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避難所

274水町さん:2011/08/25(木) 02:41:08 ID:tElbSrz.
>>273

 匂い無く、音も無く。
 しかし直に感じる彼女の気配。

 心を覗かれるようなその存在に驚きながらも、
 別段、歩を遅める様子はなかった

「本当に心が暖かいならば、
 こんな馬鹿げたことすぐにでも止めるべきでしょう。
 私がそれをしないのは、私自身が憎しみを抱いているからですよ」

 耳元で囁かれる言葉の羅列。
 そんなよくわからない理論はもう聞き飽きた。
 感情や利権で動いたならば、水町は聞きとめることもあったろう。

「そんな道理も存じませんし、貴女が何故そんな風に思うのかもわかりません。
 ただ複雑だ、天上の命だ、などとおっしゃられても。地を這う私にはさっぱりです。
 そんなよくわからないことを、よくわからないまま見届けろなどとおっしゃられても、
 ただジッとしていられるほど私は冷血動物ではありませんよ」

 歩みを止めることも無く。
 ただ森の出口へと水町は消えて行った。

275児佐々 美雪:2011/08/27(土) 22:32:23 ID:1gBuqmPQ
空模様はどうやら夕立の気配。

「あー、もう!こんな日にバイトだなんて最悪っ!」

ぽつりぽつりと大きな雨粒が落ちてきたのに慌てながら、傘を持たない少女が街中を走ってゆく。
濡らすまいと布鞄を大事そうに抱えこむその背中を追いかけるように、雷の音がした。

「新しいサンダル履いてくるんじゃなかったっ」

ついさっきまで彼女の気分を高揚させていた真新しいサンダルは、ヒールの高さもあってまだ足に馴染みきっていない。

「うわ、キターッ!!」

不意に辺りが白くけぶった。天の底が抜けたようなゲリラ豪雨である。
ずぶ濡れになりかけた少女は慌てて、近くの商店の軒先に飛び込んだ。
白いワンピースも、肩で切りそろえられた髪も、既に大分濡れていた。

276竜崎シグマ:2011/08/27(土) 22:45:03 ID:lZ5WJ8jw
>>275
少女が飛び込んだ商店の軒下には男がいた。
髪は無造作黒髪、ヒゲがうっすら色眼鏡。そんなライダースーツの男。
彼は軒下の雨が当たらない場所に木の板を広げ、その上にアクセサリーを並べていた。

「そこのお嬢ちゃん。アクセサリー買ってかないか?」

低音の声で少女に話しかける男。
ぐぐっと、少女に向けて親指を立て、にやりと笑った。

「安くしとくぜ? こんなクソったれな雨の日には特に」

アクセサリーはメタリックなものが多く、鈍い光を放っていた。
値段は百円から千円と幅広い。首からかけるものや腕輪など形も様々だ。

277児佐々 美雪:2011/08/27(土) 22:55:08 ID:1gBuqmPQ
>>276
年頃の少女であれば、アクセサリーの類には惹かれる。
お手ごろ価格ならば尚更だ。

「何か可愛いのってある?」

黒革の服やライダースーツに似合うようなゴツいシルバーアクセサリー以外に、
いわゆる可愛いもの好きに受けるデザインのものがあれば、彼女は興味を持つはずだ。

「ブレスレットとか、あ、イヤリングあると嬉しいな。うちの学校、校則でピアス禁止なんだ」

とは言え、こっそりピアス穴を開ける生徒が居ないわけではない。
例え校則が禁止していなかったとしても、多分彼女の養父がピアス穴を開けるのは許してくれないのだ。

278竜崎シグマ:2011/08/27(土) 23:05:40 ID:lZ5WJ8jw
>>277
年頃の娘。アクセサリーには惹かれるだろう。
この男とてゴツい物ばかりを販売しているのではない。

「ピアス禁止か。ちゃんとイヤリングや可愛いパンダの印が入ったブレスレットならあるぞ」

そういって男は後ろに置いていた袋からピンク色のイヤリングやブレスレットを数個、木の板の上に広げた。
その直後、男はタオルを少女に投げて渡した。

「ずぶ濡れだな。風邪引くから頭ふいとけ」

そしてまたぐぐっと親指を立てた。

279児佐々 美雪:2011/08/27(土) 23:14:09 ID:1gBuqmPQ
>>278
「ありがとう、お兄さん優しいね」

そう言って少女は自分もぐぐっと親指を立ててタオルを受け取った。色白のその頬にえくぼが浮かぶ。
濡れた髪と肩をできるだけふき取ると、たたみなおして男に返した。

「同じバイト先の子たちは、可愛いピアスいっぱいつけてるんだよねー」

そう言いながら、並べられたアクセサリーの前にしゃがみこむ。
木の板の上に置いてある鏡を覗きながら、小さなビニル袋にパッケージされたイヤリングを、
そっと耳元に当てて見比べ始めた。

他のアクセサリーなら手に入れさえすれば着けられるが、ピアスとなるとまた別だ。
他の少女たちを羨ましいと思いつつも、自分でピアス穴を開ける勇気はまだこの娘には無いのだ。

「うーん、どっちのが似合うかな?」

えへ、と笑いながら二種類のイヤリングを左右の耳元に当てて、男に尋ねる。
一つは花の形、もう一つは猫のモチーフがぶら下がったデザインだ。

280竜崎シグマ:2011/08/27(土) 23:26:16 ID:lZ5WJ8jw
>>279
「可愛い子にはお兄さんとても優しい」

ぐぐっと立てられた親指を見てしみじみとした笑顔を浮かべると返ってきたタオルを腰のポーチにしまう。
しみじみとしたその笑顔はそのえくぼに萌えたのだ。

「ピアスなんか開けるもんじゃない。親からもらった体に何をするんだ」

男はしばし、少女の耳元に当てられた二種類のイヤリングを見ていたが、「よし」とうなる。

「しばらくピアスを開けないなら片方をサービスしよう。
お兄さんはピアスを心から憎んでいる。そう、今一萌えないからな」

キリリッ、という効果音でも聞こえそうなドヤ顔。
「ちなみに猫の方が似合ってるぞ」と付け足した。

281児佐々 美雪:2011/08/27(土) 23:39:26 ID:1gBuqmPQ
>>280
可愛い子と言われ、さらに片方サービス、と聞いて、少女の顔がぱっと笑顔になる。
それは向日葵のように明るく元気な笑顔だった。

「わぁ、ありがとう!お兄さんもイケメンだよ。やっぱり猫ちゃんの方が似合うよね?ね?」

黙っていれば花の似合うしとやかさもあるのかもしれないが、
喋って笑って動き回る少女には、確かに猫のような活発さがある。

「ええと、幾らになるのかな?」

一度イヤリングを木の板に置き、布鞄から小さながま口を取り出して中身を数え始める。
その時取り落とされた小銭が一枚、地面に跳ねて雨の中へと転げ出た。

「あ。しまった!」

慌てて布鞄を店先に置くと、雨の中を一歩二歩と大きく踏み出し、水溜りから硬貨を拾って
急いで軒下へかけ戻って来る。
しかしその時、結構な深さの水溜りの上を、少女のサンダルは沈むことなく駆けていた。

「折角タオル借りたのに、また濡れちゃった」

はたはたと服の裾を叩いて、布地に染み込む前に雫を払いながら、少女は笑ってそう言った。

282竜崎シグマ:2011/08/27(土) 23:54:18 ID:lZ5WJ8jw
>>281
向日葵のような笑顔、猫のような活発さ。そして十年ぶりに言われたイケメンと。
それらは男の萌えゲージをすぐさま最大にすると共に男の商売メーターを破損させた。

「そうだよ。お嬢ちゃんは猫のように愛らしい。価格は五百円の所を百円でいいよ」

ぐぐっとまた親指を立てかけるが、取り落とされた小銭の音で止まる。
雨の中へ飛び出す少女をありゃりゃと見ていれば、深めの水たまりの上をサンダルが沈むことなく駆けた。

「……へぇ、やるじゃん」

男はやや真剣な表情になるとまたタオルを少女に投げて渡す。

「お嬢ちゃん、君は普通と違ってたりする?」

男はやや曖昧な質問を投げかける。
口元を左手で押さえ、右手中指でキーホルダーをくるくると回している。

283児佐々 美雪:2011/08/28(日) 00:03:35 ID:1gBuqmPQ
>>282
「ええっ!本当に100円でいいの!?それなら私、ピアス穴は一生開けない!
 ……でもお兄さん、あんまり商売っ毛なくしちゃうと後で大変じゃないの?」

嬉しいと同時にちょっぴり驚いて、自身もバイト先で社会勉強真っ最中の少女は男の商売の心配も口にした。

「うーん?お兄さんの言う普通って、どういう普通?」

頭を下げて百円玉と交換にタオルを受け取る少女からは、一切の人外の気配は無い。
その生まれも素性も全くの人間なのだから当然だ。

284竜崎シグマ:2011/08/28(日) 00:16:48 ID:lZ5WJ8jw
>>283
「そうだよ。ピアスはやめとこう。それからこの商売は半ば趣味でやってるからいいんだ。
本業でちゃんと稼いでるからいいんだよ」

そして百円を受け取り、タオルを交換する際に一瞬、じっと目を見つめた。
彼女からは人外の気配はない。ならばなんらかの影響を受けているか、素質を持っているか。

「いやぁ、普通っていうのは……。
そうだな、俺はお化け退治の仕事もやってるんだ。
これも半ば趣味だけど。君もお化け退治の素質があるんじゃないかな」

回していたキーホルダーをポーチにしまうと、その場にしゃがみこんだ。
そして先ほどの二種類のアクセサリーを紙袋に入れて彼女に渡す。

「まぁ、お化けなんて今時信じないか」

男はそう言って笑いながら木の上のアクセサリーを片づけ始める。

285児佐々 美雪:2011/08/28(日) 00:22:32 ID:1gBuqmPQ
>>284
ぱたぱたと叩くように水気をふき取りながら、少女は男への警戒を一切見せていない。
さっきの彼女は全くの無自覚に水上を歩んだのだ。
不意な曖昧な問いかけに軽く疑問を抱きつつ、
まだこの男のことは「気前の良いイケメンなお兄さん」としか思っていなかった。

それが変わったのは、男のその先の言葉を聞いた時。

「お化け退治?お化けはみんな退治しちゃうの?」

紙袋と交換にタオルを返した少女は、アクセサリーを片付け始めた男に
どこか不安そうな声で尋ねた。
それはお化けを信じないかどうか、という男の問いかけへの明確な答えにもなっていた。

286竜崎シグマ:2011/08/28(日) 00:35:47 ID:lZ5WJ8jw
>>285
また返ってきたタオルを腰のポーチに入れると男は少女をじっと、見た。

