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( ^ω^)がゾンビに囲まれてグチャグチャのようです
537
:
名も無きAAのようです
:2012/09/18(火) 21:45:20 ID:bjcr1NDIO
>>536
来週の可能性もある
538
:
名も無きAAのようです
:2012/09/21(金) 18:00:03 ID:9jJsxldgO
金曜日になった、今日かな来週かな?
539
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:10:18 ID:NYM2qCNY0
大変お待たせしました。
これより最終話『The Man Comes Around』を投下します。
540
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:11:03 ID:NYM2qCNY0
午後8時00分
「こちらVIP市上空からの中継です!
ご覧頂いているのは火の海と化したVIP小学校避難所です!」
「真に地獄絵図です!
どうやら一台の大型トラックが衝突した模様です!
更に多数の感染者が中へと侵入しております!」
「意図的なものでしょうか!?それとも事故でしょうか!?
ただ今数十分前に半径1km付近で大爆発が発生しましたが、関与性は不明です!
いずれにせよ避難所内では相当のパニックが予想されます!」
「総指揮である市長エイブラムス岡田の消息は不明です!
政府による救助措置の発表は未だありません!」
「たった今、一つの安息の灯火が消えようとしています!
VIP小学校避難所へ移動中の生存者は他の避難所へ向かってください!」
最終話『The Man Comes Around』
541
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:12:07 ID:NYM2qCNY0
「体育館の避難民の皆様!
どうか落ち着いてください!
パニックを起こす事で犠牲者が増大します!」
どよめく体育館。
自衛隊員はひたすらマイクでそう訴えていた。
从 ゚∀从「ハァ?フザけんなっての
お前等の責任じゃねぇのかよ」
そんな中、一人のギャルがタバコに火をつけながらそう呟く。
从 ゚∀从「コンビニから1カートン盗んで正解だったぜ
おかげでしばらくは……」
吸った途端、彼女は強烈な腐臭を感じた。
从 ゚∀从「んだこれ!中に生肉でも……」
从 ゚∀从「あ?」
それはタバコではなく、人の指だった。
542
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:13:20 ID:NYM2qCNY0
「ソレボクノ……」
从 ゚∀从「ギャアアアアアアアア!」
目の前にいたのは化け物と化したオッサン。
ギャルは死を覚悟したが
从 ゚∀从「!」
('A`)「ボーッとすんな!」
ドクオがナイフで化け物の心臓を突き刺していた。
从 ゚∀从「んだよ!か、感謝なんかしてねぇからな!」
体育館の中には既に数体の化け物が紛れ込んでいた。
人の数が多いがために、何処に潜んでいるのかわからない。
そしてその数がねずみ算に増えていく事も明確だった。
543
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:14:53 ID:NYM2qCNY0
「慌ててはいけません!
とにかく一度グランドに避難してください!」
各所から聞こえてくる悲鳴。
それが現状の危機を悟らせる。
しかし……
それでも皆は冷静に動いていた。
一人一人順番に出る事が一番効率的だからである。
そうすれば倒れた人を無闇に踏み殺しはしない。
人は学ぶ生き物。
未曾有の大災害を目前にして得た学習。
……かつての惨事を繰り返したくはない。
そんな気持ちが皆にはあった。
('A`)「人は成長する……か」
かつての平和ボケした民間人ならば
この時点でかなりのパニック状態に至っても不自然ではなかった。
544
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:16:05 ID:NYM2qCNY0
だからこそ、動かねばならない。
ニートのドクオでさえ感じる義務感。
('A`)「オカン!とにかく逃げて!
俺は……」
何故かドクオは逆の方向へ進んで行く。
J( 'ー`)し「何してるの!」
('A`)「アイツらを手伝いに行く」
J( 'ー`)し「アイツらって!?」
('A`)「姉貴だよ!」
ドクオはそう告げ、母親の視界から姿を消した。
J( 'ー`)し「……生きていたの?」
545
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:17:46 ID:NYM2qCNY0
ドクオは早々に大型トラックの衝突した検問に到着した。
場には内藤達がおり、彼らが見ていたものとは
(#‰∀`)「……」
化け物のような形相の巨漢。
ソイツは無数の銃口を向けられつつも、悠然とした態度で前を見ていた。
('A`)「……!」
ドクオは教会でこの人物の映像を見た事があった。
容子と周りの反応から察するに
コイツは明らかに敵側の人間。
546
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:18:51 ID:NYM2qCNY0
川 ゚ -゚)「躊躇するな!撃て!」
直後、空に響き渡る程の銃声が鳴り響いた。
川 ゚ -゚)「1秒でもアイツを生かすな!
それが私達への害となる!」
モナーの背後の壁……そして
ただでさえグシャグシャな大型トラックは蜂の巣と化した。
漏れたガソリンに引火し、検問は火で覆われる。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
あまりの眩しさにツンデレは目を覆う。
数分後
「いない?」
自衛隊員の一人がそう呟いた。
目の前にあるのは火に包まれた大型トラックのみ
547
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:20:04 ID:NYM2qCNY0
死体がない?
目の前の光景に目を疑った。
形も残らず粉砕されたとしても、血は残る。
……それすらもない。
('A`)「お、落ちたのか?」
ドクオが内藤にそう問いただすが
('A`)「……?」
ξ゚⊿゚)ξ「……?」
素直クールと内藤の姿はなかった。
そして、大型トラックの側の地面には黒い布切れが落ちていた。
548
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:21:06 ID:NYM2qCNY0
(#‰∀`)「ハァ……ハァ……」
モナーは裏庭を走っていた。
上半身はビリビリに裂けているが、銃弾による傷はない。
手には設置したのと同じ爆弾が握られていた。
(#‰∀`)「……」
不意に立ち止まる。
……目の前には
( ^ω^)「……」
(#‰∀`)「……何故邪魔をする
いちいち気に触る奴だな貴様は」
モナーは歯軋りをし、まぶたをピクピクと痙攣させる。
549
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:22:16 ID:NYM2qCNY0
(#‰∀`)「ガキ風情が……
大人しく化け物に食い殺されば良いものの
いちいち!こうまで俺に楯突きよって!」
( ^ω^)「そういうわけにはいかないお」
( ^ω^)「やりたい事はだいたいわかる」
内藤は背後に指を指した。
( ^ω^)「あれを起爆させるつもりかお?」
そこにあったのは兵器庫だった。
(#‰∀`)「……!」
避難所の完全な爆破は失敗した。
……しかし、そもそもこの建物は脆く儚い。
550
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:23:21 ID:NYM2qCNY0
兵器庫は防火対策をしているが、十分な爆薬となる。
モナーが手に持つこの爆弾が起爆すれば装甲は耐えられない。
中にはC-4爆弾にも勝る数々の重火器が存在しており、爆発すれば
隣接している校舎は倒壊を免れず、それだけでも死者が確実に増大する。
(#‰∀`)「……」
内藤はそれを何としてでも防ぐつもりだった。
……だが、どうやって防ぐ?
