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( ^ω^)は再びスタート台に立つようです

1名も無きAAのようです:2012/07/30(月) 23:32:19 ID:FZEjhonM0
※注意
この小説は水泳ものです
水泳の用語が出てくる場合があります
一応注釈は着けますがわからないところがありましたら一言ください

72名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:01:44 ID:f48ynO.I0
さて、どう切り出せばいいのだろうか。
なんとなく、直接言うのは気が引ける。
だからといって代案があるわけもない。
ほんの数秒だけ悩んで、考えるのをやめた。
もう、言ってしまおう。


( ^ω^)「...さっきのドクオ先輩との会話のことなんだけど」


(´・ω・`)「!!」


ショボンが驚いた顔をする。
そんなに、驚くことなのだろうか。
必死に動揺を隠そうとしてるが隠しきれていない。
やはり、何かあるのだろう。

73名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:02:45 ID:f48ynO.I0
(´・ω・`)「...それがなにか?」


( ^ω^)「いや、なんかあんまり嬉しそうじゃなかったなーって思って...なんか悩みでもあるのかお?」


(´・ω・`)「悩み、ですか? 悩み...あ」


( ^ω^)「お。やっぱりあるのかお。もし、言いづらくないものなら教えてほしいお! 力になるお!」


(;´・ω・`)「...」


ショボンは座ったままうつむき、なにも言わない。
まるで僕を拒絶するような空気を纏っていた。

74名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:05:57 ID:f48ynO.I0
(; ^ω^)「あ! 本当に嫌なら言わなくてもいいんだお!」


(;´・ω・`) 「...ううう」


(; ^ω^)「だから、ほら、そんなに悩まないでお」


そのまま、ショボンは頭を抱えてしまった。
元から小さいショボンの体がいっそう小さく見える。

75名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:08:22 ID:f48ynO.I0
(; ^ω^)「...ごめん。ツライ思いをさせてしまったかお?」


(;´・ω・`)「...大丈夫です。いずれは話さないといけないことなんですし」


( ^ω^)「話さないといけないこと?」


(;´・ω・`)「はい、僕は...その、えっと、僕」


意を決したのか、深呼吸をして目をこちらに向けながらこう言った。


「水泳部、やめようと思うんです」

76名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:09:11 ID:f48ynO.I0
( ^ω^)


( ^ω^)


(; ^ω^)「...え?」


今、何て言った?
辞める? 水泳部を?
ショボンが?
予想していなかった答えに僕は驚きを隠せなかった。

77名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:10:11 ID:f48ynO.I0
(; ^ω^)「え、あ、いや、えーと、なんで? なんでいきなり」


(;´・ω・`)「それは、その、僕には才能がないみたいだし...練習も辛いし...その...」


(; ^ω^)「いや、でも!!」


何かを言いたかった。
でも、言葉が出ない。
力になるっていったのはどこの馬鹿だ。

78名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:11:59 ID:f48ynO.I0
(;´・ω・`)「いいんです。もう、決めたんです」


(; ^ω^)「でも、でも!! ショボンは頑張ってるじゃないかお!! ほら、ドクオ先輩だっていってたお? ショボンは頑張ってるって!!」


(;´ ω `)「...」


ショボンの顔が辛そうに歪んでいく。
でも、僕は話すのをやめなかった。
少しでも、ショボンを元気付けたかった。


(; ^ω^)「練習には真面目に来てるし! 言われたことを必ずやってる! 大丈夫だお!! いつか絶対に」


(;#´・ω・`) 「報われなんかしない!!」

79名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:13:53 ID:f48ynO.I0
ショボンが勢いよく立ち上がった。
見たことのないほどの激昂。
目に涙をため、僕を睨んでいた。


(;#´・ω・`)「どんなに努力しても速くなれない!! なのに同じことしかしてないヒッキーにはもうぼろ負け!!
同期で、初心者で同じ時にスタートを切ったはずだったのに!!」


