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君の心に流れる星は

51 ◆azwd/t2EpE:2012/11/25(日) 23:57:13 ID:0PQlAttc0
 それから、体調が悪いと言って研究所を抜けた。
 嘘ではない。ずっと前から、もう永くないことは分かっていたのだ。
 
 外出許可を貰って友人の医者に診てもらうたび、入院を勧められたが、断固として拒否していた。
 あんな研究所で閉じ込められているツンを、助け出したい一心だった。
 
 だが、研究所を抜ける直前に知ってしまう。
 ツンが毎日打っている注射は、命を繋いでいるもので、それがなければ明日の命は保障できないのだと。
 
 ツンに対して、嘘はつきたくなかった。
 いや、つけなかった。ツンは賢い。嘘をつけば、すぐに見抜かれる。
 だから、注射のことについても全て、真実を伝えた。
 
 それでもいい、とツンは言った。
 
 内藤の命は永くないということもツンには伝えていたのだ。
 それなら、自分も一緒に。ツンは、そう考えていた。
 
 だめだ、と最初は言った。
 死ぬのは自分だけでいい、ツンを巻き込みたくはない、と。
 
 それでもツンは絶対に譲らなかった。
 結局のところ、ツンが紙に書いてしまえば、内藤さえも抗えないのだ。
 ツンの望みを阻害することなど、できるはずがなかった。
 
 二人で、覚悟を決めた。
 ともに旅立とうと。
 
 最後に、流星を見て。
 
ξ゚⊿゚)ξ「あれが、星だよね?」
 
 クルマの窓から、ツンは空を見上げていた。
 暗闇に撒かれた光の粒のような、小さな星々が煌いている。
 だいぶ山に近づいてきていた。
 
 急勾配の山道を駆け上がっていく。
 しばらく進むと、小さな公園があり、その脇に展望台があった。
 幸いにも、誰もいなかった。


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