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避難所
100
:
露希「」&零『』
:2011/08/05(金) 00:20:32 ID:BQ990e1A
>>99
「和戌さん…ね、零をよろしくお願いします。」
『……いえ…ありがとうございます…。(…もふもふ……)』
もふもふが無くなったことで、少しテンションダウン。
さらにおんぶと言うこともあり、恥ずかしいのである。
「じゃあボクは七生ちゃんにおんぶして貰おうかなーなんてね♪」
背中からぐいっと抱きしめた ▼
どうやら 七生は 露希のスキンシップグループに 入れられたようだ ▼
101
:
四十萬陀 七生
:2011/08/05(金) 00:26:24 ID:Vd.IXEAk
>>100
「よっと」
零を背負って立ち上がる。
一端しょい直すように体を揺らすと、サラシを巻いているというのに胸が揺れた。
見る人が見れば福眼であろう。
「むむむ……」
「?」
格差社会だ、と四十萬陀は自身の微乳を呪いながら和戌を睨む。
彼女は何のことか分かっていない様子だ。
だが露希に背中から抱きしめられ、思わず前屈みになる。
「うにゃ!?」
態勢を立て直し、くすぐったそうに後ろを向く。
なんだか少し照れくさそうだ。
「もーいきなりすぎじゃん露希君ー」
102
:
露希「」&零『』
:2011/08/05(金) 00:36:19 ID:BQ990e1A
『あの…重くないですか?…//(胸…)』
「あはは…(胸なんて気にしたことないからなぁ。)
だって可愛いんだもん!」
女性におんぶされるのは初めてであり、
こんなに体を密着させるのも多分初めて。
やはり、零であっても赤面してしまう。
103
:
四十萬陀 七生
:2011/08/05(金) 00:39:07 ID:Vd.IXEAk
>>102
「あぁ
104
:
四十萬陀 七生/和戌
:2011/08/05(金) 00:44:19 ID:Vd.IXEAk
//
>>103
ミス
>>102
「あぁ? むしろ軽すぎるよ。もっと食いな坊主」
恐らく和戌なら、東雲でもおんぶできるだろう。
(絶対にしないし絶対にさせてくれないが)
彼女も東雲に続いて、戦闘力が上がってきているのだ。
「にゃはは、ありがとうじゃん。
でも、露希君のほうが可愛いじゃん」
褒められて照れながら、よたよた歩いていく。
しばらく歩くと、前方に光のよく差し込む開けた所が見えてきた。
そこには切株や、座りやすそうに草の生えた場所がいくつか存在している。
「はい、到着! 袂山の妖怪の憩いの場所ってやつじゃん」
四十萬陀がそう言うと、「着いたよ」といって和戌は零を地面に降ろした。
105
:
露希「」&零『』
:2011/08/05(金) 00:52:19 ID:BQ990e1A
>>104
『食べる物はちゃんと食べてますけどね…』
最近はノワール内での生活な為、体はほとんど動かしてない。
和戌とは逆で戦闘力は下がりまくっている。
「暖かそうでいいね。じゃあ、ボクはこの草の上に座ろうかな。」
『和戌さん、ありがとうございました。(次は…もふもふしよう)』
露希は草の上に、零はちょうど良い切り株へと腰を掛けた。
106
:
四十萬陀 七生/和戌
:2011/08/05(金) 00:56:43 ID:Vd.IXEAk
>>105
「じゃあ、私は帰るよ」
「あ、待つじゃん和戌! せっかくだし一緒にのんびりするじゃん」
「……別にいいけど」
和戌はちらりと露希たちに目を遣る。
どうやら二人を気遣っているようだ。
仕方ないと溜め息をつくと、和戌はするすると元の姿に戻った。
四十萬陀は切株の上に腰掛けると、和戌はその隣に尻尾を丸めて座った。
「どう? ここ、気持ちいいじゃん?」
どこからか聞こえる鳥のさえずりと川の音。
太陽光も、木の葉が遮っていてちょうどいい暖かさだ。
107
:
零なか
:2011/08/05(金) 01:05:40 ID:BQ990e1A
>>106
「うん、凄く良い!!自然の贈り物ってやつかな?」
草の上に寝転んでみると、うとうとしてきてしまいそうなくらい気持ち良い。
こんな大自然の恵みを肌で感じられて満足な様子。
『……和戌さん、すこしだけ触ってもいいでしょうか?』
実はもふもふ大好きな零。
白龍にもふもふしていた回数は露希よりも零の方が多かったり。
すねこすりに出会った時も、もふりまくってたよ。
「送り妖怪って他にもいるんだよね?」
108
:
四十萬陀 七生/和戌
:2011/08/05(金) 01:14:43 ID:Vd.IXEAk
>>107
「? いいけど、何でだい?」
触っても楽しい事なんてないだろう、と奇妙そうに零を見る。
四十萬陀は素直に喜んでくれている露希を見て、同じくらい嬉しそうだ。
「うん、私たちの仲間はたくさんいるじゃん。
犬御や和戌が送り狼で、私が送り雀、あ、夜雀は別名じゃん。
あとは織理陽狐君が送り狐。多分露希君は会ったことあると思うんだけど、ぜよぜよいってる翠狼が送り犬じゃん」
これらの種類の仲間が他にも大勢いる。
けれど袂山は送り妖怪だけでなく、古くから他の獣妖怪も多数住んでいる場所だ。
「それと、黒龍君にあこがれてた狢奈は送り鼬じゃん」
にこーっと笑いながら四十萬陀がいう。
黒龍たちにあったことを、まだ彼女は知らないのだ。
109
:
零なか
:2011/08/05(金) 01:28:46 ID:BQ990e1A
>>108
『ありがとうございます…っ///
その…もふもふだから……////』
撫でてみると、柔らかくて、とても気持ちの良い感触が肌に伝わる。
その時の零は、とても気持ちのよさそうな顔だった。
もしも和戌が何もしなければ、次はふるもっふするかもしれない。
「会ったことあるよ、翠狼君。織理陽狐さんは…確かお願いを叶えてくれる方だよね。
へぇー、いっぱいいるんだね。」
七生の話を楽しそうに聞いていた。
この元気さの秘訣が仲間なのかなぁ、と思ったりもした。
ただ、多ければ多いほど、別れも多くなる。
「あ…うん、狢奈君って言うのか…。」
零には聞こえて無かったようだが、最近やっと落ち着き始めているのだ。
もしも零に<黒龍>の名前を出したらその時は泣き崩れてしまう。
110
:
四十萬陀 七生/和戌
:2011/08/05(金) 01:39:01 ID:/AfNAO.Q
>>109
「そうかい?」
自分の毛が柔らかであるため、柔らかだとかは特に感じたことのない和戌は、やはり不思議そうな顔をしていた。
頭や腹を撫でられると微妙そうな顔をしたが、他の部分は特に無抵抗のようだ。
「送り妖怪の絆は特別じゃん。
血は繋がってなくても、皆家族より強い絆で繋がって繋がってる」
彼女の脳裏をかすめるのは、白い送り鼬の姿だった。
四十萬陀の明るい性格が仲間のおかげ、というのはあながち間違っていないだろう。
天多が死んでからしばらくは無理矢理明く振る舞っていたが、仲間たちが力となり、今となってはこれが四十萬陀の自然体だ。
それは逆にいえば、仲間たちに依存しているともいえるのだが。
「?」
露希の声のトーンが落ちたことに首を傾げる。
聡い彼女は、露希にだけ聞こえるよう声を潜めてそっと尋ねた。
「……何か、あったじゃん?」
111
:
露希「」&零『』
:2011/08/05(金) 01:48:08 ID:HbHPxpxY
>>110
『・・・気持ちいいです//』
相変わらずもふもふ中である。
「家族以上の絆、凄く心強いね。」
露希は、天多に会っている。そこまで詳しくは知らないものの、話を聞いた限りでは絆の強さが伺えた。
「・・・黒龍と白龍、死んだの。正式には・・・消えていなくなった。」
先程の笑みは全くなかった。辛さと悲しみの篭っている、無表情だった。
112
:
四十萬陀 七生/和戌
:2011/08/05(金) 01:55:55 ID:/AfNAO.Q
>>111
「……飽きないかい?」
ずっと毛ばかり触っていて飽きないのだろうか。
疑問に思った和戌は零に尋ねてみる。
そういえば自分の妹も同じような毛質だし、あまり激しく動き回らないから自分より毛が柔らかいんじゃないだろうか。
「……もう一人くらい、呼んでやろうか?」
和戌妹ならさっきまで一緒にいたし、場所はわかっている。
和戌姉が零に提案している一方、四十萬陀は初めて知った事実に目を見開いていた。
「そんな……」
無表情の露希を見て、胸に込み上げるものを感じる。
二匹と交流こそ多くはなかったものの、露希たちと深い絆を持っていることは知っているのだ。
「……そう、だったじゃん。ごめんじゃん、私……」
知らなかったとはいえ、思い出させるようなことをしてしまったことを謝罪する。
113
:
露希「」&零『』
:2011/08/05(金) 02:06:22 ID:HbHPxpxY
>>112
『・・・・・・』ZZZ
余程気持ちよかったのか、それとも単に疲れただけなのか、寝てしまっていた。
その寝顔からは涙が零れていた。
「七生ちゃん、気にしないで?・・・もう大丈夫だから。ボクも七生ちゃんから元気貰えたから。」
そう言うと、寝ている零に声をかける。
「そろそろ零も行かなきゃ。ノワールの皆様が心配するよ。」
『ん?・・・あ・・・和戌さん、ごめんなさい・・・』
114
:
四十萬陀 七生/和戌
:2011/08/05(金) 02:18:00 ID:/AfNAO.Q
>>113
「っと、寝てんじゃないか。……?」
すやすやと眠る零を見ていると、ふと目尻に涙が浮かぶのが見えた。
何か悪い夢を見ているのだろうか。
しかしうなされている訳ではないようだ。
きっと何かとても、悲しいことがあったのだろう。
「……」
「……」
大切な人が消えてしまう悲しいは、四十萬陀もよく知っている。
全身が引き裂かれるような胸の痛み。
きっと露希も、そうなのだろう。
彼女の無表情に、天多が死んだ時の自分を重ねていた。
「露希君……無理は、しちゃダメだよ」
四十萬陀は露希に呟いてから、「また遊びに来てじゃん」と淋しそうに微笑みながら、二人に手を振った。
和戌も「またね」と言って、二人を見遣る。
115
:
露希「」&零『』
:2011/08/05(金) 02:24:40 ID:HbHPxpxY
>>114
「二人とも、ありがとう。また来るよ。」
眠たそうな目をこすりながら、零はお辞儀した。
そして、来たときと同じように山を下って行った。
//ここで落ちます。
こんな遅くまでお付き合いありがとうございました!お疲れ様でした。
116
:
四十萬陀 七生/和戌
:2011/08/05(金) 02:33:04 ID:/AfNAO.Q
>>115
「七生、あの子ら、何かあったのかい?」
「……うん」
二人を見送りながら和戌が問うた言葉に、四十萬陀は頷いた。
今二人に必要なのは、仲間の存在だ。
その一部に、なってあげれたのならいいけれど。
四十萬陀は悲しそうに顔を歪めた。
//お疲れ様した!
117
:
織理陽狐
:2011/08/06(土) 23:43:44 ID:0rvvBuFg
ふわり、ふわり。
ぼんやりと優しい灯を燈した提灯が暗やみの中に揺れている。
片手にそれを携えるのは、白い着物に羽織袴を着た金髪の男、織理陽狐だ。
木下駄を鳴らしながら、石床を歩いていく。
「――この辺りかのう」
ふと足を止めると、提灯の灯がぼうっと大きく燃えた。
見る者を導く送り提灯は、彼の尋ね人のありかを示しだす。
自分と正反対だった彼女の記憶を受け継いだ、生まれたてのあの童に。
118
:
出口町 入江 & 三連星
:2011/08/06(土) 23:53:35 ID:???
>>117
雨邑が三鳳と出会う3時間前。
石畳の破壊された神社にて、噂から生まれた乙女と三兄妹が集まっている。
最近、神社などのお堂を破壊する邪霊が多い。
残された邪気に少し咽ながら、4人はその修復などを手伝っていた。
「安木ぃ! だからそれは違うって!!」
「なぬ! 宛誄、そなたが言ったのではないか!!」
「・・・」
やんややんやと言い争う二人の少年と、ヤレヤレという風にそれを眺める少女。
「け、喧嘩しないで!!」
それを止めようとする浴衣姿の入江。
神社の復旧は一向に進まないのであった。
119
:
織理陽狐
:2011/08/07(日) 00:03:35 ID:0rvvBuFg
>>118
「お」
騒がしい声が聞こえた方に、送り提灯の灯が反応した。
神社の階段を昇るにつれて反応が大きくなっていく。
ついに昇りきると同時に、提灯の灯は消え、目の前に破壊された石畳とそれを修復する四人の姿が見えた。
「久し振りじゃのう、出口町」
浴衣姿の彼女に声を掛け、織理陽狐は愛しげに目を細めた。
「見ぬ間に大きくなったの」と親戚のおじさんのような発言をしてから、三人をそれぞれ眺める。
「この童らは――」
その後は何も言わなかったが、態々言葉に出さずとも理解したように、嬉しそうに口許を綻ばせる。
この子たちが、彼女が「幸せにしてみせる」といった子たちなのだ。
仲良さげにしている四人を見ると、無性にこみあげるものがあった。
120
:
出口町 入江 & 三連星
:2011/08/07(日) 00:21:41 ID:???
>>119
「あ・・・、あぁっ! おっ、お久しぶりです!!」
急に声をかけられたこと、そして誰より自分たちが最も尊敬する人物の登場に。
出口町は驚きながら、慌ててぎこちないお辞儀をした。
「むっ! そなたは確か!!」
「織理陽狐さん!!」
「! ・・・ほんとだ」
その声に気づいた3人はわらわらと織理陽狐の前に湧いて出たのだ。
窮奇の記憶を受け継ぐ、3人にとって。
そして夜行神の中から見ていた中3人にとって。
それぞれ特別な感情を抱いているようだった。
まず飛び出したのは安木、昔の武将っぽく座り込んで頭を地面に擦り付ける。
「織理陽狐殿! あなたは尊敬に値する人物!!
しかしながらお母さんの・・・母上の敵であることには変わりは無い!!」
顔を上げる、暑苦しい幼い邪神。
「いずれ、越えて見せましょうぞ!!」
「やめろよ、安木・・・」
おずおず、と宛誄は織理陽狐を見上げた。
「またお会いできて、光栄です」
小さく頭を下げるが、どこか遠慮したような様子だった。
その眼には羨望と少しの脅え。
「どうしてこちらまで」
「そこんところ私も聴きたい」
にゅっ、と現れる雨邑。
121
:
織理陽狐
:2011/08/07(日) 00:39:16 ID:0rvvBuFg
>>120
壊れた石畳をひょいひょいと軽く乗り越えて、四人に近寄っていく。
出口町の目の前に行こうとすると、その前に三連星らが立ち塞がった。
「おっ、お?」
足を止めて目を丸くしていると、安木が飛び出してきた。
少年の言葉に織理陽狐が僅かに目を細める。
「……そうか。お主らは窮奇の記憶を受け継いでいたのじゃったな」
だがそれも一瞬、幼い邪神の視線に合わせるよう片膝を付き、ぽんぽんと頭を撫でる。
幼いながらもきりりとした顔に、織理陽狐はにっと少年のような笑みを浮かべた。
「それは楽しみじゃ。いつでも袂神社に遊びに来るといい」
言って立ち上がると、宛誄の方を見る。
控えめなその姿に、今度はどっしりと包み込むような、父親のそれにも似た微笑みを向けた。
「儂も、お主に会えて嬉しいぞ」
宛誄の頭を優しく撫でる。それは安木にしたのと同じようで、少し違った。
紅一点である雨邑に尋ねられ、織理陽狐は少女の方を見つめながら答える。
「久し振りに、どうしているか気になってのう。
あの後……窮奇との一戦の後から、出口町とお主らには会えず終いじゃったからな」
彼にとって、それはとても気がかりな事だった。
しかし今はそれも晴れ、胸も清々しい。
「――元気そうで何よりじゃ」
嬉しそうに、とても嬉しそうに笑う。
見る度印象が違う狐だが、この笑顔だけはいつも同じだ。
122
:
出口町 入江 & 三連星
:2011/08/07(日) 00:56:29 ID:???
>>121
ポンポン、と頭を撫でられ。
三連星一暑苦しい男は恥ずかしさからか、にわかにいきり立つ。
「えぇい! 子供だと思って見誤っておるな!!
舐めるなよ、我は一番人に近しい神となる男ぞ!!
そちの神聖も! 力も! すぐにでも越えてくれようぞ!!」
宛誄は頭を撫でられ、くすぐったいように目を細めながらも、
僅かに抱いていた恐怖は解けていった。
「やはり、貴方は温かい方ですね。母が好きだっただけのことはありますよ」
少し悪戯っぽく笑う、宛誄。
「ほーんと、なんで素直になれなかったんでしょうねぇ」
雨邑は織理陽狐の話を聞いたか聞いていないのか、
曖昧な相槌を打って入江の後ろへ引っ込んでしまった。
「あんまり一斉に話しかけないでね・・・」
入江は3人を後ろへ押しやり、再び作業を始めるようにたしなめた。
「元気ですがね・・・」
入江は寂しそうに微笑みかけ、小さく呟く。
「正直、途方に暮れているところもあります。
姉さま・・・、窮奇が言っていた“幸せ”についても未だによくわからなくて・・・」
瞳の奥から自由への不安が覗いていた。
「生き方って、まだよくわからないんですよね。
私もあの3人も・・・本当に軽い気持ちで生み出されたモノなんですから。
まだまだ生まれたばかりで、少し私には荷が重いです」
123
:
織理陽狐
:2011/08/07(日) 01:15:53 ID:0rvvBuFg
>>122
「おお、すまんすまん。
……その元気さがあれば、儂も本当に超えられてしまうかもしれんのう」
いきり立つ安木を見遣る。
全く将来が楽しみだ、と言わんばかりにくつくつと肩を揺らしながら。
三者三様に違う少年少女らを見ながら、織理陽狐はその胸に窮奇を想い、言いようのない幸せに駆られていた。
「?」
口許の笑みをそのままに、宛誄に向けて首を傾げる。
そのまま、三人は入江の言いつけで作業を再開した。
違いに向かい合うと、入江が音の沈んだ言葉を呟く。
その不安も当然だろう。
記憶だけ持って、生まれたてだというのに、三人を背負って生きているのだから。
不安げに声を揺らす入江に、織理陽狐はやはりはっきりとした言葉で答えた。
「そう深く考えるな。生き方など、生きればいずれ分かることじゃ」
生まれたての入江に、生き方を考えろという方が無理だろう。
今を生き、前へ進めばこそ、自分の生き方も見えてくるというものだ。
「それに……荷が重いなら、誰かを頼ればいいんじゃよ」
あっけらかんと、織理陽狐は笑う。
124
:
出口町 入江 & 三連星
:2011/08/07(日) 01:31:43 ID:???
>>123
「・・・はい!」
少しだけ瞳を閉じ、元気よく声を上げる入江。
姉さまは一体何を私に気づかせたかったんだろう?
これから一体、何を目標にすれば良いのだろう?
まだまだ問題も宿題も多い。
でも・・・
「深く考えることは無い、なんとかなりますよね!」
入江は久しぶりに、元の少女らしい笑顔を浮かべた。
重かったらなんとかなる、重く感じる必要は無い。
そんな風に思える。きっと、助けてくれる。
それは織理陽狐も、これからできてくる繋がりでも、
そしてどんどん力をつけるこの子達自身でもある。
「ありがとうございました!」
「入江姉さん、手伝ってー!! これでかくて運べない!!」
「え、あっ」
宛誄は困窮し、入江の裾を引っ張っていってしまう。
125
:
織理陽狐
:2011/08/07(日) 01:40:46 ID:0rvvBuFg
>>124
「その顔じゃ」
あどけない笑顔を見せた入江に、織理陽狐も満足げに微笑んで答えた。
このまま、きっと入江たちなら前に進むことができる。
なにせ彼女の想いを受け継いだ子たちだ。
強かに、真っ直ぐに、そして幸せに。
この子たちがそうあれるなら、織理陽狐はきっとどんな労も惜しまないだろう。
「おっと、……大丈夫そうじゃのう」
宛誄に引きつられて行く入江を、目を細めて見つめる。
(願わくばお前と共に、この風景を見ていたかった)
(儂はずっと待っておるぞ……窮奇)
羽織り袴を揺らし、胸にそっと手を添える。
しばらくは遠くから、四人の姿を見守っていたかった。
126
:
田中 夕
:2011/08/08(月) 23:46:06 ID:c1.PBF/s
本スレ
>>56
「俺の愛車!!スーパーライジング・ファルコン号4世です!!
………ハツビーに壊されちゃって……スーパーライジング・ファルコン号4せぇっ………」グスン
零にスーパーryを説明しながら、なんか思い出し泣いてる。
そんなに大事なのか?スーp(ryが
「はい!何かありましたら、またお願いします。今後、喫茶店《ノワール》に遊びに来て下さい」
ニコリとフォードに微笑む。
「大丈夫ですよ。零が言うならその人達は悪い人じゃないと思うし」
案内された部屋に入り、許可をだす。
「ところでその魂はどうやって呼ぶんですか?」
一方
近くの場所にてとある二人の魂が零を探していた。
『貴方も死んだのねぇ。私みたいに元から正気だったのに。貴方が七罪者を裏切るなんて…クスクス』
[うるさいのう…《アリサ》。それより探すの手伝ってくれてありがとうのう]
『クスクス……私も御礼が言いたいしね。彼ならきっと《アイツ》の野望を止めてくれるわぁ』
127
:
セツコ中
:2011/08/08(月) 23:47:59 ID:c1.PBF/s
>>126
訂正
私みたいに→私と違って
128
:
零「」&フォード『』
:2011/08/09(火) 00:02:56 ID:BQ990e1A
>>126
「愛車……しかもなぜ巴津火に…。ま、まぁ直ったんだしさ、気にすること無いよ。」
『ノワール…ああ、澪のお嫁さんが働いてるところか。
近いうちに行くとしよう♪』
夷磨璃はノワールの常連なので、場所は直ぐに分かるだろう。
「正直言って、使い方は分からない…。
とりあえず、この玉が呼び寄せてくれるのを信じるよ。
じゃあ、フォードさん、お願いします。」
円の描いてある所へ、フォードと零が行く。
フォードは壁に掛けてある巨大な「斧」を掴むと、その円の中心へと振りおろした。
床の裂け目が広がると、そこだけ紺色の亜空間が現れた。
そこから作り出そうと言うのだ。
『零、今からその二人の体を思い出すんだ。出来るだけ正確に。』
そう言うと、フォードは右手で零の額に手を載せて、左手で亜空間に妖気を送り込む。
ぐちゃぐちゃと気味の悪い音を立てながら、それは少しづつ形を成していく。
そして…数分が経過したときには、アリサと暴食の完全な体が出来、亜空間は消えた。
『わしが手伝えるのはここまでだ、用が済み次第、大広間に来ると良い。』
「フォードさん、感謝します。(道返玉…二人の魂をここに呼び寄せて…)」
フォードは笑顔でそう言うと、この部屋から出て行った。
零は道返玉に祈り、二人の魂が戻ってくる事を待った。
129
:
田中 夕&他色々
:2011/08/09(火) 00:25:16 ID:c1.PBF/s
>>128
「乗ろうとしたら高さが合わなかったみたいで…ス(ryの下敷きになっちゃって…ハツビーがs(ryを………」グスン
涙をふきながら事の真相を話す。
「はい、ちょっと変わった姉ですけど自慢の姉です」
……ちょっと?
だが姉の事を話す田中くんは何処か誇らしかった。
そして田中くんは二人の身体が出来てるのを見て、凄い!と眼を輝かせながら見ている。
そして、零が道返玉に祈ると……
「うおっ!!!」
突然、田中くんの右手が強く輝き、それに呼応するように道返玉も輝き始める。
??「貴方の思いしかと届きました。
いいでしょう。本来なら偽の身体は禁止し、対価をいただきたいのですが…《八握剣》もいますし、貴方の《魂》の強さと思いに免じ、いいでしょう。
その身体も偽物ですがかぎりない本物に近い」
何処か芯がしっかりした女性の声が響き渡る。
夕?「感謝する。道返玉」
それに答えるように田中くんが声を出した。
………まるで別人のような気配だが…
圓坐「さて…早く零を……んっ?」
アリサ「あら?あらあらあら?ここは一体どこかしらぁ?」
すると二人の身体が眼を見開き辺りをみまわした。
状況がわかってないようだ。
130
:
零
:2011/08/09(火) 00:33:37 ID:BQ990e1A
>>129
「…!!これは一体…?」
道返玉が急に話し始めた。どうやら女性のようだが。
それに反応するように、田中とは思えない田中が喋っていた。
「(まさか…十種神器は生きているのか…?)ありがとうございます…。
道返玉…。感謝します……!」
しかし、そんなこともすぐに擦れて行った。
「アリサさん…おじさん…よ…よかった……っ!」
あの時はあれほど争そっていたのに……
でも今は…違う。圓坐の元へと駆け寄った零は、笑顔を見せた。
131
:
田中くん 圓坐 アリサ
:2011/08/09(火) 00:48:15 ID:c1.PBF/s
>>130
道返玉「今回は特別です。しかし、次からは無しです。
我らを使うのは誰でもできる。善にも悪にもできる。
故に悪しきモノ達に利用されないよう…気をつけてください。正しきモノよ」
そう声が途切れると同時に道返玉の光は消えた。
夕「……………あれ?」ガクン
それと同時に田中くんの《右手》の光も消え、正気に戻った田中くんは力無く崩れた。
圓坐「主は………何故ここに?いや…何故ワシらの身体が?」
アリサ「魂……じゃないみたいねぇ。本物じゃない」
二人は戸惑っていたが、零が笑顔で近づき
圓坐「………零。ワシらは……」
アリサ「よくわからないけど、お兄さんが私達を蘇らせたのかしらぁ
……二回も貴方に救われるなんて、ありがとう」ペコッ
おじいちゃんは未だに戸惑うも
アリサはなんとなく理解し、少し涙腺がゆるみながらも深く零に頭を下げた。
132
:
零なか
:2011/08/09(火) 01:01:43 ID:BQ990e1A
>>131
「…分かりました。きっと貴方を守って、利用されないようにします…。」
消えて行く声にだけに語りかけるよう、零は言った。
「二人はまだ…やるべきことがあったでしょう?
おじさんは黒龍のことを助けてくれた代わりに死んじゃって…。
自分が何もできないって悔しくて悔しくて…。
でも、あの時譲り受けた物の力を借りれば二人を助けられるって聞いて…。
だから…新しい人生を楽しもう?二人とも。私たちはもう…仲間だからさ?」
「ううん、アリサさん。御礼は道返玉に言ってください。
もう…道を外さないでくださいね。」
二人に声を掛けると、崩れた田中君を起きあがらせて、フォードの待つ大広間へ案内した。
そこには暖かい紅茶やらお菓子やらが置いてあるだろう。
それは、生き返った二人を歓迎するかのように。
//そろそろ〆ますか?
それとも、もう少し続けますか?
133
:
セツコ中
:2011/08/09(火) 01:13:02 ID:c1.PBF/s
>>132
圓坐「御主……アリサはともかく…ワシを仲間と言うのか?…
ワシは正気の状態で沢山の命を奪い…御主らを…」
涙を流しながら、圓坐は零の優しさに感銘をうけた。
アリサ「……ありがとう。道返玉。
わかってるわぁ」
アリサはそう言い微笑んだ。
そして田中くんも起き上がらせ、彼らはフォードさんのいる所へ移動した。
そして二人はフォードさんに青行燈に二人が生き返ったのを隠す為にしばらくここに止めてくれるよう頼むだろう。
彼等が知ってる事を聞くのは…皆が集まった時にと言い。
/はい。ではこの辺りで
/絡みありがとうございます!
/お疲れ様でした
134
:
零なか
:2011/08/09(火) 01:16:07 ID:HbHPxpxY
>>133
/了解しました!
/絡みありがとうございました!
135
:
???
:2011/08/10(水) 23:19:40 ID:???
「ここか・・・」
袂山の頂上付近の洞窟にて。
立ち尽くす幼い影が一つあった。
「・・・」
流れるような妖気の脈を辿り、袂山の頂上へとたどり着いた。
おそらくここに・・・なにかある。
「・・・ケホッ」
異臭にも似た瘴気に少し咽ながら、
サンダルを履いた足は砂利を慣らしながら洞窟へと向かっていった。
136
:
東雲 犬御
:2011/08/10(水) 23:25:40 ID:0rvvBuFg
>>135
「待て」
ざり、と砂利を踏む音が、幼い影の後ろから洞窟内へ響いた。
振り向けば外からの光に当てられ、大きな影を作り出す大男が見えるだろう。
「見当違いだったぜ……まさかこっちに来るとはな」
足音が不気味に木霊する。
暗い洞窟内の中に、ぎらりと獲物を見付けた狼の瞳が光った。
「何しにきた? バレバレだぜ、侵入者」
袂山に足を踏み入れた時点で、獣妖怪や送り妖怪にその姿を目撃されている時点で、
その足取りの全ては筒抜けだった。
137
:
雨邑
:2011/08/10(水) 23:31:21 ID:???
>>136
背後から掛けられた声にビクリと肩を浮かせ、
恐る恐る背後を振り向いた。
逆行を背にした大男がこちらを睨み、凄みを利かせている。
「・・・織理陽孤さんからの紹介、一番強い妖気を辿ってきたらここに出た」
振り返ったその表情は薄いながらも、なにやら冷や汗を浮かべていた。
単に好奇心でここに着たつもりが、とんでもない場所だったようだ。
少し伏目がちになりながら、犬御に萎縮しジリジリと後ずさる。
そう、洞窟の奥のほうへ奥のほうへ・・・
138
:
東雲 犬御
:2011/08/10(水) 23:41:30 ID:0rvvBuFg
>>137
「織理陽狐? ……あの狐か」
疑心を湛えた紅い瞳を細める。
(なら話を聞いていなくてもおかしくはねェ。だが)
かといって、はいそうですかと信じる訳にはいかない。
相手が十種神宝を狙う輩でないとしても、だ。
あの奥に何があるか東雲自身も知らないし、情報が間違っている可能性も0ではない。
雨邑の背後、洞窟の奥から漂う、強烈な……というより、鳥肌の立つような気持ちの悪い妖気。
それは発せられている、というより、べったりとそこに「残されている」と言ったほうが正しいように感じた。
「おいテメェ、止まれ。そこから、動くな」
低い、威圧するよう声を唸らせながら、一歩ずつ距離を詰めていこうとする。
しかしそのまま雨邑が後ろに後退したとすれば、
――十数m、ぽっかりと空いた大穴に、真っ逆さまに落下するだろう。
139
:
雨邑
:2011/08/10(水) 23:51:32 ID:???
>>138
「!」
いきなり声を上げ、歩み寄ってきた犬御に恐怖し、
雨邑は後ろへ駆け出してしまった。
「! う、うわっ!!」
そのまま巨大な大穴へと吸い込まれるように落下してしまう。
黒い岩肌に身体をぶつけ、擦り傷を作りながら・・・深い深い闇の中へと。
しかしそれは永遠ではなく、やがて激しく身を殴打して“底”へとたどり着いた。
あちらこちらに青痣を作り、肌が擦り切れ血が滲んでいる。
「っ、つつ・・・うっ!」
どうにか身を起こしたとき、吐き気を覚えるような淀んだ妖気に痛みすら忘れた。
下手に意識を手放せば、邪神として転生してしまうのではないかと思うくらい邪悪で穢れた気。
しかし、なにより目を疑ったのは・・・。
「何・・・これ・・・?」
暗闇では光ではなく、匂いと気配でモノを感じ取る蛇だからこそ。
その洞窟の底で眠っていた“ソレ”にいち早く感づいてしまった。
140
:
東雲 犬御
:2011/08/11(木) 00:02:05 ID:0rvvBuFg
>>139
「おいっ!!!」
後ろへ駆けだした雨邑を止めようと、東雲も駆け出す。
だがしかし、遅かった。
突然、雨邑がそこから姿を消した。
だが実際消したわけではない。落ちたのだ。洞窟の「大穴」に。
「ちっ……!!」
苦々しく顔を歪め舌打ちすると、東雲は本来の姿である送り狼に戻った。
奥へ近づく度に濃くなる妖気。
そして同時に、この鼻が曲がりそうな臭い。
(これは、腐敗臭だ)
大穴に落ちる直前、東雲の脳裏にある光景がよぎった。
この大穴の底に何があるか――。
ガラガラッ!!
数十m先の底に着地する。
地面であるはずの底は、不安定な足場だった。
暗闇の中で目を見開いた東雲と、気配を感じ取る蛇が見たもの、それは。
「ンだ、こりゃ……」
――大量の、人の、骨。
穴の中に敷き詰められた、おびただしい数の人骨。
干からびた肉。巨大な穴の中に溜まっていた腐臭。
生きていた時に身に纏っていたであろう着物も、全て残されている。
そして、全身が震えるような妖気。
どんな妖怪であっても分かる。この妖気の主が、これをやったのだと。
141
:
雨邑
:2011/08/11(木) 00:07:11 ID:tElbSrz.
>>140
「っ・・・!」
強大な妖気、無数の人骨。
腹の底から善神としての怒りと猛気が溢れようとするが、
慌ててその衝動を飲み下す。
自分が敵う相手じゃない、戦って良い相手じゃない。
雨邑は痛みを堪え、フラフラと犬御の影へと引っ込む。
そして僅かに光差す出口を見上げ、大穴から這い出ようとする。
142
:
東雲 犬御
:2011/08/11(木) 00:16:49 ID:0rvvBuFg
>>141
(これが爺たちが隠したがってたモノだってか?)
吐き気や嫌悪感と同時に怒りがせり上げる。
どういうことだ。
確定的なのは、「これ」が行われたのが400年前、東雲らが生まれる以前の話であるということだけだ。
なんの目的で? なにがあって?
……見当もつかない。
「これ」をやったものが、生きているかどうかすらも。
「!!」
よろよろと出口へ這い出ようとする雨邑に、東雲が人骨を踏み鳴らしながら近付く。
そして、その服の裾を軽く噛んだ。
「待て。……その動揺っぷりを見ると、テメェも目的が外れたようだな」
そう言いながら、東雲も胸の奥の動揺を落ち着かせていた。
なにが十種新宝だ。とんだ見当違いもいいところだ。
東雲は再び人間の姿に戻ると、幼い影の首元を引っ張り上げようとする。
「掴まれ。テメェの体じゃここから登るのは無理だ」
143
:
雨邑
:2011/08/11(木) 00:24:05 ID:tElbSrz.
>>142
「・・・」
コクリと頷き、東雲の背中に身を任せる。
そしてもう一度、あの屍骸の山を見返し、吐きそうになって口元を押さえた。
「わ、私は・・・」
小さく、途切れ途切れに言葉を発する。
「本当に、来ただけ。袂山に遊びにおいでって、織理陽狐さんが言ってたから」
小さな手は犬御の首にすがる。
「だから・・・一番大きな、妖気の脈を辿ってたら、ここについたから・・・」
この邪神の“流れ”を読み取る力が完全に裏目に出ていたらしい。
普段の妖怪では気づけないような、この密閉された妖気の脈さえも嗅ぎ分けて辿ってしまったのだ。
144
:
東雲 犬御
:2011/08/11(木) 00:34:49 ID:0rvvBuFg
>>143
雨邑が背中に乗ったことを確認すると、東雲は爪に鎌鼬を纏わせた。
洞窟の固い壁に引っ掛け、確実に上へ登って行く。
彼の体格からするに、数分で上に着くだろう。
首に纏わる細い腕は、わずかに震えていた。
その姿に、無意識に幼い頃の四十萬陀を重ねてしまう。
東雲はぎりっと奥歯を噛みしめ、ゆるゆると溜め息をついた。
「……こっちにもテメェの言葉の鵜呑みにできねー理由があンだ」
あの場で雨邑の真意を確かめることはできなかった。
そう言い聞かせるも、どうにも腑に落ちない。
胸につっかえるような、それが「罪悪感」であることを、東雲は認めたくなかったのだが。
「いきなり追い詰めたのは、こっちに非がある。
……狐の所まで、送ってやる」
大穴の出口の光が大きくなる。もうすぐでこの洞窟から出られるだろう。
145
:
雨邑
:2011/08/11(木) 00:43:53 ID:tElbSrz.
>>144
「ん・・・」
犬御の言葉に少し、たじろぎながらも。
大きくなってくる外の光に、雨邑は目を細めた。
「・・・1つ、聞いて良い?」
しかしフツリ、と沸いた疑問・・・というよりも違和感に。
どうしても口走らずに入られなかった。
「貴方達は元々人を食べる妖怪だったはずなのに・・・どうしてそんな嫌な顔をする?」
そこだけがどうにも腑に落ちなかった。
というのも雨邑はあの穴を、袂山の食べカス捨て場かと思ったくらいなのだ。
どこか苛立ったような犬御の言葉と態度は違和感があった。
洞窟の大穴を登りきる。
雨邑は小さく「ありがとう」と言うと、犬御の背から降りた。
146
:
東雲 犬御
:2011/08/11(木) 01:04:54 ID:/AfNAO.Q
>>145
「あ?」
尋ねられた疑問に、東雲は壁を伝えながらその答えを頭の中で言葉にしていた。
大穴を登りきり、洞窟の外へ出る。
たった数分中に居ただけだというのに、とんでもなく長い時間に感じていた。
少女を地面に降ろすと、東雲は疑問に対する答えを語り始めた。
「……確かに俺たちは人を喰らう妖怪だった。だがそれはあくまでも、生きるためだ。狩った人間だって全て、骨まで残さず喰らってた
だがテメェも感じただろ。あの死体は全て――」
「手を付けられてなかった」
「つまり、恐らく何十人もの人間をあの穴の中に突っ込み、腐って干からびるまで、放置してたってことだ」
その異常さは、あえて語るまでもないだろう。
語る東雲の顔色も、わずかに青ざめていた。
そんな悪趣味なことを送り妖怪の仲間がするはずがない。いや、できるはずもないのだ。
「そして何より、あんな胸糞悪ィ妖気に当てられて、嫌な顔するなっつー方が無理だろうが」
粘っこい悪魔じみた妖気。
窮奇のそれと肩を並べる……いや、それ以上かもしれない。
善も悪も関係なく食らいつくしてしまいそうな。
まだその感覚が、悪寒が、体全身に残っていた。
147
:
雨邑
:2011/08/11(木) 01:11:11 ID:tElbSrz.
>>146
「なるほど・・・」
ソレなのだ。
あの時感じた違和感は。
死んだ情景がまるで浮かばないような、
累々と積み重なった不気味な無縁仏の数々。
「もう、ここでいい・・・今日は帰る」
洞窟から出て行き、袂山の面々にぺこりと頭を下げると。
そのまま逃げ出すように山から下りようとした。
148
:
東雲 犬御
:2011/08/11(木) 01:16:44 ID:/AfNAO.Q
>>147
「あッ、おい!」
突然山から降りていく後ろ姿に声を掛ける。
が、止まることなくそのまま姿は見えなくなった。
「……行っちまいやがった……」
まだ織理陽狐の所まで案内してもいないというのに。
一体何だったんだ、と思う反面、どこかで感じたことのある妖気だとも感じていた。
しかし、今はそれよりも。
背後の洞窟を振り替える。
(ここが何なのか……調べる必要があるな)
149
:
ネロキナ
:2011/08/11(木) 22:47:58 ID:tElbSrz.
マンション○○階、零の自宅の戸棚にて。
大事そうに飾られていた黒い刃毀れの包丁がコトリと動いた。
それはカタカタと激しく振動したかと思えば、
ズルズルとゼリーが毀れだすようにエクトプラズマーが噴き出し。
やがてそれは人の形となって、少女の形となって。
戸棚から、黒い衣服を纏った幽鬼がその存在を具現とする。
「・・・ふふふ」
やがてそれは戸棚から包丁を持ち出し、虚ろな目に煌々とした光を燈していく。
「ロキ、復活ーーー☆ミ」
先ほどまでのおぞましさはどこへやら。
明るくそれだけ呟きピョコンと飛び跳ねる。
「さぁーて、ゼロは何処かなー?」
150
:
零
:2011/08/11(木) 22:52:23 ID:HbHPxpxY
>>149
そのマンションの前を車椅子で通り過ぎて行く少年が一人。
ノワールに一人で居るのも暇なので、久しぶりにホストへと向かうところだった。
自分の部屋で何が起きたのかは全く知らず。零はマンションを通り過ぎようとした。
151
:
ネロキナ
:2011/08/11(木) 22:58:33 ID:tElbSrz.
>>150
ピキーン、と直感のようなモノで窓の外をのぞいた。
ストーカー暦300年超は伊達じゃねぇぜ!
「あぁっ、ゼロだぁー」
窓をスルスルと開け、暗い翼をバサリと広げる。
窓際からトッ、と足を離し、夜空へと飛び上がった。
「ゼローー!!」
そのままグライダーのように滑空し、零に凄まじいタックル!
車椅子にも容赦ねぇ!! 本人はただ抱きついてるつもりだけど!
152
:
零
:2011/08/11(木) 23:04:01 ID:HbHPxpxY
>>151
「〜♪・・・っ?」ガシャアン!
車椅子、見事に吹っ飛んで行きました!そんな零は押し倒された形で抱き着かれることとなった。
何が起きたのか今だ理解せず、ぽけぇーっとネロキナを見つめていた。
しかし、その笑顔、容姿、声。それがネロキナの物と分かったとき、唖然とした。
「や・・・ネロキナ・・・なんで・・・」
153
:
ネロキナ
:2011/08/11(木) 23:09:43 ID:tElbSrz.
>>152
「あはははっ! あの程度で消えるようじゃ334年ストーカーやってないよー!」
その声は明るく、今までのような狂気は感じられない。
「むっ、そういえばあのトカゲは!?」
急にライバル心むき出しで辺りをキョロキョロと見始める。
どうやら零が心寄せていることに直感的に気づいていたようで、
嫉妬と対抗心メラメラなのだ。
154
:
零
:2011/08/11(木) 23:16:01 ID:HbHPxpxY
>>153
「・・・ストーカー、私のね・・・」
恐怖感があまり無くなった為か、少しはまともに話せるようにはなったようだが。次のネロキナの言葉で零らキレた。
「お前、気安く黒龍の話題を出すな。次に言ったら・・・殺す。」
衿元を掴み、睨みつけた。だが、今の零ではネロキナに傷をつけることさえ難しい。
155
:
ネロキナ
:2011/08/11(木) 23:21:34 ID:tElbSrz.
>>154
「殺す・・・ね、“また”かな?」
ネロキナの瞳が急に冷たくなった。
しかし今回は零よりも若干余裕があるのか。
目を閉じ、再び目を開く。
そこには狂気も先ほど覗かせた冷たさもなかった。
「ゼロにとって、大事な人だったの? 私にとってのゼロと同じくらい」
156
:
零
:2011/08/11(木) 23:29:40 ID:HbHPxpxY
>>155
「私は・・・殺してなんか・・・」
ネロキナは殺してない、と言いたいのだが、彼女が本物ならばそれは嘘になる。
だから、完全な否定は出来なかった。
「・・・私の家族で・・・友達で・・・恋人だった・・・。大切・・・なんかでは言い表せない存在だった・・・」
目を閉じ、俯く。
157
:
ネロキナ
:2011/08/11(木) 23:39:57 ID:tElbSrz.
