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避難所

572天界使節:2011/11/27(日) 01:42:46 ID:tElbSrz.
>>571

「ほぅ・・・それはなかなか殊勝なことですな。
 疑ったようなことを言って、大変失礼仕った」

 燭陰は杯の酒をぐぃ、と飲み干すと言葉を繋ぐ。

「しかし何処かぼんやりした物言いですな。
 失礼ですがご確認させていただきたい」

 叡肖のぼんやりとした言い方は逆に燭陰のほんの僅かな不審を買ってしまった。
 横で辰竜がニヤニヤとし始める。

「つまり竜宮の主は共犯などで無く、
 神代なる者の凶行を止める為に紛争していただいたということですかな?」

573竜宮:2011/11/27(日) 01:53:13 ID:3FBgi9l6
>>572
「共犯と言うわけでも、さらに言えば凶行を止める為に戦ったのでもありません。
 窮奇の件で我ら竜宮に協力してくれた集団へ恩義を返すために、
 失踪した人物を神代の手から救おうとしたまでのことに御座います」

天界とも神代少年とも別の思惑で動いた結果、たまたまそうなったに過ぎない、と
糞真面目に取り繕った顔で衣蛸は答えた。

その芝居っぷりを面白く思いながら見ているのは蛸の大臣、
逆につまらなそうに扉の向こうで聞き耳を立てているのは出世法螺の婆である。

574天界使節:2011/11/27(日) 02:01:30 ID:tElbSrz.
>>573

「それではわかりませんな・・・」

 逆に燭陰の顔色が徐々に思わしくなくなってくる。
 あからさまに不審の色が濃くなり始めた。

「できればその場面の事を詳細に教えていただけますかな、
 特に天界の神が打ち落とされた状況など――
「ギシシシシシシシッ、燭陰さ〜〜ん、
 そんなことより当時の場面見せてもらったほうが早いですってぇ〜〜〜」

 ニヤニヤ笑っている辰竜が口を挟む。
 どうやら聞けば聞くほど話がややこしくなっているのに気づいているようだ。

「ねぇ、なんかその場所の雫とかありませんかぁ?
 それさえありゃあ、俺は映しちゃえるんでぇー」
「むぅ・・・確かに聞き込むだけでは把握しきれないほど複雑な事態のようですな」

 場の空気が思わしくなくなる。
 どうやらその場面を見せないようであれば、一気に不信感が爆発するだろう。

575竜宮:2011/11/27(日) 02:12:30 ID:3FBgi9l6
>>574
「直ちに用意いたしましょう。」

蛸の大臣がその手を二拍すると、出世法螺の婆が満面の笑みを浮かべて新しい酒壷を手に入ってきた。
叡肖のこれまでの努力は、彼女によって無駄にされるのである。

「では、どうぞご覧下さいますように」

空になった客人の杯に、老女が壷の中身を注いで回る。
それぞれの杯は、あの時の全てを余さずに映し出すだろう。

そして叡肖は、祖父の青い目に期待の光があることに遅まきながら気づいて絶望した。
彼の舌先三寸の働きは、天界との諍いを恐れるのではなく、
この老人達の思惑通りになりたくないが為の働きだったからである。

(爺ィも婆ァもたかが退屈をしのぐためにどんだけ貪欲なんだ)

酒盃の中身は、政務に飽きたアッコロカムイと戦好きの出世法螺とに、
暴れるに都合のいい口実を与えるに過ぎないのだ。

576天界使節:2011/11/27(日) 02:27:43 ID:tElbSrz.
>>575

「」
「」
「」

 天界陣、絶句。
 燭陰はワナワナと震えだし、辰竜も想像以上の事態に乾いた笑いしか出てこない。
 声しか聞こえぬ徳叉迦も口あんぐりである。

「・・・あなた方への見方が変わりました。ええ。
 止めないのはまぁあの場面だから致し方ないとしましょう。
 しかし私の目にはどうも竜宮の主と神代なる者が共犯に見える。
 というか終ったらあの建物を立てる約束とかこれは賄賂ですか?

 それ以前に丸呑みってなんだよ!?」

 ばぁん!! とテーブルを殴りつける。
 テーブルは木っ端微塵に大破し、衝撃が床を突き抜けて建物全体を揺らす。

 ふぅふぅと肩で息する燭陰を辰竜があわてて宥めに入る。

「お、落ち着いてください! こんなところで原形に戻ったら竜宮どころか海が滅びます!!」

577竜宮:2011/11/27(日) 02:43:30 ID:3FBgi9l6
>>576
「だって食べたほうが浮かばれるし?」
「食べなきゃもったいないですよ」
「むしろお残しは許されませんな」

天界の3人と対照的に、水界の3人の意見はこうである。
命ひしめく海では、死者に墓など立てていたら海底の土地が幾らあっても足りない。

「わしらにとっちゃ弔いってのは、基本人間がすることですよ」

人間の手本となる天界と、化け物の住処の水界とでは、その認識にまさしく雲泥の差があった。
そして、怒れる燭陰の一撃で建物が揺れたとき。

ぼうぼうと戦いを知らせる法螺貝の音が、待ちかねていたように鳴り渡る。

途端に竜宮を囲む結界がその性質を変えた。
政務室も、調度品も全て水に溶け込むかのように消えてゆく。
結界内側の空間が丸ごと異界へと滑り込んだのだ。

(壁も天井も無くなった、って事は人の姿でなくても良いのか)

辺りを揺らぐ水はどこまでも澄んで、見下ろせば海底までの間には
多くの兵士や文官、海妖や下級神格達がひしめいている。
竜宮の丸ごとが戦うのは、叡肖にも始めての体験だ。

「天地が続く限り、この海も滅びませぬよ。ご安心なされい」

アッコロカムイも楽しげに赤い衣を靡かせて、水中をたゆたう。

578天界使節:2011/11/27(日) 02:54:39 ID:tElbSrz.
>>577

「そこじゃねぇよ! むしろ食べる為に共謀したのかと思ったわ!
 というか共謀したのが問題なのであってあぁーーーー、この海洋生物共がぁあああああ!!」
「落ち着いてください! 俺と若干キャラ被ってます!!」
「・・・」

 突如、空間が性質を変え一面見渡す限りの海原となる。
 当たりに犇く雰囲気に、徳叉迦が身を乗り出す。

「戦る気か・・・?」
「えぇーーー! 戦いになるなんて聞いてないッスよぉおおお!!」

579竜宮:2011/11/27(日) 03:21:06 ID:3FBgi9l6
>>578
「お累さんや。どうやらお客人にも選択の余地があるようですな」
「あれま、それは残念」

大きな法螺貝から、赤い龍の頭が覗く。
アッコロカムイは禿頭の老人の姿を保ったままで、天界の3人に妥協案を提示した。

「こちらの言い分も、文化の違いもお分かり頂いた上でここまでの手打ちとするのは如何かな?
 舌先三寸で解けぬもつれは牙で持って解くというなら、それも皆様方の自由。
 この通り、広い場所もご用意できますので何時でもお越しくだされ」

暗に武力をちらつかせて数で劣る使者を脅す、というのはよくある話だ。

「今後何かそちらのご不興を買うことがあれば、それが理不尽なことでない限りは
 その時は竜宮として責任は取りましょうぞ」

今は一度引くほうが戦うにしても準備が出来る筈、と回避策を示して蛸の大臣は上を示した。
天からの光は輝く道のように海中を上から降りてきている。

その光の道を登ってゆく天界からの客人を見送って、また元の竜宮へと戻った時に、
その場に居た誰よりも叡肖はほっとしたのであった。

580天界使節:2011/11/27(日) 15:42:53 ID:tElbSrz.
>>579

「・・・」
「よされいっ!! 殺生はご法度ですぞ!!」

 目隠しを外そうとする徳叉迦を正気に戻った燭陰が制する。
 にわかに騒々しくなった中で、燭陰はアッコロカムイの妥協案を呑むことにする。

「確かにまるで話が通じないようだ。
 今回の件は“竜宮の主が加担していた”と天界で報告させていただきますよ」

 よろよろと立ち上がる燭陰とそれに辰竜と徳叉迦が追随する。

「それと・・・我々と対等に渡り合おうなどと考えなさらない方がいい。
 殺生はご法度であるが、あなた方を物も言えぬ元の海洋生物に戻す事だってできるのですよ?
 最悪、ここを取り潰して新しい竜宮の新設も考えなければ成りますまいな」

 もはや隠す気も無くなった脅迫を捨て台詞のように言うと、
 天界の一行は光の道へと昇って行った。

581???:2011/11/27(日) 23:32:42 ID:EK/9fLvc
ニコニコニコニコ。
雨好きで日光が嫌いで泥が跳ねようとも気にしない、
そのような奇特な者でないと今日の間は基本ぶっちょづらであろう。

しかしそんな夜になっても止まない大雨の中、
泥の跳ねる回数、量ともにおそらく群を抜くであろう公園という施設の中、
この黒いローブに包まれた少年は笑っていた。

顔は見えない。
以前は分け合ってフードを外したが、この顔を他者に見られる事に関してまだ、
あまりいい気はしないし良い気もさせないだろうと考えていたから。
そんな謎な恰好の少年は一人、
人もおらず日も暮れたため遊べなくなった公園の、
すっかり雨に湿気たベンチに座っていた。

582雨邑:2011/11/27(日) 23:45:44 ID:tElbSrz.
>>581

 そんな雨の中、傘を差して近づく影が1つ。
 青い着物は豪雨なのにどこも濡れておらず、淡い色が街灯の明かりに映し出されている。

        エクスクレメントル
「隣いいかな、 クソ野郎 」

 ドライな声と共に雨邑が現れ、濡れたベンチの隣に腰掛けた。

「水晶の眼で一部始終は見させて貰った、大変なことをしてくれたな」

 はぁ、とため息をつくと。
 雨邑はトゲのある声で責めるように語り掛ける。

「あなたの事情に口出しする気はない。
 だがなぜよりにもよって天界の神格に牙を剥いた、なぜ殺した」

 言葉は更に鋭くなる。

「あなたのせいで私のダンナは・・・。
 あなたの初めての友達は大変なことになっているんだけれど?」

583神代:2011/11/27(日) 23:58:26 ID:EK/9fLvc
>>582
そもそも神代がなぜ、こんな何もない公園に腰掛けているのか。
本来ならば外出すらも憚られる身の彼にとっては、
今この状態はこれ以上も無いくらいにそこら中から狙われ放題なのだ。

だが神代はそんな中、榊の助言を聞いてやってきた。
榊の―きっとこれからなにがしかのきっかけとなる、
 上手くいけば巴津火を切り離すことのできる者と出会える筈だ―
の言葉を信じて今ここにいる。

「ふふ、これは随分と酷く罵られました。
 こう見えても傷ついているんですよ?でもまあ、どうぞ」

それ故、彼女の来る事も想定できていた神代はそちらへ顔を向けることなく、
座る場所を確保するように端に退いた。

「くすくす、何故と言われましても、僕の牙は天界に向ける為だけに、
 こうして胸の奥に鋭く生えているのですから。向けない手はないでしょ?

 それと、あなたのダンナ様がこれに関わっているのですか?
 この場合普通に考えて旦那は、天界の神か巴津火君なのでしょうが」

いくら言葉汚く罵声が降りかかろうと、笑顔がぶれる様子は全くない。
自身を彼女の言葉以上に低く置いている神代にとっては、
むしろ買いかぶりな程に聞こえてしまうからである。

584雨邑:2011/11/28(月) 00:08:54 ID:tElbSrz.
>>583

 バシッ!!


 濡れた音が公園に響く。
 雨邑の傘が足下で転がっていた。

「何が可笑しい、ヘラヘラ笑ってるんじゃないわよ」

 急に飛んできたビンタが神代の頬を捉えていた。
 振りぬいた雨邑の手からは黒い煙がブスブスと燻っている。

 雨邑は泣きそうな目になって、怒鳴りつける。

「なんで差し出された手を素直に取れなかった。
 なんでそんなに卑屈にしかものを考えられない。
 その末にあんたが一体なにをやったかわかっているのか!?」

 ギリリと軋むほどに奥歯を噛み締め、豪雨に着物が見る見る濃い青色に変化していく。

「天界の神殺しになんで巴津火を巻き込んだ!!!」

585神代:2011/11/28(月) 00:21:21 ID:EK/9fLvc
>>584
雨邑の頬を叩こうとする手を神代は見えていた。
相手を打倒せんがために振るわれるそれとは違いこの彼女の平手は、
並みの者でもなければ避けられたのだろう。

「ふふ、それでも僕は笑わせていただきます。
 流石にほっぺは痛いですが」

力は天へと届く神代であっても体は未発達の少年。
体重のあまりない彼は容易に態勢を崩し、水で泥となった地面に倒れ伏せた。

「くすくす、卑屈ですか、仲間にもよく言われます。
 今でなら言えますが、巴津火さんに申し訳なかったと言っておいてください」

黒いローブの神代はよろよろと立ちあがって笑みを浮かべ、
雨邑をぼんやりとした瞳で見つめ返した。フードは今ので脱げてしまったのだ。

「だから僕は巴津火さんに言っていたのですよ。
 釘を何本も刺すように、僕は下劣だと。
 
 天に唾する愚行、生みの親を愚弄する高慢、宿命を理解できない無知、
 それらを全てしてしまうような程、僕は同情に値しない者だと。
 確かに言ったのですよ。」

586雨邑:2011/11/28(月) 00:34:09 ID:tElbSrz.
>>585

「クソ野郎が・・・」

 雨邑は鋭く憎悪の篭った目で睨みつけた。

「穂産姉妹にも愛されていた、産みの親にも愛されていた。
 それにも拘らずなにもかも生まれのせいにして、勝手に卑屈になって愚考に走る。

 確かに同情のしようがないクズだな」

 雨邑は傘を拾うと、そのまま背を向け歩き出す。

「もうこれ以上、あなたには話すことも興味も無い」

 雨が降りしきる帳の中へと雨邑は消えていった。

587神代:2011/11/28(月) 00:42:11 ID:EK/9fLvc
>>586
立ち上がっても、体中を泥まみれにして立ち尽くしながら、
更に罵られた神代は静かに口角を上げて笑った。
苦笑いとすら呼べる笑みを浮かべて、去っていく雨邑を見つめている。

「ふふ、もちろん、僕は確かに愛されていましたよ。
 穂産姉妹さん達にも、多分お母さんお父さんにも惜しみなく。

 だからこそ、僕からあの人達との繋がりを奪った、
 天に今も聖人面して、邪すらも生と言いきりながら鎮座している、
 天界の神共が例えようもなく憎いのです」

ぼそりと、雨邑には聞こえなかったような声で、
神代は自分の心を確かめるかのように一人笑いながら呟いた。

588:2011/11/29(火) 23:50:46 ID:HbHPxpxY
「・・・・・・疲れた!」

ここはとある山道。
通行人も夜な為、全くいない。
そんななか、制服姿の少年一人歩いていた。
どうやら、くったりした様子。

「帰って黒龍に慰めて貰おう。」

589現人:2011/11/29(火) 23:59:42 ID:rRrCSwK.
>>588
そんな人気のない山道に響く足音、音源は後方

その足音はゆっくりだが確実に近づいてくる

人なのかそうでないのかは今はわからない

590名無しさん:2011/11/30(水) 00:03:11 ID:HbHPxpxY
>>589
「・・・っ?」

何これストーカーなの!?と思いながら、木陰に隠れる少年。

どうやら後方を確認するためらしい。

ちなみにこの少年、人間ではない。

591現人:2011/11/30(水) 00:17:41 ID:???
>>590
振り返って見ればそこには誰も居ない?
いや、居るのではあるがあまりにも気配がない

「・・・んー?」
少年が身を隠すのを見て首をかしげるそいつは、帽子を目が完全に隠れる程に深く被った
しかし、それが何故か不自然に見えない、高校生ぐらいに見える青年だった

592:2011/11/30(水) 00:28:19 ID:HbHPxpxY
>>591
(ばれてるよね、絶対。)
恥ずかしげに出て来た少年はマフラーを首に巻きながらニコニコ笑っていた。

「こんばんは、こんな夜中ですから、不審者かと思いましたよ。」

この少年は誰なのだろう、と零は内心思った。
普通の人間なら良いが、これが妖怪ならどうしようとも考えていた。

593現人:2011/11/30(水) 00:39:54 ID:???
>>592
「あぁ、なるほど驚かせてすまんかった。あと、こんばんはだな」
隠れた理由を知り、納得したらしく以外にも素直に頭を下げる

「しかし、お前さん一人でこんなところにいたら危ないんじゃないのか?」
「しかも、まだ子供に見える。つい不思議に思って近づいちまったぞ」
見た目で言えばさして年の差ないようにみえるが棚に上げている

気配の無さからいっても、普通の人間では無いだろうが

594:2011/11/30(水) 00:50:19 ID:HbHPxpxY
>>593
「いえいえ、こちらこそ疑ってすみませんでした。」
瞳はやんわりと青年を見ている。
して間もなく、零は口を開く。
「今は高校1年生です、今日は山の生物を探索してましてね。気づけばもうこんな時間です。」

そして零は急に目を見開き、青年の肩を掴む。

「ところで貴方も何してたんですか?この山、【妖怪】が出るって噂ですからね?」ニコニコ

595現人:2011/11/30(水) 01:01:22 ID:rRrCSwK.
>>594
「いやいや、きにすんな」
手を振り、気にするなのサイン
「はぁ〜、そりゃまたずいぶん長いこと熱中してたんだなぁ」
感心したように声を出す
「うぉ!?っと・・・何をしてたと言われても何もしてないと言うか何も考えてすらないと言うか」
急に肩を捕まれ驚いたが、すぐに元の調子になり返答する

「しかし、【妖怪】ねぇ・・・、ひょっとしてお前さんがその【妖怪】だとか?」
あからさまに冗談めかして言う

596:2011/11/30(水) 01:10:16 ID:HbHPxpxY
>>595
くすり、と零は笑った。

「何も考えず、ですか・・・。
妖怪だったら・・・貴方はどうしますか?何かしらは考えますか?逃げますか?

まあ・・・どちらとも言えませんけどね☆」

妖怪と言えない訳でもないが、相手はまだ知り合ったばかりの人間だ。
まだ相手を探る必要がある。

597現人:2011/11/30(水) 01:15:12 ID:rRrCSwK.
>>596
「お前さんが妖怪だったら、ねぇ・・・」
その質問を聞き、少し考える

「そうだな、"同じたな"っていうな」
いとも簡単にそう口にする
しかし、それだけに冗談なのか真実なのかが分かりにくい

598:2011/11/30(水) 01:26:38 ID:HbHPxpxY
>>597
「・・・・・・!」

一瞬驚いたそぶりを見せたが、零は直ぐに笑顔を戻した。
自分の予想を上回る返事で、緊張感が少し高まるのが解った。

「そうですか、貴方が妖怪なら私は貴方を尊敬します。
もし、次に会う機会があればお会いしましょう。
その時には、私のこと明かしますから。」

だが今日は疲れているのだ、凄く。この【悪魔】は次に彼と会うのを楽しみにしながら帰って行った。

//絡みはこのような流れです。
新人さん、絡みお疲れ様でした&ありがとうございました!

599現人:2011/11/30(水) 01:33:01 ID:rRrCSwK.
>>598
「ふむ、なら俺もお前さんの正体を聞くのを楽しみに待つことにする」
「じゃあな、また会おうぜ」
少年の姿が見えなくなったら、自身もゆっくりとその場を後にした

//色々拙かったと思いますが付き合っていただきありがとうございました、お疲れ様でした!

600宛誄&蜂比礼:2011/11/30(水) 22:52:10 ID:tElbSrz.

 零のマンションにて。
 宛誄は零に真剣な面持ちで話しかけている。

「さて、コンビを組むに当たってこれ以上隠し事はナシにして貰えますよね?」

 どこか問い詰めるようなキツめの口調で続ける。

「教えてください、あの白竜は一体何者なんですか?
 なぜ貴方や僕を執拗に追い掛け回すのです?」

 蜂比礼はやはり居心地悪げにふよふよしていた。

601零&黒龍:2011/11/30(水) 23:04:54 ID:HbHPxpxY
>>600
「・・・解った、宛誄には言わなきゃね。あの白龍は・・・」

『俺の妹だ。』

零が言おうとしたとき、ヘッドホンを外した黒龍がかなり真面目な顔で話に入って来た。

『なぜ宛誄を襲うかは解らないが、白龍は俺を狙っているはずだ。
白龍は俺を酷く怨んでるから。もういいだろ?』

カシャン、とヘッドホンを投げ捨てて黒龍は家を飛び出した。

「ごめんね、宛誄。黒龍、結構ああ見えて色々悩んでるから。黒龍の言う通り、白龍は妹だよ。【バラウール】っていう神様。」

602宛誄&蜂比礼:2011/11/30(水) 23:21:08 ID:tElbSrz.
>>601

「なるほどね・・・、やっぱり教える気は無いと」

 宛誄は呆れかえったようにため息をつく。
 零の言葉に宛誄は目を光らせる。

「そのことについては僕も調べてみましたよ。
 あのなんかウザいのが言っていたバラウールという名と、
 白竜が貴方を呼んでいたジルニトラという名について文献でね」

 どこか挑発するような響きを込めて、宛誄は続ける。

「女の竜は邪悪で水を操る、男の竜は善良で炎を操る。
 これってつまり貴方達2人のことにあてはまりますよね」

603:2011/11/30(水) 23:35:46 ID:HbHPxpxY
>>602
「そう、あの二匹こそが宛誄の読んだ文献の龍。

昔は仲が良くて対立とかしてなかったんだけどね。

・・・神話によって定められた事があの二人を裂いた原因。

だって白龍、本来は神聖な生き物だから。邪悪なんて言うのは全く嘘。
逆に黒龍だって、常に良心かと言えばそれは違う。万が一逆鱗なんかに触れたらね、殺しちゃうよ。」

「そしてその神話を人々は信じ、悪と善を決めつけた。結果、戦争に発展した。

・・・どう、宛誄君。解らないとこあるかな。私の知る範囲は言うよ。」

はっちーに何か飲むかと声をかけ、宛誄に笑いかける。

604宛誄&蜂比礼:2011/11/30(水) 23:47:21 ID:tElbSrz.
>>603

「そうだったんですか・・・そうとは知らず、
 不配慮なことを言ってしまってすいませんでした」
「あ! ハチミツレモンがいいし!!」

 待ってましたとばかりに飛びつく蜂比礼。
 宛誄がしばしの間考えにふける。

「実は僕達兄妹はあの女・・・窮奇の記憶を三分割で引き継いでましてね。
 零さんの頭を覗いた記憶を僕は引き継いでいるんですよ。
 神話に定められていたとはいえ、ほんの少し前・・・。
 少なくとも窮奇が生きていた頃はバラウールもジルニトラも仲良く触れ合っていたはずです。

 教えてください。神話でいがみ合った二人が何故仲良くなったのですか?
 そして仲が良かったはずの二人が何故今更になって神話の時のように殺し合いを始めているんです?
 窮奇が貴方の記憶を覗いた時と今現在までの間に、黒竜さんに一体何があったんですか」

605:2011/12/01(木) 00:04:01 ID:HbHPxpxY
>>604
「戦争が終わった理由が関連してくるんだ。
二人を止めたのは天界の神様、人や妖怪を多く巻き込んでその村を滅ぼしちゃったから神様は怒ったんだろうね。
そこで神様は、二人を殺そうとしたんだけど・・・。」

蜂蜜レモンを作りながら、話続ける零。
・・・ん?零に作らせていいのかはっちー?

「黒龍が庇ったの。そうしたら神様、同情したらしく、殺すことは止めた。
代わりに、白龍の人格を封印して新たな白龍の人格を入れた訳。
だから、窮奇さんの記憶の白龍は作られた白龍、というわけ。

・・・なぜ今襲うかは解るね?封印された白龍が蘇った・・・」

紫色に光る蜂蜜レモンを出して、宛誄の隣に座った。ほら、変な物出てきた。

606宛誄&蜂比礼:2011/12/01(木) 00:19:17 ID:tElbSrz.
>>605

「・・・そういうことだったんですか」

 それなら全て納得がいく。
 仮初の人格を入れられた妹と仲良く暮らしてきて、
 そして蘇った“本物の妹”は自分を殺そうとする。

 黒竜の痛みは、苦しみは。
 想像することもできない。

「皮肉ですね・・・、
 封印なんてされずにそのまま仲直りできたらよかったのに」

 ワクワクとして待っていた蜂比礼の表情が絶望に染まる。

『こ、これいったいなんなんだし・・・!』
「しかしそうなると気になるのはなぜ、今更になって封印が解けたのかです。
 少なくとも数百年単位で続いていた人格が今更になって解けるなんて・・・。
 なにかきっかけでもありましたか?」

 ぼんやりとしていた敵の動きと、バラウールと名乗る白竜の正体が。
 だんだんと輪郭を伴ってはっきり見えていくような気がした。

607名無しさん:2011/12/01(木) 00:34:40 ID:HbHPxpxY
>>606
『宛るん、今日も来てたんだ!』モフッ
「あ、露希、お帰り。」
『ただいm、おいなんださの紫の。』
「蜂蜜レm『はぁぁ!?』」

ここでまさかの露希登場。宛誄は前にも家に来ていたので知っている。
そんな宛誄達に危険物を渡す零をひっぱたき、ちゃんとした蜂蜜レモンを作ってあげた。

『ボクも混ぜてー。』
「・・・・・・。まあいいや。宛誄、いいところに気づいたね。
それは天界側の命令で密かに生活することを約束したんだって。だけど破ったら、白龍は封印を解かれ、再び戦争を勃発させ、再び悲劇を起こさせるとかなんとか。
だけど、その後が不可解なんだよね。
だって黒龍白龍、つい最近、死んだから。なのに二匹とも生きてる。」

『・・・・・・』

露希の表情が固まった

608宛誄&蜂比礼:2011/12/01(木) 00:51:20 ID:tElbSrz.
>>607

「うわっ!」

 いきなり抱きつかれる宛誄。
 思わぬ不意打ちだった為思う存分モフられてしまうだろう。

 紫色の液体を前にぷるぷる震えていた蜂比礼の顔が笑顔に染まる。

『わーい! ありがとうだしー!!』
「天界側の命令・・・、ちょっと不可解ですね。
 戦争の罰で殺そうとしたのにわざわざもう一度戦争を起こさせるなんて」

 「まぁ天界の考えることなんてわからない」と、宛誄は呟く。
 何よりその後の言葉に戦慄した。

「死んだ・・・? いや、それが生き返るなんて・・・」

 死者蘇生は不可能の代名詞のようなもののハズ。
 夜行神のようにまったく同じモノを作り出せたとしても、
 その中身はまったくの“別物”。
 道返玉のように魂を引き戻して完全に蘇らせるなど“できるはずがない”。

「・・・おそらく、それがきっかけでしょうね。
 となると気になるのは“誰が復活させたか”、です」

 宛誄は考えこむ。

「僕の命を狙っていたことから単純に考えて、青行燈。
 しかし奴はそんなことしそうもないような愉快犯だ、
 なにより僕の妨害を阻止するだけなら他にいくらでも手は有る。
 ・・・となると、別の誰か。

 おそらく戦争を再開させたくて、かつ僕を殺したがる者」

609零&露希:2011/12/01(木) 01:04:47 ID:HbHPxpxY
>>608
「黒龍もあのジルニトラ、死者蘇生も不可能じゃないけどね。ん?露希?」

『白龍が・・・?』

「(露希には言わないでおこうと思ってたのに)」

「宛誄、何はともあれ、もう私たちは仲間。大丈夫だよ。」

宛誄を安心させようと一言言った零は直ぐに露希へと対応した。

「今は会えないけど」

『なんで!?零はいつも隠しことばっかり!酷いよ!!』

「いや、だから『氷亜さんに頼んで零のこと凍らす!とにかく白龍探すから!』」

610宛誄&蜂比礼:2011/12/01(木) 01:14:33 ID:tElbSrz.
>>609

「待ってください!
 ・・・厳密にはアレは貴方の知る白竜の姿をした別物です。
 零さんが隠し事ばっかりでめんどくさいのは同意ですが落ち着いて!」

 大声で露希を呼び止める。
 しかしその言葉に、宛誄は少しピンとしたような表情になる。

「・・・待てよ、もしバラウールが“白竜”だった頃の記憶を呼び覚ませるとしたら・・・?」

 そこまで考えて、ふぅとため息をつく。

「まぁそれができたら苦労はしないんですけどね・・・」

611零&露希:2011/12/01(木) 01:24:07 ID:HbHPxpxY
>>610
「あーうん、なんで私はそこまで。
白龍の記憶出せるのかな?」
『だよね宛るん、コイツ焼こうか!それとも苦手な虫ぶつけようか!

