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君の心に流れる星は

35 ◆azwd/t2EpE:2012/11/25(日) 23:28:24 ID:0PQlAttc0
 ただ、他の絵は一度描いたきりで放置しているツンが、何故内藤の絵だけを何度も加筆したがるのか。
 疑問だったが、わざわざツンに理由を聞くほどのことでもないように思えた。
 些細な引っかかりだった。
 
 それからツンは二十分ほど、細かい線を絵に追加していた。
 子供の絵とは思えないほど上手く描かれていることは間違いない。
 これ以上の線を追加する必要などあるのだろうか、と思うほどだ。
 
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとうございました」
 
 満足したのか、ツンが鉛筆を返してきた。
 部屋にいたのは三十分ほどだが、今日の仕事はこれで終わりだ。
 リフトを使って、ツンの部屋から退出する。
 
 ツンの部屋を出たあとは真っ直ぐショボンの部屋に向かい、仕事について報告した。
 ショボンは素っ気ないが、仕事ぶりには満足してくれているようだ。
 
 ショボンの部屋から自室に戻ると、ニットのワンピースからTシャツとショートパンツに着替えた。
 一度部屋に入ると、もう他人に会うことはないためだ。
 仕事は僅か一時間程度。あとの時間は自由に過ごせる。
 
 部屋にはテレビとパソコンがある。
 希望すればゲーム機やDVDなども貸してくれるというが、さほど興味はなかった。
 今のところは、ほとんどパソコンだけで時間を潰せている。
 
 ショボンからは何も言われていないが、恐らくネットワークは監視されているだろう。
 例えばブログでおかしなことを呟こうとすれば、その通信はカットされるはずだ。
 それくらいは推測できた。
 
 結局パソコンではニュースや動画などを見るくらいしかできない。
 それでも時間を潰せるだけマシだった。
 テレビを見る習慣は以前からあまりない。
 
 しかし、それら以上に、空白の時間を埋めるのは、思考だった。
 
 ここに来て五日が経つ。
 生活には随分慣れ、ツンの境遇に対する違和感も、なくなってきてしまっている。
 
 だが、本当にいいのだろうか。
 このまま、ただショボンの言うことに従い、ツンに話を書かせていて、いいのだろうか。


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