「悪いお化けは退治しちゃうよ。大体は三択だぁ。
話し合いの結果、出てってもらう。有無を言わさず追い払う。
そしてダメならやっつけちゃう」

そう言い終わると男はアクセサリーの入った袋を、商店の角に止めてあったバイクの荷台にくくり付け始めた。
木の板も袋の中だ。

「そう不安そうな声色しちゃダメよ。別に見境なく退治してるんじゃないからさ。
見境なく戦えるほどうちは強くないし。戦いは避けて稼ぎたいし」

一通り片づけ終わったらしく男は背伸びをした。
そして再び少女に視線を移した。

「お嬢ちゃんも、悪いのには注意しなよ。
変な奴も悪い奴も、人だろうがお化けだろうがいるからね」

287児佐々 美雪:2011/08/28(日) 00:47:44 ID:1gBuqmPQ
>>286
少女はどきどきと鼓動を耳の中で聞くほど緊張しながらも、そぶりには極力出さないように努めて
男の言葉を聞いていた。

「うん…そうだね」

男の言葉の一体どれに肯定の意を示したのか曖昧な返事を返し、ちょっと間をおいてから

「私も気をつけるから、お兄さんも気をつけてね。
 いい人にはあんまり危ない目って、あって欲しくないし」

片付け終わった男に、ちょっぴり寂しそうに微笑んだ。
そろそろ雨も上がる頃合いで、雲の切れ目から夕日がさっと照りつけて
一時的に雨と陽射しが同居した。

「あ、狐の嫁入り!」

しかしすぐに雨はやむ。降りが激しかった分、上がるのも直ぐなのだ。
雨宿りの必要が無くなれば、この二人もそれぞれの道を行くのだろう。

「お兄さん、イヤリングをおまけしてくれてありがとう。こっちのお仕事でこの先儲かるといいね」

そうしたら、お化け退治なんてしなくて済むのに。
そう言外に滲ませながら、白いワンピースの少女は軒下を出た。
今度はそのサンダルがちゃんと水溜りに沈むのを、男は見ることだろう。

288竜崎シグマ:2011/08/28(日) 01:01:05 ID:lZ5WJ8jw
>>287
「いい人なんて言われたのは五年ぶりだ……」

微笑む少女に男も微笑み返した。
「うん……そうだね」その言葉は曖昧で肯定なのか聞き流したのか男にはわからなかったが、男はとりあえず、フルフェイスのヘルメットを被った。

「本当だ。狐の嫁入りだ。お兄さんこの天気大好き」

軒下から飛び出した少女のサンダルが沈むのを見た男は、ほっと息を吐きバイクにまたがる。

「今度お友達を連れてきてくれたらまたおまけするぞ」

言外に滲まされた言葉を男は感じ取ったのか感じ取らなかったのか、男は少女に手を振ると雨上がりの道をバイクで走っていった。

/お疲れさまでした。久々なのでミスもあちこちにありますがまたよろしくお願いします
ありがとうございました

289児佐々 美雪:2011/08/28(日) 01:06:51 ID:1gBuqmPQ
>>288
「うん、ありがとう!またいつかね!」

バイクにまたがった男に手を振る少女は、今はもうさっきと同じく
向日葵のように元気で、猫のようにあっけらかんと無邪気であった。

「うっひゃ!冷たっ!」

そして一歩踏み出してずぼり、と水溜りに嵌り、
濡れたサンダルで雫を散らしながら、彼女もまたバイト先へと駆け出したのだった。

「また遅刻する〜〜〜っ」


//こちらこそ、またよろしくです。ありがとうございました!

290竜崎シグマ:2011/08/28(日) 22:54:57 ID:lZ5WJ8jw
ある日の夕暮れ、ライダースーツを着た色眼鏡がバイクで向かったのは町外れの森の廃墟だった。
それは古い洋館で昔は博物館として使用されていたらしい。見かけはツタが外壁を覆う不気味な構え。
門の前でバイクを降りた色眼鏡が呟く。

「やだなぁ、気持ち悪い。なんでこんな所でツチノコ探さないといけないんだよ」

男はそこらの茂みの中にイタチやアライグマを捕まえるゲージをバイクから降ろして設置し始めた。
夕暮れの空の下、比較的身長の高い黒ずくめの男は目立つ。

「なんでこんな仕事してるんだろう」

眉間に皺を寄せた男は餌となるネズミを紐でくくり始めた。

291日野山 幽次郎:2011/08/28(日) 23:07:39 ID:0pLkNyIA
>>290
ギイイ、と低く軋んだ音を立てて、錆びついた門が開いた。
古い洋館の入り口に足を踏み入れたのは、ツナギの作業服を着た男だった。
きょろきょろと周囲を見回し、ふぅと息を付く。

「さーて、ここなら人もいないだろうしゆっくり……って」

茂みの中に視線をやった日野山は、そこに止まったバイクを見付けた。
驚いたように目を見開き、あちゃあと頭を掻いた。

「ここにも先客がいんのかよ!
 はー、世間って狭いのね……」

292竜崎シグマ:2011/08/28(日) 23:21:06 ID:lZ5WJ8jw
>>291
錆び付いた門が開く音を聞いて茂みの中から振り返る。
色眼鏡の目に入ったのはツナギの男。そして彼は「先客」といった。
さらにツナギの男が驚いたのを見て、なんだか申し訳なくなった。

「あ、いや、すいませんね。自分バイトですので」

立ち上がりとりあえず頭を下げつつ、茂みをでて男に歩み寄った。

「やっぱツチノコ探しですか? 今懸賞金が跳ね上がってますよね」

町がツチノコに賭けている懸賞金が大幅に増額された。すべて新しい町長の仕業である。
最近は目撃例も増え、一部のツチノコハンター達は色めき立っている。

「いやぁ、ツチノコってどんな色してんでしょうね」

色眼鏡は後ろ髪をかきながら笑った。

293日野山 幽次郎:2011/08/28(日) 23:34:22 ID:0pLkNyIA
>>292
「ああ、バイト……」

人気もほとんどないような古い洋館で、一体どんなバイトなのだろうか。
興味が出てきた日野山は、竜崎がいた茂みを覗き込んだ。
何やらゲージを設置しているらしい。
害獣駆除のバイトか何かと思っていれば、竜崎が言った言葉は、

「ツ、ツチノコ??」

日野山はきょとんと目を点にする。
そんなものが本当に存在するのか……と一瞬思ったが、頭を振って思い直す。
妖怪だっていたんだから、ツチノコだっているかもしれない。
だって実際、今自分が餓鬼なんだし。

「俺はその、なんつーか、仕事の休憩?」

作業を見てみたいので、「続けて続けて」と手を振る。

294竜崎シグマ:2011/08/28(日) 23:46:40 ID:lZ5WJ8jw
>>293
「ええ、ゲージを設置するバイトです」

そういって色眼鏡は「ツチノコのバイト求人」のチラシを開いて見せた。
ゲージを規定数決められた位置に設置することで五千円ほど貰えるようだ。

「え、あなたツチノコハンターじゃないんですか?」

男がきょとんと目を点にしたのを見てこちらもきょとんとしてしまう
その後、「続けて」と言われたので餌のネズミをゲージの仕掛けを作動させる棒に紐でくくり付け始めた。

「……仕事の休憩ってこんなところでやるんですか?」

ネズミをくくり付け終わるとまた別のゲージにネズミを仕掛け始めた。
ネズミは彼の指に噛みついたりしてるが厚手のバイカー用手袋の彼の指にはまったく利いていない。

295日野山 幽次郎:2011/08/29(月) 00:04:49 ID:0pLkNyIA
>>294
「ふーん、そんなモンがねぇ……」

チラシを眺めながら、指で顎先を撫でる。
ゲージを設置するだけで五千円なら、意外と高収入かもしれない。
ただし「ツチノコのバイト求人」という謳い文句が怪しすぎて、応募するのに多少の勇気が伴うだろうが。

「違う違う。おじさんはただの、えーと、作業員だよ」

よいしょ、と膝を曲げる。
竜崎の作業を興味深々に見ていると、不意に尋ねれて、

「え、」

それは明らかな動揺だった。
ごもごもと口ごもり、言いよどんだ末、

「お、俺ってさー、意外と一人が好きだったりするんだよね! あはははは!」

気さくに笑って、ぽんぽんと竜崎の肩を叩く男が一人が好き、とはどうも結びつきづらかった。

296竜崎シグマ:2011/08/29(月) 00:21:24 ID:lZ5WJ8jw
>>295
ゲージ設置五千円、なかなか高収入である。
だがそれは広範囲に及ぶ上に険しい場所も含まれるためなかなか骨が折れるのだ。

「作業員の方でしたか。しかしあなた一人が好きな割に……いや、なんでもないです」

明らかな動揺。怪しいと思った。この洋館に何か盗みに入るつもりなのか。それとも何か…。
一瞬考えたが考え過ぎか、とその思考を手放す。
しかし肩を叩かれ、何か男に人ならざるものを感じ、作業の手を止めた。

「……ひょっとして何か変わったものあります? 何か見えるとか、何か感じるとか」

「後やたらツチノコ寄ってくるとか」と付け足した。

297日野山 幽次郎:2011/08/29(月) 00:30:33 ID:/AfNAO.Q
>>296
(ほっ、何とかごまかせたか)

日野山は安易に胸を撫で下ろした。
相手に、人ならざる気配を感じられているともしらずに。
正確に言えば、人でもあり、妖怪でもあるというべきなのだろうが。
竜崎のことを微塵も疑っていなかった日野山は、だからこそ、唐突に尋ねられてさらに動揺した。

「ってえぇ!? ななななーに言ってんだあんた! おかしな人だなー、あはは……」

冷や汗が額を伝う。

298竜崎シグマ:2011/08/29(月) 00:43:39 ID:lZ5WJ8jw
>>297
男は動揺し冷や汗を流している。
これはあれだ。たぶん何かだ。

「いやぁ、すいませんね。私こういうものでして」

腰のポーチから名刺を取り出しすすっと手渡す。
名刺には「やたら強い妖怪に対抗する退魔士の会会員竜崎シグマ」と書かれている。

「うちは妖怪さんからも人間さんからもご依頼受け付けておりますのでどうぞお気楽に。
ご相談は無料で受付させていただいております」

そしてニコリと営業スマイルだ。
すべつのゲージはいつしか設置が完了しており、彼の仕事は完了したようだった。

「よし、設置完了。あなたも今度ツチノコの求人やってみたらどうです? まぁまぁ楽しいですよ」

299日野山 幽次郎:2011/08/29(月) 00:52:52 ID:/AfNAO.Q
>>298
「はあこれはどうもご丁寧に」

いきなり名刺を渡され、困惑気味にそれに目を通す。
だがそこに書かれている、ある単語を目にした途端、背筋がひんやりとした。

「や、やたら強い……妖怪? 退魔士?」
(やっやばい、何かやばい気がする……小鳥遊先生に怒られるような何かが起こっている気がするッッ)

竜崎の営業スマイルが、まるで死神の微笑みのように見える。
彼がゲージを設置完了すると同時に、日野山は慌てて立ち上がった。

「お、おじさんにはもうキツいなか〜〜この仕事は! じゃっ! 頑張れよぉ若いの!」

そう早口で言って、早足に門から去っていった。
制止も聞かないだろう。

//すいません、寝落ちしそうなのでここらで…

300竜崎シグマ:2011/08/29(月) 01:01:11 ID:lZ5WJ8jw
>>299
男が早足で門を去っていくのを見送った彼の後ろにはツチノコと呼ばれた形がどうみても着ぐるみなツチノコが二本足で立っていた。