>>156
「・・・そう、ゼロはあのトカゲが大好きだったんだね」
そして薄々感づく。
黒竜はもう帰って来ないのだと、もう零とは会えない存在になっているということを。
ネロキナにとって、奪う相手が居なくなったという喜びよりも。
そのことに対するどこか共感めいた感情の方が大きかった。
好きな人に会えなかったけど、もう会うことができる自分。
好きな人とずっと一緒に居たけど、もう会うことができない黒竜。
いくらなんでもこの不公平に付け入るほど。
心根は狂っては居ない。
「・・・今日のところは引っ込んどくよ。
傷心に漬け込んで印象操作するほど余裕無いわけじゃないしね」
説教をする気も、慰めや激励の言葉を送る気にはならない。
もし自分だったら何を言われようが、絶対に納得できないから。
「また近いうちに化けて出るよ」
ドロンと煙のように身体は散り、零の手元に黒い包丁が残った。
158
:
零なか
:2011/08/11(木) 23:48:21 ID:HbHPxpxY
>>157
「・・・・・・」
ネロキナの言葉を静かに聞き、顔を上げたときには彼女はいなかった。
そこにあったのは黒い包丁。
「・・・(一緒にいてあげるべきか・・・?)」
ネロキナが自分を好んでくれているのに、置いていく訳にもいかず。
胸元に包丁をしまうと、ホスト先へと向かった。
159
:
叡肖
:2011/08/12(金) 23:07:53 ID:1gBuqmPQ
「いい感じに繁盛してるね」
人の姿に化けた衣蛸は、患者のふりをして病院の待合室にこっそり潜り込んでいた。
「いやー手の骨に皹でも入ったらしいんですよー」等と、待合室の他の患者とお喋りをし、
自分の偽名『八崎 正午』の順番が来るのを待つ間も、可愛いナースのチェックは怠らない。
そうこうしているうちに、叡肖の順番になったことをスピーカーからの声が告げる。
『ヤツザキさん、ヤツザキショウゴさん、診察室4番へどうぞ』
待ってました、と浮き浮きしながら叡肖は診察室の扉を開く。
(さて、殿下が気に入ったという医者は、どんな相手かな)
書類鞄を片手に、スーツ姿の叡肖は軽く頭を下げながら中へ入っていった。
160
:
小鳥遊 療介
:2011/08/12(金) 23:19:01 ID:0rvvBuFg
>>159
叡肖が扉を開いたのに合わせて、小鳥遊は回転椅子をくるりと回して体を向けた。
「こんにちは、八崎さん」
人懐っこい笑顔を浮かべ、軽く会釈する。
一見は優しげな印象を与える、細見の人間だ。
「こちらにどうぞ」と正面の椅子に座るよう叡肖に勧め、片手の診療録に目を通す。
「手の骨に皹が入ったようということっすけど……どこかにぶつけたりしたんすか?」
前かがみに座り直すと、椅子がぎしりと鳴る。
161
:
叡肖
:2011/08/12(金) 23:32:09 ID:1gBuqmPQ
>>160
「よろしくお願いします、先生。
実はちょっと手の焼ける子供が居まして、その子にね…。まずは、診ていただけますか?」
そう言いながら叡肖は右手を医師に差し出した。
診察室で待つ間、問診票に記入しておいた様に「骨折の疑い」であれば、まず触診が普通だろうとの行動である。
痛むのは本当に骨か、筋か、確かめようとする医師の手が触れるだろう。
その瞬間を狙って、叡肖は差し出した手を人のものから吸盤のついた蛸の腕へと変えるつもりである。
そして無論、骨なんて蛸には無いのだ。
(彼の第一印象はなかなか高感度高いね。これなら新規の患者も見込めそうだ)
早速腹のうちで算盤を弾き始めた計算高い蛸の目は、小鳥遊医師の人当たりのよさを認めた。
162
:
小鳥遊 療介
:2011/08/12(金) 23:48:49 ID:0rvvBuFg
>>161
「おや、お若いように見えるっすけどね」
おどけた風に笑いながら、椅子を叡肖のほうへ移動させる。
「では、失礼します。痛ければすぐに言ってくださいね」
差し出された右手を、あまり刺激を与えないようゆっくりと手に取る。
肌に腫れなどの異常は見られないことを確認すると、
「少し押しますね」と言って、片手で手の甲をやんわりと押した。
丁寧な動作と共に、患者への心遣いも伺える。
少なくとも気質、技術ともに悪い医者でないことは見て分かるだろう。
163
:
叡肖
:2011/08/12(金) 23:55:54 ID:1gBuqmPQ
>>161
そっと医師の手が触れたとき、叡肖の手は黒ずみ、弾力のあるぬるりと冷たい手触りのそれに変わる。
「改めましてこんにちは、先生。実は私、衣蛸の叡肖と申します」
吸盤のついた蛸の腕先が、きゅっと小鳥遊医師の右手に巻き付いて握手をする。
同時に人のままの左手は伊達眼鏡を外して、露になった歪な形の瞳孔が
小鳥遊医師ににっこりと笑いかけた。
「実は、巴津火殿下の指示でここへ来ましてね。
先生のご希望する雇用条件、新しいクリニックの候補地について、詳細をすり合わせに来たんですよ」
鞄から取り出した書類や地図をさくさくとデスクに並べながら、衣蛸は小鳥遊医師に説明した。
164
:
小鳥遊 療介
:2011/08/13(土) 00:06:46 ID:0rvvBuFg
>>163
「!」
叡肖の右手が黒ずみはじめ、小鳥遊が驚いたように目を見開く。
それが触手に変わり、頭上で叡肖の言葉が聞こえると、小鳥遊はゆっくりと頭を持ち上げた。
「……なるほど」
再び叡肖とかち合ったのは、まるで先程とは別人のような貌をした、人ならぬ者だった。
右手に巻き付く触手を握り返す。
「こんにちは、叡肖さん」
あの優しい笑顔が演技なわけではない。
ただ、この狂気に満ちた顔も、彼のもう一つの面であるというだけの話だ。
小鳥遊は立ち上がると、診療室の扉に鍵を掛けた。万が一、ということなのだろう。
デスクに資料を並べる叡肖を振り返り、
「わざわざ出向いてもらってありがとうございます」
そう言って近づいていく。
165
:
叡肖
:2011/08/13(土) 00:18:24 ID:1gBuqmPQ
>>164
「いえ、これからは先生も共にあの殿下に仕える苦労を分かち合う、いわば同士なわけですから」
衣蛸は愛想良く、煮ても焼いても食えない笑みを、人ならぬ者へと返した。
とは言え、巴津火にこき使われる頻度は側近の叡肖のほうが多くはなるのだろう。
「私を見てもうお気づきかと思いますが、我々は水界の者でしてね。
あの幼い殿下も、これからの水を治める方。
なので、陸生まれの先生にこんなことをお願いするのは心苦しいのですが、先生のお仕事の半分は
水界にてして頂く事になります」
ここで叡肖が地図を開く。
クリニックの候補地を赤の印で示したそれらは、川沿い、湖岸、運河の前、ベイエリアなどなど、
全てが水に近い場所であった。
「つかぬ事をお聞きしますが、先生は船舶免許をお持ちでしょうか?」
医師が船に乗れるなら診療用の船舶も用意しよう、との腹積もりである。
166
:
小鳥遊 療介
:2011/08/13(土) 00:33:21 ID:0rvvBuFg
>>165
一癖も二癖もありそうな男を前に、小鳥遊は楽しげに口端を上げた。
彼とは気が合いそうだ。
腹の底で何を考えているか分からないもの同士、といった所だろうか。
「治療すべき患者がいるなら、どんな場所でも構わないっすよ」
身を乗り出し、叡肖が開いた地図の全体を眺めた。
どんな場所でも、と言ってもやはり良し悪しはある。
彼が人間の世界において高い地位を保つためにも、これは必要なことだ。
考えを巡らせるように顎に手を当てる。
「いえ……しかし必要であれば取得しますよ」
その時間はいくらでもあるのだ。
167
:
叡肖
:2011/08/13(土) 00:42:22 ID:1gBuqmPQ
>>166
「そうおっしゃて頂けると心強い。
もし免許をお持ちでなければ必要に応じて幽霊船を差し向けるつもりでしたが、取得して頂けるなら有難い。
通常の船舶でなら、より人目に付かずに行き来できますからね」
取得に必要な費用はこちらが負担致します、と言って叡肖は頭を下げた。
「次に報酬についてですが、金銭以外のご希望はありますか?
金額については10年ごとに見直してゆくことになります。人の世の物価は変動しますからね。
今こちらが提示する額は、こんなものでどうでしょうかね」
もちろん人の貨幣でお支払いしますよ、と言いながら衣蛸が記した数字は、
今の医師の年収の数倍であった。
そして巴津火が医師の仕事に満足すれば、さらに増やせるのだと言う。
168
:
小鳥遊 療介
:2011/08/13(土) 01:04:54 ID:0rvvBuFg
>>167
「お心遣いはありがたいですが、費用は僕が個人で用意しますよ」
頭を下げる叡肖を片手で制し、にこりと微笑む。
十数万程度なら負担してもらうまでもない。
提示された金額を見て、小鳥遊は少しばかり驚いたように見えた。
「……十分過ぎる程です。報酬についての希望は特にありません」
妖怪である彼らがどうやってこれほどの人間の通貨を手に入れているのか、気になるところではあるが、
小鳥遊はそういってかぶりを振った。
それから、人差し指を立てる。
「ただ一つ、人員についての希望が」
小鳥遊の方からも優秀な人材を引き抜くつもりではいたが、叡肖達、つまり妖怪側の人材は彼では引き抜けない。
おそらくあちら側で用意されるのだろうが。
「出来る限り優秀な人材を用意してもらいたい。
それと、一度その方々の資料――いえ、可能ならば一度顔合わせをしたいんす」
169
:
叡肖
:2011/08/13(土) 01:17:47 ID:1gBuqmPQ
>>168
「判りました。
人員についてはまず書類で詳細をお渡しして、その後先生ご自身で面接するのが一番でしょうな」
その旨を手帳にメモしながら叡肖も頷いた。
「クリニックの場所と、広さ、設備についてですが、物件ごとの詳細資料をお渡ししておきます。
後ほど人員候補の資料もお届けしますので、それぞれに目を通して、またお返事頂ければ
その通りとりはからいますので」
分厚いファイルと共に自分の連絡先を医師に差し出して、今日衣蛸のすべき一通りの業務は
終了したようである。
170
:
小鳥遊 療介
:2011/08/13(土) 01:28:22 ID:0rvvBuFg
>>169
「隅々までありがとうございます」
差し出されたものを受け取り、診察台の引き出しへ仕舞い込む。
それから置きっぱなしにしていた診療録を手に取ると、
「手の甲の皹については適当に書いておきますが、
…・…よろしければX線での診察でも受けていかれますか?」
妖怪をレントゲンするとどうなるのか、興味はある。
そんな含みを持たせて、小鳥遊が冗談めかしたように提案する。
171
:
叡肖
:2011/08/13(土) 01:36:48 ID:1gBuqmPQ
>>170
「そうですね、念のためにレントゲン撮影での診断をお願いします」
面白そうに頷き、レントゲン撮影室に向かった叡肖。
しばらく後に小鳥遊医師の手元に届いたその右手のX線写真は、通常の人間のそれと全く変わらないものであった。
それは医師をがっかりさせたかもしれないが、同時にそれは化けた状態でならば妖怪にも
人間の医療がそのまま応用できる可能性を示していた。
もちろんその骨に皹はなく、八崎正午の右手についてそのカルテには「捻挫」と記され、
その日の処方は痛み止めと湿布のみとなったのだった。
//こんな感じで、〆でいいでしょうか?
172
:
小鳥遊 療介
:2011/08/13(土) 01:55:44 ID:0rvvBuFg
>>171
(人に化けた状態ならば、骨格も変わらないのか……)
叡肖が病院から立ち去った後、シャウカステンに挟み込んだ右手のX線写真を眺めながら、小鳥遊は一人ごちていた。
妖怪の体に興味はあったが、なるほどこれなら治療法を応用することもできそうだ。
――だが、あそこまでいたれりつくせりとは。
半妖化という、言うなれば人間と妖怪の境を踏み躙る行為をしているにも関わらずにだ。
しかし、これを利用しない手はない。
二つの種族の医学を利用すれば――
小鳥遊がほくそえんでいると、ポケットにいれた携帯が震えた。
着信画面には自宅とある。ということは。
携帯を耳に当てると、低い男の声がした。
その後ろのほうから、幼い少女の声もする。
『小鳥遊先生、またいずみが駄々をこね始めたんだが……』
『やだやだやだいずみも外行きたいのーっ!!』
「仕方ないっすねぇ……帰りにお土産でも買っていくと伝えてください」
『だとよ、いずみ』
『……フン、超おいしーのじゃないと許さないから。ねぇ幽太郎、もう一回遊ぼ!』
『ハイハイ。じゃあな先生』
「ええ、それでは」
通話を終了し、携帯を元の場所へ戻す。
二つの種族の医学を利用すれば、生と死が思いのままになる日も近いだろう。
事実、電話越しの彼らは小鳥遊の手で蘇った存在だ。
(もうすぐだ……)
もうすぐ、僕の夢が達成される。
胸が躍るような興奮を抑え込み、小鳥遊は開いた診療室の扉に、人懐こい笑みを浮かべた。
173
:
宛誄&黄泉軍
:2011/08/14(日) 22:31:26 ID:???
「さて、と」
夜闇に紛れ、死臭と邪気を纏い袂山に現れる黒の軍勢。
宛誄は黄泉軍の一部を率いて蜂の比礼と足玉の回収に赴いていた。
「足玉はもう奪われたとして、蜂の比礼は発見すらできなかった」
どうしたものか、と思案を巡らせる。
雨邑が袂山に迷い込んだ話は聞き、
彼等は縄張り型の妖怪コミュニティーを持っていることは容易に想像できる。
「どうしたものですかね、レディース?」
黄泉軍に振り返り、語りかける。
黄泉醜女はただ青白い顔を傾げるばかりである。
「・・・さて、母上譲りのこの話術でどこまでできるかな?」
宛誄は悪に煮えたぎる黒い腹をくくった。
174
:
巴津火
:2011/08/14(日) 22:38:30 ID:1gBuqmPQ
>>173
『袂山に黄泉軍が』
昨夜、喫茶店ノワールで食事中の巴津火の耳が拾ったのは、零や瞳たちと喫茶店メンバーの
その会話だった。
内心では話に首を突っ込みたくてわくわくしながら聞いていたものの、思うことを悟られないよう
何気ない表情を作ることも今の巴津火は覚えつつある。
そして今夜。
叡肖にもミナクチにも内緒で、こっそりと抜け出してきた巴津火が向かったのはもちろん袂山。
山道に入ってからの巴津火は気配を隠すそぶりも無い。
(遊び相手、今日もいるかな?)
先日遊んだあのピアスをつけた鬼は、今日来るのだろうか?
しかし巴津火の期待を裏切って、黄泉軍と一緒にいたのは別の人物だった。
「今日は《暴君》いないのか」
ちょっぴり残念そうな声音が、山道の下のほうから宛誄達に呼びかけた。
175
:
東雲 犬御
:2011/08/14(日) 22:45:18 ID:0rvvBuFg
>>173
例え闇夜に紛れたとしても、一歩袂山に踏み入って、そこを縄張りにする妖怪たちに発見されぬことは殆ど不可能だ。
周囲に死臭と邪気を漂わせているならばなおさらだ。
十種神宝が近くに存在すると知り、警戒を強めていた東雲は、口利きしておいた獣妖怪らから耳にした情報にいち早く反応した。
四十萬陀たちを巻き込まないためにも、侵入する敵には己だけでカタをつける。
(此間のガキは勘違いだったが……今度こそ間違いねェ)
近付くにつれて、鼻の曲がりそうな臭いが近くなってくる。
――敵だ、と本能が告げていた。
「!!」
大勢の暗影を見付けた東雲は、すぐさまその場の木の影に身を潜めた。
妖気を鎮め、敵を観察する。
一個体は弱そうだが、数が多い。性分には合わないが、奇襲を掛けようとした、その時だった。
>>174
(クソガキィ!?)
脳内で思ったと同時、否定した。
黒蔵じゃない。この喋り口は巴津火だ。
まさか現れるとは思っていなかった人物の登場に、想定が狂う。
東雲は苦々しく舌打ちすると、木の影から飛び降りた。
「おい……テメーら、ここで何やってる」
宛誄と黄泉軍を挟み込む位置へ着地する。
176
:
宛誄&黄泉軍
:2011/08/14(日) 22:49:24 ID:???
>>174
(巴津火!?)
掛けられた声にビクリと振り返る。
記憶の中でしか知らない“兄”とまさかの再開だった。
「・・・あの人、自分の利益にならないとなかなか動いてくれないんですよ。兄上」
いや・・・このイレギュラーは好機!
まともにやり合えば上級妖怪に及ばぬ自分にとっては、一方的に面識ある妖怪は有利な材料だ。
しかし逆に自分が因縁深い紫狂の関係者だと自白するようなものか?
まぁ『良い』、試しに揺さぶってみるのも一興だ。
「随分丸くなりましたね、母上が貴方に見限りをつけたのも納得ですよ」
>>175
カサリ、という葉音にピクリと身構えるが。
相手が奇襲や包囲ではなく堂々と前に出てきたことに腹の底から笑いそうになる。
(動いている・・・僕の有利な方向に!)
「兄弟の再会に水を差さないでくださいよ、
何しに来たかなんて黄泉軍を見れば明らかでしょ?」
その語り口は、笑みは・・・窮奇に似ていた。
177
:
巴津火
:2011/08/14(日) 23:01:36 ID:1gBuqmPQ
>>175-176
(兄?)
少しばかり訝しげな表情が、『母上』の語で得心したそれに変わる。
「ふふ、以前のボクは尖っていたと?会ったことも無い弟なぞにそれが判るものか。
そんなことより、窮奇はどうした。お前と一緒じゃないのか?」
お前も捨てられたのではないのか、と紫濁の瞳は言外に問うていた。
しかし、その兄弟同士、紫狂同士の反目を中和する存在にはもっとそっけない態度である。
「兄弟、あるいは紫狂の再会、と言ったところだな。お前も参加して『良い』んだぞ?その資格はある」
喉で笑う巴津火は弟と同じく、犬御の反応を明らかに楽しんでいる。
178
:
東雲 犬御
:2011/08/14(日) 23:09:06 ID:0rvvBuFg
>>176
「……胸糞悪ィ顔を思い出させるんじゃねーよ、クソッタレ」
宛誄を憎々しげに睨みながら、東雲は悪態を付いた。
「兄弟だと?
……なるほどテメーが、あの狐の言っていた……」
これまでの発言で察したらしく、紅い瞳を細める。
雨邑が袂山に現れた後、織理陽狐に問い詰めたのだ。
結果分かったのは、窮奇がその最期に何をしたか。
だがそれを聞いたとして、東雲にとって窮奇が憎むべき相手なのは変わらない。
肺を抉られた波旬でさえ同じ顔をしていたのだから。
疑問なのは、彼の話だけを聞けば、彼らが十種神宝を狙う理由はないはずということ。
(ま、どーでもいいけどな)
袂山に危害を加える可能性があるのなら、追い返すだけの話だ。
>>177
「黙れ」
楽しげに言う巴津火に、殺意のこもった低い声を刺す。
冗談の通じる様子ではなさそうだ。
「再会を楽しみたいなら余所でやれ。
テメーも十種神宝とかを狙ってるっつーなら、容赦しねェぞ」
179
:
宛誄&黄泉軍
:2011/08/14(日) 23:20:53 ID:???
>>177
「母上は消えました、願いをかなえる狐に負けてね。
あれは力運ではなく完全に母上の敗北でした、直に見ていた僕達だからこそわかる」
宛誄がニタリとほくそ笑む。
やはり巴津火は親への情慕も邪神としての特性も消えては居ない・・・!
「いいえ、僕“達”は見捨てられていませんよ。
むしろ母上から存在を譲っていただいたのです、『幸せにしてみせる』という言葉と共にね」
自らの身体に僅かに残った逆心の名残を見せる。
それは何の力も持たないが、紛れもなく窮奇の象徴だった。
古今東西において、蛇は嫉妬や情慕に激しやすい生き物だといわれている。
西洋においてのメデューサや嫉妬の蛇、そして橋姫や清姫のように。
(ここで巴津火の嫉妬心に火を着ければ、動かすのは容易い!)
>>178
「そこですよ」
語りかける宛誄。
先生・・・織理陽狐さんにバレるのは心苦しいが、仕方ない。
仕方ないんだ。
「ねぇ、何も見なかったことにしませんか? お互いにね」
悪意とほんの少しの望みが篭った言葉を投げかける。
「わかるでしょう、昨日袂山で何があったのか。
考えても見てください、十種神宝・・・蜂の比礼が貴方方に何か恩恵を与えていますか?」
蜂の比礼は痛みと虫害を防ぐ効能がある。
しかし妖怪に何らかの恩恵があるとは思えない。
「七罪者の力は貴方方だってわかったはずだ、アレがある限り我々は何度でもここを襲いますよ?
ならいっそ手放して・・・僕に譲ってはいただけませんか?」
断るならば、と最後の最後に脅しを付け加える。
「貴方方の事は母上からよく聞いている。
母上は何度も貴方の頭を覗き見たんですからね。
この情報を僕達が“共有して”充分な準備の元、襲ってきたらどうしますか?」
共有して、という言葉を強調したということはまだ教えていないということだ。
そして仲間を危機にさらす、という一番避けたい事態を知っての脅し文句であった。
180
:
巴津火
:2011/08/14(日) 23:31:39 ID:1gBuqmPQ
>>178-179
「十種神宝などに興味は無い。ボクが欲しいのはもっと違うものだ」
犬御に答えながら、裂けた舌先が釣りあがった口の傍をぺろりと舐める。
巴津火の欲しいものは遊び相手と暴れる口実、そして、力をつけるための『喰いもの』なのだ。
それらが集まるからこそ、巴津火も十種神宝を追っている。
「ボクは十種神宝よりも、それに集る者どものほうに興味があるな」
そう笑いながらちらりと弟の方をみた巴津火の目つきは、妙に貪欲で熱っぽかった。
その余裕は宛誄が窮奇の力の片鱗をみせたとたん、一変する。
その笑みがすっと冷え、怒りを覚えた時の無表情さに切り替わった。
あまりにも一途な蛇の想い、それが宛誄によって御されたのだ。
「お前“達”に力を分けた、だと?」
しゅぅ、と息が鳴った。
あの窮奇の力、その片鱗、弟達が分け与えられて、なぜ自分には無いのか。
問い詰めたくとも窮奇は居ない。
(ボクはあれが欲しい。あれを手に入れる)
己が欲するものが弟達なのか、それとも彼らが宿す力なのか、或いは窮奇そのものなのか、
その区別すら無いままに、嫉妬にかられて巴津火は目の前の宛誄を的と決めた。
181
:
東雲 犬御
:2011/08/14(日) 23:42:29 ID:0rvvBuFg
>>179-180
「……」
宛誄らを睨み続ける東雲は、譲歩しているように見せかけた一方的な提案を聞き終えると、
その表情を苦々しいものに変えた。
「カッ、流石あのアマのガキって所かァ?」
唾を吐き捨て、腹立たしそうに地面をにじる。
「妙に理屈めいた言い方もそこに雑じってる悪意もそっくりだぜ。
あァ……確かに、袂山に危害が加わるのは俺も避けたい」
東雲は一瞬、迷うような表情を見せ、顔を手のひらで覆った。
宛誄の提案に揺らぐ心。
十種神宝に興味がある訳ではない彼らにとって、危害が及ぶのを避けるためには受けるべきかもしれない。
少し間を置いて、東雲は重々しく口を開いた。
「――が、所詮ガキだな。あの女には程遠い」
窮奇のそれはもっと毒々しく、もっと直接心を揺さぶった。
その力に宛誄が届いているはとても思えない。
最初から、揺らいでなどいなかったのだ。
「悪いな、俺はテメーらが気に喰わねェ、よって譲る気もねェ。……届け先に心当たりがないこともないしな」
その腕に十種神宝を宿した少年を頭に思い浮かべる。
とどめを刺すように、東雲は宛誄に向けて中指を立てた。
「よく聞いてるなら、今更そんな脅しが通用しねェことくらいわかンだろ、ガキが」
182
:
宛誄&黄泉軍
:2011/08/14(日) 23:51:07 ID:???
>>180
にわかに殺気だった巴津火を見て、
黄泉軍は武器を構えるが宛誄は背負った大剣を差してそれを制する。
「そんな目をしないで、ちゃんと伝えますよ。母上から貴方への言葉」
嘘なのか真なのかはわからない、証明もしない。
しかしそれでも巴津火を制するには充分だと踏んだ言葉だった。
「『巴津火は紫狂で一緒に楽しくやろうとしていたけど、やっぱりやめにしたよぉ。
だって彼は充分“幸せ者”だ。放って置いても、何のしがらみも恨まれることもなく。
まともな妖怪として色んな『良い』友達と仲良くできる。だから巴津火は紫狂である必要は無いんだ。
紫狂はしがらみだらけトラウマだらけ敵だらけの、どうにもならないどうしようもない奴等の集まりなんだから』」
それは暗に、巴津火に選択を迫る言葉でもあった。
生まれた意義を捨て“幸せ”に生きるか、生まれた意義のままに“真逆の幸せ”に生きるかを問う言葉だった。
>>181
「・・・」
浮かべる笑みが苦々しいものに変わる。
やはりダメか・・・、コイツは揺らがない。
母への劣等感も合いまり、今度は宛誄の心が揺さぶられた。
(流石、というべきなのか・・・!)
マズい、もう2の手の交渉材は無い。
最後の望みは巴津火だった。
(考えろ! どうすればこの場で切り抜けられる・・・?)
「い、いや・・・そんな・・・貴方の一存で【良い】んですか?
自分の味方を危険に晒すんですよ、百害しかないじゃないか!!」
もはや余裕も無く破れかぶれだった。
183
:
巴津火
:2011/08/15(月) 00:05:51 ID:1gBuqmPQ
>>181
「うるさい黙れ」
巴津火は犬御に苛々していた。
窮奇を悪し様に言われたのにも腹が立ったが、なぜかこの初対面な弟を侮辱する言い方もまた気に食わなかったのだ。
短気で暴れん坊という部分がよく似ている様でいながら、その実、犬御と巴津火は反りが合わない。
(なぜだ?なぜボクはコイツに腹を立てている?)
どこか戸惑うように遠雷が響いた。いつもの巴津火ならもっとはっきりと怒りが雷雲に反映するのだが。
巴津火が手に入れたいと欲しているものを悪く言われたためなのか、それとも……。
しかしその理由を考え付くより前に、嫉妬心が煽られた。
>>182
弟が伝える窮奇の言葉、それが本当かどうか巴津火にも確かめる術のないその言葉は、
確かに窮奇の片鱗ではあった。
それは巴津火の嫉妬も戸惑いも全て、その心ごとざくりと抉る力があったのだ。
(ボクは捨てられた。弟達と違って)
雨が降り始めた。
次第に強くなる雨足の中、巴津火は涙を溜めて立ち尽くしていた。
苛立ちや嫉妬に心が波立っていなければ、後で冷静に振り返れば、
その言葉は巴津火に紫狂からの『巣立ち』を促す言葉でもあると知るかもしれない。
しかし今、宛誄に嫉妬心を煽られ一途な心を弄ばれている巴津火には、
心を打ち砕かれるのにも等しい一撃だった。
カッ、と一瞬だけ辺りを雷光が照らす。近くの木に雷が落ちたのだ。
その瞬間に、巴津火はその身を蛇体へと変えた。
(何故、弟達が選ばれた?幸せ?そんなものわからない!知らない!窮奇!)
184
:
東雲 犬御
:2011/08/15(月) 00:12:08 ID:0rvvBuFg
>>182-183
(……? 何苛々してンだ、このガキは)
その言い草が頭に来るが、まあいい。
関係ないとばかりに、東雲は巴津火から視線を外した。
「百害あったとしても」
ダンッ!! と地面を蹴りあげる。
巨体が宙に浮かび、暗闇の中に紅い狼の眼がぎらつく。
「百害蹴散らしゃいいだけの話だ」
そのまま、宛誄のほんの眼前に着地する。
少年の小さな体に対して、東雲の覆いかぶさるような巨躯はその凶悪な顔も相まって、圧倒的威圧感を植え付けた。
そのまま腕を伸ばし、宛誄の首根っこを掴み上げようとする。
――が、
「っ、ゲホッ! ケホッ…!!」
突然、東雲が激しく咳き込んだ。
思わず口に当てた手のひらを離すと、どろりとした血液が付着していた。
驚きに目を見開く。
「何、うっ、ゲホッ!! ……!!」
突如、落雷。
蛇に姿を変えた巴津火を振り向き、東雲が焦る。
(クソッ、何だってンだ……!!)
185
:
宛誄&黄泉軍
:2011/08/15(月) 00:26:18 ID:tElbSrz.
>>184
(ダメだコイツ頭『悪い』!!!)
宛誄はガビーンという擬音が聞こえそうなほどにショックを受ける。
しかし怯んでいたのも束の間で、今度はいきなり目の前に迫られ萎縮する。
「く、ぐ・・・ぐぎぎ・・・!」
そんな宛誄の心が折れかけた瞬間、事態が一変した。
>>183
「!?」
突如として落雷が樹木を裂き、巴津火がその身を大蛇へと変貌させたのだ。
窮奇のあの言葉は、竜宮事変での巴津火の扱いとその後の彼の動きを知った真実の言葉だった。
しかし幼い精神に告げるにはあまりに重く、幼い悪意が使用するにはあまりに鋭いことばだった。
そんな急変と、犬御の吐血を何よりも彼が早く理解できたのは。
まさしく偶然と運の産物だといえよう。そしてあまりにできた悪運だった。
「い、今だ! 黄泉軍A隊はコイツを押さえつけろ!
B隊は僕と一緒に来い! 走るぞ!! A隊は180秒後、僕と合流しろ!!」
10数体の黄泉醜女が犬御に掴みかかった。
薬による衰弱と巴津火の激昂によって生まれた隙では犬御でもかわせまい。
(虫害を防ぐ・・・つまり僕が一番嫌な流れを感じる場所にそれはある!)
宛誄はその弱さが完全に好転した邪気を手繰り、
水しぶきを上げながら蜂比禮の元へと駆けて行く。
(この豪雨の中なら匂いを消す! 勝った、完全に!!)
186
:
巴津火
:2011/08/15(月) 00:35:28 ID:1gBuqmPQ
>>184-185
黒蔵の器に封じられて不完全な状態の巴津火は、蛇体となっても黒蔵と同じ一つ頭の黒い蛇である。
今、その大蛇は二つの目を赤く輝かせて宛誄だけをじっと見つめていた。
ゆっくりと鎌首が持ち上げられ、大蛇はゆるゆると宛誄を狙う。
(窮奇、なぜボクじゃない、なぜあの弟なの。
……欲しい、あれを。捕らえる、あの弟はボクのものだ)
しかし心が乱され、答えの無い疑問を抱えその動きはどこか無駄が多い。
時折その顎が宛誄を捕らえそうになるが、その度に空を噛む。
明らかに大蛇は悩んでいた。
そしてさっきよりはもっと大きな雷が別の木に落ち、轟音が森を揺らす。
裂けた木に炎が灯り、その明かりが樹下の小さな祠を照らした。
石造りのそれは傾いでいたが、ぴたりと扉を閉じ、全体を封じるかのようにつる草が絡み付いている。
巴津火はただ宛誄だけを追い、宛誄だけを見ている。先に祠に気づくのは、宛誄か、犬御か。
187
:
東雲 犬御
:2011/08/15(月) 00:38:37 ID:0rvvBuFg
>>185-186
「チッ……!!」
宛誄の指示が飛んだことに気付き、焦って振り返る。
しかしその時には、既に黄泉醜女が東雲に襲いかかってきている状態にあった。
一斉に群がる躯たちとその死臭に、一気に頭に血が上っていく。
その妖力が、一気に膨れ上がる。
纏めて吹き飛ばしてしまおうと、東雲は腕を伸ばした。
「邪魔だッ! ど、け……!?」
だが、風は数体の黄泉醜女を引き剥がしただけに終わった。
全身から力が抜ける感覚に苛まれ、そのまま押し潰されていく。
(クソッ、力が思うように入らねェ!? 一体どうなってやがる!)
それが小鳥遊により投与された薬の影響だということを、この時点で東雲が気付けるはずもない。
(奴らは……駄目だ、見えねェ。チクショウが……!!)
188
:
宛誄&黄泉軍
:2011/08/15(月) 00:52:09 ID:tElbSrz.
>>186
「ひぃ!!」
巨大な口が何度も宛誄を狙い、掠め。
その度に黄泉醜女が吹き飛ばされていく。
「く、くそっ! ・・・!?」
降り立った落雷が一つの祠を照らした。
底から感じる、紛れもなく自分を拒絶する聖なる力!
だが不完全かつ、微弱なこの邪気なら絶えるのは容易い!!
「そんなに近くにあったのかぁッ!!」
祠へ向けて駆け出そうとするが、鎌首を擡げて自分を狙う大蛇が居る。
「くらえっ・・・! “牛刀・手羽裂き”!!」
背負っていた大鉈を振りかざし、微弱な邪気を乗せて掠めた鎌首に斬りかかる。
それは数枚の鱗を剃り飛ばす程度の攻撃だったが、宛誄の“病”が込められていた。
(脚気の気を込めた・・・ほんの数秒程度、怯んでくれれば!!)
その巨体にどれだけ効くだろうか?
>>187
一瞬感じた膨れ上がる妖気に驚き、飛沫を振りまいて慌てて犬御の方を見るが。
どうやらそれも一瞬で収まり、黄泉醜女達に押さえつけられている。
(な・・・何があったかわからないがこれは好機だ!!)
小鳥遊の邪念がここに来て宛誄に味方した。
宛誄は豪雨の中を駆け、祠に手をかける。
「く、くそ・・・邪魔だ、このっ!!」
絡み付いた蔦を濡れた手で引き千切り、祠を開帳させようとする。
果たして、それまで間に合うのか・・・!
189
:
巴津火
:2011/08/15(月) 00:58:15 ID:1gBuqmPQ
>>187-188
(逃がさない)
宛誄が祠に近づいた瞬間が、巴津火にとってのチャンスでもあった。
その蛇体は素早く祠ごと宛誄を抱き込み、捕らえようとする。
しかしおそらく、宛誄を捕らえたところで巴津火には次にとるべき手段が見つからない。
捕らえたとしても喰らう事も出来ず、絞め殺す事も出来ず、弟に成り代わる事も出来ず、
何をすべきか判らないままじっと動けないその時が、宛誄や黄泉軍にとってのチャンスなのだ。
そして宛誄に首の鱗をはがされた時から、じわじわと病が巴津火の身体を侵してゆく。
その力の弱まりを示すかのように、雨の勢いは弱まり始めたのだ。
やがて、巴津火や宛誄達黄泉軍の強い匂いが、雨に邪魔されずに犬御にも届くだろう。
190
:
東雲 犬御
:2011/08/15(月) 01:07:56 ID:0rvvBuFg
>>188
「ぐっ……クソ、クソがァッ……」
黄泉醜女たちに押しつぶされ、鼻の曲がるような臭いに囲まれ。
東雲の怒りはすでにはちきれんばかりに膨らんでいた。
そして、限界まで膨れ上がった風船が破けるのと同じように、
限界に達した怒りが、妖気という風船を破裂させた。
「――いい加減ッ、離しやがれェェッ!!」
宛誄らの背後で、凄まじい轟音が起こった。
振り向けば、宙を舞う何体もの黄泉醜女らが見えるだろう。
同時に、抉れた地面に片膝をつく東雲の姿も。
「くっ、はァ、はァッ……」
ぼたぼたと口端から漏れる血。
無理をした為だろうか。鉄の味のする唾を吐き捨て、よろよろと立ち上がる。
(間に合うか……!?)
宛誄らはもう大分先に行ってしまった。
この体では辿り付くまでにも時間が掛かるだろう。
それに臭いも消えてしまい、そもそも後を追うことも――。
「……!!」
その時、弱まった雨の中から漂う臭いを、東雲の鼻が捕えた。
これなら辿れる。今なら、まだ間に合う。
(……まだ終わっちゃいねェ!!)
東雲は狼の姿に戻ると、出来うる限りの力で宛誄らの元へ駆けた。
191
:
宛誄&黄泉軍
:2011/08/15(月) 01:25:22 ID:tElbSrz.
>>189
「この、このっ!」
必死で草を引き剥がす宛誄は、
異変に気づくのがあまりに遅かった・・・。
「・・・? う、うわあああああああああ!!」
巨大な蛇体が祠ごと巻き込んで自らと黄泉軍を締め上げていく。
強大な力に宛誄の骨がミシミシと音を立て、祠が音を立てて壊れた。
「ぐぅ・・・?」
死を思ったその時、巴津火はなにやら思考するように絞める力を強めない。
どういうわけかと思ったその時、病が巴津火の体を蝕んだ。
「い、今だっ!」
手羽裂きが深々と蛇身に突き立てられる。
込められた病はメルニエール病! 眩暈や立ちくらみを引き起こす病!!
その絞撃から脱出し、露出した紅いスカーフのような蜂比禮を掴む。
「取ったぁ!!」
>>190
「!?」
後ろを振り向けば、今度は犬御の妖気が駆け寄ってくる!
慌てた宛誄だが、手に持つ十種神宝に気づく。
「これだ・・・!!」
振りまくと、それは宛誄の周りから数多の虫が湧き出してくる。
このただでさえ暑い夏の夜にその効果は絶大だった。
「熱病・マラリア・・・!」
病原体を抱えた虫たちと、生き残った黄泉醜女達が犬御に襲い掛かってくる!
せめて豪雨が降っていれば虫も飛べなかったのだろうが・・・。
「ははははは!」
そのまま尾を引くような笑いを残し、宛誄は霧雨の中に消えていった。
192
:
巴津火
:2011/08/15(月) 01:35:24 ID:1gBuqmPQ
>>190-191
蛇体は宛誄を巻き込んだまま動きを止めた。
この弟を憎めば良いのか、抱きしめれば良いのか、巴津火には良く判らない。
嫉妬の裏側にはただの憎しみだけではないものがあった。
悔しくもあり恨めしくも想うのは窮奇への思慕があってこそであり、この小さな弟は確かに
巴津火と同じく窮奇に繋がった存在なのだ。
(…くそっ、なんでコイツは窮奇そっくりなんだよっ!)
どこか苦しそうに巴津火は目を瞑る。
それは宛誄が精神戦で巴津火に勝利を収めた瞬間でもあった。
(お前の、お前達の名は、何と言う)
弟にそう問おうとした瞬間、手羽裂きが深く蛇体に突き刺さった。
既に緩んでいた蛇体の中から宛誄が飛び出す。
弱まった雨の中を賭けてゆく小さな背中を見送り、がくりと大蛇の頭は地に落ちた。
やがてその蛇体は元の少年の姿へと変わる。
次第に上がってくる熱に濡れた身体を包まれながらも、どこかその表情は安堵していた。
193
:
東雲 犬御
:2011/08/15(月) 01:40:22 ID:0rvvBuFg
>>191
「!!」
東雲が辿り着いた先に見えたのは、紅いスカーフのようなものを掴み上げた宛誄の姿だった。
その手の中のものが十種神宝であることに気付くのに、そう時間は掛からない。
(遅かったか……!)
「クソッ!!」
だが、まだ宛誄はそこにいる。
地面を再び蹴り上げると、狼は宛誄に向かって飛び掛かった。
しかし――。
「!?」
蚊のような大量の虫たちと、腐臭を漂わせた黄泉醜女たちが襲いかかる。
先程の怒りを引き摺る東雲は、再び立ち塞がる敵たちにその妖気をぶつけた。
「邪魔だッ!!」
鋭い鎌鼬が、周囲の虫たちと黄泉醜女を殲滅させる。
しかしその攻撃を放った途端、全身から力が抜けた。
咳き込むとともに血を吐き出し、地面に倒れる。
「クッ、ソ、待ちやがれっ……」
霧雨の中に消えていく笑い声。
それを追い掛けることのできないまま、東雲はその場に臥しているしかなかった。
194
:
夜行集団
:2011/08/15(月) 22:46:27 ID:bJBnsqT6
繁華街の中央から外れたとあるホストクラブから、よく手入れされた蒼の髪をなびかせ、
とてつもないイケメンオーラーを発する男が扉を開けて出てきた。
お買い物が楽しみなのか、祭りが楽しみなのか、
片手にはエコバッグ、片手には買う品の書かれた紙切れを持って、
整って輝くようなその顔にやわらかな笑みを浮かべていた。
「え〜と、イチゴ、ブルーハワイ、メロン・・・宇治抹茶はいるかな?」
そして彼の馴染みの店にいく前に、立ち止まって紙の内容を確認する。
195
:
黒蔵
:2011/08/15(月) 22:51:45 ID:1gBuqmPQ
>>193
(できるだけ沢山、急いで稼がなくっちゃ)
わき腹にどうして出来たか不可解な刺し傷が出来た日から、巴津火が妙に大人しい。
宛誄に逢っての巴津火の塞ぎこみなのだが、黒蔵にはそれがチャンスだ。
今のうちに出来るだけ稼がなくてはならない。
(自分の借金も返して、狼の分もできれば支払って、そんであの医者から引き離す)
その想いも思惑も既に無駄なのではあるが、そんな事を知らない黒蔵は
今日もホストの服に身を包む。
「あれ?氷亜さんが買い物?お使いなら俺が行くよ?」
この店のNo.1ホストが自らエコバッグを提げて買い物に出ようというのは珍しい。
そんな雑用は黒蔵のような下っ端の仕事なのだ。
196
:
黒蔵
:2011/08/15(月) 22:53:11 ID:1gBuqmPQ
//安価ミス、
>>194
へでした。
197
:
メリー
:2011/08/15(月) 22:58:43 ID:c1.PBF/s
>>194
>>195
「こんにちはだよー」
突然、現れる神出鬼没な幼女!!
何処から出て来たのかといえば黒蔵のケータイから?
「あれ?氷亜お兄ちゃんお買い物だよ?」
そう言いながらキョトンと氷亜を見る。
198
:
氷亜
:2011/08/15(月) 23:04:36 ID:bJBnsqT6
>>195
この紙にある物の他に何を買おうか、などと考えながら空を見上げいると、
傍らから後輩である彼の声がした。
うん?、と笑顔のままそちら顔を向けてカバンと紙を交互にあげる。
「そうだよお買い物だよ。
それと黒蔵君、気持ちは凄く嬉しいんだけど断らしてもらおうかな。
これから行くお店は、まあなんというか、偏屈な店主の店でね」
その店主を説明しようとしているのか、黙って言葉をしばらく捜すが、
それはあきらめたようで黒蔵のほうへニコッと笑ってカバンを上げた。
「まあ会えば分かる感じかな。黒蔵君も一緒に来てくれるかい?
流石に帰りの荷物は重くてね」
>>197
そんな感じで話をしていた氷亜は、
突然その話し相手の携帯電話から飛び出しただれかに少し驚く。
目が丸くなったが、直ぐに彼の目はメリーだと視認することができた。
「やあ、こんにちはメリーちゃん。
そ、僕だってお買い物に行くんだよ?メリーちゃんもついてくるかい?」
199
:
黒蔵
:2011/08/15(月) 23:11:02 ID:1gBuqmPQ
>>197-198
「ぬわぅ!」
メリーと判っていても、ケータイを伝ってくると理解していても、毎度この登場には馴染めない。
(一体いつ後ろに出てくるのかと)
東雲犬御と小鳥遊医師のことをまだ隠し続けている黒蔵は、メリーの神出鬼没っぷりには
内心、肝を冷やしているのだ。
「うん、判った。でも行く前に」
何時ものようにアニさんアネさんに、店の外へ出ると断りを入れなくちゃと一瞬思ったものの、
二人が今はどうなっているかをはっと思い出す。
「―-ううん、なんでもない。メリーも一緒に?」
その慌てて内心を取り繕うと、氷亜の後を大人しく付いてゆく。
200
:
メリー
:2011/08/15(月) 23:19:44 ID:c1.PBF/s
>>198
>>199
「お買い物一緒に行っていいんだよ?
それならフラッシュグレネード用意しないとだよー。戦場なんだよ…」アセアセ
………メリーよ。お前はどんな買い物をしてきたんだ?