(; ^ω^)「ちょっ、落ち着けお!!」


ショボンはまるで、今まで溜めてきた怒りを全て撒き散らすかのように叫んでいた。
いつも落ち着いている、静かなショボンとは思えない。

80名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:14:52 ID:f48ynO.I0
(; ^ω^)「ショボンの気持ちは痛いほどよくわかるお!! でも、頑張れば...」


(;#´・ω・`)「ブーン先輩には絶対にわかりません!! 僕の気持ちは絶対に分かる訳がッ!!」


(; ^ω^)「っ!!」


(;´・ω・`)「あ...」


僕が怯んだのを見て、少しショボンはたじろぎした。
ショボンからさっきまでの勢いはなくなっていた。
お互いに気まずい空気が辺りを漂う。

81名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:18:42 ID:f48ynO.I0
(;´・ω・`)「...すみません」


(; ^ω^)「いや、その...僕も悪かったというか、その」


(;´・ω・`)「もう、帰りますね」


(; ^ω^)「あ...」


そのまま、ショボンは帰ってしまった。
何も、できないまま終わってしまった。
僕は何をやってるんだ。

82名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:23:09 ID:f48ynO.I0
( ^ω^)「人の傷口広げるだけ広げて何もできないとか...かっこ悪...」


インターハイにも出れない。
後輩の相談もろくに出来ない。
なんなんだ、僕は。


( ^ω^)「ダメダメじゃん、僕」


呟いて気付いた。
最悪だ、僕。


(  ; ω ; )「チクショウ...」


泣くことしか出来ない僕が酷く惨めだと思った。

83名も無きAAのようです:2012/08/16(木) 20:25:07 ID:f48ynO.I0
今日はここまで。
結構時間空いたのにこれだけしか書けてなくてすみません...

84名も無きAAのようです:2012/08/17(金) 01:00:23 ID:WMxOVpRk0
頑張っても、どうしたって水泳は個人差が出るもんな……
自分のペースで構わないから逃亡だけはするなよ!

85名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:30:20 ID:MYtgS7OY0
8月3日


( ^ω^)「眠いお...」


昨日がいつの間にか終わっていた。
家に帰った後、泣き疲れてそのまま眠ってしまったようだ。
固い床で寝ていたせいか身体中が痛む。


( ^ω^)「部活休みてー」


固まった体を少しでも動かそうと腕を回したりしながら朝食の準備をする。

86名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:32:29 ID:MYtgS7OY0
こうゆう時、いつも一人暮らしをしようと思った自分を恨んでしまう。
本当にあのときの自分はどうかしていた。
一体何を考えて一人暮らしをしたいと思ったんだろうか。
少し思い出そうとしたが思い出せない。
まあ、どうせ大したことじゃないだろう。


( ^ω^)「さ、食べますか」


今日の朝食はベーコンエッグとコーンポタージュ。僕の大好物だ。
これで少しでもテンションをあげるとしよう。

87名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:33:51 ID:MYtgS7OY0
( ^ω^)「風が気持ちいいおー」


自転車に乗り、学校へと向かう。
夏休みの通りは人が少ない。近くの公園も子供たちは旅行に行っているのか、声が全くしない。
夏休みなのに活気がないこの町は、なんか少しだけ寂しい気がする。


( ^ω^)「お? おーい、流石君たちー」


( ´_ゝ`)「「ん?」」(´<_` )


学校へ向かう途中、人が少ないからすぐに見知った顔を見つけた。
同期の流石兄弟だ。

88名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:34:57 ID:MYtgS7OY0
( ´_ゝ`)「おお、君はからあげくん派のブーン君ではないか」


(´<_` )「何を馬鹿な。彼はファミチキ信者のブーンだろ」


(; ^ω^)「お? なんの話だお?」


(´<_` )「嫌な、さっき俺達高校生水泳部にぴったりのコンビニ商品は何かを討論していたんだが...」


(#´_ゝ`)「この馬鹿はファミチキとか言い出しやがった!! あんな脂ドロドロのものは俺は認めんぞ」


(´<_`#)「なんだと!? ファミチキなめんなよ? からあげくんなんて個数増やすセールやんねーと売れないハズレ商品だろーが」


(#´_ゝ`)「「ぶち殺す!!!」」(´<_`#)

