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( ^ω^)時計の国とラノベ祭のようです
1
:
名も無きAAのようです
:2012/11/21(水) 18:51:20 ID:ksyKNxfAO
ラノベ祭参加作品
全部の絵を使うつもり
挿し絵的な使い方になるので、申し訳ないが希望タイトルや希望ジャンルは大体無視する形になりそう
一回使った絵をまた別のシーンで使ったりするかもしれない
長くなりそうので4つか5つくらいに分ける
267
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 18:48:32 ID:TW803YTwO
从 ゚∀从「……その携帯が、これだ」
言って、ハインリッヒはゲーム機を顔の前へ掲げた。
よく見てみると、表面に小さな傷が付いていたり、塗装が一部薄くなっていたりして、
たしかに真新しさは感じられなかった。
('A`)「なるほど、自分の携帯をゲーム機に作り替えたのか」
从 ゚∀从「そうだよ……中身ごっそり入れ換えて、ゲームとして使えるように改造して、
やっと成功したのが3ヵ月前……」
从 ;∀从「──そんな思い出たっぷりのゲーム、壊して堪るかぁああ!!」
鬼、悪魔、と罵られる。
ドクオは頬を掻き、困り顔でツンを一瞥した。
ξ゚⊿゚)ξ「……ていうか、こんな状況になってる時点でもう『壊れてる』んじゃ……」
从 ;∀从「ち、違うもん! ちょっと調子悪いだけだもん!!」
('A`)「いいから貸せって、このままにもしておけねえだろ」
从 ;∀从「やだー!!」
(;'A`)「……」
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
──どうしろと。
# # #
268
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 18:49:31 ID:TW803YTwO
広場の片隅。
騒動に巻き込まれたのか、店主のいない酒売り場。
川 ^ -^)「見ぃいー付ーけたあー」
川;д川 ビクッ
( ^ω^)「お前の方がおばけみたいだお、クー」
そこに、「おばけ」は隠れていた。
クールが売り場の台を越え、女の前に降り立つ。
抱えられたままだったブーンが、ようやく下ろされた。
女はびくびくと震えていたが、逃げはしなかった。
完全にクールに怯えている。
269
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 18:50:48 ID:TW803YTwO
川 ゚ -゚)「よう、痴女。こんなところに逃げてどうしようっていうんだ?」
川;д川「う、ううう……」
( ^ω^)「クー。お前、好みの女の子いじめて楽しんでるだけだろうお」
川 ゚ -゚)「バレたか」
嘆息し、ブーンは小さい拳でクールの頭を叩いた。
クールはこの女に対して怒りや憎しみを持っているわけではない。
からかい、少し追い詰めて、その反応を楽しんでいるだけだ。
川 ゚ -゚)「すまんすまん、話で聞いていたより普通の子だったから、つい」
( ^ω^)「まあ、たしかに昨日ほど恐くはないお」
川;д川 ビクビク
270
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 18:52:12 ID:TW803YTwO
( ^ω^)「……お嬢さん、ちょっと僕とお話ししないかお?」
女は震えるばかりで答えない。
さて、どうしたものか。
困り果てたブーンは、ふと、デレから渡された紙のことを思い出した。
広げてみる。
( ^ω^)「──お」
今朝、ドクオに見せてもらった例の「絵」と同じだった。
ワカッテマスが受け取るとか言っていたが、結局渡されなかったらしい。
絵を眺めていると、女が反応を見せた。
描かれている男性を凝視している。
( ^ω^)「この絵、右側が変に白いおね」
川 ゚ -゚)「ああ、そこには本来、女性が描かれているんだ」
( ^ω^)「女の人が?」
ならば何故、それが消えているのか──
ブーンが首を傾げると、クールは一瞬だけ得意気に笑んだ。
271
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 18:53:41 ID:TW803YTwO
川 ゚ -゚)「そりゃそうだろう、女はこっちにいるんだから」