──モナーは考察する。
何故一人で立ち向かう。
551
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:24:44 ID:NYM2qCNY0
たかが学生に太刀打ちできない相手というのは承知の上のはず
……ならば
(#‰∀`)「……」
川 ゚ -゚)「ご名答」
校舎の3階の窓。
そこから狙撃銃を向ける素直クールの姿があった。
川 ゚ -゚)「ここから一歩たりとも動かすつもりはない
その時点で撃つ!」
(#‰∀`)「……まだ理解できんのか?
というより、これ以上の対策は不可能だな」
(#‰∀`)「一応、褒めてやろうか
この糞のカスにも劣る避難所を守り抜く
そのために命を投げ捨てる覚悟を背負っているという事を」
552
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:25:55 ID:NYM2qCNY0
モナーはゆっくりと素直クールを凝視した。
(#‰∀`)「だがそれは言い換えれば無謀だ
無謀に命を賭すという行為は賢くない」
(#‰∀`)「警察署や駅で垣間見た
貴様等は賢い部類の人間だ
あえてそうする事に疑問を持て
……つまり」
川 ゚ -゚)「……」
( ^ω^)「……」
二人の額には汗が滲む。
(#‰∀`)「ジョルジュでさえ敵わなかった俺を
貴様等ごときが殺せるとでも思うか?」
553
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:27:16 ID:NYM2qCNY0
『刹那』という言葉がある。
仏教の時間の概念の1つであり、時の最小単位を表す。
僅か1/75秒。
その言葉が今ほど相応しいと思える瞬間などない。
内藤は己が何をされたのかわからないまま、攻撃を受けた。
( ^ω^)「おっ!」
受身も予測も回避も余裕がない。
気づけば口の中が鉄の味になっていた。
狙撃の銃弾はモナーに掠りすらせず地面を貫いた。
川 ゚ -゚)「内藤!!」
今度は素直クール。
モナーは拳銃を構え、彼女へと向けた。
川 ゚ -゚)「リボルバー?」
それはジョルジュのものだった。
554
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:28:34 ID:NYM2qCNY0
何故?奪い取ったのか?
数々の疑問が沸くが、今はそれどころではない。
ひとまず素直クールは身を伏せる。
……しかし
チュンッ
川 ゚ -゚)「ぐっ!!」
背中に強烈な痛みが襲った。
川 ゚ -゚)「跳弾か……!」
発射された弾丸は天井をはじき、巧妙に計算されて彼女に直撃。
第2撃を危惧し、素早く身を潜めようとするが
(#‰∀`)「確かに貴様は優れているよ」
モナーは素早く校舎の壁を登り、窓を乗り越えた。
555
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:29:40 ID:NYM2qCNY0
川 ゚ -゚)「……」
僅か1m。
それが素直クールとモナーの間との距離だった。
(#‰∀`)「同胞の中では最も体術の覚えが早かった
俺に対しては一種の」
彼女は素早くナイフを手に取り、刺し殺そうとするが
彼は片手でそれを受け止める。
(#‰∀`)「尊敬の念すら抱いていたな?
貴様は礼儀を忘れない、律儀な女だった
……だが」
川 ゚ -゚)「……ぐぐ!」
モナーは片手で、圧倒的な力で彼女を押し込む。
(#‰∀`)「所詮は秀才の域だ、尚且つ非力な女性の腕力」
かつてジョルジュが所持していたであろう巨大なリボルバー
冷たい銃口が素直クールの額に向けられる。
556
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:30:57 ID:NYM2qCNY0
(,,゚Д゚)「あ、あの二人は走って行ったよ」
('A`)「どっちへ!?」
ギコは裏庭に向けて指を指した。
ξ゚⊿゚)ξ「逃げたのを察知したのね
何で裏庭に」
「裏庭には武器庫がある!
恐らく起爆させるつもりだ!」
「行くぞ!君達は先にグランドへ避難しなさい!」
自衛隊員達は急いで裏庭に向かい始めた。
('A`)「……避難するか?」
ξ゚⊿゚)ξ「絶対嫌、私達も行く」
557
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:32:30 ID:NYM2qCNY0
ξ゚⊿゚)ξ「きっと……アイツが相手じゃ苦戦してる!
ほん少しでも加勢できるなら!」
ドクオとツンデレも裏庭へ向かい始める。
(,,゚Д゚)「あの……僕は?」
('A`)「できるなら自衛隊員と一緒に避難の協力してやってくれ!