いや、多分田中母に半額セール(という名の戦場)に連れてかれた印象が強かったのだろう。
「どうしたんだよ?黒蔵?」キョトン
不思議そうに黒蔵を見ながら
201
:
氷亜
:2011/08/15(月) 23:29:34 ID:bJBnsqT6
>>199
少し小気味良いステップを彼の歩調に加え、
袋を軽く振ってまさにルンルン気分で黒蔵の前を歩いていた氷亜は、
彼の辛い物になってしまった習慣に気づかなかった。
>>200
「ははは、そんなカードは無いよメリーちゃん
それにそのお店は絶対に戦争になんてならないし」
メリーが頭の中でどのような戦争を思い浮かべているかなんて知らずに、
前を向きながら笑ってつっこむ氷亜。
「?
黒蔵君がどうしたの?」
メリーがおかしなことをしていない筈の黒蔵に気を使ったことに、
若干の不思議を感じて振り返ろうとする。
しかしそれは目の前の光景で不可能になった。それと同時に不思議感も忘れてしまった。
>>ALL
氷亜につられ彼らがたどり着いたのは、
喧騒漂うこの街の、その中でもされに騒がしく人通りの多い繁華街の中心であった。
そこにはさまざまなオフィスビル、そのほかにも大きな店が並び立ち、
地表近くは行きかう人々によって波が形成されていた。
「さあいくよ、はぐれないでね」
そして大きくため息をついたかと思うと、
二人の手をきっちりとつかんでから、えいや、と掛け声を上げてその人並みに突っ込んだ。
202
:
黒蔵
:2011/08/15(月) 23:33:52 ID:1gBuqmPQ
>>200-201
「いやなんでもないなんでもない、なんでもないからねホント」
慌ててメリーに首を振る。穂産姉妹の事も小鳥遊医師の事も、今は口にしてはならないのだ。
氷亜にばれていないか、ちらりと横目で見る。
(よかった、ばれてない)
ほっとしたその時、手をつかまれて物凄い人並みに引っ張り込まれた。
季節は夏、街中は暑く、人の流れの中はもっと暑苦しい。
「え?う?ぅふおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーー……」
いや、引きずり込まれる、というのが適切な表現かもしれない。
(どうみても人大杉)
しかし抵抗することは出来なかった。
203
:
メリー
:2011/08/15(月) 23:45:47 ID:c1.PBF/s
>>201
>>202
「本当だよ?猪のように突進してくるおばちゃんや獣のような瞳をしたお姉ちゃんとかいないんだよ?」ガクガクブルブル
妖怪であるメリーでさえも主婦たちは凶悪な妖怪に見えてしまう程にその戦場は恐ろしかったのだろう……
本当に恐ろしいのは人のよくb(ry
「ん?気のせいだったかよ?
気のせいみたいだよー」
否定する黒蔵に対し首を傾げ、氷亜にそう返す。
「あ〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜だよー」
氷亜に手を掴まれ、人込みの中に黒蔵同様引きずりこまれる。
(やっぱりお買い物は戦場なんだよ〜〜)グルグル
204
:
氷亜
:2011/08/15(月) 23:56:30 ID:bJBnsqT6
>>202
手をつれて歩く三人組。
そのうち一人はとても秀麗な顔つきのホスト、一人はあきらかにアウトな年齢のホスト、
それらに連れられている幼女。
あきらかに浮きまくって違和感に溢れた彼らだというのに、
よほど忙しいのか道行くものたちは、目をそちらに向けはしても振り返らない。
「・・・っく、やはり中央は人がただの雪崩になるね。
気を抜いたらどこに出るか分かったもんじゃないよ」
だから彼らの周りだけ人がよけるなんて事はなく、
残酷にも人の熱気と圧迫がメリーと黒蔵を襲うこととなる。
>>203
「まさに今そんな状態だから手を離さないでね」
手を強く握って行きかう者達を掻き分け進む氷亜。
その顔には少しの疲れが。歩くだけで疲れる街ってなんだ。
「そうか・・・!気のせいならいいんだ・・・!!」
途中で誰かしらのアタッシュケースが腿に入って、
あまりにもの激痛に顔をくしゃっと歪めながらも、メリーに後ろ手で反応する。
>>ALL
その尋常でない人口密度にしばらく耐え、氷亜の手に従って直進していくと、
突然、その地点の人の波の勢いが薄れて動きやすくなった。
ピークの地点は抜けたらしい。
しかしそれにしては、明らかに人の数が極端に減っている。
「二人ともよくがんばったね、さあ、ここが僕の馴染みのお店だよ」
それは、彼らの目の前にそびえるお店、そのお店の店主の結界によるものだった。
彼がなじみといったこの店の外装は、これといって変わったところはなく、
どちらかというのなら没個性、と言えてしまうような地味さである。
ただひとつ、−何でも屋、一見さんは死ぬ可能性があります−の看板以外は。
205
:
黒蔵
:2011/08/16(火) 00:03:24 ID:1gBuqmPQ
>>203-204
「猪?獣?おばちゃん?おねえちゃん?戦嬢?!」
メリーの言葉に黒蔵も青ざめる。
氷亜は一体どんな恐ろしいところに二人を連れてゆくつもりなのか。きっとホストクラブより恐ろしいところだ。
人波にもまれ、潰され、溺れ、どれほど時が経ったか感覚も狂ってきたとき、不意に息が楽になる。
「ここ?」
人が減り、氷亜の手が離れ、黒蔵は辺りをきょときょとと見回した。
「一見さんって、誰?」
死ぬ可能性のある一見さんは、看板の文字を見て氷亜にそう尋ねる。
206
:
メリー
:2011/08/16(火) 00:23:51 ID:c1.PBF/s
>>204
>>205
「!?
メリーはまだ装備が充実してないんだよー!!!!!!!」
氷亜の言葉にガタガタと震えながら叫ぶ。
そして、人込みから出た時はタレ幼女が出来上がっていた。
力無き瞳でそのお店の看板を見て、色々沸き上がる不安と疑問。
こんなお店があるなら田中家が普通に見えて来てしまう。いや、あそこも充分普通じゃないが…
「………………………こんなのおかしいよ…だよ…」
メリーは考える事を放棄した
207
:
氷亜
:2011/08/16(火) 00:33:27 ID:bJBnsqT6
>>205
意気揚々と入店しようとした氷亜は足をぴたりと止め、
初めての場所の空間に興味を持った黒蔵のほうを振り返る。
そして、彼の言葉につられるように看板を見上げ、
ああ、と困ったように苦笑してほおをぽりぽりと掻いた。
「例えば君みたいな者のことだね」
氷亜は別段そこに感情をこめずに、さらっとした手つきで黒蔵を指差す。
「初めて入店する人、って言う意味だよ。
これが黒蔵君たちにお使いを頼めない、最大の理由なのさ。僕しか行ったことないし」
とは言っているものの、目を輝かせて口元をにやつかせて、
彼のその子供のようなwktk感を見れば建前というのが分かる。
確かにこの店は一見お断りなのだが、それ以上に氷亜はこの店を、
お使いなどで仲間の誰かに教えるのがもったいないと考えているらしい。
>>206
メリーが横でお店に突っ込んでくれていた。
その様を見てまた彼は苦笑し、小さなため息をついてこの店を見る。
「・・・中の店長は、おかしいとかの類じゃないよ」
最後にそう小さく言い残して、
氷亜はお店の木でできた両扉を開けて店内へと消えていった。
>>ALL
店内の様子はまさに、と言い切れないほどにおかしな空間であった。
まず、ものが多すぎる。しかもその種類の多さが余計に奇妙だ。
どこの国の駄菓子やねん、というような食べ物があったかと思うと、
明らかに国宝に指定されていそうな古びた仏像、鈍く光るモデルガン(多分モデルガン)まであるほど。
「おーい、氷亜が来たよ〜」
まるでそんな珍妙な空間の中氷亜は、少年が駄菓子屋のおばあちゃんを呼ぶかのように、
のんきな声を上げてどこかにいる誰かに声をかけた。
すると、とあるものが詰まれまくった山の一つが、動いた気がした。
208
:
黒蔵
:2011/08/16(火) 00:37:25 ID:1gBuqmPQ
>>206-207
(装備)
こくり、と黒蔵が生唾を飲み込む。
ホストの仕事をするつもりだったから、黒蔵も双剣は持ってきていない。
しかし持って来るべきだったろうか。
氷亜が言うには、自分は死ぬ可能性があるらしい。
「俺、死ぬの?死ぬのか?」
こんな店に入って生きて帰れるのだろうか、という想いから一瞬来た方角を振り向くが、
直ぐにまた青ざめて店の方を見、氷亜を見、そしてメリーを見る。
(どうみても氷亜さん面白がってるし、頼りになりそうも無い)
なので黒蔵はメリーと手を繋ごうと差し出す。
氷亜が中に呼びかけ、ごちゃごちゃの物の山が動いた時、その掌には冷や汗が握られていた。
209
:
メリー
:2011/08/16(火) 00:43:51 ID:c1.PBF/s
>>207
>>208
「コレでここの人が人間だったら、メリーは田中家を普通と認めるんだよ。この街の人間はこんなのが普通だって」ガクガクブルブル
震えながら黒蔵の手をギュッとにぎりしめる。
ビクッ!!!
物の山が動いた時、メリーは黒蔵に抱き着いた!
210
:
氷亜
:2011/08/16(火) 00:56:32 ID:bJBnsqT6
>>208
「・・・氷亜?」
若干の静寂の後、その山が喋った。
そこから聞こえてきた声は、どちらかというなら女性に近かった。
「そうだよ〜」
山から声がしたというのに、別段驚く様子の無い氷亜は、
のんきな声をその山へと向かって返事を返す。
また静寂。
しかしその直ぐ後の変化は、とてもとても早かった。
山が突然噴火したのだ。途端に山にうず高く詰まれた物品は四方八方に飛んで、
それにともなって何者かの人影がその手に、かなり大きなライフルを持った状態で飛び出した。
「嘘つけええええ!!!
お前なんてどうせ氷亜の皮をかぶった狼なんだろ!!そうなんだろ!!」
「なんで狼なんだ」
出てきたのは女性。だがその顔は、アフリカ辺りの部族の仮面のようなもので隠されて、
端っこから金の髪がはみ出しているだけである。
下の服もミリタリー、確実的なまでに迷彩柄の軍服だった。
そんなおかしな女は、彼らへと大きなライフルの銃口を向けていた。
>>209
「あたしは人間だ。あ!お前田中家にいるっていう幼女じゃねえか!!
変な人間はあたしの店に来るなああああ。
お前アレだろ!!あたしの店をなんやかんやで爆発するつもりだろ!!」
メリーの言葉に激しく反応して、銃口をメリーへと向けた。
「いやいや、子供に銃口向けちゃいけないよ。
ところで、僕らはお客としてきたんだ。いつもの夜店のための準備をね」
211
:
黒蔵
:2011/08/16(火) 01:09:49 ID:1gBuqmPQ
>>209-210
「うひぁ!」
飛びついてきたメリーを受け止めながら、思わず情けない声が漏れた。
物の山が動いたのは見えていたのだけれど、突発的に動いたメリーにさらに黒蔵は驚いたのだ。
しかしまだそんなのは序の口だった。さらに物の山が噴火した!
「のっひぇぇぇぇ!!」
飛び出してきた謎仮面に、ライフルを突きつけられた!
「ひぃぃぃぃっ!!!!」
火口噴出物の雨霰からメリーを庇おうとするが、色んなものが当たって痛い。
チェス盤が頭にあたった、駄菓子の飴が雨となって振ってきた、額縁の縁が頬を掠めた、
マネキンの首が髪を振り乱しながらごろりと足元に転がってきた。
そんな一連の物の雪崩が収まってほっとしたところで、ライフルがメリーに向く。
「あの、あのっ!」
止めさせようと立ち上がった黒蔵の背後の物の山に立てかけてあった戦斧が、
バランスを崩して倒れこんできた。
このままでは後頭部にざっくりコース、一見さんに死の運命。
212
:
メリー
:2011/08/16(火) 01:24:44 ID:c1.PBF/s
>>210
>>211
「うなぁぁぁあ!!!だよ!!!!」
余りにも奇抜な格好と登場に叫びをあげ、咄嗟にデザートイーグルを向けた!!
「………メリーは田中家が普通だって事を理解したんだよ」
残念だがメリー…田中家もココも普通じゃないぞ?
「メリーはそんな物騒な事しないんだよ!というかココも田中家も代わらないんだよ!!!」
あっ…やっぱり普通じゃないって理解してる。
「まさか……ママさんの知り合い…だよ?」
もしこの人が裏稼業をしてる人なら田中母と面識があるかもしれないと思った。
25年くらい前まで田中母は裏稼業で《破壊人》という呼び名で色々していたから……
「って!黒蔵危ないんだよー!!!」
メリーは咄嗟に黒蔵に言うが…ライフルを向けられてる為に下手に動けない。
213
:
氷亜
:2011/08/16(火) 01:32:41 ID:bJBnsqT6
>>211
先ほどから落ち着かない様子の女は、黒蔵の声にビクッと大きく体を震わせて反応した。
どうやら雰囲気的に言うと彼女は怯えているようだ。
すると目の前で黒蔵に倒れてくる斧。
それは氷亜がひょいッと軽く支え持って、元の場所に立てかけた。
「もう、しっかり注意しとかないと危n」
「ほらあああ!!今さっきその小さい男子、斧を引き寄せてあたしの命を狙ってたあああ。
やっぱりお前らは偽氷亜の連れてきた刺客だなっ。死んでしまえええ」
「ここの店長。もはや被害妄想レベルでネガティビストなんだ・・・」
だが氷亜の涼しげな反応とは対照的に、女のほうはお冠。
大きな声で威嚇したかと思うとその銃口は、黒蔵へと向けられる。再びピンチ。
>>212
だがふと女性はメリーのほうを見た。
その仮面から表情は分からないが、息がどんどん荒くなっているので、
もしかしたらまた焦っているのかもしれない。
「ひ、ひいいいいぃぃぃぃい!!」
やっぱり、とでもいうように銃口を向け返した女のライフルの、
先端の部分に氷で栓をして、氷亜は頭をゆっくりと撫でた。
「こらこら落ち着きなって。子供に銃向けてどうするんだ?」
「この氷・・・ああ、氷亜か・・・安心した」
すると女性も落ち着いたのか、その銃身を下げて、ゆっくりと地面に置いた。
まだ息は荒いが襲ってくる気配はなさそうだ。
「知り合いも糞もあの女、
ちょくちょく調達のためにあたしの店に来るんだよ・・・」
だが今度は逆に激しく落ち込み、地面に両手両膝を突いて跪いた。
よっぽどママさんの来店は、女にとってのストレスなのだろう。
214
:
黒蔵
:2011/08/16(火) 01:38:52 ID:1gBuqmPQ
>>212-213
メリーの声に振り向いたとき、顔の前に戦斧の刃が迫っていた。
「うっ」
叫ぶ事も出来ずただ顔をそらし身をよじり、刃を避けようとする。
ぎりぎりのところで氷亜が受け止めなかったら、
振り向いた黒蔵の肩口にはざっくりと斧の刃が食い込んでいただろう。
「ねがてぃびすと?」
どういう経緯か再びライフルの銃口が自分を指したので、黒蔵はびくりと震える。
銃は嫌いだ。
「氷亜さんはなんでこんな店にわざわざ?」
黒蔵はもう一刻も早く帰りたい気分である。でないと命がない。
(ママさんも来るのか、こんなとこに)
氷亜もママさんもこの店主と同じくらい変態だ、と黒蔵は思った。
215
:
メリー
:2011/08/16(火) 01:52:42 ID:c1.PBF/s
>>213
>>214
「……氷亜さんも苦労してるんだよ?」
なんか仲間を見るような目で氷亜を見るメリー。
そして女性が銃を下ろしたのを確認し、メリーも銃をしまう。
「調達って……まさかママさんのコレクション(銃や弾薬等)はここから?だよ?」
そう言いながら、女を見るとなんか落ち込んでる。
「け…けどママさんは優しいんだよ!なんか怖いけどルールは守ってるんだよ!けど銃撃ったり怖い人とO☆HA☆NA☆SIしたりするけど………うん!だよ……」
たしかにママさんは優しいが行動や見た目は普通じゃないからフォローができなかったメリーだった。寧ろ銃持ってる時点で社会のルールを守っていなかった……
ぶっちゃけママさん怖いから彼女の被害妄想を引き出しそうだ…
話せば以外に普通(?)だけど
216
:
氷亜 女
:2011/08/16(火) 02:01:07 ID:bJBnsqT6
>>214
「造語だよ、造語」
さらりと黒蔵に答える。
ちなみにネガティブ+〜イストでネガティビストという氷亜の作った言葉だ。
だがそんな言葉が、あの女にはちょうど似合うのであった。
「ここには色々な種類の肉まんがあるのさ♪
イベリコを入れた超こだわりの品から、イチゴを入れた冒険の一品までね」
そう説明する彼の目はキラキラと輝いていた。
「他にもおいしい暖かい食べ物が・・・」「そうだ氷亜。新しい種類のなべを入荷したぞ」
「マジで!?」
女の新製品の誘惑で、氷亜はこの店に来た当初の目的を忘却している。
黒蔵かメリーが彼を止めなければ、数時間と帰ることができなくなるだろう。
>>215
「いやいや慣れたもんさ。
と言っても、まだたまに予告なく打たれたりするけどね」
両肩をくいっとあげて、呆れのジェスチャーをする。
慣れたように女と接する彼でも、まだ彼女の突発的なネガティブには手を焼くらしい。
「買っていく・・・。それも今から戦争か?ってレベルで」
まだママさんの気疲れが抜けず、げっそりとした雰囲気を出している女は、
また思い出してしまったママさんの姿に怯え、
気付けの為に本当にどこの国のどんな効能かまったく分からないドリンクを飲んだ。
「ルール守るけど、ルール守るけど。
あんな人、思慮深いあたしじゃなくても変な想像膨らんじゃうじゃないかあああ」
どうやらネガティビスト師範クラスの彼女くらいになると、
得体の知れないママさんは、圧倒的な天敵に当たるらしい。
217
:
黒蔵
:2011/08/16(火) 02:10:40 ID:1gBuqmPQ
>>215-216
「苦労?」
メリーとは違い、黒蔵には氷亜が苦労してるようになんて見えない。
相手が人間ならさっさと垂らしこんでしまったほうが楽なんじゃないか、とかちらりと思う。
「肉まん?今、夏だよ?」
肉まんのためにつれてこられたのか、と溜息をついた黒蔵には、
氷亜の本来の目的を思い出させるつもりはない。
なぜならば、氷亜単独でも黒蔵には十分地雷なのだ。触らぬ氷亜に祟りなし。
「メリー。氷亜さんの気がすむまで俺はここで待つよ」
店内に少し空間の余裕があるところを見つけると、手近なクッションと金属の籠を重ねて頭に被り、
何か物が降って来ても良いように備えて蹲った。
帰り道の荷物持ちとして必要とされるまで、黒蔵はじっと氷亜を待つだろう。
//すみませんがそろそろ眠気が限界なので、ここで落ちます。
218
:
メリー
:2011/08/16(火) 02:20:31 ID:c1.PBF/s
>>216
>>217
「まあ…確かにだよ」
氷亜にそう言いながら女性に振り向き
「あ…なるほどだよ」
確かに田中家で見た事あるモノが置いてある。
確かにママさんは家族の為に色々吟味して買いそうだ。
むしろ田中姉も喫茶店《ノワール》の食材を買いにここに来てそうだ。
「……うん。そりゃあ納得だよー。私もママさんを最初見た時は思わず両手あげちゃったんだよ…」
「長くなるならメリーは色々見てるんだよー」
今度、田中母が行く時一緒に行こうと思いながらお店の商品を見てまわることにした。
メリーは氷亜の買い物が終わるまで色々見て回るだろう
/では私もこの辺りで
/絡みありがとうございます
/お疲れ様です
219
:
氷亜 女
:2011/08/16(火) 02:26:53 ID:bJBnsqT6
>>217
、
>>218
女と話し込んでいた氷亜は、黒蔵の言葉に振り返る。
別段邪魔されたとかは思っていないようで、不快感は顔にはなく、
彼の質問に少し目を丸くしただけだった。
「でも僕からしたら夏って気温じゃないんだよ。
雪男だし、万年寒いし」
唇をすねたようにとんがらせて、再び女のほうへ話を続けた。
だがその間彼が暇だろうと、適当においしそうなチキンを彼に渡している。
「なあ?あのお客さんはお得意さんでもヤダ」
そして女のほうはメリーが暇を理由に暴れることを恐れ、
どこからかだしたインドの言葉で書かれたお菓子をあげる。
それからの彼らのあたたか〜い食べ物談義は続き、
最終シロップやその他の大事な買い物を始めたのは、
彼らの試食が始まってから3時間後のことであった。
//了解です!こちらこそ絡みありがとうございました!!
220
:
???
:2011/08/18(木) 00:17:48 ID:/AfNAO.Q
「ああ……腹減ったなぁ……」
そうぼんやり呟き、星が瞬く夜空を見上げるのは、薄汚れたツナギを着た男であった。
空のスチール缶を片手に、人気のない公園の柵に腰を降ろしている。
顎にざらざらの髭を生やした、見た目三十歳は越えていそうなおっさんである。
「ん〜……、夜風は気持ちいいが、ちょいと暇だなぁ」
手で顎を擦り、体を掻く。
しかし一見普通の人間であるこの男もまた、人であり妖怪でもある存在。小鳥遊によってこの世に蘇った半妖だ。
その独特な気を放ちながら、男はアホ面で大欠伸をした。
221
:
ペトラ
:2011/08/18(木) 00:26:26 ID:???
>>220
「おじさん、何してるの?」
掛けた声はすこし、硬くなっていただろうか
"食事"ののちに帰ってきた公園に居たのは、不思議な気を放つ男だった
振り向けば、汚れた迷彩の繋ぎを着た、少年の姿が視認できるだろう。
髪は煤けたような灰色、鳶色の瞳は好奇と不安に揺れていた
そっと後ろに忍ばせた右手には、アイスクリーム(あたり付き)が、有った
222
:
???
:2011/08/18(木) 00:37:52 ID:/AfNAO.Q
>>221
「おぅわっ!?」
突然声を掛けられ、男はびくりと肩を跳ねさせた。
慌てて振り向くとそこには、迷彩柄のツナギを着た少年の姿が。
「びっ、びっくりしたぁ〜……何だ子供か! こんな時間に、坊主こそ何してんだ?」
ふぅっと溜め息を付き、首を傾げる。
しかし似たような格好に親近感を覚えたのか、にかっと歯を見せて笑った。
「おっ、おじさんとお揃いだなぁ! 似合ってるぞー」
ペトラの視線に合わせてしゃがみこむと、陽気に笑いながら、ぽんぽんと肩を叩く。
背後に忍ばせたアイスには気付いていないようだ。
223
:
ペトラ
:2011/08/18(木) 00:49:06 ID:???
>>222
予想外に、相手を驚かせてしまっていた
こんな夜に後ろから声を掛けたのは、失敗だったかもしれない
「僕はこれから、寝るところだよ」
そんな事を考えながら、放つ気とは裏腹に普通な反応を示す男に、安堵もあり
控えめな笑みを浮かべながら、何気ないといった風に答えた
指差したのは公園の奥、昔のアニメに出てきそうな土管である
「あはは、本当だ…おじさんにも、似合ってるよ!」
自分と同じ格好の人物とは、珍しい
好意的な男の笑みにからからと笑い声を響かせながら答えを返す
変な人ではなさそうだ、よかった。それどころか服装の所為だろうか、親近感すら湧いていた
「おじさんも寝るところ無いなら、僕と一緒に寝る?」
そんな提案をしながら、包み紙を解いてアイスクリームを舐め始めた
ちろちろと舌に当たるチョコレート味が心地良い
224
:
???
:2011/08/18(木) 01:09:00 ID:/AfNAO.Q
>>223
「おっ?」
指差された方向を振り向き、男は驚いたように目を丸くした。
(先客がいたのね)、と小さく一人ごちる。
「……坊主、あんな所で寝てんのか。いやー、おじさんには真似できねーな」
腰が痛くってね、と男は冗談めかして言った。
子供が土管で寝ていることに関して突っ込まないのは、既にペトラが「普通の子供」でないことに気付いているからだろう。
「ほんとか? そりゃ嬉しいな。おじさんいっつもこれしか来てないから」
汚れたぼろぼろのツナギは、大分使い込まれているように見えた。
いつもこの服を着て何かしているのだろう、ということを伺わせる格好だ。
「いや俺は……。………………………………………」
ペトラの提案に、男が首を振ろうとした瞬間。
その視界にアイスクリームが映った、瞬間。
突然男の雰囲気が変わった。
表情が強張り、まるで何かに耐えるように震えはじめる。
しばらくして、
「……なぁ、坊主、それ、一口くれねーか?」
男は目を伏せながら、少年に言った。
225
:
ペトラ
:2011/08/18(木) 01:23:23 ID:???
>>224
「うん、すめばみやこ、ってやつかなー…?」
現状、多少寂しくても耐えられない程ではなかった。
それもまた妖怪だからこそ、であろうし、その事は男もわかってくれているのだろう
男に合わせて笑い返しながら、頭を掻き掻き聞き齧りの諺など言ってみる
「そっかー…おじさん、仕事でもそれ使ってるの?」
汚れボロボロになったツナギを瞥見し、成る程と納得しながら
何かそんな風になるような事もやっているのだろうか、と
質問してみるのだった
「…いい、けど……、。」
突如、変貌した男の雰囲気
そのとっかかりが分からず、少年は唯戸惑った風に
震える男の肩に片手を起きながら、アイスクリームを男の口のまえへと持っていった
調子の悪そうな男に対する気遣いの積りなのだが、三十路の男にあーんをしろというのだろうか
226
:
???
:2011/08/18(木) 01:44:37 ID:/AfNAO.Q
>>225
感心したように「ほぉー、逞しいなぁ」と言って頷く。
服について尋ねられると、ツナギの袖を掴み「この服か?」と聞き返した。
「ああー……前に鳶やってたんだよ」
男は、どこか言葉を濁すように答える。
分かりやすく視線を泳がしている所を見ると、何か事情がありそうに見えるが。
しかしそこで、ペトラがアイスクリームを取り出した。
目の色を変えた男の視線は、真っ直ぐペトラの手元だけを見つめている。
「……あ、」
肩に片手を置かれ、目の前にアイスクリームが差し出される。
穴が開くほどそれを見つめる男。その瞳には、狂気的な感情が宿っているように見えた。
ぐぐぐ、とアイスクリームに近付き、ゆっくりと口を開く。
「―――――――ん」
その、大きな「一口」は。
ペトラの握っていたコーンの部分ごと、一気に食らってしまっていた。
顔が離れた時には、ペトラの手には小さなコーンの欠片しか残っていないだろう。
なにしろ、その手ごと食べてしまいそうな勢いだったのだから。
「あっ、わ、悪ぃ、坊主……!!」
我に返ったように、男が顔を離す。
だがその目には、まだ先程の狂気が宿ったままである。
男はペトラに詰め寄ると、その小さな両肩を掴んだ。
「なぁ、坊主……まだ何か持ってねぇよな? 食い物、あれで終わりか? 何かかくしてるんだろ? なぁ? 」
息を荒くする男の顔は、先程までの明るい表情から、恐ろしい形相に変わっていく。
その異常な反応に感じるのは、恐らく、恐怖だろう。
227
:
ペトラ
:2011/08/18(木) 02:06:51 ID:???
>>226
こくり、と頷いて
言葉の続きを待って見れば、どうやら鳶…身軽で凄いあの、職業に就いていた、らしい
訳があるのか濁った言葉尻、泳ぐ視線…と
好奇心と憧れで持って会話を続けようとするが併し、そうもいかなくなってしまった
「おじ、さん…?」
やはりというべきか、おじさんは、唯のおじさんでは無かった、のだろう
アイスクリームを見る男の視線は何処か異常に見え
少年は、軽い戦慄を覚えた
「ーーーっ!」
そして
手元に残ったのは、小さな欠片のみ、であった
それだけならば、笑って済ませる事も出来た
然しそれが出来ない、異様性が、男からは感じられ
「もう無いっ、あれでお終いだよっ!」
謝られた、そう思えば両肩を掴む男の腕があって
訳の分からない、どうしようも無い恐怖に駆られていた
力の抜けた指先から、コーンの切れ端が地面へと落ちていく
男に抵抗する少年の力は、微々たるものであった
228
:
???
:2011/08/18(木) 02:18:23 ID:/AfNAO.Q
>>227
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
ぐい、と男が苦しそうに自分の胸を引っ掴んだ。
異常な「食欲」への衝動が、頭の中で暴れ回る。
欲しい、欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい。
「欲しい……」
食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい、食いたい。
男は喘ぐように呟くと、口端から涎を垂らしながらペトラを見上げた。
「なら、『坊主』を食わせろよ……」
ぐぐっ、とおよそ人とは思えぬ強い力がペトラを引き寄せる。
もう、先程までの優しい男の面影はどこにもない。
229
:
ペトラ
:2011/08/18(木) 02:32:45 ID:???
>>228
あきらかに様子が、おかしい
それがなんのためなのか、未だにはっきりとは判っていなかったのだが
恐らく、と、思うところはあった。もっともそれを、今言っても仕方ないのだろうが。
「ひっ……!」
涎を垂らしながら見上げる、男の姿
怖い、怖い。妖怪でありながら、恐怖は拭い切れないものとなって声として洩れた
「……ッ…や、やだっ!!」
自分を、喰う
それがどういう事か、直ぐに理解出来て"しまった"
引き寄せる力は、とても少年に抗えるようなものではない。
ここで、死ぬのかーー…
突如
少年の上げる声とともに、男の眼前にバスケットボール大の風船が生まれた
其れ へと視線を向ければ、自分の夢を叶えている像が見え、
徐々に、眠くなっていく筈だ。
聞くかどうかも分からないそれが、少年の唯一の抵抗であった
230
:
???
:2011/08/18(木) 02:45:58 ID:/AfNAO.Q
>>229
欲しい、欲しい、欲しい欲しい食いたい食いたい食いたい……!!
引き寄せたペトラに大口を開け、噛り付く。
しかし僅かにそれは届かず、がちん! と歯がぶつかる音がなった。
「食わせろ!!」
怒鳴り声を上げて、男が再び口を大きく開く。
その歯がペトラに届く、その直前――。
「!?」
目の前に現れる、バスケットボール程の大きさの風船。
驚くのと同時、それに視線を向けると、風船の中に気味な像が見えた。
夢を叶える像。その風船の中には、ありったけの食材の山があった。
(ああ……あああ……)
じゅるり、と涎を垂らしながら、男はその場に倒れた。
……どうやら、眠ってしまったようである。
231
:
ペトラ
:2011/08/18(木) 02:54:11 ID:???
>>230
歯の重なる音、男の怒鳴り声
目を逸らしたくなるような光景を然し、少年は全て目に、耳に焼き付けてしまった
絶え間ない恐怖の間、突如召喚した風船は男の視線を捉えーー…
「はっ…は ……っ」
少年はその場にへたり込んで、荒々しく息を吐いた
目の前には、未だ男がいる。
どんな訳があったにせよ今は、この男の近くに居たくなかった
やがてよろよろと立ち上がると、どこかを目指して歩いていく
最後に一度、振り返って
/こんな感じで締めさせていただきます!絡みお疲れ様でした
/ありがとうございました!
232
:
???
:2011/08/18(木) 03:02:17 ID:/AfNAO.Q
>>231
「……」
ぐっすりと幸せそうな眠りにつく男は、しばらく公園に横たわっていた。
ペトラがその場から逃げ出した、それから数十分後。
公園に、一人の影が現れた。
すらりと細い影は、眠る男の枕元に立った。
「……はぁ、なんて所に寝ているのですか、日野山幽次郎」
それは、女性の声。
影はぬっと腕を出すと、男の首根っこを掴んだ。
そして体格のいい男を、意図も簡単に引き摺りはじめる。
「全く、行きますよ」
「……ZZZ……」
地面に引きずらたまま、男は公園からいなくなった。
後には、誰も残らない……。
//ありがとうございました!!
233
:
黒蔵
:2011/08/18(木) 23:40:44 ID:1gBuqmPQ
総合病院の緊急搬送車両の搬入口付近。
だぼだぼの作業服の袖をめくり上げ、夏の日を白く照り返す建物に目を細めながら、
脚立の上で精一杯腕を伸ばしガラス拭きをしている少年が居た。
そこへ飛来した足長蜂が一匹まとわりつく。
「うわ!」
蜂を追い払おうと脚立の上で雑巾をばたばた振り回すが、蜂は雑巾から容易く逃れて
しかし遠くへは行かない。
「あっちいけ!わぁ!」
その時、少年の乗る脚立がぐらりと傾いだ。
ガラスに突っ込むコースではないが、床に置いてあるバケツへ特攻くらいはしそうである。
234
:
東雲 犬御
:2011/08/18(木) 23:55:39 ID:/AfNAO.Q
>>233
黒蔵が、今にもバケツに特攻しようとしているその時、
傾く少年の世界に、突然、面倒くさそうな溜め息が聞こえた。
「……ったく、何遊んでんだ。このバカ」
倒れかけた脚立を片手で受け止め、バケツに突っ込みそうになっていた黒蔵の首根っこを掴み上げる。
どこからともなく現れたのは、白衣を着た人相の悪い大男だった。
偶然この場を通りかかり、角を曲がった所で、黒蔵が倒れそうになっているのを見かけたのだ。
「チッ」
乱暴に舌打ちすると、東雲は持ち上げた黒蔵を地面に放り投げた。(その後、脚立はきちんと立て直したが)
助けたのは助けたものの、やはり扱いは雑である。
235
:
黒蔵
:2011/08/19(金) 00:04:46 ID:1gBuqmPQ
>>234
「ごめん…あと、ありがと」
猫の子のように放り投げられたが怒る事もせず、蚊の鳴くような声でそう呟いた。
秘密が重過ぎて犬御の顔がまともに見られないのだ。
黒蔵は背中を丸めて取り落とした雑巾を拾い、バケツの水に放り込んだ。
しかし、こんな風に目を合わさないのも卑屈なのも、犬御の神経を逆撫でするのだ。
背中で犬御の苛立ちを感じながらも、別の雑巾を手に取ると
黒蔵はのろのろと脚立によじ登り始めた。
(怒ってる。多分また、怒られる)
この狼をのっぴきならぬ状況へ追いやった負い目が、黒蔵に卑屈な態度をとらせ続けていた。
236
:
東雲 犬御
:2011/08/19(金) 00:18:14 ID:/AfNAO.Q
>>235
「…………」
まともに目も合わせようとせず、卑屈な態度を取って、黒蔵は脚立に昇っていく。
それを無言で見つめる、というより睨む東雲の眉間には、深い皺が刻まれていた。
怒っている。苛立っている。それは黒蔵も、肌でピリピリと感じ取っているだろう。
だがその苛立ちには、黒蔵の態度とは、また別の理由も含まれていた。
「おい、クソガキ」
名前を呼んだ、途端。
東雲は唐突に脚立の脚を蹴った。
倒れるまではいかなかったが、不安定な脚立はぐらぐらと揺れる。
何事かと黒蔵が振り向けば、片足を脚立に乗り上げたまま、険しい表情でそちらを睨む東雲がわかるだろう。
「テメェ、俺に隠してることがあるだろ」
そしてその言葉に、首筋の痣を気にすれば分かるかもしれない。
それが、既に無くなっていることに。
237
:
黒蔵
:2011/08/19(金) 00:23:26 ID:1gBuqmPQ
>>236
脚立の上、そこは黒蔵が犬御を見下ろす高さになれる場所である。
「?!」
蹴り飛ばされ不安定に揺らいだその時、犬緒の首筋のあの赤い痣が消えているのに気がついた。
黒蔵は状況も忘れ思わず手を伸ばすと犬御の襟をひっぱり、その髪を分けて確認する。
二度見しても、犬御の喉がぎゅうぎゅうと絞まるほど服を引っ張って探しても、巴津火のつけた
あの痣は無かった。
「よかっ、た…」
どっと大きな安堵が押し寄せて来て、犬御にしがみ付いたまま黒蔵の身体からくたっと力が抜けた。
今度は誰にも支えられずに脚立は倒れ、黒蔵は犬御の首ったまにかじりついてぶら下がる。
犬御の拳が降って来ても、黒蔵は離れないだろう。
気が抜けた表情で、半泣きに成りながらも「ごめんなさい、でもよかった」と呟き続けている。
238
:
東雲 犬御
:2011/08/19(金) 00:43:21 ID:/AfNAO.Q
>>237
「っ!?」
いきなり襟を引っ張られ、突然の行動に動揺した東雲は、不覚にも固まってしまった。
襟足を掻き分けられ、終いには首まで絞められる始末。
本当に痣が無いのを確認した黒蔵が力を抜き、詰まる息が解放される。
「っぷはァ! はぁっ、はぁっ、……クソガキィ!! テメェいきなり何しやが――」
噛み付くような勢いで上げた怒鳴り声は、脚立が倒れた音に掻き消された。
その代わり、東雲の首を掻き抱くように、黒蔵がぶら下がる。
「……は、はァ!?」
東雲は目を丸くして、焦ったように行き場のない手を上下させた。
が、すぐに我に返り、黒蔵をはがそうとする。
「おいコラ離れろ! 離せって……!! チッ、この蛇ヤローが!!」
思いの外強い力で絡み付いくのは、やはり蛇だからだろうか。
何度か拳を放ってみたが、やはり効果がない。
息を荒くしていると、ふと黒蔵の呟きが、東雲の耳に届いた。
「……っ」
今となっては、事情を知ってしまった東雲は、言葉に詰まりざるをえなかった。
途方も無い借りを作ってしまったのだから。この少年に。
(……よかったじゃねェんだよ、全部一人で背負い込んでやがって、このクソガキが……)
東雲は深い溜め息をつくと、舌打ちをついてから、一度だけ黒蔵の頭をぽんと叩いた。
239
:
黒蔵
:2011/08/19(金) 00:52:59 ID:1gBuqmPQ
>>238
脚立の音が人目を引いたか、犬御と犬御にしがみ付いてぐしぐしとべそをかいている黒蔵とを
ちらちらと笑いを含んだ人の視線が探る。
しかし、黒蔵は気づいていないのか、なかなか離れようとしない。
「狼ごめん、ごめんね。俺のせいで…」
犬御がどこまで知っているのか、黒蔵は知らない。
犬御が人目に焦りはじめた頃、ようやく手を離した黒蔵は全部を話した。
自分のミスで小鳥遊医師に妖怪の事を知られ、さらに巴津火と医師の間に密約があったこと。
自分の口封じとして記憶の消された犬御は、人質として巴津火にその命が握られていた事。
「でももう、巴津火が祟る心配は無いんだ」
ただ、問題なのは小鳥遊である。
「狼、あの医者は危険だ。直ぐにでも離れてくれ。
今なら織理陽狐さんに頼めば、きっと何とかしてくれる」
借金の返済は、犬御の分も黒蔵に肩代わりできるのだろうか。
犬御に申し出てもその答えは判っているので、そこに関しては医師に掛け合うことに決めた。
240
:
東雲 犬御
:2011/08/19(金) 01:12:26 ID:/AfNAO.Q
>>239
ぽん、と頭を叩いた後、狼の聴覚が周囲の音を捉えた。
人が集まってきていることに気付いた時にはもう遅い。
黒蔵がしがみついているせいで、逃げることもできない。
「〜〜っ」
しばらくすれば、ちらほらと現れた野次馬たちが、東雲らを見てクスクスと笑っているのも聞こえはじめた。
慌ててもう一度、黒蔵を引き剥がす作業に戻る。
「ええいっ、いいから離れろクソガキ!」
だが黒蔵の呟きに、再び言葉を詰まらせてしまう。
「っ、別にテメーのせいじゃねェだろーがよ……」
どこか歯痒そうにぐしゃりと頭を掻く。
むしろ東雲は、黒蔵に助けられたのだから。
少年が一人悩んでいる間、端で自分が全て忘れたいたという事実が、無性に悔しかった。
「…………」
小鳥遊からも聞かされたことを、黒蔵の口からもう一度聞かされる。
初めて聞いた時は激しく喚いた(薬のせいで暴れることはできなかったが)ものだが、そのおかげで心は落ち着いていた。
しかし、最後に黒蔵が言った言葉に、東雲は目を伏せた。
「……悪ィな、そりゃ無理だ」
低い声で呟き、かぶりを振る。
241
:
黒蔵
:2011/08/19(金) 01:21:50 ID:1gBuqmPQ
>>240
「どうしても、駄目なのか?」
食い下がっても、犬御の答えは変わらなかった。
ここまで追い込んだのは自分だ、と悔いても悔い足りない。
「…そうか。判った」
それなら黒蔵もここに居よう。
黒蔵の失態がこの状況の原因なのだから、一人で逃げ出す事は出来ない。
せめて犬御を護るくらいはしなくては、この悔いは埋まらない。
(この仕事を続ければ、二人を見張っていられる)
「俺は、俺に出来る事をするよ」
黒蔵は立ち上がって脚立を建て直し、バケツに屈みこんだ。
残りのガラスを拭き上げねばならないのだ。
242
:
東雲 犬御
:2011/08/19(金) 01:39:41 ID:/AfNAO.Q
>>241
「……」
再びガラスを拭き始めた黒蔵の背中を、ポケットに手を突っ込んで眺める。
細められた赤い瞳には、悔しさや歯痒さや、様々な感情が渦巻いていた。
奥歯を噛み締め、少年に背を向ける。
「……黒蔵」
初めて、その名前を呼んだ気がする。
足を進めながら東雲はぼんやりと思い、擦れた声を絞りだした。
「『ありがとな』」
(俺は、もう、戻れねェ)
少し離れた場所で、白い壁に背中を預けながら、視界を腕で覆う。
(クソガキが借金を返したら、病院を離れさせる……俺がいねー間)
(七生を、守れるのは)
243
:
黒蔵
:2011/08/19(金) 01:46:48 ID:1gBuqmPQ
>>242
脚立の上で、犬御へ背中を向けてはいても。
今磨いているガラスに映った犬御の表情は見て取れた。
それはほんの一瞬で、直ぐに後ろを向いて行ってしまったのだが、
初めて自分を名前で呼ばれたことで、それは気のせいではないことが確信できた。
(俺は何をしたら良いんだ。どうすればいい)
そしてその問いの答えとして思い浮かぶ、自分にできるたった一つのこと。
それがどうにも頭にこびりついて離れなかった。
244
:
夜行集団
:2011/08/19(金) 23:19:25 ID:bJBnsqT6
イベントスレ
>>545
顔に喜びを浮かべる彼とは、あきらかに対照的な男が同じ街にいた。
銀髪の男からは、少しやつれたような疲労感を感じられて、
その通りに髪はあまりしっかりセットされていない。
「よお、零じゃねえかっていうwww
紅茶なんて洒落たもん買おうとしやがってwwwミルクティーにしろっていうwww」
目の下には、化粧で隠したもののうっすらと黒いものが、
そんな顔つきなので話しかけるのは少し躊躇したようだが、
それでも無視よりかはいいと、疲労の雰囲気は感じさせない笑顔で彼に話しかける。
245
:
零
:2011/08/19(金) 23:27:05 ID:HbHPxpxY
>>244
「あっ、虚冥さん!・・・牛乳奢りますか?」
話し掛けてきたのは、零も会いたかったホストだった。
だが、そんな虚冥もなぜか疲れているらしく、疑問に思った。
「貴方にしては珍しいですね、どうしました?」
246
:
虚冥
:2011/08/19(金) 23:34:49 ID:bJBnsqT6
>>245
笑いながら近づいて、
零との立ち位置がちょうど隣同士になった時虚冥は、
あまり強くはないが二度、彼の頭をぽんぽんと叩いた。
「気持ちは嬉しいがwww
先輩としては奢られる訳にはいかんっていうwwwむしろ俺が奢ってやるwww」
これから牛乳を買いに行くのだろうか、
おそらく零と同じコンビニを目指しているのに、彼の手にはもうすでに牛乳パックが握られている。
「かなり面白な映画見つけてよwww
はまりすぎたもんでシリーズ全部見てたらwwwオールしてたっていう」
そしてそれをストローで飲みながら、目を逸らして応える。
だから彼は、力をつけられる乳製品を求めコンビニへ、
ということなのだった。
247
:
零なか
:2011/08/19(金) 23:42:20 ID:HbHPxpxY
>>246
「じゃあお言葉に甘えて!」
と言って持ってきたのは、ごく普通の紙パックミルクティーである。
映画の見すぎと聞き、安心し、話すべき話をしようと話題を変えた。
「虚冥さん、私はこの通り歩けるようになりました。なので、虚冥さんが臨むなら、今まで通り夜行集団の手助けをさせて頂きたいのですが。」
まだ時々ふらつくこともあるが、大丈夫だろう。
248
:
虚冥
:2011/08/19(金) 23:50:28 ID:bJBnsqT6
>>247
零の持ってきた、紙パックのそれを見て無欲だなと一笑いして、
虚冥はその隣のコーナーにあった、中国四千年を感じさせる品、
〈ニーハオ!ウコンの活力牛乳〉という仕上がりの色々残念なパックを手に取った。
「歩けるようになったってwwwなにしたら治ったんだっていうwww
小さな女の子に泣きもって罵られたかwww」
零の馬鹿!!知らない!!を、買うものをレジにおいて彼は想像する。
だがそんな言葉は吐いたが、
かなり真剣な目つきで彼の体中と、妖気を確認していた。
「まあともかくwwwお前が手伝ってくれるってんなら断る理由はねえよwww
でもこれからは無理に情報をwww集めようとしなくてもいいからなっていうwww」
しかし全体を見て問題なかったのか、
笑顔で彼の肩をたたき、優しく声をかけた。
249
:
零
:2011/08/20(土) 00:01:52 ID:HbHPxpxY
>>248
もっとまともな牛乳無かったの?と軽くツッコミを入れる。
活力とは言っても、怪しい物は飲みたくない。
「気づいたら歩いてました。って、なぜ女の子?それは虚冥パパですよねw?私は少なくとも無いです!」
凄く失礼なこと言ってる零。店員からは、虚冥と零が兄弟に見えるかも知れない。
「そうですね、これからはのんびりとやりたいと思います。
・・・あ、ありがとうございます//」
心配された事と、優しく肩を叩かれた事が嬉しかったのか、少し照れる。
250
:
虚冥
:2011/08/20(土) 00:09:22 ID:bJBnsqT6
>>249
味だけは仕上がり抜群なんだぜ?とお釣りを受け取りながら応える。
なにか、例えば本当にアルプスのアレみたいな劇的なことが、
彼に起こったのだと勝手に思っていた虚冥はその応えに、不思議に感じ首をかしげた、
「パパ言うなっていうwww
この前そのせいでwwwあきらかに軍人よりもミリタリーしてる狩扶にあったっていうwww」
しかし店員は、兄弟とは思っていてもその話の内容が、
兄弟のするような雰囲気とは明らかに違うし、狩扶、の単語もあるしで人知れず首をかしげていた。
そんな店員の疑問も露知らず、
虚冥はその彼女を思い出して、遠い目をした。
251
:
零
:2011/08/20(土) 00:20:28 ID:HbHPxpxY
>>250
残念ながら、零にはアルプス的なアレは起きていない。馬鹿とも言われなければ、立っても誰からも喜ばれなかった。
「軍人よりミリタリー?マフィアのボスとかですかね?いや、まさかないですよね。パパさん。」
いや、なんか当たってると言うか近いと言うか。
そんな人がいたら、妖怪もびっくりだ。
252
:
虚冥
:2011/08/20(土) 00:29:41 ID:bJBnsqT6
>>251
買うものは買ったので、
これ以上ここで談義する必要もなく、コンビニを後にした二人。
「・・・残念だがいるんだっていう。
多分あれはソビエイトにもいた口だぜ・・・」
突っ込みとして牛乳パックの角を、
零の頭をこつん、と軽くぶつける彼の顔には冷や汗が。
そして、その頭の中では軍服を着て極寒の中、訓練を行う主婦が浮かんでいた。
「(思った以上に想像に易いなっていう・・・)
そうだ、さっきはああ言ったが、少し調べてほしいことがある」
しばらく歩いてから、虚冥はあることを思い出した。
断られるかもしれないと、その態度はあまり真剣ではなかったが、
少しの期待が彼からは見て取れる。
「アネさんアニさんのことなんだがな。
ここらでその妖気が集中しているような場所はあるか」
253
:
零
:2011/08/20(土) 00:45:48 ID:HbHPxpxY
>>252
「・・・そんな主婦いたら怖いですよリアルに・・・。」
ミルクティーを受け取り、飲みながら歩いている。
すると突然、虚冥に調査のお願いをされ、少し慌てた。・・・が、彼に断る理由はない。
「分かりました!そのことでしたら、既にチェックを入れてる場所があります。
ですが、まだ詳細が詳しく分からないので、後に連絡します。」
笑顔でそう答えると、携帯を取り出して誰かと話し始めた。
「もしもし。・・・ホリフさんが殺された?詳しく、え?今行くから、場所は?