・・・でも生きててくれたんだ。白龍。』

「宛誄、今日の事はあんまり人には言わないで。それから白龍に会ったら、直ぐに逃げて。いいね?」ニコニコ
すっと立ち上がり、ニコニコと玄関へ向かう。
どうやら、黒龍を迎えに行くらしい。
ほんとめんどくさい、こいつら。
部屋に残れば、はっちーも露希になでもふされてしまうだろう。

//眠気やばいので、この辺で落ちます。
絡み乙&ありがとうございました!

612宛誄&蜂比礼:2011/12/01(木) 01:40:13 ID:tElbSrz.
>>611

「えぇ・・・、言われずもがな」

 敵の正体は掴めた。
 どうやら相手は予想以上に厄介な奴らしい。

『ごちそうさまだしー!』
「それじゃあ失礼しますよ・・・、
 あとで黒竜さんに謝っておいてください」

 なでもふされる未来を予見してか、
 宛誄と蜂比礼はそそくさと部屋から立ち去っていった。

613白龍:2011/12/02(金) 23:04:18 ID:HbHPxpxY
とある山奥、季節も冬で、辺りには積もった雪で白銀の世界。

そんな月夜、雪の上に仰向けで倒れている者がいた。
「ま、また・・・体に血が着いてた・・・・・・。私はまた誰かを殺してしまった・・・。」

元々は白銀の毛並みを持つであろう龍は、少し汚れていた。

614名前未定:2011/12/02(金) 23:15:25 ID:rRrCSwK.
>>613
どこからか聞こえてくる足音、ふらふらと目的もなく移動するが結果的に近づいてくる
奇妙な点は足音はするのに気配が全くないことだ

「ん?なんか血の臭いが?」
その奇妙な足音の主、帽子を目が完全に隠れる程に深く被った高校生ぐらいに見える青年は
鼻をひくつかせ、今度はしっかり目的を持って近づいて行く

615クロコ:2011/12/02(金) 23:19:57 ID:c1.PBF/s
>>613>>614
「寒いな…もう冬か」
その雪の中を歩いてる一人の影。
尖った犬耳を生やし、茶色のロングヘアーで、尖った犬歯がチャームポイントの、赤い首輪をつけて着物を着た女性。
ぶるぶると身体を震わせてると、獣みたいな嗅覚が何かを嗅ぎ付ける。

「………この匂いは血と…龍か?あとなんか別の匂いも近づいてきてるが」
匂いにつられ、彼女はその場へ近づいてくる。

「何してんだっ!?そこの龍。あんっ?
あと、テメーも匂いに釣られて来たのかっ?」
なんかヤンキーみたいな態度で睨みながら龍と青年に言う。

もうその犬耳を見てもわかるが妖怪である。

616白龍:2011/12/02(金) 23:26:55 ID:HbHPxpxY
>>614-615
誰も来ないと思っていたために、雪に体を預けていた白龍は慌てた。

「(ど、どうしましょう)」オロオロ

体には血と雪が着いてるし、凄いあわてっぷりである。
あげく、ドスの聞いた声で呼び止められ、縮み上がった。

「ひゃっ!わ、わたわた、わたしはただねてただけですっっ、ごめんなさい!」
頭を手で覆い、ふるふると奮え出した。
クロコちゃん、怖いらしい。

617現人:2011/12/02(金) 23:34:52 ID:rRrCSwK.
>>616
>>615
「んー?まぁ一応そうだが?」
女性へと顔を向け軽く頷く青年、臭いで言えば凄まじく人間にちかい
とはいっても龍や犬耳を見て平然としているのでまず人間ではないことがわかる

「しかし、お前さん女の子ならもう少し言葉遣いに気をつけたほうがいいんじゃないか?」
そして一昔前のご老人みたいな事を言ってきた

「んで、お前さんは少しは落ち着け、別に取って食おうっって訳じゃない」
今度は龍の方に顔を向け語りかける

618クロコ:2011/12/02(金) 23:47:45 ID:c1.PBF/s
>>616>>617

「オドオドすんなぁっ!!!!!!ちゃんと喋ろやぁ!!ゴラァッ!!!」ガァー
白龍の態度が気にくわないのか怒った…理不尽だ……理不尽すぎる怒りだ…

「(……コイツの匂い…白龍だよな?だが、主の話だと死んだとか…)」
白龍とは実は犬(狼)の姿で一回会った事あるのだが…気がつかないかもしれない…

「ハッ!?私は女の子って歳じゃねえんだよ!
…………つうか、人間じゃないよな?なんだ?人に近い匂いだが…妖怪か?」
そして青年の言葉に鼻で笑いながら返事をするが、なんかばちが悪そうに頭をかきながらそう聞く。


「………ああ!とりあえず深呼吸しろ!話はそれからだ!」
あっ…なんか自分が悪いのか?的な雰囲気になって、白龍にそう言うとプイッと横を向きやがった。
コイツ…不器用だ……

619白龍:2011/12/02(金) 23:59:40 ID:HbHPxpxY
>>617-618
「ぁ、ぁ・・・・・・・・・(怖いですっ・・・)」プルプル

そして更に奮えながら余計に縮こまった。マシュマロみたいに。

「・・・し、しかしそちらの男性の方は・・・あ、あら・・・現人神様・・・では・・・。

ひぃっ、し、深呼吸ですか?!(涙出てきます・・・)」スーハー

まだ若干震えているが、あまり釣れない顔でクロコをみた。
口の端には、真っ赤な血で赤く染まり、翼も所々に傷があるのがわかる。

ちなみに白龍はクロコを覚えていないのだ。

620現人:2011/12/03(土) 00:11:22 ID:rRrCSwK.
>>618
>>619
「なに、俺からしたら大抵の場合まだ女の子さ・・・多分!」
高校生ぐらいに見えるが、まぁ見た目はあてにならない

「妖怪扱いされる事も最近は多いが一応違う、人間ではねぇことは確かだから安心してくれ」
はっはっは、と笑い声をあげる
結局答えはあいまいだ

「あー、違う違う。いや人の姿をした神という定義なら間違いではないが」
ぽりぽりと頭を帽子の上からかく

「俺は座敷童子、大層なもんじゃないちっぽけな守り神だよ」
そして自分の正体を告げる、以外と知名度のある名前だ
しかし、高校生ぐらいの見た目で座敷童子はどうなのだろう

621クロコ:2011/12/03(土) 00:29:22 ID:c1.PBF/s
>>619>>620

「………ああああっ!じれったい!!
とりあえず口の血をふけ!
(聞くに聞けねえし!そう怯えるな!!!私が悪いみたいじゃねえか!!!)」
なんだかんだヤンキーみたいな態度をとるが、自分の着物の袖を切り、それを白龍の口をふこうとする。

……根は良い奴なのに口と性格で損する奴だ……


「座敷童子?……神格の方か?
まあ、なんか訳ありっぽいな
私はクロコ。《真神》だ。今は神格はねえ、ただの飼い犬だがな」

真神――かつて大口真神と呼ばれた山の神と崇められていた妖怪。日本狼が神格化したものといわれている。
しかし、狼は人と家畜を襲うものと言われ、現在までその神聖さは落ちている。

「にしてもデケーな…」
彼女のイメージだと座敷童子は小さな子供の姿と思ってるせいで、ちょっと驚いたようにそう言う。

622白龍:2011/12/03(土) 00:41:50 ID:HbHPxpxY
>>619-620
「むぐ・・・・・・」

大人しく血を拭かれながら、何を思ったのかペタンと座り込んだ。

「(こ、怖い方ですけれど・・・)」ドゲザッ!

無言な所から、彼女の恐さに慣れるにはかなり時間はかかりそうだが、少しなら慣れた。

「座敷・・・。・・・・・・守り神?願いなど叶えられるのですか・・・?」

いかなり彼の肩を掴む白龍。今は神頼みでもなんでも、とにかくあることをお願いしたいのだ。

623現人:2011/12/03(土) 00:54:45 ID:rRrCSwK.
>>622
>>621
「ま、一応そうなる」
クロコの問いの神格という点に頷き
「ま、俺も俺で幸福を与える力なんかは完全に使い方を忘れてるけどな
とりあえず宜しくな、俺の名前は現人だ」
座敷童子なのに現人という非常に紛らわしい名前を告げつつニカッ笑う

「子供の姿もあるが今の時代こっちのほうが生きやすいからな」
はっはっはっと笑う、先ほどの幸福に出来ない発言とあわせると
既に座敷童子としての色々なものが破綻していると言えなくもない

「という訳で、昔ならいざ知らず今の俺には多分無理だ、申し訳ない」
肩を掴む龍に向け、急に真面目な顔つきになり頭を下げる
「手っ取り早く願いを叶えることは出来ないが、協力出来ることがあれば協力する」
代わりといったらなんだけどな、と付け加え
ずいぶんとお人好しなのかもしれない

624クロコ:2011/12/03(土) 01:13:59 ID:c1.PBF/s
>>623>>624

「…こんなんで、いいだろ」
血を拭き終わると、プイッとそっぽを向き照れ隠しをし後ろに下がる。

「お前も神格落ちか……まあ、よろしく頼むわ。現人
確かにこの格好なら動きやすいしな」
少しばつの悪そうな表情をするも、ニカッと笑いそう言う。

「……おいっ!とりあえず落ち着け」
そしていきなり白龍が現人の肩を掴んだのを見てそう言い。

「まあ、なんだ…私も協力するぞ。現人。白龍。
白龍には主が世話になったしな…」
頭をかき、そっぽを向きながらそう言う。

625白龍:2011/12/03(土) 01:26:27 ID:HbHPxpxY
>>623-624
「〜〜〜ッ////」

凄く嬉しい言葉だった。
例え神格落ちであれど、自分を助けてくれる二人にはとても感謝の気持ちで一杯だった。
しかし、今すぐに叶えられないとなると、それは駄目なのだ。
本物である白龍と、この白龍の人格はいつ変わるか分からない。
それに、血の着いた原因である本物の姿を、彼等には見せたくなかった。

「では、いくつかお願いがあります。
まず今日、私と会ったことは内密にお願いします・・・。それから、それから・・・・・・。
私とは関わらないでください・・・・・。」

顔を俯かせ、何か考えながら言った。

626現人:2011/12/03(土) 01:34:42 ID:rRrCSwK.
>>625
>>624
「いや、一応神格はたもっているぞ!使い方を忘れてるだけで能力は残っているからな」
取り繕うようにクロコに言うが、使えない能力は無いのと同じだと思われる

「そうか、お前さんも協力してくれるか・・・ありがとう」
自分も協力する側のはずなのに呆れる程純粋に微笑む

「・・・どういうことだ?」
しかし、白龍の返答を聞いた途端不思議そうな顔になる
何故そんなことをいうのか、という疑問が顔にも出ている

627クロコ:2011/12/03(土) 01:44:58 ID:c1.PBF/s
>>625>>626

「それないのと一緒だろ…」
呆れたように、そう現人に言う。


「最後は断る!関わるな!あいにく私は関わるなと言われ、『はい。そうですか』っていかねえんだよ!!
………そのお前の口についてた血の持ち主の《誰か》みたいになるからか?」
クロコは匂いで彼女の口についてる血は別の誰かの血とわかった。
理由は知らないが、自分たちを巻き込みたくないからなのかと思いそう聞いた。

628白龍:2011/12/03(土) 01:59:30 ID:HbHPxpxY
>>626-627
「ク、クロコ様・・・。」

彼女の予想は的中している。違い合う白龍は平行線のようなもの、互いがすれ違うことなど一切ない。
だから、自分とは逆のもう片方を制御するのは不可能なのだ。

「この体に潜むもう一つの龍は、本物です・・・。
ですが私にはどうすることも出来ないのです・・・・・
知らぬ間に、親しい友人を殺してしまうなど、そんなの・・・・・・。」

雪に顔を伏せ、泣き出す。クロコが否定すればするだけ、白龍の辛さが増す。

629現人:2011/12/03(土) 02:11:44 ID:rRrCSwK.
>>628
>>627
「ふっ・・・反論が出来ねえ」
何故か自信満々に、完全に開き直りである


「・・・ふむ、聞けば聞くほどはいそうですかと引き下がりたくなくなる」
白龍とクロコの会話を聞き、感想を口に出す
「誰かの為に辛そうに、涙まで流せる奴をほうっておけるはずないだろう
守り神としても、1つの魂としてもな」
やれやれと言うように肩をすくめる、名前だけ守り神の癖に

630クロコ:2011/12/03(土) 02:24:25 ID:c1.PBF/s
>>628>>629

「……ちっ!泣くな!馬鹿!」
白龍が泣いたのを見てそう言い。

「現人の言う通りだ!そこまで聞いてほって置くのは女がすたる!!
だが私は馬鹿だから何も思い付かないがな!」
……ダメだ。コイツ

「…おいっ!現人。私はとりあえず帰って考える。何かアイデア思いついたら、山を下りたこの街の商店街にある《喫茶店・ノワール》って場所に来い。店長に私の名を出せばわかるはずだ」


「あと白龍……あがけ!!ダメでも必死に死ぬ気であがけ!!あがいてあがいて無理でもあがけ!
私は諦めねえからな!!」
彼女なりに励ますような事を言うと彼女は

バキボキメキッ!!!

と音を立て、大きな茶色の犬(狼)の姿になり去っていった。

/スイマセン…一先ず先に落ちます
/二人ともお疲れ様でした!絡みありがとうございます

631白龍:2011/12/03(土) 02:36:14 ID:HbHPxpxY
>>629-630
「お二人様・・・私のことはいいですから・・・。」

しばらくの間、泣き崩れていたが、クロコに勇気づけられ、一瞬だけ何か見えた気がした。だが。

「ーーー殺してやろう」

心の中でなにかが聞こえたような気がした。

「現人様・・・今日は、こんな私と会話して下さってありがとうございました。
さようなら・・・」

残った現人に一言残し、白龍は黒い空へと飛び去った。

「・・・あのような良い方々に頼める訳、ないじゃないですか・・・・・・。」

//私もこの辺で。
お二人様、絡みお疲れ様でした&ありがとうございました!

632現人:2011/12/03(土) 02:42:59 ID:rRrCSwK.
>>631
>>630
「OK、『喫茶店・ノワール』だな!了解だ!
なにもしないで諦めるのはお断りだ、必ず何か見つけてやる」
クロコの言葉に力強く頷き、親指を立てて答える

「会話ぐらいいつでも相手になるっての」
白龍の言葉に思わず苦笑いする

「それじゃ、お前ら『またな』!」
絶対にこれっきりでは終わらせない、そういう気構えだからさよならは言わない
二人の姿が見えなくなったら、自身も風景に溶け込むように去って行く

//お二人ともお疲れ様でした!&ありがとうございました!

633現人:2011/12/07(水) 23:58:45 ID:rRrCSwK.
「・・・うーん・・・」
とある山の中、人の気配などとうにないよるだというのに
一際大きな岩の上で腕を組み座り唸るような声をあげる帽子を目が完全に隠れる程に深く被った青年

「うぅーん・・・!」
だんだんとその唸り声は大きくなっていく、若干の憤りも含ませて

「だー!!もう、わかんねぇ!!!」
終いには大きな声で叫び、頭をかきむしり始めたここが人里なら確実に近所迷惑だ

634児佐々 美雪:2011/12/08(木) 00:04:56 ID:3FBgi9l6
>>633
「珍しいわねー、こんな所にいるなんて妖怪?」

お前が言うなと言われそうな言葉を、青年に掛けたのは一人の女子高生。
赤いマフラーと紺色のコート、その下の制服はブレザーとプリーツスカートだ。

「あー、寒い。ニーソックスじゃなくてタイツ履いてくれば良かった」

大岩の隣の岩に、ちょんと腰掛けて鞄からボトルマグを取り出す。

635水町:2011/12/08(木) 00:06:00 ID:tElbSrz.
>>633

「なにをしているのですか貴方は」

 ひょっこりと太い首を伸ばしたスッポンがのそりのそりと近づいてくる。
 三角のチョン、と尖った鼻がスンスンと現人の臭いをかぐ。

「ふむ・・・人の香りと妖の香りが半々で混ざり合っている。
 貴方は半妖の類か、元は人だった名残を強く残している妖怪ですね」

 スッポンは岩をよじ登り、現人の隣に座り込む。

「私は水町、こんな姿をしていますが河童の妖怪です。
 あなたは一体なにをそんなに悩んでおいでなのですか?」

 水町は冷泉のように静かな声で語りかけてきた。

(む・・・、近づいてくるこの臭いは・・・)

636現人:2011/12/08(木) 00:22:19 ID:rRrCSwK.
>>635>>634
「何をしているって、考えているんだよ」
スッポンへ向け、答える何を考えているかは答えない

「残念ながら両方ハズレ、一応神様だよ俺は。名前は現人だ」
そう、一応この青年は守り神である。力をほとんど忘れてるので普段ならほとんど人間の臭いがするが
妖怪の臭いがするのなら知り合いの縄張りにでも行っていたのだろう

「なんだ、急にぎやかになったな、そういうお前さんはどうなんだ」
現れた女子高生に向けて逆に問いかけた

「何を悩んでいるかねぇ、それがわかりゃいいんだが・・・」
最後のスッポンの問いにぼやくように小さく呟いた

637児佐々 美雪:2011/12/08(木) 00:26:10 ID:3FBgi9l6
>>635-636
「妖怪の水町さんに、帽子の神様の現人さんかー。あ、あたしは普通の人間よ。美雪って呼んで」

さらにひざ掛けを鞄から引っ張り出しながら、女子高生は水町の言葉に耳を傾ける。
蓋の開いたボトルマグからは湯気とコーヒーの匂いが立ち上った。

「その岩、いつもうちの父と待ち合わせする場所なのよね。帰り道に拾ってってもらうんだ」

あたしん家、この先だから。と少女が指差すのは山のさらに上の方である。

「で、お兄さんは何が悩みなのかわかんないのが悩み?哲学してるーぅwww」

きゃらきゃらと笑いながら、美雪はコーヒーをすすり始めた。

638水町:2011/12/08(木) 00:27:13 ID:tElbSrz.
>>634

(獣の臭い・・・、そして微かに残った麝香の香り・・・)

 水町は小さな目を細める。

(もしかすると鹿南のですか・・・、いやはや子沢山とは聞いていたが)

「えぇ、最近は爬虫類には特に応えますよ。
 コタツの中から出たくないくらいです」

 それでも寒さを堪えて散歩に行ってしまうのは、
 ジッとしているとどうしても病院の悩みが付きまとって消えないからである。

>>635

「神も妖も私にとっては紙一重ですよ、私だってこう見えて神崩れです」

 苦々しく笑いかける水町。

「随分曖昧な言い方ですな、神格持ちでしたら己の存在と役目に悩む事など無いというのに」

 引っかかるような、何処か後ろめたいような言葉で呟く。

「あなたが羨ましいですよ、神格を持つものなら。
 人と共に生きることも、己に迷うことも無い・・・。
 私は神格を失って以来、すっかり居場所も生きている意味も無くしてしまった」

639水町:2011/12/08(木) 00:29:24 ID:tElbSrz.
//修正
×人と共に生きることも、己に迷うことも無い・・・。
○人と共に生きることもでき、己に迷うことも無い・・・。

640現人:2011/12/08(木) 00:50:32 ID:rRrCSwK.
>>638
>>637
「OK、まぁ宜しくな美雪とやら」
適当に手をひらひらと降る

「なんだ、お前さんもか」
水平の言葉にへぇー、と感心したように息を吐き

「随分と長いこと人の世で生きているんでな、考え方も人に似ちまったんだよ」
からからと楽しげに笑う、似てきたとか言うがこいつに限ればもとからこうだったと考えたほうがしっくりくる

「んー、そうだな、お前さんの生きる意味や居場所になるかはわからんが
今日からお前さんは俺の友達ってことにしよう、んでな、その次は俺の知り合いでも紹介する
そうやって人の和を広げればその内お前さんの生きる意味も場所も出来るさ」
どこからこの発思が出てきたのかさっぱりだが、青年のゆったり微笑む顔をみたら案外本気なのかもしれない

「おぉ、まさにそれだ」
そして美雪の最後の問いに指差し答える

641児佐々 美雪:2011/12/08(木) 00:57:28 ID:3FBgi9l6
>>638-639
「そうだこれ二人にあげる。
 いつもは一つだけど、今日はテストだったから予備を2つ持ってきてたんだ。
 教室が寒いと考えるのも捗らないじゃない?」

思い出したように女子高生がポケットから出したのはホッカイロ。
今日は期末試験日だったので、ひざ掛けやカイロ、飲み物などの寒さ対策はばっちりなのだ。

「亀さんはちょっと待ってね。低温火傷しないように包んであげるから」

肩で切りそろえられた髪をさらりと揺らして、女子高生は身軽に大岩へ飛び移ってきた。
まず青年にカイロを一つ渡し、麝香の移り香がもう少しだけ強く香る桃色のハンカチにカイロを包み、
老いた元神格にも温かさを分けようとする。

「で、お兄さんのその悩みって何時からなのー?」

何時ごろから悩み始めたのか、それすら覚えていなかったらもう考えるだけ無駄かもしんない、と
二人の神格には少々失礼なことを女子高生は考えていた。

642水町:2011/12/08(木) 01:04:31 ID:tElbSrz.
>>637

(この道、やはり・・・)

 水町が指された道のほうを眺める。

「随分仲のよろしいようで、大変結構ですな」

 表情の無い爬虫類の顔が少し綻んで見えた。

>>638

「そんな風に考えられるのは人だけですよ。
 ノコギリとして生まれたものが、飾り物として生きても。
 それはただ錆び付いていくだけとなんら変わりありません。
 私達妖怪は生まれた意味が定まりすぎているんですよ。
 その務めが果たせないのなら、ただ死んでいくことと変わりありません」

 水町はああやはり、この者は妖怪ではないのだなと考え込んだ。

「悩みが無いのが悩みですか、随分楽しいことです」

>>639

「あぁ、ありがとうございます」

 冷えた身体に布越しの温もりが伝わってくる。
 水町は目を閉じて抱きかかえるように、カイロに覆い被さった。

「いい、香りですね」

643現人:2011/12/08(木) 01:12:17 ID:rRrCSwK.
>>642
>>641
「おぉ、ありがとうな。いやー、何時の世も人の人情はあったけぇな」
カイロを受け取り、ニカッと嬉しそうに笑う。言ってることは爺むさいけど

「さあな?それもよくわからん、不自然なまでにな」
美雪の問いに首をかしげる、この反応だと忘れてると思われても仕方がない

「ふぅん、そういうものなのかね?」
首をかしげる、案の定あまり理解していないらしい

「あんまり楽しくはねーよ、ずっと喉に小骨が刺さった感じだ」

644児佐々 美雪:2011/12/08(木) 01:15:08 ID:3FBgi9l6
>>642>>643

「そのハンカチあげるから、帰りには首の後ろに結んで行くと温かくていいと思うよ」

すっぽんの表情が温かさを得たのをみて、少女の色白の頬にえくぼが浮かんだ。

(話を聞いてると、この二人は居場所の無くなった神様、なのかな。
 二人のどっちかがこの山の神様になってくれたら、お父さん喜ぶんじゃないかな?
 でも、辞めた神様が別の場所の神様になることって、できるものなの?)