多分最終的にはバスで逃がすんだと思う
っていうかそれ以外に手段がないし」
ξ゚⊿゚)ξ「体育館の放送聴いたわよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう
純粋にみんなを守りたいって気持ちを感じた
心の優しい子だというのも」
ツンデレは笑顔でそう告げた。
558
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:34:07 ID:NYM2qCNY0
ξ゚⊿゚)ξ「また会いましょう
絶対に……生きた形で」
(,,゚Д゚)「……うん!」
──何なんだろうこの人達は
こんな絶望的な状況なのに……強い精神力を感じる。
つくづく怖い体験をしたからこそわかる。
あんな強大な敵を相手に、何故勇ましく戦えるんだろう。
まるで臆する様子がない。
きっと心の中は、恐怖で一杯のはずなのに
「君、ボサッとするな!グランドへ行け!」
ギコは背中を叩かれ、自衛隊員と共に走って行く。
559
:
名も無きAAのようです
:2012/09/21(金) 23:34:47 ID:oPQMxoKI0
ドキドキするねぇ
560
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:35:18 ID:NYM2qCNY0
ξ゚⊿゚)ξ「内藤の友達?」
('A`)「おう、小学校の時な
そういうアンタは?」
ξ゚⊿゚)ξ「同期の学生だよ
なんか駅で出会った時からずっと一緒で……」
ξ゚⊿゚)ξ「内藤君って強い人だね
私なんて何度も助けられちゃって」
('A`)「おう、届かないくらいにな
今じゃ自衛隊員と一緒に戦っちまってるし」
ξ゚⊿゚)ξ「……私達とは比べられない才能を持ってるんだと思う
きっと、モナーだって内藤なら」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ツンデレは裏庭に到着すると、ふと立ち止まった。
('A`)「……どうした?」
そこには朽ち果てた内藤の姿があった。
561
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:36:48 ID:NYM2qCNY0
〝ジョルジュは全てを知るわけではない
本当の自分達の存在意義〟
〝「君達のコードネームは004
君達は選ばれた存在だ、生まれるべくして生まれた己の幸運を祝え」
「見たまえ!この劣悪な失敗作を!」
「腕の欠損した失敗作!目玉が1つしかない失敗作!
完璧な能力というハードルの元、完璧な姿で生まれたのが君だ!」
「君達はこの世の王となれる才能がある!
持て余した才能で弱者を蹂躙し世界を我が物としろ!」〟
〝もし全ての生き物に魂があるのなら
その失敗作達にも魂はあるのか?何故俺のこの魂が選ばれた
命とはそれ程軽はずみに扱われるべき存在なのか?
ならば俺とソイツらは何が違う?〟
〝「それは『力』だよモナー」〟
562
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:38:38 ID:NYM2qCNY0
〝殺して当然の親
しかし、その意思だけは継いでやると誓った〟
(#‰∀`)「人間の性格は幼少期の環境が起因となるらしいな
社会はオーソドックスな価値観を用いた模範を築いてはいるが」
(#‰∀`)「その内心全ての共有など金輪際できるはずもない
人を殺す事を無慈悲としか思えない貴様等では、俺の目的など理解できん」
川 ゚ -゚)「誰が理解するなんて言った
お前の奥底に眠るほの暗い闇など……」
(#‰∀`)「もはやここで死ぬ貴様には知る必要もない」
モナーはゆっくりと引き金を引き始めた。
リボルバー式拳銃のスピードローダーがゆっくりと回転する。
……しかし
川 ゚ -゚)「私は友に誓ったんだ
例え命を代えても避難民を救うと」
563
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:39:47 ID:NYM2qCNY0
彼女は胸元の服をはだけ、内部を見せた。
そこにあったのは無数の手榴弾。
(#‰∀`)「……罠だと」
川 ゚ -゚)「あの世で会おう」
素直クールは全てを悟りきった笑顔で
モナーの動きを止めるために腕を抑え込んだ。
(#‰∀`)「邪魔だぁ!どけぇ!」
彼女は一瞬だけ、何故か地上で倒れている内藤の方角を見た。
川 ゚ -゚)「……後は任せたぞ」
564
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:41:08 ID:NYM2qCNY0
立て続けに発生する爆発。
崩壊の一歩を辿る避難所。
やがて化け物で満たされる地獄の地へと変貌を遂げていた。
段階にして現せば末期。
生存者達はバスに乗り、次々と発進していく。
決死に化け物を駆逐する自衛隊員。
……そんな中
ξ゚⊿゚)ξ「……内藤?」
彼女の頬は涙で満たされていた。
目の前にあったのは、首を貫かれ死亡した内藤。
たかが一人の学生など、アイツにとってみれば無力。
こうなる事は目に見えていた。
565
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:42:46 ID:NYM2qCNY0
('A`)「……」
──ドクオは背後を見た。
そこには2、3体の亡者の姿があった。
獲物を探している。
恐らく目が合った瞬間に襲われるだろう。
しかし、そんな言葉を口に出す事はできなかった。
どう気にかければ良いかわからなかった。
というより、自分自身が半ば放心状態だった。
ξ゚⊿゚)ξ「……こんなの酷いよ
何でよ!私なんかと違って
アナタは強い人間じゃなかったの?」
ξ゚⊿゚)ξ「こんなに簡単に死なないでよ!
ねぇ!……守ってみせてよ!
私が妹と重なって見えるんでしょ!?
ねぇ!」
566
:
名も無きAAのようです
:2012/09/21(金) 23:43:00 ID:9jJsxldgO
今気づいた、今日はなしだと思ってたよ
今から読む、支援
567
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:44:20 ID:NYM2qCNY0
二人の心情は同じだった。
絶望と悲しみ。
……しかし、それでも理性は存在する。
動かねばならない。
('A`)「……ツンデレ」
ξ゚⊿゚)ξ「嫌!」
彼女はずっとうつむいていた。
ξ゚⊿゚)ξ「自分だけ……助かろうなんて気持ちはない
内藤君の望む事がアイツの死なら、私は」
ツンデレはゆっくりと自衛用のナイフを手に持った。
……だが
内藤の手がそれを優しく掴む。
568
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:46:10 ID:NYM2qCNY0
ξ゚⊿゚)ξ「!?」
その手はとても冷たかった。
生きてはいない事を悟らせた。
ならば亡者と化したのか?
……違う
ツンデレはその真実を悟った。
( ^ω^)「そんな事を俺が望むかお?