「来ていたか。まだまだこの町には楽しい人達が居そうだ」

ツチノコ「楽しめそうだな竜崎。そして今宵は良い月……」

いつしか空には満月が。

「今宵も、」

ツチノコ「狂おうぞ」

とかいってふざけるやたら強い妖怪云々の会員達であった。

/お疲れさまでした。遅くまでありがとうございました

301喫茶店《ノワール》:2011/08/31(水) 15:22:48 ID:c1.PBF/s
本スレ>>444本スレ>>445

夕「先に言うけどコレは姉さんの趣味だからね?俺にそんな趣味はないから」ショボーン
夜「だって夕はお人形さんみたいでなんでも似合うじゃな〜い♪貴女たちもコスプレしてみる〜?ナース服とか執事服とか色々あるわよ〜。もちろんサイズもね〜♪」ニコニコ
夕は落ち込みながらそう説明してると、夜は目を光らせながら二人を見つめる。

なんか二人に店長の魔の手がのびそうになってるが…夕は慌て、話の間に入る。

夕「言っておきますけど先輩のも奢りますよ?アレですよ。俺の女装の口止め料って事で」
夜「もしそれでも気がひけるんだったらサービスでもいいわよ〜。こんなカワイイ子にサービスしないなんてダメだと思うの」ニコニコ
なんとなく美雪の考えを見抜きそういう田中くん。自分から損する道に進むとは…

夜「いいわね〜。ちゃんと将来について考えてて〜
けどまだ高校生活は長いんだから慌てちゃダメよ〜。今を楽しんで未来に繋げなさい」
そう言いながら、なんか窓から気配がしたのか
窓に向かい高速にフォークを投げた。

外から「ショター……ぐはっ!?」って叫び声が聞こえたのは気のせい……かな?

夕「姉さん…いま……」
夜「さ〜〜て♪チョコレートケーキ二つにコーヒーね〜」
何か言いたそうな夕をしりめに、夜は何事もなかったようにコーヒーの準備をし始め、のっぺらぼうの店員に指示を出し始める。

302児佐々 美雪:2011/08/31(水) 15:50:00 ID:1gBuqmPQ
本スレ>>445 >>301

ペトラの風船はシャボン玉のように不思議な色に輝き、しかしシャボン玉よりはずっと丈夫だ。
それはどこか、駄菓子屋や祭り屋台で売っている玩具のポリバルーン、
あの糊の入った金属性チューブとストローのセットになっているあれを思い出させた。

「ふわふわして、綺麗」

時折バルーンの中を鮮やかな色が揺らいで過ぎる。
このバルーンを覗いていると、抹茶パフェの白玉と寒天のつるりとした喉越しも、この店の雰囲気も、
女装男子も、時折なぜか素早い店長さんの動きも、どこか童話の中めいているように思えた。

「コスプレ?可愛いのあったら、着る!」

すっかり不思議の国の住人になった気分の美雪は、田中くんの制止も空しくあっさり店長さんの案にのって
片手を高く上げた。
衣装を色々変えてみるのは楽しいけれど、お小遣いがあまり多くない美雪にはそういう着道楽なことはまだできないのだ。

「あとね、私に口止め料は要らないよ。口止めされる気、無いから♪」

抹茶パフェを食べながらすっごく楽しそうに、にぱっと笑う美雪。
どうやら田中くんのお財布のダメージは一部、ココロのダメージへと変換されるようです。
高校が同じだと新学期が怖いという罠。

303ペトラ:2011/08/31(水) 18:07:54 ID:???
>>301

「あ、そーなんだ…よかったぁ」

少年は、安堵の表情を浮かべていた。ほっと息を吐く
この男の子も大変だなあ、と、同情する様な、笑みを浮かべた
でもやっぱりメイド服、似合ってるなー…

「あ、いや、僕はいいよ…」

目の前の少年の様になるのは、ご免であった
緩慢な動作で首を左右に振って、断ろうと試みる。
尤も今の、汚れた迷彩の繋ぎ姿も大概ではあるが

>>302

「へへっ、でしょー?」

声を上げる美雪の様子に少年は少し、得意気であった。
嬉しそうに笑いながら、不思議な模様と、それを見る美雪
その二つを眺めて、ゆったりとした時間を過ごしていた

304喫茶店《ノワール》:2011/08/31(水) 20:41:12 ID:c1.PBF/s
>>302>>303

夜「色々あるわよ〜?普通の服から民族衣装まで色々持ってるから〜。気に入るのがあるかしら〜?
はい。コーヒー♪そこに砂糖とミルクから好みにあわせてね〜」ニコニコ
ノリノリの美雪に対し、夜も楽しそうにし、コーヒーを置く。

夕「……………なん………だと……!?……」ガビーン
哀れ……田中くん…君は学校で女装の噂がされる可能性と文化祭とかで女装を強制される可能性が出てしまった!!
彼の心はもうボロボロだ!!

夜「あらあら〜〜、それは残念ね〜」チラッ
夕「姉さん……」ジーッ
ペトラが拒否して残念そうにするも、いつ暴走するかわからないため夕は姉に釘をさすように見ている。

の「……お待たせしました……チョコレートケーキになります……どうぞ、ごゆっくり」ペコリ
そんなこんなしてるうちにのっぺらぼうの店員が二人の前に一つずつチョコレートケーキを置いていく。
味は結構美味しいだろう。

305児佐々 美雪:2011/08/31(水) 21:07:05 ID:1gBuqmPQ
>>303>>304
「ペトラ君はちゃんと男の子用の服を選んで着れば良いんじゃない?
 私、チャイナドレスとか一度着てみたいなー…」

色々あると店長さんに言われて、ちょっぴり気持ちがコスプレに流れているようだ。
そこにコーヒーとケーキが追加される。

「わぁ良い匂ーい。いただきます♪」

不思議なバルーンはカウンターにそっと載せ、美雪は抹茶パフェで冷えた舌をコーヒーで温める。
チョコレートケーキの甘さがそこへじんわりと染みていった。
美味しいもので自然と笑顔になった美雪は、対照的に落ち込む田中君にさらに駄目押しをする。

「実は文化祭の実行委員会でね、ミスター女装ミス男装コンテストやらないか?って案がでてたの。
 もちろん、田中くんはエントリーしてくれるよね?
 ほら、こういうのって事前に出場者確保しとかないと企画潰れちゃうしー?」

美雪に口止めされる気が無かった理由は、そう言うことだったらしい。
どうやら美雪は文化祭の実行委員らしいが、しかしOGの前でそんなこと話してしまって良いんだろうか。

306ペトラ:2011/08/31(水) 22:00:05 ID:???
>>304-305

「あ、そうか、な…」

確かにメイド服じゃなく男向けの洋服ならば、興味もあった
だるだるのツナギの襟を引っ張り見ながら、考えてみる。うん、意外といいかも知れない…
そんな様子でごくりと唾を飲む少年を夜が見たら、どんな行動にでるのだろうか

「お、おおおおお…」

かたん、音を立てて目の前に置かれたチョコレートケーキ
何時もは憧憬の対象であったのだが然し、今は違う――自分が、好きに、食べられるのだ。

「い、いただきまーすっ…」

若干緊張すらした様な面持ちで、口許へとチョコレートケーキの一片を運ぶ。
――…その後少年は顔をぱあっと綻ばせながら、もう一口二口と食べ勧めていった。
どうやら相当、気に入ったらしい。

307喫茶店《ノワール》:2011/08/31(水) 22:55:56 ID:c1.PBF/s
>>305>>306

夜「ペトラくんは女の子の衣装似合いそうなのに〜〜」
ちょっと残念そうにしながら夜店長はカウンターから出て奥の個室に行きはじめる。するとそこから色々な服を持ってき始める。喫茶店が服屋になりそうな量だ!!
普通の服からアニメのコスプレ衣装にマニア服や民族衣装と数が本当に揃ってる。

それこれもこの店長の《普通》の趣味である。

夕「なっ…!?」
彼が恐れていた事態が起こってしまった…
全校生徒の前で女装など《普通》はしたくない。
だが…彼が言おうとした瞬間……

夕「ムガーッ!!!!!」ビュンッ!!!
突然田中君がにワイヤーが絡まり引きずられてしまったではないか!!!
そこを辿れば夜店長が革手袋から特殊ワイヤーをだし、田中くんを簀巻きにしてるではないか!!!

夜「その案………素晴らしいわ〜〜!!!私が生徒会の時何回も文化祭実行委員会と口論してできなかった事をするなんて〜〜!!
ねえねえ!!私にも手伝わせてくれないかしら〜〜!!!」キラキラ
………もし過去の生徒会について調べられたらわかるかもしれないが、そこに在籍してた顔は美人、成績は優秀、運動神経抜群……しかし変人級のコスプレマニアの書記がいた事がわかるかもしれない。
そう彼女こそが7年前の変人ばかりの生徒会役員の書記――コスプレ狂 田中夜である!!


の「……ケーキのおかわりはいりますか?…」
猫「また始まったにゃ…店長の悪い癖にゃ…
あ!コーヒーはお代わり自由にゃよ!」
店員二人はなれたようにソレをあえて無視しながら二人におかわりをいるか聞く。

308児佐々 美雪:2011/08/31(水) 23:13:16 ID:1gBuqmPQ
>>306>>307

(確かにペトラ君はかわいい…)

ケーキを頬張って顔を輝かせているペトラは確かに可愛い。でも、女装の強要は駄目だろう。
こんな小さな子を大人の欲望の餌食にしてはいけないと美雪は思った。
そう思っているうちに、気づけば店の中が貸衣装屋状態に。

「えええっと、今、まだ食べているので、コスプレはまた今度でも良いですか?」

流石の美雪も店長さんのテンションにはたじたじだ。
それでもしっかり可愛いものは目でチェックしている。

(あ、あのアオザイ可愛い♪)

そのため田中くんの受難には目を向けていない。

「え?そうだったんですか。
 今年は生徒会も実行委員会も、どちらもその案には賛成したんですよ……?」

どうやら運悪く今年はブレーキかける奴がだれも居なかったらしい。

「そうですねー、衣装をお借りできたら大変ありがたいんです。
 予算の関係でコスチュームを作る所までは無理そうなの」

しかしたった一委員の立場で、OGの乱入を決めてしまって良いのか美雪は少し迷っている。

「生徒会と実行委員会に問い合わせてみてからでも良いですか?
 後で店長さんの連絡先を教えてもらえれば、後でメールしますから」

コーヒーのお代わりだけを猫又さんにお願いして、美雪はケータイを取り出した。
店長さんのアドレスを聞くつもりなのだ。

309ペトラ:2011/08/31(水) 23:36:29 ID:???
>>307

「…そう、かな」

照れた様に頬を掻く少年、ついつい乗せられてしまっているような
軈て現れた衣服の量には、眼を丸くした――…その間もケーキを食べる手は、泊まらないのだが

「それにしても、凄い量……あっ」

メイド服姿の少年は、ワイヤーに絡まり連れて行かれてしまった。合掌
興奮した様子の夜を尻目に、黙々とケーキを食べ進める。美味しい、おいしい。

そしておかわりが要るかどうか、尋ねてきた店員に対し、物欲しげな視線を送った
ケーキはまだ食べ終わっていないというのに、せっかちなものである。

>>308

「――…?」

視線を感じた、のだろうか
少年はファークを操る手をふと止めると美雪の方を振り返り、
不思議そうに、小首を傾げた
口の周りにはべっとりとチョコレートがくっ付いて、なんとも

