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('A`)シャーロック・ドクオのようです
1
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/18(火) 20:46:05 ID:ISNUiF1E0
テーマはfunny & crazy。
痛快な探偵小説です。
まとめてもらいました。
はじめの方は、ネタなので読み飛ばして下さい。
http://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/sherlock/sherlock.htm
304
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 22:57:43 ID:5xuLYzhg0
('A`)「……頼む。お前たちの望みはなんだ?」
「……望みじゃない」
鼻を擦りながら、主犯格は続ける。
「俺達にはただ、義務がある。引くことのできない事情もある」
絶望的な言葉が響く。
(;'A`)「……」
305
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 22:58:28 ID:5xuLYzhg0
ドクオは感じ取った。
言葉を紡ぐ主犯格の顔に、嘘偽りがないことを。
単なる脅しやハッタリではないのだ。
自爆テロだろうか。
それに主犯格だけではない。
手すりに項垂れる小太りの男、少年のように小柄な男も、
顔に浮かんでいるのが、諦めの色なのだ。
今日のために、計画を練って、準備を整えて、
最後の最後で、あのような表情を作るだろうか。
306
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 22:59:13 ID:5xuLYzhg0
「……爆破は止められない」
(;゚ー゚)「……」
(;'A`)「……頼む。あの政治家と関係がない者たちもいる」
蚊の鳴くような声だ。
「……飲めない」
主犯格の男は、床を見つめている。
前髪が、風に靡く。
307
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 22:59:55 ID:5xuLYzhg0
(;'A`)「……」
「……残り時間は、もう十分もないだろう。
一緒に心中しようじゃないか、名探偵」
誰一人として動かなかった。
探偵も爆弾魔たちも。凍り付いている。
絶望に飲み込まれそうなドクオと犯人たちの横で、
クスクスと笑っている、しぃ以外は。
(*゚ー゚)「交渉中、失礼しまーす!」
308
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:00:39 ID:5xuLYzhg0
突然、軽快な声を上げる。
不気味なまでの明るさだ。
この状況で、何が楽しくてこんな声を上げるのだ。
狂気にしか思えない。
跳ねるような足取り。
彼女は中心へとやってくる。
主犯格の男に向き合う。
歯の見える笑顔を作った。
309
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:01:19 ID:5xuLYzhg0
「……」
(;'A`)「……?」
(*゚ー゚)「アタシの職業は泥棒です」
口を押さえながらも、高い笑い声を漏らす。
笑いを押し殺そうとする子供のようだ。
310
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:02:01 ID:5xuLYzhg0
ドクオは一人で考えていた。
泥棒が腰を上げるとき、その目的はなんだろうか。
任された潜入をすっぽかしてまで、すべきこととはなんだろうか。
その答えが浮かび上がる前に、しぃがもうそれを口にしていた。
(*゚ー゚)「解除スイッチ、頂きました♪」
しぃの中指には、銀の腕時計がぶら下がる。
リーダー格の男が握りながら、ずっと見つめていたはずの腕時計だ。
311
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:03:31 ID:5xuLYzhg0
彼は焦りながら、ジャンパーのポケットに手を突っ込み、そして言う。
「……!」
(*゚ー゚)「葛藤しながら、ボタンに何度も指を当ててるから、分かっちゃった。
このボタンを押すと、爆破解除の電波が送られるんでしょ」
「……お前」
(*゚ー゚)「……いつ言おうか、一人でずっと迷ってたんだけど、
実はもう解除されてるんだよね」
312
:
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:04:15 ID:5xuLYzhg0
「……結局お前は、そこの探偵のスパイだったんだな」
男の声が震えている。
その理由は、怒りか、悲しみか、悔しさか。
膝から崩れ落ちていたドクオが、安堵の息を漏らしながら口をあんぐりと開ける。
上半身を包んでいた絶望の塊のような緊張感が、緩やかに溶けていったのだ。
同時に、しぃを疲れた瞳で見据えながら、言った。
('A`)「おい、女泥棒」
313
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:04:59 ID:5xuLYzhg0
(*゚ー゚)「はい?」
('A`)「……ふざけんなよ」
(*゚ー゚)「……」
('A`)「……一っ言も言わずに、勝手に行動しやがって」
(*゚ー゚)「……ごめんね」
('A`)「……」
(;゚ー゚)「……って!」
314
:
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:06:06 ID:5xuLYzhg0
拳銃があった。
ドクオの顔に向けられている。
主犯格の親指が、すぐにそれを装填する。
「……お前が憎い」
('A`)「……」
「……お前がいなければ。お前が邪魔さえしなければ、
俺たちはもう今頃、本当の自由を手に入れていたんだ」
315
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:06:47 ID:5xuLYzhg0
部下二人が『リーダー』と唸り、全てを台無しにしてくれた、と付け足した。
ドクオの驚いた顔は、主犯格が言葉を全て吐き出した頃には、
不気味なほど冷静な顔に変わっていた。
体勢をゆるりと立て直しながら、自らを捕えている銃口を睨み返す。
('A`)「……そいつは済まなかった。
だが列車を爆発して大量殺人を図るような奴らに、
施してやる同情は持ち合わせてないな」
316
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:08:26 ID:5xuLYzhg0
「……お前だけでも殺してやりたいよ」
トリガーに人差し指を掛ける。
心なしか、僅かに振動している。
ドクオは車掌の男を見て、そっと口元を緩ませる。