・・・虚冥さん、ちょっと不可解な事が起きまして、今からそこに行かなくては行けません。
ミルクティー、ありがとうございました。」
残りをちゅうっと吸うと、慌てて走り出した。
254
:
虚冥
:2011/08/20(土) 00:56:58 ID:bJBnsqT6
>>253
駄目もとだった分、零が快く引き受けてくれたことが有難く、
虚冥は嬉しそうに口角を上げてニヤッと笑った。
「おおwww話が早いなwww
でもこの件は気をつけろよwww洒落にならねえやつらが相手だからなっていうwww」
首を少し突き出し彼の言う、めぼしいところを知ろうとしたが、
ちょうどその時零の携帯がなってしまったのでしぶしぶと、
虚冥は首を元に戻す。
「お前は色々と忙しいやつなんだなwww
それもがんばってこいよwww」
走り去って行く彼に手を振りもってエールを送った。
どこかの曲がり角を曲がって見えなくなってから、
虚冥はすることもないので、この繁華街の馴染みの店などを梯子するらしい。
255
:
水町さん
:2011/08/21(日) 22:50:22 ID:tElbSrz.
雨滴る森の奥にて。
何かが草を踏む音だけが鳴っていた。
しばししてその音はハタと止み、
やがてその場に1mはあろうかというスッポンが徐々に姿を現していく。
「・・・微かに残った磯の香り、さては竜宮の者か」
その目を細め、どこか思う所を秘めた心持で首を伸ばす。
辺りには湿気のように、肌に纏わり付くような水気の篭った妖気が広がっていく。
スッポンの居るその場所は、叡肖達が三鳳と対談したあの森だった。
叡肖の強すぎる磯の妖気は、この水妖の鼻にはやけに強く残るのだ。
「結界消失の一件といい、最近やけに磯の香りがキナ臭い。
・・・よもや竜宮が一連の騒ぎに加わっているのでしょうか」
256
:
叡肖
:2011/08/21(日) 22:58:37 ID:1gBuqmPQ
>>255
「んむー、この辺に落っことしたかぁ?」
磯の香りの元凶が、今日またここへ戻ってきたのは落とした筆を探すため。
「ただの紛失なら良いが、あの悪戯殿下が拾ってたら厄介だもんなぁ」
ガシガシと頭を引っかきながら、人に化けた衣蛸は森のしたばえをかき分けつつ
落とした筆を捜し歩いていた。
しかしあの日は道なき道を歩いていたのだから、無くした筆がおいそれと見つかるとは限らないのだ。
そこでふと、水の気配を感じた。
(おや、この辺りの水妖が居るのかね?)
あからさまに場違いな山中の蛸は、この妖気の主に落し物について尋ねるべきか否かをしばし逡巡し、
「そちらに居るのはこの森の方かね?」
結局はそう尋ねてみることにしたのだった。
257
:
水町さん
:2011/08/21(日) 23:08:18 ID:tElbSrz.
>>256
(強い磯の香り・・・、この者か)
最近、怪しい動きの影にはこの匂いが漂っている。
何か関わりあることなのか、暗躍する者なのか。
いずれにしろ、簡単には吐くまい。
「探し物はこれですかな?
私は元は川の者です、強い磯の気を辿ってここまで流れ着きました次第」
強い磯の香りがする筆に足を掛け、叡肖を睨むスッポン。
聞きたいことは山ほどあるが、とにかくあの事だけは確実に聞いておかねばなるまい。
「最近、人の方で妙な動きがあるのが気になりまして。
・・・簡潔に問います、貴方方は人に何か不死の術を授けましたか?」
おいそれ応えるわけはあるまい。
こちらには何の交渉材料も持たぬのだ。
ピリピリと威嚇するように湿り気のある妖気を放つ。
だが、私はいざとなれば力ずくでも奪い取ってやれる。
幸い相手は一人、私が悪者になる分には一向に構わない。
258
:
叡肖
:2011/08/21(日) 23:17:27 ID:1gBuqmPQ
>>257
「川の方でしたか。それを見つけてくださったこと、感謝します」
亀族は水界でも古くから力を有する一族、竜宮でもその一派の力は決して小さくは無い。
故に叡肖は丁寧に対応する事とした。なによりここは海ではないのだ。
「人に、不死の術?」
叡肖自身には心当たりが無い。しかしそうだ、巴津火はあの医者に封の肉を食わせたとか。
「我らが主が、封の肉を食わせて召抱えた医師が一人おりますが、
はて、それが何かやりましたかな?
申し送れましたが私の名は叡肖。竜宮の文官であり、今は陸住まいの主に使えております」
相手にぴりぴりとした緊張感を感じたからこそ、叡肖は逆に物柔らかな応答をする。
こういう時に感情的になっても、得るものは何もないからだ。
事情を知るには、感情は後回しにしなくてはならない。
259
:
水町さん
:2011/08/21(日) 23:39:16 ID:tElbSrz.
>>258
「・・・そうでしたか、私は水町。恥ずかしながらしがない水妖でございます」
少し目を閉じて、こみ上げる激情をどうにか押さえつける。
(・・・以外にも素直に吐いたな。しかし封の肉とは、なんという残酷なことを)
どうにか口調を穏やかに保ち、妖気を解く。
焦ってはいけない、争わずに全てを知れるなら、それに越したことは無いのだから。
「書官とは丁度良かった、私の知り合いがふと気になる事件に遭遇しましてね。
叡肖どのならきっと、きっと存じ上げることと思います。教えていただきたいのです」
水町は霞を吐くように、言葉を漏らす。
「最後の、最後の問いです。今、私が知りたい一番の答えです。
このことに納得の行く様応えていただければ、私はもう決して関わりません」
細い目を見開く。
サイを投げるか、それとも下ろすか。
「それは盟約という形だと存じます。その医師とは・・・封の肉が、妙薬ではなく。
仙薬や霊薬の類だときちんと知らせてお与えになったのですか?
その医師は人と妖の垣根をしっかり理解した上で、封の肉を喰らったのですか?」
妙薬と仙薬には途方も無い違いがある。
仙薬とは仙人になる為の薬・・・いわば“人”ではなくなってしまう薬だ。
やがて人の食物も食うこともなく、人と子供を作ることもできず。
魂は妖気に食い潰され。やがて人の形をした妖怪と成り果てる薬。
もしただ生きることを延長させることだと思っていたのなら。
もし“生きる”ということを勘違いさせたまま不死の薬を与えたなら。
もしその医師が・・・まだ自分のことを人だと思っているのなら。
水町は穏やかな仮面の下に、煮えたぎる心を抑え。
それでも振り絞るように、穏やかなフリをして問いかけた。
260
:
叡肖
:2011/08/21(日) 23:48:22 ID:1gBuqmPQ
>>259
「私がその場に居合わせたわけではありませんが、
医師は自身が化物と化すことを知らされても尚、自ら封の肉を喰らったという事です。
そして私自身はその後に彼と会いましたが、後悔している節は全く見受けられませんでした」
叡肖自身はこの老水妖と違い、小鳥遊医師がどちらでも構わない。
生きることへの執念、それが既に小鳥遊という男を常人と区別するものになっていたのかもしれない。
肉体がまだ人であっても、心は既に鬼である、そんなことは良くあるものなのだから。
「もし宜しければ、貴方がご自分でその男に直接問うのも良いでしょう。
我らが主は、妖でも自由にその医師の診療が受けられるようにするおつもりなのですから」
その為の新しい診療所の計画なのである。
261
:
水町さん
:2011/08/22(月) 00:00:57 ID:tElbSrz.
>>260
「・・・それでは、答えになっていません」
爬虫類の冷たい血が頭から退いて行くのがわかった。
――なんて軽い
途方も無く軽い、事務的な受け答え
こちらの認識と向こうの認識の間に、あまりにも大きな落差を感じた。
向こうのスタンスは把握した。
その医師が何を起こそうと、仕掛けようと。
こちらには非がないと言い切るつもりなのか。
不老不死も、黄泉返りも。
特にどうとも思わないということか。
「そうですね、ぜひご案内いただきたい。
・・・問いの答えは私自身で見極めようと思います」
暗澹とした絶望に駆られ、水町は筆を咥えて叡肖の所へ歩み寄っていく。
(見極めてやろうではないか、竜宮・・・!)
サイは投げられた。
262
:
叡肖
:2011/08/22(月) 00:10:58 ID:1gBuqmPQ
>>261
「では、ご案内いたしましょう」
叡肖は筆を受け取ろうと手を差し出した。
水町が筆を渡せば、そのまま小鳥遊医師の元へと案内するつもりである。
この老水妖が危惧している通り、あくまでも事務的にその役割を果たすのがこの文官の仕事である。
小鳥遊は不老不死にはなったが、単に老いもせず寿命も来ないというだけで、
何か新たな能力を獲得したわけでもなく、その姿形を変えたわけでもない。
殺しても死なないわけではなく、殺害されればその命は失われるのだ。
叡肖や巴津火にしてみれば、小鳥遊は人という存在から大きく変化したというわけでもない。
ただの人よりもほんのちょっと、妖怪と一緒に居る時間が長くなった、程度のものである。
//そろそろ〆でしょうか?
263
:
名無しさん
:2011/08/24(水) 23:57:52 ID:bJBnsqT6
街を、とてつもない規模で覆っていた結界が破壊されてから、
もう既に数日が経っていた。
だが、それでもその結界の力が強大であったのか、結界を支えていた各支柱の地点には、
まだ微かに神聖味を帯びた力が残留している。
「 」
その中の一つである、とある農夫によって跡形も無く破壊されたある祠の前に、
長くそして闇のように黒い髪を、後ろで束ねてポニーテールにした女性が立っていた。
彼女の服装は、その髪の色と同じように闇を表現しているようで、
黒のロングコートに黒のズボンと言う井出達であった。
彼女のその風貌もさることながら、この祠は普通、
だれも立ち寄ることの無い山奥に建てられたもので、一人で立ち尽くしている様はとても奇妙であった。
264
:
水町さん
:2011/08/25(木) 00:08:04 ID:tElbSrz.
>>263
「・・・いかがなさいましたか、このような場所で女性が一人」
ス何も無い場所からあぶり出しのように現れる、一匹のスッポン。
軟質な甲羅は露を滴らせ、小さな目には警戒の色が滲んでいる。
「いや、何を企んでいるといった方が適切でありましょうか」
威嚇するように湿った妖気は緊張する。
上下闇色の格好、そして滲み出す不吉な気。
そして他の妖怪は気にも留めないような、
この街に張られた結界の支柱の一つに寄ってくる、その動き。
「この前の結界消失の一件は貴女方の仕業ですか? 何が故に結界を壊し回るのです」
265
:
名無しさん
:2011/08/25(木) 00:21:35 ID:bJBnsqT6
>>264
まるで、そこに彼が現れるということを知っていたかのように彼女は、
突然の水町の登場にも驚かず、くるっと音も無く振り返る。
ポニーテルがそれに伴って大きく動くが、彼女の表情には動きが感じられない。
「企んでいる、という言葉はこの場合少しの語弊がある。
なぜならここは、もはや用を果たした場所、企んでいた、
という言葉を使ったほうが正しい」
まったくの感情を感じさせない、抑揚の無い冷淡な調子で、
女性はその場から動かずに水町に話しかける。
「その通りだ」
彼の踏み込んだ言葉にも、反応を示さず簡潔に答えた。
そしてその後に理由の言葉をつなげようとした女だが、
途中で口を止め、違う質問をすることにした。
「答えはある程度想像できて入るが、便宜上聞いておく。
何故、水町はこれを貴女、ではなく貴女方、と聞いた?」
266
:
水町さん
:2011/08/25(木) 00:34:25 ID:tElbSrz.
>>265
「・・・匂い、というより気配と申しましょうか」
突然、名を知られたことに驚きながらも。
言葉を選びながら、語りかけていく。
「私が見て回った結界の支柱はここが最初ではありません。
既に壊された他の場所に残こっていた匂いは一種類ではなく、
また貴女の匂いとも異なっている所もある。
第一このような大胆な動き、一人ではなく集団で行うのが道理でしょう」
想像できている、名を知る・・・。
となると心を読む類か、それとも予知の類か。
おそらく前者。
「さて、なぜ貴女“方”は結界を壊して回っているのですか?」
小さな目を細めて語りかける水町。
この娘、随分と言葉が薄い。
なにも感じておらんのか・・・。
267
:
名無しさん
:2011/08/25(木) 00:43:53 ID:bJBnsqT6
>>266
水町の答えに、彼女はなるほど、と短くだけ答えた。
しかしそれも言葉の割りに、驚きの感情に欠けており、
虚ろでも光が無いわけでもないが冷淡なその目は、ずっと彼を見つめている。
「鼻が利くというのは強みだ。
だがそれ以上に水町の頭のキレは賞賛に値する。
とは言え、水町は一つ、間違った答えを出している。
心を読む力を持っているわけではない」
さらりと彼の心のうちの推察を、言葉に載せて返答して見せて、
それでも感情の起伏無く立ち尽くす女性。
女性の体でずっと立っているのは辛い筈だが、まったく気にするそぶりは無い。
「水町のその知能に敬意を表して、質問の答えをする。
そちらにも真実を知るものがいないと、フェア、ではないからな。
結界を破壊した理由。
それは穂産姉妹を殺害できるようにし、とある子供を招くことだ」
268
:
水町さん
:2011/08/25(木) 00:54:42 ID:tElbSrz.
>>267
「・・・」
少し考え込むように黙りこくる水町。
しかしその後に出された言葉はあっけらかんなモノで。
「あの・・・、それはどなたですか?」
いきなり面識の無い穂産姉妹の話を出されて困りだす爬虫類。
しかし、まぁこんなことでうろたえていてもどうしようもない。
「はぁ、まぁそれはわかりました。
そのお子さんとやらは結界が邪魔で入れない方で、
その方に穂産姉妹とやらを殺害させる事が目的である・・・と言うのですね」
正直、余計に頭が混乱してきた。
日和見で常に碁ばかり打っていたためか・・・たまには外との交流も持たねば、
と身をもって実感しているインドア老人。
「しかし・・・貴女はどうなのです?」
霧中の中に目を凝らすように、疑問を漏らす水町老人。
「理由は存じませんが、子供に殺害などの重責を負わせるなどただ事ではない。
貴女自身はそのことに対して、何の疑問もお持ちにならないのですか?」
269
:
名無しさん
:2011/08/25(木) 01:11:32 ID:bJBnsqT6
>>268
森は少し日が落ち始め、あたりは暗くなっていこうとする。
それにともなって彼女の服の黒はより闇を伴い、
まるで彼女自身が何か、闇と同化した存在のように思わせた。
「そうだったな。水町はあの姉妹のことは知らない。
だが、彼女達の話を聞くことは簡単だ。
例えばこの前水町が案内された診療所、そこにいる黒蔵、という名の妖怪に聞けば、
彼女達のことは直ぐに全てわかるだろう。」
水町が漏らした疑問に口をゆっくり開く。
しかし、先ほどから見るとこの女性には、おおよそクセ、
と呼べるような動作が無いように思える。それはどうでもいいような気もするが、
併しそのクセを書いた彼女の様子は、どこかとらえどころがなく、奇妙であった。
「疑問は、まったく持ってない。
おそらくそういった疑問を持っているのは、
結界を破壊し続けている方ではなく、むしろそれを防ごうとした者たちだ。
そうだ、これ以上話をややこしくしても仕方が無い。
水町にはとある話を聞いてもらうことにする。この一連の出来事の根幹のことだ」
彼の疑問に、まっすぐ見据えて迷い無く答える。
説明を続けようとした彼女であったが、またその言葉を止め、
何かを思いついたように違う話を始めた。
その内容は穂産姉妹たちの神話、日本神話人世第34項だった。
穂産姉妹が妖怪と人の夫婦に嫉妬し、その子供を化け物に変え。
その復讐を、天が子供に命じる話。
270
:
水町さん
:2011/08/25(木) 01:38:34 ID:tElbSrz.
>>269
瞳を閉じて、ただ話に聞き入る水町。
僅かに見せた感情の片鱗を掬おうとしても、水のように流れ落ちる感触がした。
「・・・私は、天界もあの世も存じ上げません。
誰も見たことの無いものは、信じられない性分でして」
神格も妖怪としての存在軸も失った水町にとって、その話の真偽を確かめる術はない。
だが噛み締めるように、呟くように・・・ただ鵜呑みに信じきった話に考えを呈する。
「・・・それはあまりに理不尽です、復讐とは感情の成すモノだ。
その復讐を上が命じ、強制するなど。あまりに無理な話ではありませんか」
水町の考えは人の物に至極近いものになっていた。
とらえどころの無い女性、とらえどころの無い噺。
だが、それは水町の考えからすれば。
ただ反感的な、心のわだかまりを引き出すような話だった
「人と妖、理解できぬことも嫉妬することもありましょう。
私とてその境界に窮し、過ちを侵し、神格を剥奪されたのだ、お気持ちは痛み入ります。
されとてそれも子供に重責を負わせることには違いない」
ポツリポツリと、ただ呟く。
「私ではいけませんか? もし私が彼女達を貴女方より先に殺めれば、その後はどういたしますか?」
271
:
名無しさん
:2011/08/25(木) 01:53:13 ID:bJBnsqT6
>>270
普通に生きて、神やあの世との接点を持つ者は少ない。
妖怪と言えどもその接点を持つものは、そう多くは無いのだ。
神話の内容を省くことなく全て説明した彼女も、
その労力を半ば、不意に仕掛けない反応を彼がするもの仕方が無いことを知っていた。
「これはただの復讐劇。
その発端が、たとえ天に指示されたものでも、
自分が自ら選び出した答えだったものでも、結果は同じ復讐になる。
それゆえに、その天の行いについて是非を問うのは少し話が変わってくる事になる」
彼が唐突に言った、普通に見てもとんでもない提案。
彼がちょうどその言葉を発したときには日が暮れきり、
あたりは暗くなって、彼女の服とともに彼女の表情も若干だけ見えづらくなった。
とは言っても、その闇の向こうにある女の顔は、無表情なのだろう。
「事は、水町が思う以上に複雑で困難だ。
だが、その先越しの可能不可能を問わずにただその後だけの話をするならば、
終わりが訪れる、という結果になる。
終わりと言う、文学的な表現とは違う、全ての終了が、おとずれる。」
272
:
水町さん
:2011/08/25(木) 02:09:34 ID:tElbSrz.
>>271
「そうですか、それが聞けてよかった」
小さな目を細めて、ただ満足げに呟いた。
「結果は同じだとしても、その間には様々な想いや感情が渦巻いているものです。
誰も嫌な思いをせずに終われるなら・・・ただの復讐劇よりずっといい」
笑いかけるように、ただ呟く。
「私は天界もあの世も存じ上げません。
全ての人を裁くことのできる権利などどこにありましょう?
全ての妖怪、神聖、森羅万象を司れる者などどこに居ましょう?」
闇に女が溶け込むのを見届けると、水町は背を向ける。
のそのそと歩き、森の出口へと向かっていく。
「貴女がこの件に、なんの感情も抱かなくてよかった。
呪いを受けた身で復讐を強制されるより、その姉妹が己の過ちを悔いて死ぬより。
ずっとずっと後味がいい」
その頭に復讐を止めるという考えは無かった。
もしかしたら彼等全員が頭が可笑しいだけなのかもしれないが、
どうせ言って聞くわけでも止まるわけでもあるまい。
273
:
名無しさん
:2011/08/25(木) 02:23:46 ID:bJBnsqT6
>>272
色白の肌も、その服と同じように完全に闇となってからでも、
女はその暗い空間の中から水町を、ただじっと見つめていた。
冷淡かつ無感情に。
「水町、水町と言う妖怪の持つ心は、
たしかに優しく温かみを持っているように思える。
であるならば、水町はこれから起こるであろう復讐劇を、最後まで見届ける義務があると、
今ここで伝えておく」
もはや完全に闇に消え、
水町の匂いでも感知されないほどに消滅した彼女。
「これは復讐劇。だが水町、お前はまたしても間違いをおかしている。
このことに関して、別段感情を抱いていないわけではないのだ。
復讐は強制させるつもりは無いが、姉妹を悔いてしなせるつもりはある。
後味を良くするつもりは無い。すべてを0にする。
彼らの頭を、正常に保ったままで」
だがその声は、彼の耳元の直ぐ近くで聞こえてきた。
囁くようにその声は、彼の鼓膜を揺らす。
しかし彼がそのことに驚いて振り返っても、だれにもそこにはいない。
274
:
水町さん
:2011/08/25(木) 02:41:08 ID:tElbSrz.
>>273
匂い無く、音も無く。
しかし直に感じる彼女の気配。
心を覗かれるようなその存在に驚きながらも、
別段、歩を遅める様子はなかった
「本当に心が暖かいならば、
こんな馬鹿げたことすぐにでも止めるべきでしょう。
私がそれをしないのは、私自身が憎しみを抱いているからですよ」
耳元で囁かれる言葉の羅列。
そんなよくわからない理論はもう聞き飽きた。
感情や利権で動いたならば、水町は聞きとめることもあったろう。
「そんな道理も存じませんし、貴女が何故そんな風に思うのかもわかりません。
ただ複雑だ、天上の命だ、などとおっしゃられても。地を這う私にはさっぱりです。
そんなよくわからないことを、よくわからないまま見届けろなどとおっしゃられても、
ただジッとしていられるほど私は冷血動物ではありませんよ」
歩みを止めることも無く。
ただ森の出口へと水町は消えて行った。
275
:
児佐々 美雪
:2011/08/27(土) 22:32:23 ID:1gBuqmPQ
空模様はどうやら夕立の気配。
「あー、もう!こんな日にバイトだなんて最悪っ!」
ぽつりぽつりと大きな雨粒が落ちてきたのに慌てながら、傘を持たない少女が街中を走ってゆく。
濡らすまいと布鞄を大事そうに抱えこむその背中を追いかけるように、雷の音がした。
「新しいサンダル履いてくるんじゃなかったっ」
ついさっきまで彼女の気分を高揚させていた真新しいサンダルは、ヒールの高さもあってまだ足に馴染みきっていない。
「うわ、キターッ!!」
不意に辺りが白くけぶった。天の底が抜けたようなゲリラ豪雨である。
ずぶ濡れになりかけた少女は慌てて、近くの商店の軒先に飛び込んだ。
白いワンピースも、肩で切りそろえられた髪も、既に大分濡れていた。
276
:
竜崎シグマ
:2011/08/27(土) 22:45:03 ID:lZ5WJ8jw
>>275
少女が飛び込んだ商店の軒下には男がいた。
髪は無造作黒髪、ヒゲがうっすら色眼鏡。そんなライダースーツの男。
彼は軒下の雨が当たらない場所に木の板を広げ、その上にアクセサリーを並べていた。
「そこのお嬢ちゃん。アクセサリー買ってかないか?」
低音の声で少女に話しかける男。
ぐぐっと、少女に向けて親指を立て、にやりと笑った。
「安くしとくぜ? こんなクソったれな雨の日には特に」
アクセサリーはメタリックなものが多く、鈍い光を放っていた。
値段は百円から千円と幅広い。首からかけるものや腕輪など形も様々だ。
277
:
児佐々 美雪
:2011/08/27(土) 22:55:08 ID:1gBuqmPQ
>>276
年頃の少女であれば、アクセサリーの類には惹かれる。
お手ごろ価格ならば尚更だ。
「何か可愛いのってある?」
黒革の服やライダースーツに似合うようなゴツいシルバーアクセサリー以外に、
いわゆる可愛いもの好きに受けるデザインのものがあれば、彼女は興味を持つはずだ。
「ブレスレットとか、あ、イヤリングあると嬉しいな。うちの学校、校則でピアス禁止なんだ」
とは言え、こっそりピアス穴を開ける生徒が居ないわけではない。
例え校則が禁止していなかったとしても、多分彼女の養父がピアス穴を開けるのは許してくれないのだ。
278
:
竜崎シグマ
:2011/08/27(土) 23:05:40 ID:lZ5WJ8jw
>>277
年頃の娘。アクセサリーには惹かれるだろう。
この男とてゴツい物ばかりを販売しているのではない。
「ピアス禁止か。ちゃんとイヤリングや可愛いパンダの印が入ったブレスレットならあるぞ」
そういって男は後ろに置いていた袋からピンク色のイヤリングやブレスレットを数個、木の板の上に広げた。
その直後、男はタオルを少女に投げて渡した。
「ずぶ濡れだな。風邪引くから頭ふいとけ」
そしてまたぐぐっと親指を立てた。
279
:
児佐々 美雪
:2011/08/27(土) 23:14:09 ID:1gBuqmPQ
>>278
「ありがとう、お兄さん優しいね」
そう言って少女は自分もぐぐっと親指を立ててタオルを受け取った。色白のその頬にえくぼが浮かぶ。
濡れた髪と肩をできるだけふき取ると、たたみなおして男に返した。
「同じバイト先の子たちは、可愛いピアスいっぱいつけてるんだよねー」
そう言いながら、並べられたアクセサリーの前にしゃがみこむ。
木の板の上に置いてある鏡を覗きながら、小さなビニル袋にパッケージされたイヤリングを、
そっと耳元に当てて見比べ始めた。
他のアクセサリーなら手に入れさえすれば着けられるが、ピアスとなるとまた別だ。
他の少女たちを羨ましいと思いつつも、自分でピアス穴を開ける勇気はまだこの娘には無いのだ。
「うーん、どっちのが似合うかな?」
えへ、と笑いながら二種類のイヤリングを左右の耳元に当てて、男に尋ねる。
一つは花の形、もう一つは猫のモチーフがぶら下がったデザインだ。
280
:
竜崎シグマ
:2011/08/27(土) 23:26:16 ID:lZ5WJ8jw
>>279
「可愛い子にはお兄さんとても優しい」
ぐぐっと立てられた親指を見てしみじみとした笑顔を浮かべると返ってきたタオルを腰のポーチにしまう。
しみじみとしたその笑顔はそのえくぼに萌えたのだ。
「ピアスなんか開けるもんじゃない。親からもらった体に何をするんだ」
男はしばし、少女の耳元に当てられた二種類のイヤリングを見ていたが、「よし」とうなる。
「しばらくピアスを開けないなら片方をサービスしよう。
お兄さんはピアスを心から憎んでいる。そう、今一萌えないからな」
キリリッ、という効果音でも聞こえそうなドヤ顔。
「ちなみに猫の方が似合ってるぞ」と付け足した。
281
:
児佐々 美雪
:2011/08/27(土) 23:39:26 ID:1gBuqmPQ
>>280
可愛い子と言われ、さらに片方サービス、と聞いて、少女の顔がぱっと笑顔になる。
それは向日葵のように明るく元気な笑顔だった。
「わぁ、ありがとう!お兄さんもイケメンだよ。やっぱり猫ちゃんの方が似合うよね?ね?」
黙っていれば花の似合うしとやかさもあるのかもしれないが、
喋って笑って動き回る少女には、確かに猫のような活発さがある。
「ええと、幾らになるのかな?」
一度イヤリングを木の板に置き、布鞄から小さながま口を取り出して中身を数え始める。
その時取り落とされた小銭が一枚、地面に跳ねて雨の中へと転げ出た。
「あ。しまった!」
慌てて布鞄を店先に置くと、雨の中を一歩二歩と大きく踏み出し、水溜りから硬貨を拾って
急いで軒下へかけ戻って来る。
しかしその時、結構な深さの水溜りの上を、少女のサンダルは沈むことなく駆けていた。
「折角タオル借りたのに、また濡れちゃった」
はたはたと服の裾を叩いて、布地に染み込む前に雫を払いながら、少女は笑ってそう言った。
282
:
竜崎シグマ
:2011/08/27(土) 23:54:18 ID:lZ5WJ8jw
>>281
向日葵のような笑顔、猫のような活発さ。そして十年ぶりに言われたイケメンと。
それらは男の萌えゲージをすぐさま最大にすると共に男の商売メーターを破損させた。
「そうだよ。お嬢ちゃんは猫のように愛らしい。価格は五百円の所を百円でいいよ」
ぐぐっとまた親指を立てかけるが、取り落とされた小銭の音で止まる。
雨の中へ飛び出す少女をありゃりゃと見ていれば、深めの水たまりの上をサンダルが沈むことなく駆けた。
「……へぇ、やるじゃん」
男はやや真剣な表情になるとまたタオルを少女に投げて渡す。
「お嬢ちゃん、君は普通と違ってたりする?」
男はやや曖昧な質問を投げかける。
口元を左手で押さえ、右手中指でキーホルダーをくるくると回している。
283
:
児佐々 美雪
:2011/08/28(日) 00:03:35 ID:1gBuqmPQ
>>282
「ええっ!本当に100円でいいの!?それなら私、ピアス穴は一生開けない!
……でもお兄さん、あんまり商売っ毛なくしちゃうと後で大変じゃないの?」
嬉しいと同時にちょっぴり驚いて、自身もバイト先で社会勉強真っ最中の少女は男の商売の心配も口にした。
「うーん?お兄さんの言う普通って、どういう普通?」
頭を下げて百円玉と交換にタオルを受け取る少女からは、一切の人外の気配は無い。
その生まれも素性も全くの人間なのだから当然だ。
284
:
竜崎シグマ
:2011/08/28(日) 00:16:48 ID:lZ5WJ8jw
>>283
「そうだよ。ピアスはやめとこう。それからこの商売は半ば趣味でやってるからいいんだ。
本業でちゃんと稼いでるからいいんだよ」
そして百円を受け取り、タオルを交換する際に一瞬、じっと目を見つめた。
彼女からは人外の気配はない。ならばなんらかの影響を受けているか、素質を持っているか。
「いやぁ、普通っていうのは……。
そうだな、俺はお化け退治の仕事もやってるんだ。
これも半ば趣味だけど。君もお化け退治の素質があるんじゃないかな」
回していたキーホルダーをポーチにしまうと、その場にしゃがみこんだ。
そして先ほどの二種類のアクセサリーを紙袋に入れて彼女に渡す。
「まぁ、お化けなんて今時信じないか」
男はそう言って笑いながら木の上のアクセサリーを片づけ始める。
285
:
児佐々 美雪
:2011/08/28(日) 00:22:32 ID:1gBuqmPQ
>>284
ぱたぱたと叩くように水気をふき取りながら、少女は男への警戒を一切見せていない。
さっきの彼女は全くの無自覚に水上を歩んだのだ。
不意な曖昧な問いかけに軽く疑問を抱きつつ、
まだこの男のことは「気前の良いイケメンなお兄さん」としか思っていなかった。
それが変わったのは、男のその先の言葉を聞いた時。
「お化け退治?お化けはみんな退治しちゃうの?」
紙袋と交換にタオルを返した少女は、アクセサリーを片付け始めた男に
どこか不安そうな声で尋ねた。
それはお化けを信じないかどうか、という男の問いかけへの明確な答えにもなっていた。
286
:
竜崎シグマ
:2011/08/28(日) 00:35:47 ID:lZ5WJ8jw
>>285
また返ってきたタオルを腰のポーチに入れると男は少女をじっと、見た。
「悪いお化けは退治しちゃうよ。大体は三択だぁ。
話し合いの結果、出てってもらう。有無を言わさず追い払う。
そしてダメならやっつけちゃう」
そう言い終わると男はアクセサリーの入った袋を、商店の角に止めてあったバイクの荷台にくくり付け始めた。
木の板も袋の中だ。
「そう不安そうな声色しちゃダメよ。別に見境なく退治してるんじゃないからさ。
見境なく戦えるほどうちは強くないし。戦いは避けて稼ぎたいし」
一通り片づけ終わったらしく男は背伸びをした。
そして再び少女に視線を移した。
「お嬢ちゃんも、悪いのには注意しなよ。
変な奴も悪い奴も、人だろうがお化けだろうがいるからね」
287
:
児佐々 美雪
:2011/08/28(日) 00:47:44 ID:1gBuqmPQ
>>286
少女はどきどきと鼓動を耳の中で聞くほど緊張しながらも、そぶりには極力出さないように努めて
男の言葉を聞いていた。
「うん…そうだね」
男の言葉の一体どれに肯定の意を示したのか曖昧な返事を返し、ちょっと間をおいてから
「私も気をつけるから、お兄さんも気をつけてね。
いい人にはあんまり危ない目って、あって欲しくないし」
片付け終わった男に、ちょっぴり寂しそうに微笑んだ。
そろそろ雨も上がる頃合いで、雲の切れ目から夕日がさっと照りつけて
一時的に雨と陽射しが同居した。
「あ、狐の嫁入り!」
しかしすぐに雨はやむ。降りが激しかった分、上がるのも直ぐなのだ。
雨宿りの必要が無くなれば、この二人もそれぞれの道を行くのだろう。
「お兄さん、イヤリングをおまけしてくれてありがとう。こっちのお仕事でこの先儲かるといいね」
そうしたら、お化け退治なんてしなくて済むのに。
そう言外に滲ませながら、白いワンピースの少女は軒下を出た。
今度はそのサンダルがちゃんと水溜りに沈むのを、男は見ることだろう。
288
:
竜崎シグマ
:2011/08/28(日) 01:01:05 ID:lZ5WJ8jw
>>287
「いい人なんて言われたのは五年ぶりだ……」
微笑む少女に男も微笑み返した。
「うん……そうだね」その言葉は曖昧で肯定なのか聞き流したのか男にはわからなかったが、男はとりあえず、フルフェイスのヘルメットを被った。
「本当だ。狐の嫁入りだ。お兄さんこの天気大好き」
軒下から飛び出した少女のサンダルが沈むのを見た男は、ほっと息を吐きバイクにまたがる。
「今度お友達を連れてきてくれたらまたおまけするぞ」
言外に滲まされた言葉を男は感じ取ったのか感じ取らなかったのか、男は少女に手を振ると雨上がりの道をバイクで走っていった。
/お疲れさまでした。久々なのでミスもあちこちにありますがまたよろしくお願いします
ありがとうございました
289
:
児佐々 美雪
:2011/08/28(日) 01:06:51 ID:1gBuqmPQ
>>288
「うん、ありがとう!またいつかね!」
バイクにまたがった男に手を振る少女は、今はもうさっきと同じく
向日葵のように元気で、猫のようにあっけらかんと無邪気であった。
「うっひゃ!冷たっ!」
そして一歩踏み出してずぼり、と水溜りに嵌り、
濡れたサンダルで雫を散らしながら、彼女もまたバイト先へと駆け出したのだった。
「また遅刻する〜〜〜っ」
//こちらこそ、またよろしくです。ありがとうございました!
290
:
竜崎シグマ
:2011/08/28(日) 22:54:57 ID:lZ5WJ8jw
ある日の夕暮れ、ライダースーツを着た色眼鏡がバイクで向かったのは町外れの森の廃墟だった。
それは古い洋館で昔は博物館として使用されていたらしい。見かけはツタが外壁を覆う不気味な構え。
門の前でバイクを降りた色眼鏡が呟く。
「やだなぁ、気持ち悪い。なんでこんな所でツチノコ探さないといけないんだよ」
男はそこらの茂みの中にイタチやアライグマを捕まえるゲージをバイクから降ろして設置し始めた。
夕暮れの空の下、比較的身長の高い黒ずくめの男は目立つ。
「なんでこんな仕事してるんだろう」
眉間に皺を寄せた男は餌となるネズミを紐でくくり始めた。
291
:
日野山 幽次郎
:2011/08/28(日) 23:07:39 ID:0pLkNyIA
>>290
ギイイ、と低く軋んだ音を立てて、錆びついた門が開いた。
古い洋館の入り口に足を踏み入れたのは、ツナギの作業服を着た男だった。
きょろきょろと周囲を見回し、ふぅと息を付く。
「さーて、ここなら人もいないだろうしゆっくり……って」
茂みの中に視線をやった日野山は、そこに止まったバイクを見付けた。
驚いたように目を見開き、あちゃあと頭を掻いた。
「ここにも先客がいんのかよ!