310喫茶店《ノワール》:2011/09/01(木) 00:02:41 ID:c1.PBF/s
>>308>>309

夜「私の時は男の子でもカワイイ女の子に、女の子でもカッコイイ男の子になるようにしたら同性でラブレターとか告白されちゃったりしちゃうからダメだって……私があんなにカワイイ服着させたのに…」
………多分ソレが原因だ。
その被害者に追悼……

更に言うと彼女はコスプレの事になると暴走するからという理由もある。ただでさえ当時は(も?)変人揃いの高校だったため一般公開の文化祭で暴走をおこさせないために当時の文化祭実行委員会は頑張ったのだろう……

夜「いいわよ〜♪いま送るね〜〜〜」
そう言いながらケータイを取り出し赤外線でメルアドを交換するだろう。


猫「はいにゃー」
店長の代わりにコーヒーをいれ、おかわりをしてあげる猫。

の「……じゃあ…食べ終わったらね…
慌てないでよく食べなよ?…」
ペトラにそう優しく言う。

311児佐々 美雪:2011/09/01(木) 00:05:31 ID:1gBuqmPQ
>>309-310

「何でも今年は有力候補が居るとか?で皆乗り気だったみたいですよ……と、メルアド受信しました」

多分その有力候補の一人は田中くんだ。
そして先生方も7年前の悪夢はきっと忘れているのだろう。だって今年の生徒会は「比較的」大人しいのだから。

そして、猫又さんの入れてくれたお代わりのコーヒーを飲みながら、
委員会と生徒会メンバーのメーリングリストにOG参入の件を打診完了する。
もうしばらく待てば返信があるだろう。
そしてこちらを見るペトラの、チョコレート色に染まった口の周りを見て、美雪はくすりと笑った。

「ペトラ君、すっかり美味しいほっぺになってるよ。ちょっとじっとしててね?」

美雪はおしぼりを手にとってペトラのほうへ屈みこむと、チョコレートで汚れた頬を綺麗に拭おうとした。
屈みこむと肩で切りそろえられた髪がさらりと揺れて、ほんの僅か麝香の匂いが漂う。

312ペトラ:2011/09/01(木) 00:22:53 ID:???
>>310

「うん、分かって…るっ」

のっぺらぼうへの返事は、空になった更にフォークを置いた音と共に
あっという間にぺろりと平らげてしまった。燦爛と輝いた眸はもっと食べたい、と
店員に、訴えかけていた。――その表情はどこか、夢心地な様子

>>311

「へ? あ、…ありがとっ…」

どうしたんだろうかと思いながらもその場でじっとしていると、やがてその訳が分かった。
照れくさそうにしながらお礼を言って、美雪の眸を見つめた

――そのとき漂ってきた麝香の匂いは、獏の少年にとっては合わなかったらしい
僅かに顔を顰めながら、なんのにおいなのだろうかと少し不思議そうに辺りを見回した

313喫茶店《ノワール》:2011/09/01(木) 00:33:26 ID:c1.PBF/s
>>311>>312

夜「あら〜?そうなの〜
フフフ…楽しみね〜〜」ニコニコ
夕(………不幸だ…)
結果を楽しみにしながら待ってる夜に、その隣で簀巻きにされながら涙目の美少女田中くん。

の「……はい…おかわり…」
そのペトラの表情にキュンっときながら、ケーキのおかわりを用意する。

心の中では店長の友人の《魔王》が来なくって良かったと安堵する。

夜「……」シュッ ショター! ザクッ フグッ>
店長が再び窓に向かいフォークを高速に投げ、外から何か聞こえた。

314児佐々 美雪:2011/09/01(木) 00:40:31 ID:1gBuqmPQ
>>312-311
「うん、どしたのペトラ君?」

お礼を言った後、ペトラが顔を顰めて怪訝そうに辺りを見回したので、美雪も不思議に思った。
美雪にとってはすっかり馴染んだ父親の匂いなので、その僅かな移り香は
人間の嗅覚なのもあって自分自身では感じられないのだ。

その時、カウンター上でブーンと静かに振動するケータイがメールの着信を知らせる。

「わぉ、もう返信来た……」

美雪がメールをチェックしている間にも次々と着信が来る。

「卒業生が手伝ってくれるなら皆大歓迎、むしろ菓子折り持ってお願いに行きます、だって」

メールには反対意見は一つも無かった。生徒会にとっても元生徒会の先輩はやはり「エライ人」なのだ。
生徒は誰も7年前の事は知らないのだから、7年前の事を知っている教職員にバレさえしなければ
田中君の文化祭における黒歴史は決まったも同然である。

「お姉さんがついてくれるなら、田中くんのエントリーはもう決まったようなものね」

これで一安心、と美雪もケーキとコーヒーの残りをゆっくりと楽しみ始めた。

315ペトラ:2011/09/01(木) 00:53:44 ID:???
>>313-314

「なんか、変な匂いがするかなー、って…」

小首を傾げたまま、微かだからかその匂いの出所は分かっていないのだろう、不思議そうに言葉を続ける
すんすんと匂いを嗅ぐ様にしてみせるけれど、特に意味はなかった

「ありがとっ」

再び相見えたチョコレートケーキに視線はあっという間に向けられて
そののちのっぺらぼうの方をさっと振り向くと、笑顔と共に礼の言葉を述べた

そして先程までと同じ様にフォークで一口分を切り取って、――…ぴたっ
今度は珍しく、そこで動きが止まった。何を想ってか、簀巻きにされた、夕の方を、振り向いて

「――…食べる?」

ぐるぐる巻きにされた上恐ろし気な計画が進行しつつある夕を、不憫に思ったのだろうか
とかく少年は、ささやかな幸福をこのメイド服の少年にも分け与えようと、カウンター席を離れ
フォークに突き刺したケーキを、夕の口許へと持っていった。所謂、あーん、の状態である

316喫茶店《ノワール》:2011/09/01(木) 01:05:37 ID:c1.PBF/s
>>314>>315

夜「あらあら〜嬉しいわ〜♪
けどコレは貴女達の文化祭だから私は口だしはしないわ〜♪出場者に私がメイクと服をしてあげるから〜」ノホホーン
のんびりとしながら服を片付け始めた。
こうして田中くんは抜け出せない泥沼不幸地獄へと落ちてしまった………

夕「あ…ありがとう」ニコッそんな不幸地獄に射した一筋の光――ペトラくんがチョコレートケーキを一口アーンされて、彼は御礼を言い、パクリと食べた。
端から見たら捕まったカワイイ少女が幼い少年にケーキを食べさせてもらってるという光景が………

317児佐々 美雪:2011/09/01(木) 01:10:07 ID:1gBuqmPQ
>>315-316
「あー、それもしかしてうちのお父さんの匂いかも。私にはわからないからなぁ」

いつかペトラが彼女の父親に出会った時、顔を見るのは初めてでも、その匂いでそれを知ることだろう。
そして田中くんにケーキを食べさせようとするペトラは、その見た目もあって十分微笑ましかった。

「やっぱペトラ君、可愛いなぁ」

そんな呟きが思わず漏れる。

「衣装だけじゃなくメイクまで?ありがとう御座います!
 お姉さんにはまた後日、正式に生徒会と実行委員がお願いに伺いますね」

食べ終わった美雪は、席を立つと店長さんと簀巻きの田中君にそう頭を下げると、
猫又さんにお会計をお願いした。

「そうだペトラ君、これ、貰っていっても良い?」

そしてふと思い出し、カウンターの上のあの不思議な風船を指差して、ペトラにそう尋ねた。
姉妹たちに持っていったら、いい玩具になりそうだと思ったのだ。

318ペトラ:2011/09/01(木) 01:27:58 ID:???
>>316

「どーいたしまして。……おね…お兄さん、名前は?」

にこりと笑う夕に笑みを返すと、フォークを口の中に、残ったチョコレートを舐めとる
余程、この味が気に入ったらしい。――…それも済むと少年は名前を尋ねた。少し、危なっかしく。

「僕はね、ペトラって言うんだ。よろしくね」

続けざまにそういうと、空いた左手で夕少年の頭を、撫でようとする
特に理由はないのだろうが強いて言えば、その表情を見ていたら、というところだろうか
人にされた事は何度かあるものの、自分からする事はほとんど無かったのだが

>>317

「へー…そうなんだっ 妖怪って、言ってたもんね。」

とすればお父さんからは、こんな匂いがするらしい。
ちょっと好きな匂いではないのだけれど、どんな人なのかは興味が湧いた

「あ、いいよ、もちろん。」

奢ってもらったり、優しくしてもらったり、「貰いっぱなし」だった少年は、
一考の時間も必要とせず、美雪のお願いを聞き入れた。せめてもの恩返し、という気持ちもある。

「また、一緒にケーキ食べようね?」

清算をしているらしい美雪に、そう声をかけた
ノワールで過ごした時間はなんだかんだで、少年にとって幸福なものとなっていたようであった

319喫茶店《ノワール》:2011/09/01(木) 01:37:59 ID:c1.PBF/s
>>317>>318

夜「どういたしまして〜」ニコニコ
優しく微笑みながら美雪にそう言い、隣でペトラに撫でられてる弟をほほえましく見てる。

夕「俺は田中 夕。よろしくな。ペトラ」ニコッ
撫でられながらも、微笑み自己紹介をする田中くん

猫「はいにゃー」
会計をしに猫又店員が動く、料金は優しい値段だろう。


夜「二人とも〜。いつでもここに遊びに来てね〜
今度私の旦那様も紹介してあげるから〜〜」ニコニコ

320児佐々 美雪:2011/09/01(木) 01:44:36 ID:1gBuqmPQ
>>318-319

「ありがとう、綺麗だから私の姉さん達がきっと喜ぶよ。また一緒にケーキたべようね」

美雪は肩にかけていたストールで、大事そうにその風船を包んで手提げにしまう。
猫又さんの示した優しいお値段には感激だ。

「文化祭で協力をお願いする立場なのに、サービスまでしてもらってありがとうございます。
 コンテストではこのお店の名前もパンフに載せてもらえるように頼んでみますね」

最後に、ご馳走様でした、と言って彼女は店を出た。

後日、ノワールには生徒会長と実行委員長が菓子折りを持ってやってくる筈だ。
そして帰ってきた彼ら曰く「あの店スゲェ」んだとか。一体二人は何を見たのだろう?
なんだかんだ、店の宣伝にはなりそうである。


//ではここで落ちます、お二人とも絡みありがとうございました!

