
102
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 02:02:43 ID:2fEnV1R.0
黒人の長いトンネルを抜けるとそこは雪国であった。
粉砂糖のような温かい初雪の上に、ショボンは目を回していた。
(´。ω゜`)
それから、長い眠りからさめたようにショボンは目を開けた。
(´・ω・`)そ ハッ
(´・ω・`)「おね・・・え・・・さん・・・?」
(´゜ω゜`)「あれ・・・え・・・」
(´゜ω゜`)「え・・・」
もはや彼は半角ではしゃべることができず、「オネイサン」とも言えなくなっていた。
幼体ではなくなっていたのだ!
手足は伸び、真っ赤なほっぺはアバタ面に変わり、大学の編入手続きも済んでしまっていた。
余りにも時を隔てて走ったために、彼の少年時代はざっくりと削られてしまったのだ。
おお、哀れなるショボン!
(´゜ω゜`)
頭上に降り注ぐ真っ白な雪を彼の悲しみに例えるのはあまりに陳腐といえば陳腐だが、
(´゜ω゜`)
今はそうせざるを得ないであろう・・・
(´゜ω゜`)
そして彼は失われた極彩色の少年時代を取り戻すために色彩の悪魔となり、かつ黒人を憎むようになった。
ここまでが変色家ショボンの個人史である。
103
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 02:17:11 ID:2fEnV1R.0
.
******
さてDoubleMotherこと2重母は、
J( ゜ー ゜ー゜#)し
女に失望し、仕事に失望し、司法書士試験をおっぽり投げて引きこもっている
ドクオに業を煮やしていた。
大審問官や司法書士によって注がれる冷たい眼差しも2重母のいらだちの一因となった。
そのいらだちによりユーフラテスの水温は平均10度ほど上がり、
生態系は大きく狂い、幾つもの文明が死産となった。
J( ゜ー ゜ー゜#)し(今日こそ引きずりだしてやるんだから)
しかし扉を強く叩いても何をしても、ドクオは頑としてアパートのドアを開けないのであった。
一度こじ開けて中に強行突入した時など、予め開け放っておいた社会の窓から逃げ出してしまった。
.
104
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 02:29:47 ID:2fEnV1R.0
.
J( ゜ー ゜ー゜#)し(正攻法では通用しないということね)
壮麗な宮殿の中で、このスレで捕らえた
>>64
>>68
>>83
>>85
>>86
>>87
>>89
>>95
>>98
の
男たちの組体操の長椅子の上で
ものうげに足を組み替えながら、
2重母は一計を案じた。
やがて、
J( ゜ー ゜ー゜#)し「みてらっしゃい」
そうつぶやくと、
>>53
でアラビア半島ごと買い占めた油田へと向かった。
.
105
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 02:37:57 ID:2fEnV1R.0
.
J( 'ー 'ー`)し(ドクオや)
明朝の静まり返った油田のそばに降り立ち、2重母は世界地図をポシェットから取り出した。
J( 'ー 'ー`)し(これも、お前のためだからね)
そしてそれにバルカン半島あたりから火を付け、全体に燃え広がった所で切削坑の中に投げ込んだ。
J( 'ー 'ー`)し(子を思う母の一念、油田をも焼く)
やがて油田からは地獄の釜を開けた時のような濃い煙が立ち込めた。
2重母はすべての油田で同じようにしていくのであった
(後にサダム・フセインがこの手法を模倣した)。
******
.
106
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 02:51:35 ID:2fEnV1R.0
.
さて本編の主人公であるドクオは、外界からの接触一切を拒み、季節が肌を撫でることも拒んでいた。
('A`)
それはさながら自意識の小さな海にただ一人でボートを浮かべているような図であった。
彼はそのようなイメージをよく夢に見、また幻視もしていた。
しかし。
('A`)「・・・ん・・・?」
('A`)「つ・・・冷たい・・・俺の幻覚も皮膚感覚まで操作できるようになったか・・・」
('A゜)「いや、違う、違う、これは・・・実際の水だ」
(゜A゜)「しかも海水だ!うわぁ、ぺっぺ」
('A゜;))))))「うゎあああああああああ!!」
急に大量の海水が窓から、ドアから、換気口から押し寄せた。
('A゜;))))))「お、溺れちまう!!」
水位は一旦腰のあたりで落ち着いたが、なおもジリジリと上がっていくのであった。
ドクオは机の上に、次いで洋服ダンスのうえに、次いで本棚の上に逃げ場を求めた。
なおも水位は上がっていく。
いよいよ屋根に上るしかなくなった、その時である。
(゜A゜)「・・・あっ」
ドクオは何かに気付いた。
.
