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( ^ω^)は再びスタート台に立つようです

1 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:32:19 ID:FZEjhonM0
※注意
この小説は水泳ものです
水泳の用語が出てくる場合があります
一応注釈は着けますがわからないところがありましたら一言ください

2 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:33:54 ID:FZEjhonM0
7月23日


『第七コース、内藤君、VIP高校』
広い水泳関東大会会場に僕の名前が響き渡る。
そのアナウンスにのって部活の仲間たちが僕の名前を叫ぶ。
腕などの軽い運動をやめ、僕は小さく頭を下げる。


そして、もう一度、腕を回し出す。
...悪くない。
むしろ、かなりいいだろう。
しかも体が軽い。緊張はしているが体が固まってしまうどころか適度に体を興奮させていた。

3 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:34:27 ID:VbcunsIw0
なんかどっかで水泳系のブーン系ってなかったっけ?
と聞いた人か?

4 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:36:00 ID:lQtEXgbI0
おお俺あのスレいたわ
支援

5 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:36:21 ID:FZEjhonM0
小さくピッピッピと、笛がなる。
ついに。ついにこの時が来た。
台に上がり、大きく深呼吸をする。
満員の観客席からは皆の応援する声が聞こえてくる。
ドクオ先輩やショボンの声が聞こえてくる。
ああ、やれる。
僕ならやれる。
僕はインターハイに行くんだ。


『よーい...』


その一言に会場が、静寂で満たされる。
まるで、 世界中から音がなくなったのではないかと錯覚するほどの静けさ。
ただただ僕の心臓の音だけが聞こえる。


そして。

6 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:39:42 ID:FZEjhonM0
会場内に機械的な銃声が鳴り響いた。


( ^ω^)「っ」


レースが始まった。


( ^ω^)「(...おお)」


進む。進む。
飛び込み、泳ぎだすと同時にそう感じた。
一かきの重さが手に伝わってくる。
まるで自分を包むかのように水が流れているような錯覚を覚える。
25M、50M、75M...


( ^ω^)「っ!!」


残り、25M。
自分のもつ、全てをここで出しきる。
手を、足を、ただただ動かし少しでも遠くの水を掴もうと前に進んでいく。

7 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:42:21 ID:FZEjhonM0
赤い、ラインが見えた。
残り5M。
もう、最後だ。
腕にありったけの力を注ぎ込む。
呼吸を止めろ。
腕を回せ。
足を動かせ。


ゴールは、すぐそこだ。


(; ^ω^)「ップハッ!!」


ゴールと同時に空気が体に一気に流れ込む。レースは終わったのにまだ体が興奮している。
まるで体が泳ぎ足りないといってるのような錯覚を覚える。
最高の気分だ。
恐らく、北島が優勝した時もこのような感覚だったんだろう。
ひたすら今が気持ちよかった。

8 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:43:53 ID:FZEjhonM0
不意に会場内にワアア!!と歓声が沸き起こった。
恐らく、インターハイ出場者が出たのだろう。
僕もその声につられ、今のレースの結果が映し出された電光掲示板を見る。


( ^ω^)「...」


(; ゚ω゚)「...あ?」


記録は...53秒40
順位はこのレースで5位。
インターハイ出場に約0,1秒足りないその記録。
無情に響く、その歓声のなか、僕の二年目の夏は終わった。

9 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:46:46 ID:FZEjhonM0
その後のことはよく覚えていない。
話によれば虚ろな目で戻ってきたと思えば、そのまま体育座りをしてブツブツ何事かを呟いていたらしい。


それだけ、悔しかったということだ。
あそこまでいい泳ぎはなかなかできない。
もしかしたら来年になっても越えられないのではないかと思うほどの出来映えだった。
しかし、そんな泳ぎてあっても悔やむ点は思い出せば思い出すほどある。

10 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:48:10 ID:VbcunsIw0
二年の夏が終わったあとか……時期設定がワクワクするな

11 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:48:57 ID:FZEjhonM0
( ゚ω゚)「(もしあそこでキックをもう少ししてたら...あそこで呼吸しなかったら...あそこで...あそこで...)」


後悔は拭いきれてない。
もう、大会は何日も前のことなのに。
何日前のことなのか、カレンダーを覗いてみる。
...カレンダーはいつの間にか八月に入っていた。


もう、一週間以上経っているのか。まだ、数時間前のことのように感じる。
あの日以来、僕は練習に出ていない。
いや、出れるわけがないの方が正しいか。こんなみっともない姿を誰にも見せたくない。
メールで励ましの言葉がたくさん来ていたがどれも悔しさをよみがえらせるだけだった。

12 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:52:50 ID:FZEjhonM0
( ゚ω゚)「...インターハイ......行けたはずなのに...チクショウ......」


( ; ω ; )「チクショウ!!!」


まただ。また、堪えきれなくなってしまった。
悔しさがどんどんと溢れてくる。
涙が、ただあふれる。
あんなに練習したのに。
あんなに応援されてたのに。


(  ; ω ; )「ヴゲェ...」


吐き気がする。
何もかも吐いて、楽になりたい。
今は、何もかもが苦しい。
その日、僕はただ泣くことしか出来なかった。

13 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:54:51 ID:FZEjhonM0


( ^ω^)「...あれ?」


窓から射す光がいつの間にか茜色に変わっていた。
どうやら少し、寝ていたようだ。
窓を少し開けると夏の暑い空気がクーラーの効いた部屋に流れ込み、冷えきった僕の体に少しだけ暖かさを与える。


近くの公園からは小さな子供たちの声が聞こえる。
夕方だといえまだ暑い。
よく、こんななか遊ぼうと思うなと少しだけ思った。
そんなことを考えながら、目をほそめ公園に目を向けてみる。どうやら幼稚園児くらいの子供がホースで水遊びをしているようだ。

14 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:56:17 ID:FZEjhonM0
( ^ω^)「...楽しそうだお」


小さいとき同じことをしたな、とふと思い出した。
ちょうどあの子供たちぐらいの時だっただろうか?
僕が水泳を始めたのは。
床に座りこみ、思い出そうと必死に考えてみたがどうやらすっかり忘れてしまったらしい。


