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人間の証明をするようです
1
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 19:51:46 ID:mmEe6jmg0
なんやかんやでさやえんどうスプラッシュ
12
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:04:20 ID:mmEe6jmg0
ミ,,゚Д(#彡「いががががが……え、何これ、後からじわりじわりと痛い……」
( ФωФ)「俺的必殺、問答無用拳なのである」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ、とか描き文字を背負っている。
もう一度言おう、人から貰った、否与えていただいた物を粗末にするなという話である。
ミ,,゚Д(#彡「……御免なさい」
( ФωФ)「宜しい。三日以内にどら焼きと人形焼と今川焼きと滞納してる家賃を払えば許す、です」
ミ,,゚Д゚彡「宜しいんだかよろしくないんだか!」
滞納している時点でよろしくないのだが、はいはいと受け流す辺り、杉浦も人の子。
この無礼で頭の悪い年上の青年が中々に気に入っているのだった。
学生時代、あまり宜しくない目つきとガタイのお陰で友達の出来なかったかわいそうな男なのである。
その点、フサギコはそんな杉浦にも臆さない馬鹿さを発揮してくれる貴重な人材でもあった。
13
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:05:16 ID:mmEe6jmg0
そんなどうでも良い話はさておき。
新しい入居者は、結論から言って、女の子ではなかった。
杉浦やフサギコよりいくらか年上であろう青年がにこにこと人好きしそうな笑みを浮かべて、挨拶の品を手渡してくる。
( ^ω^)「内藤ホライゾンと申しますお。大よそ宜しくお願いします」
( ФωФ)「いえいえ此方こそ概ね宜しくお願うのである。わたしは大家の杉浦ロマネスクです。若輩ものですがこれからも頑張って生きたいと思います」
( ^ω^)「頑張って下さいお」
深深、深深と礼をしあって、取り合えずと杉浦の部屋に通す。炬燵では既にフサギコがテレビを見てみかんを喰らっていた。
うぜぇと杉浦は思った。
四角い炬燵の一辺を内藤に薦めて、自分も残った一辺を占拠する。
14
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:06:33 ID:mmEe6jmg0
入居にあたって、義務的に行わなければならない諸々を終えて、改めて新しい入居者を観察する。
遠慮がちに炬燵で正座している内藤は、中々好青年のように見えるし、年のころも遠くない。
年下の杉浦を馬鹿にしたような態度も、おびえるような態度も見受けられないし、上手くやっていけそうだ、と杉浦は内心で一息ついた。
杉浦は頭こそ悪いが、人を見る目だけはそれなりにあると自負している。
( ФωФ)「こらミセリ、その蜜柑幾つ目であるか。一日五個以上食べると手まっきっきになるぞ」
ミセ*゚ -゚)リ「三つ目だもん」
( ФωФ)「嘘吐け。さっきまでに三つ食べて朝二つ食べてたくせに」
ミセ*゚ -゚)リ「……ちぇ」
( ФωФ)「おかきでも食べてなさい。後フさん、この黄粉棒は全て我輩のである」
ミ,,゚Д゚彡「あうち」
部屋のすまっこで蜜柑を剥こうとしていたミセリを嗜め、炬燵の上のお菓子にのばされたフサの手を払う。
其れらを不可解そうな目で見ている内藤を見て、ああ、紹介遅れました、と杉浦は居住まいを正した。
( ФωФ)「すっかり忘れてたですよ」
( ^ω^)「おっ、すみませんお」
( ФωФ)「いえいえ。こっちの何かふさふさしてるのは、住民その一のフさんなのである」
15
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:07:47 ID:mmEe6jmg0
ほらフさん、挨拶せぇ、と促す。
ミ,,゚Д゚彡「そぉいうのいいよぉ、苦手なんだよぉ」
うぜぇ、とまた思った。
( ФωФ)「こらっ、そんなんでどうするのっである。ちゃんとご挨拶しなさいっ」
ミ,,゚Д゚彡「うっせぇなぁ、分かってるよぉ。今やろうと思ったのに。もーやる気なくなった。もーやる気なくなった」
( ФωФ)「このばかっ」
取り合えず殴ってみた。
適当な拳は正確に、そして静かにフサの右頬骨辺りを貫く。フサは自分の陥った状況を把握出来ないまま、畳に側頭部を打ち付けた。
言葉で無理なら暴力に訴えるのも厭わないのが杉浦という男だった。
ちょっとどうかと思う方向もある。どうでも良い。
ミ,,゚Д゚彡「痛っ!」
( ФωФ)「挨拶しないなら追い出すだけですが?」
描き文字こそ背負っていないが、殺気十分である。
16
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:08:58 ID:mmEe6jmg0
(;^ω^)「おっお、大家さん、そんな挨拶くらいで殴らなくても、僕はいいですお?」
( ФωФ)「良くないです。そういった甘やかしでこのふさんが最終的に辛い思いをする羽目になるやも知れんですよ。それを考えるならば今強制すべきなのである」
(;^ω^)「そ、そうですかお」
めらめらと瞳に炎を燃やす杉浦に、内藤はちょっと引いていた。
そう、この目は一介の大家をしている未成年の目ではない。
修羅にも通ずる、冷ややかかつ刃物のような重みを持った目には青い静かな、然し高温度の炎が宿っている。触れては、火傷どころではすまない。
猛々しく、かつしなやかに、そして慈愛と気高さを含んだそれは、どんな人間も下に下る他無い、壮大でいて強大でいて、そして暖かな、
母の怒りである。
杉浦の愛の鉄拳がフサギコに下り、殆どヒットポイントが赤に成り果てたフサギコが内藤に挨拶を済ませると、杉浦はようやく腰を落ち着けた。
17
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:10:07 ID:mmEe6jmg0
( ФωФ)「三階の一号室に住んでるのがシューさんという女性の方で、ちょっと変わってるが我慢すれば慣れるであろう」
( ^ω^)「おっ、分かったお」
( ФωФ)「で、その下に住んでるのは兄者さんと言って、内藤さんのお隣であるが……まぁゴキブリ退治の時なんかに呼ぶと良いです」
( ^ω^)「ふむふむ。お? 三階は一人しか住んでないのかお?」
( ФωФ)「そうですね。空き部屋なんである」
( ^ω^)「おっおー」
( ФωФ)「で、このふさんが一階の二号室、一号室には朝日さんっていう人が住んでいるのである……まぁ、顔は追々覚えていけばいいでしょう。
我輩は大体この離れにいますから、なんぞあったら何なり言って欲しいである」
( ^ω^)「おっおっ、じゃあ、」
ざぁあ、と窓の外から雨音が響く。平屋建ての離れにその音は良く通った。
何となく天井を見上げながら、杉浦は洗濯物を取り込んでおいて良かったとか思った。
首をかしげた内藤が、炬燵に入らずに部屋の隅で縮こまるミセリを指差す。
( ^ω^)「その、女の子は」
( ФωФ)「ミセリである」
( ^ω^)「お……?」
( ФωФ)「先週? くらいから家に住むことになった……なんていえばいいのか」
18
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:11:50 ID:mmEe6jmg0
( ^ω^)?