以前に養父の鹿南が、山の神の死を悲しんでいたことを美雪は覚えている。
しかし神格についてあまり詳しくは無いこの人間の少女は、その想いを言葉に出すことはせず、
まずは二人の会話をしっかり聞いておくことにしたようだ。

持ち物を取りにもう一度、岩から岩へと飛び移る少女は、人間でありながらも酷く身軽であった。

645水町:2011/12/08(木) 01:22:23 ID:tElbSrz.
>>643

「そうですか」

 水町はそれだけ言って思い返す。

(思えば私もあれ以来、悩んでばかりでしたなぁ)

>>644

「随分身軽ですな、私もこの姿であれだけよく動ければよかったのに」

 カラカラと水町は美雪を見て笑っていた。


「それでは、お悩みに力に成れそうにありませんし私は帰るとしますよ。
 さようなら現人さん、ありがとうございました美雪さん」

 そういうと、水町の身体は不可視の膜を纏い。
 徐々に透けて、消えていった。

646現人:2011/12/08(木) 01:35:58 ID:rRrCSwK.
>>645
>>644
「おぉ、随分と身軽だな」
岩を跳ぶ美雪の姿をみて、感心したような声をあげる
その内心で考えていることには気づかずに

「ん、もう帰るのかじゃあな、また会おうぜ水町」
手をひらひらと振り姿が消えていくのを見送る

647児佐々 美雪「」 鹿南『』:2011/12/08(木) 01:41:21 ID:3FBgi9l6
>>645-646
「姉さんたちと散々駆け回ったから、この山の中なら目を瞑ってても走り回れるんだ」

えへへ、と美雪は軽やかに跳ねてみせた。
ローファーの靴底とは思えない確かさで、この少女は岩の上の足場を確保している。

「私にもお父さんが迎えに来た!またね、水町さん、現人さん」

木々の向こうにちらりと赤い煌きが見えたのは、迎えに来た養父の目の輝きだろう。
それを確かめて美雪が振り返った時、既に水町の身体は透けて消えていった。

「お父ーさーん♪」

岩から飛び降りて掛けてゆきながら、丸めたひざ掛けをぶんぶんと頭上で振る少女に
金色の牡鹿が駆け寄ってきた。
大きく開く角は左右に8本づつの枝角を持ち、その左目は既に失われている。

『遅くなってごめんねぇ。明日も学校あるのにねぇ』
「ううん、久しぶりに山の家のお風呂とご飯だもん。気にならないよ」

そして片目の牡鹿は、現人にもオネェ言葉で声をかけた。

『うちの子の相手しててくれたのね、礼を言うわ。アタシはガンゴジの鹿南。
 何か助けが必要な時は、この岩でアタシを呼びなさいな』

そしてその背に手を振る美雪を乗せて、木々の間を軽やかに駆け去っていった。

648現人:2011/12/08(木) 01:47:17 ID:rRrCSwK.
>>647
「ほぉ、そいつはすげえな」
素直に感心しているようだ

「鹿南ね、まぁ宜しくな、んでお二人さんもまたな!」
そして去って行く姿を見送る、その後また唸り始めたとか

649纏 患奈:2011/12/08(木) 08:15:19 ID:/AfNAO.Q
>>488
「おや? 案外大したことありませんね」

フェルゲニシュを地面に叩きつけた纏は、涼しい顔をしてその場から離れると、
超有名な某アクション俳優のまねをしてエセ憲法の構えを取り、くいくいっと指先で相手を挑発する。

男の強靭な体はネックだ。しかし纏の力は、それに勝らずとも彼に対するダメージの蓄積は可能。
加えてフェルゲニシュには致命的なディスアドバンテージがある。纏もそれに気付きつつあった。

(明らかに動きが鈍った……能力は制限付きでしょうか)

断定はできないが、しかしそうならば時間が経過すればするほどこちらが有利。
ならば逃げられる前に首謀者を吐かせ、始末するべきか。
それとも――……。

「……何だ、といわれましても。私は纏 患奈。研究好きなただの河童です。
 時にあなた、人に尋ねたのですから、自らも名乗ってはどうですか?」

650名無しさん:2011/12/08(木) 16:05:52 ID:HbHPxpxY
>>649
「っくくくくくく、んふふふふふふ・・・・・・・・・っ!
いいだろう、教えてやる、俺様の名はフェルニゲシュ、かつて竜王と証されていたぁ・・・。」

ずりずりと、フェルニゲシュの体の肉が崩れ落ちていく。
そのグロテスクな光景を目の前に、彼女は何を思うだろうか。

紫の鱗に包まれ、強靭な4つの翼を持ったフェルニゲシュが姿を現した。

「大人しくしていれば調子に乗りやがって、俺様がリアルに怒ったら強いんだぞぉ?」

軽く3メートルを超えるその巨体が、纏へと距離を一気に詰めた。
その竜王の怒りへ触れた物、生きて帰る保障はない。
「一閃・無光有闇(ステルス)」
先程とは比べられないほどにまで大きくなった妖爪が纏を切ろうとする

651纏 患奈:2011/12/08(木) 17:16:25 ID:/AfNAO.Q
>>650
「……」

纏は表情を変えないまま、元の面影を残さぬ変化を遂げていくフェルゲニシュを見上げる。
その瞳の奥に何を思うのか、それは本人以外知る由はない。
竜の姿になったフェルゲニシュを見、纏は納得したというように目を伏せる。

「あれで終わるはずがないとは思っていましたが。なるほど、竜王の名に相応しい」

強靭な紫の鱗に覆われた巨体より溢れ出でる妖力。
やはり一筋縄ではいかないらしい。
巨大な翼が動き、一気に距離を詰められる。
人間体を捨てたその姿。やはりスピードも増している。その巨体を補う程に。

「!!」

襲い掛かる一閃。まともに食らえば一撃でゲームオーバーだろう。
その爪が振りかざされる前に、背後に跳躍する。
しかし――

「く、っ!」

巨大な妖爪のリーチは想像を超えていた。
後退し着地した直後、しかし妖爪は眼前に迫っていたのだ。
纏は慌てて水術を用いて盾を生み出す。
しかし妖爪は中途半端な水盾ごと、纏の胸を切り裂いた。

「……!!」

傷は――浅くはないが、深くもない。
纏は痛みを無視し、更にフェルゲニシュから距離を取る。
じわり。胸から腹までに引かれた一本の引き裂き傷から、血が溢れはじめた。

652フェルニゲシュ:2011/12/08(木) 18:34:50 ID:HbHPxpxY
>>651
「あっ、あ〜〜、ヤバいんじゃないのぉー?
さぁて、次はどうしようかなー?あの小僧の飲んだ薬、お前も飲むかぁ?
死なないよう調合はしてある、研究好きなお前には調度いいんじゃん?ん?」

纏の血がうっすらと着いた妖爪をペロッと舐め、ニヤニヤと笑う。
その歪んだ瞳が、纏を見据えていた。

「お?おい、お前の姿をあの小僧が見てるぞぉ?」

不意に病院の辺りを見渡し始めたフェルニゲシュが、窓越しに夷磨璃が見ているのを見つけた。
夷磨璃はその一部始終をすべて見ており、今にも戦いに行ける状態。
だが相手がフェルニゲシュ、生きる本能が、夷磨璃を止めていたのだ。

「あいつの前で、お前が酷く死んだら面白そうだなぁ!?」

653纏 患奈:2011/12/08(木) 20:13:57 ID:/AfNAO.Q
>>652
「その癇に障る喋り方止めてもらえませんか……」

言いながら、纏が赤く染まったシャツを脱ぎ去ると、所々鱗に覆われた緑の肌と同時に、赤い傷が露になった。
そして纏が、指先で傷をゆっくりとなぞる。

「《回復術式》……」

青い光が傷を癒し血が凝結していく。
この程度の傷ならば、応急措置で十分止血することができる。
しかし、確かに相手の言う通り、状況は良いとはいえない。

(黄道いずみや日野山幽二郎が戦闘に気付けば……、いや、援軍など期待しないほうがいいでしょう。フェルニゲシュ、といいましたか、奴には恐らく能力に対する反動がある。そして強大な力故の油断。そこを突けば――)

その時、フェルニゲシュの言葉に、纏が顔を上げた。
男の視線の先には、窓越しにこちらを伺う夷磨璃の姿。
かちあう目線を、夷磨璃はすぐ逸らしてしまうだろう。
纏の瞳が――一瞬、見開いたようにみえた。
しかし、すぐに俯いてしまい、前髪で顔が隠れてしまう。

「何をやっているのですか……」

呟くような声。
すう、と深く息を吸い込み、


「そこを離れなさい、夷磨璃ッッ!!!」


俯いたままの纏が、ビリビリと震えるような怒声を上げた。
窓越しであってもその声は十分に届いただろう。
あんなところにいれば、いつ戦闘に巻き込まれるか分からない。

顔を上げた纏の瞳には、ただ一つだけの感情が浮かび上がっていた。
――激しく、強い怒り。
彼女も命を救う者の一人。
夷磨璃を前に、その感情が爆発した。

「私を怒らせましたね……フェルニゲシュ」

654フェルニゲシュ:2011/12/08(木) 20:58:48 ID:HbHPxpxY
>>653
『え・・・纏お姉ちゃん?』ビクッ

夷磨璃の表情が困惑した。いきなりこのようなことを言われるなんて思わなかったし、纏をほおっておくことも出来ない。
せめて、誰かの助けを呼ぼうと、院内を探し始めるだろう。

「回復だぁ?ぷっ、馬鹿らしいな。そんなの無意味だぁっ!!!
怒った?ざまあねぇな!!つかそれで俺様に勝つとか、脳内沸いてるんだな、お前っ!」

フェルニゲシュは油断しているように見える。
なんせ戦いに集中しているそぶりがあまりないからである。それに、こちらからも攻撃しようとはしない。
・・・だか、それは纏を待ち伏せしている。彼女は気づくだろうか?

655纏 患無:2011/12/08(木) 21:19:56 ID:???
>>654
纏は怒っていた。しかし状況の判断に影響を及ぼす程、頭に血が昇っているわけではない。
あくまで冷静に、冷徹に――怒っているのだ。

窓際から夷磨璃がいなくなったのを横目に見て、纏の刺々しい殺気が少し収まった。
フェルニゲシュに言われるまでもなく、怒ったところで状況が変わる訳ではないのは、纏もよく理解している。
自分は東雲のように、怒りが引き金で妖力が増すわけでも技が出せるわけでもない。

「脳内が沸いているのはあなたのほうでしょう」
(とはいえ……このままでは状況が進展しない)

フェルニゲシュは油断している。纏はそう思っている。
現時点では待ち伏せにも気付いていないだろう。

「水術」

纏が頬を膨らませる。
どこからか聞こえてくる、水の音。
膨らませた頬から、纏は小さな水の球を作り出した。
その直径10cm程度の水球を、数十個作り出す。
纏はそれをフェルニゲシュにむけて一斉に解き放った。
スーパーボールが跳弾したような勢いで、水球はフェルニゲシュに向かっていく。
それらの球は一つ一つ、触れた瞬間爆発する仕組みになっている。
爆発と言っても威力は少ない。フェルニゲシュ相手ならほとんどダメージはないだろう。

656フェルニゲシュ:2011/12/08(木) 21:36:10 ID:HbHPxpxY
>>655
妖爪でその弾を引き裂こうと、フェルニゲシュが振りかざす。
・・・が、引き裂いた瞬間に爆発した水弾は、フェルニゲシュの、一瞬だが視界を奪うことに成功した。
視界を奪えば、こちらからは何も出来ないため、追撃ができる。

『も、もしもし?露希お姉ちゃん?病院に・・・え?うん・・・っ!』

一方、夷磨璃は公衆電話から助けを求めていた。
どうやら、異変を感じた露希が直ぐに向かっているとのこと。

657纏 患無:2011/12/08(木) 21:52:51 ID:???
>>656
爆発した水球で視界を隠すと同時、纏は駆け出した。
フェルニゲシュの視界が晴れたとき、彼の眼前にすでに纏はいないだろう。
左右、背後、見渡したところで彼女はいない。
纏は跳躍し、フェルニゲシュの頭上に飛び上がったのだから。

油断していようがしていなかろうが。
待ち伏せがあろうがなかろうが。
今は関係ない。纏にできることは限られていた。

「すうううっ――」

大きく息を吸い込み、纏は上空に大量の水を吐き出した。
圧倒的な水は凝結し、巨大な槌の形に変形する。
その水量は、1トンを超える。
纏の怪力だからこそ、それを扱えるのだ。

振りかざし、遠心力を用いて、超重量の槌をフェルニゲシュに振り下ろす。

658フェルニゲシュ:2011/12/08(木) 22:04:46 ID:HbHPxpxY
>>657
「ぐあああっ!お前っ、ぐはっ!?」

その槌の威力は、フェルニゲシュをも怯ませた。
これがもし人間時に受けたのなら、大ダメージは免れまい。
槌の攻撃が終わると同時に、左右からフェルニゲシュの脇腹を引き裂く者の姿が見えるだろう。
片方は蒼い着物と長刀の子供、もう片方は白い翼と直剣の少女。

夷磨璃「纏お姉ちゃん、僕だって戦えるよ!(怖いけど)」

露希「河童さん、助太刀します!!」

フェルニゲシュ「こ、この・・・ふざけんなぁっ!」

ついにぶちギレたフェルニゲシュは纏達目掛け、手からレーザーを放った。
反動なんて無意味のように、フェルニゲシュはただ標的を殺そうと、必死だった。

659纏 患無:2011/12/08(木) 22:11:49 ID:???
>>658
(効いている――これならば)
「!!」

視界の両脇に現れるのは、二人の影。
少女に見覚えはなかったが、子供の顔は見慣れたものだ。
患者だというのに。仕置きはあとでするとして、今先決すべきは目の前の敵だ。

「お二人とも、離れて」

無作為に放たれるレーザーを避けながら、槌を足場に再び空中に跳ねる。

「水術の有効利用法を教えてあげましょう」

そういった途端、突然巨大な槌が弾けた。
凝結した槌は再び水になり、フェルニゲシュの周囲を包む。
そして纏が手のひらを握りしめると、水は円を描き、フェルニゲシュを拘束しようと凝結しようとする。

「捕まえましたよ、竜王」

660フェルニゲシュ:2011/12/08(木) 22:27:34 ID:HbHPxpxY
>>659
「捕まる、はぁっ、訳、ないだろう、フハハハハッ!」

突如現れた、フェルニゲシュの回りを囲む水。
しかしフェルニゲシュに近づいた瞬間、水は地面にこぼれ落ちる。

「龍は追い詰められるほど強くなるんだよなぁ?」

露希「夷磨璃君、逃げて!河童さん、水術を続けて下さい!」

夷磨璃「う、うん!」
露希が直ぐさま接近するが、フェルニゲシュの手前で弾かれる。
どうやらフェルニゲシュから流れ出した血が危険を察知したのか、フェルニゲシュの回りには見えないバリアが張られたようだ。

661纏 患無:2011/12/08(木) 22:36:11 ID:???
>>660
「障壁……ですか」

地面に着地した纏は、再び大きく息を吸い込む。
しかし今度は、水を吐き出し形にするわけではない。

(耐久性の程を見せていただきましょう)

それはまさに、巨大な滝の勢いを一点に集中させたような、水撃砲。
レーザービームのような水流を、障壁の一点に集中させる。

(障壁のようなものの場合、広範囲攻撃よりも一点集中攻撃に弱いはず。
 それにフェルニゲシュには致命的なディスアドバンテージがある……さあ、壊れてくれますか?)

662フェルニゲシュ&露希:2011/12/08(木) 22:49:04 ID:HbHPxpxY
>>661
「甘いなぁ・・・効かねぇよ、そんなの!」

フェルニゲシュのバリアは特殊な物であった。
普通ならば、一点集中ならば貫通も可能だろう。
だがそのバリアは破られぬよう、一点集中に対応するかのよう、そこの部分が固くなる。

よって、その攻撃はほぼ効果は無かった。

「く・・・、そろそろ体が持たないなぁっ・・・!次の一撃で撤退させてもらう!!」

フェルニゲシュの体の鱗が、刃のようになりながら、一気に飛び散る。
その数えきれない鱗が、花びらのように舞い、そしてフェルニゲシュは消えるだろう。

露希「ぐっ、消えた・・・?あの、河童さん、あいつは一体誰ですか?」
数枚の刃が露希の体をかすり、所々出血している。

663纏 患無:2011/12/08(木) 23:04:21 ID:???
>>662
「無駄、でしたか」

半分分かっていたかのように、纏はあっさりと結果を認める。
しかし障壁の性質は分かった。
性質が「あれ」のみならば、おそらく破る方法はあるだろう。

「最後っ屁にしては弱いですね」

鱗の一枚が頬をかすり、つうっと頬を伝う。
金色の瞳にはまだ怒りが宿っているものの、若干薄れつつあった。
フェルニゲシュは消えた。追うことは不可能だろう。鼻が利くわけでもない。

「あなたは……ああ、思い出しました。確か夷磨璃の病室にも来ていましたね。
 こちらへ、止血しましょう」

露希を呼び寄せ、出血した個所に触れていく。
すると出血は止まり、傷がすぐに塞がり始めた。

「私にも分かりません。夷磨璃を殺せと私に劇薬を渡した頭の悪いキチガイです」

若干口が悪いのは気のせいではないだろう。

「ですから捕まえて目的を吐かせようと思ったのですが……失敗しましたね。
 物分りのいいやつなら診療所の用心棒にでも引き抜こうと思いましたが、それも失策のようです」

664名無しさん:2011/12/08(木) 23:12:44 ID:HbHPxpxY
>>663
露希「あ、ありがとうございます、河童さん。ボクの名前は露希です。」

ペコッと軽く自己紹介。フェルニゲシュの散々な言われようから、余程酷い奴なのだと思った。

露希「・・・も、もしかしたらボク、そいつに会ったことあるかも・・・夷磨璃君がズタズタにされた時の・・・。目的はいかにしても、無事で何よりです。」
夷磨璃「纏お姉ちゃん、大丈夫?心配してたの、僕・・・」

この後、お仕置きがあることも知らない夷磨璃は、ひょっこり顔を出した。

665纏 患無:2011/12/08(木) 23:27:07 ID:???
>>664
「露希ですね。遅くなりましたが、助太刀ありがとうございます」

纏はぺこりと頭を下げると、血まみれのシャツを拾い上げた。
妖怪の状態なので分かりにくいが、今の纏はいわゆる上半身裸の状態である。
前を閉じると、纏は人間の状態に変化した。
緑色から肌色へ。
妖怪から人間の色へ。

「……夷磨璃」

なぜわざわざ人間の状態にもどったか。
答えは簡単。手加減できなかったら困るからだ。

「――なぜあの時、あそこから見ていたのですか?」

ぎろり。
黒色の光の無い瞳が、夷磨璃を睨みつける。

666名無しさん:2011/12/08(木) 23:36:13 ID:HbHPxpxY
>>665
「でも河童っていたんだー、なんか可愛いなぁ。
ていうか河童さんシリアス過ぎる見た目と性格にギャップなさすぎて、マジボクの好み。もうなんか河童さん抱きたいな、いやでもry」

そんな妄想をぽわぽわさせてる露希とは逆に、冷や汗ダラダラの夷磨璃。
本人は全く悪いことしたとは思ってないので、睨まれたことが不思議でしょうがなかった。

「だ、だって外で怖い妖気を感じとって見てみたらあいつと纏お姉ちゃんが戦ってて・・・。
ぼ、僕には見過ごすことができなくて・・・・・・。


667纏 患無:2011/12/08(木) 23:48:04 ID:???
>>666
妄想を暴走させる露希を完全にスルーして、
纏は真っ直ぐに夷磨璃を見つめている。いや、睨んでいる。
その「悪いことをしたと思っていない」目が、余計に纏を煽っていることを、
本人は知る由もないだろう。

「夷磨璃、あなたは自分の立場がわかっていないようですね。
 ついこの間まで病床に伏していた体で……しかも逃げることもせずに、あんな危険なところにつったっていた。
 それがどれだけ危険なことか、分かっていないのでしょう?」

抑揚のない声だが、少しの間彼女と共に過ごした夷磨璃ならば、
纏が怒っていることが伺えるだろう。

「しかもあげくの果てに戦闘にまで参加していますし……。
 これは、お仕置き、ですね」

無表情のまま、冷徹に宣告する。
蛇足しておくと、東雲は小鳥遊のお仕置きの次に、纏のお仕置きが怖いらしい。

668夷磨璃:2011/12/08(木) 23:59:19 ID:HbHPxpxY
>>667
「纏お姉ちゃん・・・。それは僕が子供だから?
危険性だったら、あいつといた纏お姉ちゃんの方が高いはずだよ。
それにお姉ちゃんを助けたくて戦ったんだよ、僕。余計なお世話だった?」

纏が怒っているのはよく分かった。けど、やはり納得がいかなかったのだ。
その為、纏の怒りを増幅させてしまうようなことを言ってしまった。

露希「河童さんには茄子と胡瓜どっちがいいかな〜?ボクなら間違いなくマヨネーズ胡瓜〜、よし、速攻で買ってこよう!!」

妄想が止まらない、とはこういうことだ。スルー奨励

669纏 患無:2011/12/09(金) 00:10:47 ID:???
>>668
「子供だからではありません。患者だからですよ」

例え夷磨璃であろうとなかろうと、診療所に入院する患者が同じことをすれば、纏は同じことをいうだろう。
彼女とて、医療の道を行く者なのだから。 
纏があの時怒ったのは、フェルニゲシュに対してでもあったが、夷磨璃に対する怒りもあったのだ。
自らを危険にさらすような真似をする、夷磨璃に対して。

「私を助けたいという気持ちはありがたいですが、戦う以外にも道はあったはずです。
 あんな所でぼけっとつったってないで、早く助けを呼ぶべきだったのではないですか?
 実際フェルニゲシュに見つかった。攻撃されていたかもしれないのですよ、あなたは」

饒舌になりつつあるのは、やはり怒っているからなのだろう。

「茄子に決まっているでしょう。胡瓜など邪道です」

ずばっ。
そこは譲れないらしい。

670夷磨璃:2011/12/09(金) 00:25:52 ID:HbHPxpxY
>>669
確かにそうである。
あの時、突っ立ってた時間の方が長いし、フェルニゲシュにも見つかっている。
そして何より、纏の患者に対する筋が通っていた。

「ごめんなさい・・・。」

自ら危険を犯したのも事実、ましてやフェルニゲシュに挑むなど自殺行為に等しい物だった。
そして一つ、夷磨璃には疑問が。お仕置きとは何をされるのかということ。


「買ってきました!茄子!だから抱かせろ河童!!」
露希、1レスで茄子買ってきたし。しかも制御効いてないし。

671纏 患無:2011/12/09(金) 00:33:06 ID:???
>>670
「わかればいいのです。さてお仕置きですが……」

ふむ、と考えるように顎に手を置く纏。
無表情で何を考えているか全く読み取れない。こういう時はこの無表情がとても怖い。
と、そこへ露希がやってきた。

「ほう、気が利きますね」

表情には出さないながらも、茄子を見て嬉しかった様子。
露希の手からすばやく茄子をとり、生でかじりつく。
うまうまと味わいながらも、露希のほうは手で押さえて完全スルーである。

「ふむ……今の私は機嫌がいいですので、特別にお仕置きはなしにしておきましょう」

ここで露希が効いた。茄子を咥える纏はご機嫌なようだ。

672露希&夷磨璃:2011/12/09(金) 00:47:39 ID:HbHPxpxY
>>671
露希「かっ・・・可愛いっ!!その茄子にかぶりつくクールな河童さん!!
こんな耐性の人は初めて見ました!!」

夷磨璃「なし?わぁい!」
二人とも、纏さんに弄ばれてる・・・・・・。

露希「では、河童さんに会いにくる時には茄子持ってきますね!ではボクはこれで・・・・・・。」
夷磨璃「纏お姉ちゃん、この後、巴津火お兄ちゃんの部屋に行っていいかな?」
夷磨璃、このノリではお仕置きされそうな気がする。
まあ、なんやかんやで、今日と言う一日が幕を閉じた。
//区切りがいいのでこの辺で!二日間、ありがとうございました!楽しかったです!

673巴津火『』 共潜ぎ「」:2011/12/10(土) 04:08:36 ID:3FBgi9l6
>>ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1318430956/517

『一つ聞く。雨邑を殺すようお前に勧めた者が誰かいるのか?』

紫濁の瞳は、刃の向こう側から静かに神代を見据えていた。
誰かの差し金でもなければ、雨邑を殺す必要など神代には無かった筈なのだ。

雨邑と神代には殆ど接点は無く、その力の差も歴然としていた。
雨邑に罵られた位で動く感情など、神代は持ち合わせていない。
巴津火は最初から、自分の意思で神代も天界も敵に回しているのだから、
神代が敵対するために雨邑を犠牲にする意味も無い。

(神代の筋書きを書いているとかいう、榊の差し金か)

榊の代わりにこの場にいる女へ、巴津火が始めて声を掛けた。

『来たからには名乗るくらいしろ。さもなきゃそいつらのもてなしを強制的に受けさせるぞ』

「貝を食べちゃった人か、この女の人か、どっちかは連れて帰らないと駄目なのよねー」
「美味しいものは十二分にあるしー、二人でも、三人全部でも構わないんだけどねー」
「どっちにしようかー?」
「どっちも引っ張っちゃおうよー」

海中からわらわらと腕が伸びてきて、女も包帯男も等しく引っ張ってゆこうとする。
もてなされたらそれこそ浦島太郎のように、時を忘れて海中に留まってしまうことだろう。
それが嫌なら名乗るしかない。

674神代一派:2011/12/10(土) 09:46:44 ID:EK/9fLvc
>>673
「いませんよ、そんな方は」

しかし彼のそんな推測を丸っきり、何故か吐き捨てるような笑いを浮かべ否定した。
どこまでもきっぱり言い切るその言葉には、
おそらく躊躇や後悔と言った物は感じる事が巴津火にもできないだろう。

「ただ、これから起きるであろう騒動の中で、
 中心となっていると思われる対象を殺めれば僕のなすことは、きっと避ける事の出来ない者とする事が出来る

 と榊に言われました」

そして口に出されたのは、この場に何故か姿をあらわさなかった者の名前。

「おそらく榊は、因果の話をしていたのでしょうね。
 万が一にも億が一にも、思い人を奪われた巴津火は決してなにがあろうと、
 僕と敵対して僕のまだある因果をそそぐ行為が出来なくなるのだと」

それでも、できれば雨邑さんで無い方が僕だって良かったと思っているのですよ、
と神代は槍を振りかぶり、牽制として巴津火へ投擲して愚痴った。

「えぇぇ〜・・・なんであたしにお鉢がまわるんだ・・・
 第一最初の最初で自己紹介してなくてタイミング逃したのにこんな満を持して紹介しろなんて、
 絶対あたしみたいな奴が今更やっても―ふ〜ん、そうなんだ―
 みたいな感じで流されるにきまっているんですよ」
「うんにゃ、ここはこれからのこともあんだ紹介行っとけ」
「なんでなんですか・・・分かりましたよこんなところで力使うなんて、おこがましいし。
 あたしは・・・そうですね農夫さんと同じように、織女、というものです」

またもや注目が自分に集まりかける事を知って、彼女はまたも顔をそっぽ向けて、
明らかにキョドッたような反応をした。
しかし農夫の言葉に何故か納得したのか、渋々ながらも紹介を巴津火に向けて言う。

675巴津火『』:2011/12/10(土) 12:34:33 ID:3FBgi9l6
>>674
『要するに榊に言われたってことじゃないか。
 それがボクとの敵対を煽ることくらい判っているだろうに』

(榊はボクに神代を殺させたいのか)

雨邑と因果を漱ぐこととは無関係だった。なのにこれで巴津火は神代と敵対し続けて
因果を漱ぐか、神代を殺すかしなくてはならない。

動きのなかった表情に、初めて動きがあった。
紫濁の瞳は不機嫌そうに細められて、左手の刃に紫電が灯る。
それを斜め下から振り上げて雷光の槍を弾くと、もともと牽制のために力を緩められていた槍は
斜めに天へと飛んでいった。

『その女はいらん、農夫を捕まえろ』

今この場で、最も仔細を知っていそうな者を巴津火は狙った。
共潜ぎの手がわらわらと纏わり付いて農夫の動きを封じ、磯撫での尾びれが迫る。
これを掻い潜ったところで、もう少し沖には磯女が待ち構えている。
ある意味、織女のほうは名乗ることで包帯男ともども難を避けたと言えるだろう。

『お前が雨邑を殺した代償にその男を貰うぞ。そいつの方が色々知っているらしいからな』

今までの巴津火の事を考えれば、捕らえた農夫を悠長に尋問などしないことは予想つくだろう。
波の上にはゆっくりと丸い月が昇り、暗かった海を明るく照らし始めていた。

676神代一派:2011/12/10(土) 14:06:31 ID:EK/9fLvc
>>675
巴津火が槍を弾くという動作をする中で、
先ほど投擲された雷光の槍を計6本、つまりあの時のあの技の準備を済ましていた。
神代の背中を円を描くようにして、槍たちは全て巴津火へと矛先が向けられていた。