321ペトラ:2011/09/01(木) 01:54:28 ID:???
>>319-320

「夕、ね。…うん。」

何故かは知らないが、夕は最初から呼び捨てのようだった
この辺りは彼の感覚なので適当であるのだが、それだけ親しみを覚えていたのかも、知れない

「もちろんっ…またね」

店を出る美雪に手を振って、しっかり見送りつつ
其れが済めばまたカウンターに腰掛け、チョコレートケーキを食べ始める筈だ
二つ目にも拘わらず、一向に飽きるような兆しも無い。

こうして今日も、幸せな時間は過ぎていった

//自分も瞼が思いのでこんな感じで…絡みありがとうございました!お疲れさまです

322喫茶店《ノワール》:2011/09/01(木) 02:09:11 ID:c1.PBF/s
>>320>>321

夜「いえいえ〜♪
サービスは大切だからね〜
またのご来店お待ちしておりま〜〜す」ニコニコ
笑顔で美雪を見送る店長だった。

夕「ペトラ。何か飲みたいんだったら飲み物とかも頼んでいいからね」
簀巻き状態からなんとか自力で脱出してる田中くんは優しくそう言った。
なんだか弟ができたような感じで

/二人とも二日間絡みありがとうございます!
/お疲れ様でした!

323零&黒龍:2011/09/02(金) 23:25:53 ID:HbHPxpxY
ここは、澪がいた湖。辺りは暗く、水面に月が綺麗に写っている。
そこには、暗闇に身を潜めて、いちゃらぶする二人が。

「ここなら人も来ないし、黒龍の存在もばれないよね?」

『あのな、万が一を考えてないのかっ!?ま、まぁ、零がそう言うから、来てやったけどな?////』

道返玉は首飾りのようにして、零は持っている。
奪い取れるのか・・・?

324宛誄:2011/09/02(金) 23:38:09 ID:tElbSrz.
>>323

 虎視眈々とそれを狙うものがいた。
 辺りからは音も無く、闇夜に紛れた黒の軍勢が零と黒竜を包囲し、迫り来る。

 軍勢たちはそれは小さく、隠密で、なおかつ一突きで相手を昏倒させるだけの病魔を携帯していた。
 顎、針・・・飛べる飛べないに関わらずあらゆる媒介経路となりうる小さな疫病神たちは零と黒竜に狙いを定め今にも跳びかかろうとしていた。

「こんばんは、お久しぶりです零さん」

 その軍勢の中から一人の少年が現れる。
 闇に紛れる黒い服と髪そしてそれとは対照的に映える色白の肌。
 しかしその眼はかつての逆心の如く爛々と紫に煌めいていた。

 黒の伏兵たちが身構えているのも随分気になるが、
 なによりもこの宛誄、以前よりもかなり妖気が増していた。

「お願いがあります、その首に下げた道返玉を頂きたく参上しました」

 生温い一陣の風が辺りに吹きぬけた。

325圓坐:2011/09/02(金) 23:47:00 ID:c1.PBF/s
>>323>>324

突然、病魔を防ぐように強風が吹き荒れ、吹き飛ばし小さなカマイタチが起こりそれを飛散させようとする。

「……まったくのう。零よ…自分も狙われてるのを忘れてはいかんぞ?
ワシに家にいろって行っておいてのう…」
そこに現れるは小さな邪神が見たら驚くであろう人物。

紳士のような格好をした初老の男――猿神 圓坐

「あの時の小僧よ…何故主がソレを狙う?
…主にはいくらか礼をしたい……だが敵対とするなら…容赦はせぬぞ?」
《暴食の罪》がなくいくらか弱くなったが……間違いない…彼だ。

……だが彼が誤算なのは……彼が生きてた事を《邪神》を監視してる《悪魔》にも知られたという事だ……

326零×黒龍:2011/09/02(金) 23:58:38 ID:HbHPxpxY
>>324
勿論、彼らが来てたことは分かっていた。
だが、二人はのんびりと会話を続けていた。

『このシチュ、カプの女の子側をさらっていくアレか!?』
「黒龍、それはないよ?男同士のカプ狙うのは腐女子くらいしかいないし。
知り合いに腐女子とかいないでしょ?」

そんな会話をしてたら、以前にも見た顔見知りの子が現れた。
そして、いきなり問題発言を。

『腐男子っ!?』ガビーン
「ちなみに攻めは私・・・じゃないよ、落ち着いて!
ごめんね、こんばんは。
何の用かと思えば、そんなことですか。とりあえず座って、話し合いませんか?サンドイッチありますし。」
>>325
『あ、どうも。あの時はry』

「おじいちゃん、駄目だよ!私には黒龍もいるし、大丈夫だからっ!」

黒龍には会うのが二度目であり、一度生き返らせて貰ったことに対し、礼を言った。

一方で零は、おじいちゃんに気を使う。外出すれば、万が一が常に起こりうる。そして、今回、それが起きたのだ。

327宛誄:2011/09/03(土) 00:21:22 ID:tElbSrz.
>>325-326

「・・・」

 零と黒竜は相変わらずの無頓着、無警戒っぷり。
 かたや現れたのはあの時の老人。
 自分には好意とも敵意とも取れるような警戒態勢。

 若干、いやあの二人はかなり腹立たしい事態だが頭越しに交渉を進めるには好都合。
 そちらが無関心ならば勝手に決まったら流されるだけだろう。
 なにせ無関心とは無価値であり無頓着であり無意味であることの陰義だからだ。

「なぜ、と聞かれたら答えは簡単です。
 青行燈の筋書きを台無しにしてしまいたい。
 今や文字通り生まれ変わった貴方なら僕の言っていることによーく共感してくださるはずだ」

 吹き飛ばされてしまった同胞を頬で感じ、
 その強風は宛誄の髪や衣をはためかせる。

「貴方が復習は下らないと考えるならば協力していただきたい。
 率直に言います、僕はこれ以上七罪者を死なせたくは無い。
 これは本来の僕の目的ではないが、過程的をピックアップして言えば同じことです」

 フッと風が止むと同時に妖気の質を変える。

「それにね」

 ニタリと微笑む宛誄。
 そこには“もう一人”の人格が宿っているように見えた。
 補足しておくがこれは宛誄が影に脅えるかの勇猛な神ではなく、
 もっと人懐っこくしいて言うなら少女のような無邪気を宿した面影だった。

「“許可”も貰ってますから」

328圓坐:2011/09/03(土) 00:41:15 ID:c1.PBF/s
>>326>>327

「気にするでない。黒龍よ
………零よ。なら、もう少し緊張感もってくれないかのう?主はワシの恩人じゃ…何かあったらワシが嫌じゃからのう…」
アゴヒゲを触りながら、呆れたように二人を見て溜息をはく。

ピクッ

《邪神》の言葉に、驚いたようにそちらを見る。

「何故……主が《七罪者》の目的を知っておる?
……いや……それより……」
何か言おうとした時、彼の雰囲気が変わったのに気付いた。

「……彼女じゃと?」
その時、零が首にかけてる道返玉が淡く光り始めるだろう。

329セツコ中:2011/09/03(土) 00:42:12 ID:c1.PBF/s
訂正!!

彼女→許可
です!!

330零&黒龍:2011/09/03(土) 00:58:23 ID:HbHPxpxY
>>327-328
「へぇ。」

淡々と話す宛誄に、ただそれだけを言った。
その返事はいかにも無関心だが、本当にそうなのだろうか。

「おじいちゃん、これが私達の緊張感の様な物ですよ。
むしろ普通に、在り来りな対応では、相手に何を考えているかばれてしまったり、余計警戒されます。
だからこうしているんです」ニコニコ

『・・・・・・。』

先程までの、のんびりした雰囲気は、気づいた時には既に消えている。
そこにはカップルでなく、不気味に微笑む少年と、宛誄を睨みつけている黒い龍がいた。

「私の答えはキミにも分かるでしょう?だったら、早く去りなさい。」

ふと、道返玉が光だす。
零は、それを手にとり、まじまじと見つめる。

331宛誄:2011/09/03(土) 01:13:22 ID:tElbSrz.
>>328

 その時、宛誄の体から何か半透明の霊体の様なモノが抜け出した。
 それは小さな少女の姿をしており、薄く輝いている。
 身体にはその性格を示すような山吹色の唐衣を纏っていた。

 少女は一瞬身を縮めたのかと思ったら、
 すぐ活発に身体を跳ね飛ばこの闇夜にはあまりにも不釣合いな明るい声を上げる。

『やっほーーー! お久だねー、ミッチーー!』

 霊体少女は満面の笑みである。
 まったく持って神聖さも威厳も無い、というかまったく本物っぽくない。
 おいおいいいのかキャラ付けはこんなんでいいのか、もうよくわからんぞ!

「と、まぁこういうわけです。僕は蜂比礼を取り込みました。
 随分素直かつ、気のいい方でしたので、おかげで“僕”の寿命はだいぶ延びたのですよ」

『おいおい、調子に乗られちゃ困るぜっアテるん。
 オレとしてはこのまま同胞が好き買って使われるのが癪だから“貸してる”だけだよ』

 どうやら宛誄は信じられないことに蜂比礼を共食いのように取り込み、
 自分の陰魄の中で共謀しているようだった。

 ただでさえ十種神宝は力無き者にも扱えるそれ自体が力を持った品々。
 それに相性の良さと魂の共感が加わった結果、力なき小さな邪神もそれを現実に行えてしまったのだ。

 零の言葉に少し勝ち誇ったように、呟く宛誄。

「残念だが、貴方は自分の意見を持っていないようだ。
 意思なき返答ごときじゃ僕は絶対に折れませんよ」

 そう零はもし、道返玉と圓坐が同意した場合には、絶対にその返答を曲げざるを得ない。
 なぜなら彼等は、正直言って馬鹿であり、無関心であり、巻き込まれた形であり、
 さっさと家に帰ってそこの竜とくんずほぐれつするなり、BでLに濃厚に絡んでろって感じであり、
 たった一つの言葉で要約してしまえば場違いであるからである。

『さーて、残念だけどここから先はかがみんにも見せてあーげないっ!!』

 ニヤリ、とふわふわしてる少女があさっての方向の空を見て笑う。
 するとそこから蜘蛛の子を散らすように奇妙な妖気が発散した。

「さて、話を戻します。むしろようやく本題に入れます。
 僕はできるだけ十種神宝をこの手に集めたい・・・数を持っていればそれだけタイミングと状況をコントロールしやすいですからね」

 ニタリと微笑む。

「そして“奴”の不意を突き! 【あの妖怪】の力を横取りする!!」

332圓坐&道返玉:2011/09/03(土) 01:43:46 ID:c1.PBF/s
>>330>>331

「なるほどのう…」
アゴヒゲを触りながら、零の言葉に納得し宛誄の方を見るが…

「なっ!?……まさか取り込んだのかのう?」
宛誄から飛び出す少女…いや蜂比礼を見て驚くが

『相変わらず騒がしい…
少しは静かにできないのですか?蜂比礼よ』
何処か芯がしっかりした女性の声が響き渡る。
多分このタイプは真面目系な眼鏡女子だろう(おいっ!