( ^ω^)「...なーんで水泳を始めたんだっけ?」


大切だったようなそうでもなかったような、曖昧な思い出だが確かに僕は小さな時の僕を忘れていた。
あの頃の僕は何を感じ、何を思い泳いでいたのだろうか。
それすらも思い出せない。

15 名も無きAAのようです :2012/07/30(月) 23:57:41 ID:FZEjhonM0
ただ、なんとなく。
なんとなくだが。


( ^ω^)「...泳ぎたいお」


あの頃の僕もただひたすらに泳ぎたい気分だったような気がした。

16 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:01:45 ID:8DXibxRk0
~swim-record~


( ^ω^)内藤ブーン(17)


Style1:Fr
50Fr 25,02
100Fr 53,40
200Fr 1,56,37


※補足説明
(インターハイ出場について)
水泳のインターハイに出る条件は関東エリアでは

1:関東大会にて上位3位にはいる
2:インターハイ制限タイムを関東大会で切る

のどちらかとなっています

17 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:08:59 ID:8DXibxRk0
8月2日


久しぶりに学校に来た気がする。
まあ、夏休みだからそれが当たり前といっては当たり前のはずなのだが。


自転車を学校近くの駐輪場に止め、お気に入りのパックのコーヒーを飲みながら校内に入っていく。
目指すは部室棟。
学校の構造上、部室棟にいくのには学校の校舎内を突っ切らなくてはいけないのだがこれがいちいちめんどくさい。

18 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:11:27 ID:8DXibxRk0
( ^ω^)「ダリーお」


玄関で靴を上履きに履き替えロビーを歩く。
天井がガラス張りになっているロビーは夏の日差しをモロに校内に取り込み、暑い。
まだ朝の9時前だというのにこの暑さは流石に萎える。
この暑さだと水も気持ち悪いくらいぬるく、泳ぎづらいだろう。
額に浮かぶ汗を拭いながら泳ぎたいと思っていた気持ちが少しずつ萎えていく。

19 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:12:27 ID:8DXibxRk0
( ^ω^)「室内プールがあるとこ行けばよかったお......」


文句を垂れながらも部室にたどり着き、扉を開ける。
扉が開くと同時にむわっとした熱気と塩素の臭いが溢れてくる。
なんとなくその熱気と塩素の臭いが懐かしいと感じながら中に入っていく。
中には数人の生徒と、今最も会いたくない奴がいた。


( ^ω^)「...あ」


( ゚Д゚ )「.....」


(Д゚ )プイ


( ^ω^)「......監督」

20 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:16:05 ID:8DXibxRk0
監督のミルナが、そこにいた。
声をかけられはじめて気づいたかのように振る舞いながらこっちに振り向いた。
威圧をしてるつもりなのか、少しだけこっちに詰め寄ってくる。
もとの体の小ささもあり全く無意味なのだが気づいているのだろうか?


( ゚д゚ ) 「ほう...なんだ来てたのか。関東大会の日から来なくなったからてっきり引退したのかと思ってたぞ? そんなに悔しかったか? インターハイ行けなくて」


相手の気持ちも考えずグサリと来る言葉を直接言ってきた。
相変わらず、嫌なやつだと思った。


( ^ω^)「......すみませんでしたお」


( ゚д゚ )「俺は別に謝れとは一言もいってないぞ? んん? で、何しに来たんだ? 引退届けなら職員室の顧問の荒巻先生がくれるぞ?」


( ^ω^)「......また泳がせてください」

21 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:16:59 ID:8DXibxRk0
この言葉を聞いたミルナは大きく、僕に聞こえるようにため息をついた。
あまりに大袈裟な身ぶりで馬鹿にされてるのがよくわかった。
ミルナはムカつくようなにやつき顔で話始めた。


( ゚д゚ )「......お前さ、お前みたいな適当なやつを泳がせると思うか? うちはクラブじゃねぇ。チームなんだ。わかるか? 一人でも適当な奴がいるとまわりも腐るんだよ。いいか? 俺は別にてめぇが嫌いな訳じゃねえ。だけどな、自分勝手な野郎にうちで泳がせる訳にはいかねーんだよ。でさ、どーなの? どうしても泳ぎたいのか?」


( ゚ω゚)「(この脳筋野郎が...)」


小さく口で呟きながら頭をさらに下げる。
向こうもこっちが謝るとわかっているからかニヤニヤ笑いながらこっちをみていた。
糞野郎。この言葉がよく当てはまる。そう思った。

22 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:19:45 ID:8DXibxRk0
( ^ω^)「......泳ぎたいんです。お願いしますお。ここで泳がせてください」


( ゚Д゚ )「フーン。あ、そ。じゃあ今日お前、エベレストな」


( ^ω^)「......は?」


( ゚Д゚ )「は? じゃねぇよ。エベレストだ。ちなみに登り下りだぞ。泳ぎたいんだろ? 嬉しいだろ? たくさん泳げて」


( ^ω^)「......ありがとうございますお」




※エベレスト
この学校のメニューのひとつである。
8800M前後を半日で泳ぐメニュー。
つまり、午前と午後、合わせて17600M泳ぐ。
ブーンの知る限り最も嫌な練習のひとつである。

23 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:22:35 ID:NvoWlxrU0
ペロッ……これは体験談!
選手育成のスイミングスクール通ってたが、アップが50mを10本で死にかけたことあったな
それが霞む距離だ。17kmて……

24 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:22:53 ID:8DXibxRk0
( ゚Д゚ )「後で8800Mの内訳教えるから今のうちにアップしとけよ。ま、頑張りな」


ケタケタと笑いながらミルナは部室から出ていった。
耳のなかにミルナの糞みたいな声がこびりついているような錯覚を覚える。
怒りで、頭がグラグラした。


('A`)「......ブーン、大丈夫か?」


( ^ω^)「...ドクオ先輩」

25 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:26:02 ID:8DXibxRk0
ミルナがいなくなるのを確認するとこの部活のエース、ドクオ先輩が話しかけてきた。
それにつられてか、部室にいた仲間が皆、僕に話しかけてきた。
口々に皆がミルナの悪口を言っていく。
少しだけ、心が軽くなった。