89名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:35:51 ID:MYtgS7OY0
(; ^ω^)「いや...あの...」


(#´_ゝ`)「「あ!?」」(´<_`#)


( ^ω^)「どちらもスポーツやる人にはちょっと...体に悪いかと...」


(#´_ゝ`)(´<_`#)


( ´_ゝ`)(´<_` )


(; ´_ゝ`)ハッ!!(´<_` ;)

90名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:36:43 ID:MYtgS7OY0
(; ´_ゝ`)「た、確かに...言われてみれば...」


(´<_` ;)「コンビニの油物はスポーツ選手の敵...不覚、忘れていた」


(; ´_ゝ`)「今日から俺、からあげくん食べる量の減らすわ...」


(´<_` ;)「だな...俺もハムカツで妥協するわ...」


( ^ω^)「いや、食うなよ」


この二人は相変わらずのようだ。
いつも通りの馬鹿な会話をして少しだけ心が楽になる。
固まっていた体もちょっぴり楽になった気がする。

91名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:38:41 ID:MYtgS7OY0
( ´_ゝ`)「で? どうしたんだ?」


( ^ω^)「お? 何がだお?」


( ´_ゝ`)「いや、さっきからなんかおもたーい雰囲気醸し出してたし」


( ^ω^)「え」


(´<_` )「だな。まるでファミチキが売り切れていたときの俺のようだったぞ?なあ、兄者?」


( ´_ゝ`)「ああ、いつも明るいお前らしくないぞ。また、何かあったのか?」


(; ^ω^)「え、いや...別に、なにもないお」


まさかこの二人に見抜かれているとは思わなかった。
もしかしたら先程までの僕の顔はかなりひどいものだったのかもしれない。

92名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:40:23 ID:MYtgS7OY0
( ´_ゝ`)「...フーン、そっか。ならいいけど」


(; ^ω^)「え? あ、ちょっと兄者!?」


兄者は僕の顔を少し見つめたあと、僕たちを置いてそのまま一人で歩き出してしまった。


(´<_` )「あーあ、怒らせた」


( ^ω^)「やっぱりあれ、怒ってるのかお?」

93名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:41:24 ID:MYtgS7OY0
(´<_` )「そりゃもちろん。兄者は馬鹿なようで鋭いからな。お前が何か隠してることぐらいわかってるだろ」


( ^ω^)「お...」


(´<_` )「それに根にもつからな。ああ勿論、俺も同じだぞ」


( ^ω^)「...ごめんだお。でも、言えないんだお」


ショボンのことを簡単に人に言ってはいけないことだろう。
そう考えた僕は言いたい気持ちをグッとこらえた。

94名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:42:07 ID:MYtgS7OY0
(´<_` )「そうかい」


それに対する弟者の反応は淡白なものだった。
まるで始めから興味がなかったかのようにあっさりとしていた。
だが、弟者の醸し出す雰囲気は確実に怒りを含んでいた。


( ^ω^)「...僕、自転車だから先にいくお」


(´<_` )「おう、また部活でな」


気まずい雰囲気を壊すように僕は足に力をいれペダルを漕ぐ。
少し進んだところで振り返ってみると弟者はどこかに寄り道をしてるのか姿がなかった。

95名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:43:30 ID:MYtgS7OY0
( ^ω^)「...いやね、薄々僕もわかってましたよ。こうなると不味いなーって」


部活が始まるといきなりショボンと顔をはち合わせ気まずくなり、ストレッチでは兄者と組むことになり気まずくなり、果てには筋トレのペアを弟者と組むことになり気まずくなる。
なんだこれは。明日死ぬんじゃないかと言うほどの豪運である。