はー、世間って狭いのね……」
292
:
竜崎シグマ
:2011/08/28(日) 23:21:06 ID:lZ5WJ8jw
>>291
錆び付いた門が開く音を聞いて茂みの中から振り返る。
色眼鏡の目に入ったのはツナギの男。そして彼は「先客」といった。
さらにツナギの男が驚いたのを見て、なんだか申し訳なくなった。
「あ、いや、すいませんね。自分バイトですので」
立ち上がりとりあえず頭を下げつつ、茂みをでて男に歩み寄った。
「やっぱツチノコ探しですか? 今懸賞金が跳ね上がってますよね」
町がツチノコに賭けている懸賞金が大幅に増額された。すべて新しい町長の仕業である。
最近は目撃例も増え、一部のツチノコハンター達は色めき立っている。
「いやぁ、ツチノコってどんな色してんでしょうね」
色眼鏡は後ろ髪をかきながら笑った。
293
:
日野山 幽次郎
:2011/08/28(日) 23:34:22 ID:0pLkNyIA
>>292
「ああ、バイト……」
人気もほとんどないような古い洋館で、一体どんなバイトなのだろうか。
興味が出てきた日野山は、竜崎がいた茂みを覗き込んだ。
何やらゲージを設置しているらしい。
害獣駆除のバイトか何かと思っていれば、竜崎が言った言葉は、
「ツ、ツチノコ??」
日野山はきょとんと目を点にする。
そんなものが本当に存在するのか……と一瞬思ったが、頭を振って思い直す。
妖怪だっていたんだから、ツチノコだっているかもしれない。
だって実際、今自分が餓鬼なんだし。
「俺はその、なんつーか、仕事の休憩?」
作業を見てみたいので、「続けて続けて」と手を振る。
294
:
竜崎シグマ
:2011/08/28(日) 23:46:40 ID:lZ5WJ8jw
>>293
「ええ、ゲージを設置するバイトです」
そういって色眼鏡は「ツチノコのバイト求人」のチラシを開いて見せた。
ゲージを規定数決められた位置に設置することで五千円ほど貰えるようだ。
「え、あなたツチノコハンターじゃないんですか?」
男がきょとんと目を点にしたのを見てこちらもきょとんとしてしまう
その後、「続けて」と言われたので餌のネズミをゲージの仕掛けを作動させる棒に紐でくくり付け始めた。
「……仕事の休憩ってこんなところでやるんですか?」
ネズミをくくり付け終わるとまた別のゲージにネズミを仕掛け始めた。
ネズミは彼の指に噛みついたりしてるが厚手のバイカー用手袋の彼の指にはまったく利いていない。
295
:
日野山 幽次郎
:2011/08/29(月) 00:04:49 ID:0pLkNyIA
>>294
「ふーん、そんなモンがねぇ……」
チラシを眺めながら、指で顎先を撫でる。
ゲージを設置するだけで五千円なら、意外と高収入かもしれない。
ただし「ツチノコのバイト求人」という謳い文句が怪しすぎて、応募するのに多少の勇気が伴うだろうが。
「違う違う。おじさんはただの、えーと、作業員だよ」
よいしょ、と膝を曲げる。
竜崎の作業を興味深々に見ていると、不意に尋ねれて、
「え、」
それは明らかな動揺だった。
ごもごもと口ごもり、言いよどんだ末、
「お、俺ってさー、意外と一人が好きだったりするんだよね! あはははは!」
気さくに笑って、ぽんぽんと竜崎の肩を叩く男が一人が好き、とはどうも結びつきづらかった。
296
:
竜崎シグマ
:2011/08/29(月) 00:21:24 ID:lZ5WJ8jw
>>295
ゲージ設置五千円、なかなか高収入である。
だがそれは広範囲に及ぶ上に険しい場所も含まれるためなかなか骨が折れるのだ。
「作業員の方でしたか。しかしあなた一人が好きな割に……いや、なんでもないです」
明らかな動揺。怪しいと思った。この洋館に何か盗みに入るつもりなのか。それとも何か…。
一瞬考えたが考え過ぎか、とその思考を手放す。
しかし肩を叩かれ、何か男に人ならざるものを感じ、作業の手を止めた。
「……ひょっとして何か変わったものあります? 何か見えるとか、何か感じるとか」
「後やたらツチノコ寄ってくるとか」と付け足した。
297
:
日野山 幽次郎
:2011/08/29(月) 00:30:33 ID:/AfNAO.Q
>>296
(ほっ、何とかごまかせたか)
日野山は安易に胸を撫で下ろした。
相手に、人ならざる気配を感じられているともしらずに。
正確に言えば、人でもあり、妖怪でもあるというべきなのだろうが。
竜崎のことを微塵も疑っていなかった日野山は、だからこそ、唐突に尋ねられてさらに動揺した。
「ってえぇ!? ななななーに言ってんだあんた! おかしな人だなー、あはは……」
冷や汗が額を伝う。
298
:
竜崎シグマ
:2011/08/29(月) 00:43:39 ID:lZ5WJ8jw
>>297
男は動揺し冷や汗を流している。
これはあれだ。たぶん何かだ。
「いやぁ、すいませんね。私こういうものでして」
腰のポーチから名刺を取り出しすすっと手渡す。
名刺には「やたら強い妖怪に対抗する退魔士の会会員竜崎シグマ」と書かれている。
「うちは妖怪さんからも人間さんからもご依頼受け付けておりますのでどうぞお気楽に。
ご相談は無料で受付させていただいております」
そしてニコリと営業スマイルだ。
すべつのゲージはいつしか設置が完了しており、彼の仕事は完了したようだった。
「よし、設置完了。あなたも今度ツチノコの求人やってみたらどうです? まぁまぁ楽しいですよ」
299
:
日野山 幽次郎
:2011/08/29(月) 00:52:52 ID:/AfNAO.Q
>>298
「はあこれはどうもご丁寧に」
いきなり名刺を渡され、困惑気味にそれに目を通す。
だがそこに書かれている、ある単語を目にした途端、背筋がひんやりとした。
「や、やたら強い……妖怪? 退魔士?」
(やっやばい、何かやばい気がする……小鳥遊先生に怒られるような何かが起こっている気がするッッ)
竜崎の営業スマイルが、まるで死神の微笑みのように見える。
彼がゲージを設置完了すると同時に、日野山は慌てて立ち上がった。
「お、おじさんにはもうキツいなか〜〜この仕事は! じゃっ! 頑張れよぉ若いの!」
そう早口で言って、早足に門から去っていった。
制止も聞かないだろう。
//すいません、寝落ちしそうなのでここらで…
300
:
竜崎シグマ
:2011/08/29(月) 01:01:11 ID:lZ5WJ8jw
>>299
男が早足で門を去っていくのを見送った彼の後ろにはツチノコと呼ばれた形がどうみても着ぐるみなツチノコが二本足で立っていた。
「来ていたか。まだまだこの町には楽しい人達が居そうだ」
ツチノコ「楽しめそうだな竜崎。そして今宵は良い月……」
いつしか空には満月が。
「今宵も、」
ツチノコ「狂おうぞ」
とかいってふざけるやたら強い妖怪云々の会員達であった。
/お疲れさまでした。遅くまでありがとうございました
301
:
喫茶店《ノワール》
:2011/08/31(水) 15:22:48 ID:c1.PBF/s
本スレ
>>444
本スレ
>>445
夕「先に言うけどコレは姉さんの趣味だからね?俺にそんな趣味はないから」ショボーン
夜「だって夕はお人形さんみたいでなんでも似合うじゃな〜い♪貴女たちもコスプレしてみる〜?ナース服とか執事服とか色々あるわよ〜。もちろんサイズもね〜♪」ニコニコ
夕は落ち込みながらそう説明してると、夜は目を光らせながら二人を見つめる。
なんか二人に店長の魔の手がのびそうになってるが…夕は慌て、話の間に入る。
夕「言っておきますけど先輩のも奢りますよ?アレですよ。俺の女装の口止め料って事で」
夜「もしそれでも気がひけるんだったらサービスでもいいわよ〜。こんなカワイイ子にサービスしないなんてダメだと思うの」ニコニコ
なんとなく美雪の考えを見抜きそういう田中くん。自分から損する道に進むとは…
夜「いいわね〜。ちゃんと将来について考えてて〜
けどまだ高校生活は長いんだから慌てちゃダメよ〜。今を楽しんで未来に繋げなさい」
そう言いながら、なんか窓から気配がしたのか
窓に向かい高速にフォークを投げた。
外から「ショター……ぐはっ!?」って叫び声が聞こえたのは気のせい……かな?
夕「姉さん…いま……」
夜「さ〜〜て♪チョコレートケーキ二つにコーヒーね〜」
何か言いたそうな夕をしりめに、夜は何事もなかったようにコーヒーの準備をし始め、のっぺらぼうの店員に指示を出し始める。
302
:
児佐々 美雪
:2011/08/31(水) 15:50:00 ID:1gBuqmPQ
本スレ
>>445
>>301
ペトラの風船はシャボン玉のように不思議な色に輝き、しかしシャボン玉よりはずっと丈夫だ。
それはどこか、駄菓子屋や祭り屋台で売っている玩具のポリバルーン、
あの糊の入った金属性チューブとストローのセットになっているあれを思い出させた。
「ふわふわして、綺麗」
時折バルーンの中を鮮やかな色が揺らいで過ぎる。
このバルーンを覗いていると、抹茶パフェの白玉と寒天のつるりとした喉越しも、この店の雰囲気も、
女装男子も、時折なぜか素早い店長さんの動きも、どこか童話の中めいているように思えた。
「コスプレ?可愛いのあったら、着る!」
すっかり不思議の国の住人になった気分の美雪は、田中くんの制止も空しくあっさり店長さんの案にのって
片手を高く上げた。
衣装を色々変えてみるのは楽しいけれど、お小遣いがあまり多くない美雪にはそういう着道楽なことはまだできないのだ。
「あとね、私に口止め料は要らないよ。口止めされる気、無いから♪」
抹茶パフェを食べながらすっごく楽しそうに、にぱっと笑う美雪。
どうやら田中くんのお財布のダメージは一部、ココロのダメージへと変換されるようです。
高校が同じだと新学期が怖いという罠。
303
:
ペトラ
:2011/08/31(水) 18:07:54 ID:???
>>301
「あ、そーなんだ…よかったぁ」
少年は、安堵の表情を浮かべていた。ほっと息を吐く
この男の子も大変だなあ、と、同情する様な、笑みを浮かべた
でもやっぱりメイド服、似合ってるなー…
「あ、いや、僕はいいよ…」
目の前の少年の様になるのは、ご免であった
緩慢な動作で首を左右に振って、断ろうと試みる。
尤も今の、汚れた迷彩の繋ぎ姿も大概ではあるが
>>302
「へへっ、でしょー?」
声を上げる美雪の様子に少年は少し、得意気であった。
嬉しそうに笑いながら、不思議な模様と、それを見る美雪
その二つを眺めて、ゆったりとした時間を過ごしていた
304
:
喫茶店《ノワール》
:2011/08/31(水) 20:41:12 ID:c1.PBF/s
>>302
>>303
夜「色々あるわよ〜?普通の服から民族衣装まで色々持ってるから〜。気に入るのがあるかしら〜?
はい。コーヒー♪そこに砂糖とミルクから好みにあわせてね〜」ニコニコ
ノリノリの美雪に対し、夜も楽しそうにし、コーヒーを置く。
夕「……………なん………だと……!?……」ガビーン
哀れ……田中くん…君は学校で女装の噂がされる可能性と文化祭とかで女装を強制される可能性が出てしまった!!
彼の心はもうボロボロだ!!
夜「あらあら〜〜、それは残念ね〜」チラッ
夕「姉さん……」ジーッ
ペトラが拒否して残念そうにするも、いつ暴走するかわからないため夕は姉に釘をさすように見ている。
の「……お待たせしました……チョコレートケーキになります……どうぞ、ごゆっくり」ペコリ
そんなこんなしてるうちにのっぺらぼうの店員が二人の前に一つずつチョコレートケーキを置いていく。
味は結構美味しいだろう。
305
:
児佐々 美雪
:2011/08/31(水) 21:07:05 ID:1gBuqmPQ
>>303
>>304
「ペトラ君はちゃんと男の子用の服を選んで着れば良いんじゃない?
私、チャイナドレスとか一度着てみたいなー…」
色々あると店長さんに言われて、ちょっぴり気持ちがコスプレに流れているようだ。
そこにコーヒーとケーキが追加される。
「わぁ良い匂ーい。いただきます♪」
不思議なバルーンはカウンターにそっと載せ、美雪は抹茶パフェで冷えた舌をコーヒーで温める。
チョコレートケーキの甘さがそこへじんわりと染みていった。
美味しいもので自然と笑顔になった美雪は、対照的に落ち込む田中君にさらに駄目押しをする。
「実は文化祭の実行委員会でね、ミスター女装ミス男装コンテストやらないか?って案がでてたの。
もちろん、田中くんはエントリーしてくれるよね?
ほら、こういうのって事前に出場者確保しとかないと企画潰れちゃうしー?」
美雪に口止めされる気が無かった理由は、そう言うことだったらしい。
どうやら美雪は文化祭の実行委員らしいが、しかしOGの前でそんなこと話してしまって良いんだろうか。
306
:
ペトラ
:2011/08/31(水) 22:00:05 ID:???
>>304-305
「あ、そうか、な…」
確かにメイド服じゃなく男向けの洋服ならば、興味もあった
だるだるのツナギの襟を引っ張り見ながら、考えてみる。うん、意外といいかも知れない…
そんな様子でごくりと唾を飲む少年を夜が見たら、どんな行動にでるのだろうか
「お、おおおおお…」
かたん、音を立てて目の前に置かれたチョコレートケーキ
何時もは憧憬の対象であったのだが然し、今は違う――自分が、好きに、食べられるのだ。
「い、いただきまーすっ…」
若干緊張すらした様な面持ちで、口許へとチョコレートケーキの一片を運ぶ。
――…その後少年は顔をぱあっと綻ばせながら、もう一口二口と食べ勧めていった。
どうやら相当、気に入ったらしい。
307
:
喫茶店《ノワール》
:2011/08/31(水) 22:55:56 ID:c1.PBF/s
>>305
>>306
夜「ペトラくんは女の子の衣装似合いそうなのに〜〜」
ちょっと残念そうにしながら夜店長はカウンターから出て奥の個室に行きはじめる。するとそこから色々な服を持ってき始める。喫茶店が服屋になりそうな量だ!!
普通の服からアニメのコスプレ衣装にマニア服や民族衣装と数が本当に揃ってる。
それこれもこの店長の《普通》の趣味である。
夕「なっ…!?」
彼が恐れていた事態が起こってしまった…
全校生徒の前で女装など《普通》はしたくない。
だが…彼が言おうとした瞬間……
夕「ムガーッ!!!!!」ビュンッ!!!
突然田中君がにワイヤーが絡まり引きずられてしまったではないか!!!
そこを辿れば夜店長が革手袋から特殊ワイヤーをだし、田中くんを簀巻きにしてるではないか!!!
夜「その案………素晴らしいわ〜〜!!!私が生徒会の時何回も文化祭実行委員会と口論してできなかった事をするなんて〜〜!!
ねえねえ!!私にも手伝わせてくれないかしら〜〜!!!」キラキラ
………もし過去の生徒会について調べられたらわかるかもしれないが、そこに在籍してた顔は美人、成績は優秀、運動神経抜群……しかし変人級のコスプレマニアの書記がいた事がわかるかもしれない。
そう彼女こそが7年前の変人ばかりの生徒会役員の書記――コスプレ狂 田中夜である!!
の「……ケーキのおかわりはいりますか?…」
猫「また始まったにゃ…店長の悪い癖にゃ…
あ!コーヒーはお代わり自由にゃよ!」
店員二人はなれたようにソレをあえて無視しながら二人におかわりをいるか聞く。
308
:
児佐々 美雪
:2011/08/31(水) 23:13:16 ID:1gBuqmPQ
>>306
>>307
(確かにペトラ君はかわいい…)
ケーキを頬張って顔を輝かせているペトラは確かに可愛い。でも、女装の強要は駄目だろう。
こんな小さな子を大人の欲望の餌食にしてはいけないと美雪は思った。
そう思っているうちに、気づけば店の中が貸衣装屋状態に。
「えええっと、今、まだ食べているので、コスプレはまた今度でも良いですか?」
流石の美雪も店長さんのテンションにはたじたじだ。
それでもしっかり可愛いものは目でチェックしている。
(あ、あのアオザイ可愛い♪)
そのため田中くんの受難には目を向けていない。
「え?そうだったんですか。
今年は生徒会も実行委員会も、どちらもその案には賛成したんですよ……?」
どうやら運悪く今年はブレーキかける奴がだれも居なかったらしい。
「そうですねー、衣装をお借りできたら大変ありがたいんです。
予算の関係でコスチュームを作る所までは無理そうなの」
しかしたった一委員の立場で、OGの乱入を決めてしまって良いのか美雪は少し迷っている。
「生徒会と実行委員会に問い合わせてみてからでも良いですか?
後で店長さんの連絡先を教えてもらえれば、後でメールしますから」
コーヒーのお代わりだけを猫又さんにお願いして、美雪はケータイを取り出した。
店長さんのアドレスを聞くつもりなのだ。
309
:
ペトラ
:2011/08/31(水) 23:36:29 ID:???
>>307
「…そう、かな」
照れた様に頬を掻く少年、ついつい乗せられてしまっているような
軈て現れた衣服の量には、眼を丸くした――…その間もケーキを食べる手は、泊まらないのだが
「それにしても、凄い量……あっ」
メイド服姿の少年は、ワイヤーに絡まり連れて行かれてしまった。合掌
興奮した様子の夜を尻目に、黙々とケーキを食べ進める。美味しい、おいしい。
そしておかわりが要るかどうか、尋ねてきた店員に対し、物欲しげな視線を送った
ケーキはまだ食べ終わっていないというのに、せっかちなものである。
>>308
「――…?」
視線を感じた、のだろうか
少年はファークを操る手をふと止めると美雪の方を振り返り、
不思議そうに、小首を傾げた
口の周りにはべっとりとチョコレートがくっ付いて、なんとも
310
:
喫茶店《ノワール》
:2011/09/01(木) 00:02:41 ID:c1.PBF/s
>>308
>>309
夜「私の時は男の子でもカワイイ女の子に、女の子でもカッコイイ男の子になるようにしたら同性でラブレターとか告白されちゃったりしちゃうからダメだって……私があんなにカワイイ服着させたのに…」
………多分ソレが原因だ。
その被害者に追悼……
更に言うと彼女はコスプレの事になると暴走するからという理由もある。ただでさえ当時は(も?)変人揃いの高校だったため一般公開の文化祭で暴走をおこさせないために当時の文化祭実行委員会は頑張ったのだろう……
夜「いいわよ〜♪いま送るね〜〜〜」
そう言いながらケータイを取り出し赤外線でメルアドを交換するだろう。
猫「はいにゃー」
店長の代わりにコーヒーをいれ、おかわりをしてあげる猫。
の「……じゃあ…食べ終わったらね…
慌てないでよく食べなよ?…」
ペトラにそう優しく言う。
311
:
児佐々 美雪
:2011/09/01(木) 00:05:31 ID:1gBuqmPQ
>>309-310
「何でも今年は有力候補が居るとか?で皆乗り気だったみたいですよ……と、メルアド受信しました」
多分その有力候補の一人は田中くんだ。
そして先生方も7年前の悪夢はきっと忘れているのだろう。だって今年の生徒会は「比較的」大人しいのだから。
そして、猫又さんの入れてくれたお代わりのコーヒーを飲みながら、
委員会と生徒会メンバーのメーリングリストにOG参入の件を打診完了する。
もうしばらく待てば返信があるだろう。
そしてこちらを見るペトラの、チョコレート色に染まった口の周りを見て、美雪はくすりと笑った。
「ペトラ君、すっかり美味しいほっぺになってるよ。ちょっとじっとしててね?」
美雪はおしぼりを手にとってペトラのほうへ屈みこむと、チョコレートで汚れた頬を綺麗に拭おうとした。
屈みこむと肩で切りそろえられた髪がさらりと揺れて、ほんの僅か麝香の匂いが漂う。
312
:
ペトラ
:2011/09/01(木) 00:22:53 ID:???
>>310
「うん、分かって…るっ」
のっぺらぼうへの返事は、空になった更にフォークを置いた音と共に
あっという間にぺろりと平らげてしまった。燦爛と輝いた眸はもっと食べたい、と
店員に、訴えかけていた。――その表情はどこか、夢心地な様子
>>311
「へ? あ、…ありがとっ…」
どうしたんだろうかと思いながらもその場でじっとしていると、やがてその訳が分かった。
照れくさそうにしながらお礼を言って、美雪の眸を見つめた
――そのとき漂ってきた麝香の匂いは、獏の少年にとっては合わなかったらしい
僅かに顔を顰めながら、なんのにおいなのだろうかと少し不思議そうに辺りを見回した
313
:
喫茶店《ノワール》
:2011/09/01(木) 00:33:26 ID:c1.PBF/s
>>311
>>312
夜「あら〜?そうなの〜
フフフ…楽しみね〜〜」ニコニコ
夕(………不幸だ…)
結果を楽しみにしながら待ってる夜に、その隣で簀巻きにされながら涙目の美少女田中くん。
の「……はい…おかわり…」
そのペトラの表情にキュンっときながら、ケーキのおかわりを用意する。
心の中では店長の友人の《魔王》が来なくって良かったと安堵する。
夜「……」シュッ ショター! ザクッ フグッ>
店長が再び窓に向かいフォークを高速に投げ、外から何か聞こえた。
314
:
児佐々 美雪
:2011/09/01(木) 00:40:31 ID:1gBuqmPQ
>>312-311
「うん、どしたのペトラ君?」
お礼を言った後、ペトラが顔を顰めて怪訝そうに辺りを見回したので、美雪も不思議に思った。
美雪にとってはすっかり馴染んだ父親の匂いなので、その僅かな移り香は
人間の嗅覚なのもあって自分自身では感じられないのだ。
その時、カウンター上でブーンと静かに振動するケータイがメールの着信を知らせる。
「わぉ、もう返信来た……」
美雪がメールをチェックしている間にも次々と着信が来る。
「卒業生が手伝ってくれるなら皆大歓迎、むしろ菓子折り持ってお願いに行きます、だって」
メールには反対意見は一つも無かった。生徒会にとっても元生徒会の先輩はやはり「エライ人」なのだ。
生徒は誰も7年前の事は知らないのだから、7年前の事を知っている教職員にバレさえしなければ
田中君の文化祭における黒歴史は決まったも同然である。
「お姉さんがついてくれるなら、田中くんのエントリーはもう決まったようなものね」
これで一安心、と美雪もケーキとコーヒーの残りをゆっくりと楽しみ始めた。
315
:
ペトラ
:2011/09/01(木) 00:53:44 ID:???
>>313-314
「なんか、変な匂いがするかなー、って…」
小首を傾げたまま、微かだからかその匂いの出所は分かっていないのだろう、不思議そうに言葉を続ける
すんすんと匂いを嗅ぐ様にしてみせるけれど、特に意味はなかった
「ありがとっ」
再び相見えたチョコレートケーキに視線はあっという間に向けられて
そののちのっぺらぼうの方をさっと振り向くと、笑顔と共に礼の言葉を述べた
そして先程までと同じ様にフォークで一口分を切り取って、――…ぴたっ
今度は珍しく、そこで動きが止まった。何を想ってか、簀巻きにされた、夕の方を、振り向いて
「――…食べる?」
ぐるぐる巻きにされた上恐ろし気な計画が進行しつつある夕を、不憫に思ったのだろうか
とかく少年は、ささやかな幸福をこのメイド服の少年にも分け与えようと、カウンター席を離れ
フォークに突き刺したケーキを、夕の口許へと持っていった。所謂、あーん、の状態である
316
:
喫茶店《ノワール》
:2011/09/01(木) 01:05:37 ID:c1.PBF/s
>>314
>>315
夜「あらあら〜嬉しいわ〜♪
けどコレは貴女達の文化祭だから私は口だしはしないわ〜♪出場者に私がメイクと服をしてあげるから〜」ノホホーン
のんびりとしながら服を片付け始めた。
こうして田中くんは抜け出せない泥沼不幸地獄へと落ちてしまった………
夕「あ…ありがとう」ニコッそんな不幸地獄に射した一筋の光――ペトラくんがチョコレートケーキを一口アーンされて、彼は御礼を言い、パクリと食べた。
端から見たら捕まったカワイイ少女が幼い少年にケーキを食べさせてもらってるという光景が………
317
:
児佐々 美雪
:2011/09/01(木) 01:10:07 ID:1gBuqmPQ
>>315-316
「あー、それもしかしてうちのお父さんの匂いかも。私にはわからないからなぁ」
いつかペトラが彼女の父親に出会った時、顔を見るのは初めてでも、その匂いでそれを知ることだろう。
そして田中くんにケーキを食べさせようとするペトラは、その見た目もあって十分微笑ましかった。
「やっぱペトラ君、可愛いなぁ」
そんな呟きが思わず漏れる。
「衣装だけじゃなくメイクまで?ありがとう御座います!
お姉さんにはまた後日、正式に生徒会と実行委員がお願いに伺いますね」
食べ終わった美雪は、席を立つと店長さんと簀巻きの田中君にそう頭を下げると、
猫又さんにお会計をお願いした。
「そうだペトラ君、これ、貰っていっても良い?」
そしてふと思い出し、カウンターの上のあの不思議な風船を指差して、ペトラにそう尋ねた。
姉妹たちに持っていったら、いい玩具になりそうだと思ったのだ。
318
:
ペトラ
:2011/09/01(木) 01:27:58 ID:???
>>316
「どーいたしまして。……おね…お兄さん、名前は?」
にこりと笑う夕に笑みを返すと、フォークを口の中に、残ったチョコレートを舐めとる
余程、この味が気に入ったらしい。――…それも済むと少年は名前を尋ねた。少し、危なっかしく。
「僕はね、ペトラって言うんだ。よろしくね」
続けざまにそういうと、空いた左手で夕少年の頭を、撫でようとする
特に理由はないのだろうが強いて言えば、その表情を見ていたら、というところだろうか
人にされた事は何度かあるものの、自分からする事はほとんど無かったのだが
>>317
「へー…そうなんだっ 妖怪って、言ってたもんね。」
とすればお父さんからは、こんな匂いがするらしい。
ちょっと好きな匂いではないのだけれど、どんな人なのかは興味が湧いた
「あ、いいよ、もちろん。」
奢ってもらったり、優しくしてもらったり、「貰いっぱなし」だった少年は、
一考の時間も必要とせず、美雪のお願いを聞き入れた。せめてもの恩返し、という気持ちもある。
「また、一緒にケーキ食べようね?」
清算をしているらしい美雪に、そう声をかけた
ノワールで過ごした時間はなんだかんだで、少年にとって幸福なものとなっていたようであった
319
:
喫茶店《ノワール》
:2011/09/01(木) 01:37:59 ID:c1.PBF/s
>>317
>>318
夜「どういたしまして〜」ニコニコ
優しく微笑みながら美雪にそう言い、隣でペトラに撫でられてる弟をほほえましく見てる。
夕「俺は田中 夕。よろしくな。ペトラ」ニコッ
撫でられながらも、微笑み自己紹介をする田中くん
猫「はいにゃー」
会計をしに猫又店員が動く、料金は優しい値段だろう。
夜「二人とも〜。いつでもここに遊びに来てね〜
今度私の旦那様も紹介してあげるから〜〜」ニコニコ
320
:
児佐々 美雪
:2011/09/01(木) 01:44:36 ID:1gBuqmPQ
>>318-319
「ありがとう、綺麗だから私の姉さん達がきっと喜ぶよ。また一緒にケーキたべようね」
美雪は肩にかけていたストールで、大事そうにその風船を包んで手提げにしまう。
猫又さんの示した優しいお値段には感激だ。
「文化祭で協力をお願いする立場なのに、サービスまでしてもらってありがとうございます。
コンテストではこのお店の名前もパンフに載せてもらえるように頼んでみますね」
最後に、ご馳走様でした、と言って彼女は店を出た。
後日、ノワールには生徒会長と実行委員長が菓子折りを持ってやってくる筈だ。
そして帰ってきた彼ら曰く「あの店スゲェ」んだとか。一体二人は何を見たのだろう?
なんだかんだ、店の宣伝にはなりそうである。
//ではここで落ちます、お二人とも絡みありがとうございました!
321
:
ペトラ
:2011/09/01(木) 01:54:28 ID:???
>>319-320
「夕、ね。…うん。」
何故かは知らないが、夕は最初から呼び捨てのようだった
この辺りは彼の感覚なので適当であるのだが、それだけ親しみを覚えていたのかも、知れない
「もちろんっ…またね」
店を出る美雪に手を振って、しっかり見送りつつ
其れが済めばまたカウンターに腰掛け、チョコレートケーキを食べ始める筈だ
二つ目にも拘わらず、一向に飽きるような兆しも無い。
こうして今日も、幸せな時間は過ぎていった
//自分も瞼が思いのでこんな感じで…絡みありがとうございました!お疲れさまです
322
:
喫茶店《ノワール》
:2011/09/01(木) 02:09:11 ID:c1.PBF/s
>>320
>>321
夜「いえいえ〜♪
サービスは大切だからね〜
またのご来店お待ちしておりま〜〜す」ニコニコ
笑顔で美雪を見送る店長だった。
夕「ペトラ。何か飲みたいんだったら飲み物とかも頼んでいいからね」
簀巻き状態からなんとか自力で脱出してる田中くんは優しくそう言った。
なんだか弟ができたような感じで
/二人とも二日間絡みありがとうございます!
/お疲れ様でした!
323
:
零&黒龍
:2011/09/02(金) 23:25:53 ID:HbHPxpxY
ここは、澪がいた湖。辺りは暗く、水面に月が綺麗に写っている。
そこには、暗闇に身を潜めて、いちゃらぶする二人が。
「ここなら人も来ないし、黒龍の存在もばれないよね?」
『あのな、万が一を考えてないのかっ!?ま、まぁ、零がそう言うから、来てやったけどな?////』
道返玉は首飾りのようにして、零は持っている。
奪い取れるのか・・・?
324
:
宛誄
:2011/09/02(金) 23:38:09 ID:tElbSrz.
>>323
虎視眈々とそれを狙うものがいた。
辺りからは音も無く、闇夜に紛れた黒の軍勢が零と黒竜を包囲し、迫り来る。
軍勢たちはそれは小さく、隠密で、なおかつ一突きで相手を昏倒させるだけの病魔を携帯していた。
顎、針・・・飛べる飛べないに関わらずあらゆる媒介経路となりうる小さな疫病神たちは零と黒竜に狙いを定め今にも跳びかかろうとしていた。
「こんばんは、お久しぶりです零さん」
その軍勢の中から一人の少年が現れる。
闇に紛れる黒い服と髪そしてそれとは対照的に映える色白の肌。
しかしその眼はかつての逆心の如く爛々と紫に煌めいていた。
黒の伏兵たちが身構えているのも随分気になるが、
なによりもこの宛誄、以前よりもかなり妖気が増していた。
「お願いがあります、その首に下げた道返玉を頂きたく参上しました」
生温い一陣の風が辺りに吹きぬけた。
325
:
圓坐
:2011/09/02(金) 23:47:00 ID:c1.PBF/s
>>323
>>324
突然、病魔を防ぐように強風が吹き荒れ、吹き飛ばし小さなカマイタチが起こりそれを飛散させようとする。
「……まったくのう。零よ…自分も狙われてるのを忘れてはいかんぞ?
ワシに家にいろって行っておいてのう…」
そこに現れるは小さな邪神が見たら驚くであろう人物。
紳士のような格好をした初老の男――猿神 圓坐
「あの時の小僧よ…何故主がソレを狙う?
…主にはいくらか礼をしたい……だが敵対とするなら…容赦はせぬぞ?」
《暴食の罪》がなくいくらか弱くなったが……間違いない…彼だ。
……だが彼が誤算なのは……彼が生きてた事を《邪神》を監視してる《悪魔》にも知られたという事だ……
326
:
零×黒龍
:2011/09/02(金) 23:58:38 ID:HbHPxpxY
>>324
勿論、彼らが来てたことは分かっていた。
だが、二人はのんびりと会話を続けていた。
『このシチュ、カプの女の子側をさらっていくアレか!?』
「黒龍、それはないよ?男同士のカプ狙うのは腐女子くらいしかいないし。
知り合いに腐女子とかいないでしょ?」
そんな会話をしてたら、以前にも見た顔見知りの子が現れた。
そして、いきなり問題発言を。
『腐男子っ!?』ガビーン
「ちなみに攻めは私・・・じゃないよ、落ち着いて!
ごめんね、こんばんは。
何の用かと思えば、そんなことですか。とりあえず座って、話し合いませんか?サンドイッチありますし。」
>>325
『あ、どうも。あの時はry』
「おじいちゃん、駄目だよ!私には黒龍もいるし、大丈夫だからっ!」
黒龍には会うのが二度目であり、一度生き返らせて貰ったことに対し、礼を言った。
一方で零は、おじいちゃんに気を使う。外出すれば、万が一が常に起こりうる。そして、今回、それが起きたのだ。
327
:
宛誄
:2011/09/03(土) 00:21:22 ID:tElbSrz.
>>325-326
「・・・」
零と黒竜は相変わらずの無頓着、無警戒っぷり。
かたや現れたのはあの時の老人。
自分には好意とも敵意とも取れるような警戒態勢。
若干、いやあの二人はかなり腹立たしい事態だが頭越しに交渉を進めるには好都合。
そちらが無関心ならば勝手に決まったら流されるだけだろう。
なにせ無関心とは無価値であり無頓着であり無意味であることの陰義だからだ。
「なぜ、と聞かれたら答えは簡単です。
青行燈の筋書きを台無しにしてしまいたい。
今や文字通り生まれ変わった貴方なら僕の言っていることによーく共感してくださるはずだ」
吹き飛ばされてしまった同胞を頬で感じ、
その強風は宛誄の髪や衣をはためかせる。
「貴方が復習は下らないと考えるならば協力していただきたい。
率直に言います、僕はこれ以上七罪者を死なせたくは無い。
これは本来の僕の目的ではないが、過程的をピックアップして言えば同じことです」
フッと風が止むと同時に妖気の質を変える。
「それにね」
ニタリと微笑む宛誄。
そこには“もう一人”の人格が宿っているように見えた。
補足しておくがこれは宛誄が影に脅えるかの勇猛な神ではなく、
もっと人懐っこくしいて言うなら少女のような無邪気を宿した面影だった。
「“許可”も貰ってますから」
328
:
圓坐
:2011/09/03(土) 00:41:15 ID:c1.PBF/s
>>326
>>327
「気にするでない。黒龍よ
………零よ。なら、もう少し緊張感もってくれないかのう?主はワシの恩人じゃ…何かあったらワシが嫌じゃからのう…」
アゴヒゲを触りながら、呆れたように二人を見て溜息をはく。
ピクッ
《邪神》の言葉に、驚いたようにそちらを見る。
「何故……主が《七罪者》の目的を知っておる?
……いや……それより……」
何か言おうとした時、彼の雰囲気が変わったのに気付いた。
「……彼女じゃと?」
その時、零が首にかけてる道返玉が淡く光り始めるだろう。
329
:
セツコ中
:2011/09/03(土) 00:42:12 ID:c1.PBF/s
訂正!!
彼女→許可
です!!
330
:
零&黒龍
:2011/09/03(土) 00:58:23 ID:HbHPxpxY
>>327-328
「へぇ。」
淡々と話す宛誄に、ただそれだけを言った。
その返事はいかにも無関心だが、本当にそうなのだろうか。
「おじいちゃん、これが私達の緊張感の様な物ですよ。
むしろ普通に、在り来りな対応では、相手に何を考えているかばれてしまったり、余計警戒されます。
だからこうしているんです」ニコニコ
『・・・・・・。』
先程までの、のんびりした雰囲気は、気づいた時には既に消えている。
そこにはカップルでなく、不気味に微笑む少年と、宛誄を睨みつけている黒い龍がいた。
「私の答えはキミにも分かるでしょう?だったら、早く去りなさい。」
ふと、道返玉が光だす。
零は、それを手にとり、まじまじと見つめる。
331
:
宛誄
:2011/09/03(土) 01:13:22 ID:tElbSrz.
>>328
その時、宛誄の体から何か半透明の霊体の様なモノが抜け出した。
それは小さな少女の姿をしており、薄く輝いている。
身体にはその性格を示すような山吹色の唐衣を纏っていた。
少女は一瞬身を縮めたのかと思ったら、
すぐ活発に身体を跳ね飛ばこの闇夜にはあまりにも不釣合いな明るい声を上げる。
『やっほーーー! お久だねー、ミッチーー!』
霊体少女は満面の笑みである。
まったく持って神聖さも威厳も無い、というかまったく本物っぽくない。
おいおいいいのかキャラ付けはこんなんでいいのか、もうよくわからんぞ!
「と、まぁこういうわけです。僕は蜂比礼を取り込みました。
随分素直かつ、気のいい方でしたので、おかげで“僕”の寿命はだいぶ延びたのですよ」
『おいおい、調子に乗られちゃ困るぜっアテるん。
オレとしてはこのまま同胞が好き買って使われるのが癪だから“貸してる”だけだよ』
どうやら宛誄は信じられないことに蜂比礼を共食いのように取り込み、
自分の陰魄の中で共謀しているようだった。
ただでさえ十種神宝は力無き者にも扱えるそれ自体が力を持った品々。
それに相性の良さと魂の共感が加わった結果、力なき小さな邪神もそれを現実に行えてしまったのだ。
零の言葉に少し勝ち誇ったように、呟く宛誄。
「残念だが、貴方は自分の意見を持っていないようだ。
意思なき返答ごときじゃ僕は絶対に折れませんよ」
そう零はもし、道返玉と圓坐が同意した場合には、絶対にその返答を曲げざるを得ない。
なぜなら彼等は、正直言って馬鹿であり、無関心であり、巻き込まれた形であり、
さっさと家に帰ってそこの竜とくんずほぐれつするなり、BでLに濃厚に絡んでろって感じであり、
たった一つの言葉で要約してしまえば場違いであるからである。
『さーて、残念だけどここから先はかがみんにも見せてあーげないっ!!』
ニヤリ、とふわふわしてる少女があさっての方向の空を見て笑う。
するとそこから蜘蛛の子を散らすように奇妙な妖気が発散した。
「さて、話を戻します。むしろようやく本題に入れます。
僕はできるだけ十種神宝をこの手に集めたい・・・数を持っていればそれだけタイミングと状況をコントロールしやすいですからね」
ニタリと微笑む。
「そして“奴”の不意を突き! 【あの妖怪】の力を横取りする!!」
332
:
圓坐&道返玉
:2011/09/03(土) 01:43:46 ID:c1.PBF/s
>>330
>>331
「なるほどのう…」
アゴヒゲを触りながら、零の言葉に納得し宛誄の方を見るが…
「なっ!?……まさか取り込んだのかのう?」
宛誄から飛び出す少女…いや蜂比礼を見て驚くが
『相変わらず騒がしい…
少しは静かにできないのですか?蜂比礼よ』
何処か芯がしっかりした女性の声が響き渡る。
多分このタイプは真面目系な眼鏡女子だろう(おいっ!
『蜂比礼よ。私としてはこの者の魂は気に入っています。
正しき者よ。貴方の本音を彼に言ってみてはどうです?そうしないと納得はしないみたいでしょう』
零に本音を宛誄に言うようにうながす。なんか実体があれば溜息を吐きながら、眼鏡をクイッとしてそうだが…
『私としては貴方が私を正しく使うかどうか…それが一番重要でしょう』
「………あの妖怪とは…どちらの事じゃ?それによりワシも答えをきめかねぬ…」
333
:
零&黒龍
:2011/09/03(土) 06:39:03 ID:HbHPxpxY
>>331-332
「道返玉さん、解りました。
私は、この道返玉さんを譲る気はありません。その理由を作ったのは、そこにいるおじいちゃん。
おじいちゃんは七罪者でありながら、黒龍を命に変えて救ってくれたし、この玉を渡してくれた。
未来を托された、と私は実感しました。
そんな優しい想いの篭った玉、誰が渡しますか?」
「道返玉さん、私は力で貴方を支配したくないです。貴方と共に歩み抜く為、お互いを理解しあい、良い関係を築く。
綺麗事に聞こえるでしょうが、これが私の本音。
だって、貴方も私の仲間なのだから・・・。」
零はこう思っているようだ。
ちなみに、意見を言わなかった理由は、言っても無駄だと思ったからだ。
334
:
宛誄
:2011/09/03(土) 12:54:16 ID:tElbSrz.
>>332
>>333
圓坐の疑問に少し含み笑いを湛えながら返答する宛誄。
「さぁ? そのことについては貴方の方が詳しい筈ですよ。
強い怨念を引き出し、結界の中で【あの世】とリンクさせ召還する。
いわば西洋に伝わる悪魔降臨の儀式のようなもの、呼び出す妖怪などおのずと予想がつくでしょう。
・・・まぁもっとも、仮に呼び出したとしてお望みの方が来るとは限りませんがね」
言うまでも無いということか、はたまた知っていたとしてその名を出すのは憚るということか。
零のにべも無い言葉に、蜂比礼は顔をしかめる。
『けー、よく言うよっ! 結局は力で救われたくせにさー!
ミッチー。ホントにこいつの魂、気に入ってんのーーー!?
十種神宝(わたしたち)にこんなこという奴なんていっぱいいたじゃん!
都合のいい時ばっかり仲間面善人面する使い手! こう言う奴が一番信用ならないよ!』
なにやら思うところもあるようで、蜂比礼は舌を出しながら手を振る。
「なるほど確かに、命の恩人をいきなり寄越せという方が無茶な話ですね」
少し瞳を閉じ、意味を反芻する。
そして見開かれたその眼には、すでに紫の輝きは無く。
代わりに闇よりも濃い、純然たる黒の瞳が見据えていた。
「しかしね零さん、僕もまた・・・大事な人の為に動いている」
“大事な人”という、単語を出すのに些かの躊躇いが見られたが。
その口調ははっきりとし、そしてどこか譲らぬような響きがあった。
「今なら間に合うかもしれない、まだ死なせずに済むかもしれない。
貴女の友達である沖津鏡を、貴方の大事な人だった桔梗さんを。
生きる、いや・・・これはおかしな言い方ですね。
“そこに在ること”を諦めかけている彼等を、死なせずに済むかもしれない」
その口調は何か、自分や誰かにむけて語りかけるような響きがあった。
335
:
圓坐&道返玉
:2011/09/03(土) 17:28:12 ID:c1.PBF/s
>>333
>>334
「……知っておったか
しかし、アレは現世に出ただけでも世界のバランスが崩れる存在じゃ…
」
圓坐は顔をしかめながらそう答える。
アレの力を奪うとは余程の事でないとできない……果たしてそれを小さな邪神にできるのか?色々疑問が出て来る。
『言いましたよね?私は魂が気に入ってると
零よ。貴方の魂は一度《闇に堕ちた》事ありますよね?しかし今は強き意思で《今に》いたっている。違いますか?
私は彼のその魂の強さにひかれた。正しくあろうとしているのに
今言った言葉は確かに私たちにとっては信用ならない言葉でしょう。
だが魂は正直だ。強く正しく生きようと動いてるのを私は感じます。
蜂比礼よ…私は彼の魂の強さを気に入りそれを見定めようと思います。
もし、彼が私に相応しくないと感じればすぐに彼を見限りましょう。』
《魂》を見る《彼女》はそう優しくも芯が強い言葉でそう言う。
一度闇に飲まれた魂がどう抗っていくのか彼女には興味があったから…
「それで貴方は私を今所持しなくっても、借りる時に借りる選択肢もあると思われます。
今は零に私を任せてみて、それで貴方は零に自分の意志を上手く理解してみてはいかがでしょう?
貴方が《七罪者》に手を貸しながらもこちらに交渉を持ち込むのなら信頼を得て、貸してもらう時に貸せるよう状況を作るのも一つの手ではないでしょうか?」
『……』
《小さな邪神》の言葉に対し、そう提案する《十種神宝》
そして《猿神》は悩むように黙っている……
確かに友を死なせたくない……しかし…それを邪魔するであろう存在がいるのを猿神は頭を過ぎる。
大禍日神の身体である青行燈……アレは大禍日神を含む七罪者たちを駒として考えてる。
それにこういうのを計算に入れてる可能性もある…
そこが不安なのだ…
336
:
零&黒龍
:2011/09/03(土) 18:20:37 ID:HbHPxpxY
>>334
「大事な、人・・・?」
それは意外な事であった。この邪神も、大切な物の為にそれを必要としている。だが、自分は道返玉を守りたい。しばらく、沈黙する。
『・・・なぁ、俺でよければ、あんたの肩代わりしてやるか?』
「な、何言ってるの!」
『それなら、誰も争わなくて済むだろ?俺だって力は劣るが、十種神宝の力は使える・・・。」
そこに割って入ったのは、黒龍だった。
力は使いたくないが、犠牲者などが出るよりはまだよいからだ。
>>335
「道返玉さん・・・」
首飾りをそっと握り、ありがとう、と呟いた。
『おじちゃん、あんた、心配し過ぎは体に悪いぜ。大丈夫だ、俺も着いてる、道返玉もいる。
何も心配することはない。でだ、道返玉、俺があんたの代わりに力を使っても大丈夫か?』
それなら、悪用も何もないし、負担もへり、安全だ。
だが、黒龍には色々作用するのは間違いない。
337
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/03(土) 20:46:20 ID:tElbSrz.
>>335
>>336
『むー、ミッチーがそう言うなら・・・』
蜂比礼はしぶしぶ引き下がる。
「ふむ、わかりました。道返玉(あなた)の力が手に入らないのは残念ですが。
こちらとしても必要な時に必要なように動いてくださればそれでいい」
若干不服があるようだが、ひとまずは納得する。
計画はまだ漠然としているが、必ずしもそのタイミングで全てを所持している必要は無い。
協力が得られるという表明さえもらえれば充分だ。
しかし突然割って入った黒竜に首を傾げる。
「・・・? 肩代わりとは一体」
338
:
圓坐&道返玉
:2011/09/03(土) 21:06:38 ID:c1.PBF/s
>>336
>>337
「すまんのう…
我が友人たちを……本当に救えるのか?」
黒龍に心配され、少し俯き
宛誄に確認をとるように聞く。
『黒き龍よ。肩代わりとは不可能な事でしょう。
何故なら《十種神宝》が《全て集まった時放たれる力》は《十種神宝》ではないと起こせない。レプリカでも神格持ちでも私たちの代わりはなれない。
そうでしょう?蜂比礼よ』
真面目な口調で相手を諭すように言う。
『それと協力をとるまえに一つだけ確認しましょう。
蜂比礼よ。その持ち主は正しく使うモノでしょうか?私の持ち主だけ信用できるか問われても、そちらも信用たる者か確認したいですし』
339
:
零なか
:2011/09/03(土) 21:23:52 ID:HbHPxpxY
>>337-338
『・・・そうか、言うまでもなかったな。』
道返玉の言うことを素直に聞いて引き下がる黒龍。
「・・・私も、道返玉さんを所持する者として、キミを助けたい。
でも・・・もう少し時間を下さい。」
少し悩みながら、小さな邪神に言った。
340
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/04(日) 20:51:37 ID:tElbSrz.