クールが目の前で震える女を指差す。
そういうものか、とブーンが呟く。
そういうものなんだろ、とクールが返した。
川 ゚ -゚)「画集に載ってたこの絵には、彼女にそっくりな女が描かれていたぞ」
( ^ω^)「なるほど」
つまり、この女は絵の中から飛び出してきた存在であるわけだ。
有り得ない、とは思わない。
そういう段階はとうに過ぎているだろう。
何より彼女は、絵の男性に、明らかに興味を示している。
272
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 18:56:47 ID:TW803YTwO
川 ゚ -゚)「『幸せになるようです』──この絵のタイトルだ」
( ^ω^)「幸せに……」
川 ゚ -゚)「作者はニューソクの絵本作家でな。
ただの一枚絵にも、何かしらの物語を詰め込むのが好きだったらしい。
この絵も例外ではない」
川 ゚ -゚)「夜にしか活動出来ない『おばけ』──この絵の女だな、
彼女は、夜明けにおばけの世界へ帰りそびれてしまい、
困っていたところを人間の男に助けられる。
昼でも真っ暗な森の中へ連れていってもらったんだ」
川 ゚ -゚)「まあ、惚れるな。当然のように」
( ^ω^)「ラブストーリーだお」
ブーン達の前にいる女は、クールの話を聞き顔を上げた。
思いがけない場所で馴染みのあるものに触れたような──そんな表情。
川 ゚ -゚)「何やかんやあって2人は結ばれ、『おばけ』は人間となり、幸せになる……というわけだ」
( ^ω^)「何故おばけが人間になれるんだお」
川 ゚ -゚)「言ったろ、作者は絵本作家だ。愛さえあれば大概どうにでもなるもんさ」
ブーンは頷きながら絵を下ろした。
はっとしたように、女がブーンの右手を握った。
ひどく冷たい。
273
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 18:58:37 ID:TW803YTwO
川д川「……私のこと、好き……?」
昨夜と同じ質問。
声からは困惑が感じ取れた。
昨夜、この問い掛けに素直に答えたらとんでもないことになったのだった。
それをふまえて。
ブーンは、真剣な面持ちと声音で答えた。
( ^ω^)「だから僕、10歳以上は興味ないって」
川 ゚ -゚)「お前のブレないところ結構好きだぞ」
やはりそこは、どうしても譲れなかった。
274
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:01:21 ID:TW803YTwO
川д川
( ^ω^)
川д川「……ころす……」
そしてやっぱり、こうなった。
女の手に力が篭る。
ブーンの右手が軋んだ。
川#д川「殺す! 殺す! 殺す!!」
クールが動く。が、ブーンは左手でクールを制した。
それからすぐに、先の絵を女に突きつける。
力が一瞬和らいだ隙に、彼女の手から自身の右手を抜き取った。
( ^ω^)「おばけさん、よく見るお。
この絵からは君がいなくなってるお。そりゃそうだおね、君は今ここにいるんだから」
川#д川「……」
( ^ω^)「でも、男の人は絵の中に残ったまま。これも当然だお。
彼は彼であって、僕ではないんだから」
そりゃあ多少は似ているけれど、と付け足す。
再び、女の空気に戸惑いが混じった。
275
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:02:32 ID:TW803YTwO
( ^ω^)「君のことを愛して、幸せにしてくれるのは、僕ではないお。
この絵の中にいる、彼なんだお」
女の目が、絵とブーンを行き来する。
往復するごとに、敵意は弱まっていった。
彼女は少々強引で怒りやすいところがあるが、それ以外は、普通の乙女なのだ。
川д川「……」
( ^ω^)「どうして絵の中から出てきてしまったのかは分からないけど、
君がここにいるのは間違いなんだお。
このままここにいても、僕が君を好きになることはないし、幸せにもしてあげられない」
完全に大人しくなったと判断したようで、クールが警戒を解いた。
女の視線は、絵に固定されて、止まった。
276
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:03:36 ID:TW803YTwO
( ^ω^)「──元の場所にお戻り。そしたら、きっと幸せになれるお」
それが最後。
瞬きした直後には、もう、目の前に誰もいなかった。
.