「ふふ、ここで雨邑さんを見た時、僕もそれを理解しました。
 僕が巴津火君と敵対するために、殺す相手が誰なのかを。だってあなたは
 あわよくば僕を助けようとしていたじゃないですか」

巴津火がどんな思いだったのかはともかくとして、穂産姉妹の約束を守り、
神代を殺して止めるのでなく、因果を取り除こうとした。
しかしその思いは、神代にとってどうしようもなく余計なものなのだった。
体に幾重にも絡みつく因果たちは、どれも生存する神代を目指していないのだ。

「おいおい、どうせ捕まえるならあの馬鹿にしろよ」

包帯男への誘惑が解けてほんの少し安堵で来たところなのに、
今度は自分があれよあれよと言う内に、がっちり拘束されてしまった。
眉間にしわを寄せ機嫌を悪くした農夫は、気のない声を巴津火に投げかける。

「それとあんたらは馬鹿なのか?
 このおらにむかって、木端みてえな奴らしか作戦に回さねえとは。
 あんま舐めるとおらだって怒るんだぞ?」

すると突然、農夫の体から発する妖気は、一瞬にして強大な、
それこそ神格とも到底引けを取らない程の莫大なものへと変化する。
堪忍袋の尾がそろそろ切れたらしく、農夫の体は突然にして数多くの樹木に包まれた。

そしてその突然の変容に反応できず、避ける、という動作を取ることのできなかった海の者達は、
その樹木たちの成長と言う悪意を持って全身に絡みつかれるだろう。
さらに神格を持つ様な者でなければ、あっというまに絞め殺されてしまう。

677巴津火『』:2011/12/10(土) 19:37:40 ID:3FBgi9l6
>>676
『お前を助けるなだと?』

訝しげにそう呟いた巴津火は、次の瞬間鼻で笑った。

『何を勘違いしている。助けて欲しくなければそう言えば良い。
 そもそもボクに協力を求めてきたのは、お前らのほうじゃないか』

ここで初めて、巴津火に怒りの表情が現れた。
巴津火を選んで引き入れるために声を掛けたのは農夫なのだ。
因果の相手である神代ではなく農夫への怒りならば、神格の縛りを受けない。

『討伐するためだ協力を頼んでいながら、お前らはあの姉妹を殺そうとはしないし、
 果ては自分を助けるなと言う。隠し事も嘘も結構だが、ボクを馬鹿にするにも程があるぞ。
 あの時ボクがお前らを纏めて食わなかったのは、天界の馬鹿どものお陰だと知れ。
 それに友達ではない、望むなら何時でも食ってやると言っただろうが』

巴津火としては、夜行集団との最初の約束である穂産姉妹の因果さえ漱げたら、
後は天界の意の通りさえにならなければ、神代と他の因果がどうなったって良い。
そして、農夫の言葉はさらに巴津火の声を怒りで尖らせた。

『海を舐めているのはお前のほうだ。下っ端』

海面から巨大な柱が持ち上がった。
それはうねりながら岬を跨ぎ、反対側の海面へと突き刺さる。
農夫たちの頭上に、ぬめった橋のような弧が渡されたのだ。
そしてそこから粘っこい油が、農夫たちの頭上に大量に降ってきた。

油は木々に降りかかり、その中に捉えられていた海の妖怪達はそのしなやかな身体を活かして
つるりぬるりと束縛から滑り出し、笑いながら海へと滑り落ちてゆく。

弧を描いて岬を跨ぐのはいくちの身体。船を跨ぎ終えるまでに数日はかかるほど長く、
さらにその身から大量の油を落としてその船を沈めてしまうこともある海蛇である。

『今夜は満月か』

いつの間にか潮は、陸から完全にこの岩島を切り離していた。
海は巴津火の領域である。
この小さな岩島でどれほど農夫が猛ったところで、戦いの場としては圧倒的に不利である。
天界もおそらく、この様子を見ているのであろう。

678神代一派:2011/12/10(土) 20:41:50 ID:EK/9fLvc
>>677
「ふふ、いえいえ現に僕達は救われたのですよ。
 少なくとも僕と、穂産姉妹さんはね。考えうるワーストエンドから逃げ延びさせてくれた」

静かな口調をもって語り神代は、その時の事を思い出すように目を閉じた。
もしあそこで巴津火が神代と穂産姉妹との、繋がりである因果を請け負わなければ、
結局はこの少年と姉妹が、あまたの死者を生み出して命を落としていたのだろう。

なぜなら、どうしても天界に刃向かう神代を、穂産姉妹は神代への児童安全の祈りの制約により、
神代が戦死する最後の最期まで、共に闘って神代の身を守らなければいけなかった。
彼らが共に負った因果は、神話による強制された決闘だけでなく、
それを避けた場合に新たに生まれる、強制された共闘の因果もあったのである。

「おら達がお前に協力を要請したのは、榊の助言があったからだぞ?
 多分、あんたはあの榊に、ものの見事まんまと嵌められたんだ。
 気付けなかったおらも悪い、スマン」

榊が、特別助けを必要としていない農夫に対して、巴津火の引き入れを提案したその理由は、
今まさに、この状況を作るためであった。
巴津火は神格と邪神格を体に混在させ、その境遇のため神代に分け隔てなく接する。
今までに無い笑みを贈られた神代は当然、巴津火を一方的ながらも友達と思うだろう。
しかし、これだけでは神代の死出の旅への、足枷になってしまう。

だが、そこでこの対立の状況を作ってしまえば、巴津火は竜宮の主の資格を持っている事もあり、
完全な神界と神代の対立の構図を、決して逃れ慣れない因果を、
生み出し神代を縛る事が出来るのだ。心を寄せた巴津火に嫌悪される絶望があるからこそ、
神代は心おきなく、その身を心を因果の流れに投じる事が出来る。

「おらは舐めちゃいねえよ。
 大地に恵みをくれる一因は、やっぱり母なる大地だからな」

何の気なしに殺して見ようと思った農夫の攻撃もあっさりと、
新手の奇抜な効力によって防がれてしまう。
改めて自分の地の利の悪さを実感させられて、やはり農夫は深くため息をついた。

「はは、お前は運が悪いな!!とはいっても俺も油まみれだ!!臭い!!」
「あ・・・あたしの服がドロドロ。いくらあたしの作品がつたないからって、
 ここまでしないで欲しいと思わなくは無い・・・」

隣で暢気な反応を示す彼らとは対照的に、農夫の樹木は既にリアクションを行なっていた。
樹木は農夫によって、さらに急速な成長活動を活発化させ遂には、
頭上にある水の半円を飲み込むほどの大樹になった。

「地面がありゃあ植物は育つ、海でも生えるように陸となりゃあ、より一層にな」

そこで神代はすぐさま、農夫たちに向って青白い炎の球を飛ばす。
青白い炎は農夫の先ほどの大樹に着弾して、空を焼くほどの大炎上を発生させる。

神性を帯びたその炎による火災の力は凄まじく、例えここが海の神力に包まれようと、
上にそびえる水の輪を蒸発させ、中の海蛇を焼くだろう。

679巴津火『』:2011/12/10(土) 22:10:30 ID:3FBgi9l6
>>678
『救ってもらったその礼が雨邑の殺害か』

風が強まり雲が沸き始め、月の光が翳り始める。

『代償としてその農夫か榊を寄越せ。お前らの隠している全てを見せてもらうぞ』

その時既に木は育ち始めていた。
いくちの油を受けた大樹はあっさりと炎上し、いくちの身体にも青い炎が燃え移った。
炎を纏ったいくちが苦しげにうねり始め、炎と油は渾然一体となって滴り岩島に降り注ぐ。

(…手間が省けた)

実は巴津火自身、いくちの撒いた油に火を放つつもりで再び左手の刃には紫電を点していたのだ。
炎に包まれたいくちは海中に没して逃れたが、小さな岩島とそこに生えた大樹は
激しく燃え盛っている。そして農夫も織女も包帯男も油まみれ。
延焼するのも時間の問題だ。

さらに農夫が何かしようにも、この小さな岩島の土にはもはや新たな植物を支えられるほどの真水は無い。

『水がなければ植物は育たないだろう』

その水を司る巴津火が、農夫の敵なのだ。

680神代一派:2011/12/10(土) 22:45:29 ID:EK/9fLvc
>>679
「くすくす、あなただって、仲間のメデゥーサを最大の侮辱を持って殺害したじゃないですか」

あの時包帯男と農夫には笑顔で、弔おう、とだけ言い返したが、
神代は悪魔だが鬼ではない、何も感じなかったと言えば嘘になる。

「ふふ、でも命の重さを天秤に掛けても仕方が無いので、
 いいでしょう、榊をそちらへ行かせます。彼女はちゃんと話してくれるでしょう」

攻撃の意識を農夫たちに向けていた巴津火に向けて、出し抜けに神代は雷槍を放った。
数は先ほどの6と後に出した6を合わせて12本。
放射状に射出された槍達の内4本もの数が、雷光の速さで巴津火へと向かう。

「あーあ、やっぱおらは運が悪いんだな」
「そうだな!!お前は常に平吉を引き続ける微妙な幸福度だな!!
 心中お察しするぞ!!」
「いや、正直お前よりかは幸運だ」

自身の体のそこら中から、油によるツンとした刺激が彼らの鼻につく。
それはつまり、彼らの先の姿をより鮮明に想像させるものだというのに、
怯え逃げようとする意思は感じられない。

「おら達が考えなしに燃やすと思うか?そんな時このぼっちゃんだ」

【地の凡術・土呑み】

遠くの場所から神代は、素早く両手を使い、印を組んだ。
それは、神性を帯びた者だけが許された術、凡術。あの滝霊王が以前使用した、
水の凡術と並べて扱われる強大で強力な術の一つだ。

強大な巫女の力を継ぐ神代でも、本来ならば凡術などを使えるレベルではない。
しかし、あの時穂産姉妹神の祈りを一身に浴びた時、強大な神性もまた譲渡されたのだ。

穂産姉妹の行使するあの力のように、地面は任意によって突如隆起、変形し、
農夫たち三名を火から防ぐ防護壁を発生させた。

681巴津火『』:2011/12/10(土) 23:24:22 ID:3FBgi9l6
>>680
『めでぅーさ?…ああ、あの蛙。
 でも無駄に殺しては無いぞ。ちゃんと美味しく食ったからな』

神代の一派にそういう仲間意識があったことに驚きつつも、巴津火が記憶を探ると、確かにその名はあった。

『もし榊がちゃんと話さなかったら、ボクが榊を食べる、からなっ!』

言い終わらぬうちに向かってきた4本の雷槍のうち2本を、逆手に握った草薙剣の紫電で弾き、
弾いた2本は方向を変えられて、うち1本はもう一本とぶつかり合った。
最後の1本だけは避け様がなく、紫電の消えた草薙剣で受けたものの、刀身を伝った雷火の影響が
巴津火にも現れる。

「……っ!!がぁぁっ!!」

まだ傷の癒えていない巴津火は、ようやく立てている状態である。
剣を杖に上体を支えたががくりと膝を突き、全身にまとわりついた雷にそれでも干渉しようと
力を込める。
その身を害しようとする雷と、押さえ込もうとする巴津火の妖気が、しばしの間拮抗した。

大樹はたいまつのように燃え盛り、土の防護壁を炙っていた。
月が隠された今、その炎は辺りを明るく照らし、土壁の影は黒々と海面に落ちてゆれている。

 しゃくり

防護壁の一部が消えた。
何か、見えない顎に齧りとられたような綺麗な形に土壁は抉れている。

 ざくり

今度はもっと大きく抉れた。
しかし防護壁の中の3人からはまだ、海面に長く伸びた影の周りで泳ぐ、影鰐達の姿は見えないだろう。
影鰐は海に落ちた影を食むことで、その影の元を害するのだ。
このまま土壁が消えて火達磨になるのが先か、それとも影鰐に食われてしまうのが先だろうか。

682神代一派:2011/12/11(日) 00:01:10 ID:EK/9fLvc
>>681
「ふふ、有益に殺したところで、行為の正当化は図れないでしょう?
 蛇が蛙へと変えられるというこれほどの皮肉、
 やはり神でなければ到底できないような所業だと思います」

ジャッジアンリーゾナブルは思った以上の効果を発揮し、
巴津火を貫き切るという事を含めた成功を収める。

「くすくす、榊は、おそらく話すでしょうね。
 彼女はそういう存在なのです、これも僕の勝手な憶測ですが」

大樹炎上の一連の動作を終えて、農夫たちも完全アウェイな空間には緊迫していたのか、
ほんのわずかな間だけ安心してため息を付いていた。
しかし、その直後既に頭上の防護壁からは不可思議な音がし始める。

「おいおい、そんな妖怪いたのか?」
「ああ、いたぞそんなやつ!!特殊な条件下じゃ強敵だ!!
 名前は忘れたがな!!」
「やっぱりあたしがあいつ倒そうかな。ああでも先輩無視して頑張るのもおかしいし、
 得体のしれない相手できる程あたし派手なキャラじゃないし」

一様に反応をする三名たちは状況の悪化を把握した。
そして彼らは、懐をそれぞれ探り始め、あるものを取り出す。

「ふふ、今度は正式な手段を踏まえたうえで、全力で戦いましょう。
 巴津火さんが僕を救ってくれた因果という名の例で、
 今回は殺さなくても問題はありませんから」

すると彼らの全身が、あの黒い炎に全身を一瞬で包まれた。
転移の炎。それは竜宮の者たちがリアクションをする前に、彼らをどこかへ転移させるだろう。

しかし、例え神代のそれが高精度の術だったとしても、
今この空間に張られている潮の結界は、入る物拒まず去る者許さず。
絶対的な閉鎖を行なう結界から、彼らが逃げおうせることなど不可能な筈なのだ。
今もまだその結界が、有効のものであるならば、であるが。

「ふふ、さようなら。僕が言っても薄っぺらにしか思ってくれないでしょうが、
 本当に雨邑さんの事は、ごめんなさい」

結界は数人の力の行使によって保たれている。
だが、今では結界の主柱である雨邑は討たれ
神代が先ほど、巴津火へと飛んだ4本を除いた計8本が全て、結界の守り手の全ての心臓を射ぬき切ったのだ。
支柱たちを失った結界は脆くも効果を緩めることを強制され、
結果、神代たちはのうのうと、この場から消失することに成功した。

/僕はこれで落ちにさせてもらいます
/二日間絡みありがとうございました&ありがとうございました
 &雨邑さんはごめんなさいでした・・・

683巴津火『』:2011/12/11(日) 00:35:50 ID:3FBgi9l6
>>682
雷火は徐々に弱まりつつあるが、ダメージもあって巴津火は動けない。
神代達が去るのを止める手段もなく、雷火を打ち消しきるとともに力尽きて倒れた。

(雨邑…)

しかしこれで肩代わりした穂産姉妹の因果は漱ぎ終えたのだ。
かわりに雨邑の仇という因果を残されて、巴津火はただ泣いていた。

燃えつづけた大樹がついに焼け落ちて、巴津火の上へと崩れ落ちてこようとしたその時、
岩島に泳ぎよってきた赤えいの魚が跳ねて大波を起こし、炎を消して島を洗い流す。

波に流された巴津火を幾つもの手が受け止めると、海の中へと運んでいった。


//絡みありがとう御座いました&お疲れ様でした!

684:2011/12/17(土) 23:01:57 ID:BQ990e1A
しとしとと雨が降り注ぐ、寒い夜。
一人の少年は頭や体から血を流しながら山の中を歩いていた。

「くふふっ、あははっ、もうなんもやる気しない、あははは!!」

片方の手には不気味に光る剣を持ち。
それは目的も無くさまようゾンビのようなものだった。

685現人:2011/12/17(土) 23:09:18 ID:rRrCSwK.
>>684
「おいおい、なんか血なまぐさいと思ったら・・・」
唐突に現れる声と足音、少しずつだが近づいていく

「お前さん、大丈夫か?病院に行くことを勧めるが?」
その方向を見ると帽子を目が完全に隠れる程に深く被った青年がいた

686零なか:2011/12/17(土) 23:13:47 ID:BQ990e1A
>>685
「貴方でしたかぁ、どうしました?」

笑みをたやさずに、ゆっくりと現人へ近づいていく零。
それは以前に出会った時の物ではないのは直ぐに分かるはずだ。

「病院?なぜ私が?こんなにも楽しい気分は初めてですよー?くふっ?」

687現人:2011/12/17(土) 23:24:31 ID:rRrCSwK.
>>686
「どうしたもなにも、そりゃこっちの台詞だ」
頭をかりかりとかいて、若干の呆れ顔をしながら言う

「何を楽しんでるのかは知らんが、怪我治してからにしろ」
悪いことは言わんから、と付け加え傷を指差す

688零なか:2011/12/17(土) 23:29:15 ID:???
>>687
「痛くも無いのに治す必要がありますか?」

だが見るからに相当な出血量である。
案の定、零はばたりと倒れて気を失う。
だが、現人が激しく呼び起こせば、きっと意識は戻るはずである。

689現人:2011/12/17(土) 23:34:03 ID:rRrCSwK.
>>688
「痛い痛くないの問題じゃ・・・っておい!」
いきなり倒れた少年に駆け寄る

「言わんこっちゃない、おい!生きてるか!」
近づいて声をかけつつ薬やら包帯やらを取り出していく
しかしどうみても足りそうにはない

690零なか:2011/12/17(土) 23:38:52 ID:BQ990e1A
>>689
「……痛っ、あ、あれ?」

びくんと反応して意識を取り戻した零は、
先程のように狂気に満ち溢れたような雰囲気は全くなかった。
むしろ痛みを訴えかけ、傷口を手で抑えている。

「そ、そうだ。現人さん、前に会った約束、覚えてますか?
私の正体が何なのかと言うことを。」

691現人:2011/12/17(土) 23:47:29 ID:rRrCSwK.
>>690
「おう、起きたか?とりあえず応急措置するから動くな」
手早く出来る限りの治療を行う、しかしやはり十分とは言えない

「ん?あぁ、一応は覚えているが・・・」
その傷は大丈夫なのかと言いたげな顔をしている、半分隠れているけど

692零なか:2011/12/17(土) 23:59:11 ID:BQ990e1A
>>691
治療をしてくれる現人にぺこっと御礼をする。
現人の言うとおり、動かないようにじっとしている。

「私の正体は、ですね…。悪魔なんです。」

はぁっと一つ溜息をついて、再び口を開く。

「先程、現人さんが喋った私は私で、今、喋っているのも私なんです。
雰囲気がお互いに噛み合いませんが、両方とも私なのです。」

一つの個体にパラレルワールドの自分をもう一つ入れた、と言ったイメージだ。
個体は一つしかないが、中身は二人でお互いに意志を持つ、それが零である。

693現人:2011/12/18(日) 00:07:20 ID:rRrCSwK.
>>692
「よし、OKだ、完全に応急措置だから後でちゃんと病院に行くこと!」
一通り治療して、とりあえず一息

「ほぉ、お前さん悪魔なのか・・・」
へぇーと感心したように声を漏らす

「要するに二重人格ってやつだな」
うん、と納得したように頷き

694零なか:2011/12/18(日) 00:12:59 ID:BQ990e1A
>>693
「本当に申し訳ございません…。
もしよろしければ、私の家に来ませんか?
こんなところだと現人さんも風邪ひいちゃいますし…。」

おずおずと聞いてみる。
嫌われたりするんじゃないかと、不安だったりもする。
だが見るからにはそんなでもなく、内心ほっとしている。

「二重人格ですか…自分では制御効かなくて…。」

695現人:2011/12/18(日) 00:18:55 ID:rRrCSwK.
>>694
「お、いいのか?だったらお言葉に甘えさせて貰うぜ」
そんな内心の不安などいざ知らず、純粋にニカッと笑う

「お互いに意識があるのならどっちかがどっちかを制御できないなんて当たり前だと思うがな」
ふむ、と唸って

696零なか:2011/12/18(日) 00:30:57 ID:BQ990e1A
>>695
「では、案内しますね。」

山道を降りて、しばらく歩いた先にはマンションがある。
エレベーターを使って上までいけば、直ぐそこには零の部屋がある。
零はタオルを二枚ほど現人に手渡し、リビングへと向かった。
部屋にはテーブルとテレビ、ソファーなど、充実した家具が揃っている。

「現人さんって、その帽子の下はどうなってるのですか?」

そういえば、と思って聞いてみた。躊躇してない。

697現人:2011/12/18(日) 00:39:28 ID:rRrCSwK.
>>696
「お、ありがとうよ」
タオルを受け取り頭以外の水気を吸いとらせていく
よく見ると防水加工でもされているのか帽子は完全に水を弾いている

「ん?帽子の下?」
何故そんなことを聞くのかとでも言いたげな顔をする

「そりゃ普通に顔があるだけだが」
不思議そうな顔をしたまま答える、余談だが鼻と口は整っている

698零なか:2011/12/18(日) 00:44:25 ID:BQ990e1A
>>697
「え、いやでもその下が気になります。」

なぜに防水!と聞きたくなった。
それだけこの帽子が好きなのだろうか。
じぃっと現人を見て、ねだる様に言った。

「その帽子、取ってみてください、お願いします。」

699現人:2011/12/18(日) 00:50:00 ID:rRrCSwK.
>>698
「はっはっは、やだよ」
何故か笑いながら拒否、わけがわからない

「お前な人にはアイデンティティという物があってだな」
人じゃないけども、と付け加えながら語る

700零なか:2011/12/18(日) 00:55:37 ID:BQ990e1A
>>699
「はは、そうですよねってなんでぇ!!」

びしりと突っ込み!
普通なら見せてくれてもいいじゃん!!みたいな。

「まぁそうですよね…。残念です…。」

だがしつこく要求するほどの零でもない。
しょぼんとしつつもその件から話をひいた。

「はぁ、現人さんって面白いですね。」

701現人:2011/12/18(日) 01:00:19 ID:rRrCSwK.
>>700
「まぁ本当の話をすると、人前だと何故かはずれ無いんだこれが」
からからと笑いながらねたばらし、初めからそういえと

「面白いねぇ・・・意味合いによってどう返すか変わってくるが」

702零なか:2011/12/18(日) 01:05:48 ID:BQ990e1A
>>701
「ええっ……!?
ああ、いい意味でですよ。」

外れないとはくっついているからなのか?
凄く気になるところである。
現人に変な誤解をさせぬためにも、付け足しておいた。

「現人さん、今日は助かりました、ありがとうございます。
まだ雨は止みそうにないので、ゆっくりしていってくださいね。」ニコニコ

心からの御礼なのだろう。
現人に向けられた笑顔は天使のように清らかな物だった。

//ではこの辺で〆ますね。
遅くまで絡みありがとうございましたっ!

703現人:2011/12/18(日) 01:15:27 ID:rRrCSwK.
>>702
「OK、なら素直に喜ぶことにしよう」
やったぜ!と無駄なガッツポーズ

「おう、邪魔にならない程度に滞在させて貰うぜ」
ニカッと笑い頷く、雨がやめば恐らく気がつかないうちに去ってしまうだろう

//お疲れ様でした!&ありがとうございました!

704黒龍:2012/01/01(日) 23:20:03 ID:BQ990e1A
「油揚げ買ったし、飲み物買ったし、クラッカー買ったし。
後は武器を…って違うだろ俺!!

っはぁ、露希も零も結婚式がどうのって、俺一人じゃ行きにくいなァ。」

一人でノリ突っ込みしながら、重そうな袋を持って階段を上がっていく。
冬だと言うのに、夜の風がなぜか心地良い。
それに袂山を覆い尽くすかのような星空もまた良い。

やっとのことで階段を昇り終わり、ぜぇぜぇと息を上げる黒龍は
キョロキョロと辺りを見渡している。すこし挙動不審。

705四十萬陀 七生&狢奈:2012/01/01(日) 23:28:32 ID:???
>>704
「大丈夫?」

突然どこからか聞こえてくる声。
黒龍が辺りを見渡しても、その声の主は視界に映らないだろう。
なぜなら、声の主は黒い翼の雀であり、木の奥に隠れているからだ。

「こんばんはじゃん、お久し振りだね黒龍君!
 あけましておめでとうじゃんっ!」

ぱたぱたと草を分けて、一本の木から夜雀が飛び出した。
黒龍のことは、露奇から訃報を聞いてから一度も会っていなかったため、
不思議に思ったが……それよりも嬉しさが先行した。

「元気そうじゃん! 狢奈が会いたがってたよっ!」

ぜえはあしている黒龍の頭の上に着地し、つんつんと軽く突く。

706黒龍:2012/01/01(日) 23:41:44 ID:BQ990e1A
>>705
不意に聞きなれた声が聞こえて来た。

「おおっ!?」

いきなり飛び出してきた七生にびっくりし、ペタンと尻餅。
何がなんだか分からず、3秒程間が会ったが、すぐさま我に返って笑いだした。

「脅かすなよっ、あけおめっ!!