>>338
『いや、信用はまったくならないぜ。
この手のタイプは大抵自分の欲をかき過ぎて最後に失敗するだろうしね』
「んなっ!?」
蜂比礼はあっけらかんとして、道返玉へ返答する。
『だけどコイツは“生きたい”“消えたくない”っていう己の欲に正直だし。
生き方を偽ることを知らない、行動と思考を躊躇わない。
なにより七罪者になったかがみんに対して思いっ切り啖呵切ったんだしー♪
オレも奴等のやり方は気に食わないからねー、まぁ信用は0だけど好感と目的の一致かなー』
「・・・」
かなり不服気に蜂比礼を睨む宛誄。
蜂比礼なりの褒め言葉のはずだったのだが・・・。
小さくため息をつくと圓坐の方を向き直る。
「確証はありませんね、正直言って分の悪い賭けです。
でもね・・・、僕としては意地でも彼女達を死なせたくない」
純黒の瞳が圓坐を見据えた。
「何とかしてみせますよ、必ずね」
>>339
「わかりました、できるだけ早いうちにお返事をくださいね」
零の言葉を聞き入れ、ひとまずは引き下がる宛誄。
蜂比礼はあかんべいをしていた。
生温い秋風が吹き抜けると、宛誄の周囲に蚊柱のような虫の大群が沸き起こり。
そしてそれが止んだときには既に宛誄と蜂比礼の姿は霞のように消えてなくなっていた。
341
:
圓坐&道返玉
:2011/09/04(日) 21:31:15 ID:c1.PBF/s
>>339
>>340
『………ふふふ。貴女がそう言うとは
いいでしょう。私も彼に協力しましょう。零も彼に協力するみたいですしね。』
まさか蜂比礼が褒めるとは…と楽しそうに声を出した。
「……いいじゃろう。ワシも協力しよう
ただし…妖魔――青行燈には気をつけとほしいのう。奴はワシらと違い《復讐》などどうでもいいと考える存在じゃ。全てを不幸に絶望に落としたいと考えるイレギュラーじゃ」
そう言うと、圓坐は静かに二人を見送った。
それと同時に道返玉は光が消えた。
「零よ…ワシも動きだすかのう
もう奴らにはワシの存在が知られた可能性があるからのう…」
そう七罪者に敵対する意志を見せると、彼はその場から去っていった。
/お二人共お疲れ様でしたー
/絡みありがとうございます
342
:
零&黒龍
:2011/09/04(日) 21:41:31 ID:HbHPxpxY
>>340-341
「おじいちゃん・・・死なないでね。」
小さな邪神とおじいちゃんを見送り、その場は静かになった。
『零、どうするんだ?この先。』
「来るときがきたら、それを突破していくまでだよ。・・・・・・。」
その後、彼等もそこを立ち去った。
343
:
巴津火
:2011/09/06(火) 18:59:21 ID:1gBuqmPQ
本スレ
>>525-526
右肩を痛めながら反撃する三凰の、光のレイピアが巴津火の方へも飛んでくる。
「あぶねっ!」
飛び込むように地に伏せてレイピアを掻い潜るが、その際、痛めている利き手を
地につく事になりさらに痛みが走る。
それでも背後に稀璃華が迫っているのだから、急いで跳ね起きねばならないのだ。
しかし、稀璃華が追いつくのが早いか、それとも巴津火が跳ね起きる方が先か。
「うがぁっ!」
痛みと状況に苛立った巴津火はついに、自分の溜めた力を解放することにした。
バラクーダ
「来い!【水螺喰蛇】!!」
山道のずっと上のほうで、ごろごろと岩のぶつかり合う音がした。
先ほど巴津火が呼んだ雨は、この場所ではなくもっと山の上のほうで激しく降らせたのだ。
一時的な豪雨ではあるが、その水は、小川を作るには十分だろう。
水が山道を流れ下る間に土に吸われない様、ここまでの道の土もいくらか湿らせてある。
しかし、巴津火が呼んだ水がここへ届くまでには、もう少しだけかかりそうだ。
「三凰!少しでも良い、まだ飛べるかっ?」
呼んだ水をどう使うかは稀璃華の出方次第であるが、水がここまで届く前に
まず三凰には上空か樹上にでも退避してもらわねばならない。
痛む右手を庇い、背後に稀璃華の気配を感じつつも、膝をついた巴津火は三凰へ声を張り上げた。
344
:
稀璃華
:2011/09/06(火) 20:33:16 ID:HbHPxpxY
本スレ526-343
「(宝玉院三凰、実力は見させて貰った。巴津火との連携ではあるが・・・そこそこだ。)」
両手を前に出して、厚い石の壁を作り出す。
それは、自分の前側と、三凰の回りを全て囲むように作られる。
「石搭獄壁(コルサ・ヴェローチェ)」
もしも三凰が巴津火の問い掛けに答えられぬ場合、その壁に包まれることとなる。
「・・・巴津火。負けたくないなら、本気で三凰を救ってみろ。」
345
:
宝玉院 三凰
:2011/09/06(火) 20:55:25 ID:SmXQZqJk
>>343
,
>>344
「少しくらいはな!」
恐らくは飛べる。そう思い、再び蝙蝠の姿になる。
「くっ…」
そして、飛び上がろうとするが、やはり辛そうで、地を離れる前に三凰の姿は石の壁に隠されてしまう。
「ここまで…か…」
346
:
巴津火
:2011/09/06(火) 21:10:55 ID:1gBuqmPQ
>>344-345
「ボクに命令、するなっ!変態っ!」
巴津火は噛み付くように稀璃華に怒鳴る。
山道の上のほうから、濁流が下ってきたのはその直ぐ後。
「三凰、そのままそこに居ろ!」
木や石を巻き込んだ泥色の流端は巴津火の命に従って一度止まり、
続々と流れ込んでくる水を蓄えて大きく膨らんだ鎌首を高く持ち上げた。
幸い、周囲に石の壁があるお蔭で三凰には流れの影響は無くて済む。
「【水螺喰蛇】!あいつを連れて行け!」
命じられた濁流が大きく口を開けて狙ったのは石塔ではなく、稀璃華本人。
本性が石であれば流れに巻き込まれても溺れる事は無いだろうが、
押し流されてだいぶ道の下のほうまで転がることはありえる。
濁流に命じた巴津火は、直ぐに石塔をよじ登り始めた。
しかし、利き手が使えないので少々苦労している。
347
:
稀璃華
:2011/09/06(火) 21:17:51 ID:HbHPxpxY
>>345-346
「変態じゃないっ!それに巴津火、それ援護じゃなry」ザバババ
言葉を言い残し、流されていく変態。
これは多分、三凰の勝ちだと思う。
そして、流されたまま稀璃華は思うのだった。
「・・・あの二人め、もっとイチャイチャしてやるんだからっ!」
時期に石搭と、壁は崩れるはずだ。
348
:
宝玉院 三凰
:2011/09/06(火) 21:24:49 ID:SmXQZqJk
>>346
,
>>347
「この石の壁があって助かったな。」
いつの間にか、人の姿になり、石の壁の上に座っている三凰。疲れた様子で濁流が流れる下を見て呟く。
どうやら、ここまで飛ぶことは出来たようだ。
「いい様だな。」
流されていく稀璃華を見つつ、笑みを浮かべる。
349
:
巴津火
:2011/09/06(火) 21:37:54 ID:1gBuqmPQ
>>347
>>348
「なんだ、ここまで飛べたじゃないか」
苦労して石壁の上までよじ登ってきた巴津火。
三凰が上れないようなら、蛇の尻尾を垂らして巻き上げるつもりだったのだ。
壁の上辺に肘をかけて三凰を見上げるが、やはり表情には疲労が伺える。
「うおわっ!?」
がらがらと、いきなり石壁が壊れ始めたのだ。
崩れて落ちる石の欠片に巻き込まれないように、慌てて飛び降りた巴津火は
その足首まですぽりと、泥流の置き土産の柔らかな泥に埋まる。
「なあ三凰、山を降りる他の道を知ってたら教えてくれないか?
この道下って帰って、あいつにまた出くわすのは嫌だし」
泥から足を抜きながら巴津火は尋ねた。
そうでなくとも、この泥道を歩いて帰るのは嫌なのだ。
350
:
稀璃華
:2011/09/06(火) 21:44:22 ID:HbHPxpxY
>>348-349
「ふぅ、遊んだとこで、仕事しなきゃな。
でもその前に着替えか。」
泥を払いながら、山を後にする。
稀璃華は、今回余計なことをしたせいで、一人孤立する可能性が生まれたようだ。
本人は気づかないのだが。
//この辺で終わりますかね?絡み乙&どうもありがとうございました。
351
:
宝玉院 三凰
:2011/09/06(火) 21:59:31 ID:SmXQZqJk
>>349
,
>>350
「ぐあ…」
石の壁が崩れたことにより、三凰は落下し頭から泥に突っ込む。
「ぶはっ…
他の道か…それなら、宝玉院家の屋敷のすぐ裏にあるぞ。場所は…まぁ、すぐにわかるだろう。」
頭を泥から抜き、立ち上がる。全身泥だらけだ。
「それより、貴様等のせいで泥だらけだ。早くシャワーを浴びたい。」
そう言うと、巴津火についてこいと手招きし、屋敷に向かい早足で歩き出した。
屋敷の近くまで来たら、その道を教えるだろう。
/自分もこの辺で。絡みお疲れ様です&ありがとうございました。
352
:
巴津火
:2011/09/06(火) 22:07:29 ID:1gBuqmPQ
>>350-351
「おい!……おい、大丈夫か?」
まさか三凰が頭から泥に突っ込むとは思わなかった。
おもわず駆け寄ろうとして、泥に足を取られて泥に手を突く。
途端に激痛が走った。
「いってぇっ!」
今更ながら利き手を見ると、腫れ上がっているのが良く判る。
「ちくしょー、あいつめ…」
そして泥だらけの三凰の言い草にも、当然ながらカチンと来た。
三凰の後をついて泥の中を歩いてゆきながら、しっかり言い返す。
「ボクのせい?お前があっさりやられるからじゃないか!
ああしなかったらお前だって、今頃は体中撫でくり回されてんだ」
今日は二人は難を逃れたが、逃れた分稀璃華のボディタッチへの執念は募るのだろう。
次に稀璃華に出会ったとき、今日以上に苦労するであろうことをまだ巴津火達は知らない。
//お二人とも絡みどうもでしたー。
353
:
田中 夜
:2011/09/18(日) 23:57:51 ID:c1.PBF/s
とある商店街にある喫茶店《ノワール》
今日は休業の看板を入口に置く女性が一人。
長い黒髪に、細い目に眼鏡をかけたおしとやかそうな女性――田中夜は楽しそうにしていた。
「澪〜♪お待たせしました〜♪」
そう言いながら外で待ってたであろう人物に話し掛ける。
コレから澪の紹介をかねて、近くに来ている父方の祖父母の出迎えをしようと言い出したのだ。
田中父『澪くん。夜が迷子にならないようちゃんと見といてね』
隣の田中家から
黒髪で、スーツ姿の優しそうな糸目の男性がニコニコと微笑みながら二人を見送っている。
「も〜〜。お父さん!私は子供じゃないですよ〜!」ムーッ
頬を膨らませながら、夜は父に怒っていた。
354
:
澪
:2011/09/19(月) 00:04:07 ID:???
>>353
「あっ、夜っ♪」
腕時計を見ながらいつ夜が来るのか、楽しみに待っていた。
そしてその時が来た。
正直、夜パパのパパさん、ママさんに会うのは緊張してる。
それでも夜がいるからか、いつものマイペースさを保っている。
「パパさん、頑張って見せます!ね、夜?」
父と娘を微笑ましく眺めていた。
355
:
田中家
:2011/09/19(月) 00:17:00 ID:UobcSz/.
>>354
田中父「ははは。いやー、若いね。けど澪君は僕より年上だから若いって言葉は違うかな?
そろそろ、行った方がいいんじゃないかな?父や母の事だからこういう都会(?)にはなかなか来ないから問題起こすかもしれないしね」
田中父は自分の腕時計を見ながら微笑み二人に言う。
夜「はい♪澪〜
じゃあ、お父さ〜ん♪行ってきます〜♪」
そう言いながら、澪の手と恋人繋ぎをしようと手を延ばし、澪がそれに応じたら駅まで歩いていくだろう。
356
:
澪
:2011/09/19(月) 00:25:44 ID:BQ990e1A
>>355
「いえいえ、パパさんはパパさんですよ……ん?
も、問題…?(何それ…)」
ちょっぴり怖くなった。
でもあのにこやかなパパさんのパパママなら大丈夫だと、自分にいい聞かせた。
「パパさん、行ってきます。いこっか、夜!」
ぎゅっと手を繋ぎ、歩き始める。
街中の人が見れば嫉妬とかするくらいイチャイチャである。
「(街中の人が夜の可愛さに魅かれちゃったりしないかなぁ)」そわそわ
それだけ夜は可愛いのである(澪視点)
357
:
田中家
:2011/09/19(月) 00:48:45 ID:c1.PBF/s
>>356
夜「はい♪///」
顔を真っ赤にさせながらイチャラブして、駅に向かい歩いていく。
夜「(澪の手ってなんか握って暖か〜い♪澪が一緒にいると落ち着くな〜)」♪♪
そんな夜が有頂天になってると、前方が騒がしい。
???「…………………」
???『相変わらず、人が多いですねぇ。孫娘の匂いがするけどねぇ。
人も五月蝿いですしぃ』
駅の前の時計の上に
下駄をはき、右手に縦に長い何かが包まれたモノを持ち、白いい袴に、長い白髪で白目のおじいさんと
小柄で、花柄の着物を着て、椿の簪をオカッパの白い髪につけ、狐の御面をかぶった女性が
立っていた。
二人が昇った時計の上には沢山の人だかりが……
妖気は感じない……まさかなと思い、澪が夜の方をむいたら
空いてる手で顔を抑えてる夜の姿が!!!
358
:
名無しさん
:2011/09/19(月) 00:50:15 ID:c1.PBF/s
>>357
訂正
時計の上×→時計の下
359
:
澪
:2011/09/19(月) 00:54:54 ID:BQ990e1A
>>357
「ん?なんか騒がしいねー。行ってみよっか…ってどうしたの?
頭痛いの?だだだ大丈夫!?しかも何あれ時計の上の……あ、そうか。」
今日の澪の感は鋭かった。
あの時計の上の老人たち、普通ではない。
それにこの夜である。
「あれ、夜の…おじい様とおばあ様……だよね?」
声が震えてるーっ!
なんかこの異様な雰囲気からして絶対そうだ!!
もう後戻りは出来ない!…澪、どうする?
360
:
田中家
:2011/09/19(月) 10:15:55 ID:c1.PBF/s
>>359
澪の言葉に恥ずかしそうにコクリと頷く。
流石にこんな人通りが多い時間帯で、自分の祖父母が時計の上に乗って、待ってるなんて彼女も思いもしなかった……もとい澪と一緒にいて嬉しくその考えを忘れていたのである。
夜「どうしよう……澪。今行ったら絶対目立つよね?」
いつもののんびりした口調じゃなく、なんか本当にどうしようって感じで涙目で澪を見つめる。
そんな時!!
田中祖父「………………」ギロッ
田中祖母「見つけたねぇ
おーい!!夜ちゃぁぁぁあん!!おばあちゃん達遊びに来たよぉ!!」
突然、時計から跳び降りると、下にいた野次馬達は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
田中祖母はまるで鞠のように跳ねながら
田中祖父は着地すると、静かに近付いてくる。
忘れそうだが、夜の父の家系は忍――普通なはずはなかった。
361
:
澪
:2011/09/19(月) 11:04:26 ID:HbHPxpxY
>>360
「・・・あはは・・・。ど、どうする?」
とにかく、反応に困ってしまうのだ。
この状況をどう受け止めるのか、それを考えるべく、フタリが気づかないことを願・・・・・・
「(きたー!夜御祖母様きたー!)」
街中の注目の的であった。つかマジで澪大丈夫なのか?
「あ・・・えと・・・夜の婚約者の澪です、初めまして。」
とりあえず自己紹介!
362
:
田中家
:2011/09/19(月) 12:17:24 ID:c1.PBF/s
>>361
夜「諦めましょう……」
こちらに気付きむかってくる二人に気付き、もう周りの視線が一気にこっちに向いたのを感じる。
田中祖母「これはこれはご丁寧にねぇ。夜ちゃんの祖母の田中蘭菊と言いますぅ
いやぁ、まさか夜ちゃんに妖怪の婿さんができるなんてねぇ」
跳び跳ねながら、近づいてきて、ちょうど二人の前に着地すると深々とお辞儀する。
声は年寄りは思えないほどに若い……御面の下が気になるし、なんか人間とは疑いたくなるような…おばあちゃんである。
田中祖父「……………………………………」ズンッ!!!!
そして、澪の前にやってきて、白目で彼を見つめる田中祖父。
なんか怖い!威圧感もあるし、無言もかなり怖い!!
蘭菊「この人は田中虎十郎ねぇ。私の旦那ねぇ」
夜「澪。おじいちゃんはあんまり喋らない人なの〜」ボソッ
夜は澪の耳元でそう呟いた。
363
:
澪
:2011/09/19(月) 12:54:28 ID:HbHPxpxY
>>362
「・・・・・・(田中家ェ・・・)」
ペコペコとお辞儀をしながら、おばあちゃんを見つめる。
何故こんな元気で、こんな声で、そして御面、返す言葉が見つからなかった。
「こっちは夜の御祖父様だね?初めまして、澪です。(えっ?えっ?僕悪い事した?)」
回りの人が見ている事など考える隙もなかった。
黙って睨まれているが、ここで引く訳にも行かない。夜の婿に相応しい男になるんだっ!
「・・・・・・(蛇睨み)」
364
:
田中家
:2011/09/19(月) 17:08:25 ID:c1.PBF/s
>>363
田中祖父「………………………」ジーッ
明らかに生まれてくる時代が違うような彼は、無言で、澪を見続ける。
何分か睨み続けて、祖父は口を開く。
田中祖父「……………………曾孫はまだかね?」
夜「ひ…曾孫///」
田中祖母「あらぁ?おじいさん。まだ早いでしょぉ?まずは結婚式ですよぉ?」
田中祖父「…………そうか」(´・ω・`)
唐突に早く子供の顔がみたい発言を表情をかえないまま言う祖父!!
その言葉に顔を真っ赤にする夜!!
そして祖母に言われて、表情や雰囲気は変わってないのに何故か(´・ω・`)←こんな感じが伝わってくる祖父だった。
365
:
澪
:2011/09/19(月) 17:30:19 ID:HbHPxpxY
>>364
「・・・えっ!?ひ・・・ええ//////」
おじいちゃんー!!
見たい気持ちは解るけどいきなりそれはないよっ//
それになんか可愛く見えたおじいちゃんに、澪は頑張って話した。
「え、えとね、御祖父様//よ、夜の事、大好きで、凄く尊敬してるけど・・・///
ま、まだ、早いかな・・・て?でも夜がいいって言うならその・・・/////」
こんなとこで言っていいのか!?
まあ、夜が大好きなのに変わりないからいいよね、うん。
366
:
田中家
:2011/09/19(月) 18:04:35 ID:c1.PBF/s
>>365
田中祖母「あらぁ♪愛されてるねぇ。夜ちゃん」
夜「////
れ…澪が言うなら…今日でも///」
おーい!!なんか結婚式あげる前に子作りしそうな感じになっちゃってるよ!!
夜は凄い顔を赤くしながらモジモジとそう言う。
あ…なんか田中祖父が(*・ω・*)←こんな感じになってる。そんなに速く曾孫が見たいのか!!
田中祖母「コラコラ。二人とも流れに任せて子作りしようとしないのぉ。ちゃんと結婚式あげてから、仕事もあるんだから生活が安定したらにしなさいねぇ?
おじいさんも急かさないのぉ?」
……以外に常識人な田中祖母はそう三人に言う。格好や見た目とか色々普通じゃないのに…
あ……田中祖父がまた(´・ω・`)←こんな感じに…
きっと田中父と田中母の時もこんなやり取りがあったのだろう。
367
:
澪
:2011/09/19(月) 18:30:14 ID:HbHPxpxY
>>366
「夜っ・・・/////」
わぁ、なんかその気にさせちゃったよ!
それにおじいちゃんまでそんな雰囲気持たれちゃあもうね。案外シャイ?
だが、おばあちゃんの常識発言により我に帰った。
「結婚式・・・。実はまだ少し不安があるんです。
本当に妖怪の僕でいいのかなって。世間体では有り得ない事だし・・・・・・。
そのことで、夜に何かあったら僕はっ・・・!」
実を言えばまだ不安なのだ。本当に・・・いいのか。
その時、夜にとっては良いと思っても後悔だけはさせたくないのだ。
まだ間に合う・・・・・・。
「夜、もう一度聞くよ。本当にいいの?」
368
:
田中家
:2011/09/19(月) 20:00:48 ID:c1.PBF/s
>>367
夜「澪……」
澪から語れる不安と夜を心配する気持ち。
それを聞き、彼女は静かに澪を抱きしめようとする。
夜「貴方が私の事を心配してくれる気持ち……よくわかるよ
妖怪と人間の恋は悲劇が多いし、種族の違う恋に快く思わないのもいる
私も澪に何かあったらと思うと………
けどね、澪。コレは私のワガママかもしれない。私は何があっても、貴方と一緒にいたい。貴方の事を知りたい。貴方の支えになりたい」
澪の目を見つめ、彼女は真剣な表情で言う。
夜「だから…二人で困難を乗り越えていきましょ?
私と………結婚してください」
369
:
名無しさん
:2011/09/19(月) 20:24:07 ID:HbHPxpxY
>>368
「・・・・・・・・・。」
ただ無言だった。夜の気持ちが率直に伝わり、涙を零した。
「・・・夜・・・絶対・・・僕の元からいなくならないで・・・。」
夜を強く引き寄せ、しばらくその時間の暖かみに浸っていた。
・・・と、軽くシリアスしてそうなので澪は慌てて場を壊そうとした。
「んぁ、そうだ!僕さ、ちょっぴり目が利かないんだよね。夜の眼鏡をこうすれば・・・ホラ!今までよりも夜が良く見える!
・・・眼鏡外した時の夜・・・・・・可愛い。」
眼鏡澪、お決まりのパターン発言。
本来ならばホスト様などのイケメンが言う台詞だが・・・澪はイケメンなのか?
370
:
田中家
:2011/09/19(月) 20:53:32 ID:c1.PBF/s
>>369
夜「はい!!!」
両目から雫を零し、彼女は微笑み答えた。
夜「澪…////」
眼鏡を外され、ぼんやりとした眼鏡澪が見えないのが残念だが、澪の言葉で顔が湯でタコのように真っ赤にする。
そしてこのままキスしそうな流れになる
田中祖父「………………」(・ω・)ジーッ
田中祖母「コラコラ。おじいさん。若いお二人さんの邪魔しちゃいかんねぇ」
空気になっていた田中祖父が二人に視線を送り、田中祖母がそれを静止しようとしてる。
更に言うと周りからの野次馬の視線が……
371
:
澪
:2011/09/19(月) 21:40:38 ID:HbHPxpxY
>>370
「夜・・・はっ!」
なんか回りの視線を感じる。よく見ればおじいちゃん!+αがっ!!
・・・どうするべきか。
「(回りの視線が怖いけど・・・)」チュッ
そっと夜の耳元で囁き、澪からキスした。
不安も無くなり、気分も良い。
372
:
田中家
:2011/09/19(月) 22:11:00 ID:c1.PBF/s
>>371
夜「///」
澪とキスをし、顔を更に赤くしながらそのまま抱きしめる力も少し強くした。
田中祖母「あらあら。コレは曾孫はすぐかもしれないねぇ」
田中祖父「…………………」コクコク
田中祖母「さてぇ、二人共自分達の世界に入るのもいいけどねぇ
そろそろ行きましょうかねぇ?みんな見てて目立っちゃってるからねぇ」
………あれ?普通の事言ってるのに、なんかお前が言うなと言いたいような……
373
:
澪
:2011/09/19(月) 22:20:11 ID:HbHPxpxY
>>372
「ですね・・・////でも、どこに行きます?」
おばあちゃんのことより、視線の方が気になっている。もしこれを三凰に見られたら・・・・・・
まあ、夜がゲット出来て独占できるので澪にとっては大満足である。
「御祖父様も、行きましょうか。」
374
:
田中家
:2011/09/19(月) 22:33:26 ID:c1.PBF/s
>>373
夜「じ…じゃあ、家にいきましょ〜。おじいちゃん達と澪の親睦会もかねて〜」///
まだちょっと顔を赤くしながらそう言うと、澪の手と再び恋人繋ぎしようと手をのばす。
田中祖母「そうするかねぇ。夕にも早くいい人が見つかるといいけどねぇ」
田中祖父「…………」コクッ何事もなければそのまま四人は田中家にいくだろう。
恐らく喫茶店《ノワール》にいる妖怪達も呼び、田中家で軽く宴会がおこるだろう。
それでも夜は澪にベッタリとくっつきながらこの幸福にひたるだろう。
/この辺りですかね?
/二日間絡みありがとうございます
/お疲れ様でしたー
375
:
澪
:2011/09/19(月) 22:39:46 ID:HbHPxpxY
>>374
「そうだね、じゃあ着いたら御祖父様と御祖母様に何か御馳走してあげなきゃ!」
ギュッと手を握ると、嬉しさと言う感情に浸りながら帰っていく。
ベタベタされると、余計にこっちもベタベタするだろう。それがこのカップルなのだ。
//ですね、二日間お疲れ様です、ありがとうございました!
376
:
瞳
:2011/09/21(水) 22:36:03 ID:SmXQZqJk
とある神社で祈っている黒い着物の少女。彼女は、百度参りとしてこの神社に来ていた。
(どうか夷磨璃を…そして…)
一生懸命真面目な表情で祈り続けた。
377
:
足珠
:2011/09/21(水) 22:44:59 ID:tElbSrz.
>>376
「ヒャーーーハハハハハハハ! じょー↑ちゃん→よぉ↑ー!!
すぐ手元に俺という神が居るのに何をまた祈ってんだぁーーー!?」
突然響くでかい声。
日の傾いた神社のノスタルジーをぶち壊す十種神宝・足珠。
青と緑の重ね衣の青年が実体化する。
「毎日毎日、随分熱心だなぁ! その身を焦がすほどに何を願う!?
聞いてやるぜ! て↓いぅー→かー↑聞かせやがれぃ!!」
どうやら瞳の心の内に興味が沸いているらしい。
378
:
瞳
:2011/09/21(水) 23:06:09 ID:SmXQZqJk
>>377
「うおぅっ!?なんだあなたか…驚かせないでくれよ…」
前回と同じように驚く瞳。さすがにまた転んだりはしなかったが
「そうだな…あなたになら、話してもいいかな…
あのな、私には弟子がいるんだ…」
一息おいた後、話し始める。その表情は、悲しげなものだった。
「その弟子が、ある時妖怪にさらわれてな…もちろん助けに行ったんだが、弟子を人質にされた私は、何もできなかったんだ…
協力してくれた人のおかげで、弟子を助ける事はできたんだが…どうやら弟子は、薬物を注入されてしまったようで…今も入院中だ……しかも、かなり危ない状態らしい…」
起こったことを辛そうに話していく瞳。
「彼がそんな状態になったのは、助けられなかった私の責任だ…だから、なんとしても助けたいんだ…そのために、お百度参りをしているんだ…」
379
:
足珠
:2011/09/21(水) 23:15:49 ID:tElbSrz.
>>378
「なるほどなぁ、それでお百度参りか」
珍しく静かな声になる足珠。
しかしなにか思うところもあるようで、
眼を閉じ、思考を巡らせながら。足を組んだままふよふよと浮いている。
「だが、妙だぜ瞳ぃ。テメーの力は神格持ちのソレと近しい。
だのにその妖怪を探すのでなく、また薬物について探るでもない。
やってることが迷信染みている割には、随分と責任と焦りを感じているなぁ」
しばらく瞑っていた眼を見開く。
その深緑の両碧には魂が見透かされるようだった。
「瞳は、自分に自信がねぇ。
いや自信どころか自分の生まれ自体を呪っているようだ」
このヒャッハーも神宝の一、魂の誤魔化しは利かなかった。
380
:
瞳
:2011/09/21(水) 23:31:25 ID:SmXQZqJk
>>379
「仮に奴を見つけても、私一人では適う相手ではないと思う…薬物については、病院の専門家が調べた方がいいだろうな…私には、そういった知識はないからな…
つまり、本当に私自身にできる事は少ないんだ……」
己の未熟さを嘆くようにそう言った。
「確かに私には自信というものが足りないんだろうな…だけど、己の生を呪ってなんかいないよ…」
過去、初めの持ち主を殺した時、その時は生まれた事を呪っていた。しかし、それは過去の事だ。
381
:
足珠
:2011/09/21(水) 23:51:41 ID:tElbSrz.
>>380
「強がるなよ、『あの人に誓った』とテメーはあの時言ったが。
その実、心の内面が晴れたことなんて一度も無かったじゃねぇか」
そう、所詮は過去の事。
しかしそんな過去の事に、人も妖も心を囚われ。
やがて今の選択の幅を狭め、未来を勝手に決定付けていく。
「それだけの力を持ちながら己を未熟だと言い、
それだけの力を持ちながら敵う訳は無いと挑む前に諦める。」
しばしの沈黙の後、足珠は口を大きく開く。
「ヒャハハハハハハハッ! まぁー↑いーじゃねぇかぁ!」
急に大声を出して笑い出す足珠。
ビシリ、と俯く瞳に指を突きつけた。
「俺だってただ拾われたわけじゃねぇんだぜぇ!
俺がテメーを選んだのは、瞳ぃ! テメーがあの中で一番不満足だったからだ!」
手を広げて語りだす足珠。
その特性は全ての存在を満たすこと、足りないものを補うこと。
「まぁ俺だって十種神宝の中でも出来の良い方じゃねぇしよ!」
382
:
瞳
:2011/09/22(木) 00:03:33 ID:SmXQZqJk
>>381
「だって!現に私には…私には何もできなかったんだ!」
一つの失敗が瞳の自信を消してしまっている。
「私が不満足…?
…なあ、私に一番足りないものってなんだ?」
383
:
足珠
:2011/09/22(木) 00:31:14 ID:tElbSrz.
>>382
「ねぇよ、瞳に足りないものなんて。
強いて言うなら自信ぐらいなモンさ、だからこそ悩んでるんだろうぜ」
足珠は真っ直ぐに見据えて語りかけた。
「満足も不満足も、全ては心1つなのに。
テメーは勝っても負けても心が晴れない。
それは神格化した理想を求め、依るべき“自分”が常に揺れているから」
遠くを見るような眼になって、どこか一人ごちるような口調になる。
「俺だって何も出来なかったさ。
七罪者の中で一番不満足な奴に就いたはいいが、結局あいつが満足したのは死んだ後だった」
「だがお前の弟子はまだ生きている、祈ってる場合じゃねぇぜ。
神頼みって言うのは揺れやすい自分の心に釘を刺すのが一番の目的さ。
もう一回そいつに挑んで、勝てないのならそれでもいい。その時は一緒に逃げようぜ。
その弟子の呪いを解く方法を探して、見当もつかないならそれでもいい。他の十種神宝の力でも何でも借りてやる」
しばし、考え込んだ後。
提案するように呟いた。
「お前がそんなに自分を信じられないのなら、代わりに俺が信じてやる。
だから今度は一緒に戦わせてくれ」
384
:
瞳
:2011/09/22(木) 00:46:34 ID:SmXQZqJk
>>383
「そうか……そうだったんだな…」
確かにそうだった。瞳の脆さはそこにあった。瞳の抱えていた弱さはそこにあった。そのせいで後悔してばかりだった。
「わかったよ。一緒に行こう、足珠。一緒に夷磨璃を助けよう!」
385
:
足珠
:2011/09/22(木) 00:56:55 ID:tElbSrz.
>>384
(なんかあっさり過ぎてまた勘違いしてそうだなー)
「ヒャハハハハハッ! そうか、それでいい↑ぜぇ→!!」
若干の不安も在るが、まぁそれは追々解決していけばいい。
とりあえず今は 満 ・ 足 DA ☆
体の具現化に少し綻びができ始める。
「おっと、“具足”の力もそろそろ限界だなぁ!
その弟子とやらは薬でやられたらしいじゃねぇか!
じゃあ十種神宝の生珠ならどうにかなるかも知れねぇ↑!!」
そう語りかけ、いつもの緑の円柱に蒼い玉がはめ込まれているものに変化した。
陽はすでに沈み、夜が近づいてくる。
386
:
瞳
:2011/09/22(木) 01:13:25 ID:SmXQZqJk
>>385
「なるほど…生珠か…ありがとう、まずはそれを探してみるよ。」
そして、いつもの玉を手に取り、もう一度呟いた。
「本当に、ありがとう。」
387
:
白龍
:2011/09/26(月) 23:13:03 ID:BQ990e1A
深夜、どこかの森でとある人物を探す一匹の龍。
体から発せられる妖気は、神々しく、そして悪に染まっていた。
「………………どこにいる。」
ぽつり、そう呟き、再び散策し始める。
青行燈のことはそれほど良いとは思わない為、気が進まない。
しかし、黒龍のこともあるのだ。
敵対する必要もない今、彼女は彼に手を貸すはず。
388
:
妖魔
:2011/09/26(月) 23:24:07 ID:c1.PBF/s
>>387
「きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」
突然、響き渡る嫌悪感をいだくような不気味な嗤い声。
「誰を探してるんだぁっ?きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!!!!
テメーから良い《負の感情》がするなぁっ!!!きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ」
白龍の目の前に、青紫の炎が燈される。
そこから背筋が凍るような邪悪な妖気と狂気がはっせられる。
それは人型となり邪悪な笑顔を浮かべながら白龍の顔に接近する。
「きっひゃっ!今どんな気分だぁっ?」ニタァー
389
:
白龍
:2011/09/26(月) 23:34:22 ID:BQ990e1A
>>388
あ、きちゃったよ、的な表情をする白龍。残念そうな顔だ。
「…我は白龍だ。突然だが貴様に用がある。
話はあそこの家で話す、ついて来い。
……それと、その下品な笑い方は止めてくれないか。
我の気が持たない。」
白龍の目の先にあるのは、木でできた家だった。
この辺りは人や妖怪がほとんど出入りしないので
話の内容は漏れないだろう。
390
:
妖魔
:2011/09/26(月) 23:43:41 ID:c1.PBF/s
>>389
「きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!んなぁっ事は知ってるぜぇっ!!!なんならぁっ!!テメーがまだ天使といた頃あったしよぉっ!!!きっひゃひゃひゃひゃっ!!!」
う…ウザイ……ウザイ程笑ってやがる。白龍の機嫌もさらに悪くしそうだ……
「なんだぁっ?言っとくけどよぉっ!!俺は同性には興味ないぜぇっ!!きっひゃひゃひゃひゃっ!!」
…………なんか言ってるが気にしたら負けだ…
そして白龍についていくだろう。
あと笑い声に関してはスルーしやがった……やめる気ないようだ…
391
:
白龍
:2011/09/26(月) 23:56:21 ID:BQ990e1A
>>390
「天使…?(アイツ…一体何してたんだ。)
とりあえず入れ。」
一応、こちらからの頼みなので嫌な奴でもきちんとお持て成しをするようです。
……例え笑い方が酷くて下品扱いされてる方にも。
中には小さな暖炉と、木のテーブルと木の椅子、それから小さなガスコンロなど。
秘密基地以上、民家以下、と言ったところか(意味不)
「……とりあえず飲み物と食事くらいは準備できるが、どうする。
それと…我は男だ。」
表情や口調では平然としている…が。
内心、かなりショックとか受けてるぞ!!
もっとやれww
392
:
妖魔
:2011/09/27(火) 00:04:52 ID:c1.PBF/s
>>391
「きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!!邪魔するぜぇっ!!!
きっひゃひゃひゃっ!!!別に食事にきたわけじゃねぇっからぁっ!!別にいいぜぇっ!!!」
そう言いながら、木の椅子に勝手に座る。しかもごく当たり前のように
「…………………………………はぁぁぁぁぁぁぁあぁっ!?テメェッ!!男だったのかぁっ!?」
白龍が男だったことに初めて表情が驚きに変わる青行燈!!
むしろ向こうもお前が男の姿なのに女だってのが驚きだと思うが………
393
:
白龍
:2011/09/27(火) 00:16:03 ID:BQ990e1A
>>392
「……冗談だ。貴様の反応が見たかっただけだ。
それで本題に入る。
……もしも。我が貴様の事を手助けすると言ったら。」
自分の紅茶と、一応青行燈のも入れておく。
それをテーブルに置くと、真剣に青行燈を見つめた。
…ってええ!!女性だったんですか!中の人びっくり。
394
:
セツコ中
:2011/09/27(火) 00:26:42 ID:c1.PBF/s
>>393
「きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!!騙されたじゃねぇかぁっ!!!でもよく俺が女ってわかったなぁっ!!姿を男にしてるのによぉっ!!!」
再び不気味な笑顔に戻り、ニタニタと相手を見つめる。
「きっひゃひゃひゃひゃひゃっ!!ならぁっ!手伝ってもらうぜぇっ!!
そのかわりテメーの手伝いを俺がしろぉっ!!だろぉっ!?」ニタニタ
速!!即答で答えやがった。
そして相手がただでは手伝わないだろうと思い、そう聞き返す。
395
:
白龍
:2011/09/27(火) 00:36:39 ID:BQ990e1A
>>394
「…いや、何も手伝わなくていい。
こちら側としては、この件を手伝えば自然と…いやなんでもない。
強いて言うなら、貴様。もう少し品格を大事にして欲しい。
それも女性なのならばな。力は十分にあるのにこんなようじゃ…」
紅茶を啜りながら静かに見つめる。
なぜ男の恰好をするのか、それが少し気になっているのだが。
「青行燈、やるからには徹底してやれ」
396
:
妖魔
:2011/09/27(火) 01:00:13 ID:c1.PBF/s
>>395
「きっひゃひゃひゃひゃっ!!!………《大禍津日神》は今寝てるなぁっ…」
そう言いながら頭をトントンと叩き
「きっひゃひゃひゃひゃひゃっ!!いいぜぇっ!!ならぁっ!!蜂比礼を持ってる奴の邪魔してくれぇっねぇかぁっ!?
裏切る前提の仲間だがよぉっ!!アイツはちょぉっーとぉっ!!邪魔なんだぁっ!!
しかもソイツはハッピーエンドが御求めだぁっ!!!俺が指図したとばれずにぃっ!頼むぜぇっ!
それと十種神宝を持ってる奴を同じ場所に集めるよう仕掛けるのもぉっ!手伝ってくれねぇかぁっ?」
品格どうこうは明らかに無視しながら、一方的に言う青行燈。
(七罪者とかの説明はややこしくなるからぁっ、とりあえずはぁっ、あのガキの邪魔だなぁっ)
(あのガキが七罪者を生かす方法をするかぁっ、十種神宝の持ち逃げをするにしろぉっ対策は必要だしなぁっ!)
(黄泉比良坂の道を《大罪の杭》で造るのができないときの《転成体》の身体の確保はコイツに任せてもいいかぁっ)
397
:
白龍
:2011/09/27(火) 01:12:58 ID:BQ990e1A
>>396
「蜂比礼、か。……邪魔だけでは済まなくなっても知らんぞ。
…もしもばれたとしても……その時は消して見せる。
……物が集まり次第な。まだ見つかっていないのもあるのだろう?」
事態の収拾を的確に判断し、一方的な物でもすべて了承する。
「…また何かあったらここへ来る。貴様の無事を祈る。」
白龍はそう言うと、部屋から出て行き、何処かへと飛んで行ってしまった。
398
:
妖魔
:2011/09/27(火) 01:19:30 ID:c1.PBF/s
>>397
「きっひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!それでも構わないぜぇっ!!」
そう不気味に笑いながら、白龍を見送る。
「………さぁてぇっ、利用されて利用してもらうぜぇっ。きっひゃひゃひゃひゃひゃっ」
そう言いながら青行燈は青紫色の炎となり、消えていった。
/この辺りですかね?
/お疲れ様でしたー
/絡みありがとうございます
399
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/27(火) 23:15:45 ID:tElbSrz.
『まずいよ、まずいよぉ〜!!』
「わかってますよ、黙っててください!」
夕暮れに赤く染まった森の中を、段平を抱えて疾走する宛誄。
その隣にはあたふたしながら併走する半透明のふわふわ少女・蜂比礼。
蜂比礼を認めた途端に、突如として宛誄に襲い掛かった白龍・バラウール。
不意に虫を使ってその場から逃れたがすぐに追いつかれるだろう。
開けた場所に出ると宛誄は急に走りを切り返す。
『ちょ・・・何するのさ!』
「STOP! ちょっと、待ってください!!」
宛誄は段平を地面に突き刺す。
交渉戦に持ち込む気らしい。
「僕は宛誄! 白き竜よ、どうして僕を狙うのです!!」
400
:
白龍
:2011/09/27(火) 23:24:25 ID:HbHPxpxY
>>399
「・・・理由は簡単だ。貴様は十種神宝の蜂比礼を持っているからだ。」
睨みつける先には蜂比礼が。先程、虫を使われたが傷一つ負っていない。
「それを大人しく渡すか、それとも逃げるか、貴様の勝手だ。」
401
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/27(火) 23:42:59 ID:tElbSrz.
>>400
「なぜこれを狙うのですか、虫を操る程度の力ですよ」
『そーだそ−だぁ! ノーマットの代わりぐらいにしかならないぞー! ・・・っておい!!』
相手が思わず話し合いに乗ってきたことに、ひとまず安心しながら。
宛誄は必死で頭を回転させる。
「・・・貴方は見た所、七罪者でも無いご様子。
七罪者以外の十種神宝の1つとして集めるには、時期が重なりすぎている。
この数十年、数百年の内にいくらでも狙える機会はあったはずだ」
全てがそうとは言えないが、少なくとも蜂比礼の警護は甘かった。
必死で探そうとすれば簡単に手に入れることができたはず。
だとすると残った可能性は・・・。
「貴方は誰かの使いですね、おそらく七罪者の“罪”をバックアップする存在の」
白龍のプライドに障る事も知らず、宛誄は自分の見解を述べる。
おそらくは七罪者の内の誰かか大禍津日神、もしくは自分以外の【あの妖怪】を狙う存在か。
402
:
名無しさん
:2011/09/27(火) 23:53:23 ID:HbHPxpxY
>>401
「虫を操る程度なら譲ってもよいだろう?
くすっ、貴様、面白いな。その発想は。
我も出来るならばそうしてた。だがな・・・」
白龍の爪の先に、小さな水の固体ができたかと思うと、それはレーザーの用にさて放たれた。
「くすっ、我が我で無かったからな、それが不可能だったのだ!!」
403
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/28(水) 00:17:59 ID:tElbSrz.
>>402
「!!」
『うわわっ!』
突如として放たれたレーザーを飛び退いて回避する。
しかして宛誄の表情に焦りはなかった。
「なるほど、最近目覚めた・・・ということですね」
(なんだろう、コイツ・・・。僕よりずっと強いはずなのに)
オロオロと宛誄と白竜を交互にみる蜂比礼。
「そうですか、しかし蜂比礼は僕の延命器具。
渡したら僕は死んでしまいますから、渡すわけには行きませんね」
しかしあくまで話す事はやめようとはしなかった。
ここで戦闘へと持ち込んでも勝てる保証はない・・・というか多分勝てない。
じゃあ口先でどうにかするだけだ。
「つまり貴女は青行燈か大禍津日神か、それか七罪者のパシリになる為に復活させられたと」
404
:
名無しさん
:2011/09/28(水) 00:25:48 ID:HbHPxpxY
>>403
「くすっ、我の復活と十種神宝は関係ない。
あくまで、我の計画に必要なだけだ。」
水で作った筈のレーザーは、木を貫通し、大岩を破壊した。
一方、白龍は冷静・・・でもないが、微笑しながらこの場を楽しんでいる。
405
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/28(水) 00:38:22 ID:tElbSrz.
