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雑2
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ある日帰宅すると部屋の前に一つの小さな箱が置いてあった。
茶色い包装の上に俺の宛名が書かれた紙が貼ってある。
どうやら俺宛の荷物のようだ。
まったく、最近の運送会社と来たら、部屋の前に放置とはどういう了見だ。
俺は憤慨しながら荷物を取る。
ちょうど広辞苑くらいの大きさの、辞書だとしたらべらぼうだが荷物としてはライト級のそれは、持ち上げてみるとやはり軽い。
荷物を片手で抱えるようにして鍵を開け、部屋に入ると、制服を脱ぐのもそこそこに、早速その荷物を見る。
親か何かからの仕送りかと思ったが、送り主の欄には『名前:神様 住所:天界』なんていうふざけた単語が書かれていた。
一瞬、自分のことを神だと豪語して憚らない隣人のキチガイが頭をよぎったが、そいつはこんな荷物を用意する行動力も無いような奴だし、更に言えばこのアパートに住む一揃いのキチガイ集団の中にこんな回りくどいことをしてくるタイプのキチガイはいなかったはずだ。
予想と反す現実に訝しみながらも、考えるのもめんどくさい、茶色い包装をビリビリと雑に引き裂き、何も考えずに中に入っていた箱の蓋を開ける。
するとでてきたのは梱包材に包まれた掌サイズの白色をした四角い何かと、液晶画面のついた、これもまた掌サイズの何かの端末のようなもの。
なんだ? 新しい携帯か何かか?
神様からのプレゼントが携帯電話の新機種とは随分と俗染みているし、そもそも俺には神様から新しい携帯を送られる心当たりがさっぱりない。
ますます疑問を深めながらも、とりあえずそれを手にとって見る。
持ち上げてみて分かったが、それは背部にベルトが着いていた。
ふと、未来の想像で、腕時計型携帯電話なんてものがあったな、と思い出す。
今となっては腕に巻く意味がわからねえよと一笑に付すようなそれも、当時からすれは夢のアイテムだったに違いない。いや、現在でもそれが夢のアイテムである人もいるかもしれない。
そんなことを考えながら、手の中のその謎の端末をもてあそぶ。
適当にそれらしいボタンを押したら、案の定電源が入った。
さて、どんなチャチなソフトが起動するのだろう。少なくともたま○っちやデジ○ンのような携帯ゲーム機の性能くらいは上回っていて欲しいものだ。
「起動確認っ! おっはー、ご主人様っ!」
冷めた目で端末を眺めていた俺の目は一瞬で覚めてしまった。
それもそのはず、突然届いた謎の小包、その中に入っていた携帯端末を操作したら、目の前に女の子が表れたのだから。
まさに絶句。言葉がでない。
「あっれー、おかしいな。とりあえず『ご主人様っ!』って言っとけば男なんていちころって聞いたんだけどなー」
目の前の女の子はそんなことを言いながらスカートの裾をヒラヒラさせている。
ご主人様とか、驚きすぎでそこまで意識がいかなかったわ。
目の前にいる女の子、年は十五六、つまり俺と同じくらい、身長は座っているから不明だがそんなに高くはなさそうだ。くすんだ赤色をした長い髪が、上半身はピッチリと、下半身はふんわりと覆っている若葉色をしたワンピースの上に零れている。体型はよく言えばスレンダー、悪く言わなくてもあるべきところにあるべき凸の無い残念な体。パチッとした少しキツそうな目の中に赤い瞳が踊っている。
一言で言い表すなら美少女。修飾語を付け足すならとびっきりの、だろう。
お前は誰だ、とか、どうしてここに、とか聞きたいことは山ほどある。
しかしあまりにも多くの質問の中から適切な質問を選びかねている間に、玄関の扉が大きく開いた。
「笹川! ニュース見た!?」
勢いよく開けられすぎた扉が壁に当たって跳ね返り、そのままの勢いでバタンと閉まるその前に、俺んちの扉と壁に虐待を行った張本人はずけずけと俺の部屋に入ってきていた。
「お前、ニュースとか見るのか」
ドアはもうちょい優しく開けなさい、だとか、誰が入っていいと言った、とか言う前に、すでにソイツは俺の部屋の真ん中にどっかりと腰を下ろすと、持ってきた携帯電話のワンセグを俺に見せ付けてきた。
流されるがままに、いきなり降って沸いた隣の美少女も忘れて、携帯電話の小さい画面を覗き込む。
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