って、いててててt(ry」

ちょっぴり痛いらしいが、『狢奈』と言うワードが脳に入ると
先程以上に笑顔が輝いた。

今直ぐにでも会いたい、とでもいうように。

707四十萬陀 七生&狢奈:2012/01/01(日) 23:55:10 ID:???
>>706
「にゃはは、ごめんじゃん」

頭の上から飛び立つと、今度は地面に着地する。
何度か毛づくろいしてから、四十萬陀は面白そうにいった。

「そんなに会いたいじゃん?
 心配しなくても、もう黒龍君がきてることは送り妖怪中に――…」


「黒龍ーっ!」

ぼがー!
っと、地面から突然送り鼬が飛び出してきた。
そのまま、尻餅をついた黒龍に飛びつく。

「久し振りって!」

708黒龍:2012/01/02(月) 00:03:49 ID:BQ990e1A
>>707
「どええええーー!?」

あまりのことでペタンと再び尻餅。

「む…じな…?」

自分に飛びついて来る者の名前をゆっくりと言う。
つぅっと一筋の涙が零れると、自分よりも小さい狢奈を力いっぱい引き寄せた。

「ぐすっ、凄い会いたかったよ、ぐすっ、俺、俺ッ」

このままでは狢奈が押し潰されてしまうってくらいに強く。
もう二度と離すまい、とでもいうようにぎゅっと。

709四十萬陀 七生&狢奈:2012/01/02(月) 00:08:02 ID:???
>>708
「うわわ!? く、黒龍?
 大丈夫って……?」

抱きしめられ、あわあわとしながらも、

「……うん! 僕も会いたかったって!」

むぎゅー、と黒龍を小さな体で抱きしめ返す。
四十萬陀はそんな二人を見ながら、にこにことほほ笑んでいた。

(いやー、狢奈はいっつもことあるごとに黒龍君のこと話してたけど、
 この二人がこんなに仲良いなんて知らなかったじゃん)

710黒龍:2012/01/02(月) 00:15:16 ID:BQ990e1A
>>709
「元気そうだなッ、久しぶりに空飛ぶかっ?」

凄い微笑ましい光景である。
内心、ずっとこうしていたいのだが、
なんか変なオーラが漂っているような気がしてならない。

(寒気しかしない…なんだこれ。)

BでL、が大好きなお姉さま方にとってはもう素敵なry

711送り妖怪勢:2012/01/02(月) 00:26:43 ID:???
>>710
「「……」」ジー

「和戌、五月、何してるじゃん……?」

それを木の影から見守る送り雀と送り狼。
別にBでLが大好きなわけではない。微笑ましい光景を見ているだけである。
多分。

「久し振りだね、黒龍」
「あ、あんたらこんな所で抱き合ってなにしてんのよ!」

二匹がのそのそと表に出てきた。
なぜか五月が照れている。

712黒龍:2012/01/02(月) 00:35:17 ID:BQ990e1A
>>711
「ひぃっ!(腐女子!?)
え、あ、久しぶり。」

こういうのにも詳しいながらも、自分がまさか
腐女子に出くわすとは思いもしなかった。

ハァ、と一つ溜息一つをし、何を言い出すかと思えば。

「そうだ、見ての通りだ!
俺は狢奈が大好きなんだ、だからこうやってるだけなんだッ。
狢奈、俺なら…いいだろ?」☆ミ(ウインク)

ひとまず釣る!!腐女子を釣る!!
狢奈と見つめ合い、今にも危なげなことをしそうな黒龍。
本気ではないが、狢奈にはどう見えるか。
少なくとも、好感度下がるに違いない。

713送り妖怪勢:2012/01/02(月) 00:46:42 ID:???
>>712
「え、え……?? 黒龍どうしたって?」

狢奈は頭に「??」と疑問符を浮かべて首を傾げている。
五月はあわあわと口(というか嘴)をぱくぱくさせ、
和戌姉は深いため息をついて呆れている。

四十萬陀は狢奈と同じく状況が飲み込めていないようだ。

「え、えーと……とりあえず!
 黒龍君、何か用があってきたんじゃん?」

とりあえず話題を変えてみることにした。

714零なか:2012/01/02(月) 00:56:47 ID:BQ990e1A
>>713
「………………え。」

冷たい視線を注がれ、顔面真っ青。
下手に動いたあげく自爆である。

「ムジナ ゴメン」

頭に浮かんだ二言を並べ、ロボットのような謝り方。
もう、放っておけば、翌朝に袂山で首つってる奴でも出るんじゃないか。
しかし七生のフォローで少し元気を取り戻した。

「あ、ああそうそう!!
ほら、新年だからさ、露希と零と白龍のお参りだ。
皆ってお酒飲めるんだっけ?お祝いっつったら酒かと思って日本酒買って来た。」

取り出したビニール袋には透明な瓶と茶色の瓶、あわせて4本出て来た。
それからー、と付け足して油揚げやミカン、クラッカー(紐引っ張るとパーンってやつ)
などを取りだした。

「HAPPY NEW YEAR ♪」

715送り妖怪勢:2012/01/02(月) 01:11:06 ID:???
>>714
「「「「おー!」」」」

黒龍が酒瓶を取り出すと、一気に全員のテンションが上昇した。
さっそく仲間を呼ぼうとやんややんや騒いでいる。
送り妖怪たちも酒好きなようだ。

「はっぴーにゅーいやー? 何よそれ」
「新年あけましておめでとう、って意味じゃん」

英語の意味が解らない五月に、四十萬陀が解説する。

716零なか:2012/01/02(月) 01:18:35 ID:BQ990e1A
>>715
「〜♪(今年は皆、笑顔でいて欲しいな。俺の年だし。)」

鼻歌を歌いながら、ビニール袋をポケットにしまう。

「んじゃ、狢奈にも会えたことだし、俺は帰るかな。
ちょっくらやりたいことがあってな〜。
陽狐さんにもよろしく頼むぜ。」

人型だった体は形を変えて、気づけば巨大な黒い龍がそこに。
じゃあな、と言い放つと漆黒の翼をはためかせて飛び去った。

//この辺で区切りが良いので。
こちらの御希望聞いて下さってありがとうございました!
絡みお疲れ様でした。

717送り妖怪勢:2012/01/02(月) 01:22:33 ID:???
>>716
「おおお!」

黒い龍が目の前にあらわれた瞬間、狢奈の瞳がきらきらと輝く。
人型の時よりこちらの姿の方が好きなのだろうか……?

「もう行っちゃうじゃん?
 来てくれてありがとうじゃん! またね、黒龍くん」
「じゃあね! って!」
「また来なよ」「もう来るんじゃないわよ!」

四者四様の別れを口にし、黒龍が飛び立つのを見守った。

//ありがとうございました!

718???:2012/01/05(木) 23:27:21 ID:EK/9fLvc
なぜかあれ以来、坊ちゃんが単独で、
この街からは多少離れた土地のクニツカミを殲滅しに行った以来、
坊ちゃんの近くに誰かが居る時もそうでない時も、どこか全体的に溢れ出る感情を彼は抑えられていない。
普段なら力尽くの笑顔で、それら一切の哀愁は消し去ろうとしているのに、
坊ちゃんの性格にしては珍しく、隠す事もせずに悲哀を垂れ流していた。

一番最初にその事に気付いたのは、農夫であった。
それ故、彼らが何の脈絡もなくピクニックなぞを堪能している理由も、
この男が不意に提案をしたからであった。

「僕たちは使命を帯びているのです。こんな呑気な事をしている場合では」
「まあまあ、どんな英雄悪鬼だろうが歴史上、
 誰も生きる中で生き抜きなんてしてない奴なんて居ねえよ。
 今日は肩の力を抜いてぼーっと、してもいいじゃないか?」
「・・・。ふふ、そうですね。ではお言葉に甘えて」

確かに彼らは、よくある仲間意識を強く持った集団ではない(神代を除いて)。
しかし農夫は、坊ちゃんである自分のいわば棟梁に当たる人物が、
士気を失っている事実を良しとはできないのである、利己的な意味において。



人気のない、そして更に勿論のこと妖気も神気もない、
そんな山のある中腹で、彼らはレザーシートを引いていた。

719波洵:2012/01/05(木) 23:40:51 ID:tElbSrz.
>>718

「やぁ、ピクニックとは言い御身分だな」

 神経を逆撫でるようなおどろおどろしい貪欲の波長が辺りを支配した。
 形ばかりの息抜きに現れた招かれざる客・波洵。

「神代さー、私かなりムカついてるんだよね。
 10年かけてゆっくり再生するつもりだったのに無理に起こすようなことしやがって。
 おかげで貪欲は相手の特性までも写し取れなくなってしまった・・・。
 完全な妖怪どころかとんだ不完全羽化だ」

 ゆらり、と揺れる紫のパーカーコート。
 ミシミシと軋るような音を立て、手が刃物状に変化する。

「さてそういうわけで・・・、死んでほしいな。私の憂さ晴らしの為に!」

 跳躍とともに、神代の座る場所を鋭利な刃物が抉った。

720出世法螺:2012/01/05(木) 23:50:51 ID:3FBgi9l6
>>718-719
上空を赤く細長いものが小さくひらひらと舞っていた。
それは地上の禍々しい気配に気づくと、様子を伺いながらゆっくりと降りてくる。
次第に大きくなった姿は、尾の先に巨大な法螺貝を引っ掛けた赤い鱗の龍であった。
丁度これから天界へ、命を賭しての掛け合いに行くつもりだった、出世法螺のお累婆である。

降りてみれば、紫狂一の実力の持ち主が、丁度神代の一団に襲い掛かっているところなのだ。

(これはどうしたものかねぇ)

一方は巴津火の姉ながら弟妹と異なり、変質前の紫狂であり窮奇の実の娘、
他方は巴津火の仇とも言えるが友ともみなし得る相手である。

(戦えばどちらも酷く傷つくのは明白。
 数多の神格を擁く竜宮として見守るか、殿下に仕える立場として仲裁に入るべきか)

どう転んでも巴津火が泣く事になる。
手を出しあぐねて赤龍は、空からまず様子を伺うことにした。

721???:2012/01/05(木) 23:58:30 ID:EK/9fLvc
>>719
農夫が不遜な下心を潜ませている事実を知らない神代は、
同じく事実を知らない包帯男の作ったお弁当をつつきながら、静かながらも意気揚々と景色を眺めていた。
だが、突然空が機嫌を損ねたかのように、
神代たちの毛嫌いをする気配がこの空間に割り込み、彼らの顔つきは変わった。

「・・・あれは誰だ?坊ちゃんの因縁にしちゃあ、
 随分と筋の通ってない役者じゃないか?」
「ふふ、以前に、僕が射殺した抜け目のない女の子が居たでしょう?
 彼女のお姉さんです」

座ったままながらも訝しげな視線を招かれざる客に飛ばす農夫は、
隣で淡々と事情を説明する神代の言葉を聞いて、
やれやれとでもいうように深く、そして気だるいため息をついた。

「くすくす女の子は、まさかそんな事になるとは思っていませんでしたが、生き返ってますけどね」
「なんじゃそら。もはや因果も何にもないやつに絡まれるなんざ、
 流石坊ちゃんってところか?

 おい、そこの嬢ちゃん。
 おら達は色々先客で予約が一杯一杯なんだ、後にしてくれねえか?」

>>720
「そんな話をしてたら新しく来たぞ!!これもまた強そうだな!!
 皆そんなにピクニック好きか!!」

少し張りつめた空気の中であっても、包帯男は目ざとく、
端で眺めて部外にいる筈の出世法螺にも叫び呼びかけ手を振っていた。
その余りにもな暢気さに、
隣にいる農夫はまたもや深くため息をつく

722波洵:2012/01/06(金) 00:08:45 ID:tElbSrz.
>>720>>721

「因果とかゴタゴタとそんな下らない事ばっかり考えてるから何も作り出せないんだよぉ!」

 グシャリ、と丹精込めて作られたであろう弁当を踏み潰しながら波洵は続ける。

「ま、いいか。私がここに来た本当の所は別の意味があってね」

 波洵は嫌らしい笑みを浮かべながら片腕を鎌状に変化させる。

「君達は放っておけばいずれ私の弟や妹たちと殺し合いを始めることになるだろう。
 可愛い下の子たちが血を浴びるより、嫌われ者の私が汚れ役を引き受けてあげた方がお互いに楽だと思ってね」

 しゃべりながらにして、大鎌を全員の喉元へ振りぬく。
 波洵は空を見上げ、赤龍を指さす。

「そこの、巴津火は呼ぶなよ。それじゃあ私が来た意味がないからな」

723出世法螺:2012/01/06(金) 00:17:12 ID:3FBgi9l6
>>721-722
包帯男の暢気さは、今回良いほうに働いたらしい。
というのも話し合いのできる相手が居るらしいと、出世法螺に判断させたからである。

「この、よぼよぼの老体が強そうに見えるのかい?」

降りてきた赤い龍は確かに年老いていた。
角は先が欠け、牙は黄ばみ、身体のあちこちに古い傷跡がある。

「あの子は来ませんよ。今はね」

とん、と地に降り立った赤い龍は、法螺貝を手にした老婆となった。
真っ白な髪をきっちり纏めた老婆は、波洵の言葉に穏やかに答える。

(殿下が留守のうちに天界へねじ込むつもりだったけれど、どうやらそうも行かないようだ)

「私もお邪魔するつもりではなくて、偶然通りがかったのですよ、姉姫さま」

724???:2012/01/06(金) 00:26:15 ID:EK/9fLvc
>>722
「くすくす、因果を知らなくても何かを作り出せるのは、あなたの能力だけでしょ?」

絶叫を上げる包帯男をほっておいて、神代は笑みを波旬に向ける。
ピクニックを邪魔された事に心が動いた様子は無いが、
能力の超越性にほだされた彼女が因果を知ったように話す事実には、多少感じる物があったらしい。

「なんだ、結構真っ当な、ていうか真面目な理由があんのか。
 ならしゃあねえ、殺し合おうか」

取りあえず刃を交わした彼らは、包帯男を除いて全員が波旬を見つめる形になる。
納得がいったのか軽快な笑顔を浮かべて、
農夫は中指を波旬に向けて立て宣戦布告の受理をした。

>>723
「強そうだぞ!!というか雰囲気が!!
 俺と言うやつはオーラのある奴に弱い!!」

同じく鎌の脅威を回避したばかりだというのに、
まったく意識を波旬に向ける事をしない包帯男は、腕を組んで自分の言葉に同調し頷いている。

「てかお前は誰だ!!なんだ、やっぱりピクニックしたいのか!!
 でも残念!!弁当はぐちゃぐちゃだ、・・・・ぐちゃぐちゃだぞ!!!!!」

警戒心が無いのであろうか、見ず知らずどころか敵対する筈の彼女の下に、
包帯男はまだ生き残っていたお菓子を入れる袋を持参しながら近づいた。

725波洵:2012/01/06(金) 00:38:08 ID:tElbSrz.
>>723-724

「逆だよ、因果だのなんだのがないと何も作り出せないのはお前らだけだろ?」

 波洵は軽くいなした様に見据えて鼻で息をつく。
 出世法螺の方を見て話していく。

「ところで竜宮、お前らもずいぶんめんどくさい事やろうとしているねー」

 ヘラヘラと笑いを上げて、波洵が高らかに言う。

「ばぁーっかじゃないの! こんなくだらねー奴等のやったことの為に天界が動くわけないじゃん!!
 なんでお前らはそんなに天界に支払いをさせることに拘るかなぁ−?
 こいつ等がさっさと意志も無く死ねば全部解決する話なのにさぁ!!」

 波洵は嘲笑する。
 神代一派の意志もやることも全て。

「お前等は今ここで死ぬんだよ!
 何も残せないまま! 何も作り出せぬまま!
 馬鹿な生涯を悔いながらここで理由もなくね!!」

726出世法螺:2012/01/06(金) 00:48:27 ID:3FBgi9l6
>>724-725
波洵の最もな問いかけに、累は老獪な笑みを浮かべて答えた。

「私どもは私どもで、天界に交渉したいことがございましてね。
 今回の件も、その口実に使わせてもらうまでなのですよ」

竜宮としては伊吹と同様巴津火にも、風伯としての力を天界に許可してもらいたいのだ。
雨師として雨を呼ぶことは出来ても、台風を動かす風の力が巴津火には無く、
伊吹の没後それを補いうるだけの数の龍族が、今の竜宮にはない。

そして、出世法螺としては農夫と波洵の戦いならば邪魔するつもりは無い。
包帯男も参戦するようすがないので、お累婆はそちらに問いかけることにした。

「累と申します。私は竜宮で雨師の育成と、成り上がりの龍の束ね役をしておりましてね。
 さして偉い神格ってわけでもない、せいぜい昔話を知っているだけの年寄りですわ」

神代と竜宮は敵対するが、包帯男と累の個人同士には、敵対する理由はまだ無い。

「そして、あなたは?」

自己紹介したお累婆さんは、包帯男にも名乗るよう促した。

727???:2012/01/06(金) 01:01:11 ID:EK/9fLvc
>>725
途中から半分離脱した状態の包帯男はともかくとして、
神代、農夫、落ち着きのない女達は波旬の罵声を全身にかぶっていた。

幼いころから嘲笑、罵倒、あらゆる悪意をこうむってきた神代であっても、
窮奇の力を微力ながらも継承する波旬の言葉で動揺は隠せず、
笑顔とは対照的に、神代の両手は何かをこらえるように固く握りしめられていた。

「実をいうとな、これがまたお前の言う通りなんだよな。
 おら達が死にゃあ、全部が全部丸く収まるんだよ」

しかし、まるで白と黒の対照のように、
農夫と彼女の反応は、波旬の言葉に対してまったくもっての動揺は無かった。
むしろ、何度も聞いて終には飽きてしまった説教を聞いているようでもあった。

「おら達はずっと前から、何にも作り出せてねえよ。多分これからもな。
 作ったそばから、おら達は踏みにじらていってたんだからな。
 それに、何も残すつもりもねえ。
 唯でさえおら達は最大級の不名誉を後世に残しちまってんだ。

 だがな娘っ子、おら達は死ぬ気はねえぞ?」

一派の一番槍は、農夫は引き受ける事になった。
小手調べとして、数本の電柱ほどな太さの樹木が波旬の足元から発生して、
それら全てがしなり、鞭のような形状で波旬に襲いかかった。

>>726
「でもあれだろ!!育ててるってのは偉い事だぞ!!
 ネグレクトは最低だからな!!」

どうやら農夫の一番槍にも気づいていないらしい。
包帯越しでも分かるはつらつさを発散しながらガンガンと彼女に話しかけている。
そしてついに話の流れで、包帯男の素性を疑い知る質問が繰り出された。

しばらく答えようか悩んでいるのか、
首を傾げて小さな声で呻いていたが、最後は柏手をパンと打って話始める。

「答えてやる!!俺はな、名前はない!!
 生まれて名づけられる前に捨てられているからな、申し訳ないが紹介する名前がないんだ!!」

728波洵:2012/01/06(金) 01:12:06 ID:tElbSrz.
>>726>>727

「はっ! これがどうした?」

 特性を写し取るという絶対的な力を失ったとはいえ、
 彼女は大妖怪・天魔波洵。

「貪欲で! テメー等の攻撃の方向なんて!
 手に取るようにわかるんだよっ!!」

 撓る丸太の鞭をスラリ、スラリと水中の魚のような動きで潜り抜け。
 懐に現れる嘲りの表情。

「まず一人!」

 鋼鉄の拳が農夫の顔面を捉えた。

「やぁーっぱり、全然恐くないなぁー。何も欲しがらない奴らはさぁ!」

 貪欲も逆心も心を捉える特性。
 その中に潜む想いが小さいほど、あっさりと手のひらに収まってしまうのだ。

「絶望! 失望! 捻くれ! そんな気持ちは紫狂で飽きるほど見てきた!!
 どーしようもない奴等が、くすぶった気持ちのまま動き回っても茶番にしか見えないね!!」

 法螺の方を見て、納得したような波洵。

「ふぅん、なかなかどうしてお前らも貪欲だねぇ!」

 ニタリと笑う波洵。

「いつか竜宮も乗っ取ってみたいなぁ!!」

 尽きぬ欲望、それへとひたすら突き進む情熱。
 波洵の恐ろしさはここにあった。

729出世法螺:2012/01/06(金) 01:25:23 ID:3FBgi9l6
>>727-728
「名が無いなら、これまでずっと何と呼ばれてきたんです?
 出会う人にどんな言葉でご自身の説明をしてきたのかしら」

戦いの傍らで、試合を楽しむかのように観ながら、累は包帯男を己が気で包もうとする。
尖ったものでもその形に添うように受け止め、優しくなでるうちに真珠層で包み丸くしてしまう、
貝独特の穏やかな平和ボケの気配であった。

化け物であり神格でもある者の多い竜宮で、皆が無駄に争うことなく穏やかに過ごさせる方便としての
もてなしが発達したのは、累のような貝族のお陰かもしれない。

「姉姫様がいらっしゃったら、殿下も喜ぶことでしょうね。お待ちしておりますよ」

累の穏やかさは、波洵に対しても同様に発揮された。

730???:2012/01/06(金) 01:35:50 ID:EK/9fLvc
>>728
小手調べだったとしても、明らかに手を抜きすぎていたようで、
何の労力もなくそれらはかわされ、空振りさせられ、役を果たせなかった。
避ける動作もしていない農夫は思いっきりな一撃を、顎に食らってしまう。
衝撃によって体は宙を舞い、しばらくの時間を置いて数歩後ろへと吹き飛ばされた。

「あー、うん痛いなそれ。
 やっぱお前も結構強いんだな、あの女の子のお姉さんなだけあって」

受け身も取らずにべしゃっと地面で音を鳴らした農夫は、
一撃をくらった顎を労わって手で押さえながら、ゆっくりと立ち上がった。
打撃が聞いている様子は無く、立つ姿にダメージはあまり窺えていない。

「おらは何にもいらねえよ。
 作ったところで、耕したところで、植えたところで、おらはなんの収穫も許されねえ。
 待てども暮らせども欲しい物が手に入らねえとな、
 欲しかった気持ちも心が自分を守ろうとしているんだろうな、欲しいという気持ちすら手に入らなくなんだ」

今度はある程度、というかちゃんと攻撃をしよう、
そんな事を顎の痛みで決心しながら、農家はまた次の動作に移る。
とは言ってもそれは、動作に移る、というよりも、
動作をしない動作に移る、と言った方が正しいのかもしれない。

「やっぱり土は良いよな?」

何故なら彼は、突然首だけを地面から出して、それ以外は地中に埋まってしまったからだ。

>>729
「だから俺はいつも"おい"とか"おまえ"とかで呼ばれていたぞ?
 俺はなんでもないからな!!説明する内容もないから不便はしなかったな!!」

であるならばこの包帯男はまんまと、
出世法螺の作り出す空間に首まですっぽりと使ってしまっているらしい。
口に指をあてる子供のような仕草で考え込む事まで始めた彼は、
むしろ彼女に疑問がわいたのか、とある質問をした。

731???:2012/01/06(金) 01:40:33 ID:EK/9fLvc
>>730
//包帯男は質問をしてませんでした
//なので下二行は無かったことにしてください

732波洵:2012/01/06(金) 01:41:32 ID:tElbSrz.
>>729>>730

「はっ、意味わかんないね。
 何も求めないならなんでこんな愚図と行動を共にする?」

 波洵は神代を指さし、やはり嘲る。

「そもそも力があるくせに何も許されないとかお前らの考えは全く理解できないね!
 力がなくて許されないならまだわかるが、力があるなら許さない奴をねじ伏せればいいだけなのにさぁ!」

 単純な波洵は言葉をつなぐ。
 農夫の埋まった姿を見て、声をあげて笑う。

「あっはっはっはっは! 私はどっちかっていうと空の方が好きだなぁ!」

733出世法螺:2012/01/06(金) 02:02:31 ID:3FBgi9l6
>>730-733
(姉姫様もただ神代を叩き潰す気は無く、対話を交えるつもりのようだ)

波洵は波洵のやり方で神代の件を処理しようとしていることを
やり取りの中から感じ取った出世法螺は、幾分安堵した。
巴津火を預かることになってから、紫狂という存在への理解と
ある種の信頼が生じていなかったら、おそらく累もここで戦うことになっていただろう。

(案外、上手く物事は収まるかもしれないね)

後は神代次第である。

「それなら、ご自分が何と呼ばれたいか、考えておいて下さいな。
 今は名無しの権兵衛さん、またいつか」

平和ボケに包んだ包帯男をそこへ残し、累は再び赤龍の姿で空を泳ぐ。

「姉姫様も、どうかご無理なさらずに」

赤い龍は法螺貝の中から一塊の五色の雲を噴くと、それを波洵の護りに残して
空を駆けて行った。
必要となれば一度だけ、雲は波洵に従いその身を何処へでも運ぶことだろう。

734???:2012/01/06(金) 02:08:37 ID:EK/9fLvc
>>732
片や強大な力を持って、更には禍々しい気配を辺りに漂わしていて、
片や体の9割は地面に埋まってしまい、どちらかというと刑罰を喰らっているような状態で、
そんな彼らが威風堂々と対面する様は、限りなく珍妙で滑稽であった。

「そりゃあおら達だって坊ちゃんに負けず劣らず愚図だからな。
 おらは、いや広く括っておら達はどうしようもなく愚図だからな。
 自由に動き回る事も出来ずに、今も終始の分からん復讐劇を繰り広げるくらいだ」

これだけ真面目に語っても、隣の女性が居た堪れなくなって目を逸らすだけである。
だが、確実に農夫はこの状態に至って、とても幸せそうにしている。
それはきっと、彼が地面を愛しているからなのだろう。

「お前とは違って、おら達は最初無力だったんだぞ?
 だから許されなかった、神はいつだって正しく天に鎮座ましましているからな。

 それと、意外とお前はおら達の事を理解してくれてんだな。
 おら達はお前の言ったその言葉を主義にして、今こうしてここにいるんだよ。
 神を皆殺しにするためにな」

そして術は開始した。
最初の動きとして一切の前触れもなく、全員の立つ大地が大きく震え始めた。
まるで共鳴でもしているかのように低く鈍い音を発する地面は徐々に、
特に波旬を起点として亀裂が入り、瞬く間にその亀裂は広がって地割れを起こし始めた。

すぐさまに奈落の谷になった地割れに呑みこまれてしまえば、あっさりと彼女は土に埋められ圧殺されてしまうだろう。

>>733
「俺は"お前"だけでいいぞ!!名前なんて多分覚えにくいし!!
 なにより何もない俺が名を冠するなんて耐えられん!!」

大地の鳴動が起き始め、流石の包帯男も反応を示した。
だが彼の元へはその亀裂は走っていないらしく、身の安全を確認した彼は、
すぐさま顔を彼女に向けて、限りなく暢気な調子で別れを告げ手を振っていた。

735波洵:2012/01/06(金) 02:29:08 ID:tElbSrz.
>>733>>734

「いーや理解してないさ、なぜなら私はもう“持っている側”だから」

 メキメキ、と翼が背中から延び。
 波洵の体を地面無き空中で支える。

「殺す為か、じゃあ殺した後はどうする?
 殺す事が出来れば、お前らは何か手に入れられるか。
 身を焼くほどに殺したい相手が居なくなったらそりゃあつまらないよ」

 波洵が語る想いの欠片。

「まったく、なんで私が殺す前に死んじゃうんだか・・・」

 翼はゴキゴキと形を変え、波洵の真の姿へと変わっていく。

「理解したよ。お前等のつまらなーくて、くだらなーい復讐劇にはやはり可愛い弟や妹は巻きこめない!
 お望み通り、お前は土に還してやるよ!!」


 変化・天魔雄神――!!