107
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 02:58:31 ID:2fEnV1R.0
.
(゜A゜)「あれは・・・親父に買ってもらった・・・ファミコン」
(゜A゜)「なんだ・・・あったんだ・・・」
ファミコンは発泡スチロールの箱ごと浮き上がり、窓の外に流れていく。
箱の横には、下手くそな字で「4年2組 うつだどくお」と書かれていた。
('A`)「昔の俺の字だ」
('A`)「昔はみんな子供だったんだよな・・・当たり前だけど」
('A`)「今じゃもう・・・遅いよな」
追う暇もなくファミコンはどこぞへと流れ去ってしまった。
水位が天井近くになったので、ドクオは泳いで屋根に上がった。
.
108
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 03:07:27 ID:2fEnV1R.0
.
屋根の上は暖かく、気持ちが良かった。
実際外気には何百年も触れていない気がした。
見渡す限り、ドクオのアパートのほかは海中に没したようであった。
('A`)(大方、俺の母親が地球温暖化でも促進したんだろ)
そう思いながら、濡れた体をトタン屋根の上で乾かしていた。
ドクオは不思議な物音に気づき、あたりを見回した。
('A`)「あっ」
('A`)「蟹だ・・・」
屋根の上には難を逃れた小さな、赤い蟹がいたのである。
('A`)「おいこっち来いよ」
ドクオは手を伸ばして蟹に触れようとした。
が、蟹は横飛して海中に飛び込んでしまった。
.
109
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 03:12:42 ID:2fEnV1R.0
飛び込んだ時のボチャンという音がした後に、すぅっと柔らかい風が頬を撫でた。
('A`)
(;A;)「あ、あれ・・・」
不意に、とめどもなく、涙が出てきた。ほとばしるというのでもなく、
流れるというのでもなく、ただただ出た。ひたすら、まっすぐ。
涙が枯れた頃には彼は眠りこけていた。
しかし。
バラバラバラバラ・・・・・・
何か音がする。
バラバラバラバラ・・・・・・
ヘリの音だ。
バラバラバラバラ・・・・・・
だんだん近づいてくる。
.
110
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 03:18:06 ID:2fEnV1R.0
.
夕日を背にして飛ぶヘリが近づいてくる。
そこから顔を出して叫ぶのは、
J( 'ー 'ー`)し「ドクオー!来たわよ!」
DoubleMotherこと、2重母である。
やがてドクオの頭上まで来て空中待機した。
('A゜)「かー・・・ちゃん」
(゜A゜)「カーチャーン!!」
J( 'ー 'ー`)し「ドクオー!今縄出すからねー!」
2重母は縄を投げた。
(゜A゜)「カーチャーン!!」
.
111
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 03:27:20 ID:2fEnV1R.0
.