( ФωФ)「我輩もなんか良くわからんですが、取り合えず、我輩の妹かなんかだと思っておくと良いですよ」
( ^ω^)「お、ん。分かったお。宜しく、ミセリちゃん」
ミセ*゚ -゚)リ「どうも宜しくお願いします」
( ^ω^)「おーん」
わざわざに炬燵から出て、ミセリに向かって手を差し伸べる。
小さな手で其れに応えたミセリは、おずおずと内藤の顔を見上げた。
ミセ*゚ -゚)リ「あの、私のお家、知りませんか?」
( ^ω^)「……おー?」
かくん、と首を傾げて内藤は杉浦を見遣る。
その視線に軽く答えながら、杉浦は自分とミセリの出会いについて思いを馳せていた。
( ФωФ)「……」
回想に入る。
19
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:13:58 ID:mmEe6jmg0
〃∩ ∧_∧
⊂⌒( ・ω・) ←回想に入るよのAAを勤める佐々木カラマロス大佐
`ヽ_っ⌒/⌒c (自給830円)
lw´‐ _‐ノv「杉浦くん杉浦くん」
素直シュールが訪ねてきた時、杉浦は溜まりに溜まった一週間分の洗濯物を取り込んでいた。
ハンガーを外す手を止め、杉浦がシュールの方を見ると、シュールはにらにらと笑いながら傍らに立った少女の肩を引き寄せる。
シュールの脇腹に肩を押し付けた少女は、少しだけ怪訝そうな顔をしてシュールを見上げた。
lw´‐ _‐ノv「杉浦くん杉浦くん」
( ФωФ)「何ですか」
lw´‐ _‐ノv「拾ったんだけど、如何しよう」
( ФωФ)「何をであるか?」
にらにらと笑っていたシュールは、引き寄せていた少女を指さす。
20
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:15:14 ID:mmEe6jmg0
lw´‐ _‐ノv「おんなのこ、だ!」
( ФωФ)「だ」
lw´‐ _‐ノv「だー」
沈黙の精が横切った。
( ФωФ)「……だから、何ですか?」
lw´‐ _‐ノv「いや特に何も。どうしようか」
( ФωФ)「知らんですよ」
又して沈黙の精が場を横切った。少女は何とも言い難い切迫した表情で杉浦を見上げた。
ほのかに赤い頬に、何処かざっくばらんとしたショートカットが映える。
怯えているのか、杉浦が注視するとぎこちない動きでシュールの服にひっついた。
子供に好かれない青年である。
21
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:16:51 ID:mmEe6jmg0
軽くショックを受けながら、しゃがみこんで視線を合わせる。確かポケットにお菓子が、と服を探った。
目つきも悪いし体もでかいしで子供におびえられるのにはなれている。お菓子で釣る作戦だ。
( ФωФ)「お菓子、食べるか?」
ミセ*゚ -゚)リ「……うん」
( ФωФ)「ほれ、磯部麻紀だ」
lw´‐ _‐ノv「磯部巻き」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
少女はなんとも微妙な顔をした。
lw´‐ _‐ノv「私にもくれ、磯部巻き。かつ上がらせてくれ。此処めっさ寒い。そしてお茶も淹れてくれ。この際ほうじ茶でも構わない」
( ФωФ)「おおおう、どんだけ横暴やねんあんた……。まぁいいです、どぞ」
lw´‐ _‐ノv「きゃっほーうい」
ミセ*゚ -゚)リ「……、おじゃまします」
杉浦が廊下の先を指し示すと、シュールはさっさかと少女を引き連れて居間の方まで行ってしまう。
完全に間取りを把握されていることに嘆くべきか数瞬迷ってから、杉浦はお茶を用意しに台所へ向かった。
22
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:20:10 ID:mmEe6jmg0
四人分の湯呑みを用意し、急須とともに盆に乗せる。
今晩は寒くなりそうだし、湯たんぽでも引っ張り出してくるかとか考えつつ居間に向かった。
がらー、と硝子障子を開くと、ストーブの熱が杉浦の顔を煽る。
シュールと先客がカバディの構えを取っていた。少女は非常に胡散臭いものを見る目でそんな二人を見ている。
あ、ちょっと仲良くなれそう、と少女と自分の価値観の重なりが嬉しくなった杉浦である。
( ФωФ)「お茶ですよー」
(-@∀@)「おっ、お茶かい? ありがたいね」
野暮ったい眼鏡をかけている男性がカバディの構えを解き、持っていたペンを放り投げる。
一階一号室の住人、小説家という胡散臭い商売で生計を立てている朝日だった。
そういや何でこの人俺の家でさも当然のように仕事してんだと杉浦は思う。
因みに投げたペンはシュールに直撃した。
が、少女が「あ゛」と悲鳴をあげただけで誰もそれについては触れない。
( ФωФ)「いえいえ、執筆ははかどってますか?」
(-@∀@)「いや、何か初っぱなから挫けそうだね! もうやだ!」
男性は爽やか爽快な笑みを浮かべ、びったんと床に寝そべった。
凄い挫けっぷりだった。
だめだこいつ。
23
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:21:28 ID:mmEe6jmg0
( ФωФ)「まぁ、ふるってくださいである……お茶此処置いときますよ」
(-@∀@)「うんー」
シュールはこたつに広げられた原稿用紙をちらりと見やり、髪に引っかかったペンを朝日の眼鏡と顔の隙間に差し込む。
なにやら小難しい内容の広がるそれは、杉浦には理解が出来ない。
本屋で朝日の本を見つけても全力でスルーすることしか杉浦には出来ないのだった。
lw´‐ _‐ノv「所で文壇界の明日を担う大型作家、通称『筆者の正義』こと朝日さんよ」
(-@∀@)「なんだねー」
lw´‐ _‐ノv「ちいさい女の子は好きですか」
ごろん、と朝日の隣に寝転がりながらシュールが口の端を釣り上げる。
端正な顔が完全にセクハラ親父の表情になっているのはとてもあれだった。
(-@∀@)「僕は綺麗なお姉さんが好きだね。年下は可愛らしいが、好みじゃない」
lw´‐ _‐ノv「すんすんすーん、いぇすんすんすーん」
(-@∀@)「聞いちゃいねぇなこの娘」
lw´‐ _‐ノv「いや聞いてるけっどー」
うわーもーニートになりたいなぁああ、と床をごろごろしだす朝日。
その隣でひきこもりになりたいなぁああ、と床に寝転ぶシュール。
24
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:22:12 ID:mmEe6jmg0
どうでもいいけど人の家でなんでこんなにくつろいでんだこいつら、と杉浦は思いながらストーブの前に腰を下ろす。
少女が部屋の端でこじんまりとしていたので寒かろうと炬燵を進めてみた。
ミセ*゚ -゚)リ「いいっ」
( ФωФ)「あ、そうですか……」
全力で断られ、ちょっとしょんぼりする杉浦だった。
lw´‐ _‐ノv「それでさ」
( ФωФ)そ「にゃっ」
気がつくとシュールの顔が目の前にあった。
(-@∀@)「なんだか可愛い悲鳴だったけど突っ込みは不可かな……」
杉浦は悲鳴をあげて後退りしかけるが、背後がストーブなのを思い出し、踏みとどまる。
シュールは何時もの朴訥とした笑みで杉浦の目を覗き込んだ。
後ろで朝日が少女にお茶を手渡しているのが見える。
25
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:23:09 ID:mmEe6jmg0
lw´‐ _‐ノv「真剣なお話、あの娘を預かる事にしました」
( ФωФ)「は……いやいやいやいや、預かることに『しました』って何ですか。そんな犬猫じゃ――」
(-@∀@)「あっはっはっは、ミセリちゃんって言うんだ? 僕は朝日って言います、宜しくね」
ミセ*゚ -゚)リ「うん」
(-@∀@)「ミセリちゃんは幾つなんだい?」
ミセ*゚ -゚)リ「七歳」
(-@∀@)「七歳か、僕で言ったら厨二病真っ盛りだった時期だなぁ。懐かしい懐かしい。
正義の為にっていじめっ子ぶち殺したりしたなぁ」
何か主人公置いてサブが幼女と親密度を上げている。
( ФωФ)「ねぇんですから」
lw´‐ _‐ノv「それに着いては回想する権利をくれたまへ」
回想の中で回想をするという荒業が此処に始まる!
26
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:24:29 ID:mmEe6jmg0
〃∩ ∧_∧
⊂⌒( ・ω・) ←また回想が始まりますよというAAも務める佐々木カラマロス大佐
`ヽ_っ⌒/⌒c (自給830円)
私が仕事、あいや夜じゃない方な、仕事帰りに商店街でふらふらしていたらだね、幼女が!
よ、う、じょ、が! ふらふらっと歩いて! そして転んだんだ!
(なんでこいつこんなテンション高いの……)
(さぁ……)
ミセ*゚ -゚)リ「にぎゃっ」
lw´‐ _‐ノv「あら、大丈夫?」
私はもちろん賺さず声をかけたね!
勿論ファーストインプレッションは大事だ! 優雅な! かつ優美な女性の声音で!
ミセ*゚ -゚)リ「だ、大丈夫」
lw´‐ _‐ノv「あらあらお洋服も汚れちゃって……」
しかし私はその時気づいた!
少女の半ズボンから覗く細く華奢な膝小僧から、じんわりと血が滲んでいる事に!
27
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:25:16 ID:mmEe6jmg0
lw´‐ _‐ノv「うわ、血っ! 血だぁああああああ!!」
ミセ*゚Д゚)リ「血?! えっ?! うわほんとだ、血だぁあああああ!!」
(’e’)「あれ、佐々木さん所のミセリちゃんじゃないか、引っ越したんじゃ無かったのかうわっ血だぁああああああ!!」
(何こいつら)
(知らんがな)
lw´‐ _‐ノv「血だぁぁああああ!!」
ミセ*゚Д゚)リ「血だぁぁああああ!!」
(’e’)「血だぁぁああああ!!」
lw´‐ _‐ノv「血だぁあああああああっあああああああぁぁぁああっ!!」
ミセ*゚Д゚)リ「血だぁあああぁぁぁああああぁあっ! 死んじゃうぅうううううっ!!」
(’e’)「幼女の血だぁあああああああぁぁぁっあああ舐めてえぇえええええ!!」
偶然通りかかった男性も交え、約一分間シャウトし続けた結果、私たち三人の間には確かな結束が芽生えていた!
28
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:26:05 ID:mmEe6jmg0
lw´‐ _‐ノv「……ぜぇぜぇ」
ミセ*゚Д゚)リ「ぜ、ぜ、はっ、ごふっ」
(’e’)「ごえぇぇぇ……」
ような気がする。
疲れてきたからその内止めた。
荒くほのかに顔を上気させちゃったりしてうっかりその辺のおっさんに劣情を向けられてはたまらないので私が息を整えていると、
隣で幼女とおっさんが会話を始めていた。どうやら知り合い同士だったらしい。
(’e’)「なぁ、ミセリちゃんだろう? 引っ越したんじゃなかったのか?」
ミセ* - )リ「それが、あの、ちょっと……」
(’e’)「うん?」
ミセ* - )リ「気がついたら、皆居なくて、……置いていかれ、ちゃっ、……」
話を聞くにどうやら引越しのどさくさで幼女は置いていかれてしまったらしいね。
まぁ洋画なんかでもよくある話だ。
ぐす、と鼻水を啜り上げる声に、きゅぴーん、と私は気づいた! フラグだ! ってね!