 波洵は原型を現す。
 スサノオの悪面の権化と謂われる女神・天魔雄神。
 六芒星の刻まれた装束をはためかせ、降り立つ九天の主。

「いくら欲せどこの世に星を落とす魔法はなく。
 天を貫く槍も無い・・・神の皆殺しなどできはせぬ。
 お前等が見たのは下賤な夢だ。覚ましてやるよ、この彩りを持って!!」

 天の主は空をかける。
 泥にまみれた土の剣は、空には届かなかった・・・。

 農夫の眼前に、射ち落される巨大な六芒星。
 それは空を夢見た木を砕き、土に埋めるだろう。


    【星を落とす魔法・金剛惑星】

736???:2012/01/06(金) 02:58:38 ID:EK/9fLvc
>>735
「神を殺したりなんかしたら、そりゃあ世界は滅茶苦茶だろうな。
 第一復讐なんて、遂げた達成感以外なんにもないんだ
 殺したところで奪われた物が戻ってくるわけじゃねえ、何も変わらねえ

 だからおら達は何も要らねえんだ。空虚の終わりを慰めてくれる報酬もねえからな
 神を絶滅させれればおら達はそれで良い。

 それでおら達の終わりも続きも後も無くても、それでも良い」

復讐を行なう罪など知らない、遂げる難易度など知らない、
遂げた後も知らない、しかし、彼らは止まれないのだ。
この悠久の時を超えてもまだ燻り続けるこの底のない怨恨の念は、
絶えず自分の身も心も焼いて燃料にして全身を続けるのだ。

言い切った農夫の頭上から降るのは、彼のもっとも嫌う天からの攻撃であった。
限りない力を持って落下するその印は、地割れを含めた彼の頭上である。

「それでもおら達は手を伸ばすんだよ、どうしようもなくな。
 現に人は、その意思で神だけの世界だった筈の天に、鋼の槍を貫通させたじゃねえか」

彼が地面と体を同一にしたのは、なにも地割れなどを起こす為ではない。
地震はむしろ予兆、これが起こる前触れの現象でしかない。

【ザ・サードデイ】

そして大地はまたもや鈍く低く震え始める。
なにかの産声のように響くその轟音とともに、波旬の足元にも通っている複数の巨大な地割れからそれは生まれた。
突然、何かの堰を切ったかのようにその地割れたちから、
あらゆる大樹、草、樹々がまるで木々の洪水のように溢れだし発生し始めた。
それこそ神が樹海を作り出したあの時のような、もはや神聖な程に膨大な木々が成長を続け、
その夥しい程の量と硬度を以って、彼女の六芒星はやすやすと濁流に呑まれて消えていった。

だが勢いはそれで止まらずに、より成長の早い先端部分が、
それでも大川の川幅ほどもあるそれらが波旬に襲いかかる。

737波洵:2012/01/06(金) 03:08:12 ID:tElbSrz.
>>736

「おとと・・・」

 緑の洪水に、立っている場所がよろめく。
 トントンと駆け上がり、空中を駆ける。

「面倒なことになったね」

 地割れを起こしそこから植物を氾濫させるとは。

「これが止められるとは・・・まずいね」

 波洵の姿が揺らぎ始める。
 不完全羽化での原型への変化は身体に凄まじい負荷がかかる・・・。
 もとより長持ちはしなかった。

「ここは退散させてもらうよ、まったく一人も潰せないとはとんだ予想外だ」

 波洵はそのまま背を向け、退散しようとした。

738???:2012/01/06(金) 03:23:11 ID:EK/9fLvc
>>737
絶えずおぞましいほどの成長を続ける激流は今も蠢き、
退散を始めようとする波旬に対してまったくの容赦もなく向かっていた。
しかし

「なんだもう止めんのか。
 さんざ言いながらお前はまだ、終える事の出来ない激情まではもっていないんだな。
 まあ持ってどうのこうのってわけでもねえが」

今までまるで、無機質に全てを飲み込む濁流のようであった木々たちの、
成長によって増えていく攻撃範囲が、一瞬にして終了して動かなくなった。
この技は全てを飲み込もうとする異常な物であるが、
それでもまだこれは、地面と同化した彼の完全な支配下に置かれているのだ。

「おら達をなめねえほうがいいぞ。
 言葉で踏み止まれるほど、おら達の年月は短くはねえからな」

戦闘をする気のないらしい農夫は技を停止させたらしく、
波旬は易々と、撤退を置こう名う事が出来るだろう。

739波洵:2012/01/06(金) 22:15:17 ID:tElbSrz.
>>736

「!?」

 突然の反撃に天魔雄神となった波洵は、
 にべもなくその緑の濁流に飲み込まれる。

 轟々と入り乱れる狂植物の氾濫にその場一帯は緑の爆心地と化した。


 静かな、静かな時間が訪れた。
 先ほどまでの殺気に満ちた空間は跡形もなく、
 ただ成長を終えた植物たちが凄然と揺らめいていた。

740???:2012/01/06(金) 22:24:24 ID:EK/9fLvc
>>739
「・・・さて」

術も、波旬の反応が見られないことから停止をして、
一段落とばかりに未だ地面に潜ったままの農夫は深くため息をついた。
以前にも彼らはこの力を見ていたのか、これと言って驚く素振りは見えず、
首だけをこちらに振り向かせる農夫の意図を把握して、包帯男がゆっくりと歩みよった。

「なんだか俺が言うのもあれだが!!最初はカッコいいのにいつも最後ぐずぐずだな!!
 仲間がいなかったらどうするつもりなんだろうな、この要介護者!!」
「こればっかりは反論できねえな。
 でもまあよく考えてみろ?あれだけの術を発動するんだぞ、
 反動でこの後動けなくなんのも仕方ねえ事じゃねえか?」

その場にしゃがんだ包帯男は、少しの間農夫の首周りの土を掘り返してから、
彼の肩を掘り起こして引っ張った。
絶大な力を持つこの技には、しばらくの間戦闘不能になるデメリットがあるのだ。

741波洵・植物:2012/01/06(金) 22:33:28 ID:tElbSrz.
>>740

 夜の寒風に吹かれ、木々がさやさやと音を立てる。
 凄然と生い上がった緑の残骸は寒空に悲しく泣いているようだった。

 いや、この音。
 一定間隔で・・・近づいてくる?


「隙み〜〜〜っけぇ! あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」


 突然間近に生えていた大木が狂気の表情へと豹変し、
 ギラギラと星明りに煌めく凶刃が農夫へと振り下ろされる。

 植物へと変化した波洵が、すぐ間近まで迫ってきていた。

742???:2012/01/06(金) 22:46:09 ID:EK/9fLvc
>>741
仲間に掘り出されながらも農夫は、戦闘を終えた時の言い知れぬ疲労感と共に、
目の前の樹木が役目を終えて風になびく音を聞き多少の感慨に浸っていた。
しかし、曲がりなりにも植物の力を行使する為に、
一般の者では到底判別のできない微妙な違和感を彼同時に感じ取る。

「これでも死なねえと、しぶといなんて物じゃねえぞ」

ぼそっと呟く農夫の姿を見て、事情を理解できていない包帯男は首をかしげる。
しかし、その理由は直ぐに彼も知る事となった。

「おお!?おまえ何でも変化できるカメレオンだったのか!?
 すごい羨ましいな!!」

農夫は先ほどの反動で身動きが取れない。
であるならば、と包帯男はすぐさまに二人の間に立つ。
そして右手の包帯を緩め始め、波旬の刃が彼らに到達すると、
彼はそこから飛び出した獣の爪で彼女の一撃を防いだ。

743波洵:2012/01/06(金) 22:57:24 ID:tElbSrz.
>>742

「あん? 次はお前か」

 弾かれた凶刃を振り戻し、
 大樹からズルリと這い出すように波洵の人の姿が現れる。

「その通り、私は誰にもなれる。
 誰かになることで誰の幸福でも享受できる。
 残念ながら“私自身”には長時間なれないけどね」

 顔には天魔雄神の文様が未だに消えていなかった。
 不完全羽化の状態で原型の力を振うのは負担がかかるようだ。

「・・・つまんねー奴だなー、お前!
 せっかくだからお前の愛しい者の顔にでもなってやろうと思ったのに、
 お前の心の中には誰も居ないじゃないか」

 波洵の足がギロチンのようにギラギラと輝き、
 風を切る音と共に包帯男の方へと振りかぶられる!

744???:2012/01/06(金) 23:12:08 ID:EK/9fLvc
>>743
「そうだ俺だ!!ぶっちゃけていうとコイツほど強くないがな!!
 イケメン度では俺が圧勝しているぞ!!」
「定番のボケだけどな、そう言うのは包帯取ってからにしろよ?」

武器である爪を使うために一度解かれてから、
彼の全身を満遍なく覆っていた白い包帯ははらりと、それぞれが緩んで解けそうになった。

「気遣いを不意にしてスマンな!!でもこればっかりはどうしようもない!!
 俺は坊ちゃんとも違って慕う両親がいないからな」

彼も戦闘態勢になったのだろう、一気にその緩んだ包帯を剥ぎ取り脱ぎ捨て、
包帯にいつも包まれていた姿を外に晒した。
その姿は、強烈なまでに異様であった。

頭は猩々であるにも関らず、毛におおわれた首から下は虎のソレ。
いうなればキマイラである彼は、瞳孔に獰猛な光りを放っている。
そして、外からでも感じれる程の獰猛さは伊達ではなく、
野生の獣並み、いやそれ以上の俊敏なフットワークでそれらを回避した。

瞬間爪をくぐりぬけて波旬へ更に急接近した彼は、
攻撃を終えて少しの隙を見せる彼女の顔へ、右の詰めを大きく振りかぶって引き裂こうとする。

745波洵:2012/01/06(金) 23:26:35 ID:tElbSrz.
>>744

「ちっ!」

 波洵の背中から石英の翼が突如生え、閃撃から身を守る。
 石の翼はガリガリと音を立て、4本の傷が残された。

(屈辱だ、元とはいえあの女の体に変化させられるなんて・・・!!)

 波洵がとっさに思い浮かんだ身を守るものがこれだった。
 野生そのものであるキマイラの連撃に息つく間もなく守りで手一杯にされてしまう。

「このっ! ケダモノがぁ!!」

 右手を巨大な骸骨に変化させ、
 キマイラの眼前を覆い尽くすように掴み掛る。

746???:2012/01/06(金) 23:37:28 ID:EK/9fLvc
>>745
「坊ちゃん!!農夫!!ここは何も言わず退散してくれ!!」

変容した彼女の片腕が彼に襲いかかるまでの少しの間に、
彼は仲間の方を振り返り、渾身の大声で彼らに撤退を促そうとした。
反撃や防御をせずに仲間を慮ったことで、
先ほどまで回避していた波旬の手を避ける事は出来ずに、顔面を大きく包んで掴まれてしまう。

「言われなくても逃げるわ。ここがお前望んだ場所だろうからな」
「くすくす、僕達だってあなたに敵もろとも口尽くされるなんて御免ですから」

なんとか農夫の回収に成功した神代は、
最後に彼の隣に女性が取り残されている事を確認してから、颯爽と撤退してしまった。

747???:2012/01/06(金) 23:43:27 ID:EK/9fLvc
>>746
訂正です
口尽くされる×
喰い尽くされる○

748波洵:2012/01/06(金) 23:46:44 ID:tElbSrz.
>>746

「・・・」

 貪欲で彼の心を見透かしていた波洵は目を細める。
 骨が軋りながらキマイラの頭部を締め付けた。

「馬鹿な奴」

 捻じ切れて手の付けようもないほど腐敗した心を持つ神代や、
 純朴な仮面の裏に、残忍な下心と身を焼くような炎を持つ農夫とは異なり。

 唯一真っ直ぐで、仲間意識のようなものを持った・・・救いようのある心だった。

「馬鹿な奴」

 もう1つ波洵はそう呟くと、左手を研ぎ澄ませ、心臓部を目がけて撃ち放った。

 だがまだ何か企んでいるようだな、これで終わりじゃあないようだ。
 見せてもらおうじゃないか。

749???:2012/01/06(金) 23:58:30 ID:EK/9fLvc
>>748
「二度も言う事は無いだろ!!俺も頭が足りない事は把握しているぞ!!
 でもここだけは逃げる選択肢を選ぶことは出来ないんでな!!」

近くにいるというのにあいも変わらずな大声で答えた彼のその胸へと、
波旬の容赦のない一撃は放たれる。
しかし、その一閃は彼の胸の数センチ前まで前進しただけで止められてしまう。

だが止めたのは彼ではない。
まるで庇うようにして間に割り込んだ、先ほどまで一言も言葉を発していない彼女であった。

「いや、こんなカッコいい登場で防いでもアンタがこれからする事になんら、
 微塵も影響は与えないのは分かってるんだけどさ・・・
 でもやっぱ脊髄反射でとめちゃうよね、偉そうな事言って申し訳ないけど」
「いや気持ちは十分理解しているぞ!!なによりもこれはお前の体でもあるからな!!
 それに、これからどうせ死ぬんだからと、一回ぐらい目立ってみたかったんだよな!!
 俺の愛おしい胴体よ!!」

胸は波旬によって一突きにされ、そこからは血が止めどなく流れていた。
そして庇われた彼はなおも大声で彼女を労わり、
頭から彼女を喰らった。

750波洵:2012/01/07(土) 00:11:57 ID:tElbSrz.
>>749

「なんだ・・・、こいつ!」

 止められた刺突。
 割り込まれた突然のイレギュラー。

 突然のことに混乱する波洵だが、
 やがて心を読み取り全てを悟る。

「そういうことか・・・、面倒な・・・!」

 ガツガツと“分離した自分”を貪る光景に奥歯をキリリと噛んで見守る。

「どーせ死ぬ・・・か、死に場を求めていたって訳ね。
 ・・・下らない。下らないな、全くもって下らない」

 それを見つめる波洵の目はどこか物悲しそうだった。

「いーよ、かかってこい。そんなに死にたいんならお望み通り殺してやるよ」

 波洵は再び全身の骨格を変えるような変化をする。
 その果てに行き着く姿は・・・。

751???:2012/01/07(土) 00:22:39 ID:EK/9fLvc
>>750
ぐちゃ、ばりっ、
と、肉や骨を牙で咀嚼する嫌な音がこの場に響き渡る。
頭部は一口で飲まれた為に彼女は即死し呻くような声は無く、
数秒で唯の肉塊となった女性の体を、しばらく彼は何も言わずに貪り続けた。

「またせたな!!目の前でこんな酷い事をしてしまって申し訳ないとは思っている!!
 だがこれ以外手段はなくてな!!」

全てを食い尽くして、彼女の体は一欠けらたりとも後には残っていない。
むくっと顔を上げた彼の体に、その途端変化が始まる。

「でも悪いが、もう少し待ってもらうぞ!!シッポの部分の奴が以前死んでしまってな!!
 今代わりを体に吸収するところだ!!」

肉や骨が突然変化を始める為に発生する水気の含んだ音を立てて、
終に彼の胴体に当たる部分は、狸のそれに変化した。
そして次の動作としてどこからか取り出された物は、蛇の鱗である。
彼は波旬に一言告げてから、それを一飲みにする。

「作業はこれで終了!!取りあえずはこれが俺のフルスタイルだ!!
 さっそく戦闘に戻っても良いぞ!!」

そして生えるは蛇の尾。
しかしそれは一匹などではなく、まるで不死鳥の尾羽のように百を超える大群であった。

752波洵ver窮奇:2012/01/07(土) 00:34:20 ID:tElbSrz.
>>751

「よっと、こっちも準備OKだ」

 波洵が変化したのは、なんてことはない。
 彼女の人間形態が少し大人になった姿。

「この姿に深い意味はないよ、ただ」

 ニヤッと、少女の頃よりも数倍は毒々しい笑みを浮かべる。

「お前が榊よりも先にコイツに会ってたら、
 もう少しマシな死に場所が得られたのにねっていう皮肉だ」

 両手には六芒星の魔方陣が浮かび上がる。
 二の句を告げず、波洵は駆け出しその巨躯の懐へと潜り込む。

「星を落とす魔法」

 拳に乗った紫の六芒星が閃光を上げて炸裂する。

753???:2012/01/07(土) 00:50:25 ID:EK/9fLvc
>>752
彼の姿は、鵺。
先ほどまで隣で付き添っていた女性と、
榊が以前メリーから回収した仲間であったメデゥーサの力の残滓を飲み込み、
終に彼の体は頭は狒々、体は狸、手は虎で尾は蛇の、伝承にも残る物となった。

「言っておくがあいつに罪は無いぞ!!俺はもとからどうせ復讐を夢見てただろうからな!!
 生まれてすぐ川に流されるなど、まともに育てるわけがないだろ!!」

目の前では波旬が強烈な力を携えてこちらを狙っている。
それを黒く濡れた目で視認した鵺は、
むしろ避けるのでなくこちらも全速力で、虎の足を生かし急接近を始める。

「ぐっ!?」

だが、あの伝説の悪人の農夫とは違い鵺は所詮まがい物。
更に未完成品である彼に波旬を打倒する力は無く、腹部に重すぎる一撃を喰らい、
弾けるように飛ばされ近くの近く変化によって生まれた岩に叩きつけられる。

「つ・・強いな!それで・・・こそ!!
 俺が神世より憎んで憎んで憎みきった天敵だ!!」

衝撃は深くダメージを与え、口からは血がたまらず吐きだされた。
しかし、足がダメージによってわなわなと震えているものの、
目に灯る火は未だに消えていない。

「どうやらお前のその技!!両手が聞かないと発動できないらしいな!!
 定石通り攻めさせてもらうぞ!!」

ここが踏ん張り所だと鵺は自身に鞭を打ち、
また虎の足の俊敏なフットワークを生かして、波旬との距離をぐんと縮め、
更に対応の遅れる彼女の両手足を、尾にある蛇の大群によって拘束した。
身動きのとれなくなったであろう彼女を、固定しまま鵺は鋭い爪を振りかぶる。

754波洵ver窮奇:2012/01/07(土) 01:09:37 ID:tElbSrz.
>>753

「!?」

 絡み付く数多の蛇たち。
 両の手の動きが封じられ、巨大な爪が眼前に振り下ろされる。

「どうかな・・・?
 全くどいつもこいつも男は私にしがみ付きやがる」

 波洵は迷うことなく蛇の絡んだ両腕ごと発破する。
 蛇の物と波洵の物が混じり合った血飛沫が舞った。

 巨大な爪を躱した先には、両手首のなくなって骨をむき出した波洵がいた。

「墓に刻むのに名前がないと不便だから、お前に5秒で考えた名前をやるよ」

 骨のむき出した腕の先に紫の六芒星が展開し、
 ただ向かってくる狒々の顔へと向けて、撃ち放った。

「檮杌、人面虎足で長い尾を持つ化け物。
 酷く馬鹿で人の教えを決して聞かないらしい・・・ぴったりだろ? 檮杌よぉ」

 紫の六芒星は眩い光を上げて、炸裂した。

755???:2012/01/07(土) 01:26:04 ID:EK/9fLvc
>>754
拘束に用いた自らの尾を突然に爆散され、
鵺はその余りにもの痛みに耐えきれず、頭を仰け反らせて宙に吠えた。

痛みは彼の死への恐怖、作戦や思惑を頭から消し去ってしまったのだろう。
何も考えず空白となった自身の世界を、
ひたすら突き進んで目の前の波旬を打倒しようとした。

まんまと死へのギロチンがそこで待ち構えているといのに、
鵺は躊躇も何もなく、ただひたすら飛び込んで、彼女の六芒星を体への通過を許した。

「」

技を喰らっても、先ほどのように体は後ろへ吹き飛ばされなかった。
吹き飛ばされることない程に、彼は全身に全力を以って前進したのだ。
しかし、体に受けるダメージは吹き飛ぶ事によるのエネルギーの発散もできず、
全てを受け止めてしまったばかりに致命的な物となる。

「これほど何もかもを捨てたのに・・・やっぱりお前らには届かないのか・・・
 俺の・・・完敗なんだろうな・・・」

そこら中が印によって傷つき、体から溢れ出る血液でどこから出血しているかの判別も出来ない。
全身が赤く染まった彼はゆっくり口を開き、彼らしくもない弱った声を吐く。

「檮杌・・・か悪くはないぞ・・・。でもな・・・やっぱり名前は必要・・・ない・・・
 俺には・・・前から名前があった事を・・・呪われた名前があった事を・・・
 今更に思いだしてしまったからな・・・」

ずたぼろの捨て布のようになった彼は、
それでもまだ動けない体になった筈なのに、足を止めず波旬へと歩みと進める・

756波洵ver窮奇:2012/01/07(土) 01:32:52 ID:tElbSrz.
>>755

「逆だ、馬ー鹿。捨てようとするから届かないんだよ。
 生まれてきたからには、なんでもかんでも欲しがってなんぼだろうに」

 波洵は変化を解いて、先ほどのような少女の姿へと戻る。
 爆散した両手首は未だに無いが、肉に包まれ止血された。

「へぇ、私のネーミングセンスを侮下にするとはいい度胸だねぇ。
 言ってごらん、呪われた名前とやらを」

 波洵は、先ほどよりも毒のない笑みを浮かべながら。
 歩み寄る鵺に詰め寄った。

757???:2012/01/07(土) 01:49:01 ID:EK/9fLvc
>>756
「何を欲しがってもな・・・届かないのだ・・・。他の何を望んでも・・。
 これがないと思うだけで・・・途端に何もかもが色褪せる・・・」

体だけでなく、口から咳き込んで吐き出される血液の量も、
確実に彼の終わりは近いのだという事を告げている。

「はっは・・・やはり気づいてはくれないのか・・。確かにここまで・・・変位して・・・
 俺を誰だと知ってくれなど・・・土台無理だな・・・

 第一名前を・・・今の今まで忘れていたのだ・・・。これは多分・・・榊の仕業だがな
 そのせいで俺は・・・不必要に復讐の炎を燃え上がらせた・・・」

獣の喉を低くくぐもって鳴らし鵺は静かに笑う。
そう、せめてもの何かがあれば、きっと彼は多少の踏み止まりを出来たのだ
そして本来、彼は鵺と呼ばれるような存在でもなかった。

そもそも何もなかった、魂の位置も名前も存在もなかった事にされた彼だからこそ、
何もないこの器にあらゆる獣を詰め込み、キマイラの終着点として鵺と成れた。
もし名前の一つでもあれば、彼はその名前の通りにごちゃ混ぜになり、
変遷に変遷を繰り返す必要などなかったのである。

「だが・・・最後に思い出せてよかった・・・。少なくとも俺は・・・名前だけはもらっていたのだ・・・

 ヒルコ、と」

何もない神。
不具として生まれ、何かを手に入れる手も、何かを見に行く足もなく、
末路には彼らの子供としての事実すら、なかった事にされた神。

758波洵:2012/01/07(土) 02:06:02 ID:tElbSrz.
>>757

「・・・」

 倒れた骸を見下げて、波洵は不機嫌そうにポツリと呟く。

「檮杌の方がいい名前じゃん、まぁ私が言えたことじゃないけどさ」

 波洵は燃え上がり、塵と化していくヒルコを見下ろし。
 誰にでもなく問いかける。

「波洵とヒルコの何が違ったんだろうね」

 生まれてから108年間、夜行神の中に放置されていた波洵。
 生まれてすぐに隠岐へと流されたヒルコ。

 両者の間に大きな差はあったのだろうか。

「ほーんとに、榊じゃなくて先にあの女に会っときゃよかったのにねぇ」

 私よりよっぽど向いてたよ、と言いながら。
 波洵は背後に生い茂る巨木の枝を切り落とし、
 刃物に変化させた指で素早く彫刻をする。

「じゃーな、ヒルコ。腹の中の女とも仲良くやれよ」

 波洵はポイッと小さな位牌を投げ捨てると、
 冷めた目は何か遠くのものを見据えていた。

「予想以上にくだらねぇ女だな、榊。
 誰かを幸せにも不幸せにもできないくせに、一丁前に黒幕ぶりやがって」

759波山&おとろし:2012/02/04(土) 22:31:40 ID:tElbSrz.

 町からやや離れた山里の森。

「ああああああああああああああ! 寒みぃ!!
 死ね! 冬死ね! 超死ね!!!」

 今日も威勢だけはいいニワトリ・波山。
 人にもはっきり聞こえる声で堂々としゃべっている。
 こんなところを人に聞かれでもしたら、天才志村動物園行である。

「おい! なんか面白い事やれ!!」
「ぐぅお!?」

 突如無茶振りされる隣の透明な巨大妖怪・おとろし。
 でっかい頭をかきながら、困り果てていた。

「おっ! なんか、人が来るぞ!! へへへ、丁度いい!!」
「うご?」

 波山はドロンと巨大なニワトリに変化する。

「妖怪としての本分だ!
 あいつ化かしてやろうぜ!!」

760現人中:2012/02/04(土) 22:37:22 ID:zj2aQgR2
>>759
「なにやら、さわがしいな・・・っと」
にぎやかな話し声を聞き取ってかふらふらと近づいてくる人影

「・・・さてさて、何が起こるかねぇ」
その人影、目が完全に隠れるほど深く帽子をかぶった青年は
のんびりとした足取りで話し声の元へと歩いていく
気配が極端に薄いおかげで時々見失いそうになりそうだ

761波山&おとろし:2012/02/04(土) 22:43:54 ID:tElbSrz.
>>760

「ヒャッハーーーー、汚物は消毒だぁあああ!!」

 突如青年の周りから燃え上がる、火柱が吹き上がり包囲する!
 赫々と燃える紅蓮の炎は寒気を吹き飛ばし、ジリジリと肌に照り付ける。

 火柱の向こうで巨大なニワトリが羽を散らしていた。


 突如、青年の体が宙に浮く。
 熱気が上へ昇り、あぶり焼きのようにされるだろう。
 そのままグングン空に昇っていき、地上十数メートルまでに上昇。

 熱気はだいぶ薄れたが、今度は足がすくみそうなほどに高い場所へ宙吊りだ。

762現人中:2012/02/04(土) 22:52:46 ID:zj2aQgR2
>>761
「おーおー、冬だっつーのにずいぶんと元気なやつらだな・・・っと」
何かを振り払うような動きで回転し、そのままそこから自由落下

「しかし化かす相手ぐらい一応確かめたほうが無難だな」
すた、ときれいに着地、この一連の動作だけで既に普通の人間ではないことがわかる

「もしこれで俺が凶暴なやつだったら大騒ぎだぜ?」
なぜか確認口調で首をかしげる、目線は鶏・・・ではなくもう一人のほうへ

763波山&おとろし:2012/02/04(土) 23:03:52 ID:tElbSrz.
>>762

「あん!? あの高さから落ちて平然としてやがる・・・。
 こいつ、人間じゃねぇな!!」

 波山は翼を広げ、妖気を振りまく。

「だったら、手加減なしだ!! フルバーナーだっ!!!」

 地面から巨大な火柱が吹き上がり青年を飲み込む。
 幻覚の火災、されど熱は本物のように感じるため、常人ならショックで気絶するほどである。

「ごぉ!!」

 状況を察してか突如、空から青年のいる場所へ大質量が落下する!
 妖怪・おとろしの落下が迫る。

764零なか:2012/02/04(土) 23:06:01 ID:BQ990e1A
避難所見て吹いてしまったのは私だけでしょうか←

765現人中:2012/02/04(土) 23:13:41 ID:zj2aQgR2
>>763
「ふむ、ご名答俺は人間じゃねーよ」
けたけたと笑う青年、緊張感など微塵も無い

「ほうほう、これは幻覚の炎か・・・まずまずだな」
腐りきっても超長生きな守り神、幻覚などに対する耐性は万全らしく割りと平然

「そしてだ、潰そうとするにももうちょっと工夫するべきだな・・・ふんっ!」
まさかの超重量を両手で真っ向から受け止める青年、わずかに残ったアグレッシブな能力のひとつがこの身体能力である
「・・・・・・・・・(さすがに真っ向から受け止めるのはやめとくべきだったなぁ・・・)」
・・・といってもさすがに多少無理はしたらしく微妙に顔色が悪いというか後悔の色

766波山&おとろし:2012/02/04(土) 23:23:02 ID:tElbSrz.
>>765

「んだとぉ! 体感温度800℃(当社比)だぞ!!」

 幻覚の火柱は効果がないとわかるが、
 いかんせんこのニワトリ、手数がそれほど多くない。
 幻覚に敵味方の判別を付けられるようになっただけ、成長したといえるが。

「クソがぁ!」

 性懲りもなくまた火柱、しかし・・・。

(ケケケケケ! 鬼火・雀火!!)