('A`)「...脳筋の野郎、嫌なやつだぜ。本当に」


( ^ω^)「...サボってた僕も悪いんだお。こうなるのはわかってたのに」


('A`)「だからってよぉ...そうだ、今日のエベレスト。俺もやるよ。一人でやるよりマシだろ?」


(; ^ω^)「それは駄目ですお!! ドクオ先輩、インターハイあるのにこんな無茶なメニューしちゃ」


言ってから思い出した。
そうだ。ドクオ先輩にはインターハイがあるはずだ。なのに、なんでこんなにのんびりとしているのか。
調整したいとか、試合に向けてやることとかはないのか。

26 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:27:04 ID:8DXibxRk0
('A`)「なーに、まだ二週間も先の話さ。別に大会は大丈夫だよ。それに、どーせ脳筋の野郎は調整なんて考えないメニューだろうし」


その言葉は僕を少しだけ苛立たせた。
僕の目標のインターハイを別にとかで片付ける。
普段なら恐らく気にも止めないであろう、その言葉。
だが、何故か今はその一言でむしゃくしゃする。


( ^ω^)「...気持ちだけで十分ですお。僕は僕でやりますお」


('A`)「...そっか。んじゃ、頑張りな」


ドクオ先輩はやさしい。というか優しすぎるくらいだ。
先輩後輩関係なく誰にでも優しい。僕の、数少ない尊敬している先輩だ。
だけど、インターハイに行けなかった悔しさのせいか、インターハイに行ったドクオ先輩が少しだけうざかった。

27 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:28:16 ID:8DXibxRk0
~ swim-record ~


( ゚Д゚ ) 湖土ミルナ(20)


Style1:Fr
50Fr 26, 54
100Fr 58,24
200Fr 1,59,57
(この記録はミルナの現役時代のベストのものである)


('A`)鬱蛇ドクオ(18)


Style1:Ba
50Fr 24,78
100Fr 53,90
50Ba 26,06
100Ba 56,43(インターハイ出場)
200Ba 2,05,13(インターハイ出場)

28 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:33:38 ID:8DXibxRk0
今日はここまでにします
まさか、あのときの総合の人がいるとは思いませんでした

ちなみにエベレストは自分で勝手に考えたメニューです
自分だったらどんなメニュー嫌かなと考えた結果、あれになりました
是非一度、やってみてね!!
それではこれで

29 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 00:38:25 ID:NvoWlxrU0
乙です。

記録のFrとかの解説欲しいなぁ。
昔やってたスポーツとかだと、やっぱり惹かれてしまうね。楽しみにしてるよ!

30 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 21:06:03 ID:9lmSPPrIO

なかなか面白そうだな
続きに期待する


あと、出来れば長セリフにも改行入れてほしいな
PCで(jane)で見る時IDのポップアップでデスクトップが埋まる

31 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 21:46:09 ID:8DXibxRk0
あ、その注釈つけるの忘れてました

Fr→自由形
Ba→背泳ぎ
Br→平泳ぎ
Fly→バタフライ

の略称です
あとstyle1というのはその人が一番得意な種目ということです
横の数字は距離(M)です


ちなみにインターハイの男子制限タイム
100Fr 53.25
200Fr 01:55.3
100Ba 59.83
200Ba 02:08.7
となってます


>>30
改行ですか。
了解です。次から気を付けます。

32 名も無きAAのようです :2012/07/31(火) 22:07:42 ID:9mDCKODUO
自分も高校の時水泳してたから支援!!!

Brは誰が出るのか気になるわぁ

33 名も無きAAのようです :2012/08/01(水) 13:38:24 ID:IGB1YzO60
3点リーダーにすごい違和感あるけど、話は面白そうだ
続きに期待する


34 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:24:08 ID:N1T6koSQ0
( ゚Д゚ )「おーし、お前ら。気合い入れろよ! 途中でへばんじゃねーぞ!!」


ミルナのやる気の入りまくった声が屋外のプールに響く。
その声に対する返事は小さく、やる気が感じられないものばかりだった。
もちろん、僕は返事はしない。こんなにイラついてるのに返事なんて出来るわけがない。


(*゚撿゚)「ほらほら、ブーン君。ちゃんと返事して」


( ^ω^)「...しぃ先輩」

35 >>34修正 :2012/08/03(金) 00:26:28 ID:N1T6koSQ0
( ゚Д゚ )「おーし、お前ら。気合い入れろよ! 途中でへばんじゃねーぞ!!」


ミルナのやる気の入りまくった声が屋外のプールに響く。
その声に対する返事は小さく、やる気が感じられないものばかりだった。
もちろん、僕は返事はしない。こんなにイラついてるのに返事なんて出来るわけがない。


(*゚ー゚)「ほらほら、ブーン君。ちゃんと返事して」


( ^ω^)「...しぃ先輩」

36 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:27:20 ID:N1T6koSQ0
そんな僕の様子を見かねたのか、しぃ先輩が近づいてきた。
猫田しぃ。僕の二年年上の先輩で現この部活のコーチである。
スタイルもよく、僕達男子部員のアイドルのような存在でもあったりする。
そしてなにより、あの監督とは違い、優しい。


( ^ω^)「(しぃ先輩が監督だったらなぁ...)」


本気でそう思う。
というか、この部活のほとんどの人がそうかんがえてるのではないか。
そんなことを思っているとしぃ先輩が僕のメニューを書いた紙を見ながら少し驚いた顔をしていた。

37 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:28:11 ID:N1T6koSQ0
(;*゚ー゚)「うわっ、なにこのメニュー...これ、ブーン君専用メニューかなにか?」


( ^ω^)「ですお」


(*゚ー゚)「もしかしてまたミルナ君が?」


( ^ω^)「まあ、今回のはサボってた僕も悪いですし...」


(*゚ー゚)「んー、そうかもしれないけど」


少し困ったような顔でこっちを見ているしぃ先輩。
...ありだな。
夏の日差しを浴びている少しだけ茶色の髪の毛がキラキラと輝いている。それにこの、なんとも言えない水泳で引き締まった...

