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( ^ω^)は再びスタート台に立つようです
1
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:32:19 ID:FZEjhonM0
※注意
この小説は水泳ものです
水泳の用語が出てくる場合があります
一応注釈は着けますがわからないところがありましたら一言ください
2
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:33:54 ID:FZEjhonM0
7月23日
『第七コース、内藤君、VIP高校』
広い水泳関東大会会場に僕の名前が響き渡る。
そのアナウンスにのって部活の仲間たちが僕の名前を叫ぶ。
腕などの軽い運動をやめ、僕は小さく頭を下げる。
そして、もう一度、腕を回し出す。
...悪くない。
むしろ、かなりいいだろう。
しかも体が軽い。緊張はしているが体が固まってしまうどころか適度に体を興奮させていた。
3
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:34:27 ID:VbcunsIw0
なんかどっかで水泳系のブーン系ってなかったっけ?
と聞いた人か?
4
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:36:00 ID:lQtEXgbI0
おお俺あのスレいたわ
支援
5
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:36:21 ID:FZEjhonM0
小さくピッピッピと、笛がなる。
ついに。ついにこの時が来た。
台に上がり、大きく深呼吸をする。
満員の観客席からは皆の応援する声が聞こえてくる。
ドクオ先輩やショボンの声が聞こえてくる。
ああ、やれる。
僕ならやれる。
僕はインターハイに行くんだ。
『よーい...』
その一言に会場が、静寂で満たされる。
まるで、 世界中から音がなくなったのではないかと錯覚するほどの静けさ。
ただただ僕の心臓の音だけが聞こえる。
そして。
6
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:39:42 ID:FZEjhonM0
会場内に機械的な銃声が鳴り響いた。
( ^ω^)「っ」
レースが始まった。
( ^ω^)「(...おお)」
進む。進む。
飛び込み、泳ぎだすと同時にそう感じた。
一かきの重さが手に伝わってくる。
まるで自分を包むかのように水が流れているような錯覚を覚える。
25M、50M、75M...
( ^ω^)「っ!!」
残り、25M。
自分のもつ、全てをここで出しきる。
手を、足を、ただただ動かし少しでも遠くの水を掴もうと前に進んでいく。
7
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:42:21 ID:FZEjhonM0
赤い、ラインが見えた。
残り5M。
もう、最後だ。
腕にありったけの力を注ぎ込む。
呼吸を止めろ。
腕を回せ。
足を動かせ。
ゴールは、すぐそこだ。
(; ^ω^)「ップハッ!!」
ゴールと同時に空気が体に一気に流れ込む。レースは終わったのにまだ体が興奮している。
まるで体が泳ぎ足りないといってるのような錯覚を覚える。
最高の気分だ。
恐らく、北島が優勝した時もこのような感覚だったんだろう。
ひたすら今が気持ちよかった。
8
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:43:53 ID:FZEjhonM0
不意に会場内にワアア!!と歓声が沸き起こった。
恐らく、インターハイ出場者が出たのだろう。
僕もその声につられ、今のレースの結果が映し出された電光掲示板を見る。
( ^ω^)「...」
(; ゚ω゚)「...あ?」
記録は...53秒40
順位はこのレースで5位。
インターハイ出場に約0,1秒足りないその記録。
無情に響く、その歓声のなか、僕の二年目の夏は終わった。
9
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:46:46 ID:FZEjhonM0
その後のことはよく覚えていない。
話によれば虚ろな目で戻ってきたと思えば、そのまま体育座りをしてブツブツ何事かを呟いていたらしい。
それだけ、悔しかったということだ。
あそこまでいい泳ぎはなかなかできない。
もしかしたら来年になっても越えられないのではないかと思うほどの出来映えだった。
しかし、そんな泳ぎてあっても悔やむ点は思い出せば思い出すほどある。
10
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:48:10 ID:VbcunsIw0
二年の夏が終わったあとか……時期設定がワクワクするな
11
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:48:57 ID:FZEjhonM0
( ゚ω゚)「(もしあそこでキックをもう少ししてたら...あそこで呼吸しなかったら...あそこで...あそこで...)」
後悔は拭いきれてない。
もう、大会は何日も前のことなのに。
何日前のことなのか、カレンダーを覗いてみる。
...カレンダーはいつの間にか八月に入っていた。
