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君の心に流れる星は

36 ◆azwd/t2EpE:2012/11/25(日) 23:29:53 ID:0PQlAttc0
 香椎が中学生の頃、いじめにあっている同級生の男の子に対し、何もできなかった。
 助けることはもちろん、声をかけることさえも。
 それが当時から、悔しくてしょうがなかった。
 
 話を聞いてあげるだけでも、彼の救いになれたかもしれない。
 その一歩を踏み出す勇気が自分にあれば、と香椎は何度も悔やんだ。
 
 そうすれば彼は、自殺せずに済んだかもしれない、と。
 
 だからこそ、子供の助けになれる道を選んだ。
 話を聞くことで、僅かでも救いになれたら、と願って。
 児童カウンセラーとして生きていくことを決めたのだ。
 
 ツン自身は、現状に苦しんではいない。
 だが決して、人間らしい幸福があるとも思えない。
 
 そんなツンを、本当は、助け出さなければならないのではないか。
 
 この部屋で一人になるたび、そう考えるようになっていた。
 
(;゚ -゚)(でも)
 
 不可能に近いことだ。
 ツンは常に監視されており、会話も聞かれている。
 外の世界を知らないツンに、外の世界を教えることさえできないのだ。
 
 仮に外の世界について教えられたとしても、『外に出たい』と書かせることはできない。
 書く内容も常に監視されており、もしおかしなことを書けば即座に催眠ガスが噴き出すという。
 
 それに――――以前、ショボンから聞かされた、もうひとつの要素も絡んでくる。
 
(´・ω・`)「ツンの健康は現在、研究所内で製薬された安定剤によって保たれている」
 
(´・ω・`)「もし一日でもそれを欠かせば、ツンは二日と生きられないだろうね」
 
 二日前、ショボンはそう言っていた。
 つまり、外に逃げ出したとしても、僅か一日の命なのだ。
 
 助け出したい、と思う。
 しかし現状では、どうにもならない。


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