何のフラグかって?! 知らん!!
とりあえず賺さず声をかけようとしたが駄菓子菓子!
(だ、だがしかし?)
29
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:27:07 ID:mmEe6jmg0
lw´‐ _‐ノv「なn」
(’e’)「なんだって?! じゃあ君、家へこないか?」
lw´‐ _‐ノv「な、ナンダッテー」
私は驚愕し、そして畏怖の目で男性を見た。こいつ……目がロリコンだッ!
(しかし親が娘を置いていくと言うのには突っ込みが入らないのか)
(世の中変わったな……)
ミセ*;゚ -゚)リ「え? でも」
(*’e’)「いいんだよ、帰るお家が無くなったんだろう? おじちゃんのお家へおいでよ」
ミセ*;゚ -゚)リ「で、で、でも、」
明らかに鼻息の荒い男性に怯えたのか、少女はちらりと私に助けを求めるような視線を送った! ような気がする。
lw´‐ _‐ノv「ちょっーと待ってー、プレイバック!」
( e[#)「「げらっふぁ!」
30
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:28:20 ID:mmEe6jmg0
私の飛び足刀が男性の顔面、詰りはテンプルにめり込んだ!
こういう時の為に兄者から一通り護身の術を習って置いて良かったよ。
あいつ終始寝てたけど!
lw´‐ _‐ノv「よしお嬢ちゃん、私のお家へおいで! 家へ帰る手だてを一緒に考えてあげよう!」
ミセ*;゚ -゚)リ「ええっ?! えっ、えっ?!」
(’e’)「ああっ幼女ぉぉぉおおオオ!!」
そして手に手をとって愛の逃避行! ランデブー!
まぁ取りあえず家に帰った私は、そういえば仕事で家をあける時はどうすればいいのかと悩み、杉浦君の離れの戸をたたいたと言う訳だ。
〃∩ ∧_∧
⊂⌒( ・ω・) ←回想が終わりましたよというAAでさえも務める佐々木カラマロス大佐
`ヽ_っ⌒/⌒c (自給730円)
31
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:29:32 ID:mmEe6jmg0
( ФωФ)「ランデブーじゃねぇよ!」
lw´‐ _‐ノv「だって身寄りの無い幼女だぜ!? 『お家に帰りたい』とか言ってんだぜ?!
もう引き取るしか無いじゃん! フラグ! フラグ! おねぇさんといっしょ!」
( ФωФ)「だめな人が此処におる……」
lw´‐ _‐ノv「んでまぁ、私が仕事してる夜とか日中とか預かってて貰おうかなと思って、訪ねたんだけど、何かノリにのってしまったよ」
( ФωФ)「とは言われましても、身元のはっきりしない子を置くのは、大家としては同意しかねるんですが」
lw´‐ _‐ノv「えー、いいじゃん、新しい家の場所が分かるまで置いといてあげてよ」
(; ФωФ)「んな事言われましても……」
(-@∀@)「ミセリちゃんはお家に帰りたいんだよね」
ミセ*゚ -゚)リ「うん」
(-@∀@)「でも新しい家を知らないんだよね」
ミセ*゚ -゚)リ「……うん」
(-@∀@)「じゃあ、神様に頼んだら帰れるかもしれないな」
ゆるぅり、と杉浦を一瞥する。
瓶底眼鏡がゆっくりと電灯を反射した。
32
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:31:18 ID:mmEe6jmg0
(-@∀@)「よし、杉浦君、神様探そうか」
酷く電波だった。
二ヶ月前、この国には神様が舞い降りたらしい。
その神様を見つければ、願いを何でもかなえてくれるらしいというのだ。
が、まぁそんなことはともかく。
シューは仕事に行ってしまい、朝日は自室へと舞い戻り、少女が杉浦の部屋でぽつねんとテレビを見ていた。
何か暇つぶしになるような物でも無いかと適当に思惟を巡らせていると、何処からともなくフサギコが現れた。相も変わらず神出鬼没キャラである。
っていうか場面飛ばし過ぎだろ。ナレーションが追い付かねぇよ。
33
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:32:15 ID:mmEe6jmg0
ミセリに関して、結局、明日から神様探ししようと言うことで落ち着いた。
諸々の言い合い等は、描写がだるいので割愛。
ミ,,゚Д゚彡「神様探し? あー、最近テレビでやってるねぇ。『キーワードは変わった人』だとか特集やってたなぁ」
( ФωФ)「そうなんですか……変わった人」
色んな意味で怒られそうなワードである。
ミ,,゚Д゚彡「ん? 杉浦君神様探しするん? いいなぁ、俺も入れてよ。俺もお願い叶えて貰いたいよ」
フサギコがにらにら笑いながら肩を叩いてくるのを払いのけ、杉浦は辟易したような顔でフサギコから距離を取る。
( ФωФ)「フさんに願い事なんかあるんですか」
ミ,,゚Д゚彡「あるよ、そりゃまぁ、一杯。ああでも一つ、物凄い個人的に絶対叶えて貰えるって言うなら、」
杉浦の後ろで少女がすっ転んだ。
慌てて振り返り、杉浦が手を差し伸べる。少女は数瞬躊躇してからその手を取った。
34
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:33:43 ID:mmEe6jmg0
ミ,,゚Д゚彡「勇敢になりたいかなぁ、俺は」
ミセ*゚ -゚)リ「……ゆ、うかん?」
少女、否ミセリが呟く。かくり、と糸が切れたような動作をした。
( ФωФ)「ふさん……流石の神様も、人間を新聞紙にするのは無理かと思うですが……」
ミ;,゚Д゚彡「えええぇそんな勘違い普通するかなお前! 夕刊違うよ、勇敢! 勇気の方!」
( ФωФ)「え……? あ、ああ……? 分かった、有機栽培の会とかの……会誌的な……」
ミ;,゚Д゚彡「わかんないならわかんないと言える勇気を持とうぜ杉浦君! ね!」
杉浦は、頭が悪かった。
35
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:34:48 ID:mmEe6jmg0
〃∩ ∧_∧
⊂⌒( ・ω・) ←また回想が終わりましたよというAAでさえも務める佐々木カラマロス大佐
`ヽ_っ⌒/⌒c (自給730円)
回想、終りである。
( ФωФ)「……」
そんな風にしていると、内藤が首を傾けて杉浦を伺っているのに気付いた。
いかん放置していた、と慌てて居住まいを正す。
正すは良いが、別段もう話すことも無かった。
( ^ω^)「……テレビ見させて下さいお」
( ФωФ)「ああ、はいどうぞ」
36
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:37:07 ID:mmEe6jmg0
間が持たないので、リモコンのスイッチを押す。イィ、と電波の音を吐き出してブラウン管が色づく。
不意に内藤と杉浦が申し訳程度に足を寄せていた炬燵がもそもそと揺らぎ、その側面から
ミ,,゚Д゚彡「杉浦くーん、お茶くれー」
フサギコの頭を生やした。
( ФωФ)「金出せー」
炬燵に潜っていたからか、頬が赤くなっている。
内藤が駄目だこのひと……みたいな目で見ていた。
確かに、成人男子が炬燵から首だけ出していると言う状態は、得も言えず駄目だこいつ……って気分にさせる魔力があると思う、何か。
テレビは午後のニュースを吐き出している。
( ФωФ)「……」
とりあえず、杉浦は黙って卓上の蜜柑に手を伸ばした。
('、`*川『では次のニュースです』
37
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:38:41 ID:mmEe6jmg0
( ФωФ)「あ、内藤さん、蜜柑どうですか」
( ^ω^)「あ、いただきますお」
('、`*川『非常に残酷な事件で、専門家は……』
詰まらない女性キャスターが映っていた画面が反転して、ある顔を映し出した。
猟奇殺人の被害者だというその男性の顔から目をそむけて、杉浦は内藤を見る。
( ФωФ)「……」
( ^ω^)「……」
( ФωФ)「……内藤さん」
( ^ω^)「はい、ですお」
内藤は何と言うこと無い面持ちで頷いた。
フサギコがのそのそと炬燵から這い出る。
( ФωФ)「お茶飲みますか」
( ^ω^)「頂きますお」
[( ^ω^)]
('、`*川『被害者は、歯の治療痕からN大学に通う大学三年生の内藤ホライズンさんと見られており、』
38
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:42:06 ID:mmEe6jmg0
これにてその1終わり。
前に一回VIPに投下したのの書き直しだから見たことあるよって奴いたらドンマイ
ぶっちゃけブーン系書くのも投下するのも数年ぶりだし創作板に至っては初めてで動悸がムネムネして止まない
続きは近いうちに
39
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:42:46 ID:nCfIuWK.0
おつおつ
40
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:53:21 ID:f893GU0Y0
続き期待
41
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 20:56:52 ID:tphb00Ts0
乙
42
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 21:00:53 ID:eQ9v9vDo0
乙
面白そう期待
43
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 21:10:41 ID:lA3MHi.QO
今から読む乙
44
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 22:09:08 ID:gN.Fe71IO
おつー!