この場所へ来たときから分かっていたことだったが、
いざ目の前にすると、どうしようもなく滑稽で、笑えるものなのだ。
317
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:09:29 ID:5xuLYzhg0
下手糞な変装じゃないか。
318
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:10:16 ID:5xuLYzhg0
('A`)「おい、ショボン。いつまで其処でふざけてんだ」
「……ははは」
('A`)「旧友がピンチだぞ?」
「ごめんよ。ドクオ」
319
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:11:09 ID:5xuLYzhg0
車掌の男が、一瞬のうちに銃を蹴り上げた。
舞い上がった銃は、雨降りしきる暗闇の中へと溶けてゆく。
外れかけのカツラから、男はたれ眉毛を覗かせた。
次の瞬間、リーダー格は地面へと仰向けに倒れている。
膝の裏に、強烈な打撃が飛んできたのだ。
320
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:11:56 ID:5xuLYzhg0
(´・ω・`)「拳銃を握る指にリアリティが欠けているね。
君は犯罪者になるには、優しすぎたってことかな」
「……アンタは!?何者だ!?」
銃声が辺りに響き渡る。
たれ眉毛が、胸元から取り出した新たな銃を撃ったのだ。
銃弾は、頭上の闇夜を突き抜けていく。
犯人たちは、その音に恐怖して顔を伏せる。
321
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:12:42 ID:5xuLYzhg0
(´・ω・`)「しがない情報屋の素性を知るなら、
未来へ繋がる逃げ道を知っておいた方がいい。
僕の独断と偏見は、君たちを逃がしてもいいと言っている」
「……!?」
(´・ω・`)「停車駅のホームの逆の、鉄柵を乗り越えて走るんだ。
ホームには絶対近寄るんじゃないよ。
君たちの始末屋は、今頃そこに派遣されている」
322
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:13:36 ID:5xuLYzhg0
目を丸くしながら、犯人の三人はタレ眉毛男を見つめている。
(´・ω・`)「兄者という男を探して、北へ行け。偽造のプロだ。
君たちの存在は、社会の表舞台から消える」
「……アンタ」
(´・ω・`)「いいね、ドクオ?君は不服かもしれないが、彼らはまぁ、未遂だ。
このまま放置しておいて、殺されるには値しないさ。
それに彼らが、今日ここで爆弾魔なんかやってるのは、事情があるんだ」
323
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:15:38 ID:5xuLYzhg0
('A`)「……」
('A`)「あー、おkおk。別にどうでもいいさ。
ただ散々そいつらに、追いつめられてさ。色んな意味で。
むかむかしてるんだけどな」
射るような眼差しを向ける探偵を、犯人たちは恐る恐る見つめ返す。
彼らは先程の倒れたままの姿勢で、デッキの手すりの前にうなだれていた。
324
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:16:32 ID:5xuLYzhg0
永遠にも思える凍りついた時間は、穏やかさを取り戻し、溶解し、流れていく。
全てが終わったのだ。
犯人たちの横に転がっていた小型テレビから、
『爆弾のタイマーが全て止まりました』という、安堵の叫び声が聞こえてくる。
325
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:17:15 ID:5xuLYzhg0
同時に、
(;'A`)「ふぁあ!」
という声にならない声を出して、ドクオがデッキの床へと崩れ落ちる。
(´・ω・`)「大丈夫かい?」
(;'A`)「そんな訳ないさ。もう懲り懲りだ、こんなの。本気で死ぬかと思ったよ」
横隔膜から無理矢理捻り出したように、粗くて苦しそうな溜息を吐きだした。
326
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:17:58 ID:5xuLYzhg0
(;'A`)「途中犯人が見つからないうえ、電車が落ちそうになったとき、
責任感に押しつぶされそうだった……。これで本当に終わったんだな」
(´・ω・`)「……」
(*゚ー゚)「……」
(;'A`)「二人とも人が悪いじゃないか。おい、ショボン。
どうしているなら教えてくれなかったんだ……」
(´・ω・`)「……ごめんよ。組織の計画だったから、君を呼ぶと都合が悪かったんだ。
君には迷惑をかけっぱなしだね」
327
:
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:18:40 ID:5xuLYzhg0
(;'A`)「そうか。やっと五百万の出所が分かったよ。あの封筒は……」
(´・ω・`)「……狐が壊した窓の修理費さ。受け取ってくれるかい、ドクオ」
('A`)「……今日のことは知ってたのか。俺たちが乗るって」
(´・ω・`)「いや、まったく。君たちとは完全なる偶然で乗り合わせたんだよ。
本当は僕一人で、今日の計画を全て止める予定だった。
極秘のルートから入手した情報でね。僕は正体を偽って、潜り込んだ。
けど彼らは最初から、僕のことを完璧に信用してなかったみたいだった。
だから、しぃを借りて解除スイッチの在り処を探ったんだ。
彼女の判断は多少勝手だったかもしれないけど、
彼女がいなければ爆発を止めることができなかった。許してあげて欲しい」
328
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:19:34 ID:5xuLYzhg0
ドクオは依然、床の上で意気消沈していた。
虚空を睨み付けて、険しい顔を浮かべている。
(;'A`)「おい、女泥棒」
(*゚ー゚)「……何?」
(;'A`)「もう物は盗らない約束だったよな?」
329
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:20:19 ID:5xuLYzhg0
(*゚ー゚)「……もしかして、信用ポイントまた減っちゃう?」
('A`)「……いや」
緩やかに減速を始めていた列車の上で、ドクオは後部ドアの向こうから、
泣きながら駆け寄ってくる探偵助手の姿を捕えた。
同時に発した『追加だよ』という覚束ない声は、
勢いを弱め始めた雨音にさらわれていった。
330
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:21:09 ID:5xuLYzhg0
FIN.