277
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:05:09 ID:TW803YTwO
ブーンとクールが視線を合わせる。
ブーンが絵を自分の方へ引っくり返すと、
2人は自然と並んで、絵を見下ろした。
川 ゚ -゚)「うん。画集に載ってた通りになった」
絵には、2人の男女が描かれている。
頬を染める女。
にこやかに手を振る男。
題名通り、これから彼らに幸福が訪れそうな、温かい絵だった。
【
http://buntsundo.web.fc2.com/ranobe_2012/illust/144.jpg
】
# # #
278
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:08:19 ID:TW803YTwO
从 ;∀从「絶対やだあ、絶対壊させてやんねえからな……」
ハインリッヒはまだ粘っていた。
ドクオとツンがどれだけ説得しても、全く効果がない。
ξ゚⊿゚)ξ「このままじゃ騒ぎが大きくなってくだけだわ……」
ドクオの腹の底で、苛立ちが湧く。
早く何とかしないと、姉者からサインをもらえないではないか。とか。
息を吐き出し、ハインリッヒの肩を叩いた。
('A`)「……あんた、ゲームとガラケー、どっちが大事なんだ」
ぴくんとハインリッヒの肩が揺れた。
涙と鼻水で汚れた顔を持ち上げ、ドクオを見る。
从 ;∀从「どっちって……」
279
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:09:45 ID:TW803YTwO
('A`)「ガラケーそのものが好きだってんなら、携帯会社に勤めりゃいい。
でもゲーム会社に入って、自分の大事な携帯いじくり回してでもゲーム作ったってことは、
そっちだってかなり好きなんだろ?」
从 ;∀从「あ、当たり前だろっ! でなきゃ何年も開発に命かけねえよ!」
('A`)「その大好きなゲームが今、人様に迷惑かけてんだ。
早く何とかしねえと、せっかく作った新作ゲームだってお蔵入りになっちまうぞ」
从 ;∀从「……」
これはだいぶ効いたようだ。
ハインリッヒの抵抗が収まり、でも、とか、だって、とかいう弱々しい言葉のみが落ちるようになった。
それでもまだ決心がつかぬらしく、ゲーム機を抱き締めたまま
涙の滲む瞳でドクオ達を睨みつけてくる。
280
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:12:03 ID:TW803YTwO
──どれほどの間、そうしていたか。
突然、ハインリッヒの表情が緩んだ。
視線の先にツンがいる。
从 ;∀从「……あんた、昼に第5保育園にいたな」
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ、わ、私? たしかにいたけど……」
反時計症。
ぽつりと呟いたハインリッヒは、逡巡の後、言った。
从 ;∀从「……反時計症について色々教えてくれるなら、ゲーム、渡す」
ξ;゚⊿゚)ξ「え?」
从 ;∀从「次回作のために反時計症を調べたいんだが、患者には直接訊きづらい……。
──あんたらが教えてくれるなら、代わりに、私も……このゲーム機、あんたらに渡す」
ドクオはツンを見下ろした。
ツンもドクオを見上げる。
互いに、同じ顔をしていただろう。
「それぐらいのことでいいのか」、と。
281
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:13:10 ID:TW803YTwO
ツンはハインリッヒの片手をとり、ぎゅっと両手で握った。
ξ゚⊿゚)ξ「もちろん協力するわ。このドクオも反時計症だし、
何だって訊いてちょうだい。私達も何だって答えるから」
从 ;∀从
途端。
从 ゚∀从
ハインリッヒの目から涙が引っ込み、
从*゚∀从
薄暗いなかでも分かるほど顔色が明るくなり、
从*^∀从
実に嬉しそうな笑みへと表情が変わった。
282
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:14:38 ID:TW803YTwO
从*゚∀从「やった! やった! 約束な! はい好きにしていいぞ!」
(;'A`)「えっ!? お、おう!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃっ」
ハインリッヒはゲーム機をドクオに投げつけると
ツンを抱え、ステージ上をくるくる回り始めた。
ドクオもツンも、唖然とするしかなかった。
从*^∀从「うっひひひ! 何か急に新しい構想が浮かんできたぞ!!
やべえよ絶対面白いゲームになる!!」クルクル
ξ;゙⊿゙)ξ「ま、まわる、め、まわる、」
283
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:16:54 ID:TW803YTwO
(;'A`)「お、おい……いいのか、ゲーム機バラして」
从*^∀从「粉々にするんじゃないなら、好きにしろってば!
やっぱ過去の思い出にしがみついてねえで、前を向かねえとな!
