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怖い話投稿所
15
:
夜行集団
:2011/12/30(金) 13:06:20 ID:EK/9fLvc
―居るだけの話―
僕が学生の時分、一人暮らしのために借りたアパートの中のある一室に、居ました。
何が居たのかと言うとそれが僕自身にも、それが悪霊の類なのか生き物なのか、
はたまたまるっきりこの世界の概念を異とする物なのかすらも説明できません。
ですが、居るのです。間違いなく何かが。
生活をする中で、一人である筈のこのアパートの一室に、僕以外の何かの気配だけは感じるのです。
以前その部屋は、ちょっとした僕の思い出の品々を捨てきることが出来ずに、
それでも飾れるほど家は広くない為、しかたなしで押し込まれた物達で溢れかえっていました。
いわゆる押入れと化したその部屋の、そんな環境が悪かったのかも知れません。
その何かは、思い出の詰まったこの一室を占拠(しているのかも定かではありませんが)していました。
人ではありません、むしろ人であって欲しいくらいでした。
何かの気配を感じてからある日、これはもしかすると気のせいかもと、ある実験をする事にしました。
スーパーの特売で買った肉を、部屋のあれ以来締め切ったままの扉の前に置きました。
明日には消えていました。
肉を載せていたトレーと上のラップだけは扉の前に残されていました。
ですがそれくらいなら、勝手に忍び込んだ浮浪者でもできる芸当です。
その為僕は、後ろめたさを感じながらもある日道路で轢かれて、
間違いなく即死をしている野良猫を拾い、扉の前に置きました。
それが次、僕が放置してご飯を食べて再び部屋の前にやって来た時には、
すっかりと全身を覆っていた肉も皮も毛も、全てが無くなって骨格だけが転がっていました。
言っても2時間も経過していない筈です。
いえ、例えそれが5時間であったとしても、
骨に肉が一片も付着していないのはあまりにも、あまりにも異様でした。
扉の前に置けば、中身が根こそぎ消滅して、後には殻が残っているのでした。
しかし、そんな恐ろしい現象を引き起こしておきながらも、
扉を空ける動作を全くしなかった僕に、何かの手が及ぶ事はありませんでした。
僕が何かをしない限り、例えば扉の前に居座らない限り、何も起りませんでした。
しかしそんな意味不明意図不明な同居者と、
常に同じ時間を過ごす奇妙な空間を過ごすというのは僕には過酷すぎました。
それ故1年後には堪らずに引っ越しをして、
もちろん思い出の部屋は空けず中身をそのままあそこへ置いたままにして、
アパートとは県外の部屋を借りました。
そして何故かその一週間後、アパートが放火によって全焼しました。
しかし、全て燃えきった僕の部屋の中からは、生物の痕跡のような物は、
まったくもって発見されなかったそうです。
僕はそれからまた数週間後、何もなかった理由を知りました。
何故ならその何かは、今僕の部屋の一室に、また同じように居るのですから。
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