もう、一週間以上経っているのか。まだ、数時間前のことのように感じる。
あの日以来、僕は練習に出ていない。
いや、出れるわけがないの方が正しいか。こんなみっともない姿を誰にも見せたくない。
メールで励ましの言葉がたくさん来ていたがどれも悔しさをよみがえらせるだけだった。
12
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:52:50 ID:FZEjhonM0
( ゚ω゚)「...インターハイ......行けたはずなのに...チクショウ......」
( ; ω ; )「チクショウ!!!」
まただ。また、堪えきれなくなってしまった。
悔しさがどんどんと溢れてくる。
涙が、ただあふれる。
あんなに練習したのに。
あんなに応援されてたのに。
( ; ω ; )「ヴゲェ...」
吐き気がする。
何もかも吐いて、楽になりたい。
今は、何もかもが苦しい。
その日、僕はただ泣くことしか出来なかった。
13
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:54:51 ID:FZEjhonM0
( ^ω^)「...あれ?」
窓から射す光がいつの間にか茜色に変わっていた。
どうやら少し、寝ていたようだ。
窓を少し開けると夏の暑い空気がクーラーの効いた部屋に流れ込み、冷えきった僕の体に少しだけ暖かさを与える。
近くの公園からは小さな子供たちの声が聞こえる。
夕方だといえまだ暑い。
よく、こんななか遊ぼうと思うなと少しだけ思った。
そんなことを考えながら、目をほそめ公園に目を向けてみる。どうやら幼稚園児くらいの子供がホースで水遊びをしているようだ。
14
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:56:17 ID:FZEjhonM0
( ^ω^)「...楽しそうだお」
小さいとき同じことをしたな、とふと思い出した。
ちょうどあの子供たちぐらいの時だっただろうか?
僕が水泳を始めたのは。
床に座りこみ、思い出そうと必死に考えてみたがどうやらすっかり忘れてしまったらしい。
( ^ω^)「...なーんで水泳を始めたんだっけ?」
大切だったようなそうでもなかったような、曖昧な思い出だが確かに僕は小さな時の僕を忘れていた。
あの頃の僕は何を感じ、何を思い泳いでいたのだろうか。
それすらも思い出せない。
15
:
名も無きAAのようです
:2012/07/30(月) 23:57:41 ID:FZEjhonM0
ただ、なんとなく。
なんとなくだが。
( ^ω^)「...泳ぎたいお」
あの頃の僕もただひたすらに泳ぎたい気分だったような気がした。
16
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:01:45 ID:8DXibxRk0
~swim-record~
( ^ω^)内藤ブーン(17)
Style1:Fr
50Fr 25,02
100Fr 53,40
200Fr 1,56,37
※補足説明
(インターハイ出場について)
水泳のインターハイに出る条件は関東エリアでは
1:関東大会にて上位3位にはいる
2:インターハイ制限タイムを関東大会で切る
のどちらかとなっています
17
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:08:59 ID:8DXibxRk0
8月2日
久しぶりに学校に来た気がする。
まあ、夏休みだからそれが当たり前といっては当たり前のはずなのだが。
自転車を学校近くの駐輪場に止め、お気に入りのパックのコーヒーを飲みながら校内に入っていく。
目指すは部室棟。
学校の構造上、部室棟にいくのには学校の校舎内を突っ切らなくてはいけないのだがこれがいちいちめんどくさい。
18
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:11:27 ID:8DXibxRk0
( ^ω^)「ダリーお」
玄関で靴を上履きに履き替えロビーを歩く。
天井がガラス張りになっているロビーは夏の日差しをモロに校内に取り込み、暑い。
まだ朝の9時前だというのにこの暑さは流石に萎える。
この暑さだと水も気持ち悪いくらいぬるく、泳ぎづらいだろう。
額に浮かぶ汗を拭いながら泳ぎたいと思っていた気持ちが少しずつ萎えていく。
19
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:12:27 ID:8DXibxRk0
( ^ω^)「室内プールがあるとこ行けばよかったお......」
文句を垂れながらも部室にたどり着き、扉を開ける。
扉が開くと同時にむわっとした熱気と塩素の臭いが溢れてくる。
なんとなくその熱気と塩素の臭いが懐かしいと感じながら中に入っていく。
中には数人の生徒と、今最も会いたくない奴がいた。
( ^ω^)「...あ」
( ゚Д゚ )「.....」
(Д゚ )プイ
( ^ω^)「......監督」
20
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:16:05 ID:8DXibxRk0
監督のミルナが、そこにいた。
声をかけられはじめて気づいたかのように振る舞いながらこっちに振り向いた。
威圧をしてるつもりなのか、少しだけこっちに詰め寄ってくる。
もとの体の小ささもあり全く無意味なのだが気づいているのだろうか?