降ろされたその綱は、先端が半径30センチの輪になっていた。
J( 'ー 'ー`)し「さあ、それに!首をかけて!」
(゜A゜)「カーチャーン!!ありがとう!!」
( A )「俺・・・ずっと待っていたんだよ・・・本当に」
J( 'ー 'ー`)し「さあ、ドクオ、首に縄をかけて、引っ張りあげるから!」
深い安堵のため息をつきながら、ドクオは縄を首に掛けた。
('A`)「もう大丈夫だ」
J( ゜ー ゜ー゜)し「いくわよ!」
ヘリは垂直に飛び上がり、ドクオを宙吊りにする。
そして巨大な夕日に吸い込まれるように飛んでゆく。
宙吊りのドクオはまるで夢の風鈴のようにたわみながらヘリで運ばれていく。
彼は新たな死を生き、そして死に返るであろう。
こうしてすべての事物は、母なる文明の元に帰趨していくのである。
(第一部 完)
112
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 07:48:15 ID:qXrQw9jAC
実に文明だとは思わんかね、きみ
113
:
名も無きAAのようです
:2013/01/25(金) 11:03:34 ID:AEsF9tg.0
なんたる文明…
114
:
名も無きAAのようです
:2013/01/27(日) 00:38:54 ID:wqRR2mJc0
文明やでぇ・・・
115
:
◆Ai.p5y3NWQ
:2013/01/27(日) 19:52:27 ID:IeqzS1Do0
■親愛なる読者へ
やや話が込み入ってきたので、登場人物を整理しておく。
('A`)ドクオ。第一部の主人公。戦中の現秋葉原で生を受く。電気信号、すなわちインターネットミームの一種。
筆者と懇ろ。司法書士を目指し一人暮らしをしていたが、あらゆるものに失望し引きこもりの生活を送る。
その後2重母によって救われる。
J( 'ー 'ー`)しカーチャン。DoubleMotherいわゆる2重母。息子のためにはあらゆる手段を辞さず、またあらゆる
手段を行使する権限のある母性の権現。公生活と私生活の2重化を図り、千葉の内房の海から
単一母より変身を遂げた。
(´・ω・`)ショボン。ドクオの隣人。過去のトラウマから変態変色家になる。少年時代を作者の都合によりバッサリ
切られた。黒人に嫉妬し、嫌悪の情を抱くが、自己変色の能力を手に入れてコンプレックスが解消さる。
変態は変わらず。
(-@∀@)旭。アナキスト(無政府主義者)。逮捕歴あり。ショボンと合流し、一時政府抹消に成功するも反動に遭い
頓挫。行方不明。
(*゚ー゚) 「オネイサン」。幼体ショボンの恩人。燃え盛る我が身から、アディスアベバ・ジョーンズを召喚しショボンの命を
助けた。焼死。
(´・_ゝ・`)「青年」。「オネイサン」と旧知の仲。「眠る世界から立ち上が」ったが、大審問官に寝返り、腎臓荘を焼く。
(::゜e゜)アディズアベバ・ジョーンズ。X大学のエチオピア人留学生。その後帰化、旧軍唯一の黒人兵となる。
超速度の加速性能を持ち、時をも置き去りにするという、CERN垂涎の生ける実験物理装置。
116
:
◆Ai.p5y3NWQ
:2013/01/27(日) 20:00:07 ID:IeqzS1Do0
顔(AA)無し登場人物
10万人の反逆市民・・・いわゆるモブ。ブーン系において顔を持たぬ、2級市民。
故に酷使され、隷属の状態にある。
司法書士・・・大審問官の腹心の部下。大審問官に取次ぎをする役目だったが、その立場故に腐敗する。
大審問官・・・作品時空をねじ曲げ、己の欲望を遂げようとするいわゆる暴君。
.
117
:
名も無きAAのようです
:2013/01/27(日) 20:11:21 ID:V9lngv/Y0
あまりに文明すぎてどういう顔をして読めばいいのかわからない
118
:
名も無きAAのようです
:2013/01/27(日) 20:14:32 ID:LONuex1I0
アヘりながら読めばいいと思うよ
119
:
名も無きAAのようです
:2013/01/27(日) 20:21:21 ID:V9lngv/Y0
>>118
の言う通りにしたらちんこが文明になった
120
:
名も無きAAのようです
:2013/01/27(日) 23:54:40 ID:eSHSNefEO
>>1
おせっかいなことかもだが
小説板のホテル・サイドニアのレス番372はみてる?
121
:
◆Ai.p5y3NWQ
:2013/01/28(月) 00:38:49 ID:qvMVaveE0
>>120
無論!
あの言葉でまた何か書こうと思った。
生存報告もこっちのスレでしたよ。
ありがとう。
122
:
名も無きAAのようです
:2013/01/29(火) 08:01:50 ID:rrKeSA460
この小説のおかげで彼女ができました!