>>404
「・・・」イラッ
微笑する白竜とは裏腹に、だんだん腹が立ってきた宛誄。
なんなんだこの大物気取りの勘違い蛇は。
そのうち『面白くなりそうだから今回は見逃してあげるよ』とか言い出しそうだ。
宛誄は思い返す。
どうやら自分はあの最低の女とはどうしても切っても切れぬ縁にあるらしい。
白竜の存在は、力が在るだけで想いが全く感じられない。
なにもかもカラッポなのだ。
あの最低の女が嫌った存在・・・、そして自分も非常にコレは腹が立つ。
「しかし相変わらずその十種神宝を狙っている七罪者にはダンマリですね。
アナタの計画とやらはおそらく・・・ていうーか」
「アナタ実は何も知らないんじゃないですか?」
406
:
名無しさん
:2011/09/28(水) 00:49:58 ID:HbHPxpxY
>>405
「・・・・・・ふふっ、否定も肯定もしない。
本当に、貴様は面白い者だな。」
もうここまで調子乗ったら、神様テンションは止められない。
挑発しようが何しようが問題ないのだ。
・・・し過ぎるといつキレるか解らないが。
「ふふふっ、子供、早く渡せ。」
407
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/28(水) 00:53:43 ID:tElbSrz.
>>406
「死ぬから嫌だっつってんだろ聞いてたのかダラズ」
本格的に心の声が漏れ出す宛誄。
その命の危機だぞオイ、生きるために何でもやるお前はどこに行った。
「・・・」
カチカチと今度は携帯を取り出して弄り始めた。
408
:
名無しさん
:2011/09/28(水) 01:01:36 ID:HbHPxpxY
>>407
ぶっつん。
紐の様な縄の様な、そんなのがいい音立ててキレました!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴様。」
神様テンション、たった一発でやられてしまいました。
先程のレーザーの元である固体が周囲に散らばる。
下を俯くと、その固体から無数のレーザーが放たれるだろう。
まさしく、それはニュータイプしか扱えないアレ。
サイコミュ搭載したかの様な白龍だった。
409
:
宛誄&出口町
:2011/09/28(水) 01:16:45 ID:tElbSrz.
>>408
「針山八合目――」
【針葉樹林の剣ヶ峰】ッ!!!
突如として数多の白い槍が地面から無数に現れ!
辺りを“串刺す白い森”へと変えてしまう!!
その威力は放たれたレーザーもろとも個体を飲み込み!
それよりも遥かに広い範囲で地面から噴き出した銛が森を創り出す!
その中から現れたのは・・・
「・・・どなたかはご存じないですけど、
“紫狂”に手を出すなんて『良い』度胸してますね」
白い塔の上に立つ、出口町入り江さん!
かなり大人びた風貌で、小脇には宛誄を抱えている。
・・・というか宛誄、ちゃっかり蜂比礼の具現を解いている。
バタバタと砂塵の風に紫の着物がはためいていた。
「まだやりますか? もれなく串刺しになりますけど」
ヤバい、入江姉さんかなり目がイってらっしゃる。
410
:
名無しさん
:2011/09/28(水) 01:30:34 ID:HbHPxpxY
>>409
入江姉さんキター!!
めっちゃ怖いオーラ放ってるよ!
「・・・串刺し?まさか・・・この我をか?」
でも白龍はなぜか話し掛けてる・・・やめろ・・・
「貴様、中々やるようだな。今の我では歩が悪い、退かせて貰う。」
よし、止めた・・・。
だが飛び立つ前に、蜂比礼を睨みつけた。
「・・・貴様。品格が足りない。腹が立つ。」
問題はそこかー!
//寝ちゃいそうなので落ちさせていただきます。
絡み乙&ありがとうございました!
411
:
宛誄&出口町
:2011/09/28(水) 01:44:31 ID:tElbSrz.
>>410
蜂比礼はもう随分前に具現化を解いているので、
白竜の最後のセリフも結局、届かず仕舞いだった。
「・・・」
去り往く白龍を睨み続ける出口町。
その姿が見えなくなった後、ため息を吐くと宛誄と共に地面に降り立った。
「ありがとうございます姉さん! 本当に死ぬかと思いました!!」
「そうですね・・・、襲われた場所がここで本当に良かった」
入江姉さんの前では猫を被る宛誄。
しかし入江の口調はあくまで暗い。
「宛誄、どうしてあなたはあの白竜に襲われたんですか?」
「いつもと同じですよ、いつもの紫狂に恨みを持つ妖怪の一人でした」
「・・・そう、ですか」
暗い表情のまま、宛誄の言葉を聞き流す。
なにか不吉な事象の渦中になっているのではないか、
そんな予感が入江からは離れなかった。
412
:
???
:2011/09/28(水) 23:08:39 ID:bJBnsqT6
空は日も落ちて、カーテンで覆ったような黒一色に包まれ、
そこに穴をあけたように星がいくつか輝いていた。
雲も少なく今日は月がよく光っているので、
粗末な布であしらわれた農民服の男の、座る頭上にも銀の光が注がれていた。
「・・・そろそろやってもいいよな?」
金髪を夜の中に少し光らせ、
誰に離すでもなく力なく発せられた言葉。
耕されてすぐの、とある神社の開けたところを目にして、
農夫は暇そうに溜息をついた。
413
:
白龍
:2011/09/28(水) 23:16:51 ID:HbHPxpxY
>>412
そんな涼しくて、美しい空を、白い体毛を持つ龍が飛んでいた。
月明かりに照らされた体毛は、いつも以上に神々しくみえる。
「くっ・・・私、どうしたら・・・・・・。」
しかし中身は、どうだろうか。
今日はなぜか、造られた白龍が表に現れていた。
414
:
???
:2011/09/28(水) 23:23:27 ID:bJBnsqT6
>>413
もはや耕地となったその箇所に、月光を遮って一つの影が現れる。
先ほどから妖気、神性を察知していたのだろう、
農夫に驚く様子はなく、どちらかというのならこっちに着やがったか、というように目を伏せた。
「今日は随分と胸糞わりぃ客なんだな。
おーいそこの龍。お前みたいなんがそんなに心乱してどうすんだ」
そこらの雑魚がいきり立つじゃねえか、
と眉間にしわを少し寄せて、空にいる白龍に声を少し大きくして話しかける。
415
:
白龍
:2011/09/28(水) 23:31:40 ID:HbHPxpxY
>>414
話し掛けられた途端、びくりと反応する。
再びこの現実世界に戻されてから今まで、こんな風にされたことが無かったからだ。
「私は・・・ただ・・・・・・」
行く宛も帰る場所も、何かすることも、何もないのだ。
本当どうしようもない。
ただゆっくりと地面に降り立ち、俯いた。
416
:
マンドラゴラ
:2011/09/28(水) 23:32:45 ID:bJBnsqT6
>>415
417
:
マンドラゴラ
:2011/09/28(水) 23:37:55 ID:bJBnsqT6
>>415
「ただ、なんだ?」
白龍が降下するのを目で追って、地に足がついた彼女を、
まるで咎人を見るかのような目つきで全身を見つめる。
「信仰をなくして場所でもなくしたか?
それかぁ他の神に縄張りとられたか?」
眉間に寄せられたしわは戻さないまま、顎を白龍のほうにしゃくりあげ鼻で笑う。
いかにも喧嘩を吹っ掛けているような風であった。
418
:
白龍
:2011/09/28(水) 23:48:24 ID:HbHPxpxY
>>417
「・・・・・・なんでも、ないです・・・。」
自分の現状など、言える筈も無く。
彼の態度にも敏感に感じ取り、気分が余計に沈む。
「貴方様は・・・何をされていたのですか?」
自分の話題から離れたいが為、無理に話を考え、問う。
419
:
マンドラゴラ
:2011/09/28(水) 23:54:59 ID:bJBnsqT6
>>418
白龍のどこか煮え切らない態度に農夫は呆れ、
視線を当てもなく空に向ける。
雲がどこからか流れてきて、月明かりが薄くなっていた。
「はん、答える義理はねえがまあいい。どうせ暇だしな
お前の踏んでるその土を見ろ。
それ、俺が耕してたんだぜ?」
農夫は顎で白龍の足もとを差し示す。
彼女が視線を落として自分の周りを見れば、
鍬で耕され、やわらかく畑となっている茶褐色の目立つ土が見えるだろう。
420
:
名無しさん
:2011/09/29(木) 00:01:54 ID:HbHPxpxY
>>419
「こ、これ全てですか?」
その場にしゃがみ込むと、土を手にとり、触ってみる。
確かに柔らかく、よく手入れしたのが解る。
「植物か何かを育てる為ですよね?きっとみずみずしいのが出来ますよ。」
421
:
マンドラゴラ
:2011/09/29(木) 00:12:55 ID:bJBnsqT6
>>420
いささか彼が現在不機嫌だったとしても、自分の仕事をほめられて気を悪くする者はいない、
眉間に作られた縦じわが若干、ゆるんだ気がした。
「坊ちゃんが好き勝手しねえ間は暇だからな。
それにここには神格もねえ。心おきなく土をいじれるんだよ」
笑顔とまではいかないが少し饒舌になった彼は、
白龍が感心と一緒に発した言葉に少し反応し、視線を意識せず下に伏せた。
「なら、あんたが種を植えて育ててやってくれよ。
おらは育てる気はねえからな」
彼の発する、神聖でありながらも邪悪な妖気が、圧力を一瞬なくす。
しかし、何かを思い出したのかまた眉間の力が強く入り、
その気配がざらついたものになる
422
:
白龍
:2011/09/29(木) 00:19:49 ID:HbHPxpxY
>>421
「種・・・いえ、私は・・・。」
彼の雰囲気が少し緩んだことに、安心する。
しかしなぜ、彼からは神聖で邪悪な妖気が放たれているのか。
そもそも、神聖かつ邪悪など中々いないのだ。
そして自分に向けられる圧力に、不安と疑問を抱く。
「・・・坊ちゃん?」
423
:
マンドラゴラ
:2011/09/29(木) 00:30:43 ID:bJBnsqT6
>>422
耕した本人にも、それに感心した者からも手放され、
手つかずとなった神社の土。
農夫は何を思うか察することができない顔つきで、それをただ見つめる。
「いや、気にせんでいい。
ちょっとした独り言みたいなもんだからな」
こちらは意識を若干手放していたようで、自分がちょっとした口滑らしをしたことに気づき、
視線を白龍からそらして何処かを見ながらつぶやく。
「こいつはこの通りどの目的もなくなったが、まあいい。
なんせ土だからな、俺らがどう思おうと関係ねえ。
だがお前は違うだろ。
神の座を魂に根ざさしたお前が、そんなに目的もなくでいいのか?」
424
:
白龍
:2011/09/29(木) 00:50:36 ID:HbHPxpxY
>>423
自分も、生まれてくるならば土がいい。今はそう思える。
造られた存在、過ぎ去りし日々、自分が無くなる現実、そんなのはもう嫌だ。
「私は神を装った偽物です、偽物は必要ないんです。使い道もなく、ただ朽ちていく。ただそれだけです。ならば、貴方様の様な方に耕された土の方が素敵です。」
力無く笑う彼女は、マンドラゴラに一礼し、どこかへと飛び立とうとした。
マンドラゴラに次に会うのはいつか解らないが、その時の白龍はどうなっているだろうか。
知る者は誰もいない。
425
:
マンドラゴラ
:2011/09/29(木) 01:14:44 ID:bJBnsqT6
>>424
自身を嫌い運命を嫌う目の前の白い神龍を、
農夫は乾いたような冷め切ったような目で見つめ、口を閉じ黙る。
彼女が飛び立ってこの場が彼だけになっても、彼は動かなかった。
「馬鹿か、偽物なんざ必要がなけりゃ生まれねえだろうがよ。
それに正規品も海賊版も、どうせいつかは土になんだ」
しばらくしてから、農夫はぽつりと小さな声でそう呟いた。
流れくる雲は増え、空はすっかり覆われてあたりに月光は無い。
冷たさだけが含まれた風が神社を吹き抜け、意味もなく草木を揺らした。
「はん、神相手に何言ってんだ。馬鹿はおらだったか。
そういえば、どっちなんだろうな?、おらは。
偽物か本物か、どちらでもねえ劣化品か」
暗がりになってしまった神社で、農夫はおもむろに立ちあがった。
隣にあった鍬をつかんで、再び農作業でも始めるのか畑に歩み寄る。
ふう、と一つ溜息をついてから、大きく振りかぶった。
(貴様に実りは無い)
しかし先ほどからくすぶっていた、
抑えがたい激情が、彼の全身から溢れ出しそうになって堪らず農夫は、
手に持った鍬を投げ捨てた。
426
:
白龍
:2011/10/09(日) 01:20:23 ID:BQ990e1A
本スレ
>>955-956
「そこの神社には恨みなどない、心配するな。」
巴津火を撫でながら、ガラス玉を受け取る。
白龍自身、埋めれば良い、程度しか思ってない。
「よし、農夫、行くか。」
一言声を掛けると、ガラス玉を埋める為に歩き始めた。
何も起こらなければいいのだが、果たしてどうなるのだろう。
427
:
マンドラゴラ
:2011/10/09(日) 01:24:26 ID:bJBnsqT6
>>956
彼のキラキラとした知的探究心の目に、農夫は本能的な部分で嫌な予感がした。
しかし飛び出した質問は平和的で、彼は胸を撫で下ろしながら社を見つめる。
うーんとしばらく唸って農夫はそっけなく
「大丈夫だろうな。じゃないと普通の参拝客が興味を示すたんびに出なくちゃいけねえ。
でもおらたちは今、ただの襲撃者だ。石橋は三回叩いて渡れ」
と言った。そして農夫はガラス玉を受け取って、直ぐに担当する方角へ歩きだす。
そして場所に到着し、農夫はしゃがまないで鍬をどこからかだして、
少し土をほぐしてからガラス玉を埋めた。
>>426
「だが、おら達は今からここを襲撃するんだ。
若干なら大丈夫かもしれねえが、覚悟でも決めようものなら、その時点で戦闘だぞ」
余裕をもった風で話す白龍に、農夫は片眉をあげて忠告する。
しかしこの話の内容は、
逆に彼女に言うべきでなかったのではないかと埋める場所についてから、
一人後悔をしていた。
428
:
巴津火
:2011/10/09(日) 01:28:06 ID:1gBuqmPQ
>>426-427
「判った。何もしないようにする」
農夫の言葉に素直に頷いて、巴津火は自分の担当する位置につく。
(あれが子の星だから…と)
基準となる北極星を見上げ、本殿が背面に来ることを確かめると、足元に一つガラス玉を埋める。
そこを基準にさらに北東の位置を確かめて、もう一つを埋めた。
ここは半邪神の巴津火にとって最も攻めやすく、また神社側の守りも堅いであろう「鬼門」である。
(裏鬼門の方角は、上手くやってるかな)
そんな事を考えながら少し戻って北西の位置へと向かい、穴を掘ろうとする。
429
:
白龍
:2011/10/09(日) 01:35:58 ID:BQ990e1A
>>427-428
「襲撃か。
ならなぜ貴様は我に手伝うか?、などと声を掛けた。
目的を知らない我が手伝ってもいい物なのか?」
ある程度、神格があるにしても。
まだ顔見知りと言うレベルで手伝わせると言う事に
少なからず疑問を感じていた。
「さて、これで二つ目も埋めたな。」
430
:
マンドラゴラ
:2011/10/09(日) 01:44:30 ID:bJBnsqT6
>>428
、
>>429
白龍の疑問に対しては、全員が埋め終わって最初の地点に戻ってから、
どこか歯切れの悪そうな雰囲気で答えた。
「目的がなくともな、まあこっち側に実力者がいるほうがええんだ。
なんせ相手も簡単にはやられねえのばっか、
それに、お前はちょっとしたお墨付きがあるからな」
頭を片手で少しわしわしと掻いて金髪を躍らせながら、
答えた後体を本殿のほうへ向きなおる。
その顔には敵意などの類は感じられなかったが、真剣さはそこから窺えた。
「じゃ、そろそろ始めようか。
準備は、もう整えるまでもないよな?」
431
:
巴津火
:2011/10/09(日) 01:51:00 ID:1gBuqmPQ
>>429-430
(うん、いい感じだ)
北西の位置に穴を掘り、最後のガラス玉をそこに置く。
他のガラス玉に分けた自分の力がそれぞれ正しい位置に置かれているのも感じとり、
二人が上手くやっていることを知った。
辺りに自分の力を増す水の気配が濃くなってゆくのを感じて、巴津火は満足した。
おそらく白龍も同じく力の増強を感じているだろう。
水中ではないが、水中と同じくらいに彼らの能力は引き上げられたのだ。
「うん、ボクのほうはもう十分だ」
全てを埋め終わり二人と合流した巴津火は、農夫に答えてもう一度本殿のほうを見た。
すると、当初とは違う思惑が頭をもたげてきたのだ。
(穂産姉妹神の神話。
あの時見た不自然なあれが本当かどうか、ここの神格は知っている筈だ。
尋ねてみたら何か答えてくれるんだろうか?)
目の前には農夫が居るが、心中での呼びかけなら神格には聞こえるかもしれない。
432
:
白龍
:2011/10/09(日) 02:00:17 ID:BQ990e1A
>>430-431
「実力が在ってお墨付き、それが我か。」
この時にはうっすらと感じていたかもしれない。
脳内にはあの黒い女が。
そして、巴津火のガラス玉のお陰で、沸々と力が沸いて来るような感覚だった。
「(この水は…潮、つまり海、だな。実に心地良い。
後でこいつに感謝しなくてはな。)
準備は出来ている。」
巴津火の呼びかけは聞こえるが、何も言わないことにした。
巴津火たちに任せる、と言うことだ。
433
:
マンドラゴラ 守護神
:2011/10/09(日) 02:02:48 ID:bJBnsqT6
>>431
巴津火が戻ってきて、顔には満足したような感情が見えるので、
これでいいのだろうと手放しに農夫は安心する。
白龍たちと違って彼が土をいじくっている者だから、ここに水の神聖があるかどうかは分からない。
そして巴津火が、彼に内緒で心の呼びかけを向こうへしていることも。
彼の思考した、悪意のない呼びかけに中の神が反応する。
敵意がないので力は使えないが、意識だけは巴津火と白龍へ流れ込んだ。
-あらぬ時刻に現れ、呼びかける貴様は何者だ。
多大な神性を持つ者が、ここにようはないはずだ-
彼らの頭の中に反響するのは、
落ち着いた雰囲気を持った男性神の声。彼は二人の強大な神に、若干の警戒をしていた。
434
:
巴津火
:2011/10/09(日) 02:12:12 ID:1gBuqmPQ
>>432-433
今はまだ、白龍の感じるたゆたう潮の気配は落ち着いている。
これが逆巻き荒れるときは、本殿の神格を滅ぼす時なのだ。
「いいぞ、どこからまず始めればいい?雷か?」
言葉ではそう農夫に尋ね、同時に雨雲を呼び星空を消しながら
巴津火は心中に聞こえた男性神に心中で問いかける。
(双神を護る者よ。ボクは竜宮の次期当主、巴津火だ。知りたいことがある。
穂産姉妹の神話、ボクが見たこの不自然な情景は本当に正しいのか?
そして神代はなぜ化け物呼ばわりされている?天界は何故、神代に双神の討伐など命じたのだ?)
メデゥーサの残した情景を思い返しながら、知りたかったことの答えを聞こうとした。
435
:
白龍
:2011/10/09(日) 02:20:05 ID:BQ990e1A
>>433-434
(……………。)
巴津火と男性神の会話が脳内に響く。
今はただ聞くだけしかできないので密かに巴津火に力を送る。
彼女もまた、雨雲を自由に扱える神格であるが故、
いつも以上に強力な雨雲が出来あがってもおかしくない。
436
:
マンドラゴラ 守護神
:2011/10/09(日) 02:32:33 ID:bJBnsqT6
>>434
神社を中心とするこの空間の空にだけ、暗雲は立ちこめた。
雷鳴などを伴う雲の音も、農夫の事前にしておいた遮断の結界によって防音され、
あたりに人や妖怪がいようと、中の様子に気づく者は一人もいない。
-海の申し子よ、その質問に答えよう。
神代は、神話と違うことなき化け物だ。存在は全てに害なし、
心は、あらゆる全ての崩壊を担う。
だが力の強大さは、神格を失えど未だ強大なあの穂産姉妹神の妥当を可能にする。
それ故天は、産み親の復讐という因果を与え、神代を討伐の徒とした。-
「そら、始まるぞお前ら!!」
-日本神話人世第34章は、、、天から広く伝わる。
そ、それ・・・それがどうあろうと・・・天はた、ただ・・・ただしく、
またすべ、ては正し・・・・いの、・・・・のだ-
男性神は落ち着いた響きで、質問に答えていく。
しかし、巴津火が雲を呼び出す際の、ごく僅かな本殿を破壊しようとした思いに、
その男性神の神格は反応し言葉が途切れ途切れになっていく。
自我が神格の役割に飲まれようとしているのだ。
437
:
巴津火
:2011/10/09(日) 02:45:22 ID:1gBuqmPQ
>>435-436
白龍の力が後押しして出来上がった雨雲は、おどろおどろしく垂れ込めて
暗い夜空でさらに黒く見える墨色の濃さとなった。
時折その中を雷光が走るその瞬間だけ、墨色の雲が灰色に光る。
そして雲が保てるぎりぎりの雷が、ついにあふれた。
天地の電位差を埋めようと、一本の高く伸びる木の梢を雷が叩く。
眩い光が当たりに満ち、大きすぎて全ての音が消えたと錯覚するほどの炸裂音が耳を打ち、
同時に衝撃が大気を揺るがせた。
雷光が消えた後は目が慣れるまでのしばらくの間、どう見透かしても漆黒の闇しかない。
その闇の中、守護の者にすら神代を化け物と言い切られて、巴津火は顔を顰めていた。
(許せ、守護の者。ボクはお前を討つ側の者。ボクは神代をこの下らぬ復讐劇から抜け出させたい。
同時に双神の無事を願う者らの思惑もあってここに居る。
今は護りの一角を、ボクに預けてはくれないだろうか。
ボクにその力があることを示せというのなら、ここでお前を倒して証明して見せよう)
役割に飲み込まれ行く守護神の自我を、闇の中から感情の渦巻く紫濁の瞳がじっと見つめていた。
神格とはそうあらねばならぬことを、神格である巴津火の半分は理解している。
しかし守護者と神代のそれぞれの運命に、もう半分の邪神の巴津火は嫌だとダダを捏ねているのだ。
「ぐおおおおおああああああっっっ!!!!」
それが怒りなのか悲しみなのか、己ですらよく判別のつかぬままに、巴津火は声を上げて荒ぶった。
呼応するようにあたりを満たす水の気配が激しく渦を巻き始め、雨雲からは叩きつけるように雨が落ちはじめる。
白龍はその逆巻く波のように社を叩く、水の気の荒れぶりを肌で感じることだろう。
それは、全力で暴れる時が来たのだという合図でもあった。
438
:
白龍
:2011/10/09(日) 02:59:51 ID:BQ990e1A
>>436-437
(神代、貴様が疑問の頂点だったのか。)
巴津火が暴れ始めれば、水気も暴れ狂う。
白龍もその時を待っていた。
「(我を蘇らせたのが神代の為であったとしても。
最後まで手助けはしてやろうじゃないか。)」
荒れ狂う雨を自分の水と融合させ、一対の巨龍を生みだした。
それを巴津火達の援護へ回し、次の行動を考えて始めた。
439
:
守護神
:2011/10/09(日) 03:04:09 ID:bJBnsqT6
>>437
雷が、一本の木に落雷として落ちた時、
本殿の扉の奥に祀られた、飾り気の少ない神体の目が光り振動をし始める。
その光景は妖気のある者から見れば、
神格の力が暴発を犯しかねないほどに増大し始めているものだった。
-し、し,神話のただしさを。もと、めよ。
全て、、、ての幸福、は、は穂産の・・・死の、元に-
途切れていく残酷な言葉を最後に、男性神の自我は忘失された。
そして残ったのは、現れたのは、
彼らの目の前にそびえたつ、大剣を背負ったゆうに3メートルの丈を超える、
仁王の怒りを表したような憤怒の大男であった。
「我、邪を斬り捨てる者なり」
先ほどの穏やかさは見る影もなく、轟く怒号に似た声とともに、
大男の大剣は神性を纏って巴津火や白龍たちへ横に薙ぎきるように振るわれる。
440
:
巴津火
:2011/10/09(日) 03:15:58 ID:1gBuqmPQ
>>438-439
雨粒が社を、大地を、強く叩いてはじける。
白龍に比べまだまだ荒削りで洗練されていない荒っぽい水の妖力が、農夫の張った結界の中を
縦横に荒れ狂う。それは形を成してすらいない。
本殿の屋根には繰り返す波に叩かれる時のような圧力がかかり、建物はミシミシとゆれた。
引き剥がされてばらばらになった扉は、雷に打たれて折れた立ち木と共に、
波に揉まれる時の様にあたりを妖気の流れに乗って漂い、時に巴津火自身をも傷つけた。
(神話は正しくなどない、神代の親が間違いな訳でもない、あるがままであって何が悪い!)
全てに嫌だと横に首を振り、半邪神は守護神に正面から抗った。
その大剣の横なぎの一撃を、両手に握ったガラス玉を核に生み出した水流で受けて立とうとしたのだ。
「ボクは避けないぞ、守護者!」
両掌の水の渦は速度を増し、大剣の一撃を推しとどめ、あわよくば剣をうばいとろうとして
小さな身体の巴津火は踏ん張った。
それは真っ向勝負であると同時に、白龍もしくは農夫にチャンスを作ることも視野に入れていた。
441
:
白龍
:2011/10/09(日) 03:32:02 ID:BQ990e1A
>>439-440
(我は神話のせいで…何もかも……。)
ギリリと歯を食いしばり、何かを想い返した。
あの時の哀れな自分が誰かと重なる気がして。
他人事だけど自分の様に感じて。…こんなの嫌だ。
(守護神よ、我は邪神・バラウール。
貴様が邪を切り捨てるのならば、この我を切り刻んでみよ!!
もしそれが出来ないのなら…我の質問に答えろ!!
神とはなんだ、邪とはなんだ、神話とはなんだ、どうして我はこうなってしまったのだ!)
巴津火の作ってくれたチャンスを見逃さず、白龍は宙へ飛んだ。
漆黒のオーラが辺りの水や壊された物を飲み込み、白龍の爪に纏わりついた。
それは守護神との一騎打ちの攻撃となるだろう。
442
:
守護神
:2011/10/09(日) 03:38:35 ID:bJBnsqT6
>>440
「おい!もう少し頭を冷やして戦え!」
水流の大きさに、結界が少しばかり押されそうになる。
不意に巴津火の様相が変化したために反応できなかった農夫は、
慌ててその結界の強度を高めて、それを押し戻していた。
困惑の中巴津火に大声で呼びかけるが、今の彼に声は届かないのかもしれない。
「目前、何があろうと、斬る」
剣を止められた守護神は、奪い去ろうとする力をものともせず、
元の構えに体勢を戻した。
農夫のほうは結界に専念し、攻撃の手は白龍や巴津火に譲っている。
>>441
剣を中段に構えた守護神は、天から降下する白龍のほうを見据えた。
強く剣の柄を握りしめた守護神は、剣を頭の上に掲げ振りかぶる。
「神とは正、邪とは裏、神話とは、守り」
自我の奪われた男性神の声は無く、怒りにゆがむ口から出た言葉は神格のものだった。
飛来する白龍が、自身の射程の内に入りこむタイミングに合わせ、
守護神は上に抱えた剣を、縦に白龍をたたき落とさんと振りおろした
443
:
巴津火
:2011/10/09(日) 03:44:55 ID:1gBuqmPQ
>>441-442
一度は拮抗したものの、両掌の水の渦は守護神の剣に当たって徐々に削られてゆく。
破邪の剣は確実に巴津火の邪神としての力、守護神に抗おうとする力を殺ぎとって行った。
ついに刃が核となって回転するガラス玉に触れ、ガラス玉は嫌な音と共に砕け散った。
「……ちっ!!」
慌てて両手を引いて飛び下がったが、ガラスの破片は掌を傷つけた。
ただひたすらに荒ぶるだけだった巴津火は、これで少し冷静さを取り戻す。
農夫に言われたとおり、少し落ち着いて戦う気になったようだ。
「白龍、金髪、少しの間、押さえを頼む!」
傷ついた掌を胸の前で合わせ、妖気を練り始めた。
その妖気は立ち上るのではなく、弱まったかのように静かなものとなった。
(双神の守護者。神話が正しいとするなら、討伐されるべきお前も邪となるだろう。
ならば邪であるお前がその刃で絶ち切る邪とは、一体何だ?
守護たるお前の名を明かせ。お前が望むならボクが役割を受け継ごう)
低く静かに流れ出した妖気は大地に潜り、ゆっくりと染みとおってゆく。
一度は激しかった雨足も弱まって落ち着いた。
しかしまだ、黒い雲は雷光を蓄えている。
444
:
白龍
:2011/10/09(日) 03:55:10 ID:BQ990e1A
>>442-443
(我はそれによって世界から隔てられた。
周りからすべて、そして自分までも。
だったら正義も邪悪も…必要無い。守りと言う物の存在も塗り替えるまで。)
手に溜めた邪悪な力を纏うと、振り下ろされた剣だけを狙って弾き飛ばそうとした。
守護神の力も強大だが、こちらも負けてはいない。
その邪悪な力は、白龍その物なのだから。
(巴津火、後は任せた。)
445
:
守護神
:2011/10/09(日) 04:03:11 ID:bJBnsqT6
>>443
、
>>445
いつの間にか白龍、巴津火、
そして自身で三角の形になるような場所に移動していた農夫。
巴津火にも巻き込まれず白龍の障害にもならないここから、
守護神へ向けうねる鞭のような木々を生やした。
それらは蛇のように守護神の足に巻きつき、その脚による動きを封じる。
「足は止めた。後はお前がやってくれ巴津火」
動きを抑えられ、剣も弾かれた守護神は怒りを増し、
天に向けて怒号を放った。
「邪は裏、邪は死、邪は破綻、
我は断ち切る、秋牙羅未の名の元に!!」
もはや怒りに狂った守護神は、白龍にはじかれた剣先を巴津火に向け、
またも無計画に飛び込むように振り下ろす。
446
:
巴津火
:2011/10/09(日) 04:11:48 ID:1gBuqmPQ
>>444-445
農夫の結界を揺さぶっていた荒々しい水の妖気が、一度静まった。
そして今度は結界を吹き飛ばしそうな勢いで、神社を囲む八方位、ガラス玉を埋めた場所から
水柱が立ち上がる。
一つ一つが大樹の幹ほどに太いその柱は、それぞれに形を変えた。
水の柱は有角の蛇の頭となり、その鎌首は雲からの雷光を纏い八方より守護神へと迫る。
大きく開いた大蛇の顎の、その牙には紫の雷光が煌いていた。
クシャナダ
「雷牙・草薙蛇!!」
いつもの巴津火なら扱えてせいぜい3つまでの水蛇の頭。
それが八方に封じた玉のお陰でその中央では存分に振るえる。
今なら同じ水の力を持つ白龍が、雷雲を支えていてくれるのだ。
まず鬼門・裏鬼門からの2つの頭が、飛沫を鬣のように上げながら狂える守護神の剣を持つ両手へ、
残る六つの頭が首、両肩、腹、両足に絡みつき、雷の牙を突き立てようとする。
そしてその瞬間、八本の雷光が一度にはじけ、轟音とともに守護神は眩い光に包まれた。
447
:
白龍
:2011/10/09(日) 04:23:18 ID:HbHPxpxY
>>445-446
「先程と比べて、巴津火の妖気が安定している。これなら問題ないな、戻れ水竜。」
巴津火達の援護の必要無くなり、水竜を自分の隣に呼び寄せた。
「見方によっては正義も悪も変わってくると言うのに・・・。それでも神話は決まり事なのだな・・・。」
一息付き、巴津火を見守る。
448
:
守護神
:2011/10/09(日) 04:31:32 ID:bJBnsqT6
>>446
、
>>447
守護神の全身に、草薙蛇の電流がほとばしる。
体の至る所から電撃による炎が灯り、音を立ててその全身を焼いていく。
しかし、守護神はダメージにも怯まずに巴津火へ、
渾身の大剣を、自身の炎をまとって縦に大きく振りおろした。
「邪を、断ち切る!」
断末魔のように言葉を吐いたかと思うと、
守護神の神体の各部分に、修正不可能の皹が走った。
八の雷牙が体を貫ききり、膨大な量の神性の電圧が守護神を支配していた、
神格ごとを光とともに破壊する。
神格を失った守護神は、剣さきを巴津火の頭上3尺ほどまで近付けたが、
存在と自我の崩壊によって全身が岩のように崩れ去った。
449
:
巴津火
:2011/10/09(日) 05:01:08 ID:1gBuqmPQ
>>447-448
神格である巴津火の半分は、消えてゆく守護神を惜しみ悼んでいた。
邪神のもう半分は、存分に暴れることを楽しみ満足していた。
雷光と共に八つの水蛇の頭も消え、力を使い果たした巴津火は腕を上げることも出来ないまま
目の前に振り下ろされる炎の大剣を不思議な気持ちで見つめていた。
なぜかそこに一切の恐怖はなく、仮に貫かれたとしてもそこに破壊とは異なる意図があったことを
知るだけのような気がした。
そして巴津火を傷つけないすれすれの所に大剣は落ち、運命に狂わされた神格は崩れ落ちた。
(秋牙羅未。お前が本当にこの剣で断ち切りたかったものは)
かくん、と地べたに力の抜けた膝をつき、まだ炎の残る剣に疲労で痺れた手を伸ばす。
(……神話で定められた皮肉な運命だったのか?)
物語には役割が必要で、神話と言えどもそれは同じ。
誰かが悪い役を演じなくてはならないのだ。
雷雲も消えて、星の光が天に戻りつつあった。
全てが終わると、思い出したように身体のあちこちが痛む。
無節操に暴れた巴津火の自業自得だ。
450
:
白龍
:2011/10/09(日) 10:42:30 ID:HbHPxpxY
>>448-449
「巴津火。ほら、背中、乗れるか?」
守護神が壊れ散るのを見届けると、複雑な気持ちになりながらも巴津火に気を使う。
(秋牙羅未、貴様はこうなる運命を理解した上でこの道を選んだのか。
我はこの新しい運命に従えるのだろうか。)
自分の存在意義が自分でも良く解らず、この先何をすればいいのか、全く解らないのだ。
神話に従い、邪として生きればいいのか、新しい主の力となればいいのか。
そんなことを考えているうち、胸が締め付けられる感覚に襲われた。
451
:
マンドラゴラ
:2011/10/09(日) 18:08:13 ID:bJBnsqT6
>>449
、
>>450
崩れ去った守護神は、今や砂や塵のように粉々になり神社に吹く風に、
儚くも全てが吹き飛ばされ空間の中に混ざって消えた。
神体も同様に霧散して、その大男がいた場所に姿はない。
「まあ、お前らの間でどんなことがあったのかは知らんが、
何も知らんおらからはただ、おつかれ、とでも言っておくぞ。
そこの龍もな」
始まりの乗り気な巴津火と、戦闘中の苦悩に呑まれそうな巴津火と、
そして今何かが抜けた様な放心の巴津火。
様子の変化は白龍にも見られていて、そこから流石に農夫も彼らの間で、
なにがしかの対話と、何がしかの葛藤があったことを知った。
しかし蚊帳の外である彼に、巴津火へかける言葉が浮かばないからなのか、
唯巴津火の肩を何か思うように二度軽く叩くだけである。
そして彼らから数歩離れた場所につき、農夫はライターをこする。
巴津火が大人しく白龍に背負われたかは分からないが、
彼らがこの炎に飛び込めば、あの時立ち寄った公園へと飛べるだろう。
「巴津火、お前はしんどそうだからな。何なら家までの火も使ってやるぞ。
そんくらいの働きはしたしな」
人の背丈ほどになった炎を背に、農夫は振り返って言った。
452
:
巴津火
:2011/10/09(日) 18:55:25 ID:1gBuqmPQ
>>450-451
「うん」
守護神の大剣の、自分の身の丈ほどのその大きさに梃子摺りながらも
なんとか片手で柄の側を持ち、杖の代わりに使って震える膝で立ち上がる。
ほとんどの力を使い果たした巴津火は、大剣を握って白龍の背中に縋るのがやっとだ。
傷ついた手が掴んだ白龍の白い毛に、新しい赤い染みがつく。
「…すまない」
白龍に、そして農夫に気遣われて、へとへとのお子様はどうにも身体が重いのだ。
「牛神神社へ、頼みたい」
完全な神格かもしくは完全な邪神であれば、ここまで疲弊はしなかったかもしれない。
内側に抱える相反するものに振り回されなどせずに、巴津火も役割に飲み込まれて
守護神と同じく何の感情もなく淡々と行動していたのだろう。
相反するものを不純物として含んでいたからこそ、作られた存在でありながら戦いの中でも
完全な心を持っていることに巴津火自身もまだ気づいていなかった。
「……もう、今日は歩けそうにないんだ」
そう呟いて、白龍の背中の白い毛に額を埋めると巴津火は目を閉じた。
453
:
名無しさん
:2011/10/09(日) 19:29:50 ID:HbHPxpxY
>>451-452
「ふふ、気にするな。巴津火の活躍、面白かったぞ。」
普段、白龍は人を乗せないのだが、巴津火は別である。
今日頑張ったのはこの小さな邪神なのだから。
(神格と邪、半分半分。しかもまだまだ未熟。
この先、どうなるか楽しみだ。)
巴津火を背負うと、炎の中へと入っていく。
牛神神社へと巴津火を送り届けると、白龍は農夫に話し掛けた。
「今日の礼は忘れるなよ。それともう一つ。榊と話がしたい、後で我から伺うから伝えてくれ。」
454
:
マンドラゴラ
:2011/10/09(日) 21:08:47 ID:bJBnsqT6
>>452
全員が黒炎に包まれて、炎は一瞬大きく燃え盛ったかと思うと、
またも一瞬のうちにそれは霧散して、後の神社には何者の影もなかった。
彼らの視界が再び二色に包まれた後、
霧散した炎の向こうから見る景色は、あの時より少し時間が経って、
あたりの民家の電燈はほとんど全てが消えているあの公園だった。
「牛神か、分かった今行くぞ、ってこいつは寝てんのか」
もう一度ライターで発火して、今度に赤黒い炎が上がるのは、
巴津火の指定したあの神社だった。
しかし出現した場所は神社の本殿から少し外れた、
巫女たちがよく支度などするような、小さな建物の前だった。
「悪く思うなよ巴津火。ここの住人は苦手なんだ」
最後に扉の前で眠りこける巴津火に、農夫は苦笑いで言い残す。
しかし巫女たちの結界も性格なのですぐさま、
眠りこける巴津火は巫女たちに発見され、ふかふかの布団で眠らされるであろうことも想定していた。
>>453
今日で5度目となるライターの発火いた後、公園で白龍と対面する。
「もちろんだ。この借りは、まあどこで返しゃあいいか知らんがともかく、
どっかで返す事は約束するぜ」
少し真剣な面持ちで話すものだから、こちらも身構えていたが、
思ったのと違ってフラットな為、農夫は気が抜けて笑った。
「榊か。まあ確かにあれはいろいろ不審な奴だからな。
気持ちは痛いほどに分かるぞ」
白龍の意見ももっともだと、若干違った理解などして農夫はうなづく。
必ず伝える事に約束して農夫は、
白龍公園に残して、あの黒炎と共に去って行った。
/これで落ちにさせていただきます
/二日間絡みお疲れさま&ありがとうございました!!
455
:
巴津火
:2011/10/09(日) 21:24:31 ID:1gBuqmPQ
>>453
>>454
白龍の背中でうとうとと眠りながら、巴津火は消えていった守護神の名残を感じ取っていた。
それは握ったままの大剣にうっすらと残り、牛神神社の社務所に着いて、その扉に
そっと寄りかからされたときも巴津火のすぐ傍にあった。
穂産姉妹神を守護してきたこの剣は、いずれ姉妹と巴津火が対峙した時にそれぞれの行方を
占うことになるだろう。
その時までしばしの間、巴津火が預かることになった。
そして大剣と眠る巴津火を巫女達が見つけたのは、農夫と白龍が再び公園に戻り、
二人が別れたその少し後のことである。
//お二人ともお疲れ様&絡みありがとうございました!
456
:
零なか
:2011/10/09(日) 21:39:49 ID:HbHPxpxY
//絡みありがとうございました!
457
:
病気組
:2011/10/12(水) 01:38:45 ID:/AfNAO.Q
本スレ
>>974
(焼け爛れてやがる……腐臭に弱いのか?)
右半身が爛れた水町を見た東雲が気付いた。
東雲にとってこの侵入者は、小鳥遊と同じく、敵でもあり味方でもある。
侵入者にはなんの恨みもない。むしろ小鳥遊を殺したいのは山々だ。……しかし彼が死ねば、自分も死ぬ。
再び姿を消した水町に、苦々しく東雲が叫んだ。
「おいテメェ!! いい加減にしと――」
「この人数相手に、一人で何とかなるとでも?」
真っ直ぐに突進する、姿を消したはずの水町の行く手を、河童の姿になった纏が阻もうとした。
ふわりと長い三つ編みが揺れ、前髪の奥から鋭い眼光が覗く。
「同じ水界の者の手を掛けるのは気が引ける……こともありませんね」
ニオイがしますよ、と、水町の腕を掴もうと手を伸ばす。
腕を掴めば、その怪力を持って水町を押さえ込もうとするだろう。
本スレ
>>975
「もうすぐ元に戻るから待ってーって危なっ!!」
「んなっ、そこのけ坊主!」
焦った日野山が飛び出し、巴津火の首根っこを持って引き寄せようとする。
しかしこの二人、弁当事件以降和解しているのだろうか。
(日野山は暴走している時のことを何も覚えていないのだが)
458
:
水町
:2011/10/12(水) 22:00:17 ID:tElbSrz.
>>457
「ごがっ!!」
見えない何かが床に組み伏せられる。
徐々に色めき始める水町は、焼け爛れた右手を掴まれて床に押し付けられていた。
>>975
ほんの数瞬前。
(取った!!)
透色の水町は既に纏の目測の数歩前を行っていた。
臭いで位置を探るのには時間がかかる。
“見る”よりもほんの一瞬、思考が必要になるのだ。
その一瞬がまたしても勝負を分けた、かに見えた。
(!? おのれ・・・っ!)
急に飛び出してきた巴津火にまたしても動きが阻まれた。
振りかぶった腕を止め、その場で急停止したのだが・・・
「ぐ・・・貴様等・・・、なんのつもりだ!」
組み伏せられた水町は憎々しげに口を開く。
「答えろ小鳥遊医師! 不老の力を得たのなら、それで満足しておけばいいものを!
この時代に不死の妙薬など完成させればどうなるかも想像できんのか!!
貴様が人に齎す物は、未来を作れぬ歪んだ進化だ!! 不老不死とは誕生の否定だ!
妖の生きる様を知りながら! 現代における妖の有様を知りながら!