331
:
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◆3C8zs.ICS6
:2011/10/20(木) 23:23:27 ID:5xuLYzhg0
終了ーーーーーーー!!
死ぬかと思った。
もう絶対こんな書くの辛い長編書かねえぞおおおおお!
終わりのほう、結構投げてるので疑問とか残ると思いますが。
支援してくれた方々、有難うございました。
332
:
名も無きAAのようです
:2011/10/20(木) 23:28:44 ID:vjGkr1ZkO
ショボンかっこいいな、乙。
333
:
名も無きAAのようです
:2011/10/21(金) 18:36:51 ID:4v1aO6GY0
うっひょううっひょううっひょう
334
:
名も無きAAのようです
:2011/10/21(金) 19:45:03 ID:TTVmdC2YO
きてたんだな、乙!
335
:
名も無きAAのようです
:2011/10/22(土) 00:39:05 ID:ITibIDLUO
引っ越して来たばっかりなのに凄い投下量
相変わらずここのワカッテマス君はいいキャラクターだ
336
:
335
:2011/10/22(土) 01:26:51 ID:ITibIDLUO
>>335
はワカンナイ君だった
337
:
335
:2011/10/22(土) 01:30:18 ID:ITibIDLUO
また間違えてた、ワカンナイデス君だった
338
:
x
◆3C8zs.ICS6
:2011/10/22(土) 20:38:13 ID:6m5KZzO60
w
次回は最近微妙に忙しいので、
いつになるか未定ですが、
九話は新しいとんでもないモノを書いてやります。
いや、とか言って甘えておふざけ路線に走るんだよなぁ…
339
:
名も無きAAのようです
:2011/10/26(水) 22:01:22 ID:MIlNku3A0
今回みたいのはレス数結構多いから
前後編に分けるといいと思うよ
340
:
名も無きAAのようです
:2011/10/26(水) 22:11:34 ID:aSlTaS8gO
面白かった!
341
:
名も無きAAのようです
:2012/01/19(木) 01:37:59 ID:yBvX85qk0
とんでもないモノカモン!
342
:
名も無きAAのようです
:2012/02/05(日) 13:16:28 ID:xaI22jt.C
まだかなー
343
:
名も無きAAのようです
:2012/05/05(土) 21:04:18 ID:ZBPe8vN.O
まだかなまだかなー
344
:
名も無きAAのようです
:2012/05/05(土) 22:02:41 ID:EwnJyC72O
あがってたから投下あったのかと思った
九話はまだかな
345
:
名も無きAAのようです
:2012/05/07(月) 02:34:20 ID:M0XPpyN2O
今1話から読んできた。
すっげー面白かった。
絶対に完結させてくれ。
本当に頼みます。
346
:
名も無きAAのようです
:2012/11/18(日) 21:35:35 ID:7UH8O8Gw0
カモン
347
:
名も無きAAのようです
:2012/11/19(月) 21:52:32 ID:4.gF0aucO
もう1年か…
時のたつ早さにゾッとするわ
せめて生きてるかどうかだけでも…
348
:
名も無きAAのようです
:2012/11/26(月) 10:43:03 ID:nVU/WPPg0
1,いいものを追求するあまり書けなくなったパターン
2,もういいや、と投げてしまったパターン
3,死んだ
多分1
349
:
名も無きAAのようです
:2013/03/12(火) 09:30:09 ID:ZrwWzXuQ0
死んだか?
350
:
名も無きAAのようです
:2013/07/23(火) 20:21:03 ID:oX358Jvk0
最初から一気読みして来たけど続きはまだなのか…
351
:
名も無きAAのようです
:2015/01/27(火) 16:29:18 ID:hecH5hcc0
それでもいつの日か
352
:
名も無きAAのようです
:2015/05/06(水) 19:32:18 ID:0WtLev620
まだかにゃー
353
:
名も無きAAのようです
:2015/05/06(水) 22:56:30 ID:.v6Eg9oU0
まだかな
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