それなら……生きていて欲しい」
ゆっくりと彼は起き上がった。
ξ゚⊿゚)ξ「……使ったの?あの力を」
〝(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」〟
半死人。
569
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:47:45 ID:NYM2qCNY0
('A`)「……な!」
信じがたい光景だった。
内藤の全身は目を覆いたくなる程、肉体の壊死を起こしていた。
明らかに生存できるレベルを超えていた。
('A`)「化け物……なのか?
いや、それにしては何故喋れるんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
内藤の手には注射器があった。
それはかつてぃょぅが開発した悪魔の薬品。
知能を残したまま、亡者となる薬。
570
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:50:06 ID:NYM2qCNY0
壊死し黒く染まった皮膚。
顕著に浮き出る赤い血管。
全てが亡者と化した人間と同じ症状。
それはもはや、内藤ではなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「……駄目だよ」
ツンデレはシワクチャな顔でそう告げた。
ξ゚⊿゚)ξ「絶対駄目だよ!そんなの!
もう人間には戻れない!貴方は亡者に……!」
( ^ω^)「ツンデレ、ドクオ、ごめんお」
(#‰∀`)「うぉおおおおおおおおおおおお!」
571
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:51:50 ID:NYM2qCNY0
雄たけびが避難所一帯に鳴り響いた。
そこには上半身裸で血まみれのモナーの姿があった。
火で覆われ荒れ果てた大地。
ガラス片、粉砕された建物。
(#‰∀`)「俺は死なん!
爆発だろうが銃だろうが被爆だろうが
俺を死には至らせん!」
(#‰∀`)「その程度で殺せるかぁああああああ!」
片腕が欠損、全身に大火傷。
モナーはもはや死ぬ間際の状態だった。
威厳なき帝王の虚勢。
572
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:53:03 ID:NYM2qCNY0
残るはゴミカスにも劣るプライド。
それでも咆哮できるのは強者としての名残か
(#‰∀`)「これで運命の下に平伏す塵共は死に絶えた!」
(#‰∀`)「ゆくゆくはこの避難所の全てを灰と化してやる!
悪意をばら撒く!
それこそが私の生きる意味!
悪の家系から生まれた血の!意思を達する事が……」
その時、モナーはガラス片に自分の姿が見えた。
……背後には
(#‰∀`)「内藤ッ……」
モナーは顔面をわし掴みにされ、壁に叩きつけられた。
(#‰∀`)「ぐっがっお」
明らかに人間の力ではなかった。
必死に外そうとするが、ビクともしない。
573
:
名も無きAAのようです
:2012/09/21(金) 23:53:13 ID:1BwD5qbkO
支援
574
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:56:10 ID:NYM2qCNY0
モナーの視線の先にいた者。
……それは
( ^ω^)「お前のせいで幾多もの犠牲があったお
失って良いはずのない命があったお」
(#‰∀`)「待てェ!貴様!な、何故生きている!」
( ^ω^)「知る必要などないお
今この場で死ぬのは当然でありながら
情をかけられるだけの価値もない」
頭蓋骨にヒビが入り始めた。
モナーは目玉が飛び出し、吐血を始めた。
(#‰∀`)「わん、腕力が通用……しなッ
この力……ま、まるで」
モナーの目前にいたのは、一体の亡者だった。
575
:
名も無きAAのようです
:2012/09/21(金) 23:56:50 ID:9jJsxldgO
( ^ω^)こいつもやられたのか、主人公補正はなかったか
576
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:57:56 ID:NYM2qCNY0
彼にとっての人生最大の恐怖とは、真に今だった。
──いつもそうだった。
コイツは学生とは思えない程の度胸があった。
その内心に深く眠る力は己以上の化け物。
いつも搾取する側のはずだったモナーが、今は酷く怯えていた。
(#‰∀`)「避難民を守るためなら命をも犠牲にし、自ら亡者と化す!
その執着心は驚嘆の意思を隠せん……だがな!」
(#‰∀`)「俺一人を殺したところッで……
世界はもはや奈落の底だ!
野心や悪が世界を淘汰する時代となる!」
脳みそが溢れ、頭蓋骨が醜く歪んだ。
(#‰∀`)「生き延びた避難所の生存者は何処へ行き着く!?
何処も増えすぎた人類を収容するので精一杯だ!
路頭に迷い続ける事で得るものは、僅かに生き長らえる不安と絶望!
やがて誰かが思うかもしれない!」
(#‰∀`)「あの時死んでいれば良かったと!」
577
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/21(金) 23:59:51 ID:NYM2qCNY0
(#‰∀`)「政府は我々の命等考えちゃいない!
この体を見ろ!奴らは化け物を駆逐するためなら中性子線すら使う!
これ以上の醜悪が何処にある!」
(#‰∀`)「これこそが人類だ!
これが愚かな生き物として生まれた業(カルマ)だ!
互いに互いを共食いし、やがては滅ぶ!」
(#‰∀`)「浅はかな正義感で全てを救えた気になるな!
もはや生きる事は絶望をただ先延ばしにするだけだ!