『蜂比礼よ。私としてはこの者の魂は気に入っています。
正しき者よ。貴方の本音を彼に言ってみてはどうです?そうしないと納得はしないみたいでしょう』
零に本音を宛誄に言うようにうながす。なんか実体があれば溜息を吐きながら、眼鏡をクイッとしてそうだが…

『私としては貴方が私を正しく使うかどうか…それが一番重要でしょう』

「………あの妖怪とは…どちらの事じゃ?それによりワシも答えをきめかねぬ…」

333零&黒龍:2011/09/03(土) 06:39:03 ID:HbHPxpxY
>>331-332
「道返玉さん、解りました。
私は、この道返玉さんを譲る気はありません。その理由を作ったのは、そこにいるおじいちゃん。
おじいちゃんは七罪者でありながら、黒龍を命に変えて救ってくれたし、この玉を渡してくれた。
未来を托された、と私は実感しました。
そんな優しい想いの篭った玉、誰が渡しますか?」

「道返玉さん、私は力で貴方を支配したくないです。貴方と共に歩み抜く為、お互いを理解しあい、良い関係を築く。
綺麗事に聞こえるでしょうが、これが私の本音。
だって、貴方も私の仲間なのだから・・・。」

零はこう思っているようだ。
ちなみに、意見を言わなかった理由は、言っても無駄だと思ったからだ。

334宛誄:2011/09/03(土) 12:54:16 ID:tElbSrz.
>>332>>333

 圓坐の疑問に少し含み笑いを湛えながら返答する宛誄。

「さぁ? そのことについては貴方の方が詳しい筈ですよ。
 強い怨念を引き出し、結界の中で【あの世】とリンクさせ召還する。
 いわば西洋に伝わる悪魔降臨の儀式のようなもの、呼び出す妖怪などおのずと予想がつくでしょう。
 ・・・まぁもっとも、仮に呼び出したとしてお望みの方が来るとは限りませんがね」

 言うまでも無いということか、はたまた知っていたとしてその名を出すのは憚るということか。
 零のにべも無い言葉に、蜂比礼は顔をしかめる。

『けー、よく言うよっ! 結局は力で救われたくせにさー!
 ミッチー。ホントにこいつの魂、気に入ってんのーーー!?
 十種神宝(わたしたち)にこんなこという奴なんていっぱいいたじゃん!
 都合のいい時ばっかり仲間面善人面する使い手! こう言う奴が一番信用ならないよ!』

 なにやら思うところもあるようで、蜂比礼は舌を出しながら手を振る。

「なるほど確かに、命の恩人をいきなり寄越せという方が無茶な話ですね」

 少し瞳を閉じ、意味を反芻する。
 そして見開かれたその眼には、すでに紫の輝きは無く。
 代わりに闇よりも濃い、純然たる黒の瞳が見据えていた。

「しかしね零さん、僕もまた・・・大事な人の為に動いている」

 “大事な人”という、単語を出すのに些かの躊躇いが見られたが。
 その口調ははっきりとし、そしてどこか譲らぬような響きがあった。

「今なら間に合うかもしれない、まだ死なせずに済むかもしれない。
 貴女の友達である沖津鏡を、貴方の大事な人だった桔梗さんを。
 生きる、いや・・・これはおかしな言い方ですね。
 “そこに在ること”を諦めかけている彼等を、死なせずに済むかもしれない」

 その口調は何か、自分や誰かにむけて語りかけるような響きがあった。

335圓坐&道返玉:2011/09/03(土) 17:28:12 ID:c1.PBF/s
>>333>>334

「……知っておったか
しかし、アレは現世に出ただけでも世界のバランスが崩れる存在じゃ…

圓坐は顔をしかめながらそう答える。
アレの力を奪うとは余程の事でないとできない……果たしてそれを小さな邪神にできるのか?色々疑問が出て来る。

『言いましたよね?私は魂が気に入ってると
零よ。貴方の魂は一度《闇に堕ちた》事ありますよね?しかし今は強き意思で《今に》いたっている。違いますか?
私は彼のその魂の強さにひかれた。正しくあろうとしているのに
今言った言葉は確かに私たちにとっては信用ならない言葉でしょう。
だが魂は正直だ。強く正しく生きようと動いてるのを私は感じます。
蜂比礼よ…私は彼の魂の強さを気に入りそれを見定めようと思います。
もし、彼が私に相応しくないと感じればすぐに彼を見限りましょう。』
《魂》を見る《彼女》はそう優しくも芯が強い言葉でそう言う。
一度闇に飲まれた魂がどう抗っていくのか彼女には興味があったから…


「それで貴方は私を今所持しなくっても、借りる時に借りる選択肢もあると思われます。
今は零に私を任せてみて、それで貴方は零に自分の意志を上手く理解してみてはいかがでしょう?
貴方が《七罪者》に手を貸しながらもこちらに交渉を持ち込むのなら信頼を得て、貸してもらう時に貸せるよう状況を作るのも一つの手ではないでしょうか?」
『……』
《小さな邪神》の言葉に対し、そう提案する《十種神宝》
そして《猿神》は悩むように黙っている……
確かに友を死なせたくない……しかし…それを邪魔するであろう存在がいるのを猿神は頭を過ぎる。

大禍日神の身体である青行燈……アレは大禍日神を含む七罪者たちを駒として考えてる。
それにこういうのを計算に入れてる可能性もある…
そこが不安なのだ…

336零&黒龍:2011/09/03(土) 18:20:37 ID:HbHPxpxY
>>334
「大事な、人・・・?」

それは意外な事であった。この邪神も、大切な物の為にそれを必要としている。だが、自分は道返玉を守りたい。しばらく、沈黙する。
『・・・なぁ、俺でよければ、あんたの肩代わりしてやるか?』
「な、何言ってるの!」
『それなら、誰も争わなくて済むだろ?俺だって力は劣るが、十種神宝の力は使える・・・。」

そこに割って入ったのは、黒龍だった。
力は使いたくないが、犠牲者などが出るよりはまだよいからだ。

>>335
「道返玉さん・・・」

首飾りをそっと握り、ありがとう、と呟いた。

『おじちゃん、あんた、心配し過ぎは体に悪いぜ。大丈夫だ、俺も着いてる、道返玉もいる。
何も心配することはない。でだ、道返玉、俺があんたの代わりに力を使っても大丈夫か?』

それなら、悪用も何もないし、負担もへり、安全だ。
だが、黒龍には色々作用するのは間違いない。

337宛誄&蜂比礼:2011/09/03(土) 20:46:20 ID:tElbSrz.
>>335>>336

『むー、ミッチーがそう言うなら・・・』

 蜂比礼はしぶしぶ引き下がる。

「ふむ、わかりました。道返玉(あなた)の力が手に入らないのは残念ですが。
 こちらとしても必要な時に必要なように動いてくださればそれでいい」

 若干不服があるようだが、ひとまずは納得する。
 計画はまだ漠然としているが、必ずしもそのタイミングで全てを所持している必要は無い。
 協力が得られるという表明さえもらえれば充分だ。

 しかし突然割って入った黒竜に首を傾げる。

「・・・? 肩代わりとは一体」

338圓坐&道返玉:2011/09/03(土) 21:06:38 ID:c1.PBF/s
>>336>>337

「すまんのう…
我が友人たちを……本当に救えるのか?」
黒龍に心配され、少し俯き
宛誄に確認をとるように聞く。

『黒き龍よ。肩代わりとは不可能な事でしょう。
何故なら《十種神宝》が《全て集まった時放たれる力》は《十種神宝》ではないと起こせない。レプリカでも神格持ちでも私たちの代わりはなれない。
そうでしょう?蜂比礼よ』
真面目な口調で相手を諭すように言う。

『それと協力をとるまえに一つだけ確認しましょう。
蜂比礼よ。その持ち主は正しく使うモノでしょうか?私の持ち主だけ信用できるか問われても、そちらも信用たる者か確認したいですし』

339零なか:2011/09/03(土) 21:23:52 ID:HbHPxpxY
>>337-338
『・・・そうか、言うまでもなかったな。』

道返玉の言うことを素直に聞いて引き下がる黒龍。

「・・・私も、道返玉さんを所持する者として、キミを助けたい。
でも・・・もう少し時間を下さい。」

少し悩みながら、小さな邪神に言った。

340宛誄&蜂比礼:2011/09/04(日) 20:51:37 ID:tElbSrz.
>>338

『いや、信用はまったくならないぜ。
 この手のタイプは大抵自分の欲をかき過ぎて最後に失敗するだろうしね』
「んなっ!?」

 蜂比礼はあっけらかんとして、道返玉へ返答する。

『だけどコイツは“生きたい”“消えたくない”っていう己の欲に正直だし。
 生き方を偽ることを知らない、行動と思考を躊躇わない。
 なにより七罪者になったかがみんに対して思いっ切り啖呵切ったんだしー♪
 オレも奴等のやり方は気に食わないからねー、まぁ信用は0だけど好感と目的の一致かなー』
「・・・」

 かなり不服気に蜂比礼を睨む宛誄。
 蜂比礼なりの褒め言葉のはずだったのだが・・・。

 小さくため息をつくと圓坐の方を向き直る。

「確証はありませんね、正直言って分の悪い賭けです。
 でもね・・・、僕としては意地でも彼女達を死なせたくない」

 純黒の瞳が圓坐を見据えた。

「何とかしてみせますよ、必ずね」

>>339

「わかりました、できるだけ早いうちにお返事をくださいね」

 零の言葉を聞き入れ、ひとまずは引き下がる宛誄。
 蜂比礼はあかんべいをしていた。

 生温い秋風が吹き抜けると、宛誄の周囲に蚊柱のような虫の大群が沸き起こり。
 そしてそれが止んだときには既に宛誄と蜂比礼の姿は霞のように消えてなくなっていた。

341圓坐&道返玉:2011/09/04(日) 21:31:15 ID:c1.PBF/s
>>339>>340

『………ふふふ。貴女がそう言うとは
いいでしょう。私も彼に協力しましょう。零も彼に協力するみたいですしね。』
まさか蜂比礼が褒めるとは…と楽しそうに声を出した。

「……いいじゃろう。ワシも協力しよう
ただし…妖魔――青行燈には気をつけとほしいのう。奴はワシらと違い《復讐》などどうでもいいと考える存在じゃ。全てを不幸に絶望に落としたいと考えるイレギュラーじゃ」
そう言うと、圓坐は静かに二人を見送った。