 幻覚の中に本物の鬼火の礫を仕込む!
 幻術師にはすっかりお馴染みの、幻術で攻撃を隠す手!!

 現人の足元の地面は陥没していた。
 単純計算でおとろしの体重はマウンテンゴリラ4頭分(当社比)である。

「ぐぉおお!!」

 受け止められたおとろしは唸った。
 透明な体は徐々に実態が浮き出してくる。
 ひどく頭でっかちで黒い長毛の狒々が姿を現した。

767現人中:2012/02/04(土) 23:34:31 ID:zj2aQgR2
>>766
「はっはっは、もっと驚け」
全く緊張感の無い青年、隙だらけにも見えるが

「おっと、危ない相手ガード!!」
受け止めていた相手を"本物"の炎への盾とするように投げ下ろす
「まぁなんだ・・・そういう不意打ちもよくあるものってこった!!」
そして万全を期すためか木の中へと飛びのく

「年季の差ってやつだよ」
そして森へと入ったとたん僅かにあった気配すら完全に消え、声のみが響くように聞こえる

768波山&おとろし:2012/02/04(土) 23:41:14 ID:tElbSrz.
>>767

「あんぎゃあああああ!!!」
「あぁっ、クソがぁ!」

 おとろしは叫びをあげて、地面を転げまわる。
 ぶすぶすと煙を上げて、ぜーはーしていた。

「チキショー・・・隠れやがったな!」
「ぐぅーぶぅー・・・」

 肩で息するおとろしに向かって翼を上げる。

「よっしゃ、プランDでいくぞ!!」
「ぐぉ!?」

 おとろしは、ギクリとしたが渋々姿を再び消す。

「ケケケ、さぁ出てきな。これでシメーだ!!」

769現人中:2012/02/04(土) 23:48:11 ID:zj2aQgR2
「とりあえずそこのでかいの、これ付けとけ」
ひゅん、風きり音がしておとろしに向かって傷薬が飛んでくる、どこにでも売っている火傷用の物だ
「付けるだけでも気分的に直りが早くなる」
薬が飛んできた方向には、薬を飛ばすためだけのためと思われる簡単な仕掛け、位置の補足はできそうに無い

「出て来いって言われていく馬鹿がどこにいるんだかね」
笑い声、姿が見えないだけに腹立たしい

「んじゃ、小手調べと行こうかね?」
ごう、と先ほどとは比べ物にならない音と共に高さがことも二人文ほどある岩が投げ込まれる、小手調べとか言うレベルじゃない

770波山&おとろし:2012/02/04(土) 23:58:42 ID:tElbSrz.
>>769

「おわぁああああああ!!」

 波山、岩から不通に逃げる。

「あ、危ねぇじゃねぇかボケぇえええええええ!!
 出て来いよこんにゃろーーーーーーっ!!」

 プランD、どうやら相手が出てこないと話にならないようだ。

「おい、おとろし!」
「ぐぉ!」
「ケケケ、幻覚が効かねぇならこいつはどうだ!?」

 空から突如、岩の飛んで来た方向へ瘴気の弾が数多に撃ち込まれる!
 砲弾は当ると爆ぜて地面を抉り、強烈な刺激臭を撒き散らす。

 まともに吸い込んでしまえばクロロホルムのような作用を引き起こすだろう。

771現人:2012/02/05(日) 00:08:09 ID:zj2aQgR2
>>770
「はい、はずれ。」
岩が飛んできた場所には既に青年の姿は無く、微妙に腹の立つ声が響くのみ

「つーかあぶねぇはこっちの台詞だろう、常識的に考えて」
まぁ急に襲われた側なのでごもっともといえばごもっとも

「さて?岩がよけれたなら次はこいつだな」
しゅーー・・・、と不穏な音が響いたと思ったら次々と飛んでくるロケット花火
危険度は大幅に下がったが数と速さは大増量である

772波山&おとろし:2012/02/05(日) 00:26:01 ID:tElbSrz.
>>771

「ぎにゃああああああああああああ!!」

 パンパンと弾けるロケット花火に波山は飛び跳ねながら逃げ回る。

「このヤロー!! 『絶対に人に向けて火をつけないでください』って書いてあるだろうがぁあああ!!」

 お前は人じゃないだろ。
 この口ぶりからどうやら似たようなことを以前やろうとしたことがあったらしい。

「ぐぬぬぬぬ・・・、出てこねぇって言うんならこっちにだって考えがあるぞこのヤロー!!」

 波山はそう言い放つと翼を大きく広げ・・・

「このまま放置して帰る!!」
「ぐおっ!?」

 あまりに突飛な提案におとろしは空から滑り落ち、地面にすっ転んだ。

「バーカバーカ! 一生そこに隠れてろーーー!!」
「・・・」

 波山は変化を解くと、自信満々なままスタコラサッサと逃げ出した。

773現人:2012/02/05(日) 00:33:22 ID:zj2aQgR2
>>772
「バカヤロー!ルールと記録と限界は破るためにあるんだよ!」
今言う台詞ではまかり違ってもない

「まぁ、お前が帰ったら俺も普通に帰るがなー」
ごく普通に返してきやがった

「しかしお前も災難だな」
そしてぶっ倒れたおとろしにむかって声がかかった

774宛誄&蜂比礼:2012/02/10(金) 16:48:38 ID:tElbSrz.
本スレ>>866

「ははは! そうであることを願いますよ・・・」

 宛誄は頭を掻くと、言葉を続ける。

「さて、それでは現実問題どうやって謝りましょうかね」


 ニコニコとする零に蜂比礼はおぞぞぞぞと鳥肌を立てる。

「うー、来るんじゃねぇし! あっちいけーーー!!」

775零「」&黒龍『』:2012/02/10(金) 17:59:04 ID:HbHPxpxY
>>774
『ん?誤り方?それは勿論、スキンシップだろ!?宛誄が蜂にキスなり抱き着くなりすりゃいいんだよww』
外国では仲直りや親しい友人の挨拶などにはそれくらい当たり前らしい。
日本で育った者にはセクハラやらで訴えられそうだが・・・。

『(あー、確か俺のファーストキス奪ったの、白龍だったな。)』

一方・・・。

「なんで行っちゃ駄目です?大丈夫ですよ、痛いようにはしませんから」ニコリ

目を見開いた零。
目つきが少し怖い。

776宛誄&蜂比礼:2012/02/11(土) 00:43:28 ID:tElbSrz.
>>775

「・・・そんなことして本格的に嫌われなきゃいいんですけどね」

 はぁ、とため息をつくと立ち上がる。

「さて、追いますか。確かにいつまでも悩んでいても仕方がない」


「うーーー、キモいキモいキモいキモいーーーーっ!!」

 蜂比礼は喚きたてると、そのまま一目散に飛び去ってしまう。
 ・・・幽体剥離、レッドゾーン!!

777名無しさん:2012/02/11(土) 11:52:05 ID:HbHPxpxY
>>776
『お?捜す気になったか?じゃ、行こうか!!』

宛誄の手を引っ張り、零の元へと向かう。

「・・・・・・・・・気持ち悪い?」ガーン

零は笑みを引き攣らせ、orzの体勢に。効果は抜群だ。

778宛類&蜂比礼:2012/02/11(土) 20:39:23 ID:vmn27WQc
>>777

「はい、それでは」

 捕まれた手を握り返し、宛類は駆け出す。
 そしてうずくまる零を素通りして奥の茂みの方へ。


「うーーっ!」

 地団駄を踏む蜂比礼。
 そこに宛類は息を切らせて駆け寄っていく。

「ねぇ」
「うわっ! な、なんだし! 今更謝っても遅せーしー!!」

 宛類は肩を上下させながら、にっこりと笑いかける。

「もう謝って許して貰おうとは思いません。
 ずっとずっと憎んでいていい、嫌ったままでいい」

「だから・・・」

 宛類は蜂比礼の雲のようにすり抜ける手を取り、語りかける。

「あなたの友達を七罪者から取り戻すまで、一緒に同じ道を歩いてください。
 僕とあなたの目的を果たすまで、形だけでも協力してください。
 ・・・その後ならどうなっても構いませんから」

 宛類の言葉に蜂比礼は複雑そうな表情をすると、そっぽを向いて吐き捨てる。

「あーーー! もうしょうがねぇし!!
 今回だけは貸しにしといてやるけど、次はねぇから覚えておくしーーー!!」

 負け惜しみのように叫ぶと、蜂比礼は宛類の体内の本体に帰って行った。

「えぇ、肝に銘じておきますよ・・・。ありがとう」

 それだけ言うと宛類は去っていった。


//長くなってすいません!
勝手ながらこれで〆にさせていただきます!
乙でした&ありがとうございました!

779零&黒龍:2012/02/14(火) 16:31:21 ID:HbHPxpxY
>>778
『良かった良かった。これも俺のおかげか!?』

「あ・・・・・・」

『うわああ、零はキモくないから!!くそったれ、あの蜂め・・・・・・!』

去っていく宛誄に軽く黒龍は手を振り、orzな零を慰めるのだった。

//遅くなりました、どうもありがとうございました!

780ハーメルン:2012/03/25(日) 21:01:26 ID:tElbSrz.

 歓楽街を見下ろすハーメルン。
 色取り取りのネオンは、暗い夜を煌々と照らしていた。

「けっ! どいつもこいつも・・・好き勝手暴れやがって!」

 世界妖怪連合の暴走にハーメルンは少々あきれ返っていた。
 隠密に妖怪を減らす計画、誰一人足並み揃うわけもなかったのだ。

「だがこれはこれでまぁいい、目晦ましに俺が好きにできるしな・・・」

 赤い目の鼠が町中を駆け廻っていた。
 強い妖怪達の情報を集めていくそれは、人を操るべく淡々と牙を研いでいる。

「さぁて、じゃあ始めるか。人を使った妖怪狩りをよ・・・!!」

 笛の音が響き渡った途端、路地裏でいきなり人に化けた妖怪が殴り殺された。
 鮮血が舞い、頭がい骨が砕け散る音が響き渡ったはずなのに、誰一人振り向く者はいなかった。

 路地裏の周囲の人々は、皆赤い目をしていた。

781三凰「」&瞳『』:2012/03/25(日) 21:13:28 ID:SmXQZqJk
>>780
『どうもこの辺りの人間の様子がおかしい……まるで、人間じゃないみたいだ……』

人間の様子がおかしいことに気づいた瞳。その中の一人の後をつけ、路地裏に入り込んだ。
その瞬間、瞳のすぐ近くで人に化けた妖怪が殺された。

『なっ!?いったいなにが!?』

すぐに気がついた。瞳は、自分が危険な場所にいることを

「あれは……瞳と…人間?」

その上空、電柱の上に立つ三凰。三凰もまた、異常な人々が気になり路地裏に来たのだった。

「しばらく様子を見るか……」

三凰はそのまま、下を眺め始めた。

782ハーメルン:2012/03/25(日) 21:22:34 ID:tElbSrz.
>>781

 ビルの屋上にて。
 ハーメルンが笛を止める。

「・・・網にかかったようだな」

 鼠達が物陰から瞳を、そして三鳳を見つめている。
 ハーメルンがペラペラと、ストーリーテラーから支給されたリストを眺め、
 ハッと目を止める。

「あいつは・・・ははっ! こりゃあいい・・・!
 強くて誠実で人間好き、俺にぴったりの獲物じゃねぇか!」


      【死の舞曲・発熱】


 赤い目をした人々が、瞳を取り囲んでいた。
 強化され、笛の音で操られた人間達が瞳を両脇から捕まえ、数人がバールやハンマーなどを掲げる。

「さぁて、あいつはどうやって仕留めようかね」

 電柱の上に立つ三鳳をハーメルンが挑発的に睨みつけた。

783三凰「」&瞳『』:2012/03/25(日) 21:36:47 ID:SmXQZqJk
>>782
『な、何をする!』

あっさり捕らえられる瞳。腕を刀にして必死で抵抗すれば、振りほどけるかもしれないが……
瞳にはそれができなかった。何故なら、彼らは人間。瞳には、人間を攻撃するなどできなかったのだ。

「瞳の奴……何をやっている…チッ、奴に死なれてはこまる。まだ、リベンジを果たしていないからな。」

そのまま、蝙蝠の姿になり、瞳の方へ飛ぶ。飛び立つ瞬間、屋上のハーメルンをちらりと見る。

三凰(あいつが司令塔か?瞳を救出したら、次は奴だな。)

「サウザンド・レイピア!」

瞳の真上まで、飛びそこから数人に向け、レイピアの形をした無数のエネルギーを放った。

784ハーメルン:2012/03/25(日) 21:51:11 ID:tElbSrz.
>>783

 三凰の攻撃に数人が吹き飛ばされるが、
 すぐに第二波が2人に襲い掛かる。

 ハーメルンが苛々とその様子を眺め、舌打ちをする。

「チッ、やっぱり人間じゃあ不意をうたねぇと決定力に欠けやがる」

 笛の音が変わる。


   【死の舞曲・肥大】!!!


 赤い目をした数人の人々の腕に血管が走る。
 体の負担を無視した、過剰強化。

 人々はバールや自転車、さらにはへし折った電柱まで振り上げ瞳に襲い掛かる!


「・・・死にな」

 その背後から、音もなく忍び寄っていたハーメルン。
 鈍色に輝く猟銃が三鳳の頭部を捉え、発砲音が鳴り響いた。

785三凰「」&瞳『』:2012/03/25(日) 22:04:43 ID:SmXQZqJk
>>784
「おい!瞳!貴様は何故攻撃しない!?死にたいのか!?」

瞳に怒声を浴びせながら、光のレイピアで再び人間達を攻撃しようとする。

『ま、待て!!駄目だ!彼らは人間なんだぞ!』

あろうことか、三凰が放った光のレイピアを瞳は右手を刀に変えすべて弾いてしまった。

「なっ!馬鹿が!!死ぬぞ!!
……はっ!?」

瞳に気を取られ、後ろが疎かになっていた三凰。発砲音が聞こえた瞬間、避けようと体をずらす。
結果、頭部は無事だったものの銃弾は羽を貫通。三凰は、飛ぶことが不可能になってしまった。

『くっ…』

一方、瞳はなんとか電柱や自転車は避けれたもののバールで殴られてしまう。

786ハーメルン:2012/03/25(日) 22:14:04 ID:tElbSrz.
>>785

 殴られた瞳に黒い波が集る様に、無数の手が瞳を押さえつけてしまう。
 三鳳のレイピアを黒いブーツの足が踏みつけた。

「ははは! お互いに足引っ張りあってざまぁねぇなぁ!! おかげで順調だぜ」

 散弾を当てたことに油断したハーメルンは、
 ニヤニヤと笑いながら二人に語りかける。

「人間の心配なんかしてる場合かよ、馬鹿共が。
 人間と妖怪、どっちが守られるべきかも知らねーで!
 そんな調子だから妖怪は消えていくんだよ!」

 三鳳の首をハーメルンが締め付ける。

「そういやアンタ、百鬼の主目指してるらしいな。
 良かったじゃねぇか、現在絶賛開催中だぜぇ! 優勝賞品は何でも願いがかなうそうだ!」

 眉を下げ、ハーメルンが嘲笑う。

「ま、テメーは今ここで死んで、優勝するのは俺だがね」

787三凰「」&瞳『』:2012/03/25(日) 22:21:19 ID:SmXQZqJk
>>786
『う……あ…あ……』

押さえつけられても、今なお抵抗をしない瞳。

「くっ……貴様ぁ……その薄汚い手を離せ……
百鬼夜行の主になるのは……この僕だ……」

三凰は、強気な態度をやめずに苦しそうな表情をハーメルンに向ける。

788ハーメルン:2012/03/25(日) 22:42:38 ID:tElbSrz.
>>787

 発砲音が響き渡る、が。
 散弾は三鳳の横を掠めていた。

「・・・あっけ無さすぎるな、その程度で主目指してんのかよ」

 ハーメルンは三鳳を壁に投げつけ、語りかける。

「テメェが百鬼の主を目指す理由はなんなんだよ、
 こんな衰退していく妖怪共の主に今更なったところで何の意味がある?」

 ハーメルンは自分の望みを語りかけていく。

「俺は優勝のプライズ以外に興味はねぇ!
 叶える望みは生物としての強さを得ることだ!!
 この百数十年で妖怪の力も! 数も進行も大きく減った!!
 沈みかけの船に何の未来がある!?
 俺は生物として生きた証を、存在を残していく! ただ衰退して消えていくなんてゴメンだ!!」

 三鳳へ向け、散弾が放たれた。

789三凰「」&瞳『』:2012/03/25(日) 23:02:36 ID:SmXQZqJk
>>788
「ぐはっ!」

壁に激突し、吐血する三凰。その衝撃で、蝙蝠姿の三凰の牙が一本折れてしまう。

「僕が……僕が百鬼夜行の主になる理由は、父上の……いや、宝玉院家のためだ!」

そう言い、人間の姿に戻り、よろよろと立ち上がる三凰。

「衰退しているからなんだ?沈みかけているからなんだ?
そんなもの覆せば良い。父上は、絶望から突き進み栄光を掴んだんだ。宝玉院家は……妖怪は……そんなに弱い生き物じゃない。」

と、語るものの銃弾を避ける体力は三凰に残っていなかった。しかも、三凰のレイピアはハーメルンに踏まれたまま。弾くのも不可能だ。

三凰(くっ……まだだ……何か突破口が……っ!!
これだっ!!)

三凰は足下の折れた自分の牙を広い、それをレイピアのように振るい、散弾を弾いたのだった。

790ハーメルン:2012/03/25(日) 23:11:01 ID:tElbSrz.
>>789

「ぐっ!」

 弾かれた弾丸が、頬を掠める。
 三鳳の思わぬ反撃に、ハーメルンは歯を軋らせた。

「ムカつくぜ、てめぇ・・・! だったら軽口叩きまくって今この場で死に晒せ!!」


   【死の舞曲・黒波】!!!


 ハーメルンの妖力が注ぎ込まれ、黒いオーラを纏った人々が腕を振り上げ三鳳に襲い掛かる!

791三凰「」&瞳『』:2012/03/25(日) 23:19:21 ID:SmXQZqJk
>>790
三凰(まずい!今の状態であの人間共と戦うのは危険だ……せめて、精気を回復出来れば……)

しかし、ハーメルンの妖力を注ぎ込まれた人間から精気を吸収するのは今の三凰では難しい。

三凰(ここは……)

三凰は、ハーメルンに背を向け残った体力を振り絞り走り出した。

「うおおおお!!」

逃げ出したかのように見えた三凰。しかし、彼が向かったのは人々に押さえつけられている瞳の元だった。

「はあっ!」

瞳に群がっている人々に己の折れた牙を振るい、瞳を救出しようとする。

792ハーメルン:2012/03/25(日) 23:27:48 ID:tElbSrz.
>>791

「!?」

 折られた牙で人は薙ぎ払われ、
 瞳に覆いかぶさっていた群衆達は吹き飛ばされる。

「はっ! 血迷ったか!!」

 黒いオーラを纏った人々が、
 恐るべき力で三鳳へと掴み掛り、八つ裂きにしようとした!

793三凰「」&瞳『』:2012/03/25(日) 23:47:50 ID:SmXQZqJk
>>792
「はぁ…はぁ…予想以上の数だな。
おい!瞳!こんなに追い込まれたのも、元はと言えば貴様のせいだ!」

『なっ!?』

助けに来たと思った相手から、予想外の言葉。

『な、何を言っている!それはあなたが………っ!?』

突如、瞳の腹部に痛みが走る。見てみると、三凰の折れた牙が突き刺さっている。

「責任はとってもらうぞ。」

『な、なにを……』
「命を奪う訳ではない。奪うのは、精気だ!」

瞳を突き刺した牙を抜く。瞳は、そのまま膝から倒れた。

「これならいける筈だ!」

迫り来る黒いオーラを纏った人々に向き直り――

「喰らうが良い!!」

再び無数の光のレイピアを放った。その数、先程の2倍位だ。

「サウザンド・レイピア―――X2!!!」

794ハーメルン:2012/03/25(日) 23:56:09 ID:???
>>793

「なっ!?」

 精気を吸った三鳳の力は凄まじく、
 黒いオーラを纏った人々はたちどころに吹き飛ばされてしまう。

「ぐっ、こっの野郎!!」

 三鳳へ向けて、笛を剣の様に変化させて三鳳へと突進する。

「死ねぇえええええええええええ!!」

795三凰「」&瞳『』:2012/03/26(月) 00:04:55 ID:SmXQZqJk
>>794
「くっ!」

己の折れた牙を盾代わりにし、突進を防ぐ。三凰は瞳の精気の影響で、力も強くなっているようだ。
とはいえ、三凰が受けていた肉体的ダメージも軽くはない。あまり長くはもたないだろう。

三凰(まだだ、持ちこたえろ……)

三凰の狙いは、先程黒いオーラの人々に放った光のレイピアの余りを一カ所に集め、肉体的ダメージの少ないハーメルンを一気に叩く事だった。
その一カ所とは、ハーメルンの頭上。上を見れば、光のレイピアが徐々に大きくなっているのが分かるだろう。

796ハーメルン:2012/03/26(月) 00:17:17 ID:tElbSrz.
>>795

「おらぁ!!」

 刃は三鳳の胸を抉り、鮮血を巻き上げ再び振り下ろされる。

「とっとと死にな!!」

 ハーメルンは三鳳を突き刺すのに夢中で、
 頭上のレイピアには気づかない。

 血に塗れた刃は三鳳の喉元へと突き進んだ。

797三凰「」&瞳『』:2012/03/26(月) 00:27:36 ID:SmXQZqJk
>>796
「ぐうっ!!」

やはり、ダメージが大きく押されている三凰。

三凰(キツいな……傷が深い……だが――)

「終わりだ……」

5メートル程の大きさになった頭上の光のレイピアがハーメルンの背中をめがけ、高速で放たれる。

798ハーメルン:2012/03/26(月) 00:36:42 ID:tElbSrz.
>>797

「くくく・・俺は生きるぞ! テメェ等とは違う!! 俺は――!!

 振り上げた剣で三鳳の心臓を突き刺そうとしたが、
 まばゆく輝くレイピアが背後からハーメルンを貫いた。

「がっ! はっ・・・! ち、ちくしょう・・・!!」

 光の矢はハーメルンを貫通し、虚空へと抜けていく。
 ハーメルンは大穴の開いた胸を押さえ、なおも嘲笑っていた。

「く、くくく! ははははは!!
 いいぜぇ、足掻いてみなぁ! この沈みかけの船の上で!
 テメー等が惨めにやせ細っていく姿! 笑いながら見ててやるからよぉ!!」

 高笑いを浮かべながらハーメルンは倒れ、その遺骸は塵となって消えて行った・・・。

799三凰「」&瞳『』:2012/03/26(月) 00:49:49 ID:SmXQZqJk
>>798
「……決して、沈ませはしない。宝玉院家がある限り。宝玉院三凰が在る限りな。」

そう決意し、ふらりと倒れている瞳の方へ向かった。

「立てる……筈はないか……意識も無いようだな。
仕方ない、一度屋敷へ運んで手当てをさせるか……くっ!」

瞳を担ぐ三凰だが、傷が深いため辛そうであった。

800名無しさん:2012/04/19(木) 07:01:56 ID:HbHPxpxY
本スレ>>91

「なら、話は早いね。三凰が直接頼めば済むからね。でも、三凰パパにもこのことはきちんと言うんだよ?」

念を入れると再び三凰に抱き着く。
会ったのは多分、結婚式以来。
久しぶりに会えてかなり嬉しいようだ。

801宝玉院 三凰:2012/04/19(木) 10:42:03 ID:SmXQZqJk
>>800
「ああ、わかっている……って、抱きつくのはやめろ……」

再び照れくさそうにする三凰。

802澪「」&露希『』:2012/04/19(木) 15:47:41 ID:HbHPxpxY
>>801
「ところでさ・・・・・・。ちょっと三凰には言わなきゃいけないことが・・・」

『ボクの瞳に何かしたんだよね、三凰君?今すぐ三凰君に瞳と同じ痛みを味あわせようか?』ニコニコ

突如現れる少女は片手に剣を持ち、三凰の衿元を掴む。

「あー・・・」

唖然とする澪。

803宝玉院 三凰:2012/04/19(木) 16:42:50 ID:SmXQZqJk
>>802
「き、貴様は!いつの間に!?」

一瞬驚くがすぐに冷静になり。

「ええい、離せ!奴には戦況を不利にされた責任を取らせただけだ。それに、僕が奴の精気を使って切り抜けなければ瞳も死んでいたんだぞ?」

そう言うと、無理やり衿元をつかんだ手を払い、続けて言った。

「それにだ、僕は気を失い傷ついた奴を屋敷まで運んで手当てまでしたんだぞ?感謝こそされても、恨まれる筋合いはない!」

804名無しさん:2012/04/19(木) 16:58:29 ID:HbHPxpxY
>>803
『それは感謝致します・・・。だけど・・・貴方は何も分かってない・・・・・・。
瞳はホントに・・・可愛そうなんだよ・・・・・・。

なんで皆は瞳を分かってくれないの?瞳は誰よりも優しくて強くて、なのにいつも不幸ばかり・・・。』

へなへなと座り込み、剣を地に指すと、悲しげな表情を見せる。

805宝玉院 三凰:2012/04/19(木) 17:15:52 ID:SmXQZqJk
>>804
「優しい?甘いの間違いだろう?あいつは、人間を助けたいなんて甘い理想を掲げて、より多くの犠牲を出しそうになったんだ。」

ハァ、とため息をつく三凰。

「……だが、強いというのには同意だ。あいつの言い方で言えば、絆の力か?まさか、そんなものが強さになるなんてな。少し前まで信じられなかった。まぁ、不安定な強さだがな。」

その後、呟くように言う。

「ある意味、あの“甘さ”も“強さ”なのかもしれないな……」

806露希『』&澪「」:2012/04/19(木) 17:24:33 ID:HbHPxpxY
>>805
「三凰、ちょっと言い過ぎじゃ・・・『レイピアを持て、三凰君。絆の力、見せてあげるよ・・・!』」

ガチャリと剣を構えた。
瞳は強いのだ、ただ上手く力が出せなかっただけなのだ。
三凰に、きちんと分からせる為にも、今の露希は本気だ。

807宝玉院 三凰:2012/04/19(木) 17:34:01 ID:SmXQZqJk
>>806
「フン、やる気か?いいだろう。」

そう言うと、レイピアを構えだす。

「来い!」

808名無しさん:2012/04/19(木) 17:43:35 ID:HbHPxpxY
>>807
『・・・・・・(瞳・・・白龍・・・ボクに力を・・・。)』

剣先が三凰の喉にむく。
同時に退魔のオーラと神々しいオーラが露希を纏う。
それは、大切だと思う者の力をそのまま使うことの出来る隠された力。

809宝玉院 三凰:2012/04/19(木) 17:51:36 ID:SmXQZqJk
>>808
「これは……あいつの…!?」

とっさに後ろにバックステップ。そのまま地面を蹴り、飛び上がる。そして、空中で蝙蝠の姿になった。

「ちっ…あまり精気は使いたくないが、まぁいい……サウザンド・レイピア!」

そのまま空中で無数の光のレイピアを放った。

810名無しさん:2012/04/19(木) 17:59:51 ID:HbHPxpxY
>>809
『こんなの効かないよっ!!』

距離を置くどころか、レイピアを弾きながら走り出し、そのまま翼で飛ぶ。

『これは瞳の痛みの分だぁぁぁ!!』

白いオーラと退魔のオーラが混ざり、レーザーの様にあちこちに散らばる

811三凰「」&飛葉『』:2012/04/19(木) 18:22:30 ID:SmXQZqJk
>>810
「ぐっ……!」

素早い三凰でも、広範囲に散らばるオーラは避けられなかった。レーザー状のオーラは三凰の羽に無数の穴を空けていく。

「くっ!まだだっ!」

そのまま、地上に降り人間の姿に戻るがまだ諦めない様子だ。

『おやめください!!』

そこへ飛葉の制止の声が聞こえる。

812名無しさん:2012/04/19(木) 18:28:48 ID:HbHPxpxY
>>811
『・・・・・・。』

「飛葉さんっ!!どうしてここへ!?」


制止が入ると、露希は直ぐさま攻撃を辞めて降り立つ。
澪は飛葉がタイミングよく現れた為、少し嬉しそうだ。

813三凰「」&飛葉『』:2012/04/19(木) 18:49:20 ID:SmXQZqJk
>>812
「飛葉!なぜ止めた!」

『申し訳ありません。』

三凰を無視し、露希に頭を下げる飛葉。

「おい!飛葉!どうして謝るんだ!?」

『瞳さんには、後で謝っておきます。』

「おい!」

怒り、飛葉に掴みかかる三凰。

『三凰坊ちゃま。瞳さんの気持ちも考えてあげてください。』

「………」

そんな三凰に優しく語りかける飛葉。

814名無しさん:2012/04/19(木) 19:04:57 ID:HbHPxpxY
>>813
「三凰、落ち着いて・・・。」

三凰を宥めつつ、露希を見つめる。

「(あの力は一体・・・。)」

『いえ、こちらの方こそやり過ぎました・・・。ただ、瞳を悪く言われるのは悔しくて・・・・・・。』

815三凰「」&飛葉『』:2012/04/19(木) 19:58:23 ID:SmXQZqJk
>>814
『本当に申し訳ありませんでした。』

もう一度頭を下げ、三凰に向き直る飛葉。

「飛葉!」

『三凰坊ちゃま。お話は、後にしましょう。私は屋敷に戻りますので――それでは、失礼致します。』

最後にそう言い、再び頭を下げ飛葉は帰って行ってしまった。

816名無しさん:2012/04/19(木) 20:04:39 ID:HbHPxpxY
>>815
『・・・・・・瞳、ごめんね・・・。』

露希は一言呟くと、森の奥へと行ってしまう。

「さ、三凰・・・。飛葉さん怒ってたよ?大丈夫なの?」

817宝玉院 三凰:2012/04/19(木) 20:18:08 ID:SmXQZqJk
>>816
「はぁ……面倒だな。こんなことなら、奴に一言謝っておくべきだったか……
ああ、飛葉か……大丈夫だろう。多分……」

心底面倒臭そうな顔をし言う。

818名無しさん:2012/04/19(木) 20:43:17 ID:HbHPxpxY
>>817
「クスッ・・・。僕も謝るからさ、元気出して。」

クスクスと笑っているが、これも澪の気遣いのようだ。
あんまり飛葉さん達に怒られなければ良いのだが・・・。

//区切りがいいのでこの辺りで!絡みありがとうございました!!