それでも貴様は!!」
(#‰∀`)「……馬鹿な」
死を迎える間際
己の周囲には幾人もの『いるはずのない人物』が見えた。
(`・ω・´)「……」
(´・ω・`)「……」
<ヽ`∀´>「……」
( ゚∀゚)o彡゜「……」
578
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:02:24 ID:C.EUxjpA0
(#‰∀`)「こんな事が……こんな事など!」
幻覚だろうか……
連中は獲物を見るゾンビのように、モナーを囲っていた。
その前方に立つのは内藤ホライゾン、ただ一人。
( ^ω^)「悪人に限ってそういう事を言うお
許されるべきはない悪行を正当化し、話題を逸らそうとする」
( ^ω^)「俺がお前を殺すのは悪い事をするから
今はそれだけでいい、それこそが今の役目」
(#‰∀`)「俺は選ばれた人間だぞ!たかが
たかが一本!たかが一本の腕で俺を殺ッ……
殺せッるかががが」
(´・ω・`)「アサマシイナ」
<ヽ`∀´>「モウムダダヨ」
( ゚∀゚)o彡゜「シネ」
やがて、血しぶきと脳みそが飛び散った。
579
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:04:21 ID:C.EUxjpA0
午後8時41分
( ゚−゚)「……これが業(カルマ)か」
エイブラムスは足を引きずりながら、避難所の裏口を見ていた。
そこからは次々と大型バスが発進していくのが見える。
もはや市長としての肩書きは失っていた。
戻ったところで、見えているのは豚箱行きの自分。
片足を失うという多大なるリスク。
「シチョウ……タスケテ」
「シチョウ……ボスケテ」
そして背後に集まる無数の亡者達。
無理ゲーという言葉が、今程相応しいと感じた瞬間はない。
( ゚−゚)「避難所の夜明けと共に……私は」
その後……
一人の人間が散々遊ばれバラバラにされた挙句、無残に貪られた。
580
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:06:45 ID:C.EUxjpA0
同時時刻。
「早く乗れ!」
ギコは自衛隊員達に半ば強引に乗せられた。
最後の大型バスが発進をしようとする。
倒壊した校舎の下には焼死体の山が見えた。
モナーがもたらした避難所の影響は甚大で
化け物対策のため徹底された設備は全て瓦礫と化し
火の海の内部では微かに蠢く化け物の影が見えていた。
これがたった一人の人間が及ぼした災厄。
そのために最後の希望であるバスが走り出す。
581
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:08:04 ID:C.EUxjpA0
(,,゚Д゚)「!!」
ギコはふと思い出し、運転手の方へ走り始めた。
「コラ!運転中に立つな!」
その運転手を警護していた自衛隊員が、少年を抑える。
(,,゚Д゚)「ニートとツンデレを知らないですか!」
「は?」
(,,゚Д゚)「えっと……ドクオとツンデレっていう人達です!」
582
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:09:46 ID:C.EUxjpA0
「……」
自衛隊員は無線で連絡をしながら、名簿表を見ながら確認を始める。
「ツンデレという人物はいない……
しかしドクオという人物は収容されていたようだ」
彼は無表情で少年を見つめていた。
「彼はバスに乗っていない」
(,,゚Д゚)「……」
「これが最後のバスだからな
乗員にも限度があるから、どの道乗せる事はできない
恐らくは今……避難所の何処かにいるんだろう
生死についてもわからない」
(,,゚Д゚)「そうですか」
「降りるか?」
自衛隊員は無表情でそう問いただした。
583
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:11:21 ID:C.EUxjpA0
「このバスに今、終着点など存在しない
ただ……今を生き延びる事しか考えてはいない」
「車内が安全なんて発言は極めて無責任だ
もしかすると、避難所の地下で身を潜んでいた方が安全なのかもしれない
もしかすると、そのドクオという人物も地下で身を潜めているのかもしれない
自分が正しい思った道に突き進むべきだ」
「もう一度問いかけよう
降りるか?」
(,,゚Д゚)「……」
〝ξ゚⊿゚)ξ「また会いましょう
絶対に……生きた形で」〟
生きる事だった
何時だって、本当に望むべく未来というのは……
……そのために
(,,゚Д゚)「いいです」
584
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:12:58 ID:C.EUxjpA0
ギコは俯きながら、椅子に座った。
从 ゚∀从「んだガキ?随分暗い表情だな」
从 ゚∀从「……泣いてんのか?」
〝「ギコ、正直な人間でいる事はとても辛い事だよ
でもね……そんな人でいるのはとても偉い事だと私は思う」
「嘘をつく人にとっては馬鹿に見えるだろう
正直に言おうと思っても言えない時もある
だからこそ、正直でいる人間は誇らしい」
「意味はまだわからないだろうけど……君にとって
それはとても大切な武器になるだろう」〟
バスは軍列を組んで走行していた。
闇夜に輝く月は、行き場の見えない彼らを優しく照らしていた。
……しかしその一方で
('A`)「……もう無理だ。脱出できない」
585
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:14:56 ID:C.EUxjpA0
「チュウニビョウオツ」
「ムネアツ……ムネアツ……」
「プフフフ……ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒーヒーッヒッヒ」
「ウィンウィンウィン ウィンウィン フフフ ウィンウィンウィン」
「……ギギギ!」
「エーデルワーイス、エーデルワーイス」
「ルイズ!ルイズ!ウワァアアアアアアア」
「ソトノケシキヲミセテクレ・・・・・・ナイノハナゼデスカ?」
「マツリダ!マツリダ!」
「イタイ……」
「クズハシネッ!」
「オレモマゼテー」
ドクオは壁の隙間から外の景色を見た。
化け物以外には何も見えない。
呻き声がそこら中から鳴り響く。
扉がガタンッ!ガタンッ!と激しく揺れる。
('A`)「内藤の容態は?」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
586
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:16:38 ID:C.EUxjpA0
ツンデレの膝の上に乗せられていたのは内藤だった。
( ^ω^)「何でだお……
俺は生きてくれと願ったのに……何で」
ξ゚⊿゚)ξ「好きだから
他に理由なんてないよ」
彼女は笑顔でそう告げた。
「カーゴメカーゴメ、カーゴノナーカノトーリーハ」
3人は避難所内の小さな食料倉庫の中にいた。
彼らは無数の化け物に囲まれていた。
「イーツイーツデヤール」
587
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:18:06 ID:C.EUxjpA0
暗い
寒い
五月蝿い
怖い
辛い
それだけが皆の感情を支配していた。
ただの倉庫、地下なんて存在しない。
上に上ったところで他へ伝う手段もない。
連絡手段もない。
恐らくは……ここへ来る者など
あるのは僅かな食料
そして
('A`)「……日記?」
日記とペン。
まだこの避難所が学校として機能していた頃
学生がコッソリ隠していた物だろうか
588
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:19:40 ID:C.EUxjpA0
('A`)「……諦めたくないか?」
ξ゚⊿゚)ξ「諦めるしかない
現実が見えない程馬鹿でもないよ」
('A`)「だよな
じゃあ他にできる事って何だと思う?」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
ドクオは笑顔で日記を手渡した。
('A`)「事実を伝えるんだ」
('A`)「経験した事、好きな人、嫌いな人
それを伝える事は……自分達が生きていたという証になる」
('A`)「だいたい、その日記は恋を綴るために用意されたもんだぜ?