123
:
◆Ai.p5y3NWQ
:2013/01/29(火) 09:46:49 ID:GbU0WMSA0
■親愛なる読者へ
>>117
,
>>118
「どこから読んでも理解度がさして変わらない」とどこかで言われていました。
普通の話をマラソンとすると、これは「ぶらり街歩き」です。
どこから読んでも構わないし、前を読み飛ばしてもあまり影響がありません。
好きなところを好きなように読んでください。
(ただ、街歩きにはつねに強奪・暴行・遭難・拉致・監禁などの危険を孕んでいるものです)
また、「脳がぐるぐるして変な汁が出てきた」という報告もあります。
実に、言葉でどれだけトリップできるかという実験でもあります。
その結果、脳内物質の分泌が促進され、人格及び生活への多大な変化を経験する人も
いるかも知れません。運転前、及び妊娠中の読者は気をつけてください。
(
>>119
のような性器変質、
>>122
のような精神賦活効果なども報告されています)
「人を食った」話を書きたいと思っていました。その思いの犠牲者となり、このスレで
果てた方々の事を深く偲びつつ、ご遺族の方のために、ジンバブエドルと円の両立てに
よる救済基金の積立なども考えているのです。
敬具
1998年 沼田にて
124
:
名も無きAAのようです
:2013/01/30(水) 16:33:59 ID:ZLvNZWQo0
なるほど、つまり文明なんだな
125
:
◆Ai.p5y3NWQ
:2013/02/02(土) 02:49:58 ID:TnmIGXlI0
http://i.imgur.com/1hNdsDT.jpg
素晴らしい、これぞ文明だ
シベリア図書館より転載。
126
:
名も無きAAのようです
:2013/02/02(土) 23:35:00 ID:j/NDJ/B.0
こちらの都合で絵など描かせて頂きながらお褒めに預かり恐悦至極
文明に侵蝕されつつ続篇待っております
127
:
◆Ai.p5y3NWQ
:2013/02/02(土) 23:44:30 ID:TnmIGXlI0
>>126
おお、あなたがこの素晴らしい絵の作者でござるか!
日本風サイケみたいなのをイメージしてたのでまさにこの絵の通りの世界です!
ありがとう・・・!!こいつァ、文明だぜっ・・・!
128
:
名も無きAAのようです
:2013/02/06(水) 16:31:58 ID:y1aZv5kY0
文明揚げ
129
:
名も無きAAのようです
:2013/02/06(水) 20:14:14 ID:PWwGYOyY0
>>125
シャレオツね
130
:
名も無きAAのようです
:2013/02/10(日) 23:07:16 ID:yTyOR7EU0
すでうよってなんだとおもったらようですを反対にしたものだった
131
:
名も無きAAのようです
:2013/03/01(金) 12:42:32 ID:JXAPpfpc0
まだか、文明は
132
:
1
:2013/03/06(水) 13:51:56 ID:clvpcX2M0
文明の成熟を待っている段階です
133
:
名も無きAAのようです
:2013/03/26(火) 00:10:11 ID:96siNZz20
文明はまだか
134
:
名も無きAAのようです
:2013/03/26(火) 02:33:03 ID:dJk8mniwO
文明は、今ロンドンでウォッカを飲んでる、ζ(゚ー゚*ζ←こいつと
135
:
名も無きAAのようです
:2013/06/24(月) 05:28:34 ID:wHbqzb.A0
文明よいずこ
136
:
名も無きAAのようです
:2014/01/17(金) 17:49:07 ID:P7HQgdj20
富は裏切らないね
歩く鳥は走った方が疲れる
137
:
名も無きAAのようです
:2014/05/07(水) 00:23:03 ID:HnEYBcGk0
いめんぶ
138
:
名も無きAAのようです
:2014/06/08(日) 02:07:21 ID:QmkMKg3k0
たまの世界観みたいだな
139
:
名も無きAAのようです
:2014/09/17(水) 15:39:48 ID:9MztiFhg0
文明よいずこ
140
:
名も無きAAのようです
:2015/02/13(金) 01:29:27 ID:za3naAvE0
文明!!!
141
:
名も無きAAのようです
:2015/03/05(木) 18:46:06 ID:advUsuKw0
文明まだかな
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板