それと同時に道返玉は光が消えた。

「零よ…ワシも動きだすかのう
もう奴らにはワシの存在が知られた可能性があるからのう…」
そう七罪者に敵対する意志を見せると、彼はその場から去っていった。


/お二人共お疲れ様でしたー
/絡みありがとうございます

342零&黒龍:2011/09/04(日) 21:41:31 ID:HbHPxpxY
>>340-341
「おじいちゃん・・・死なないでね。」

小さな邪神とおじいちゃんを見送り、その場は静かになった。

『零、どうするんだ?この先。』

「来るときがきたら、それを突破していくまでだよ。・・・・・・。」

その後、彼等もそこを立ち去った。

343巴津火:2011/09/06(火) 18:59:21 ID:1gBuqmPQ
本スレ>>525-526

右肩を痛めながら反撃する三凰の、光のレイピアが巴津火の方へも飛んでくる。

「あぶねっ!」

飛び込むように地に伏せてレイピアを掻い潜るが、その際、痛めている利き手を
地につく事になりさらに痛みが走る。
それでも背後に稀璃華が迫っているのだから、急いで跳ね起きねばならないのだ。
しかし、稀璃華が追いつくのが早いか、それとも巴津火が跳ね起きる方が先か。

「うがぁっ!」

痛みと状況に苛立った巴津火はついに、自分の溜めた力を解放することにした。
      バラクーダ
「来い!【水螺喰蛇】!!」

山道のずっと上のほうで、ごろごろと岩のぶつかり合う音がした。
先ほど巴津火が呼んだ雨は、この場所ではなくもっと山の上のほうで激しく降らせたのだ。
一時的な豪雨ではあるが、その水は、小川を作るには十分だろう。
水が山道を流れ下る間に土に吸われない様、ここまでの道の土もいくらか湿らせてある。

しかし、巴津火が呼んだ水がここへ届くまでには、もう少しだけかかりそうだ。

「三凰!少しでも良い、まだ飛べるかっ?」

呼んだ水をどう使うかは稀璃華の出方次第であるが、水がここまで届く前に
まず三凰には上空か樹上にでも退避してもらわねばならない。
痛む右手を庇い、背後に稀璃華の気配を感じつつも、膝をついた巴津火は三凰へ声を張り上げた。

344稀璃華:2011/09/06(火) 20:33:16 ID:HbHPxpxY
本スレ526-343
「(宝玉院三凰、実力は見させて貰った。巴津火との連携ではあるが・・・そこそこだ。)」

両手を前に出して、厚い石の壁を作り出す。
それは、自分の前側と、三凰の回りを全て囲むように作られる。

「石搭獄壁(コルサ・ヴェローチェ)」

もしも三凰が巴津火の問い掛けに答えられぬ場合、その壁に包まれることとなる。

「・・・巴津火。負けたくないなら、本気で三凰を救ってみろ。」

345宝玉院 三凰:2011/09/06(火) 20:55:25 ID:SmXQZqJk
>>343,>>344
「少しくらいはな!」

恐らくは飛べる。そう思い、再び蝙蝠の姿になる。

「くっ…」

そして、飛び上がろうとするが、やはり辛そうで、地を離れる前に三凰の姿は石の壁に隠されてしまう。

「ここまで…か…」

346巴津火:2011/09/06(火) 21:10:55 ID:1gBuqmPQ
>>344-345
「ボクに命令、するなっ!変態っ!」

巴津火は噛み付くように稀璃華に怒鳴る。
山道の上のほうから、濁流が下ってきたのはその直ぐ後。

「三凰、そのままそこに居ろ!」

木や石を巻き込んだ泥色の流端は巴津火の命に従って一度止まり、
続々と流れ込んでくる水を蓄えて大きく膨らんだ鎌首を高く持ち上げた。
幸い、周囲に石の壁があるお蔭で三凰には流れの影響は無くて済む。

「【水螺喰蛇】!あいつを連れて行け!」

命じられた濁流が大きく口を開けて狙ったのは石塔ではなく、稀璃華本人。
本性が石であれば流れに巻き込まれても溺れる事は無いだろうが、
押し流されてだいぶ道の下のほうまで転がることはありえる。

濁流に命じた巴津火は、直ぐに石塔をよじ登り始めた。
しかし、利き手が使えないので少々苦労している。

347稀璃華:2011/09/06(火) 21:17:51 ID:HbHPxpxY
>>345-346
「変態じゃないっ!それに巴津火、それ援護じゃなry」ザバババ

言葉を言い残し、流されていく変態。
これは多分、三凰の勝ちだと思う。

そして、流されたまま稀璃華は思うのだった。

「・・・あの二人め、もっとイチャイチャしてやるんだからっ!」

時期に石搭と、壁は崩れるはずだ。

348宝玉院 三凰:2011/09/06(火) 21:24:49 ID:SmXQZqJk
>>346,>>347
「この石の壁があって助かったな。」

いつの間にか、人の姿になり、石の壁の上に座っている三凰。疲れた様子で濁流が流れる下を見て呟く。
どうやら、ここまで飛ぶことは出来たようだ。

「いい様だな。」

流されていく稀璃華を見つつ、笑みを浮かべる。

349巴津火:2011/09/06(火) 21:37:54 ID:1gBuqmPQ
>>347>>348
「なんだ、ここまで飛べたじゃないか」

苦労して石壁の上までよじ登ってきた巴津火。
三凰が上れないようなら、蛇の尻尾を垂らして巻き上げるつもりだったのだ。
壁の上辺に肘をかけて三凰を見上げるが、やはり表情には疲労が伺える。

「うおわっ!?」

がらがらと、いきなり石壁が壊れ始めたのだ。
崩れて落ちる石の欠片に巻き込まれないように、慌てて飛び降りた巴津火は
その足首まですぽりと、泥流の置き土産の柔らかな泥に埋まる。

「なあ三凰、山を降りる他の道を知ってたら教えてくれないか?
 この道下って帰って、あいつにまた出くわすのは嫌だし」

泥から足を抜きながら巴津火は尋ねた。
そうでなくとも、この泥道を歩いて帰るのは嫌なのだ。

350稀璃華:2011/09/06(火) 21:44:22 ID:HbHPxpxY
>>348-349
「ふぅ、遊んだとこで、仕事しなきゃな。
でもその前に着替えか。」

泥を払いながら、山を後にする。
稀璃華は、今回余計なことをしたせいで、一人孤立する可能性が生まれたようだ。

本人は気づかないのだが。
//この辺で終わりますかね?絡み乙&どうもありがとうございました。

351宝玉院 三凰:2011/09/06(火) 21:59:31 ID:SmXQZqJk
>>349,>>350
「ぐあ…」

石の壁が崩れたことにより、三凰は落下し頭から泥に突っ込む。

「ぶはっ…
他の道か…それなら、宝玉院家の屋敷のすぐ裏にあるぞ。場所は…まぁ、すぐにわかるだろう。」

頭を泥から抜き、立ち上がる。全身泥だらけだ。

「それより、貴様等のせいで泥だらけだ。早くシャワーを浴びたい。」

そう言うと、巴津火についてこいと手招きし、屋敷に向かい早足で歩き出した。

屋敷の近くまで来たら、その道を教えるだろう。


/自分もこの辺で。絡みお疲れ様です&ありがとうございました。

352巴津火:2011/09/06(火) 22:07:29 ID:1gBuqmPQ
>>350-351
「おい!……おい、大丈夫か?」

まさか三凰が頭から泥に突っ込むとは思わなかった。
おもわず駆け寄ろうとして、泥に足を取られて泥に手を突く。
途端に激痛が走った。

「いってぇっ!」

今更ながら利き手を見ると、腫れ上がっているのが良く判る。

「ちくしょー、あいつめ…」

そして泥だらけの三凰の言い草にも、当然ながらカチンと来た。
三凰の後をついて泥の中を歩いてゆきながら、しっかり言い返す。

「ボクのせい?お前があっさりやられるからじゃないか!
 ああしなかったらお前だって、今頃は体中撫でくり回されてんだ」

今日は二人は難を逃れたが、逃れた分稀璃華のボディタッチへの執念は募るのだろう。
次に稀璃華に出会ったとき、今日以上に苦労するであろうことをまだ巴津火達は知らない。


//お二人とも絡みどうもでしたー。

353田中 夜:2011/09/18(日) 23:57:51 ID:c1.PBF/s
とある商店街にある喫茶店《ノワール》

今日は休業の看板を入口に置く女性が一人。

長い黒髪に、細い目に眼鏡をかけたおしとやかそうな女性――田中夜は楽しそうにしていた。

「澪〜♪お待たせしました〜♪」
そう言いながら外で待ってたであろう人物に話し掛ける。
コレから澪の紹介をかねて、近くに来ている父方の祖父母の出迎えをしようと言い出したのだ。

田中父『澪くん。夜が迷子にならないようちゃんと見といてね』
隣の田中家から
黒髪で、スーツ姿の優しそうな糸目の男性がニコニコと微笑みながら二人を見送っている。

「も〜〜。お父さん!私は子供じゃないですよ〜!」ムーッ
頬を膨らませながら、夜は父に怒っていた。

354:2011/09/19(月) 00:04:07 ID:???
>>353
「あっ、夜っ♪」

腕時計を見ながらいつ夜が来るのか、楽しみに待っていた。
そしてその時が来た。
正直、夜パパのパパさん、ママさんに会うのは緊張してる。
それでも夜がいるからか、いつものマイペースさを保っている。

「パパさん、頑張って見せます!ね、夜?」

父と娘を微笑ましく眺めていた。

355田中家:2011/09/19(月) 00:17:00 ID:UobcSz/.
>>354

田中父「ははは。いやー、若いね。けど澪君は僕より年上だから若いって言葉は違うかな?
そろそろ、行った方がいいんじゃないかな?父や母の事だからこういう都会(?)にはなかなか来ないから問題起こすかもしれないしね」
田中父は自分の腕時計を見ながら微笑み二人に言う。


夜「はい♪澪〜
じゃあ、お父さ〜ん♪行ってきます〜♪」
そう言いながら、澪の手と恋人繋ぎをしようと手を延ばし、澪がそれに応じたら駅まで歩いていくだろう。

356:2011/09/19(月) 00:25:44 ID:BQ990e1A
>>355
「いえいえ、パパさんはパパさんですよ……ん?
も、問題…?(何それ…)」

ちょっぴり怖くなった。
でもあのにこやかなパパさんのパパママなら大丈夫だと、自分にいい聞かせた。

「パパさん、行ってきます。いこっか、夜!」

ぎゅっと手を繋ぎ、歩き始める。
街中の人が見れば嫉妬とかするくらいイチャイチャである。

「(街中の人が夜の可愛さに魅かれちゃったりしないかなぁ)」そわそわ

それだけ夜は可愛いのである(澪視点)

357田中家:2011/09/19(月) 00:48:45 ID:c1.PBF/s
>>356

夜「はい♪///」
顔を真っ赤にさせながらイチャラブして、駅に向かい歩いていく。

夜「(澪の手ってなんか握って暖か〜い♪澪が一緒にいると落ち着くな〜)」♪♪
そんな夜が有頂天になってると、前方が騒がしい。

???「…………………」
???『相変わらず、人が多いですねぇ。孫娘の匂いがするけどねぇ。
人も五月蝿いですしぃ』
駅の前の時計の上に
下駄をはき、右手に縦に長い何かが包まれたモノを持ち、白いい袴に、長い白髪で白目のおじいさんと
小柄で、花柄の着物を着て、椿の簪をオカッパの白い髪につけ、狐の御面をかぶった女性が
立っていた。

二人が昇った時計の上には沢山の人だかりが……

妖気は感じない……まさかなと思い、澪が夜の方をむいたら
空いてる手で顔を抑えてる夜の姿が!!!