地の文味があっていいなあ面白いなあと読んでいったら、ラストでびっくりした
すげえ続きが気になりますワクテカ!
タイトルの意味も明らかになってくのかなー楽しみー
45
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 22:41:27 ID:VnzZ/IWQ0
乙
これあれだろあのドクオが※※※して※※※になるやつだろ
ネタバレになるから言わないけど
46
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 22:47:45 ID:iEyii7hc0
おつ
47
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 23:48:01 ID:a4hROKOk0
なにこれ面白そう!
続きwktkしてる
48
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 12:22:24 ID:hfkY5bpY0
おつおつ
49
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:26:21 ID:h3k2mf7Y0
おつとか期待とか有難う。ますますムドがキネキネでどうしようもない。
今回は普通にその2から投下しようと思ってたんだが
>>45
がまさかの既読者で喜びが止まらん
というわけで
『創作板って規制とかあるのか全然わかんない』
『あと空白の形式ってどうなってんの』
『
>>45
のためにもやっぱその2は一旦割愛』
他三本の心持ちを携えてその3を投稿したいと思います
50
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:27:29 ID:h3k2mf7Y0
その三
『電波を受信しました』
創世記
天地の創造
1
51
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:28:37 ID:h3k2mf7Y0
始めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。
( ^ω^)「光あれ」
こうして、光があった。神は光を見て、良しとされた。神は光と闇を分け、光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。第一の日である。
神は言われた。
( ^ω^)「水の中に大空あれ。水と水を分けよ」
神は大空を造り、大空の下と大空の下に水を分けさせられた。そのようになった。神は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日であ
る。
神は言われた
た。
( ^ω^)「腹減ったお」
52
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:29:30 ID:h3k2mf7Y0
神様は変な人らしい。そして嘘を吐かないらしい。
だから、その人に『神様ですか?』と問い、『そうですよ』と言って貰えればそれで万事解決なのだ。
そんな感じで、杉浦の部屋に集まった方々はうだうだと悩んでいた。
手当たり次第に声をかけるにはこの国には人が多すぎる。
世間一般で言う『変な人』に的を絞らなくてはならないのだ。
lw´‐ _‐ノv「変な人かー、変な人ね。変な人変な人変な人」
シューが変な人を連呼している。
変な人だ、と杉浦は思った。
lw´‐ _‐ノv「フくん、居るかい? 変な人て」
ミ,,゚Д゚彡「そっすねー、変な人変な人変な人」
lw´‐ _‐ノv「変な人ねー」
53
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:30:32 ID:h3k2mf7Y0
お前等が変な人だと言いたい。
というかフサギコのふさからとってフさんなのに其れを君にしたらお前。
変な人達が部屋に集まっているという状況に杉浦は泣きたくなった。
ちらと傍らに立っているミセリに目をやる。
ミセ*゚ -゚)o「……ふぁいと」
( ФωФ)「うん……」
この少女がアパートに来て早一週間。毎日一つ屋根の下をしていれば、流石に親密度も上がるというものだ。
ついでに時を同じくして入居した内藤青年とも殆ど同年代ということもあってか、中々に打ち解けていた。
そういう過程とかは描写するのが面倒なので地の文の権力を行使して省かせていただく。
ミ,,゚Д゚彡「変な人ぉおおおお」
!
ミ,,゚Д゚彡
変な人が唸り、唐突にぱふっと柏手を打った。
ぴっこーんとばかりに頭上で電球が光った、気がする。
そして、
54
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:31:16 ID:h3k2mf7Y0
ミ,,゚Д゚彡「そうだ! 大学行こう!」
lw´‐ _‐ノv「逃げる気か貴様」
どぐしゃ、と吹っ飛んできたテレビに潰された。
フサギコは悲鳴もあげずに床に倒れ込み、代わりと言わんばかりにテレビがけたたましい音を吐き出して床に落ちる。
ああ我輩ん家のテレビ……、と少しだけ杉浦は眉をしかめる。
一応心優しいミセリはテレビの下を覗き込んでいた。床が凹んでいないか気になったらしい。
心優しいという形容詞は破棄しよう。
ブラウン管テレビアタックをもろに食らったフサギコは、数瞬死んだゴ○ブリの如く痙攣していたが、おもむろに口を開き、
ミ,,゚Д;彡「……ごふ」
血を吐いた。
どうやら口の中を切ったようだ。
ミ,,゚Д゚彡「違うもん……大学に……大学に居る教授が変な人だから……その人がもしかしたらって……」
二十歳を超えた男が「もん」とかうぜぇと杉浦は思った。
55
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:32:58 ID:h3k2mf7Y0
( ФωФ)「はいはい泣かないである」
ミ,,゚Д゚彡「いだい……」
ふさふさの頭をわさわさと撫でてやる。
「気持ち悪いから止めて」と振り払われた。
ブラウン管テレビアタックの直撃した部分をもう一度殴った。フサギコが再度沈む。
(-@∀@)「良く投げれるねぇこんな重いブラウン管テレビ」
lw´‐ _‐ノv「そりゃあまぁ淑女の嗜みっすよ」
(-@∀@)「嫌な淑女だなぁ……」
向こうではシュールと朝日がテレビ台にテレビを直している。ふざけすぎの後の後片付けだった。
ミセリは体育座りで部屋の端っこに居る。
しかし一応ヒロインのこの幼女、やる気がないにも程があった。
(-@∀@)「しかしあれだね……大学教授が変人とは、世も末だね」
はたはた、と埃のついた手を払うと、日の光に照らされてきらきらと光った。
朝日はそう言うが、世間一般では割と変な教授って結構居る。
が、大学に行かずそれを知らない杉浦はそうですねと相槌を打った。
56
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:33:30 ID:gJr/zL3c0
支援!
57
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:34:09 ID:h3k2mf7Y0
向こうではシュールがミセリに蜜柑の皮を押し付けられてショックを受けている。
(-@∀@)「さて、で、大学に行くのかい、杉浦くん」
( ФωФ)「ん? ああ、はい。まぁ」
折角フサギコが提案してくれたのだから、と杉浦は頷く。
其処には母の日の子供が作ってくれたあまり良い出来ではないカレーライスを笑顔で頬張る母の愛があった。
うんうん、と朝日は頷く。
(-@∀@)「よし、じゃあ僕は家で寝てるから」
( ФωФ)「はい?」
ミ,,゚Д゚彡「……しかし展開早いな」
ミセ*゚ -゚)リ「……あきしょう?」
lw´‐ _‐ノv「早くフルメンバー揃えないと話が進まないんだぜ」
ミ,,゚Д゚彡「まじすか」
58
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:36:40 ID:h3k2mf7Y0
何だかあれな会話をしている方々を後目に、朝日は一旦野暮ったい眼鏡を外してしぱしぱと瞬きをした。
ふう、とアンニュイな溜息を吐いて、肩を竦める。
その視線の先には、あいも変わらず炬燵に広がる真っ白な原稿用紙ズ。
(-@∀@)「杉浦君……締め切りって言葉、知ってるかい?」
( ФωФ)「え? ああ、はい、確か朝日さんを殺しに来る諸悪の根源であろう?」
ミ,,゚Д゚彡「え?」
(-@∀@)「うん、それ、うちに来るから」
ミ,,゚Д゚彡「えぇ?! だ、騙されてる! 騙されてるぞ杉浦くん!」
(; ФωФ)「な、なんと」
(-@∀@)「僕はそいつを迎撃せねばならない! 家は必ずや僕が守る! だから君たちは行け!!」
ミ,,゚Д゚彡「駄目だこの人!!」
(; ФωФ)「ひ、一人で大丈夫なんであるか?! なんなら我輩も手伝いますよ?!」
(-@∀@)+「いや、良いんだ……奴と戦い、傷つくのは僕一人で十分なんだ……!!」
ミ,,゚Д゚彡「駄目だ! 両方とも駄目だ!!」
シュールは朝日の原稿用紙を一枚取り上げ、無駄な手際のよさでティラノサウルスを折り始めている。
角が上手く合わさらないらしく「うーんうーん」と唸る声が聞こえてくる。
駄目な大人たちを見るミセリ(幼女)の目は冷ややかであった。
59
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:37:54 ID:h3k2mf7Y0