819宝玉院 三凰:2012/04/19(木) 20:48:20 ID:SmXQZqJk
>>818
「ああ、ありがとう澪。」

澪の気遣いがわかったのか、静かに笑い返す三凰だった。


/絡みお疲れ様&ありがとうございましたー

820十夜「」&七郎『』:2013/03/21(木) 18:33:08 ID:YyssZM8U
「ごめんねーお腹へってるよね。」

キャットフードを持った少年が一人。その肩には一匹の狐が乗っている。

「母さんが動物嫌いだからさ。家じゃ飼えないんだ…」

『俺の姿、十夜の母さんに見えなくて良かったぜ。』

少年は茂みをかき分け何かに話しかける。

『よぅ。お前が十夜が助けたっていう猫か?』

何かの正体は以前、十夜が山で助けた猫だった。

821現人:2013/03/21(木) 18:46:30 ID:rRrCSwK.
>>820
よぅ猫か・・・可愛いな
【気配が妙に薄い帽子を目が隠れるように被った青年が話しかけてきた】

822十夜「」&七郎『』:2013/03/21(木) 18:56:26 ID:LO9SDJ8E
>>821
「猫かわいいですよね〜って、いつからそこに!?」

不意に話しかけられて驚き、キャットフードをこぼしてしまう。

『うおっ!?誰だ?人間か?』

七郎の方も驚いたようで声をあげる。
猫は気にせずこぼれたキャットフードを食べ始めたが。

823現人:2013/03/21(木) 19:01:49 ID:rRrCSwK.
>>822

さっきから、だな
俺は現人
一応神に分類される

824十夜「」&七郎『』:2013/03/21(木) 19:14:48 ID:NAEOt39w
>>823

「ええっ!?神様!?」

『神がこんなとこで猫見てていいのか?』

神と聞き驚く十夜と呆れたような表情の七郎。

825現人:2013/03/21(木) 19:23:36 ID:rRrCSwK.
>>824
別に神だからといって大層な使命があるわけじゃ無いしな猫見て和んだりもするさ
【笑いながらさらりと言う】

826現人:2013/03/21(木) 19:24:45 ID:rRrCSwK.
>>824

827十夜「」&七郎『』:2013/03/21(木) 19:34:01 ID:.DJOudfo
>>825
「猫、お好きなんですね。あの、それならちょっとお願いがあるんですけど……」

『おいおい、十夜。相手は一応神だぞ。』

そう言われ、七郎の方を向く十夜。

「わかってるよ、七郎。だけど、この神様なら信頼できそうだから。」

『そうか…確かにそうだな。』

そう言うと十夜は現神の方へ向き直り

「この猫の飼い主になってくれませんか?僕の家じゃ飼えなくて…」

猫を抱き抱え頼み込む。

828現人:2013/03/21(木) 19:39:27 ID:rRrCSwK.
>>827
あぁいいぞ
猫は俺も好きだしな
【あっさりと了承してのける】

829十夜「」&七郎『』:2013/03/21(木) 19:57:26 ID:9jQuEDUk
>>828
「ありがとうございます!」

『良かったな、十夜。』

嬉しそうな十夜と七郎。猫も心なしか嬉しそうだ。

『そうだ。疑ってるとかそういうわけじゃねぇけど、一応アンタの名前と何の神様だか教えてくれねぇか?おっと、先に名乗るのが礼儀か。俺は七郎。管狐だ。』

「僕は、稲山十夜です。ちょっと霊感が強いだけのただの人間です。」

830現人:2013/03/21(木) 20:00:03 ID:rRrCSwK.
>>829
現人って名乗ったろ

俺は福の神
座敷わらしだ

831十夜「」&七郎『』:2013/03/21(木) 20:09:08 ID:.DJOudfo
>>830
『と、悪いそうだったな。』

「座敷わらしって神様だったんだ。」

『十夜よりでかいな…わらしって子供って意味だよな?座敷わらしも成長すんのか?』

と、七郎は疑問符を浮かべる。

832現人:2013/03/21(木) 20:12:28 ID:rRrCSwK.
>>831
あぁ妖怪扱いされがちだがな
二つの姿を使い分けてるだけだ
ガキの姿にもなれる

833十夜「」&七郎『』:2013/03/21(木) 20:22:11 ID:688sPXm.
>>832
『使い分けられるのか。なるほどな。』

「でも、よく考えたら座敷わらしが妖怪扱いっておかしいかも」

『確かにな、人々の座敷わらしに対する感情は妖怪に対するものってより神様に対するものだもんな。
そういや、わらし神社だとかいうものもあったな。アンタも神社とか持ってるのか?』

再び質問する七郎。その後に質問ばかりで悪いなと付け足す。

834現人:2013/03/21(木) 20:30:22 ID:rRrCSwK.
>>833
昔はあったが今は無い
力もほとんど失ってる落ちぶれた神だよ笑いたければ笑っていいぞ

【唐突にネガティブ発言

835十夜「」&七郎『』:2013/03/21(木) 20:43:25 ID:/k0TEt7E
>>834
『わ、悪い……余計なこと聞いちまったな。けど、笑えるわけねぇよ。それをいったら俺だって落ちぶれた管狐だ。いや、調子に乗って痛い目みた俺なんかと一緒にしちゃ失礼だな。』

「し、七郎…現人さんも……この話はやめましょうよ。」

十夜が慌ててネガティブな雰囲気を払おうとする。

836現人:2013/03/21(木) 20:49:59 ID:rRrCSwK.
>>835
ま、そうだな
暗い事考えてても仕方ねぇ
【あっさり明るく戻る】

837十夜「」&七郎『』:2013/03/21(木) 21:09:06 ID:sT8J179Y
>>836
「そうですよ!前を向いていなきゃ、って僕もあんまり前向きって訳じゃないんですけど…」

『そうか?十夜は昔と比べたら随分と前向きになったと思うけどな。お前は間違いなく成長してるよ。』

「あ、ありがとう七郎。
あと、現人さん。その、僕になにかできることがあったら言ってください。僕なんかにできることがあるかわからないけど……現人さんには猫の恩もありますから。」

と言って、連絡先の携帯番号を書いた紙を差し出す十夜。

『十夜が協力するってんなら俺も協力するしかないな。こう見えて俺は顔は広い方だと思ってるし、知り合いをあたれば神格持ちから何か聞けるかも知れねぇからな。』

「それじゃ、僕達はそろそろ。今日は本当にありがとうございました!」

『俺からもサンキューな。』

「また、いつか会いましょう。」

十夜は一礼をし、その場を後にした。

838現人:2013/03/21(木) 21:16:00 ID:rRrCSwK.
>>837
ま、暗く考えてても何も変わらねぇ
前向きがなによりだ
【最初にネガティブ発言したくせに】

839現人:2013/03/21(木) 21:30:16 ID:rRrCSwK.
>>838
【追記】
ま、困った事があればよね
相談させて貰う
蘇んときは頼む
んじゃ、俺も帰るぁとするか、じゃあな
【と猫を担いだ】

840黒龍:2013/04/15(月) 19:55:31 ID:I2jsHmG2
『〜♪』

公園のベンチに腰掛け、ゲームなうな男が一人。

『ストレス解消にはやっぱりゲームだよなっ!』

なーんて独り言ではしゃいでいる。

841叡肖:2013/04/19(金) 22:30:21 ID:KqdtOXDk
>>840
一見してスーツ姿の人間に見えるように化けた衣蛸が、
ボトル缶コーヒーを左手に下げ眉間に皺を寄せてスマホの画面をにらみながら
遊歩道を歩いてきてベンチのほうをちらりと見た。

「君に溜まるようなストレスがあるとは見えないが」

ゲームに興じている先客に一言そう言うと、衣蛸はベンチの隣にどさりと座り
ボトルキャップを空けてぐいと一飲みした。
ポケットにスマホを突っ込む仕草や足の投げ出し方は幾分ぞんざいで、
火傷跡の残る頬にも皮肉げに歪んだ口元にも
どこか余裕の無さが伺えるかもしれない。

842黒龍:2013/04/20(土) 13:32:28 ID:c9OJMFg6
>>841
『なっ!んなことないよー!?w
ほら?露希たちの保護者変わりしてるわけだし、家事とか色々と・・・』

ニートと思われがちなオタもやることはやっているらしい。
軽く笑い飛ばしゲームをしまうと、ご機嫌斜めな蛸さんにニヤニヤしながら話しかける。

『そういうアンタはどうなん??
見るからにストレスたまってますよーって感じで。もっと笑って笑ってw』

くいっとほっぺを摘む。

843叡肖:2013/04/20(土) 18:46:40 ID:KqdtOXDk
>>842
火傷の治りたての頬を引っ張られる痛みに一瞬叡肖の眉間の皺が深くなったが
それは直ぐに好戦的な表情にとって変わり、

「ほー、君はこうすると笑えるのか?」

ベンチの端に飲みかけのコーヒーボトルを置くと、
衣蛸は空いた手で黒龍の頬っぺたを摘み、少しばかり力を込めて引っ張り返す。

「こうしたらもっと笑えるかね?んー?」

さらにぬるりとした光を歪な瞳に浮かべ
ジャケットの裾から人の手に変えた3本目の触腕を出して、その指先で服の上から
黒龍のわき腹をくすぐりにかかる。
この卑怯な蛸は使える手なら全部を使う上に、例え遊びでも手加減する気はないらしい。

(糞坊ちゃんには使えた手だが、同じ眷属のコイツにはさて、どうだかね?)

教育係として巴津火を懲らしめる際は、拳骨よりも時として
泣くまで擽り倒すほうが効き目があったのだが…果たして黒龍にはどうだろうか。

844黒龍:2013/04/20(土) 18:58:44 ID:c9OJMFg6
>>843
『んにゅ!?にゃにすんだぁw』

不意に掴まれぐにぐにと引っ張られる。
するとすぐに新しい攻撃が!!

『なっ、なななっ!?そこだめー!!ちょ、やめてーw』

地面に倒れこみ助けを請う黒龍w
止めないと涙で水たまりできちゃう!鬼畜さんやめてー!

『ごめん、マジ!!悪気はなかったってwひゃははぁw』

845叡肖:2013/04/20(土) 20:11:36 ID:KqdtOXDk
>>844
「何って、笑わせてあげようとしてるだけだ。お兄さんってば親切だろぉー?」

ベンチの振動で倒れないうちにと、4本目の手でコーヒーボトルをキープしながら
涼しい顔の蛸はしれっと返答する。
もちろんその間も黒龍を擽り続けていて、水溜りはベンチの下で広がりつつあった。

「いやー、糞坊ちゃんのお守りだけでも厄介なのに、最近海のうるさい爺どもの口が肥えてきやがってなー。
 送った陸の物じゃ満足しなくなったり、がめつい骨女が牡丹灯篭のレンタル料を
 引き上げてきたところに金価格の暴落と来たもんだ。
 仕事忙しい上に人間界の金が思ったほど入らなくなったもんで
 このところお兄さんあまり夜に遊べなくってねー。溜まってんのよ色々と」

軽い口調で楽しそうにそんな愚痴をこぼしつつ、
わき腹、背中、首筋、耳からつむじに至るまで満遍なく擽りあげてから、ようやく黒龍を開放した。

(そろそろまた、沈没船の積荷を目立たないように捌くしかないか…)

蛸の祖父にも人間にも見つからない方法を思案できるようになる程度には、
黒龍いじりもストレス解消になったらしい。

846黒龍:2013/04/20(土) 21:26:40 ID:c9OJMFg6
『はぁはぁ・・・俺はストレスないから無理に笑わなくていいの!!
・・・え?俺、ストレス無かったの!!?』ガビーン

自爆しちゃったよこいつ!
はだけた服に付いた砂埃を落としつつ、よいしょとベンチに腰掛ける。

『このところ不景気だしなぁ・・・

そっか、女とイチャイチャしたいんだな?だな?ならメイド喫茶の無料招待券あるぞー?w』

ドーン!
なんかやばいの出してきたー!!
しかもこのメイド喫茶・・・あからさまにノワールの住所!

847叡肖:2013/04/27(土) 01:29:08 ID:KqdtOXDk
>>846
どう見ても溜まってるようには見えなかったので、黒龍の自爆に突っ込むのも野暮だろう。
そう判断して華麗にスルーした叡肖は、コーヒーを一口味わった。

「メイド?女中ならばもう間に合ってる」

使用人を雇ってるとメイドさんに夢は見ないらしい。
余分な手はジャケットの中へと引っ込めつつ、黒龍の差し出す「無料招待券」の
見覚えのある住所に蛸はひょいと片方の眉をあげる。

「この店…メイド姿の君にかしづかれるって趣向かな?」

幾分の呆れを滲ませた声音でそう尋ね、目を細めた。
どうやらこの蛸を上手く釣りあげるにはメイド喫茶では餌不足のようだ。
もっと何か重要なもの、例えば零の握っている情報などが良いかもしれない。

848黒龍:2013/04/27(土) 21:23:08 ID:AQ9upFgI
>>847
ぞぞぞーっと鳥肌が!
『俺はメイドにならんっ!』
と吐き捨て、奪い返す。

何か釣れそうなことはないかと思考を巡らせ、むむーっと顔をしかめる、

不意にポンッと豆電球。
ちょっぴり真面目な顔つきになって問い掛ける。

『白龍のことなんだけど・・・最近アイツと会った?』

849叡肖:2013/05/01(水) 21:05:22 ID:KqdtOXDk
>>848
「白龍?」

ああ、目の前の相手の片割れで、なかなかの容姿の女性。

「いや。最近は会っていないが」

記憶の中から白龍のイメージを引っ張り出した衣蛸は
奪い取られる招待券を気にもせず、むしろ幾分表情が和らいだ。
いい女の話題であれば機嫌が良くなる、スケベ心のなせる業である。

「君が殊更言うってことは、何かあるんだな?」

ボトルコーヒー越しにじっくりと相手の表情を探りながら、黒龍に先を促した。

850黒龍:2013/05/02(木) 18:36:23 ID:VZ/Ab6Lk
>>849
『まぁ、な・・・』

自分で振った話題だが、いざ話すとなるとその深刻さ故に表情が強ばる。
その顔をあまり見せないためか不意に空を眺めて口を開く。

『・・・あいつさ、今色々とした問題に巻き込まれててな。俺らに迷惑かけないようにっていなくなっちゃったんだよ。それから姿を現さない。水に関係するアンタなら知ってると思って聞いたんだよ。』

851叡肖:2013/05/03(金) 23:07:21 ID:KqdtOXDk
>>850
「知らんな」

衣蛸はあっさり答えて興味を失ったように視線を逸らす。
が、しばしの間の後、黒龍を気の毒に思ったのか思い直したように言葉を紡ぎ

「龍族ってのは大概が無駄に気位が高い。神格クラスなら尚のことな。
 悩み事があっても相談なんてしないし、出来る状況であってもまずしやがらない」

(それが龍の誇り高さだの高貴さだの言う輩もいるが、俺に言わせりゃ単に意地っ張りでガキっぽいだけだ)

黒龍の手前、思ったことのすべてを口にはせず

「彼女が一人で行動して大丈夫と判断したのなら、そうなんだろう。
 俺が水の中を探ることも出来なくはないが、白龍が何か言ってくるまでは
 そっとしておいてやるのが一番いいと俺は思うね」

状況がわからないのに周囲が下手に嗅ぎまわっても
かえって白龍に不利になりかねないぞ、と黒龍に釘をさした。

852黒龍:2013/05/04(土) 00:17:46 ID:onjQNA6U
>>851
(悩み事、くらいで済むならどんなに楽か・・・もうホントはどうしようもないんだけどなぁ・・・

てか俺、この人に本当のこといっていいのかな。)

『ハハ・・・そ、そうだよな!逆に俺が心配したらシスコンとかってキモがられるしな!w』

助けてくれと頼みたい。
本当に誰でもいい、白龍を救ってくれるならどんなやつでも。

でもそれが言えない。
龍族のプライド、なのかもしれない。

853黒龍:2013/05/04(土) 00:18:34 ID:onjQNA6U
>>851
(悩み事、くらいで済むならどんなに楽か・・・もうホントはどうしようもないんだけどなぁ・・・

てか俺、この人に本当のこといっていいのかな。)

『ハハ・・・そ、そうだよな!逆に俺が心配したらシスコンとかってキモがられるしな!w』

助けてくれと頼みたい。
本当に誰でもいい、白龍を救ってくれるならどんなやつでも。

でもそれが言えない。
龍族のプライド、なのかもしれない。

854叡肖:2013/05/07(火) 20:39:33 ID:KqdtOXDk
>>853
黒龍の様子に、衣蛸が薄く笑うように目を細める。

「シスコン呼ばわりが嫌ってのは、いかにも龍らしい言い草か」

思案するように口元にやったその手には、いつの間にやら細い筆が握られており
ぺろりと舐められた筆先が黒龍の顔をまっすぐ指した。

「…いっそ認めちまえば楽になるかもしれんよ」

嫌な薄笑いとともに素早く筆を動かして、叡肖は黒龍の口の左端に『本音』と書こうとした。

書かれても墨が乾く前にこすってしまうか、水で洗ってしまえば文字は消えるのだが、
読める状態で残っているうちは、黒龍が何かを喋る度に本音も少しばかり漏れてしまう。

855黒龍:2013/05/07(火) 23:51:06 ID:dxdU.R3I
>>854
筆で書かれた瞬間、直ぐに何をされたのか理解した。
もう心の中は読まれてるのか、と軽く溜め息を付き一言。

『ありがとう・・・な。ホントはもうなんでもいいんだよ、俺は。  

ただ、あいつが・・・白龍が無事なは・・・助けてくれ・・・』

856叡肖:2013/05/11(土) 03:19:33 ID:KqdtOXDk
>>855
「俺が安く引き受けると思うのか?もっとマシな伝手もあるだろ」

零や露希に頼むことも出来るだろうに、水がらみというだけで持ってこられても、
この海の文官は自分の利益にならないと判断すれば動かない。

冷たく突き放したような表情のまま、うっすらと口角が上がり

「そうだな、報酬は白龍ちゃんで支払ってもらうか」

そういうと黒龍を横目に、くいっと残りのコーヒーを飲み干した。

857黒龍:2013/05/11(土) 11:06:11 ID:LLyX271.
>>856
『なるべく力がある奴じゃないと頼めなくて・・・俺の知り合い、そんなに力がある奴居ないからな。

下手に弱い奴がでるところで殺されるだけだ。』

冷静な判断の元、頼んだものだ。
七郎や夕などては危険過ぎて連れて行けない。

『零は夜行集団に頼みに行くと思う、それだけ相手は強い。

・・じゃあデートとかでいいか?もし白龍が助かったらデートしていいぞw』

858叡肖:2013/05/15(水) 05:51:54 ID:KqdtOXDk
>>857
「力ねぇ。それなら俺はお呼びじゃない。
 だってほら、お兄さんただの文官だしー?荒事は向いてないしー?」

と、空のコーヒーボトルを手の中で弄びつつ叡肖はわざと茶化してみせる。
そんな黒龍の真剣な気持ちを逆撫でするような言動をころりと一変させると

「夜行集団が表に立つのなら最適だろうな。
 例え神格がらみの話になっても、彼らなら立場的に不味いことにはならないだろう」

と、少々まじめくさって思案をしてみせ、
 
「デートはいらんね。
 もし白龍ちゃんが絵のモデル勤めてくれるんなら、お兄さんは裏から協力しよう」

人のよさそうな笑みを口元にだけ作って、衣蛸は黒龍を試すようにその顔をじっと覗き込んだ。

859黒龍:2013/05/24(金) 00:40:48 ID:d9GCXhf6
>>858
『確かに夜行は強いし、信頼できる奴らばかり。それでも勝てるかどうか・・・

アンタがダメなら子蛇ちゃん連れてくから。

(・・・絵のモデル!?なに、アイツ、そんなに男にモテんの!?ガーン)』

ベンチから立ち上がると、少し楽になったような表情をみせ、じゃあまた、と一言。
そしてその場を後にした。

860現人:2013/06/07(金) 19:28:54 ID:rRrCSwK.
【草原】
ふーんふふーん♪

【鼻歌歌いながら目が完全に隠れるほど深く帽子を被った青年が歩いている】

861黒龍:2013/06/07(金) 19:33:07 ID:y0n1DJhg
>>860
『疲れた・・・オトゲー未だに慣れないんだよなぁ・・・』

どうやらゲーセン帰りの様子。

『お?あれは・・・』

862現人:2013/06/07(金) 19:36:41 ID:rRrCSwK.
>>861
ん?いよう
【軽く手を上げ挨拶】

863黒龍:2013/06/07(金) 19:45:23 ID:y0n1DJhg
>>862
『現人!久しぶりだなあ!』

さっそくハグ!
スキンシップ好きだぞー!

864現人:2013/06/07(金) 19:52:50 ID:rRrCSwK.
>>863
おう、黒龍久しぶり
【ハグしかえし】

865黒龍:2013/06/07(金) 19:55:55 ID:y0n1DJhg
>>864 
『んでこの帽子の下はなんなんだ!?』

ひっぺがそうと掴んでみる。
はずれるのか!?

866現人:2013/06/07(金) 19:58:44 ID:rRrCSwK.
>>865
何もねぇよ
【張り付いたように取れない】

867黒龍:2013/06/07(金) 20:09:35 ID:y0n1DJhg
>>866

『なあ、魔法使ったら剥がせるか?』ワクワク

すっごい気になる!

868現人:2013/06/07(金) 20:20:07 ID:???
>>867
俺の知り合いの神が張り付けてるからな
そう簡単には取れないぞ【なん・・・だと…】

869黒龍:2013/06/07(金) 20:27:52 ID:y0n1DJhg
>>868
『神格持ちかw
ん?現人も持ってたんだよな?

それにしてはヒッキーとかオタクに見えるぞ!?ww』

少なくともゲーマーなコイツには言われたくないであろう。

870現人:2013/06/07(金) 20:33:02 ID:rRrCSwK.
>>869
まぁ、一応俺も神格持ちだな
【あっさり同意した】

871黒龍:2013/06/07(金) 20:51:19 ID:y0n1DJhg
>>870
『でもさーマジで気になるんだけど。なんでそーなったん?』

知り合いにされたと言っていたがなにかやらかしたんだろうか?

872現人:2013/06/07(金) 20:58:03 ID:rRrCSwK.
>>871
色々複雑な事情があるんだよ
【少し表情を暗くして】
あ、すまん、用事があるんでそろそろ失礼する
【手を振り去っていった】
手を振り去っていった

873黒龍:2013/06/07(金) 21:01:28 ID:y0n1DJhg
>>872
『悩みなら聞くぜ?お、そうか・・・またな!』

手を振り替えし草原を後にした

874叡肖:2013/06/08(土) 05:08:25 ID:KqdtOXDk
>>859
「巴津火を呼ぶつもりか?」

黒龍と対照的に眉根を寄せて、幾分渋い表情になり

「・・・・・・」

やめておけ、と言おうとしたが思い直して口を噤むと、肩をすくめ

「・・・俺が言っても仕方ないか」

なぜか気乗りのしない様子で立ち上がり、承諾のしるしに頷くと黒龍の去った方向とは
別のほうへと歩き出していった。


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