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怖い話投稿所

2名無しさん:2011/12/27(火) 23:58:17 ID:tElbSrz.

― 命の蝋燭 ―


 K市のとあるマンションにはこんな噂が立っていた。
 0時0分0秒にエレベーターに乗り、4、13階のボタンを同時に押すと命の蝋燭がある異世界へ繋がるらしい。

 その世界にある蝋燭には全てには必ず人の名前が書いてあり、
 それらの中から自分の名前が書かれた蝋燭を見つけると寿命が延びるという。


 Aはそんな噂を聞きつけ、そのマンションにやってきた。
 こっそりとエレベーターに忍び込み、0時0分きっかりに4階と13階のボタンを押す。
 エレベーターは通常通り動き始め、4階、13階で止まり扉が開く。
 Aはやはりでたらめかと思い13階の扉が閉まると1階のボタンを押した。

 しかしおかしい。

 扉が閉まると同時にエレベーターは上へと昇り始める。
 もう通り過ぎたというのに4と13のボタンも光ったままだ。
 あわてて全てのボタンを押すが4と13のボタン以外光らない。
 非常ボタンもまったく反応しない。

 エレベーターはぐんぐん昇って行く。
 このマンションの最上階などとうに通り過ぎているだろうに。
 慌てて携帯電話を開くがそこは圏外、しかも時間は0時0分で止まったままだった。
 扉を叩き、叫ぶがエレベーターは止まらない。


 どれだけ時間が過ぎただろうか。
 Aの喉も枯れ果て、座り込んでしまったとき、不意に扉が開いた。

 そこはどこまでも続く、壁も天井もない真っ暗な空間で、床には長短様々な無数の蝋燭が燃えている。
 Aはすっかり怖気づいてしまい、エレベーターの閉じるを押した。
 今度はちゃんと反応した。
 開くのボタンも同様に反応する。

 こわごわ外に顔を出すと、エレベーターだけちょこんと暗い空間に存在している。
 外にもちゃんと↓のボタンがある。
 おそるおそる外に出る、エレベーターはさも何もないように通常通りに動作し、扉が閉まろうとする。
 慌てて外のボタンを押すと、エレベーターの扉は閉じるのをピタリとやめてゆっくりと開く。

 この当り前さがAをすっかり安心させた。

 そして当初の目的どおり、自分の蝋燭を見つけてやろうという気まで起こさせた。


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