ゆとり大学、通称ゆ大は広い敷地と歴史ある建造物を保有する、国内でも有数の大学である。
フサギコに連れられて入った教室も、広々としていて年季が篭っており、それでいて清潔な印象を持つ。
分野によっては虚勢でも無く本当に国内でもトップクラスの成績を上げていて、一応一流校で通っている。
とするとそこに通うフサギコも、実は頭が良かったりするのかなぁなどと思いながら杉浦は、
川 ゚ -゚)「死にたい」
ミ*゚Д゚彡「鬱田教授ぅぅぅううううう!!!」
川 ゚ -゚)「うざい」
ミ*゚Д゚彡「今日もお綺麗ですねああん髪の毛さらさらー! お目目ぱっちりー!」
川 ゚ -゚)「死ねばいいのに」
( ФωФ)「……」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
めっちゃ引いていた。
60
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:40:56 ID:h3k2mf7Y0
どれくらい引いていたかというと、大人のする国際規格での綱引きくらいの勢いで引いていた。
姿勢こそ棒立ちだったが、心は斜め12度の傾斜をなぞっていた。
そりでも滑れるか怪しい角度だった。
ミ*゚Д゚彡「いいじゃないですかどうせ中身は男同士なんですからぁああ」
川 ゚ -゚)「中身も外見も女だ愚か者め。死ね。爆発して死ね。四散しろ」
大学まで三十分ほど歩き、杉浦をとある教室に招き入れたフサギコは、中に居た人間を見るなり目にも止まらぬ早さで彼女に抱きついた。
因みにミセリは歩き出して二十分ほどでへたったため杉浦におぶられている。
コエロフィシスと同程度くらいしかなさそうな体重がなんとも幼女感溢れる。
ミ*゚Д(#彡「ぎゃふんっ」
( ФωФ)「うわっ」
ミ*゚Д(#彡「げぶう!」
ところで抱きつかれた女性は物凄い勢いでカウンターパンチを放った。
その反動で飛んできたフサギコをミセリを背負った杉浦は避けるわけにも行かず、突き飛ばすようにして迎撃した。
ミ* Д(#彡「ぅげふぅうっ!」
61
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:42:16 ID:h3k2mf7Y0
据え置きの机にぶつかり、ワンバウンドを経て狭い床に転がるフサギコ。
杉浦におぶられたミセリだけが病気になった野良犬を見るような目で見下ろしていた。
哀れな男である。
川 ゚ -゚)「……こいつ本当死ねばいいのに」
忌々しげにフサギコを蹴り飛ばす女性は性別の割に身長が高く、すらりとしたシルエットをしていた。
追い討ちをかけられたフサギコはもう悲鳴すら上げるHPが残っていないらしい。
死体蹴りはゲームセンターなどでも嫌がられる行為です。みなさんやめましょうね。
川 ゚ -゚)「……で、お前らは何だ?」
パーカーにジャージという、一歩間違えずとも学生にしか見えない格好の見目麗しい女性になんとも言えない気分になりながら、
杉浦は背負ったミセリが落ちないように頭を下げた。
ああ、ご丁寧にどうも、とちょっとハスキーな声が脳天にぽてんと飛んでくる。
( ФωФ)「杉浦と言うのである。こっちはミセリ。こいつの家を探す為、神様を探しているのである」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
( ФωФ)「それで、そこのフさんがあなたを神様かもしれないと言ったから、来て見たんであるよ」
川 ゚ -゚)「ふーん」
( ФωФ)「あなた、神様か? ミセリを家に帰してやってほしいんだけど」
62
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:43:01 ID:h3k2mf7Y0
言われて、女性はぱちくりと瞬いて頬を掻き、
川 ゚ -゚)「私は神様じゃない。魔法使いだ」
尊大なまでの態度でそう言った。
( ФωФ)「まほ」
ミセ*゚ -゚)リ「う?」
63
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:45:36 ID:h3k2mf7Y0
魔法使い。
随分昔に絶滅したとされる種族だった。
神様だっているこの世界だが、魔法使いというのは中々お目にかかれない。
ミセ*゚ -゚)リ「……でんぱ? ですか」
( ФωФ)「違うぞミセリ、そういう事は言っちゃ駄目だ。こういう方々はそっとしておくのが一番いいのである」
ミ*゚Д(#彡「電波でも美人なら良いですよ鬱田教授ぅううう!! 俺は厨二病でも女装でも構いませんんんん!! 俺は鬱田教授(女)のみを愛しますぅ
うう!!」
川#゚ -゚)「もうフサギコお前ちょっと黙れよ話しが進まないだろうが。というか女装癖じゃない。女だ!! おっぱいもある! Eカップだ!」
ミ*゚Д(#彡「おっぱーい!!」
ルパンダイブをしてくるフサギコと、それを見事なジャンピングニーで迎撃した女性の会話を聞いた杉浦は、
( ФωФ)「……」
ミセ* - )リ「ふぎゃっ」
とりあえず、手近にあったマフラーでミセリの頭部をぐるぐる巻きにした。
64
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:46:47 ID:h3k2mf7Y0
ミセ* - )リ「なっ、な何!?」
( ФωФ)「……」
ミセ* - )リ「もふーっ! もふもふーっ!」
( ФωФ)「……ミセリ、許せ」
幼女に爛れた会話を聞かせまいと言うギリティーンの苦肉の策だった。
杉浦のそんな頑張りを知ってか知らずか、フサギコと女性は何か嫌な会話を続ける。
川#゚ -゚)「って言うかドクオと私は別人だと何度言えば気が済むんだ! 女装じゃない!
あいつにちんこがついていても、私にはついてない!」
ミ#゚Д゚彡「むしろ女装ですよ! 逆にち○こついて無かったら俺ショックですよ!」
川#゚ -゚)「なんでやねん!!」
( ФωФ)「……」
ミセ* - )リ「もがーっ!」
主人公ズ、置いて行きぼり。
何だこの状態。
杉浦は「子供が居る前でちんこついてる女装とかついてないとかそういう話はやめてほしいなぁ」と思っていた。
65
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:48:03 ID:h3k2mf7Y0
川#゚ -゚)「えぇい埒が開かないっ! 要は私だからお前は五月蠅いんだな?! わかった今ドクオになってやるよ!」
意味の分からないファイティングスピリッツを発揮してゾンビのように追いすがるフサギコに痺れを切らしたらしい。
女性が叫び、ばっとパーカーの裾を掴んで脱ぎ捨てた。
ばさっと生地の軟い上着を翻したにしては大仰な音が講堂に響く。
はたして、
('A`)「……爆発しろや」
ミ#゚Д゚彡「ぁああぁぁあぁぁああ……!」
パーカーの下からまず覗いたのは白いティシャツ。
其れから長いみどりの黒髪、ではなく、黒いぼさぼさの短髪だった。
('A`)「ほんと爆発しろ。弾け飛べ」
その主は、心底からだるそうに呟き、失意のフサギコにバックハンドブローを打ち込んだ。
ワンヒット、KO
66
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:48:51 ID:h3k2mf7Y0
( ФωФ)「……」
ミセ* - )リ「もがぁあ!」
爛れた会話がフサギコの場外ホームラン(物理)によって終了したと判断し、いい加減可哀想なのでマフラーを外してやる杉浦だった。
其れをそのまま自分の首に巻き付け、ミセリに謝る。
( ФωФ)「すまんかった」
ミセ;゚ -゚)リ「な、な、なにごと……」
( ФωФ)「ミセリのためだったんである。許せ」
ミセ;゚ -゚)リ「い、いみがわからないです」
羽の生えたコモドオオトカゲでも見るかのような目で見てくるミセリに、しかし幼女の清らかな心は守られたと満足げな杉浦。
それを尻目にザ・イリュージョン・登場を果たした男性は自分の手の甲をさすさすとさすりながらその辺の椅子に腰掛ける。
('A`)「あー疲れたー……」
( ФωФ)「其れはどういう仕組みになっているであるか?」
67
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:49:52 ID:h3k2mf7Y0
杉浦は、床に脱ぎ散らされたパーカーを指さしながら言った。
目の前の人間は、パーカーを脱いだ瞬間に顔が、体つきが一辺した。
服と一緒に着ていた皮も脱ぎました! とでも言うように。
床におちたそれを摘み上げながら、ドクオと名乗った青年は左上を睨んだ。
それから、へらっと口の端を歪める。
('A`)「……魔法魔法」
( ФωФ)「魔法であるかー」
ミセ*゚ -゚)リ「はじめて見た」
('A`)「あっはっはっはっは」
杉浦は頭が悪かった。
小さな頃に読んだ絵本に魔法が実在したから、
今目の前に居る男性が不思議なことをして、其れを魔法というのだから、きっと本当に在るんだと思ってしまうほどには。
ミ,,゚Д゚彡「杉浦君騙しちゃ駄目っすよぉ教授ー」
68
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:50:36 ID:h3k2mf7Y0
が、その
「そうかそうか魔法って本当にあったんだへーはじめてあった。お布施とかした方がいいんだろうか。ご利益とか効能とかあんのかな」
という杉浦の納得は、フサギコによって一瞬で崩された。
ミ,,゚Д゚彡「魔法使いなんてとっくの昔に滅んだじゃないすかー。聖書の中のまして現象みたいなもんですよ?