アンタらにこれほど相応しいものがあるかよ」
( ^ω^)「……は、はは」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
589
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:21:53 ID:C.EUxjpA0
I hurt myself today, to see if I still feel.
(まだ痛みを感じながら、今日自分を傷つける)
『8月1日』
思えば人生で最も長い一日だった。
全てが変わってしまい、始めは死にたいと思っても
内藤に出会えた事で頑張ろうって気持ちになれた
自分達を助けてくれた自衛隊員達も全員死んじゃった。
今は化け物共に囲まれている。
逃げたいけど逃げられない。
とても辛い
I focus on the pain, the only thing that's real.
(見てみると、これは紛れもなく現実のようだ)
『8月2日』
この倉庫はどうやら食料保存庫だったみたいで
最低限生き抜くだけの物資はあるみたい。
幸い雨が振って、火は全て消えた。
一応空に向かって手を振ったりしてるけど成果はなし
入り口は完全に封鎖してるので、一応今は問題ない
もしかするとバスで脱出した生存者達より安全な選択肢だったかも
今は3人共気が合ってて仲が良い
凄く不安だけど、今はそれを考えたくない
590
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:23:05 ID:C.EUxjpA0
The needle tears a hole, the old familiar sting.
(親しき連中に針のような悲しみが刺さるだろう)
『8月3日』
節約していけば、食料は一週間以上保つ。
あとは必死に空へ向かってSOSをすれば良い。
不思議な事が一つある。
周りにいた化け物が段々と倒れていく。
寿命?餓死?
よく考えると当然な事なんだけど
それにしては今更?と思うような気もする
Try to kill it all away, but I remember everything.
(それをすべて消してしまいたい。だが、私はすべて忘れられない)
『8月4日』
ドクオがお腹が痛いと訴え始めた。
化け物が減り外出可能になってからの事
また、肌が黒く染まってきてる
何だか言いようもない不安に駆られ、外出を控える事にした。
591
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:25:04 ID:C.EUxjpA0
What have I become?
(私は何になれたのだろう?)
『8月5日』
鼻血.茶色い痰,下痢.指先に出来た小さな赤いホクロ。
ドクオの症状は明らかに風邪の類ではなかった。
そしてネットや授業等で聞いた事があった。
被爆。
思えばモナーのあの姿を見れば必然的だった。
彼は何かをされたのだ。
内藤もそれに近い事を言っていた。
My sweetest friend everyone I know,
(親愛なる友よ、私の知るものたち)
『8月6日』
考えていくにつれ、ある真実に辿りつつあった。
モナーが避難所に来なければ避難民達は被爆し壊滅していた。
4日の時点でこれだけの症状が出るという事は
体育館や校舎にいた殆どの生存者を死に至らしめられた、という事になる。
モナーは何を目的にして避難所を攻撃したんだろう
今となっては知るよしもないけど
『8月7日』
ドクオが死亡した。
592
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:27:08 ID:C.EUxjpA0
goes away in the end.
(みんな最後にはどこかに行ってしまう)
悲しかった。
言葉も出なくなるくらい私と内藤は悲しんだ。
そして脳裏に一つの言葉が沸いていた。
何故私達は無事なんだろう。
内藤は半亡者の存在だから別なのかもしれない
なら、何故私は生きているんだろう
意思のみで願いが適う事はない。
もし願った事でそれが適ったとするなら、それは幸運だったというまでだ。
今日まで生き延びる事ができたのは幸運だ。
それはいくつもの偶然が積み重なる事で生まれる。
たまたま自分の都合のいい方へ転んだだけだ。
593
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:29:09 ID:C.EUxjpA0
私と内藤はずっと話をし続けていた。
それだけが唯一の幸福だと感じたからだ。
やがて議論は結論へと至った。
思えば駅で彼と出会い、今日だけを過ごしてきた今
どれだけのの人々が亡くなっただろう
ほんの少し運命が違えば、無残な死を遂げていた。
もはや努力が下積みだとか……そんな夢のある事じゃない。
別にこのような世界にならなくとも、それはきっと関係のない事だった
類稀なる強運と選ばれた質の人間だけが成功する
私達は選ばれただけ
神様の気まぐれで、たまたま生存に至っただけ
だからこそ、それに見合う努力をしようと思った。
If I could start again
(もし、もう一度私にチャンスがあったなら)
594
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:31:31 ID:C.EUxjpA0
喉が張り裂けるくらい必死に空へ叫んだ。
被爆が怖いので、可能な限り移動を避けた。
食料も可能の限り節約。
化け物なんかに食われるわけにはいかない。
私達は生きる
生きる、絶対に生きる
シャキンもショボンも素直クールもドクオもジョルジュも同じ事を言うだろう
ここまで来たんだから、私達は
『8月7日』
『8月8日』
『8月9日』
『8月10日』
『8月11日』
内藤と一緒なら、何時までも
ξ゚ー゚)ξ「……」
内藤はツンデレに膝枕をしてもらい、眠りについていた、
それを彼女は聖母のような表情で見つめていた。
595
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:33:38 ID:C.EUxjpA0
If I could start again
(もし、もう一度私にチャンスがあったなら)
A million miles away,
(遥か遠くへ行き)
I would keep myself,
(たった独りで生きていく)
I would find a way
(そんな道を見つけ出すだろう…)
( ゚Д゚)「……以上の内容が、VIP小学校避難所に残された日記です」
エピローグ『Hurt』
596
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:35:21 ID:C.EUxjpA0