38 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:28:28 ID:ueF.mP3k0
キター

39 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:29:36 ID:N1T6koSQ0
ξ#゚撿゚)ξ「なーに、鼻の下伸ばしてんのよ。この豚!!」


(; ^ω^)「うおっ!! 冷た!?」


頭の上から氷が降ってきた。
犯人は顔を見なくてもわかる。
水泳部マネージャーの、ツンだ。
手に持ってるスクイズをギリギリと握りつぶしながらこちらを鬼の形相で睨んでいた。


(; ^ω^)「(こえぇ、修羅が後ろにいるよ)」


ξ#゚撿゚)ξ「あーんーたーねー、朝から盛ってんじゃねーよ」


(; ^ω^)「ちょっ!! 酷い言いがかりだお!!」


(*゚ー゚)「あらあら、ブーン君も男の子だねぇ...」

40 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:30:16 ID:N1T6koSQ0
(; ^ω^)「それはこいつの勘違いですお!! 僕はなにも!!」


ξ゚撿゚)ξ「だったら、その下のやつどうにかしたら? さっきからみっともないんだけど」


( ^ω^)「下?」


( ^ω^)


( ^ω^)「...oh」


見事なまでに山が出来上がっていた。
しかも僕の水着はボックス水着のためかなり目立っている。というか、くっきり形が見えてる。
しかも、これは...

41 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:31:13 ID:N1T6koSQ0
ξ゚撿゚)ξ「短小」


(;  ω )「グハッ!!」


言われたくなかったことを言われた。しかも、直接。女子に。
厄日だ。確実に厄日だ。
ほら、止めてくれよ。周りの皆もなんかヒソヒソ話しながらこっち見てるから。


ξ゚撿゚)ξ「ほら、どうしたの短小。さっさとやんないと終わんないんでしょ? 短小は短小らしくさっさとしなさいよ」


(  ω )「ツン、僕が悪かったお...だから、もう」


ξ゚撿゚)ξ「当たり前でしょ短小。さっさと練習始めなさいよ短小」


(  ; ω ; )「畜生おおおおお!!」

42 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:32:14 ID:N1T6koSQ0
(;'A`)「うわぁ...ひでぇ」


( ゚д゚ )「ん? ドクオ。なんでお前泳いでないんだ?」


('A`)「あ、監督。俺、インターハイに向けて調整を」


( ゚д゚ )「腹筋背筋腕立てそれぞれ1,000回と泳ぐの。どっちがいい?」


(ノ∀`)「いってきまーす」


暑い夏の日差しのなか、生ぬるい水に飛び込む音が響き渡る。
今日も一日、練習が始まる。
ちなみに、この日僕は憂さを晴らすかのように18kmを泳ぎきるという偉業を成し遂げた。

43 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:33:02 ID:N1T6koSQ0
~swim-record~


(*゚ー゚)猫田しぃ(19)


Style1:Fly
50Fr 33,14
50Fly 34,59
100Fly 1,19,13
(この記録はしぃが現役時代のベストの記録である)

44 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:36:18 ID:N1T6koSQ0
今日の練習は夏の大会が終わったチームとは思えないほど辛いものだった。
大会の時のような泳ぎ終ったときの爽快感はなくただただ体が疲れはてていた。
しかも、手足が水に慣れてしまっているせいかとてつもなくダルい。着替えるのも嫌になってくる。


(;  ゚ω゚)「死ぬかと思ったお...」


(;゚A゚)「おお...だな...」


(;  ゚ω゚)「本当に鬼畜だお、あの脳筋」


(;゚A゚)「だな。まあ、あいつらに比べりゃいいほうか」


( ^ω^)「あいつら?」


('A`)σ「ほら、あそこの」


( ^ω^)「...?」

45 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:37:19 ID:N1T6koSQ0
もう、練習が終わってから数十分経っている。ほとんどの生徒が帰っているはずだ。
しかも、はっきりいって今の部室に他の人の気配などない。一体、どこにいるというのか。
ドクオ先輩が部室の一番奥を指差す。
その指し示す方に視線を向けていくと。


(;´ ω `)(; _ )チーン


(;  ゚ω゚)「うわあああああ!?」


死体がそこにはあった。
部室内のベンチに倒れこみ、手はだらりと下を向いている。
しかも、僕の叫びにもなんの反応がない。
生きてるのか、本当に。

46 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:38:22 ID:N1T6koSQ0
(; ^ω^)「ショボン! ヒッキー! 大丈夫かお!?」


('A`)「駄目そうだな、返事がない」


(; ^ω^)「なんでこんな無惨な姿に...」


よく見てみると息だけはしっかりしてるのか、胸が少しだけ上下している。
だが、目が虚ろだし汗かなんだかよくわからない液体が滴ってる。
今日、こいつらは家に帰れるのだろうか。

47 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:40:07 ID:N1T6koSQ0
('A`)「こいつらさ、高校から水泳始めた初心者だろ?」


( ^ω^)「お? 確かそうだけど...それがどうかしたのかお?」


('A`)「ほら、この間まで初心者のために初心者コースがあっただろ? 今日からなくなったんだよ、それ」


(; ^ω^)「あー、それでかお。でもこんなに死ぬものかお?」


('A`)「初日から100M×10本。しかもAll outだ」


( ^ω^)「ごめん。それ死ぬ」


※All out
スイムメニューの1つ
名前の通り、すべてを出しきるということ
つまりは泳ぐペースをレースと同じくらいにして本気出せという意味

48 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:41:00 ID:N1T6koSQ0
( ^ω^)「てか、それ僕でもキツいお? マジでやったのかお?」


('A`)「ちなみに俺はハイポ5だった」


( ^ω^)「なにその鬼畜」


※ハイポ
スイムメニューの1つ
呼吸制限のこと
ハイポ5とは5回手をかく毎に一回の呼吸という意味
一見楽そうにも見えるがやると死ぬ

49 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:43:01 ID:N1T6koSQ0
( ^ω^)「なんか今日、脳筋が異常なまでに張り切ってるお。なんかあったのかお?」