そりゃ教授の女装……もとい女体化は魔法みたいですけど」
('A`)「お前ほんとに俺の授業聞いてる?」
ミ,,゚Д゚彡「(女)の時は聞いてます。寧ろ男性バージョンでは聞いちゃいません」
('A`)「本当爆発してくれないかなこいつ。なんで本人の前でそういうこと言えちゃうのかな」
ミ,,゚Д゚彡「だって聖書の中の人物を自分だなんて言い出す人の授業だなんて、ねぇ」
('A`)「だって本当だもん。っていうか何でそんなら俺の授業取ってるのお前」
聖書とはこの世界における創世を記した書のことである。本屋とかで売ってるのだ。
因みに某大工の息子とかはあまり関係してこないタイプの聖書である。
69
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:54:03 ID:h3k2mf7Y0
( ФωФ)「……フさん」
ミ,,゚Д゚彡「ん? どうした杉浦くん」
( ФωФ)「せーしょってなんであるか」
('A`)
ミ,,゚Д゚彡
ミセ*゚ -゚)リ
沈黙が流れた。
おしゃれに言うと天使が通過した。
もっとおしゃれに言うと、天使が通過し杉浦を指差して从 ゚∀从「ダッセェー」と笑っていった。
おしゃれを追求したらおしゃれじゃなくなった感じである。
重ね重ね言おう、杉浦ロマネスクは頭が悪い。
思考回路が悪い訳では無いが、決定的に知識が足りていないのだ。
ついでに物覚えも悪い。
ちゅんちゅんと外で朗らかに鳴く小鳥の声と天使の从 ゚∀从「ダッセェー」が杉浦の心に刺さった。
70
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:55:02 ID:h3k2mf7Y0
(; ФωФ)
白ける場の中心で、ミセリの残念な視線を浴びながら杉浦は神様に会ったら賢しさを貰おうと心に誓ったのだった。
('A`)「神様ねぇ……俺達も探してるけど、最近はとんと会ってないな」
沈黙を破ったのは、ドクオだった。
杉浦の発言は無視することにしたらしい。
ミセ*゚ -゚)リ「過去に会った事があるんですかと小一時間」
('A`)「……難しい言葉知ってるなぁ嬢ちゃん。そっちの兄ちゃんの妹?」
( ФωФ)「預かりっ子である」
ミセ*゚ -゚)リ「お母さんとお父さんに、置いていかれて、……家、探してる、ます」
71
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:56:00 ID:h3k2mf7Y0
斯く斯く然々とばかりにミセリの状況を説明すると、ドクオは軽く頷き
('A`)「幼女の為なら人肌脱ぐぞ。おもしろそうだから俺達も混ぜろ」
( ФωФ)「おもしろそうってあんた……」
('A`)「フサギコが勇気、そこの兄ちゃんが賢しい脳味噌、この少女が家と言うならば、魔法使いがいなきゃ話しが締まらねぇよ」
その言葉を聞いて、ああと杉浦は相槌を打った。オズの魔法使い、だ。
フサギコが勇無きライオン。自分が脳無し案山子。ミセリが故郷を求める少女。
しかし、と思案する。
ならば、
( ФωФ)「ロボットは誰なのだ?」
72
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:57:22 ID:h3k2mf7Y0
(-@∀@)「そりゃあ確かに、どうしてなかなか」
(-@∀@)「面白い人だねぇ」
野暮ったい眼鏡を光らせて朝日は笑った。
その手の中には懐かしの曲がるタイプのえんぴつが握られている。どうやらそれで原稿を書いていたらしい。
お前にはかなわないと思う。
(-@∀@)「そうか……となると僕がロボットかな? 心ないロボット。やだ格好良い」
( ФωФ)「どっちかってと朝日さんはハートフルって感じですが」
(-@∀@)「そりゃ嬉しいね。……しかしオズの魔法使いか。あのぬるい話ね」
73
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:58:53 ID:h3k2mf7Y0
そんな形容をする奴は初めて見たわ。天の声も吃驚である。
あんまりにも容赦の無い発言だった。オズが泣いている。
炬燵に足を突っ込んだ杉浦は、半目になりながら朝日を一瞥した。
(-@∀@)「なんだよその目は。だってそうだろ? 悪もなけりゃ正義も無い。ただの人探しの話しじゃないか。
蔓延る悪がなけりゃ勧善懲悪は成立しないよ?」
( ФωФ)「物語はかんぜんちょうあくだけじゃないのくらい、俺でも知ってるのである」
(-@∀@)「それでも至高は其れだって僕は何時でも信じてるよ」
( ФωФ)「しこ……しこ……?」
(-@∀@)「やめなさい杉浦君、そこだけ取り上げて繰り返すのはやめなさい杉浦君」
ミセリは早くも定位置となりつつある部屋の片隅でシューの部屋から持ってきた漫画本を読んでいる。
杉浦は至高の意味が分からなかったが、何となく知ったかぶりをすることにした。
満足気に語る朝日にそんな事を聞くにならなかっただけの話である。
74
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 19:59:37 ID:h3k2mf7Y0
( ФωФ)「……そうであるか」
(-@∀@)「基本だね、基本」
( ФωФ)「基本であるか」
朝日は徹底的な正義主義者で、杉浦には其れを否定する主義主張も受け流す知識も無いので、今一会話が噛み合わない。
っていうかこの人何時までこの部屋に居る気だろうとか杉浦が考えていると、
朝日はやっとこと立ち上がり、盛大な欠伸をしつつ両手を振り上げた。
(-@∀@)「よし……締め切り明日だし……散歩ついでに変な人でも探してくるか!」
ミセ*゚ -゚)リ「仕事、しなきゃだめだと思う」
幼女に仕事を促される変な人だった。
75
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 20:03:08 ID:h3k2mf7Y0
( ^ω^)「変な人……」
( ФωФ)「そうである。心当たり無いですか?」
( ^ω^)「変な人かおー。取り合えずお隣さんは変な人だと思うお」
( ФωФ)「あー……あの人はもう、人知を越えているので気にしたら負けである」
( ^ω^)「けど普通にベランダの窓を玄関として使う人間に対して気にするとか気にしないとかの問題じゃないと思うお」
( ФωФ)「それでも気にしたら負けである」
( ^ω^)「まじかお……」
玄関先の掃き掃除をしつつ、何処からともなく現れた内藤と話す。
空は高く、白い月がぼんやりと浮かんでいた。
この前までクーラーが欲しいクーラーが欲しいとフサギコが喚いていたというのに、もう空気はすっかりと冬の色を帯びている。
自分はきっとこのまま進めない、と杉浦はどこか思った。
悪い頭では将来のことなど考えることも出来ないのだ。来年はまだ分かる。きっと同じようにこの玄関を掃き掃除しているのだろう。
しかしその五年後は? 十年後は? 百年後には、きっと死んでしまっているのだろうが、それより手前が分からない。
76
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 20:04:49 ID:h3k2mf7Y0
漠然とした不安。
頭が良くなりたい、と杉浦はため息をつく。
働けど働けど楽にならず、てのひらをぢっと見つめる、でもなく。
少なくとも、もう少し展望というものが分かるようになれば。
馬鹿はぼんやりとそんなことを考えていた。
( ^ω^)「何でも叶えて貰える、ねぇ。誇大広告もいいところだお」
内藤は空を仰ぎながらぼそりと呟く。
その表情は、何処か達観したものがあった。
ん? と杉浦が首を傾けると、にっこりと笑う。アルカイックスマイルさながらだった。
( ^ω^)「杉浦君は何叶えてほしいんだお?」
( ФωФ)「俺はもとい、我輩は……賢しさが欲しいの、である。学が無いから、日々結構困るですよ」
( ^ω^)「そうかおー。向上心があるのは素晴らしいお」
( ФωФ)「工場心……? いえ、工場に関する心情は特には……」
( ^ω^)「……まぁ、妥当な願いだお」
77
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 20:09:06 ID:h3k2mf7Y0
この数週間の付き合いで杉浦の頭の悪さを何処と無く理解しだしたらしい内藤が顔を背けつつ頷いた。
ざりざりと杉浦は箒を振るう。
二人の足元を土埃が撫でていく。
( ФωФ)「あ、でも最近ほら、工場の夜景とかが話題になってるであろう。あれはちょっと興味あるですよ」
( ^ω^)「いやいいお、その話題広げなくていいお杉浦くん」
( ФωФ)「あとこの前パンの工場でアルバイトをしましたが、あれは中々心が折れて世を儚みそうになりますね」
( ^ω^)「そうなの」
( ФωФ)「立ちっぱで焼き鏝をぽんぽん押していくだけなのにあそこまで思い悩むとは思いませんでした」
( ^ω^)「例えばどんなことを思い悩んだんだお?」
( ФωФ)「北海道の位置……ですかね……」
( ^ω^)「ああ……あのパンか……」
( ФωФ)「冷凍してもあんまりチーズケーキっぽくはならんですよ、あれ……」
( ^ω^)「おいしいはおいしいけどもね、あの冷凍チーズケーキもどき……」
謎のやり取りだった。
78
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 20:11:06 ID:h3k2mf7Y0
あ、これ駄目な感じのやりとりだ、と瞬時に感じ取る杉浦。
ざりざりと地面の木の葉はすっかり集まりきっているが、手を止めるとますます沈黙に支配されそうでやめることが出来ない。
( ^ω^)「……」
( ФωФ)「……」
( ^ω^)「……」
( ФωФ)「……じゃあ、逆に聞くであるが、内藤さんには何か願い事は無いのであるか?」
そう杉浦が問うと、内藤はまた数秒固まってから「んんん」と唸る。
デフォルトの表情が笑みなのか、目を細め微笑んだまま眉を攣かめる図はなんとも珍妙だった。
( ^ω^)「……特に、無いお」
( ФωФ)「無い、であるか」
( ^ω^)「おっお、幸いな事に僕は恵まれているからお。特筆して叶えてもらいたい事なんて、無いお」
( ФωФ)「それはそれは」
79
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 20:13:35 ID:h3k2mf7Y0
とても幸せな事だ。そして羨ましい事だ。頭の悪い杉浦でも、それくらいは分かる。
望むことがないのは、要するに全部もう満たされているから。
幸せは飽和するのだ。
まぁ少し仕事は大変だけれど、と内藤は微笑んだ。
ああ、この人の笑みはとてもいいなぁ、と杉浦はぼんやり思う。
なんだか見ているこっちまでもが満たされていくような、日常の微笑だ。
普段奇天烈な住人たちとやりとりしているとこういう普通なあれと接触しなくて疲弊するのである。
( ^ω^)「まぁそれもそれで、いろんな人に出会えて楽しいお」
( ФωФ)「……内藤さんにも手伝って貰おうかと思ってましたが、止めておくである」
( ^ω^)「お?」
幸せが飽和している人に、さらに願いを言えなどと言っても、きっと「願いを下さい」というしかないのだ。
それはきっと、残酷なことだろう。
首を傾ける内藤の傍ら、うんうん、と頷きながら、杉浦は集めた枯葉を踏みつけた。
80
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 20:17:09 ID:h3k2mf7Y0
これにてその3は終わり
ところでこいつ(窓の外)を見てくれ、どう思う? ものすごい雷鳴っててめっちゃこええ
続きは近いうちにの予定だけど書き溜めは次で尽きるからその次からは近くなくなるよ
81
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 20:20:40 ID:gJr/zL3c0
乙乙
82
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 20:47:26 ID:Mdxg1Z/60
乙!