開発に何年も注ぎ込んだんだ、ゲームが世に出なくなるよか、よっぽどマシさ!」
ドクオは脱力した。
何だそれは、必死に説得した20分間を返せと叫びたかった。
なんなら放り投げて家に帰って寝たかった。
が、ここまで来て放るわけにもいかない。
ハインリッヒから工具を借りて、まずはゲーム機を引っくり返し、
開けられる場所を探した。
下部のカバーが簡単に外せそうだった。
ドクオは話でしか知らないが、「ガラケー」は大体ここにバッテリーがあるという。
ただ、これは既に携帯電話からゲーム機へと変わってしまっている。
中にあるのはバッテリーではなく、ゲームに必要な部品ばかりだろう。
284
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:18:09 ID:TW803YTwO
慎重にカバーを外す。
さあここからが本番だ──と意気込んだドクオ、だったが。
(;'A`)「あ?」
予想外の光景があった。
(;'A`)「また、紙だ……」
一瞬、カバーが二重になっているのかと思った。
違う。
折り畳まれた紙が、ぽんと置かれていたのだ。
285
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:20:45 ID:TW803YTwO
昨夜、時計塔の機械室でのことが脳裏を過ぎる。
あのときも時計の内部に紙──絵──が挟まっていて。
それが、時計の動きを邪魔していた。
ゲーム機から紙を取り出す。
ぱっと見、各部品に異常はない。
ドクオはカバーを閉め直した。
ハインリッヒを呼び、ゲーム機を手渡す。
いくつかボタンを押したかと思えば、彼女がわっと声をあげた。
从*゚∀从「──おお! 動く! 直った! すげえなあんた!!」
ひとしきりはしゃいだハインリッヒは、マイクを握ると
ゲーム機が直った旨を伝え、1人ずつホログラムを解除していった。
広場に歓声が広がる。
ほとんどの人は、ドクオの手柄であるとは知らないだろう。
いや、手柄と呼べるかすら怪しい。
ドクオがやったことは、開けて、取って、閉めただけだ。
286
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:24:26 ID:TW803YTwO
ξ;-⊿゚)ξ「──早かったのね」
ハインリッヒの回転で目を回したらしきツンが、ふらつきながらドクオのもとへ来て、言った。
ドクオは今あったことを丸ごと隠さず話し、回収した紙を見せた。
ツンが紙を広げる。
ξ゚⊿゚)ξ「……絵だわ」
('A`)「やっぱりか」
紙には、得体の知れぬ生き物と、少女の姿があった。
4つの耳と角の生えた頭、全てを拒絶するように顔を手で覆う、何者か。
その生き物に果実を差し出す少女。
どこか寂しげな絵。
ξ;゚⊿゚)ξ「『嘘のバケモノ』……」
ツンが目を丸くする。
彼女の発言は、ドクオには理解が及ばない。
287
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:28:18 ID:TW803YTwO
('A`)「何だそれ?」
ξ゚⊿゚)ξ「絵のタイトル。クーが見てた画集に載ってた。
あんたが昨日取った絵があるでしょ、あれの隣のページでこの絵が紹介されてたの」
ξ゚⊿゚)ξ「突如化け物になってしまった人間と、
目が見えないがために、彼を普通の人間と思い優しく接する少女の絵──」
('A`)「……聞き覚えあんな、その話」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ……何年か前に流石一座が演じた話よ。
あれを描いた絵なの」
ξ゚⊿゚)ξ「だから、『化け物』のモデルは兄者で、少女は妹者ちゃん。
舞台の人気も相俟って、かなり売れたのよね、この絵」
【
http://buntsundo.web.fc2.com/ranobe_2012/illust/200.jpg
】
288
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:29:24 ID:TW803YTwO
唸り、ドクオは頭を掻いた。
「突如化け物に」。
今回の騒ぎとほぼ一緒だ。
ホログラムという「偽物」ではあるが、多くの人がいきなり化け物の姿に変えられてしまった。
昨夜と今夜。
どちらも、事件に「絵」が関わっている。
もしかしたら。
明日もまた、何かが。
騒ぎが収束していく広場を見遣り、ツンとドクオは眉根を寄せた。
# # #
289
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:31:38 ID:TW803YTwO
( <●><●>)「……」
手を見下ろし、ワカッテマスは元通りになったのを確認した。
広場にいる人々も、次々に人間の姿へ戻っていく。
ステージ上ではハインリッヒが何度も頭を下げていた。
携帯電話が鳴る。ビロードからだった。
『無事に帰れたんです、ぽぽちゃんも特に何もなかったみたいでした!