('A`)「多分、今日はお前来たからだと思うぞ? だって今日、お前苛めんのめっちゃ楽しそうにしてたぞ」


( ^ω^)「え? マジかお?」


('A`)「おう、お前が来るまでは部室ではなんかずっとダリィぐらいしか言ってなかったし」


( ^ω^)「僕が標的かお...最悪だお...」


一気に萎える。
ただでさえ疲れているのに。
確かに思い返してみると一年の時からよくミルナに弄られてたような気がする。
あの時はまだ部活に入りたてでよくわかっていなかったが今、ようやくわかった。
あの時から、もう僕が狙われてたんだ。

50 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:44:39 ID:N1T6koSQ0
( ^ω^)「糞くらえだお」


('A`)「ハハッ、だな。っと、そろそろ下校時刻だな...ほら起きろ、帰るぞ」


ぺちぺちと軽く、ドクオ先輩がショボンとヒッキーの頬を叩く。
小さなうめき声が聞こえたかと思うとふらふらとゆっくりと二人は目をさました。


(´・ω・`) 「んん...?」


(-_-)「...ううん」


( ^ω^)「おはようだお」

51 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:45:21 ID:ueF.mP3k0
4回に一回がちょうどいいくらいだったな。一回増えるだけで地獄になるが

52 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:45:34 ID:N1T6koSQ0
(´・ω・`)「あれ? ここ...」


(-_-) 「...ん、あれ? 夜?」


('A`)「そうとう疲れたみたいだな。練習終わって部室で寝てたんだよ」


(;-_-)「ああ...なるほど。わざわざありがとうございます」


ヒッキーがこれでもかというくらいに頭を下げてくる。
礼儀正しいのはいいことだがここまでやられると少しなんか申し訳ない。

53 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:46:37 ID:N1T6koSQ0
('A`)「とりあえず学校から出るか。学校が閉まっちまう」


( ^ω^)「だお。これで先公に怒られて部停になったら笑えないお」


部室の時計をみると、針は6時50分を指し示していた。
僕の学校は7時以降、学校にいるのは禁止だ。
部活でもなんでも残っているのが確認されると校則違反として罰が与えられる。
正直、6時過ぎまで泳ぐ僕たちにとってこの校則は辛い。

54 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:47:34 ID:N1T6koSQ0
(; ^ω^)「ほら、走るお!! 早くしないと本当に閉まっちゃうお!!」


(;´・ω・`)「あ、足が...足がぁ...」


(;-_-)「体が、フラフラする」


(;゚A゚)「フー、フー!!」


(; ^ω^)「って、なんで一番ドクオ先輩が疲れてるんですかお!!」


なんとか校内を走り抜け、校門から外にでる。
すっかり日がくれ、夜になっているがやはり夏。
蒸し暑い空気が辺りを包み、走ったのもあるが額に大粒の汗をかく。
手の甲で拭いながら腕時計を見て見る。
時間は7時ジャスト。ほんと、ギリギリだったようだ。

55 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:48:35 ID:N1T6koSQ0
( ^ω^)「セーフみたいだお」


(;'A`)「あっぶねぇ...ああ、疲れた」


(;-_-)「すみません。迷惑かけてしまって」


('A`)「いいんだよ、こんくらい。それに俺たち仲間だろ? そんなにかしこまんなくていいぞ」


ドクオ先輩のその言葉にショボンとヒッキーは少し困った顔をする。
なんとなく、その気持ちはわかる。
かしこまらなくていいと言われても相手はこの部活で最速の大先輩。
これに臆さない一年はなかなかいないだろう。

56 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:49:16 ID:N1T6koSQ0
(;´・ω・`)「で、でもドクオ先輩はメチャクチャ速いし...」


('A`)「カーッ、んなのどーでもいいんだよ!! 同じチームにいる仲間。それでいいだろ」


(-_-)「で、でも」


('A`)「俺さ、お前らのこと大分尊敬してんだぜ?」


(´・ω・`)「え?」


予想外の一言にショボンとヒッキーが驚く。
ドクオ先輩は少し笑いながら話を続ける。

57 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:50:32 ID:N1T6koSQ0
('A`)「初心者なのに毎日、部活ちゃんときてさ、サボらず頑張ってんのを俺は知ってる。俺さ、昔練習ダルかったときはサボったりしてたのにさ、スゲーよお前ら」


(*-_-)「そ、それは...まあ...」


(´・ω・`)「...」


('A`)「だからさ、もっと打ち砕けていこうぜ? これからも、仲良く頑張っていこう的な感じでさ」


(*-_-)「はい! わかりました!!」


(´・ω・`)「...わかりました」


( ^ω^)「(...あれ?)」

58 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:51:57 ID:N1T6koSQ0
(-_-)「っと、ドクオ先輩。僕たち、帰り道こっちなんでここで」


('A`)「ん? おお、そうか。じゃあな」


(-_-) (´・ω・`)「お疲れさまでーす」


二人は駅の方へ向かっていく。
やはり疲れているのか、その歩くスピードは遅い。
そんな後ろ姿を眺めながらさっきの会話を僕は思い出していた。

59 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:52:43 ID:N1T6koSQ0
( ^ω^)「(...ショボン、なんか変だったお。あんなにドクオ先輩に誉められてるのに嬉しそうにしていないなんて。なんかあったのかお?)」


('A`)「おーし、帰ろうぜブーン。て、どした? 考え事か?」


( ^ω^)「ドクオ先輩。なんかショボン、変じゃなかったですかお?」


('A`)「ショボンが? んー、確かにそんな感じはしたが...まあ、疲れるだけじゃないか? あいつのスピードだとまだまだ今日の練習はキツいだろうし」


( ^ω^)「(本当にそれだけなのかお? なにか嫌な感じがするお...)」」


確かにショボンははっきりいって泳ぐのは遅い。
運動が苦手なのか入部当初は溺れかけていたほどだ。
だが、本当にそれだけなのか。

60 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:54:07 ID:N1T6koSQ0
ショボンの顔を少し思い出す。
あの、ドクオ先輩の言葉を聞いたときのあの顔。
ほんの、ほんの少しだが。
どこか、辛そうに思えた。