( ゚Д゚)「西暦2012年、人類は未曾有の大災害に阻まれました
それによる犠牲者は地球人の人口を約半数近くも減らしたと言われます
残された生存者はシェルターの中へと避難」
( ゚Д゚)「各国は『ノスフェラトゥ』を投下
世界を我が物顔で徘徊していた亡者達を殲滅」
( ゚Д゚)「そして西暦2034年の今日
政府から正式に外出の許可が降りました
私達は22年の時を経て、ようやく地上に顔を出す事ができます」
かつての避難所より倍以上もある大きさのホール。
会場ぎっしりに詰め込まれた観客達。
そのステージに立っていたのは、スーツを着た清楚な外見の男性だった。
( ゚Д゚)「私は寄生体『NEET』専門研究家
ギコと申します。ご存知であるとは思われますが」
( ゚Д゚)「……私もこの大災害の被害者でございます
8歳の頃、地獄の一部始終を経験しました」
( ゚Д゚)「その修羅場の中、二人の学生を垣間見たのです
避難所にいた時の話でした」
597
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:37:55 ID:C.EUxjpA0
( ゚Д゚)「前述の日記はその二人が記したものです
近日捜索隊が亡者の遺体回収作業時に発見しました」
( ゚Д゚)「壮絶な内容です
亡者に追われ、被爆の恐怖の味わいながらも
二人は懸命に生き抜こうと努力してしました
……その時、私は逃げる事しかできなかった」
( ゚Д゚)「敵は亡者だけはなく
避難所を破壊しようと目論む邪悪な者さえいました
彼らは懸命に戦い、命の灯火を死守してました」
( ゚Д゚)「亡くなった者達も少なくはなかった
そうして得る事できた命があったために、今の私は生きています」
( ゚Д゚)「彼らに対する感謝の気持ちが途絶えた日など、一度としてありません
正直に生きろと言った父親の言葉も忘れた事などありません
その信条を忘れず努力してきたからこそ、教授としての私がいます」
598
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:39:51 ID:C.EUxjpA0
( ゚Д゚)「命を賭して戦った者達を称え
再び地上への一歩を踏みしめましょう!」
拍手喝采に包まれた。
スーツに身を包んだギコは一礼し、ステージを出て行く。
「教授!何処へ行かれるのですか!」
マネージャーと思しき女性がそう訴える。
「この後は別の会場で寄生体『NEET』の説明会が」
( ゚Д゚)「すまないね
ちょっと野暮用があるんだ」
「野暮用?」
( ゚Д゚)「つい最近発覚した事なんだ
先ほどのステージでも話していただろう?
日記を書いた二人の生存者
ツンデレと、内藤ホライゾン」
( ゚Д゚)「彼らは公式生存者名簿の中では死亡という扱いになっていた
事実……あの状況下で生きる事は不可能にも近い」
( ゚Д゚)「……だが、信じられない事だが
それは間違いだった!」
599
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:41:47 ID:C.EUxjpA0
「……?」
唖然となるマネージャー
ギコは上機嫌で歩いて行く。
( ゚Д゚)「生存者名簿表の中に『エレドナット』という名の人物がいたが、既に死亡者扱いとなっていた
死者の間柄や家系等は身内が申請をしなければ不明のまま
その人物は22年間の間、ずっと謎の遺体であり続けた」
( ゚Д゚)「これだけの大災害……全ての身柄を正確に判別する事など不可能だった
そういった謎の死亡者は山ほど存在し、再建に手一杯な政府も半ば放置状態」
( ゚Д゚)「……そして私宛にタレこみが入ったんだ
シェルター奥深くの小屋にその名簿の家があると」
( ゚Д゚)「『エレドナット』のスペルは『EREDNUT』
……逆さにすると」
「ツンデレ?」
マネージャーはそれに気づき、目を大きく見広げた。
600
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:43:35 ID:C.EUxjpA0
( ゚Д゚)「彼らは偽名を使う事で政府からの抑圧を回避した
恐らくは国家機密に値する程の何かを所持していたのでしょう」
〝ξ゚⊿゚)ξ「……駄目だよ」
ツンデレはシワクチャな顔でそう告げた。
ξ゚⊿゚)ξ「絶対駄目だよ!そんなの!
もう人間には戻れない!貴方は亡者に……!」〟
( ゚Д゚)「地上に足を踏み入れる事が許された今宵!
何かが起きるでしょう!」
( ゚Д゚)「この22年間の間に積み重ねられた偉大なる何かが!
私はあの目撃者として……」
川 ゚ -゚)「一人でよくそこまで辿り着いたものだ
本当にいい演説だったよギコ」
601
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:45:06 ID:C.EUxjpA0
「!?」
向かい側から姿を現した中年女性に、マネージャーは唖然となる。
川 ゚ -゚)「すまなかったな
もっと早いうちに姿を見せたかったが
彼女の強い意志を見ていると、余計な事はできなかった」
( ゚Д゚)「いいんです
また出会えた事が、一番の幸福ですから
こうして歴史の偉業に立ち会える事も……」
川 ゚ -゚)「二人を助けたのは私だ
8月11日、増援を引き連れて」
( ゚Д゚)「その結果得た物を今日、垣間見る事ができます」
「え?え?」
混乱するマネージャーをよそに、二人は歩いて行く。
( ゚Д゚)「化け物から人間へと戻す方法
それを今日……人類は獲得する!」
602
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:47:16 ID:C.EUxjpA0
古臭い小屋。
約50km近くもある超巨大シェルターの内部。
その中で最も北端に位置する建物。
本来は地上の監視用の建物だった。
にも関わらず、小屋の中には最低限の食料があり
奥に進めば実験に使いそうな無数の器具が存在していた。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
錆付いた椅子に座る一人の女性。
彼女は笑顔でカプセルを見ていた。
中に入っていたのは冷凍保存された内藤。
手に握られていたのは青色の液体が入った試験管。
彼女はカプセルの管にそれを挿入した。
蒸気が溢れ出した。
中の温度が常温へと変化し、フタが開く。
603
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 00:47:16 ID:Fxd9HDfsO
がんばれ!
604
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 00:48:00 ID:l2ONHMkAO
川 ゚ -゚)、生きてたんだ!!