83
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 21:31:08 ID:4bVy5EnUO
乙!ブーン気になるううう
84
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 21:33:17 ID:WvqSxt/Y0
乙!
なんだろう、このほのぼのなんだか殺伐なんだかよくわからん雰囲気が好き
85
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 21:48:05 ID:XIUce9MM0
おつ
86
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 22:16:39 ID:L7cB76eo0
乙乙
ドクオが性転換してクーになる条件覚えてなかったが、まさかパーカーの着脱だったとは
やっぱこのロマネスクいいキャラしてるな
87
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 22:33:14 ID:umNtx/2w0
過去作知りてえ乙
88
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 01:46:17 ID:HxMP0asE0
読んだ乙
続き楽しみだ
89
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 02:24:54 ID:wRUygVoI0
乙乙!
もうずーっと待ってたんだからね!
ほんとにほんとに待ってたんだからね!
90
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:07:30 ID:eu/PwRq.0
乙とかありがとう。既読者が複数居るという包囲網状態気分にキムがムキムキです
書き溜めがあるうちが華らしいのでその2を投下するけどもうこのペースは維持できないから期待は溝にレッツゴー
そんな訳で
『やっぱり行数規制がよくわからん』
『創作板って支援制度無いのちょっと寂しいね』
『でもVIPは忍法帖とか益々意味分からん』
その他三本の心持を携えて風呂に入ったりしつつその2を投下します
91
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:08:31 ID:eu/PwRq.0
昔々の神話の時代。
世界を正常に近づけるにあたって邪魔だった魔法は、そのすべてをとある二人の魔法使いに押しつけられて、絶滅しました。
そして後に遺ったのは使われた魔法の残り滓と、それを扱うことしか出来ない、ばった物の『まほうつかい』だけでした。
彼らは完璧な魔法を使うことのできない出来損ないで、魔法のことをよく知らない人々をだますようなことをして細々と生きておりました。
何故神様そんな中途半端なものをのこしたのかと言うと、
( ^ω^)「……うーん」
( ^ω^)「まぁいいかおー」
神様は大変おおらかだったので、残り滓くらいなら別に良いだろうと思ったのでした。
( ^ω^)「腹減ったし面倒だお」
相当適当でした。
残り滓と『まほうつかい』はその余りに適当な扱いに憤慨し、我々は危険だとでも示すように徒党を組むようになったのです。
92
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:08:49 ID:Vg8xASLo0
ならば俺が支援してやんよ
93
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:09:39 ID:eu/PwRq.0
その二
『わんわんにゃーにゃー』
所で、
94
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:10:47 ID:eu/PwRq.0
「ぐっ、えぁ、が、ぎぃ、いいいいいっ」
ネオンの光る街の元、そのきらびやかな光の届かない場所で男は苦しんでいた。
体中の細胞が残らず捻り潰されていくような苦痛。痛みに耐えきれずに吐き出した自らの吐寫物の上をのたうつ。
先ほどまで感覚を上塗りしていた酔いはとうに抜け落ち、痛みと苦しみだけが針のように体中に突き刺さっていた。
抉り込むような理不尽な痛みの根源を、息も絶え絶えな怒りを込めて睨み付ける。
その目を刺すのは、鮮やかな赤い髪。
「あ゛ぁ、げ、……て、めぇ」
「ははぁ、何だよ」
「んだ、じゃねぇよ……っ、てめ、何しやがっ」
「何て事ぁ無いよ。お前のお望み通りにしてやってるだけだ。ああ、お前の望んだ事だろ!」
そうして高らかに笑うのは、軽やかな女の声だった。
澄んだそれは薄暗い路地裏に不釣り合いな程明るく、威風堂々としている。
男はそれを酷く不快に感じた。
95
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:11:26 ID:UFkd0lZI0
しえーん
96
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:11:45 ID:rF/Piw3s0
支援?それくらい俺がしてやんよ!
97
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:13:11 ID:eu/PwRq.0
アスファルトを引っかくその手は、見慣れない形に変質していく。
胸に恐怖が駆け上った。痛み。喪失感。吐き気。喉をひっくり返していく悲鳴を意地だけで飲み下す。
作り変えられていく。生まれてこの方貼り付き続けていた自らの皮膚が、内臓が、肉が、血が、骨が、総じて取替えられていく。
その様子すらも女はけらけらと笑い、楽しそうに指を差した。
冗談じゃない、と声を張り上げようとするが、急速に視界が暗転していく。
糞、という呟きさえも乾いた息になって口から吐き出された。
最後の力を振り絞り、その声の主の履いたハイヒールを一睨みし、ぎりぎりと歯噛みしながら痙攣する瞼を閉じる。
「おぼえ、とけよ……ブチ殺してやる……!!」
恐怖も痛みも全てをねじ伏せ男がはいた言葉は、呪詛。
それを見て声の主は益々愉快そうに喉を晒して呵々大笑してみせた。
「私は猫より犬の方が好きなんだよ!」
後悔を痛みに塗り潰されながら、男の意識は、途切れる。
闇に引かれるまま、そうして彼は死んだ。
ああ、酔っぱらいの犬派か猫派かの論争になんて付き合わなきゃ良かったのに!
98
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:14:17 ID:eu/PwRq.0
しぃは大変驚いていた。
友人の隣の部屋の住人が殺人犯の手にかかったと噂を聞いて、野次馬根性を剥き出し、
何かはなしを聞いてやろうとそのマンションに向かったのが、運の尽き。
オートロックを開いてもらい、エントランスから曲がって右。一階の片隅から一つこちらの部屋。
その扉の前で、しぃは大変驚いていた。
大事なことなので二度言いました。
99
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:15:16 ID:O8/aZ8GU0
しえしえ
100
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:15:27 ID:eu/PwRq.0
( *゚ O゚)
それはもう、大変分かりやすい形の感情表現だった。
ぽかりと口を開いて一度開いた扉を閉め、また開いてから口を閉じる。その間、
驚かれた対象は不機嫌そうにゆらりゆらりと尻尾を振っていた。
尻尾である。
しぃは大きく深呼吸をしてから、真一文字に口を引き締め、デフォルトの笑みを浮かべた。
彼女の母は所謂悪女で、笑顔は女の武器だと幼いしぃに叩き込んでそして死んでいった。
あんのクソババアと居酒屋での人生語り(笑)に於いて母への恨み節を欠かさないしぃではあるが、
死の淵ですら笑顔とつくろった美しさを失わなかった母をそれなりに尊敬している。
そのため彼女の立ち絵は基本笑顔です。ノベルゲーム化の際はその辺宜しくお願いしますね。
そんな来る日の野望はともかく目の前の対象である。
(*゚ー゚)「ギコ?」
(,,゚Д゚)「うん」
101
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:16:16 ID:eu/PwRq.0
それはこっくりと頷いた。
ひくり、としぃの口の端がひきつる。しぃは確かにギコという友人を訪ねたつもりだったのだ。
実際、しぃが開いたマンションの部屋の表札にはきちんと彼の名字が書かれている。
前回訪ねた記憶も確かだ。道を間違って同じ苗字の別人をたずねたとかではない。
間違ってはいない。
しぃは、間違っていないのだ。
(*゚ー゚)「ペンキ食べたの?」
(,,゚Д゚)「食べてない」
(*゚ー゚)「あっそう」
だから間違っているのは友人なのだろうと思い、彼女はとりあえず渾身の力で目の前の友人(仮)にローキックを叩き込んだ。
(;,゚Д゚)「えっおがぁあ?!」
しぃは理不尽を感じると真っ先に足や手がでる性質であった。
理不尽なのはお前である。
102
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:17:02 ID:eu/PwRq.0
しかし友人がこんなんになったら理不尽にもなろうという気持ちもくんでくれとしぃは主張する。
主張はともかくジャージの生地でふぁふっとスニーカーの靴底がいい具合に滑った。
唐突な攻撃を受けたそれの目が白黒するのがしっかり見える。
(#*゚Д゚)「誰だ! お前は誰だ! なんだその青さ! 夏の空か!」
(;,゚Д゚)「顔面崩か、痛っ! いたぁあぁああ?!」
ローキック。ローキック。そのまま踏み込んでジャンピングニー。
掴んだ頭をそのまま引っ張りみぞおちめがけて大きく振りかぶって(膝を)。
良い子は真似をしないで下さいの喧嘩殺法が炸裂しているので、描写は省かせていただきます。
(#*゚Д゚)「お前なんて知らない! 知らない! 誰だ!