( ^ω^)「...ドクオ先輩」


('A`)「ん? どした?」


( ^ω^)「用事ができたんで先帰っててくださいお」


('A`)「え? どこいくの? ゲーセンなら着いていくぞ?」


( ^ω^)「邪魔なんで、できたらついてこないでくださいお」


('A`)「...軽くひどくね?」


ポツリとドクオ先輩がなにか言ったが気にしてはいられない。
僕は走りながら電話帳を開き、名前を探す。

61 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 00:56:56 ID:N1T6koSQ0
(; ^ω^)「頼むから出てくれお、ショボン」


目的の名前を見つけると、すぐに電話を掛ける。
トルルルル...トルルルル...
僕は夜の街を走りながらショボンの後を追う。
手のなかの電話は呼び出し音がただただ虚しく鳴り続けていた。

62 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 01:01:14 ID:N1T6koSQ0
~swim-record~


(´・ω・`) 一並ショボン(16)

style1:未定
50Fr 45,32
50Br 46,29


(-_-)陽木小森(16)


style1:Br
50Fr 36,23
50Br 39,89

63 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 01:05:26 ID:N1T6koSQ0
今日はここまで
眠いのでもう寝ます

64 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 23:48:11 ID:cqILONjs0


呼んでると気持ちいいな

65 名も無きAAのようです :2012/08/03(金) 23:48:55 ID:cqILONjs0
読んでると

66 名も無きAAのようです :2012/08/14(火) 19:28:24 ID:jER91LVg0
感想じゃなくて早く続き書けよ

67 名も無きAAのようです :2012/08/14(火) 21:13:48 ID:Z54fn/zM0
爽やかすぎてまぶしい

68 名も無きAAのようです :2012/08/15(水) 00:22:57 ID:L6CpHLMQO
自ら晒したんだから、必ず完結しろよ 
この作品楽しみにしてるんだから

69 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 19:57:59 ID:f48ynO.I0
トルルルル...トルルルル...


ガチャ


(´・ω・`) 『あれ? ブーン先輩、どうかしましたか?』


やっと、出た。
それだけでなぜかものすごく安心する。


(; ^ω^)「ショボンッ!」


(;´・ω・`)『うわっ!? ビックリした...いきなり叫んでこないでくださいよ』


(; ^ω^)「ごめんお。ショボン、今から会えるかお?」


(;´・ω・`)『え? はぁ、まあ大丈夫ですけど...え、でもさっき別れたばっかじゃ...』


(; ^ω^)「よし、ならヌルポ公園に来てくれお。じゃ、待ってるお」


(;´・ω・`)『え!? ちょっと話くr』ガチャ

70 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 19:58:41 ID:f48ynO.I0
なんか言っていた気がしたが気にせずに電話をきる。
少し走るのをやめて、呼吸を整える。
暑い空気が肺の中に広がり、少しだけ苦しい。


(; ^ω^)「ハァハァ...」


公園まではまだ少しある。
疲れが溜まり、少し痛む足をやさしく揉む。
ちょっとだけ、痛みが和らいだ気がした。


( ^ω^)「さ、もう一走りだお」


もう、会う約束したのだから走る意味はあまりない。
だけど、少しでも早く、この胸のモヤモヤをどうにかしたかった。

71 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 19:59:49 ID:f48ynO.I0
(´・ω・`)「...あ、今晩は、なのかな?」


公園につくとショボンはベンチに座って待っていた。
少し待たせてしまったのかショボンの手には一冊の本があった。
どうやら、少し待たせてしまったらしい。


(; ^ω^)「ごめんだお、いきなり呼び出して...少し、待たせてしまったかお?」


(´・ω・`)「いえ、それは大丈夫ですけど...どうしたんですか?」

72 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:01:44 ID:f48ynO.I0
さて、どう切り出せばいいのだろうか。
なんとなく、直接言うのは気が引ける。
だからといって代案があるわけもない。
ほんの数秒だけ悩んで、考えるのをやめた。
もう、言ってしまおう。


( ^ω^)「...さっきのドクオ先輩との会話のことなんだけど」


(´・ω・`)「!!」


ショボンが驚いた顔をする。
そんなに、驚くことなのだろうか。
必死に動揺を隠そうとしてるが隠しきれていない。
やはり、何かあるのだろう。

73 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:02:45 ID:f48ynO.I0
(´・ω・`)「...それがなにか?」


( ^ω^)「いや、なんかあんまり嬉しそうじゃなかったなーって思って...なんか悩みでもあるのかお?」


(´・ω・`)「悩み、ですか? 悩み...あ」


( ^ω^)「お。やっぱりあるのかお。もし、言いづらくないものなら教えてほしいお! 力になるお!」


(;´・ω・`)「...」


ショボンは座ったままうつむき、なにも言わない。
まるで僕を拒絶するような空気を纏っていた。

74 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:05:57 ID:f48ynO.I0
(; ^ω^)「あ! 本当に嫌なら言わなくてもいいんだお!」


(;´・ω・`) 「...ううう」


(; ^ω^)「だから、ほら、そんなに悩まないでお」


そのまま、ショボンは頭を抱えてしまった。
元から小さいショボンの体がいっそう小さく見える。

75 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:08:22 ID:f48ynO.I0
(; ^ω^)「...ごめん。ツライ思いをさせてしまったかお?」


(;´・ω・`)「...大丈夫です。いずれは話さないといけないことなんですし」


( ^ω^)「話さないといけないこと?」


(;´・ω・`)「はい、僕は...その、えっと、僕」


意を決したのか、深呼吸をして目をこちらに向けながらこう言った。


「水泳部、やめようと思うんです」

76 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:09:11 ID:f48ynO.I0
( ^ω^)


( ^ω^)