605
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:48:47 ID:C.EUxjpA0
ξ゚⊿゚)ξ「長い道のりだった……あれから22年
まるで昨日の事みたい」
ξ゚⊿゚)ξ「久しぶりね
内藤ホライゾン」
( ^ω^)「……お?」
涙目でツンデレは彼を見つめた。
そこには駅の中で出会った姿のままの内藤がいた。
同時にシェルターの天井が開かれた。
現在時刻、午前8時35分。
晴天の朝。
606
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:49:56 ID:C.EUxjpA0
数十匹の小鳥が地上へと放たれ、空へと消えて行った。
( ^ω^)がゾンビに囲まれてグチャグチャのようです
完
607
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 00:52:57 ID:C.EUxjpA0
今回で『( ^ω^)がゾンビに囲まれてグチャグチャのようです』は完結です。
読んで頂いた皆様、支援して頂いた皆様、今まで本当にありがとうございました。
途中誤字脱字や更新が遅くなったりと、申し訳ございません。
やりたい事は全部ブチ込めました。
ひとまず便所を我慢してたので、その後あとがきを投稿します。
608
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 00:53:13 ID:Fxd9HDfsO
乙!!!
609
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 00:53:51 ID:yoajx192O
乙!面白かった!
610
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 00:55:18 ID:rm/ZaAXc0
終始一貫して面白かった
超絶アルティメットスーパーメガすげぇ乙
611
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 01:06:47 ID:hZE5fwiE0
乙!!
612
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 01:08:07 ID:l2ONHMkAO
( ^ω^)が復活してよかった
これは間接的にイヨゥのお手柄かな
613
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 01:11:55 ID:Bmf7F1mMO
乙!!
ドクオ…
614
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 01:17:52 ID:i7Bol2HQ0
めっちゃ乙
ゾンビ系好きだから凄い楽しく読ませてもらった!
おもしろかったよー!
615
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 01:33:32 ID:C.EUxjpA0
あとがきです。
作中後半に登場する歌詞は『Johnny Cash』の『Hurt』という曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=SmVAWKfJ4Go
日記の部分から先はこの曲をイメージしながら製作しました。
読みながら聴いて頂けると幸いです。
対人戦寄りとなったのが気がかりでしょうか
モナーを異常なまでに強く設定しすぎて、ゾンビの印象が薄くなってしまった事や
モールや、もっとチェーンソーなんかも活躍させるべきだったと思います
最後のゾンビに囲まれるシーンは初めから考えており
想像通りの終わり方ができて、満足しております。
思ったより反響が良く(当初は1レスがたまに来るくらいを想像してた)
非常に嬉しくなり創作意欲が爆発して完成まで至りました。
次回作もちょっとずつですが製作中です。
約1ヶ月半もの間、楽しみにして読んで頂いた皆様ありがとうござました。
616
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 01:41:05 ID:C.EUxjpA0
>>613
ドクオは殺そうかどうか迷った挙句、殺しました。
可哀想ですが
なお、最後のツンデレが内藤を膝枕するシーンは
かの有名なテンプレのブログのイラスト
ttp://blog-imgs-38-origin.fc2.com/g/y/o/gyokutonoyume/0.jpg
を見て発案してたりします。
617
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 02:32:59 ID:k0kUD3SMO
ω・∩ハッピーエンドでよかった乙。ドクオwwwww
618
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 03:42:11 ID:Ta8RiCwwO
乙
あのドッペルゲンガーみたいな『何か』がその後どうなったのか気になるところだな
619
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 09:43:10 ID:.Nq6gnws0
ブログにまとめたいのですが、
よろしいでしょうか?
無理ならいいです。
620
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 10:39:17 ID:H7y.CdsE0
乙
面白かった
ツンはなんで生き残れたんだろう
621
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 13:14:46 ID:Xg8qLGlI0
おもしろかったぞ
おつ
622
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/22(土) 13:42:23 ID:C.EUxjpA0
>>619
大丈夫です
やっていただけるのでしたら、むしろ非常に嬉しいですw
623
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 16:35:58 ID:jCJa9SYI0
完結作品に惜しみない称賛を込めて、乙!!
624
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 18:04:01 ID:cenYczP.0
>>622
ありがとうございます!
625
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 18:42:59 ID:cXD2u4Oc0
乙
626
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 19:19:52 ID:D0oXv0HE0
乙!
627
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 19:23:12 ID:E1Y8lqH20
あらためて乙
まとめは後日。
628
:
名も無きAAのようです
:2012/09/23(日) 09:50:32 ID:rtBU9iOIO
来てたのか
面白かったよ、完結乙乙
でもナニカとツンの生存理由を知りたいー(チラッ
629
:
619
:2012/09/28(金) 17:53:47 ID:PNvn3I1M0
http://blogs.yahoo.co.jp/sabubaggu/folder/514364.html
5000文字制限がきびしかったので、1話目から五分割になってしまいましたww
サーセンww
630
:
◆UeK1bAFKBw
:2012/09/29(土) 16:31:15 ID:owaBHobM0
>>629
ありがとうございます
やたらと文字多い小説ですみませんw
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3466945.zip.html
一応元のテキストです。
こっちの方がまとめやすいかも
631
:
名も無きAAのようです
:2012/09/29(土) 17:39:42 ID:MzFHtATs0
>>630
いえいえw
Yahoo!ブログ使ってる僕がおかしいんですw
もとの文章ありがとうございます!
632
:
重荷
:2012/09/29(土) 21:29:12 ID:I5Hwrm260
取りあえず、現在色々とあって更新ははかどりませんが、頑張ってみます。
633
:
名も無きAAのようです
:2013/04/29(月) 11:31:01 ID:Z/zMILbs0
おれもきたいする
634
:
名も無きAAのようです
:2013/04/29(月) 13:38:13 ID:Z/zMILbs0
おもしろかった
636
:
名も無きAAのようです
:2013/10/05(土) 01:27:29 ID:p4lDbit.O
>>231
今更ながら過去作読んだ、ジョルジュのやつは打ちきりみたいだね
本作は内容はちょっと違うけどジョルジュのやつの完結編の位置づけなのかな
(まあこんなこと書いても目に触れる可能性は限りなく低いだろうけど)
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