ギコを何処へやった、美味しかったかぁああ! どうやって食ったんだ! 寸胴鍋か!
じっくりコトコト煮込んで食ったのか! 味付けは醤油か! この化けものォオオ!」
(;,゚Д゚)「食われた一択?! うお死ヌッ?!」
鬼神のようなしぃから逃れようと、友人のようなそれ、人型猫もどきは比喩でなく真っ青になった手を揺らして玄関へと這い上がる。
それにしても友人のような人型猫もどきという言葉の曖昧さと言ったら画期的だった。
ところで同じようなAAが並んでいて非常に画面構成が鬱陶しい。
103
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:19:16 ID:PJymTJxw0
この淡々と地の文がボケる感じが好きだ
104
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:19:22 ID:UEVPYJ0Q0
支援しえーん!!
105
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:20:14 ID:eu/PwRq.0
(;*゚ー゚)「……ハァハァ」
(;,゚Д゚)「とても痛い」
一旦休憩。
幾らしぃが学生時代に美しき虎(自称)として名をはせていたとしても、今は人畜無害な図書館司書である。
体力の衰えは否めない。
休憩ついでに友人のような人型猫もどきを観察することにした。
前会った時の正常な人間の形は大して変化していない。
頭からラムダ型の耳が生え、全身が短く密な、真っ青の毛で覆われていた。
ジャージからこぼれ出た尻尾が逆立っている。ところで警戒している猫の尻尾とはなんであんなにもふさふさで可愛いのか、筆者は不思議でしょうがない。
分かりにくい説明に、八頭身AAという言葉をそっと残そう。
休憩おわり。息を吸って再度シャウト。
(#*゚Д゚)「ギコはそんな猫みたいな奴じゃ無かったもんねぇえ!
もっとふつうに人間だったもんねぇえだッ! だまそうったって無駄なんだからなぁぁあ! のどの下撫でても良いですか!」
(,,゚Д゚)「あ、止めてください」
(#*゚Д゚)「なんでだよぉおお!!!!」
ぐしゃりと地べたに崩れ落ちる。
とりあえず、しぃは無類の猫好きだった。
106
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:21:20 ID:eu/PwRq.0
(,,゚Д゚)「とりあえず、コーヒーで良いか?」
(*゚ー゚)「あ、うん」
(,,゚Д゚)「テレビのリモコン机の上だから」
(*゚ー゚)「はいはい」
(,,゚Д゚)「あ、昼だけど何か食う?」
(*゚ー゚)「んー、あ、モララ呼ぼうか」
(,,゚Д゚)「モララー? ……まぁ、良いけど、なんでだよ」
(*゚ー゚)「うん、ほら、尋問にはあれね、良く知る証人が居るから」
(,,゚Д゚)「じ、え、あ……はぁ……」
曖昧に頷き、白い湯気の立つカップを机に置く。
それを受け取り、しぃは携帯電話を取り出す。ぱたぱたと操作して、どうやら誰かを呼んでいるらしい。
その向かいに座りながら、友人のような人型猫もどきはテレビのリモコンを握った。
107
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:24:19 ID:eu/PwRq.0
テレビでは今最もセンセーショナルな話題、眉唾ものの「神様」についての特番が流れていた。
あちこちで「神」が起こした奇跡が残される中、その「神」を見た人は一人としていないのだそうだ。
曰く、治らないといわれていた難病が回復した。
曰く、逃げ遅れた者達の居た家屋の火災が一瞬にして鎮火、元通りになった。
曰く、痛んでいたはずのチーズ蒸しパンがすべてほっかほかのカレーまんになっていた。
眉唾物の話題の羅列に、しぃの友人のような人型猫もどきはもふもふの顔をちょっとゆがめる。
今現在彼に眉毛は無いですが、眉毛のようなぴょいんと出たあの毛につばでも塗りたい気分だった。
ぱたん、と携帯を閉じる音がする。
(*゚ー゚)「ん! じゃあ、行こう」
(,,゚Д゚)「は?」
(*゚ー゚)「何かモララー、近く居るらしいから、そっちに向かおう」
(,,゚Д゚)「え、え」
友人のような人猫型人もど、面倒くさいのでギコと呼ぼう。ギコの腕を引き、しぃは玄関へと向かう。
まだ残った自分の分のコーヒーを名残惜しげに振り返りながら、ギコは慌ててリモコンを放り投げた。
床に落ちてがっしゃんと盛大な音がするが二人は気にしない。
精密機器がどうたらというのに気をやらない人種のようだった。天の声ムカつき千万である。
108
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:25:24 ID:eu/PwRq.0
(,,゚Д゚)「なぁ俺こんなんなってからなんていうかひきこもりだったから出たくないんだけど」
(*゚ー゚)「え、何で?」
(,,゚Д゚)「な、いや何でって、ご近所の目とか、こんなんじゃ、なぁ」
ドアノブに手をかけたままで立ち止まったしぃが「あー」と頷く。
分かってくれたか、とギコが顔を綻ばせた。リモコンが壊れることは気にしないくせに、近隣住民との関係が壊れることは気にするらしい。
(*゚ー゚)「まぁいいじゃん、お隣さんも居ないんだし」
(,,゚Д゚)「えぇえ……マンションから出た後とかどうなんの……」
(*゚ー゚)「誰も彼もが自分を見てるなんてとんだ自意識過剰だよ」
(,,゚Д゚)「身も蓋もねぇな」
言い合いながら、エントランスを抜けて行く。
(*゚∀゚)「……」
109
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:26:29 ID:eu/PwRq.0
ふとギコの青い体毛を逆撫でるように、視線が刺さった。
ロビーに並んだ自販機の喫煙コーナーで立ちすくむ少女が此方を見ている。
それに気づいたギコは顔をひきつらせた。
(,,゚Д゚)そ「ああっ早速ひとに見られたっ」
(*゚ー゚)「自意識過剰自意識過剰」
どうでもいいが自意識過剰というのは二回続けるともの凄い字面だった。
(# ・∀・)「……ギコは美味しかったか、化け物めぇぇええ!」
(*゚ー゚)「あ、もうそういうのはやったから」
( ・∀・)「え? そうなの?」
110
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:27:42 ID:eu/PwRq.0
しぃが向かった先は、休日の午後とは思えないほど閑散とした公園。
いくつか並んだベンチの一つを占領し、缶コーヒーをすする男性がいた。
二人に気づくと手を振り、そして三秒後にギコに向かって走りより、飛び足刀蹴りを叩き込もうとした。
それをまた間一髪避けたギコを見て男性が叫び、
>>109
だった。
リアクションを奪われ、勢いを殺された男性は暫くうずうずとしていたが、そのうちにもう一度腰を落ち着けた。
所在なさげにベンチの前に立つギコを上から下まで、その向こうを透視したいように眺める。
( ・∀・)「……ギコ、ペンキって美味かった?」
(*゚ー゚)「いやそれもやったから」
( ・∀・)「えぇえ……僕の分もリアクション残しといてよ、きっついなぁ」
(*゚ー゚)「ごめん、気が回らなくて」
( ・∀・)「んんんー、まぁいいけど」
モララーは苦笑して、しぃとギコに自分の隣を薦める。
二人もそれに従い、真新しい金属のベンチに腰掛けた。
赤黒く錆びたような汚れがこびりついていたが気にもしない。
(,,゚Д゚)「お前呼び出そうとするといっつも近くにいるよな。結局どこに住んでんだよ」
( ・∀・)「いやーそればっかりは家族以外には教えられないなぁ」
(*゚ー゚)「胡散臭さマックスだね!」
111
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:27:44 ID:FO59Pw1c0
支援だ!
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