( ゚д゚ ) 「ほう...なんだ来てたのか。関東大会の日から来なくなったからてっきり引退したのかと思ってたぞ? そんなに悔しかったか? インターハイ行けなくて」
相手の気持ちも考えずグサリと来る言葉を直接言ってきた。
相変わらず、嫌なやつだと思った。
( ^ω^)「......すみませんでしたお」
( ゚д゚ )「俺は別に謝れとは一言もいってないぞ? んん? で、何しに来たんだ? 引退届けなら職員室の顧問の荒巻先生がくれるぞ?」
( ^ω^)「......また泳がせてください」
21
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:16:59 ID:8DXibxRk0
この言葉を聞いたミルナは大きく、僕に聞こえるようにため息をついた。
あまりに大袈裟な身ぶりで馬鹿にされてるのがよくわかった。
ミルナはムカつくようなにやつき顔で話始めた。
( ゚д゚ )「......お前さ、お前みたいな適当なやつを泳がせると思うか? うちはクラブじゃねぇ。チームなんだ。わかるか? 一人でも適当な奴がいるとまわりも腐るんだよ。いいか? 俺は別にてめぇが嫌いな訳じゃねえ。だけどな、自分勝手な野郎にうちで泳がせる訳にはいかねーんだよ。でさ、どーなの? どうしても泳ぎたいのか?」
( ゚ω゚)「(この脳筋野郎が...)」
小さく口で呟きながら頭をさらに下げる。
向こうもこっちが謝るとわかっているからかニヤニヤ笑いながらこっちをみていた。
糞野郎。この言葉がよく当てはまる。そう思った。
22
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:19:45 ID:8DXibxRk0
( ^ω^)「......泳ぎたいんです。お願いしますお。ここで泳がせてください」
( ゚Д゚ )「フーン。あ、そ。じゃあ今日お前、エベレストな」
( ^ω^)「......は?」
( ゚Д゚ )「は? じゃねぇよ。エベレストだ。ちなみに登り下りだぞ。泳ぎたいんだろ? 嬉しいだろ? たくさん泳げて」
( ^ω^)「......ありがとうございますお」
※エベレスト
この学校のメニューのひとつである。
8800M前後を半日で泳ぐメニュー。
つまり、午前と午後、合わせて17600M泳ぐ。
ブーンの知る限り最も嫌な練習のひとつである。
23
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:22:35 ID:NvoWlxrU0
ペロッ……これは体験談!