358名無しさん:2011/09/19(月) 00:50:15 ID:c1.PBF/s
>>357訂正

時計の上×→時計の下

359:2011/09/19(月) 00:54:54 ID:BQ990e1A
>>357
「ん?なんか騒がしいねー。行ってみよっか…ってどうしたの?
頭痛いの?だだだ大丈夫!?しかも何あれ時計の上の……あ、そうか。」

今日の澪の感は鋭かった。
あの時計の上の老人たち、普通ではない。
それにこの夜である。

「あれ、夜の…おじい様とおばあ様……だよね?」

声が震えてるーっ!
なんかこの異様な雰囲気からして絶対そうだ!!
もう後戻りは出来ない!…澪、どうする?

360田中家:2011/09/19(月) 10:15:55 ID:c1.PBF/s
>>359

澪の言葉に恥ずかしそうにコクリと頷く。

流石にこんな人通りが多い時間帯で、自分の祖父母が時計の上に乗って、待ってるなんて彼女も思いもしなかった……もとい澪と一緒にいて嬉しくその考えを忘れていたのである。

夜「どうしよう……澪。今行ったら絶対目立つよね?」
いつもののんびりした口調じゃなく、なんか本当にどうしようって感じで涙目で澪を見つめる。


そんな時!!
田中祖父「………………」ギロッ
田中祖母「見つけたねぇ
おーい!!夜ちゃぁぁぁあん!!おばあちゃん達遊びに来たよぉ!!」
突然、時計から跳び降りると、下にいた野次馬達は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
田中祖母はまるで鞠のように跳ねながら
田中祖父は着地すると、静かに近付いてくる。

忘れそうだが、夜の父の家系は忍――普通なはずはなかった。

361:2011/09/19(月) 11:04:26 ID:HbHPxpxY
>>360
「・・・あはは・・・。ど、どうする?」

とにかく、反応に困ってしまうのだ。
この状況をどう受け止めるのか、それを考えるべく、フタリが気づかないことを願・・・・・・

「(きたー!夜御祖母様きたー!)」

街中の注目の的であった。つかマジで澪大丈夫なのか?

「あ・・・えと・・・夜の婚約者の澪です、初めまして。」

とりあえず自己紹介!

362田中家:2011/09/19(月) 12:17:24 ID:c1.PBF/s
>>361

夜「諦めましょう……」
こちらに気付きむかってくる二人に気付き、もう周りの視線が一気にこっちに向いたのを感じる。

田中祖母「これはこれはご丁寧にねぇ。夜ちゃんの祖母の田中蘭菊と言いますぅ
いやぁ、まさか夜ちゃんに妖怪の婿さんができるなんてねぇ」
跳び跳ねながら、近づいてきて、ちょうど二人の前に着地すると深々とお辞儀する。
声は年寄りは思えないほどに若い……御面の下が気になるし、なんか人間とは疑いたくなるような…おばあちゃんである。


田中祖父「……………………………………」ズンッ!!!!
そして、澪の前にやってきて、白目で彼を見つめる田中祖父。
なんか怖い!威圧感もあるし、無言もかなり怖い!!

蘭菊「この人は田中虎十郎ねぇ。私の旦那ねぇ」
夜「澪。おじいちゃんはあんまり喋らない人なの〜」ボソッ
夜は澪の耳元でそう呟いた。

363:2011/09/19(月) 12:54:28 ID:HbHPxpxY
>>362
「・・・・・・(田中家ェ・・・)」

ペコペコとお辞儀をしながら、おばあちゃんを見つめる。
何故こんな元気で、こんな声で、そして御面、返す言葉が見つからなかった。

「こっちは夜の御祖父様だね?初めまして、澪です。(えっ?えっ?僕悪い事した?)」

回りの人が見ている事など考える隙もなかった。
黙って睨まれているが、ここで引く訳にも行かない。夜の婿に相応しい男になるんだっ!

「・・・・・・(蛇睨み)」

364田中家:2011/09/19(月) 17:08:25 ID:c1.PBF/s
>>363

田中祖父「………………………」ジーッ
明らかに生まれてくる時代が違うような彼は、無言で、澪を見続ける。
何分か睨み続けて、祖父は口を開く。

田中祖父「……………………曾孫はまだかね?」
夜「ひ…曾孫///」
田中祖母「あらぁ?おじいさん。まだ早いでしょぉ?まずは結婚式ですよぉ?」
田中祖父「…………そうか」(´・ω・`)
唐突に早く子供の顔がみたい発言を表情をかえないまま言う祖父!!
その言葉に顔を真っ赤にする夜!!
そして祖母に言われて、表情や雰囲気は変わってないのに何故か(´・ω・`)←こんな感じが伝わってくる祖父だった。

365:2011/09/19(月) 17:30:19 ID:HbHPxpxY
>>364
「・・・えっ!?ひ・・・ええ//////」

おじいちゃんー!!
見たい気持ちは解るけどいきなりそれはないよっ//

それになんか可愛く見えたおじいちゃんに、澪は頑張って話した。

「え、えとね、御祖父様//よ、夜の事、大好きで、凄く尊敬してるけど・・・///
ま、まだ、早いかな・・・て?でも夜がいいって言うならその・・・/////」

こんなとこで言っていいのか!?
まあ、夜が大好きなのに変わりないからいいよね、うん。

366田中家:2011/09/19(月) 18:04:35 ID:c1.PBF/s
>>365

田中祖母「あらぁ♪愛されてるねぇ。夜ちゃん」
夜「////
れ…澪が言うなら…今日でも///」
おーい!!なんか結婚式あげる前に子作りしそうな感じになっちゃってるよ!!
夜は凄い顔を赤くしながらモジモジとそう言う。
あ…なんか田中祖父が(*・ω・*)←こんな感じになってる。そんなに速く曾孫が見たいのか!!

田中祖母「コラコラ。二人とも流れに任せて子作りしようとしないのぉ。ちゃんと結婚式あげてから、仕事もあるんだから生活が安定したらにしなさいねぇ?
おじいさんも急かさないのぉ?」
……以外に常識人な田中祖母はそう三人に言う。格好や見た目とか色々普通じゃないのに…

あ……田中祖父がまた(´・ω・`)←こんな感じに…

きっと田中父と田中母の時もこんなやり取りがあったのだろう。

367:2011/09/19(月) 18:30:14 ID:HbHPxpxY
>>366
「夜っ・・・/////」

わぁ、なんかその気にさせちゃったよ!
それにおじいちゃんまでそんな雰囲気持たれちゃあもうね。案外シャイ?
だが、おばあちゃんの常識発言により我に帰った。

「結婚式・・・。実はまだ少し不安があるんです。
本当に妖怪の僕でいいのかなって。世間体では有り得ない事だし・・・・・・。
そのことで、夜に何かあったら僕はっ・・・!」

実を言えばまだ不安なのだ。本当に・・・いいのか。
その時、夜にとっては良いと思っても後悔だけはさせたくないのだ。
まだ間に合う・・・・・・。

「夜、もう一度聞くよ。本当にいいの?」

368田中家:2011/09/19(月) 20:00:48 ID:c1.PBF/s
>>367

夜「澪……」
澪から語れる不安と夜を心配する気持ち。
それを聞き、彼女は静かに澪を抱きしめようとする。


夜「貴方が私の事を心配してくれる気持ち……よくわかるよ
妖怪と人間の恋は悲劇が多いし、種族の違う恋に快く思わないのもいる
私も澪に何かあったらと思うと………
けどね、澪。コレは私のワガママかもしれない。私は何があっても、貴方と一緒にいたい。貴方の事を知りたい。貴方の支えになりたい」
澪の目を見つめ、彼女は真剣な表情で言う。

夜「だから…二人で困難を乗り越えていきましょ?
私と………結婚してください」

369名無しさん:2011/09/19(月) 20:24:07 ID:HbHPxpxY
>>368
「・・・・・・・・・。」

ただ無言だった。夜の気持ちが率直に伝わり、涙を零した。
「・・・夜・・・絶対・・・僕の元からいなくならないで・・・。」
夜を強く引き寄せ、しばらくその時間の暖かみに浸っていた。
・・・と、軽くシリアスしてそうなので澪は慌てて場を壊そうとした。

「んぁ、そうだ!僕さ、ちょっぴり目が利かないんだよね。夜の眼鏡をこうすれば・・・ホラ!今までよりも夜が良く見える!
・・・眼鏡外した時の夜・・・・・・可愛い。」

眼鏡澪、お決まりのパターン発言。
本来ならばホスト様などのイケメンが言う台詞だが・・・澪はイケメンなのか?

370田中家:2011/09/19(月) 20:53:32 ID:c1.PBF/s
>>369

夜「はい!!!」
両目から雫を零し、彼女は微笑み答えた。

夜「澪…////」
眼鏡を外され、ぼんやりとした眼鏡澪が見えないのが残念だが、澪の言葉で顔が湯でタコのように真っ赤にする。

そしてこのままキスしそうな流れになる

田中祖父「………………」(・ω・)ジーッ
田中祖母「コラコラ。おじいさん。若いお二人さんの邪魔しちゃいかんねぇ」
空気になっていた田中祖父が二人に視線を送り、田中祖母がそれを静止しようとしてる。
更に言うと周りからの野次馬の視線が……

371:2011/09/19(月) 21:40:38 ID:HbHPxpxY
>>370
「夜・・・はっ!」

なんか回りの視線を感じる。よく見ればおじいちゃん!+αがっ!!
・・・どうするべきか。

「(回りの視線が怖いけど・・・)」チュッ

そっと夜の耳元で囁き、澪からキスした。
不安も無くなり、気分も良い。

372田中家:2011/09/19(月) 22:11:00 ID:c1.PBF/s
>>371

夜「///」
澪とキスをし、顔を更に赤くしながらそのまま抱きしめる力も少し強くした。

田中祖母「あらあら。コレは曾孫はすぐかもしれないねぇ」
田中祖父「…………………」コクコク
田中祖母「さてぇ、二人共自分達の世界に入るのもいいけどねぇ
そろそろ行きましょうかねぇ?みんな見てて目立っちゃってるからねぇ」
………あれ?普通の事言ってるのに、なんかお前が言うなと言いたいような……

373:2011/09/19(月) 22:20:11 ID:HbHPxpxY
>>372
「ですね・・・////でも、どこに行きます?」

おばあちゃんのことより、視線の方が気になっている。もしこれを三凰に見られたら・・・・・・

まあ、夜がゲット出来て独占できるので澪にとっては大満足である。

「御祖父様も、行きましょうか。」


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