( ^ω^)「さすがにないわー」


('A`)「何がないんだ? 悩みごとか?」


(*゚ー゚)「暗い顔してどうしたの?」

96名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:44:42 ID:MYtgS7OY0
呟きが聞かれたのか後ろからドクオ先輩としぃ先輩が近づいてくる。
どうやら僕はかなり暗い顔をしていたようだ。


( ^ω^)「別になんでもないですお」


('A`)「んなことはねーだろ。めっちゃ悩んでる顔してるぞ」


(*゚ー゚)「本当はなんかあるでしょ?」


(; ^ω^)「いや、だから本当に...」


(*゚ー゚)「あ、わかった! 昨日、ツンちゃんに短小って言われたのまだ気にしてるんでしょ」


(; ^ω^)「違いますお!! それに声がでかいですお!!」

97名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:45:37 ID:MYtgS7OY0
('A`)「ちょwww女子に短小とかwwwそれはないwww」


(; ^ω^)「ドクオ先輩も慰めたいのか貶したいのかハッキリしろお!!」


(*゚ー゚)「大丈夫だよブーン君! 昨日見た感じ、多分ドクオ君とあんまり変わんないから!」


(; ^ω^)「だから、ちが...」


( ^ω^)


( ^ω^)「ん?」

98名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:46:31 ID:MYtgS7OY0
あれ?
確かに僕のは昨日の事件のせいで見られたけど。


( ^ω^)「なんでしぃ先輩がドクオ先輩のサイズ知ってるんですかお?」


(*゚ー゚)「え? なんでって...」


(*゚ー゚)「あ」


(;'A`)「あ」


( ^ω^)「ドクオ先輩」


(;'A`)「なんでしょうか」

99名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:49:45 ID:MYtgS7OY0
( ^ω^)「やったのか? おい、やっちゃったのか? まさか本当にヤッたのか?」


(;'A`)ゞ「いやー、なんと言いますか、アハハ...誤解だよ。ねぇしぃ先輩?」


(*゚ー゚)「テヘペロ♪」


('A`)「」


この日、ドクオ先輩は(もてない)男子部員にリンチされたのは言うまでもない。

100名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:50:28 ID:MYtgS7OY0
(´・ω・`)「はぁ...」


男子部員たちが騒いでいる。
そのなかにはヒッキー君もいるみたいで声がプールの倉庫の中にまで聞こえる。
みんなと混ざって遊びたい、これが正直な気持ちだが辞める手前、少し気が引ける。


(´・ω・`)「...というか、いつ言おうかな」


僕は臆病者だ。
辞めると言う言葉さえ、皆から怒られるのではないかとびくびくしてまだ監督にさえ言えていない。
ブーン先輩にもあんなことを言ってしまったのに謝れてない。
多分、僕みたいなやつを屑野郎というのだろう。

101名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:51:24 ID:MYtgS7OY0
(;´・ω・`)「うう...くそ」


こんな惨めな思いをするなら水泳部なんて入らなければよかった。
そんなことを考えながらビート板などをぶっきらぼうに積む。
ああ、そういえば先輩からよく起こられたっけな。道具は部活やってる皆の物だから大切にって。
まあどうせ、辞めるんだ。最後くらい適当でも...


( ゚Д゚ )「ん? ショボン、こんなところで何しているんだ?」


(;´・ω・`)「ギャアアアアア!!?」

102名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:53:34 ID:MYtgS7OY0
( ゚Д゚ )「...人の顔をみて絶叫とは。なんだ? 新手の嫌がらせか? たく、今の現役の奴等は...」


(;´・ω・`)「いいいえ、そそそのそういうわけでは、その...」


タイミングが悪すぎる。
なんでこのタイミングで監督に会ってしまうのか。
自分の不幸さを改めて実感する。


(;´・ω・`)「(ど、どうしよう...ミルナ監督って先輩とか怖いって言ってたな...怒られるのかな、やっぱり...というかもう怒ってる?)」


(; ゚Д゚ )「ん? お、おい、なに震えてんだよ。言いたいことあるならはっきり言え、な?」


(;´・ω・`) 「うえ!?」


( ゚Д゚ )「ほら、落ち着け。な? 嫌なことでもあったか? 相談なら乗ってやるから言ってみろ」

103名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:54:23 ID:MYtgS7OY0
...違うんです、監督。僕にそんなに優しくする必要なんてないんです。
僕はだって、水泳部を...


