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異伝スレッド

15立憲王政アーカルソン=リペルニア:2017/06/15(木) 22:58:25
沈陽査読済み。別にプレイヤーとして参加していなくても異伝を書いてはいけないという決まりはないのです。長すぎたので二分割。
―――
六庫。沈陽の領土の最南部に位置する炭鉱の町だ。しかし、最南部とはいいつつ、ここから他国との交流、などというものはない。
密林の植生は長らくの大寒波の中でかき乱され、すさまじい様相を呈している。そこを越えて、隣の国に向かうことなどできない。いや、そもそも隣に国があるかすらわからないのだ。
…だから、六庫の巡撫の下にそのノーマンズランドを越えてやってきた旅人が現れたという報告が上がった時、彼は仰天するほかなかった。
とはいえ、役人は規則に従うもの。絶対主義の下、女帝の気まぐれで左右される国制にあっても、女帝の関心を惹かないものは何も変化させられることはない。彼はこういう状況に対応するための古い規則を探し、授権の規則に従って現在割り当てられていない「入国管理官」なる職務を自らこなすこととした。

【ある料理人の旅行記 六庫編(前半)】

「お初に。アドリアン・モーリスと申しますぞ」
「…ああ。よく、あの荒原を越えてきたものだ。…どこから来たのだ?」
「出身はアトリオンのスタックバラですな。料理人として、食材探しをしておりましてな」
「いや、そうではなく…」
「ん、今回はリーフシッタから来ました、ということになりますかな。あっちの香辛料とカレーの文化もなかなかのものですが、やはりもっといろいろと探し求めたいものがありましてな」
「リーフシッタか…確かに伝承では向こう側にそういう国があったと伝わっているが…」
「地図も持ってきておりますぞ。ご覧になりますかな」
「ん、出してくれ」
モーリスはカバンの中から茶葉の入った缶やら香辛料の入った瓶やらアトリオン製と思われる得体の知れない機械やら、どう見てもカバンに入らなさそうな分量の様々な品物を取り出し、そのあとにさらにカバンに手を突っ込み、やっと地図を手に取った。
「地域の地図はともかく、広域地図はほとんど役に立ちませんでな。出すのも久しぶりで、もうダウランの港に着いたとき以来ですな…。さて、これですぞ」
「ほう…なかなかどうして面白い。ところで、地域の地図といったが、この辺の地図もあるのかね?」
「ああ、ありますぞ。何百年だか昔のものですから、地形以外は信用できませんがな」
言うが早いかモーリスが懐から取り出した地図は、巡撫の目にもおおむね正確な地形を写し取っているように見えた。
モーリスの指が地図の上を横切り、ピタエフスタン半島からこの六庫までの経路を指し示す。
「ふむ…これはなかなか…そういえば君は西ヤーディシアから来たんだったか。次の目的地は七星かね?」
「いや、しばらくはこの地の料理を学んでいくつもりですぞ。次にどこに行くか決めるのは、それからですな」
「そうか。…ともかく、大体の事情は分かった。入国許可手続きやらなにやらで少しかかるから、待っていてくれたまえ。ところで、怪獣の卵の話は聞いたかね?」
「ここに来る途中で噂は。料理人としても気になるところですな」
「試してみるかね?」
「ほう…よいのですかな?」
「配給の中には私の分もあってね。思ったより多くて片づけるのに難儀していたんだ。よかったら一つ、どうかね?」


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