ワカッテマス君、ありがとうございました!』
( <●><●>)「なら良かったです。……祭の間は、あまり不用意に出歩かない方がいいと思います。
あなたも今朝の号外を見たでしょう、変わらず祭が続行されるとはいっても──
何者かが、何かしらの企みをしているようですし」
『でも、ワカッテマス君が警備してくれてるんだから、きっと大丈夫なんです!』
(;<●><●>)「あのねえビロード──」
『ワカッテマス君がいるってだけで、僕もぽぽちゃんも、安心出来るんですよ』
( <●><●>)「、……」
290
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:34:47 ID:TW803YTwO
『あ、でも頑張りすぎるのも駄目ですよ。
それじゃあワカッテマス君、おやすみなさい』
おやすみなさいと返すと、通話が切れた。
ワカッテマスは携帯電話をポケットにしまい、振り返る。
胸中に渦巻くのは、焦り、苛立ち、──罪悪感。
(;<●><●>)「……くそっ!」
言い慣れない、乱暴な呟きを漏らす。
(;<●><●>)「昨日といい今日といい──『予定』と大分違うじゃありませんか。
誰がこんな騒ぎにしろと言ったんです!
本来の目的から外れてしまってるじゃないか、……畜生!」
どこへともつかぬ悪態を小声でつき、広場の中を進む。
ステージの上、ツンが絵を見下ろしているのに気付き、ワカッテマスは舌打ちした。
# # #
291
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:36:50 ID:TW803YTwO
(,,゚Д゚)「おお、今日もあいつが何とかしたか。良かった良かった」
ホログラムが解除されていく人々と、ステージ上のドクオ達を眺め
ギコは満足そうに頷いた。
何が直接の原因だったかは知らないが、昨日に引き続き、無事に解決したようだ。
ζ(゚ー゚;ζ「良かったあ……。あ、私、ツンちゃん達のとこ行ってきます」
(,,゚Д゚)「おう」
デレが小走りで戻っていく。
酔っ払いとぶつかっているのを見て、ギコは呆れ気味に笑った。
──さすがに、今夜の酒盛りはもう終了だろう。
あと少しで見回りを交代する時間だったので、自分も一杯引っ掛けたかったのだが。
致し方あるまい。
292
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:38:18 ID:TW803YTwO
怪我人が出なかったか確かめるため、人混みの中を進んでいく。
屋台の並びが途切れたところの、ごみ捨て場。
そこに若い女性が倒れていた。
(;,゚Д゚)「あ……おい! あんた、大丈夫か!?」
(;* ー )「う……ん……」
女性の肩が、かたかたと震えている。
薄着一枚。これでは、ひどく寒かろう。
ギコは上着を脱ぎ、彼女に着せてやった。
いくらか暖まったのか、ほう、と息をつく。
(;* ー )「すみません……着の身着のままで病院から抜け出したもので、
寒さと空腹にやられてしまって……」
(;,゚Д゚)「病院? あんた病人か? 何だってこんなとこに──」
女性が身を起こす。
そこで初めて、ギコは彼女の顔をはっきり視認した。
293
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:40:01 ID:TW803YTwO
(,,゚Д゚)(……天使……)
もちろん比喩である。
その瞬間のギコの目に映った彼女は、儚くて美しくて──
つまりは天使と見紛うほどには、彼の好みのタイプだった。
【
http://buntsundo.web.fc2.com/ranobe_2012/illust/121.jpg
】
(;*゚ー゚)「あ……あのっ、女の子を見ませんでしたか!?
傷だらけの子……!」
女性がギコの手を握り、詰め寄る。
近い。天使が近い。
手のひらの柔らかさと温かさ、顔にかかる吐息にばかり意識が行って、彼女の声はあまり耳に入らなかった。
294
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:40:53 ID:TW803YTwO
(;*゚ー゚)「私と同じ病院にいたんですけど、昨夜の騒ぎのときにいなくなっちゃって──
その子を探すために病院を抜けてきたんです!
でぃちゃんっていう子、知りませんか!?」
# # #
295
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:43:08 ID:TW803YTwO
シナーは目を覚ました。
真っ暗な倉庫の中、携帯電話のライトがちかちか光っている。
不在着信の知らせ。
履歴を見ると、ニダーから何度か電話があった。
かけ直す。
3コールで相手が出た。
( `ハ´)「遅い」
『3コールで文句言われるニダ!?