(; ^ω^)「...え?」


今、何て言った?
辞める? 水泳部を?
ショボンが?
予想していなかった答えに僕は驚きを隠せなかった。

77 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:10:11 ID:f48ynO.I0
(; ^ω^)「え、あ、いや、えーと、なんで? なんでいきなり」


(;´・ω・`)「それは、その、僕には才能がないみたいだし...練習も辛いし...その...」


(; ^ω^)「いや、でも!!」


何かを言いたかった。
でも、言葉が出ない。
力になるっていったのはどこの馬鹿だ。

78 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:11:59 ID:f48ynO.I0
(;´・ω・`)「いいんです。もう、決めたんです」


(; ^ω^)「でも、でも!! ショボンは頑張ってるじゃないかお!! ほら、ドクオ先輩だっていってたお? ショボンは頑張ってるって!!」


(;´ ω `)「...」


ショボンの顔が辛そうに歪んでいく。
でも、僕は話すのをやめなかった。
少しでも、ショボンを元気付けたかった。


(; ^ω^)「練習には真面目に来てるし! 言われたことを必ずやってる! 大丈夫だお!! いつか絶対に」


(;#´・ω・`) 「報われなんかしない!!」

79 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:13:53 ID:f48ynO.I0
ショボンが勢いよく立ち上がった。
見たことのないほどの激昂。
目に涙をため、僕を睨んでいた。


(;#´・ω・`)「どんなに努力しても速くなれない!! なのに同じことしかしてないヒッキーにはもうぼろ負け!!
同期で、初心者で同じ時にスタートを切ったはずだったのに!!」


(; ^ω^)「ちょっ、落ち着けお!!」


ショボンはまるで、今まで溜めてきた怒りを全て撒き散らすかのように叫んでいた。
いつも落ち着いている、静かなショボンとは思えない。

80 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:14:52 ID:f48ynO.I0
(; ^ω^)「ショボンの気持ちは痛いほどよくわかるお!! でも、頑張れば...」


(;#´・ω・`)「ブーン先輩には絶対にわかりません!! 僕の気持ちは絶対に分かる訳がッ!!」


(; ^ω^)「っ!!」


(;´・ω・`)「あ...」


僕が怯んだのを見て、少しショボンはたじろぎした。
ショボンからさっきまでの勢いはなくなっていた。
お互いに気まずい空気が辺りを漂う。

81 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:18:42 ID:f48ynO.I0
(;´・ω・`)「...すみません」


(; ^ω^)「いや、その...僕も悪かったというか、その」


(;´・ω・`)「もう、帰りますね」


(; ^ω^)「あ...」


そのまま、ショボンは帰ってしまった。
何も、できないまま終わってしまった。
僕は何をやってるんだ。

82 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:23:09 ID:f48ynO.I0
( ^ω^)「人の傷口広げるだけ広げて何もできないとか...かっこ悪...」


インターハイにも出れない。
後輩の相談もろくに出来ない。
なんなんだ、僕は。


( ^ω^)「ダメダメじゃん、僕」


呟いて気付いた。
最悪だ、僕。


(  ; ω ; )「チクショウ...」


泣くことしか出来ない僕が酷く惨めだと思った。

83 名も無きAAのようです :2012/08/16(木) 20:25:07 ID:f48ynO.I0
今日はここまで。
結構時間空いたのにこれだけしか書けてなくてすみません...

84 名も無きAAのようです :2012/08/17(金) 01:00:23 ID:WMxOVpRk0
頑張っても、どうしたって水泳は個人差が出るもんな……
自分のペースで構わないから逃亡だけはするなよ!

85 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:30:20 ID:MYtgS7OY0
8月3日


( ^ω^)「眠いお...」


昨日がいつの間にか終わっていた。
家に帰った後、泣き疲れてそのまま眠ってしまったようだ。
固い床で寝ていたせいか身体中が痛む。


( ^ω^)「部活休みてー」


固まった体を少しでも動かそうと腕を回したりしながら朝食の準備をする。

86 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:32:29 ID:MYtgS7OY0
こうゆう時、いつも一人暮らしをしようと思った自分を恨んでしまう。
本当にあのときの自分はどうかしていた。
一体何を考えて一人暮らしをしたいと思ったんだろうか。
少し思い出そうとしたが思い出せない。
まあ、どうせ大したことじゃないだろう。


( ^ω^)「さ、食べますか」


今日の朝食はベーコンエッグとコーンポタージュ。僕の大好物だ。
これで少しでもテンションをあげるとしよう。

87 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:33:51 ID:MYtgS7OY0
( ^ω^)「風が気持ちいいおー」


自転車に乗り、学校へと向かう。
夏休みの通りは人が少ない。近くの公園も子供たちは旅行に行っているのか、声が全くしない。
夏休みなのに活気がないこの町は、なんか少しだけ寂しい気がする。


( ^ω^)「お? おーい、流石君たちー」


( ´_ゝ`)「「ん?」」(´<_` )


学校へ向かう途中、人が少ないからすぐに見知った顔を見つけた。
同期の流石兄弟だ。

88 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:34:57 ID:MYtgS7OY0
( ´_ゝ`)「おお、君はからあげくん派のブーン君ではないか」


(´<_` )「何を馬鹿な。彼はファミチキ信者のブーンだろ」


(; ^ω^)「お? なんの話だお?」


(´<_` )「嫌な、さっき俺達高校生水泳部にぴったりのコンビニ商品は何かを討論していたんだが...」


(#´_ゝ`)「この馬鹿はファミチキとか言い出しやがった!! あんな脂ドロドロのものは俺は認めんぞ」


(´<_`#)「なんだと!? ファミチキなめんなよ? からあげくんなんて個数増やすセールやんねーと売れないハズレ商品だろーが」


(#´_ゝ`)「「ぶち殺す!!!」」(´<_`#)

89 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:35:51 ID:MYtgS7OY0
(; ^ω^)「いや...あの...」


(#´_ゝ`)「「あ!?」」(´<_`#)


( ^ω^)「どちらもスポーツやる人にはちょっと...体に悪いかと...」


(#´_ゝ`)(´<_`#)


( ´_ゝ`)(´<_` )


(; ´_ゝ`)ハッ!!(´<_` ;)