(´;ω;`)「うう...」


(; ゚Д゚ )「ぬおっ!? どうした? なに泣いてんだよ」


(´;ω;`)「ごめんなざい...ごめんなざい...」


(; ゚Д゚ )「お、落ち着けよ。な、な?」


(´;ω;`)「ごめんなざい...ごめんなざい...」


ああ、また人に迷惑までかけてしまった。
やはり僕は屑野郎のようだ。

104名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 00:55:29 ID:MYtgS7OY0
~swim-record~


( ´_ゝ`)流石兄者


Style1:Fr
50Fr 26,13
100Fr 55,02
200Fr 1,59,68


(´<_` )流石弟者


Style1:IM(個人メドレー)
50Fr 27,02
200IM 2,25,56
400IM 5,09,62

105名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 02:16:47 ID:ytHfAHk2O
寝落ちかな?

106名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 10:44:41 ID:15AQ8p7oO
やっぱり作者さんは水泳部かな?

107名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 19:46:37 ID:ERAa7.rQ0
相変わらずおもしろいの

108名も無きAAのようです:2012/08/30(木) 22:56:34 ID:MYtgS7OY0
>>105
寝落ちではなく今回はここまでなんだ...
ペース遅くてすまぬ...

>>106
一応元水泳部です


書き忘れていた補足説明を

※IM(個人メドレー)
一人でバタフライ→背泳ぎ→平泳ぎ→クロールを泳ぐ種目
距離は基本的に200mか400mのどちらか

109名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:36:11 ID:pSlocj4A0
( ゚Д゚)「ほれ、飲みもんだ。これでも飲んで少し落ち着け」


そういって差し出されたのはスポーツドリンク。
僕はそれを受け取り一口飲む。
涙はもう、出ていない。
もう、泣きつかれてしまった。


( ゚Д゚)「やっと落ち着いたみたいだな。もしよかったら何があったか教えてはくれんか? ただ泣かれても原因がわからなくちゃ相談もできん」


泣きつかれたからかなんなのか、今ならすんなりと言える気がする。
もう、全部を吐き出して楽になりたかった。

110名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:36:58 ID:pSlocj4A0
(´・ω・`)「...その、僕、水泳部をやめようと思うんです」


( ゚Д゚)「そうか」


(´・ω・`)


(´・ω・`)


(;´・ω・`)「あれ?」


予想外過ぎる反応だった。
怒ると思っていたのに、まさかそうかの一言だけとは。
僕のあの苦悩は何だったのだろうか?

111名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:37:39 ID:pSlocj4A0
(;´・ω・`) 「その、あの、怒ったりは...」


( ゚Д゚)「お前がそう決断して後悔がないんだったら俺はなにも言わん。ましてや怒るなんてするわけないだろ」


(´・ω・`)「後悔...」


( ゚Д゚)「ん? なんだ? 心残りがあるのか?」


(´・ω・`)「それは...まあ」


ないといったら嘘になる。
だって僕は泳ぎたくて水泳部に入ったんだから。
なのに、途中で諦めて辞める。
後悔しないほうがおかしいだろう。

112名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:38:23 ID:pSlocj4A0
( ゚Д゚)「なら続けた方がいい。後悔するくらいなら尚更だ」


(;´・ω・`)「でも僕、泳ぐ才能ないし」


( ゚Д゚)「...あのなぁ、水泳部に泳ぐ才能なんて別にいらねーぞ」


(;´・ω・`)「...はい?」


なんか水泳部の監督とは思えない一言が聞こえた気がする。
泳ぐ才能が必要ない?
そんな馬鹿なことがあるわけない。

113名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:39:12 ID:pSlocj4A0
(´・ω・`)「あの...」