あと何回かけても電話出なかった奴に言われたくないニダ!』
( `ハ´)「何の用アル」
『や、広場が騒ぎになってたからシナーは大丈夫かと──だいぶ前に治まったみたいだけど。
そういえば、寝床は見付けたニカ?』
( `ハ´)「いいとこを見付けたアルヨ」
『それは良か──』
実のある話は期待できそうにない。
通話を切った。
296
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:45:54 ID:TW803YTwO
ふと、でぃのことを思い出した。
ランプを手繰り寄せ、スイッチを入れる。
彼女が繋がれている柱へ、僅かに光が届いた。
(#゚;;-゚)、
( `ハ´)「……あー……」
大きくなっていた。
十代半ばか、そこら辺。
携帯電話で時間を確認すると、日付が変わって数分経っていた。
毛布を被っている。どことなく照れ臭そうだ。
そういえばセーター一枚しか身につけていなかったな、と思い返し、シナーは溜め息をついた。
夜が明けたら、何か適当な服を買ってこなければ。
# # #
297
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:50:45 ID:TW803YTwO
ここまで
読んでくれた人、まとめのブンツンドーさん、ありがとうございました
新たなラノベ祭が始まって、この話が完全に記憶から消え去りそうな危機を感じたので投下した次第
全部書き終わってから投下したいんだけど、
一度に二つのことが出来ないらしく、別の現行を書きつつこっちも、っていう風にやろうとすると
結果、どっちもノロノロ遅くなってしまう
なので、ちょこちょこと少しずつでも書けた分だけ投下していくべきか、
やっぱり書き溜め終わってから投下するべきか、もうちょっと考えてみます
とにかく大事なことなので何度でも言うけど、必ず完結はさせる
年内に終わればいいや、ぐらいの緩さで待っていてほしい
298
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:53:23 ID:TW803YTwO
前回使った絵
No.4,9,27,39,46,56,68,83,108,111,116,125,143,168
今回使った絵
No.18
No.30
No.34
No.72
No.89
No.90
No.114
No.117
No.120
No.121
No.123
No.124
No.138
No.144
No.154
No.192
No.200
No.34に貞子らしきキャラがいるんですけどAA指定されてないのをいいことに、勝手にくるうにしてます。すいません
299
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:55:32 ID:TW803YTwO
・現段階で判明している反時計症患者
( ^ω^)
('A`)
ξ゚⊿゚)ξ
ζ(゚ー゚*ζ
川 ゚ -゚)
( ´_ゝ`)
l从・∀・ノ!リ人
(´<_` )
川 ゚ 々゚)
ミセ*゚ー゚)リ
(゚、゚トソン
_
( ゚∀゚)
lw´‐ _‐ノv
(#゚;;-゚)
(゚A゚* )
300
:
訂正
:2014/03/13(木) 19:57:19 ID:TW803YTwO
・現段階で判明している反時計症患者
( ^ω^)
('A`)
ξ゚?听)ξ
ζ(゚ー゚*ζ
川 ゚ -゚)
( ´_ゝ`)
l从・∀・ノ!リ人
(´<_` )
川 ゚ 々゚)
( ´∀`)
ミセ*゚ー゚)リ
(゚、゚トソン
_
( ゚∀゚)
lw´‐ _‐ノv
(#゚;;-゚)
(゚A゚* )
301
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 19:59:06 ID:TW803YTwO
・現段階で判明している国籍
西の国「ソウサク」
( ^ω^)('A`)ξ゚?听)ξ川 ゚ -゚)ζ(゚ー゚*ζ ツンちゃんお悩み相談室
( ´_ゝ`)(´<_` )∬´_ゝ`)l从・∀・ノ!リ人(´<_` )@#_、_@ 彡⌒ミ 流石一座
川 ゚ 々゚)( ´∀`)|゚ノ ^∀^) 王家関連
(´・ω・`) 呑み処「庶煩」店主 (゚A゚* ) 飲食店の店主
(`・ω・´)o川*゚ー゚)o( ・∀・) 保育園職員
ミセ*゚ー゚)リ(゚、゚トソン 画家と助手
( <●><●>) 祭の警備責任者
_
( ゚∀゚)(#゚;;-゚)lw´‐ _‐ノv( ><)(*‘ω‘ *) その他一般人
東の国「ニューソク」
( ^ν^)<ヽ`∀´>( `ハ´) 誘拐計画をあれやこれや
/ ゚、。 / ソウサクに移って保育園職員に
*(‘‘)* 一般人
南の国「ヴィップ」
(‘_L’)(,,゚Д゚) 警備の人
从 ゚∀从 ゲーム会社「ユトリ」社員
北の国「シタラバニア」
('、`*川
302
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 20:01:28 ID:TW803YTwO
あーツンの文字化けが……あー……
とりあえず以上です
303
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 20:12:05 ID:DKMT/RJ60
乙乙
304
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 21:21:56 ID:ix9Or1mMO
今気づいた、まさかの続き来てた今から読む
305
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 23:34:40 ID:.3YLnwEc0
乙
ずっと待ってたぞ
306
:
名も無きAAのようです
:2014/03/13(木) 23:46:49 ID:p5CkgOLU0
乙 完結楽しみにしてる
307
:
名も無きAAのようです
:2014/03/14(金) 00:11:06 ID:/M1XpnUsC
あらすじ忘れてしまってたから一から読んだよ
続き乙
308
:
名も無きAAのようです
:2014/03/14(金) 07:09:39 ID:X0RLuvUY0
おつ!