90 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:36:43 ID:MYtgS7OY0
(; ´_ゝ`)「た、確かに...言われてみれば...」


(´<_` ;)「コンビニの油物はスポーツ選手の敵...不覚、忘れていた」


(; ´_ゝ`)「今日から俺、からあげくん食べる量の減らすわ...」


(´<_` ;)「だな...俺もハムカツで妥協するわ...」


( ^ω^)「いや、食うなよ」


この二人は相変わらずのようだ。
いつも通りの馬鹿な会話をして少しだけ心が楽になる。
固まっていた体もちょっぴり楽になった気がする。

91 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:38:41 ID:MYtgS7OY0
( ´_ゝ`)「で? どうしたんだ?」


( ^ω^)「お? 何がだお?」


( ´_ゝ`)「いや、さっきからなんかおもたーい雰囲気醸し出してたし」


( ^ω^)「え」


(´<_` )「だな。まるでファミチキが売り切れていたときの俺のようだったぞ?なあ、兄者?」


( ´_ゝ`)「ああ、いつも明るいお前らしくないぞ。また、何かあったのか?」


(; ^ω^)「え、いや...別に、なにもないお」


まさかこの二人に見抜かれているとは思わなかった。
もしかしたら先程までの僕の顔はかなりひどいものだったのかもしれない。

92 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:40:23 ID:MYtgS7OY0
( ´_ゝ`)「...フーン、そっか。ならいいけど」


(; ^ω^)「え? あ、ちょっと兄者!?」


兄者は僕の顔を少し見つめたあと、僕たちを置いてそのまま一人で歩き出してしまった。


(´<_` )「あーあ、怒らせた」


( ^ω^)「やっぱりあれ、怒ってるのかお?」

93 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:41:24 ID:MYtgS7OY0
(´<_` )「そりゃもちろん。兄者は馬鹿なようで鋭いからな。お前が何か隠してることぐらいわかってるだろ」


( ^ω^)「お...」


(´<_` )「それに根にもつからな。ああ勿論、俺も同じだぞ」


( ^ω^)「...ごめんだお。でも、言えないんだお」


ショボンのことを簡単に人に言ってはいけないことだろう。
そう考えた僕は言いたい気持ちをグッとこらえた。

94 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:42:07 ID:MYtgS7OY0
(´<_` )「そうかい」


それに対する弟者の反応は淡白なものだった。
まるで始めから興味がなかったかのようにあっさりとしていた。
だが、弟者の醸し出す雰囲気は確実に怒りを含んでいた。


( ^ω^)「...僕、自転車だから先にいくお」


(´<_` )「おう、また部活でな」


気まずい雰囲気を壊すように僕は足に力をいれペダルを漕ぐ。
少し進んだところで振り返ってみると弟者はどこかに寄り道をしてるのか姿がなかった。

95 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:43:30 ID:MYtgS7OY0
( ^ω^)「...いやね、薄々僕もわかってましたよ。こうなると不味いなーって」


部活が始まるといきなりショボンと顔をはち合わせ気まずくなり、ストレッチでは兄者と組むことになり気まずくなり、果てには筋トレのペアを弟者と組むことになり気まずくなる。
なんだこれは。明日死ぬんじゃないかと言うほどの豪運である。


( ^ω^)「さすがにないわー」


('A`)「何がないんだ? 悩みごとか?」


(*゚ー゚)「暗い顔してどうしたの?」

96 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:44:42 ID:MYtgS7OY0
呟きが聞かれたのか後ろからドクオ先輩としぃ先輩が近づいてくる。
どうやら僕はかなり暗い顔をしていたようだ。


( ^ω^)「別になんでもないですお」


('A`)「んなことはねーだろ。めっちゃ悩んでる顔してるぞ」


(*゚ー゚)「本当はなんかあるでしょ?」


(; ^ω^)「いや、だから本当に...」


(*゚ー゚)「あ、わかった! 昨日、ツンちゃんに短小って言われたのまだ気にしてるんでしょ」


(; ^ω^)「違いますお!! それに声がでかいですお!!」

97 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:45:37 ID:MYtgS7OY0
('A`)「ちょwww女子に短小とかwwwそれはないwww」


(; ^ω^)「ドクオ先輩も慰めたいのか貶したいのかハッキリしろお!!」


(*゚ー゚)「大丈夫だよブーン君! 昨日見た感じ、多分ドクオ君とあんまり変わんないから!」


(; ^ω^)「だから、ちが...」


( ^ω^)


( ^ω^)「ん?」

98 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:46:31 ID:MYtgS7OY0
あれ?
確かに僕のは昨日の事件のせいで見られたけど。


( ^ω^)「なんでしぃ先輩がドクオ先輩のサイズ知ってるんですかお?」


(*゚ー゚)「え? なんでって...」


(*゚ー゚)「あ」


(;'A`)「あ」


( ^ω^)「ドクオ先輩」


(;'A`)「なんでしょうか」

99 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:49:45 ID:MYtgS7OY0
( ^ω^)「やったのか? おい、やっちゃったのか? まさか本当にヤッたのか?」


(;'A`)ゞ「いやー、なんと言いますか、アハハ...誤解だよ。ねぇしぃ先輩?」


(*゚ー゚)「テヘペロ♪」


('A`)「」


この日、ドクオ先輩は(もてない)男子部員にリンチされたのは言うまでもない。

100 名も無きAAのようです :2012/08/30(木) 00:50:28 ID:MYtgS7OY0
(´・ω・`)「はぁ...」


男子部員たちが騒いでいる。
そのなかにはヒッキー君もいるみたいで声がプールの倉庫の中にまで聞こえる。
みんなと混ざって遊びたい、これが正直な気持ちだが辞める手前、少し気が引ける。


(´・ω・`)「...というか、いつ言おうかな」


僕は臆病者だ。
辞めると言う言葉さえ、皆から怒られるのではないかとびくびくしてまだ監督にさえ言えていない。
ブーン先輩にもあんなことを言ってしまったのに謝れてない。
多分、僕みたいなやつを屑野郎というのだろう。


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