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雑2
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行きたくねえ
スマホ練習がてらに
何が書きたかったかはわからん
これから始まるは、囚われの王子の物語である。彼は今、まさしく檻の中にいる。幼き頃月並みに、竜を倒し姫様を救う冒険単に憧れた彼であったが、なんとも皮肉な初旅であった。
ここがどこなのか、彼には分からなかった。水の流れが聞こえることから、川か堀割に面していると想像はついたが、異国の地となると、皆目見当がつかなかった。
辺りを見回す。
檻に遮られ、床は土、と言えど、まともな寝台があり、本棚まであった。貴族か商人宅の私牢、といったところであろうか。とにかく妙に蒸し暑く、湿気が多い。
カチャリ、と音がなる。誰かが扉をあけ、中に入ってくる。彼は少し身構えたが、男が掲げているのは、食事を運ぶ盆のようであった。
「ちょうどお目覚めですか」
目が合うと、といっても覆面であるが、男は穏やかな調子で応えた。
「申し訳ございませんが、少しの間、我慢していてください。こちらはお食事です」
男は床に盆を置く。が、そのまま去る様ではなかった。彼には、何か質問はあるか、という意図のように受け取れた。
碗に手を伸ばしながら、とくに何を質問すべき、というのも浮かばぬので、彼は思い当たったことをそのまま聞くことにする。
「連れがいたと思うが、あいつは?」
男は少し間をおいて、また穏やかな調子で応えた。
「答えられませぬ。しかし、無事ではあるようです」
彼はその返事に、なんと答えていいのやら、と顔をしかめる。
「そうか」
一言呟き、飯に手をつける。
男は思案顔の彼を少しばかり眺めていたが、フフと笑いを漏らし、口を開く。
「あなた様は招かざる客です」
「そう、か」
彼は口少なく答える。その言葉に、まんざら覚えが無いわけでもないからである。
「はい、誠にもって。正直あなた様にさしたる用はありません。危害を加える気もありません。しかしながら、こちらにも都合がありまして、即座に解放、とも行かないのです」
彼は少し悩む。
「で、どうしろと」
「私の大将から、出してもよい、と指示があるまでは待って頂きたい。それだけです。それ以外に出る方法もありません故」
彼は溜め息を吐く。
「厳重に見張られているんだろうな、その様子だと」
「はい、察しがよくて助かります」
「しかし、出る方法はそれだけじゃないんじゃないか」
「ほう」
「例えば、その大将の大将が出せといった場合、とかな」
「・・・・・・それは、どういうことで」
「他には、その覆面を奪って身に付けた場合、とか」
言うのと飛ぶのが一緒であった。男の戸惑いを逃さず、盆を越え、彼は飛鳥のようにとびかかっていた。
不意をつかれた男は、彼を抱き取るような形で一度後ろにひっくり返った。と思ったのはしかし彼の錯覚で、相手をとらえたと思ったその手は、空の拳であった。
男は倒れるはずみにするりと腕をすり抜け、煙の様に五、六歩先に立っている。
「それは少し、安易だ」
「顔くらい拝めるかと思ったんだが」
「やれやれ、三つばかり忠告しておきましょう。まず、牢番は味方につけるものです」
「覆面の癖によく喋る」
「フフ、知れば知るほど身動きを取れぬお人もいますので。例えば、ほら、脇腹を確認してください」
「・・・・・・」
男はわざとらしく、片手を広げ、頂戴した布切れを落として見せる。
「あわてものなら引き裂いていたでしょう。腕を試すなら他の手を用いた方がよろしい、というのがまあ二つ目」
男がいい終えるや否やの瞬間、彼はまた地面を蹴った。しかし、今度は飛びかかりはしなかった。
男はまた笑った。
「肝試しは通じません。最後は知らぬ方がよいことも多い、ということです。では、ごゆっくりと。また会いましょう」
そういうと、男は鍵をかけそのまま出ていった。
一人になると、彼はそっと額の汗を拭いて、忌々しそうに舌打ちをした。
(どうしたものか)
いらいらしながら、寝台に腰を掛ける。とここで、背中に違和を感じたところで話は続くことになる。どうやら先客がいたらしい。
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