待ってた 嬉しい
309
:
名も無きAAのようです
:2014/03/14(金) 10:35:16 ID:cjTXllOo0
帰ってきたのか!すばらしい!!
310
:
名も無きAAのようです
:2014/03/14(金) 23:06:46 ID:wHTC6LUs0
続き待ってるよ
311
:
名も無きAAのようです
:2014/03/16(日) 00:25:13 ID:efTuJG6E0
これでまだ31枚とか気が遠くなるな
312
:
名も無きAAのようです
:2015/10/30(金) 22:52:40 ID:sb2A23960
マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チン チン
スレ立ってから、もうすぐ3年経っちゃうけど逃亡しないんだよね?
あと2、3回は投下あるんだよね?
ttp://imepic.jp/20151030/777590 ※擬人化
ttp://imepic.jp/20151030/778480
※まとめさんへ この絵は2つともまとめないでください
313
:
◆c9sFVHJv2E
:2015/11/04(水) 08:14:58 ID:4vQv2.2I0
>>312
ありがとうございます!!!!!
ペニサス綺麗だし相関図もすごい。ブーンの説明が身も蓋もなさすぎて吹いた
本当にありがとうございます、相関図ほんと超便利
このスレを覚えてくれてる(さらに絵まで描いてくれる)人がいるなんて思ってなかったから本気で感動している
話の流れは大体決まってるので後は書くだけなんですが
他の現行とか短編とかを優先してしまって、こっちはちょっとずつしか書き進められてません
勿論いずれ完結はさせます。いつになるかは断言できないけれど。必ず。せめて来年には
スレが沈んだままこの絵が流れてしまうのはあまりに勿体ないので、迷惑かもですが一旦ageさせてください。すみません
書き溜め頑張ります
314
:
名も無きAAのようです
:2015/11/04(水) 11:52:20 ID:j2jXbkq60
うォおお!待ってる!頑張って!
315
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名も無きAAのようです
:2015/11/04(水) 16:42:37 ID:K1hHQ/II0
ファイト!
316
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名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 00:47:31 ID:Q5WPnUus0
楽しみに続き待ってるよ!
317
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名も無きAAのようです
:2015/11/12(木) 22:40:20 ID:2w78AFtc0
2013年からブーン系離れてたから1話しか読めてなくて、逃亡か残念と思ってたんだけど
まさか続きが来てたなんて、しかも未だに完結させる意気込みを持ってくれているなんて感動だ
スレがあがってるの今日気づいて1話から一気に読んだけど、やっぱりすごく面白いし沢山の人物がわちゃわちゃしてて楽しい
あと自分の絵使われてて滅茶苦茶嬉しかった!ほんとに、続き楽しみにしてるから頑張ってください
318
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名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 15:35:33 ID:0capchw20
201枚のイラストを使って一つの物語が上手く構成されてるのがすごい
絵と年齢や世界観を合わせる為の、反時計症や流石一座の設定も面白くて良いな
続き楽しみwktk
319
:
名も無きAAのようです
:2015/11/14(土) 23:41:10 ID:U4U0Hv/g0
がんばれ
すごいがんばれ
320
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名も無きAAのようです
:2016/11/21(月) 20:15:51 ID:5arVgwh60
スレ立ってからまるっと4年経った記念カキコ
待ってます
321
:
名も無きAAのようです
:2016/11/25(金) 00:38:42 ID:wdBeA/Lg0
なにこれ面白い。待ってます
322
:
名も無きAAのようです
:2018/03/23(金) 04:21:18 ID:JsFOYiPk0
まだまってるぞ・・・ずっと待ってるぞ・・・
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