( ゚Д゚)「なんだ?」


(´・ω・`)「水泳部...ですよ?」


( ゚Д゚)「そうだな」


(´・ω・`)「泳ぎますよね?」


( ゚Д゚)「水泳部だしな」


(´・ω・`)「必要ですよね...泳ぐ才能」


( ゚Д゚)「確かに才能はあるに越したことはない。だが泳ぐ才能はいらない」


(;´・ω・`)「......」

114名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:40:17 ID:pSlocj4A0
この時、ミルナの言うことがメチャメチャだと、正直に思った。
能筋。
ブーン先輩がよく言っていたこの言葉を思い出す。


(;´・ω・`)「おかしいじゃないですか。泳ぐのに泳ぐ才能がいらないなんて...」


( ゚Д゚)「どこがだ?」


(;´・ω・`)「泳ぐため、早くなるためには才能がないと駄目じゃないですか...」


( ゚Д゚)「バカを言うな。なんで泳ぐために泳ぐ才能がいるんだ。泳げるようになるために泳ぐ、そうやってうまくなっていく。これじゃだめなのか?」


(;´・ω・`)「それは...まあ」

115名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:41:14 ID:pSlocj4A0
( ゚Д゚)「なら、いいじゃないか。泳げば。お前だって泳ぎたいんだろ?」


(;´・ω・`)「...泳ぎたい、そりゃ泳ぎたいですよ」


( ゚Д゚)「なら、泳げ。なんか問題でもあんのか?」


(´・ω・`)「ありますよ、それは」


( ゚Д゚)「ほう? なんにだ?」


(´・ω・`)「泳ぎたい...でも、僕には才能がないんです。泳げないんですよ。なのに泳げって...無茶苦茶ですよ」

116名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:41:59 ID:pSlocj4A0
( ゚Д゚)「...才能がない? 誰にだ?」


(#´・ω・`)「そんなの僕に決まってるじゃないですか!! いい加減にしてください!!」


( ゚Д゚)「...いや、あるじゃねーか」


僕が声を荒げたのに対し、ミルナは相変わらず落ち着いていた。
こちらを、呆れたような目で見ていた。
その目に少しだけ怯み、少しだけ冷静になる。

117名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:43:04 ID:pSlocj4A0
( ゚Д゚)「お前、スポーツをやる上で一番重要なのはなにか知ってるか?」


(;´・ω・`)「え...えーと、そのスポーツに対する才能...かな?」


( ゚Д゚)「やっぱりな。違う。才能ってのは最後の最後に付いてくるものだ。スポーツの一番大切なもの。それはそのスポーツに興味をもつことだ」


(;´・ω・`)「...え?」


なんだそれ。
本気でそう思った。
スポーツに興味をもつ?
そんなのは当たり前じゃないのか。

118名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:44:00 ID:pSlocj4A0
( ゚Д゚)「わかってねーな。興味をもたなきゃそのスポーツを好きになれねーだろ。興味をもつ、それだけでそいつにはそのスポーツをやる権利を持ってるし...ある意味、才能がある」


(;´・ω・`)「...」


( ゚Д゚)「興味をもてない。そのスポーツを好きになれない。そんなやつがそのスポーツをやる権利を持ってると思うか?」


(;´・ω・`)「それは...」

119名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:44:43 ID:pSlocj4A0
( ゚Д゚)「あくまで俺の考えだ。流して聞いてくれても構わん。だが、言わせてくれ。才能なんかいらない。そのスポーツを好きになるだけでいい。俺はそう思う」