選手育成のスイミングスクール通ってたが、アップが50mを10本で死にかけたことあったな
それが霞む距離だ。17kmて……
24
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:22:53 ID:8DXibxRk0
( ゚Д゚ )「後で8800Mの内訳教えるから今のうちにアップしとけよ。ま、頑張りな」
ケタケタと笑いながらミルナは部室から出ていった。
耳のなかにミルナの糞みたいな声がこびりついているような錯覚を覚える。
怒りで、頭がグラグラした。
('A`)「......ブーン、大丈夫か?」
( ^ω^)「...ドクオ先輩」
25
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:26:02 ID:8DXibxRk0
ミルナがいなくなるのを確認するとこの部活のエース、ドクオ先輩が話しかけてきた。
それにつられてか、部室にいた仲間が皆、僕に話しかけてきた。
口々に皆がミルナの悪口を言っていく。
少しだけ、心が軽くなった。
('A`)「...脳筋の野郎、嫌なやつだぜ。本当に」
( ^ω^)「...サボってた僕も悪いんだお。こうなるのはわかってたのに」
('A`)「だからってよぉ...そうだ、今日のエベレスト。俺もやるよ。一人でやるよりマシだろ?」
(; ^ω^)「それは駄目ですお!! ドクオ先輩、インターハイあるのにこんな無茶なメニューしちゃ」
言ってから思い出した。
そうだ。ドクオ先輩にはインターハイがあるはずだ。なのに、なんでこんなにのんびりとしているのか。
調整したいとか、試合に向けてやることとかはないのか。
26
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:27:04 ID:8DXibxRk0
('A`)「なーに、まだ二週間も先の話さ。別に大会は大丈夫だよ。それに、どーせ脳筋の野郎は調整なんて考えないメニューだろうし」
その言葉は僕を少しだけ苛立たせた。
僕の目標のインターハイを別にとかで片付ける。
普段なら恐らく気にも止めないであろう、その言葉。
だが、何故か今はその一言でむしゃくしゃする。
( ^ω^)「...気持ちだけで十分ですお。僕は僕でやりますお」
('A`)「...そっか。んじゃ、頑張りな」
ドクオ先輩はやさしい。というか優しすぎるくらいだ。
先輩後輩関係なく誰にでも優しい。僕の、数少ない尊敬している先輩だ。
だけど、インターハイに行けなかった悔しさのせいか、インターハイに行ったドクオ先輩が少しだけうざかった。
27
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:28:16 ID:8DXibxRk0
~ swim-record ~
( ゚Д゚ ) 湖土ミルナ(20)
Style1:Fr
50Fr 26, 54
100Fr 58,24
200Fr 1,59,57
(この記録はミルナの現役時代のベストのものである)
('A`)鬱蛇ドクオ(18)
Style1:Ba
50Fr 24,78
100Fr 53,90
50Ba 26,06
100Ba 56,43(インターハイ出場)
200Ba 2,05,13(インターハイ出場)
28
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:33:38 ID:8DXibxRk0
今日はここまでにします
まさか、あのときの総合の人がいるとは思いませんでした
ちなみにエベレストは自分で勝手に考えたメニューです
自分だったらどんなメニュー嫌かなと考えた結果、あれになりました
是非一度、やってみてね!!
それではこれで
29
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 00:38:25 ID:NvoWlxrU0
乙です。
記録のFrとかの解説欲しいなぁ。
昔やってたスポーツとかだと、やっぱり惹かれてしまうね。楽しみにしてるよ!
30
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 21:06:03 ID:9lmSPPrIO
乙
なかなか面白そうだな
続きに期待する
あと、出来れば長セリフにも改行入れてほしいな
PCで(jane)で見る時IDのポップアップでデスクトップが埋まる
31
:
名も無きAAのようです
:2012/07/31(火) 21:46:09 ID:8DXibxRk0
あ、その注釈つけるの忘れてました
Fr→自由形
Ba→背泳ぎ
Br→平泳ぎ
Fly→バタフライ
の略称です
あとstyle1というのはその人が一番得意な種目ということです
横の数字は距離(M)です
ちなみにインターハイの男子制限タイム
100Fr 53.25
200Fr 01:55.3
100Ba 59.83
200Ba 02:08.7
となってます
>>30
改行ですか。
了解です。次から気を付けます。
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