( ゚Д゚)「いくら速くても、いくら上手くてもそのスポーツを好きになれない、本気になれないやつになんか俺はスポーツをさせたくはない。無駄だからな」


( ゚Д゚)「だが、お前は泳ぎたいっていったし水泳が好きなんだろ? なら、いいじゃねーか。俺はお前を応援するし何だって手伝ってやるよ。それが監督ってもんだろ?」


(´・ω・`)「...監督」

120名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:46:00 ID:pSlocj4A0
( ゚Д゚)「ああ、それから」


m( -Д-)m「すまなかった」


(;´・ω・`)「ええ!?」


m( -Д-)m「これは俺の責任だ」


いきなり頭を下げられる。
それも深々と。
何がどうなってるのか、頭が追い付かなくなってきている。

121名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:47:16 ID:pSlocj4A0
m( -Д-)m「...俺はお前が苦しんでるってことに気づけなかった。すまない。俺は監督失格だ」


(;´・ω・`)「い、いや...別に...」


m( -Д-)m「俺は頭がよくねぇ...そうだな、お前らが言う通り脳筋ってやつだ。理屈とかそういう難しいのは全くわからねぇ」


m( -Д-)m「だが...これだけは言わせてくれ。ショボン」

122名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:49:22 ID:pSlocj4A0
( ゚Д゚)「俺はお前が一流の選手になれるってことを心から信じてる。お前は強い。だから、今の今まで続けてこれた」


(;´・ω・`)「...」


( ゚Д゚)「だからさ...もう少しだけ、頑張ってみないか? もし、続けるんだったら今度は俺が全力で支えてやる」


( ゚Д゚)「それにさ、さっき興味云々の話したとき当たり前って顔してたろ。あれだって素直にそう思えるやつはなかなかいないんだぜ? やっぱりお前、スゲー奴だよ」


...やっぱりメチャメチャだ。
この人が言ってることは。
理屈とかそんなものはなにもない。
確証すらない。

123名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:50:59 ID:pSlocj4A0
でも...そんな言葉でも...
僕はただただ嬉しかったんだ。


(´;ω;`)「...監督」


( ゚Д゚)「なんだ?」


(´;ω;`)「まだ...まだ僕、泳ぎたいです...早く...なりたいんです」


( ゚Д゚)「そうか! ...よし! わかった!」


監督は膝を一回叩き、椅子から立ち上がる。
そして、僕の方を見て笑いながらいった。
いつもの練習の時に見せる、恐い顔ではなく穏やかで優しい顔だった。

124名も無きAAのようです:2012/09/18(火) 18:51:40 ID:pSlocj4A0
( ゚Д゚)「今日からお前専用のメニューを組んでやる! わからないことがあったらなんでも聞け! 」


(´;ω;`)「かんとくぅ...」


(;゚Д゚)「あー、泣くなって! 男だろーが!」


(´;ω;`)「あ゙い...」


駄目だ。涙が止まらない。
もうでないと思っていたのにどんどん溢れてくる。


( ゚Д゚)「そら、いくぞ。午後の練習が始まっちまう。気が晴れるまで泳いでこい!」


(´つω;`)「はいっ!!」


監督は僕の背中を力強く一回叩き、歩き出す。
監督の水泳部と書かれたその背中。
僕はその背中の大きさに憧れを抱いていた。

125名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:18:38 ID:VGtFlZBo0
おつん

126名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 00:27:43 ID:QK5chHzA0
監督漢やん
おつ

127名も無きAAのようです:2012/09/19(水) 11:10:07 ID:GHcCX/5M0
素敵

128名も無きAAのようです:2012/10/07(日) 03:33:15 ID:inM89EkwO
おーい、続きマダー!

129名も無きAAのようです:2012/10/08(月) 01:15:45 ID:xy1hfzFE0
作者です
すみません、本当にすみません
この約一ヶ月かけてまだ書けてないです......
ラストはあるんですがそこに繋げるまでのあと数話がうまくいかない状態です

なのでもう少しだけ待ってもらえるとありがたいです

130名も無きAAのようです:2012/11/14(水) 00:47:15 ID:jAO3OHKg0
頑張れお

133名も無きAAのようです:2013/11/02(土) 12:23:17 ID:XjUHdWmM0
待ってるぞー


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