なぜわざわざ我々の居る位置まで堕ちようとするのだ!! 答えろ!!!」
科学の最も強い部分は共有力にある。
例え言語が違おうと、文化が違おうと、宗教が違おうと。
基礎知識さえあれば、世界のあらゆる人間と発見を共有できるのだ。
もし不死の力が完成すれば、携帯電話やパソコンのように。
数年も経たずして世界中に蔓延する。
459
:
巴津火
:2011/10/12(水) 22:31:03 ID:1gBuqmPQ
>>457-458
襟首を引っ張られてよろけたのと、水町自身の躊躇とで、寝ぼけ巴津火に怪我はなかったようである。
自分を助けた者が誰かに気づき、ようやく頭の覚めてきた巴津火は礼の代わりに日野山へ
ちょっぴりすねた口調で言った。
「お前か…助かった。
弁当の件はこれでチャラにしてやる」
食べ物の恨みは根深かったけれど、ここで礼を言わないわけには行かない。
そして組み伏せられた水町の言葉に首を傾げた。
「何のつもりかはボクが聞きたい。
不死の妙薬?そんなもの、小鳥遊が作る必要は無い筈だぞ。
必要なら人魚の血も九穴貝も、十分あるんだ」
治療の術を試そうといずみや日野山を死体から起こしたことは知っているが、
小鳥遊が研究で目指すのはあくまでも生きた人間、生きた妖怪を治すこと、だと巴津火は思っている。
少なくともその研究には、患者を不老不死にする意図は無いはずなのだ。
(根本に誤解か、あるいはボクの知らないことがあるようだ)
「この水妖を殺すな。話を聞きたい」
小鳥遊と水町の双方の話を聞こう、と思って巴津火はそう言った。
460
:
病院組
:2011/10/12(水) 23:22:49 ID:???
>>458-459
水町の右手を掴むと、すかさず捻転させて床に組み伏せる。
彼の上に乗っかった纏は、無表情のまま彼を見下げた。
ぐぐ、と彼女が僅かに体重を掛けるだけで、激しい痛みが襲うだろう。
「一瞬、逃したと思ったのですが。甘いのですね、あなたは」
床に押し付けられた水町によって、憎々しげに、怒りの籠った言葉が吐き出される。
その矛先である小鳥遊は、冷たい顔をして、ゆっくりと水町に歩み寄っていく。
彼の問を、彼の怒りを、正面に受けながら。
――答えろ、そう叫ばれた時、小鳥遊の足元には、床に臥した水町がいた。
「なんのつもり?」
不意に、小鳥遊の表情が歪んだ。
「勘違いしてるみたいっすが、僕の目的は元々不老不死じゃないっすよ。僕自身の不老不死は、あくまで成行きにすぎない。
本来僕の目的は、全ての病を治療する「霊薬」を作ること。もちろん――「死」すらも克服できるものを。
そしてそれをもって、命を救うこと。それが僕の目的っすから」
足元の水町に語りかけながら、巴津火に目くばせする。
つまり彼の目的は、「生きているものを治すこと」だけでなく、「死にゆくものも繋ぎとめること」でもあるのだ。
しかし水町が「歪んだ進化」だと言った途端、その雰囲気が激変した。
背後にいた東雲たちが、ぞくりと背筋を震わせる。
「不老不死が誕生の否定だというなら、死は生きること自体の否定だ」
目を剥いた小鳥遊が、水町の頭を掴み上げる。
「死は「終わり」だ。今まで経験したことも、積み上げたものも、覚えたものも全てなくなる。消え去る。そこで終わってしまう。
だからこそ人は怖れる。死ぬことを、消え去ることを。
しかし死とは単純だ。命は簡単に消える。ほら、今あなたの命を奪うことだって、簡単にできる。
けれど、ここで終わるのは嫌でしょう? ……まあ、しないっすけどね」
しゃがみこみ、水町に歪んだ瞳を突き合わせる。
「――誰かの命が救えるなら、僕はどこまででも堕ちてやる」
僕たちは、悪役だ。
461
:
水町
:2011/10/13(木) 00:09:26 ID:tElbSrz.
>>459
>>460
「そうか・・・」
組み伏せられた水町が瞳を閉じる。
どこか遠くを見るような、静まり返った声。
「私は300年、“水難”の神格として多くの人の命を奪ってきた」
組み伏せられた火脹れの右腕。
しかし、水難の呪の篭った左腕はどこへ・・・
「死を乗り越えることと不老不死がどう違うのだ。
得心したよ、小鳥遊医師よ。貴様は人をどうしたいのではなく。
何の下心もなく、ただ死を怖れ、人を救いたいのだな」
その左手は・・・
「安心したよ、無知なクソガキ共が」
白いタイルを伝い、建物全体に水難の相が走る!
突如として消火栓が暴発し! スプリンクラーが弾け飛ぶ!
連続した爆発音に気をとられた瞬間!
水町と纏の立場が逆転していた。
組み伏せられた腕の関節がグニャリと曲がり、
その直後水かきのついた手が凄まじい力で纏の首に噛み付き、後ろの壁まで押し付けられる!
河童の上位種、水虎。その名は『水に潜む恐ろしい者』を意味する。
金属のドアをひしゃげた腕力、天井に張り付く柔軟さ。
そして剥奪されたとはいえ、多くの信仰を集めた全国区の神格持ち。
もとより娘々子河童などに組み伏せられるわけはなかった。
「ふざけるな! 死んだ者が生き返っていいものか!!
死を乗り越えていい生き物などいるものか!
貴様等がやっているのはただの死からの逃亡だ!!
堕ちるのは勝手だ! だが他の人を巻き込むな、貴様の逃避行に道連れを作るな!!
死者の居場所などこの世界にはないのだ!!!」
ミシミシと纏の首から骨の軋む音が鳴り、水町は右手を心臓部に突きつけ。
魂魄を抜き去った。
462
:
巴津火
:2011/10/13(木) 00:42:55 ID:1gBuqmPQ
>>461-462
小鳥遊が表情をゆがめたとき、巴津火に寝ぼけた表情は既になかった。
ぶつかり合う価値観、その怒りと狂気との渦をじっと見つめている巴津火は
どこか得体の知れない感情をその紫濁の瞳に浮かべて笑っている。
生きようと、生きていたいと望む小鳥遊は神格である巴津火の半分に心地よい。
そして静かなる狂気は陰を好む蛇としての性を満たす。
さらに相対する価値観同士の激しい争いは、邪神であるもう半分を悦ばせる。
しかし、巴津火の機嫌が良かったのはそこまでだ。
建物が揺れて水が荒れ、水町が組み敷いた纏から魂魄を抜き取ったとき、
その魂魄を握る水町の右手首を、巴津火の左手が掴んだ。
「水虎か。
お前の言い分はしかと聞いた。だがここまでの好き勝手は許さないぞ。
この建物もこの人間も、ボクのものだからな。それ以上をするならボクが相手だ」
不穏な気配とともにただ掴んでいるだけで、拘束まではしない。
水町の右手が魂魄を手放して戻すなら、逃走するも戦いを続けるも可能だろう。
巴津火に深追いの意思はないのだ。
「それともボクを道連れに、黄泉の国へ赴くつもりか?」
道連れを作るな、と今叫んだばかりの水町に、少々意地の悪い問いを投げかけて
紫濁の瞳がにぃっと笑った。
463
:
病院組
:2011/10/13(木) 08:24:04 ID:/AfNAO.Q
>>461-462
水町の静かな声がする中。
右腕を掴んでいた纏は、いち早くその違和感に気付いた。
圧倒的優位にいるはずなのに、下に押し伏せたものから感じる圧力。威圧感。
――強さ。
(コイツ――)
しかし、次の瞬間、水難の呪が診療所に走った。
建物中のスプリンクラーや消火器が、爆発音を立てて弾け飛ぶ。
突然の爆音に、彼女が一瞬の隙を生み出したのを誰が責められよう。
その一瞬を付かれ、気付けば纏は背を壁に押しつけられていた。
手を引き剥がそうと全力を込めるが、拮抗するには至らない。
彼女も金属製の扉をこじ開けるくらいできるだろう。しかし彼の豪腕(ちから)はそれを勝った。
(純粋な力でも私より――)
纏は「死」を覚悟した。
それでも依然として無表情のまま、心中で溜め息を漏らす。
ここで終わるのか、と。
魂魄が抜き取られる直前、纏はうめきにも似た声を絞りだした。
「小鳥遊療介……あなたは戦い続けるべきだ」
「「「「!!」」」」」
一瞬の出来事だったのだ。
爆発音に気をとられ、もう一度水町を見た時には、既に纏は壁に押しつけられていた。
そして――。
「纏さん!!」
小鳥遊の叫びも虚しく、魂魄を抜き取られた纏は、力なく腕を落とした。
ぶらり、と横に揺れる。
白衣に潜めたメスを持ち、飛び出そうとした小鳥遊の腕を、東雲が引き止めた。
「……っ、東雲さん!?」
「落ち着けクソ医者、テメェがどーこーできる相手じゃねェ! それに」
がしり、と、抜き出した魂魄を持った水町の腕を、巴津火が掴んだ。
そうだ、このガキが黙って見ているわけがない。
あの水妖が水界の者なら、今この場において重要なのは、あの「殿下」だ。
「おい!」
そこに、日野山の声が割って入った。
「黙って聞いてりゃあ偉そうに……俺たちの存在を全否定する気か?
確かにあんたは正しいかもしれん。だが俺たちは不老不死になった訳じゃない。半妖にはなったが、纏先生と小鳥遊先生がまともな人間に戻すと約束してくれた」
「そーよそーよ! ていうかあんたらは何百何十年って超生きてるだから、人間だっていーじゃん! 死から逃げちゃいけないなんて、誰が決めたのよ!」
もう一回腐らせちゃうから、と、日野山の背中に隠れた黄道が腕を出す。
黙ってはいたが、東雲にとってもこの状況はいただけなかった。
纏が死ねば、血清薬の完成は確実に遅まるだろう。
彼女に死なれるわけにはいかなかった。
464
:
水町
:2011/10/13(木) 17:00:33 ID:tElbSrz.
>>463
「・・・」
口を挟む半妖2人をチラリと横目で流し見て、
水町は苦々しく奥歯を軋らせた。
頭をよぎる考えを飲み下す、グルグルと回り続ける。
まともな人に戻ってどうする気だ、と。
そのまま社会や家族の元へと戻る気か、と。
確かに時間をかければ人の世界もそれに適応するだろう。
死んだ人を受け入れられるよう社会が適応し、移り変わっていく。
死者が当然のように生き返る、狂気の国へと・・・。
左手を外すと、ドサリと纏が崩れ落ちる。
「生きることを否定する気はない、命の在り方を決め付ける気は無い。
そんな義務や権利はどんな神にも仏にもありはしないのだ。
だからこそ私は一人で来た。小鳥遊医師の殺害も、今晩の強襲も。
全て私の意志だ、正しさも間違いもあるものか」
だが・・・。そこの2人はどうなる?
そのことに気づかせてしまえば、どんな風に思うのだろう?
言い訳のように、大義のように、水町は言葉を選びながら語りかける。
「貴様等が死者すらも救いたいというなら、私はそれが気に食わない。
ただ気に食わないが故に、私は貴様等の可能性を間引きに来た」
>>462
掴まれた右手。
幼稚で考え無しの悪意を、水町は恐ろしく冷たい眼で睨みつけた。
「貴様だったのか」
お前がこの歪な事態を招いたのか。
お前が3人の人をこの妖の世界に引き込んだのか。
「貴様さえ居なければ・・・」
どこか楽しそうな巴津火の腹積もりとは裏腹に、
水町の内心は憎悪で煮えくり返っていた。
「貴様を相手にする気はない、貴様が何をしようが。
今から小鳥遊医師を殺害することはできる」
もう迷いはない、それは可能だ。
しかし、それでどうなる?
仮に今自分が小鳥遊医師と刺し違えても。
この考え無しの悪意が、また遊び半分に人を狂わせることも充分ありえるのだ。
465
:
巴津火
:2011/10/13(木) 19:35:19 ID:1gBuqmPQ
>>463-464
犬御に引き止められる小鳥遊を、ちらりと巴津火は流し見る。
「東雲、よくやった。そのまま小鳥遊を護っていろ」
犬御自身が殺したいと憎む男を護れと、恋敵の顔と声とが犬御に命じる。
その皮肉を知ってか知らずか、紫濁の瞳の悪意は満足げに笑っている。
「ボクが居なければ小鳥遊を殺すつもりか。それは困るな。
この男の持つような心地よい狂気はなかなか見つからないんだ。
お前の抱くその強い憎悪も悪くはないが、ありふれている」
3人の人間の命と人生を狂わせた元凶は、そう言いながら
水町の掴む纏の魂魄をその手から取り返そうとした。
「お前が小鳥遊を殺すことができるように、ボクにもお前を殺すことはできるぞ。
だが、お前はお前で面白い」
じっくりと言葉を選び、己の意を語る水町の冷たい視線を楽しむ幼い邪神は、
水町の抵抗さえも玩具として楽しむつもりのようだ。
「お前は正しさも間違いもない、お前の意思でここへ着たと言う。ならば問おう。
300年の間、水難を司る神格にあったというお前がなぜ、そんなにも人間ごときの生死に
肩入れをする?今は神格の重荷も、人々の祈りを聞くこともないと言うのに」
幼さゆえのその好奇心は、水町にしばしの猶予を与えた。
そして答えを待つ紫濁の瞳は、ただ面白がるだけでなく、幾分の真剣さを帯びはじめている。
(神格を奪われて尚、ここまでの働きをする。何がこの者を動かすのだ)
いつか神格の役割も竜宮も放り出して、望むがまま奔放に生きたい、
その思いはまだ巴津火の中にくすぶり続けている。
穂産姉妹や水町のようなかつての神格は、そんな巴津火自身の考え方を大きく変える
切欠となりうることに、この半神にして半邪神は薄々気づき始めていた。
466
:
病院組
:2011/10/14(金) 01:31:43 ID:???
>>464-465
床に崩れ落ちた纏は、翠色の瞳を開いたままぴくりとも動かない。
魂魄が抜き取られたのだから当然だ。
小鳥遊は激しい怒りに歪んだ顔で、水町に喰ってかかろうとしている。
それを東雲が掴みとめていた。
二人を見た黄道は、スカートの裾をぎゅうと握り締めて叫ぶ。
「纏センセーを返してよ、ばかぁ!」
「じゃあこっちだって俺たちの意思だ。
お前さんがいくら強くても、こちらと簡単に間引かれる気はねーぞ。
……くそっ、腹減ってイライラしてきやがった!」
右腕を引きちぎり、黄道が肉塊の戦士たちを生み出す。
口から炎を噴出しながら、日野山が構える。
(――無理だ)
東雲はその身に水町の強さを感じ取っていた。
半妖のうえ、実戦経験の少ない二人が、彼の相手になるわけがない。
だが小鳥遊を引き留めている以上、下手に手は出せない。
そこで、巴津火と一瞬目が合った。
「テメェ……」
悪意の含まれた言葉に、ぎりと奥歯を噛みしめる。
だが、この自制のきかなくなっている医者は、確かに自分の命綱だ。
じゃらりと、自分を拘束する鎖の音が聞こえるようにも思えた。
467
:
水町
:2011/10/15(土) 19:13:38 ID:tElbSrz.
>>466
にわかにいきり立つ黄道と日野山をチラリと見据え。
水町は心の中でため息をつく。
(厄介なことになったな)
このまま巴津火を無視して戦いに挑んでもいいが、
また同じことが繰り返される可能性が出てきた以上、続けるわけにはいかない。
最悪今回の犠牲が全員無駄死にになる可能性すらある。
(まぁそもそも、放っておいてもなんの問題ない可能性すらあるというのに)
そのことが常に水町を悩ませ続けたのだ。
どんな形であれ、人の営みであることには変わりはない。
彼等のやることと人が医療を進めることに差異を見出すことは困難だった。
ならば口を出すことも余計なのでは、と。
「・・・邪魔だ」
纏の魂魄を奪おうとする巴津火の手を力いっぱい跳ね除けると、纏の胸に差し出した。
光り輝く野球ボール大の魂魄は、水面に沈んでいくように纏の胸に溶け込んでいく。
「返すから少し黙っていろ」
魂魄が溶け込むのを確認すると、そのまま纏を掴んで2人の元に投げ飛ばした。
>>465
やがて巴津火に向き直る。
「人間“ごとき”か、神性“ごとき”が偉そうに」
吐き捨てるように呟くと、また何処か遠くを見るような目になった。
「・・・大した理由ではないさ、私は人に変わって欲しくないだけだ。
多くの人の死に携わってきた者として、死者をも治療する薬など広まって欲しくない。
それだけの事よ」
水町は巴津火が納得するような答えを持ち合わせていなかった。
持っていたとしても答える気は無かった。
今の水町にとって巴津火はただ憎いだけの存在なのだ。
「貴様があの男の狂気の為だけにこの事態を招いたというなら。
私はやはり彼等の進化を間引く必要がある。
今や私は腐臭と同じくらい竜宮の者が嫌いだからな」
また口実のような建前を並べる水町。
468
:
巴津火
:2011/10/15(土) 20:30:14 ID:1gBuqmPQ
>>466
>>467
いずみと日野山がいきり立ち、さあこのまま戦闘か、と思われたその時。
噴出した水を動かそうとした巴津火の耳に微かに届くものがあった。
(こざるが泣いてる?)
水町の水難の呪により建物の水道管を伝った水の衝撃。
それを沈めるためとこれからの戦いのために呼び出そうとした水が、遠い病室の夷磨璃の泣き声を
巴津火にも伝えたのだ。
巴津火が動作を止めたその一瞬の中で状況が変わった。
水町は纏の魂を戻し、いずみ達の方へ纏の身体を預けていた。
「戦うんじゃないのか?…神性ごとき?」
何か不思議なものを見るように、水町の吐き捨てた台詞を繰り返し、
その言葉と纏を返した行動との整合性を探りきれない幼い心は戸惑ったように揺れる。
(もし神格というものが捨て去れるものならば、この者の言うことも繋がるのかもしれない)
ふとそこへ思い至った巴津火は、水町へ再び好奇心に満ちた、しかし挑戦的な視線を向けた。
水町の意図したこととは異なるかも知れない。
しかし巴津火にとって水町の立場が、酷く自由に満ちたものに見えたのは確かだ。
つづく水町の言葉に、再び巴津火の口元に楽しげな笑みが浮かぶ。
「竜宮嫌い、か、お前とは気が合いそうだ。
お前がどうしてもあいつらの可能性を間引きたいなら、ボクを負かしてみろ。
何時でもお前の相手をするぞ」
夷磨璃に影響の出る今この場では、派手に戦うつもりはなかったのでこう言ったのだが
しかしこの時確かに、具体的な方法は定めていなかった。
こうして幼い邪神は気づかぬまま、水町に有利な挑戦権を与えてしまっていたのだ。
469
:
病院組
:2011/10/15(土) 23:55:29 ID:???
>>467-468
「 ――、ふ……」
すう、と微かに胸が上下する。
直後纏は、黄道と日野山に向かって投げ飛ばされた。
「お、っとと。おい、纏先生!」
日野山が慌てて纏を受け止める。
意識は失われたままであったが、顔を見れば生気が戻っているのは明らかだ。
黄道と日野山が、同時に安堵の溜め息をつく。
いきり立っていた小鳥遊も、纏の安全を確認して、僅かだが落ち着いたようだ。
とはいえ、怒りが収まった様子はないため、東雲はいまだ気が抜けなかった。
(間引きだかなんだか知らねーが、また面倒なことになりそうだ。
チッ、クソ医者の前じゃ下手なこともできねェ……)
そこへ飛び込んだ巴津火の発言に、東雲は眉を潜める。
そんな簡単なことを言っていいのか――そう尋ねようとすると、目下の小鳥遊の視線に気付いた。
こちらへ向けられる淀んだ瞳に、背筋が粟立つとともに、その意図を読み取る。
――『黙っていろ』。
この巴津火の発言は、小鳥遊たちにとって都合のいいものなのだ。
470
:
水町
:2011/10/17(月) 09:53:09 ID:tElbSrz.
>>469
「そうか」
表情には出さずともイライラを募らせる水町。
どうしてここで貴様がしゃしゃり出てくるんだと。
なぜ小鳥遊医師の問題なのに、わざわざコイツを通さなければいけないのだと。
どこまでも邪魔な奴だ、どこまでも問題をややこしくする奴だ。
(だがこれは好機だ、この者の考えを改めない限り問題の根本は解決しない)
真に人の生死を考え、小鳥遊医師に肩入れしているならばこちらは出る幕ではないが。
あの竜宮の使いとこの主を見る限り、全くの考えなしだ。
(人に死すらも克服させる妙薬。
老衰以外のあらゆる死因をこの世から失くすことさえできる力・・・。
この愚か者が気まぐれに人に与えるには、あまりに大きい問題だ)
だがそれは逆に、あらゆる死因を乗り越えるチャンスを未来の人々から奪うことでもある。
生きるはずだった者、失う悲しみを全て・・・。
「では小鳥遊医師の所有権をかけて貴様に挑戦したい。
方法と日時はそちらに任せよう」
ポツリとそう呟くと、水町は巴津火に背を向けた。
>>469
「最後に小鳥遊医師よ、1つ聞かせてもらいたい」
水町は暗い水底のような眼で、真っ直ぐに小鳥遊を見据えた。
「私の言うことが理解できず、または意にも掛けないのならば。
なぜあの時『堕ちてやる』などと言ったのだ?
貴方がただ人を救いたいだけならば、堂々と正義を名乗ればよかろうに」
二者の間で1つだけ決定的な思い違いがあった。
水町は小鳥遊を悪などとは思っておらず、
むしろただ救いたいのであればひたむきな善であるとすら思えていたのだ。
ただその果てにある結末が怖ろしい故に、水町は彼等を消そうとした。
未知の結末さえ鑑みなければ、彼等は人の救世主ですらあるのだ。
471
:
巴津火
:2011/10/17(月) 18:50:25 ID:1gBuqmPQ
>>469-470
「纏、無事か」
息を吹き返したらしい女河童に声を掛けたのは、その身を気遣ってではなかった。
「無事ならこざるを頼む。さっきからあいつが泣いてる」
今の纏では水町の相手はできないことは判った。
しかし、夷磨璃を診にいくことなら彼女にもできる筈なのだ。
「小鳥遊の所有権を?」
水町の言葉に、むむ、と眉間に皺を寄せて巴津火は小鳥遊を見た。
しばらく考え込んだ後に眉間の皺は消え、水町に向き直ると頷いた。
「よし、乗った。そのかわりボクが勝ったら、お前にある事を一つ手伝ってもらうぞ」
いつか竜宮も神格も捨てる時に、この水妖に逃走の協力をさせる腹積もりでこの半邪神は頷いた。
「勝負はこの場所で。しかし普通に戦えば病棟の患者に影響がでるか…。
何か他の勝負事を、できれば小鳥遊自身に決めさせようかと思うがどうか?」
ちなみに中の人的には秒数コンマ以下で勝敗の決まる事を想定中。
元人間である小鳥遊医師達ならば、ダーツなりルーレットなりゲームなり、
人間臭い勝負の決め方を提案しても不自然では無い筈なのだ。
472
:
病院組
:2011/10/19(水) 00:59:39 ID:???
>>470
「……」
深い闇を湛えた瞳に秘められた意味を探るように、視線を繋ぎ合わせる。
しばらくして、小鳥遊はふ、と軽く息をついた。
「この薬を完成させるまでに」
その視線は水町を逸れ、横目で隣の東雲に移る。
目が合った瞬間、東雲は思わず肩を揺らした。
しかしそれはほんの一瞬で、すぐに視線は水町に戻る。
「かかる『犠牲』に対して、僕は正義を名乗る気はない」
それは東雲だけでなく。
黒蔵、黄道、日野山――そしてこれから増えるであろう者達。
「それだけっす」
東雲は、苦々しい顔をして奥歯を噛んだ。
(……これだ。この医者の怖ェところは。
狂ってやがる、本当に、真っ直ぐに)
>>471
「あのなあ坊主! 纏先生はまだ」
「ええ、わかりました」
日野山の腕の中で、纏はぱちりと目を開いた。
むくりと体を持ち上げると、ぽかんとする日野山と黄道を置いてさっさと扉の方へ歩いていく。
「纏センセー、平気なの?」
「あなたに心配されるほどヤワではありません、黄道いずみ」
「ちょっ! いずみ、俺が着いていくからここで待ってろよ」
部屋から出ていく纏を追って、日野山も出ていく。
置いて行かれた黄道は、ぶうと頬を膨らませて、小鳥遊達のいる方を見た。
「――僕の所有権、っすか。僕が決めていいんすか?」
自分の所有権についての勝負内容を自分で決めるとは、なんともおかしいことだ。
小鳥遊はくつくつと笑いながら、人差し指を立てる。
「……では、こういうのはどうでしょう」
「『クラップス』。二個のダイス――サイコロの出目を競うゲームっす。
ここでは出目の数が多い方が勝ち、少ない方が負け、ということでどうでしょうか」
473
:
水町
:2011/10/19(水) 23:56:06 ID:tElbSrz.
>>472
「犠牲、か」
水町ははたと眼を閉じる。
(やはり、この医者には非の打ち所がない。
殺される側の方に非を求めようとするのは私の我侭ですか)
あらゆる死因を失くすことのできる妙薬。
死者すらも救うことのできる力。
その犠牲にしてはあまりに小さく、そして少ない。
それにどういう形であれ、日野山や黄道は生きている。
小鳥遊が実験の為に殺したのでもない限り、
命の恩人であることに変わりはなかった。
>>471
巴津火からの提案に、水町は頷く。
「かまいませんよ、何でも手伝いましょう」
すっかり毒気の抜かれた口調だった。
「まぁ、竜宮の主に対して私ができることなど高が知れてますがね」
そう、何もできない。
災いを招くだけの神性、人を傷つける為だけに生まれた妖怪。
それゆえに・・・。
小鳥遊から提案された賭け、『クラップス』。
「サイコロですか、いいですね。運を天に任せてみましょう」
そう。結局なにが正しくて、なにが間違いだなんてわかりはしないのだ。
ならばこんな5分の確率でも悪くはない。
「しかしこんな公平な賭けでいいのですか小鳥遊医師?
私が勝ったらまず間違いなく薬は完成しませんよ。
それどころか貴方自身の命すら危ないというのにね」
474
:
巴津火
:2011/10/20(木) 21:03:02 ID:1gBuqmPQ
>>472-473
纏が日野山を従えて部屋を出てゆく音を聞きながら、巴津火は小鳥遊の表情を注視していた。
この人間は自分自身が賭けの対象となったのに、不安がるどころか
むしろサイコロに運命を委ねることすら面白がっている。
「お前らしいな。ごまかしの利かない方法だ」
薄い笑みを浮かべて紫濁の瞳が細められた。
賭けたことが今更惜しく思える程に、この医師は目的のために冷徹で
自覚も公平さも失っていない癖にしっかりと狂っている。
「お前のそういうところがボクは気に入っているんだ。
…使うサイコロは小鳥遊に用意してもらっていいか?」
水町に確認しながら、どんな結果になろうと後に不平を言うことはするまい、そう巴津火は決める。
小鳥遊は用意するサイコロに細工することも可能だ。
そして水町の毒気が抜けるのと反比例して、巴津火の妖気にはどこか含みのある不穏さが混じる。
「お前でなければできないこともある」
次期当主として大人しくしてさえ居れば、今の巴津火には何の苦労もない。
しかしまだ幼い巴津火は、逃げ出そうとすれば守役達に追われ、
逆に歯向かえば数の多さで押さえつけられてしまう。
かと言って竜宮の全員を相手にできるだけの力をつければ、今度は草薙剣に竜宮の主として
認められてしまい、より一層神格としての縛りは強くなるだろう。
そのジレンマから抜け出し自由になるためにも、水町のように竜宮に属さない者を抱き込むのは
逃走のための重要な布石なのだ。
「…竜宮なんかクソ食らえだ」
誰に聞かせるつもりもなく苦々しく呟いた言葉は、小鳥遊たち元人間の耳には届かないほど小さかった。
475
:
病院組
:2011/10/21(金) 22:35:19 ID:???
>>473-474
「あからさまにイカサマができるような賭けを提案しても、納得なさらないでしょう?」
毒気を抜かれてしまった様子の水町に、小鳥遊も刺々しさが消え、にっこりと笑いかける。
しかし細めた目の奥には、決して運に身を委ねる気などなかった。
例えこの賭けに巴津火が負けたとしても、簡単に殺されてやる気は毛頭ない。
死んでも死ぬつもりはない。この薬を完成させるまでは。
しかし、そんな思いはまるで表に出さず、巴津火に視線を移す。
「わかりました」
小鳥遊は軽々と頷く。
簡単に了承する小鳥遊を目下に、東雲は言い知れない不安を感じていた。
コトコトと沸き立つ、気持ちの悪い予感。
(こんな賭けを持ち出した時点で、クソ医者がサイコロに細工をするとは思えねェ。
本当に運に任せるつもりなのか?
なら、なんだ、この胸糞悪ィ感覚は……)
なんにせよ、この賭けは小鳥遊だけでなく、己にも重く関わることなのは事実だ。
水町が勝てば、この鎖から抜け出せるかもしれない――。
476
:
水町
:2011/10/22(土) 22:59:28 ID:tElbSrz.
>>474-475
「どうかな、イカサマは案外得意だったりしますから」
水町はククク、と小さく笑う。
しかし深遠の目はやはり小鳥遊を捉えて離さなかった。
(やれやれ、こちらも一筋縄では行かない相手のようだ)
水町はまたため息をつき、巴津火に目を移す。
(こちらはこちらで稚さ過ぎる。
まったく、親の顔を見てみたいものだ)
役割から解放された神性はどんな末路を辿るのか、
水町には巴津火にそれがわかるとは到底思えず、
また巴津火が神格を邪魔に思っているなどとも知りようがなかった。
“竜宮嫌い”の主をしばし眺めて水町は背を向ける。
「では後日、また会いましょうぞ」
再び透色の迷彩に身を包み、水町はヒタヒタと水音を響かせその部屋から退出した。
477
:
巴津火
:2011/10/23(日) 19:13:01 ID:1gBuqmPQ
>>475-476
「なんだあいつ、ため息ついてボクの顔見やがって。
言いたいことあるならはっきり言えよ。竜宮の奴らみたいじゃないか」
わがままなお子様には、水町の表情が含む何かが気に食わなかったようである。
邪神としての性と幼稚さが入り混じる紫濁の瞳は、拗ねた色を浮かべて消えゆく水町の気配を追った。
そして拗ねた表情のまま小鳥遊の白衣を掴む。
犬御が胸騒ぎを感じた不穏な気配は、小鳥遊の静かな狂気と合わさり巴津火にとっては
苛立ちを宥める方へと作用した。
「これはまだボクんだ」
お気に入りの玩具を手放したくないというように、口を尖らせる。
しかし乗ったのは自分であるし、なにより気に入ったものを賭けるのでなければつまらない。
(いつか自由も手に入れてやる)
首に巻かれた真綿のような「次期当主」の肩書きを振りほどけない子供は
泣き出しそうに歪んだ表情を白衣に埋めて隠した。
そしてしばらくして落ち着いたら、また眠たくなるのだろう。
478
:
病院組
:2011/10/24(月) 23:33:49 ID:/AfNAO.Q
>>476-477
「ええ――それでは、また」
自分を殺そうとしている相手に、殺そうとしている相手に、「また」とは。
あの妖怪も案外性格が悪いんじゃないか、と東雲は訝しむ。
彼にしてみれば、水町の登場は、展開次第によっては好機のはずなのだが……。
水町が消えていったのを見て、黄道が駆け寄ってくる。
「あーもう超怖かったんだけど! なんなのあいつ超ありえない! ……あれ、巴津火?」
「おやおや、大丈夫っすか?」
白衣に顔をうずめた巴津火の頭を、小鳥遊が宥めるように撫でる。
その周りを、黄道はおろおろと回る。
「ちょ、ちょっと巴津火どうしちゃったのよ?」
「きっと疲れたんでしょう。黄道さん、落ち着いたら、巴津火さんを休憩室まで送っていって下さい」
「うん……」
心配そうに黄道が頷く。
しかし小鳥遊にとって、巴津火が自分に執着しているこの状況は好ましかった。
賭けの結果次第では、利用することにもなるだろう――。
小さな竜宮の次期当主を腕の中に、小鳥遊は口端を僅かに釣り上げた。
479
:
名無しさん
:2011/10/29(土) 07:32:46 ID:HbHPxpxY
本スレ
>>124-125
『うん?え、どこに・・・』
「ミナクチ、捕まるなよ・・・」
逃げるミナクチとそれを追う叡肖。きっとミナクチは捕まってしまうのだろう。
そんなことも知らず、二人を見送った。
そして問題はこちらである。
『・・・・・・ッ。』
倒れて行く氷亜を支えると、ゆっくりと河原へ寝かせる露希。
『黒龍、応急処置だけお願い。ボクは包帯買ってくる。』
「えー、俺、カンケーないじゃん。」
『・・・零の等身大抱きまくらをあg「よし、分かった。」』
そう行って露希はどこかに行ってしまい、残された黒龍は治癒魔法を使って治すはず。
今日のぷにゅるの魔法は大活躍した・・・?
そして氷亜が目覚めた時には、包帯で巻かれている自分と、うたた寝しながら膝枕をしている女の露希を見るのだろう。
480
:
氷亜
:2011/10/29(土) 09:53:04 ID:bJBnsqT6
>>479
いくら実践慣れをして、大怪我の一つや二つ経験したはずの氷亜でも、
自分の額から相当な出血をしてしまうほどのものは耐えがたいらしく、
半ばうなされるように、失神しながらも痛みを感じていた。
そしてついに意識は痛みによって再び、半ば強引に呼び戻され瞼が開いた。
「・・っ、あぁ・・・。
成功したんだね、良かった。本物の露希だよ・・・」
寝ぼけ眼と言うか、未だ焦点のしっかり定まっていない目で露希を見つける。
しかし気絶をしてから、目を覚ますと女性の露希がそこにいたので、
まだ氷亜の中では幻想世界こそ、嘘の幻だということは理解できていない。
「にしてもあれだけの強力な幻術、一体誰の仕業なのかな?
僕もあるていど、そっちのほうにも対策していたつもりなんだけど・・・」
力があまり入らないのかぼそぼそと呟く氷亜。
敵は露希が妥当したのだろう、と納得してから彼の胸に去来した感情は、
なによりもあっけなく惑わされてしまったことへの悔しさであった。
存在しない幻術の、存在しない幻に自ら惑わされたのだから、
到底打破できないというのは当然のことなのだが。
しかし、氷亜のそう言った戦闘分析の思考は、あまり長く続かなかった。
あえて言うのなら30秒だけ、それから後はふと気付いた事実に驚くのである。
「(ろ、ろろ露希が、が、ひ、膝まく、ら!?)」
頭に強烈すぎる衝撃を負ってしまったため、
まだ体が思い通りに動かせない氷亜はいわゆるラッキースケベ(彼なりの沸点で)
を強制的にか自発的にかで体験した。
それからは華音が目覚めて、再び別の誰かをホイッスルで呼ぼうとするまでは、
氷亜はずっと胸の動悸が露希に気づかれないかにびくびくしながら、
膝枕をしてもらうのである。
/僕のほうもこれで〆ます
/絡みありがとうございました
481
:
露希
:2011/10/29(土) 15:44:04 ID:HbHPxpxY
>>480
『んみゅ・・・あふぅ・・・zzz』
むにゃむにゃとうたた寝した露希は正に氷亜にとっては天使なのだろう。
うたた寝といっても、結構深い眠りのようで、氷亜の呟きには全く気づかない。
なんせ、包帯を巻くのに氷亜が唸り声を上げるので、何かと大変だったのだ。
だが、それでも氷亜を治そうと頑張った露希の想いは膝枕で現れた(?)ようだ。
露希もしばらくは目覚めないので、誰かが呼びにきたついでに起きるだろう。
//絡みありがとうございました&お疲れ様でした
482
:
俺様(フェルニゲシュ)
:2011/11/03(木) 23:05:32 ID:HbHPxpxY
ここは街の繁華街。
夜もふけ、人通りの少なくなった通りに、妙な人物がいた。
紫色のくせっ毛、口にはタバコを加えているのが印象的だ。
「やっぱり生きるっていいな、タバコを吸うときとビール飲むときは、最高に生きがいを感じるぜぇぇっww」
ニヤニヤとやらしい笑みを浮かべた男は、ふらふらと繁華街を歩いている。
483
:
黒蔵
:2011/11/03(木) 23:13:03 ID:1gBuqmPQ
>>482
(役立たず…俺、役立たず)
今のお前じゃ仕事にならないからちょっと頭冷やして来い、と言われ
ふらふらと店を出てきた貧乏ホストは、すっかり冷え込んだ夜の空気と
タバコの煙を胸いっぱいに吸い込み、思い切りむせた。
「…げっほ!」
今でこそ人とほぼ変わらない肉体ではあるが、うわばみの性としてタバコのヤニは大嫌いである。
「うぇっほ、げっほげほ、ぐえーーっほ!!!」
酔いも相まってのことだろう。
愛煙家の皆様にいちゃもんをつけるかの如く、派手に大げさな咳が、静かな夜の空気を揺らす。
「…おぇっ、タバコ臭っ」
わざわざ最後に小さく嗚咽するあたり、もう喧嘩を売っているとしか思えない。
484
:
俺様
:2011/11/03(木) 23:21:10 ID:HbHPxpxY
>>483
「ああ?www」
ざまあみろ、とでも言うように黒蔵の前で再び煙を吐く。
そもそも、常識とか通用しないコイツは、人の嫌がることを平気でやるのだ。
そして、再び歩こうとしたとき。
「ぎゃああああ!?い、いてえ、いてえええー!死ね糞、こんなとこに自転車置くなカスww」
路上駐車してある自転車に脛をぶつけたのだ。
まだこれはいい方、酷い時にはショーウインドーに頭を突っ込む。
多分、ドジじゃなくて馬鹿なのだ。
485
:
黒蔵
:2011/11/03(木) 23:27:55 ID:1gBuqmPQ
>>484
「おいお前ぇ!俺を殺す気かぁっ!!」
貧乏ホストは、中性的な顔立ちを赤く上気させて俺様を指差して怒る。
この体だからタバコも臭いだけで済んでいるが、元の身体だったら数日寝込んでいるところだ。
しかし怒ってはいるのに、どこかその目は焦点が定まらない。
「あはははは!!うはははは!馬ー鹿でぇーー!!!」
そして自転車につまずいた俺様のドジっ子ぶりに、たがが外れたように笑い出した。
ちなみにまだ指差したままである。
その赤い顔が吐く息はどうにも酒臭く、酔っているのは明白だった。
486
:
俺様
:2011/11/03(木) 23:38:02 ID:HbHPxpxY
>>485
「なんだぁ、お前は?俺様を笑ったなあ!?www
いい度胸してるなぁ・・・・・・!!・・・っ、いててて!」
酷く赤面した俺様、だがまだ脛が痛む。
きっとペダルの硬い部分にぶつけたのだろう。
「ならばいいぜ、乗ってやるよHoooo!www」
フー!と叫ぶかと思えば、懐からカンビールを取り出し、黒蔵に吹っ掛けた。
「ぶっ、ははははは!ざまあみろwwww俺様がお前みたいなチャラ男に負ける訳ねーwwwwww」
チャラい=ホスト らしい、俺様の中では。
487
:
黒蔵
:2011/11/03(木) 23:46:58 ID:1gBuqmPQ
>>486
「目が!目がァァ!!」
ビールは目に染みる液体だ。
「やりやがったなー、こンのぉ!」
びっしゃぁぁぁ!!と発泡性の液体を頭から被った貧乏ホストは
前髪に白く流れるビール泡をくっつけ、ずいずいっと俺様の方へ歩み寄る。
しかしどうにも上体がふらつくのは隠せない。
「だーれーがチャラ男だぁぁぁ!!!そういうのは虚冥さんに言えぇぇっ!!」
先輩ホストが聞いたら怒られそうな台詞も、酔っていればこそ吐けるのだ。
酒臭い息を吐き、服をビール臭く塗らした貧乏ホストは右拳を大きく振りかぶって俺様の頭を狙い
「おわっ!」
ぶん殴るのかと思いきや、その首に右腕を絡めようとした。
というのも貧乏ホストの足元の歩道には小さな段差があって、そこに躓いたためである。
488
:
俺様
:2011/11/03(木) 23:56:55 ID:HbHPxpxY
>>487
「ぶっはははは・・・あん、・・・・・・ぐえっ!?」
黒蔵の攻撃は成功(?)して、俺様は顔面から地面にぶつけた。
きっと効果は抜群、もの凄い勢いでたたき付けられたらしく、すぐに鼻血が吹き出した。
「いっいっ、俺様死んじゃうよ、うぎゃああっ!」
鼻を抑えながらその辺りを走り回り・・・。段差に躓いた。
「ぬぶおっ・・・◎×△mたJPぎhに・・・・・・」ピクピク
再び顔面から、地面とお友達した俺様は、動かなくなった。
489
:
黒蔵
:2011/11/04(金) 00:04:55 ID:1gBuqmPQ
>>488
「……。」
俺様の受けたダメージを貧乏ホストが知ることはなかった。
というのも、俺様の首に腕を絡めつつ、躓いたことで貧乏ホストも一緒に倒れ、
歩道の敷石に頭をぶつけていたためである。
鼻血の出た俺様が大騒ぎして走り回っているその間、貧乏ホストのほうはピクリとも動かないで
うつ伏せに倒れていた。
そして酔い覚ましにしては余りにも遅いので様子を見に出て来たホスト仲間に回収されるまで、
ビール塗れで地べたに横たわっていたこの貧乏ホストは、その後の数日間を、風邪で寝込むことになる。
490
:
俺様+α
:2011/11/04(金) 00:13:28 ID:HbHPxpxY
>>489
『フェルニゲシュ・・・我を困らせるな・・・。
この者にも迷惑掛けたのか・・・。』
黒蔵が倒れた後に現れる白い影。
呆れた顔のそいつは、俺様を回収すると同時に、黒蔵を見つめた。
しかし、何かをするわけでもなく、血塗れの俺様を持って返ってしまった。
491
:
黒蔵
:2011/11/04(金) 00:19:05 ID:1gBuqmPQ
>>490
「あー?こいつ酒被ってね?」
「マジ?またクリーニング代で泣きを見るんだな」
「おい、起きろ黒蔵?でないとこのままランドリーマシンに突っ込んで洗うぞ?」
「だめだコイツ、起きねー」
自分を回収してゆくホスト達の会話も、白い影も、酔いが覚めた貧乏ホストの記憶には
残っていないのだった。
//では、ここで〆で。絡みありがとうございました!
492
:
巴津火
:2011/11/05(土) 22:45:50 ID:1gBuqmPQ
以前に、氷亜が雪猩々の身体を捨てた戦いの場となったあの山の中。
傾いた太陽が日差しを木々の隙間から差し込ませているが、
晩秋の山の気は既に酷く冷たい。
そこにジーンズにニット帽、青いジャンパー程度の軽装の少年が一人でいるのは奇妙でもある。
もっと奇妙なのはその小柄な少年が、自分の身の丈ほどの大剣を振り回して
辺りの潅木をなぎ払っているのだ。
「うがーっ!!!いい加減に従え!!ボクを誰だと思ってるんだ!!」
(くっそ、言うこと聞かないでやんのっ!)
その少年、巴津火は苛立ちを隠そうともせず、誰に当り散らしているやら判らぬ台詞を
一人喚いている。
493
:
夜行集団
:2011/11/05(土) 22:57:26 ID:bJBnsqT6
>>492
身の丈に合っていない彼の大剣が、空を数回ひっ掻いた時、
少年のいるこの山の木々、葉、草、全てが激しく揺れ動き始めた。
それは、とある暴風による仕業である。
「はっはっはっはっは!!
未熟的だな、とは言ってもそれは神器だから、
貴様は別段恥じる必要もないがな」
そこら中から反響する男の声の後、
日常でこれだけの風が吹けば当然暴風警報が出されるほどの、
凄まじい突風があたりに渦巻き始める。
大量の砂ぼこりに舞うこの場の中心に、この暴風の目が出現し、
中には、赤く塗られた天狗の面が見えた。
494
:
巴津火
:2011/11/05(土) 23:08:59 ID:1gBuqmPQ
>>493
「うぷっ!天狗の羽団扇風か!?」
暴風に舞い上がる木の葉と塵に、巴津火は左袖で鼻を覆い目を細める。
「はっ、はっ、……未熟で悪かったなっ!言うこと聞かないと鋳潰すぞゴルァ!」
既に大きく肩で息をついていたこのクソガキ様は、天狗に答えて直後、大剣に悪態をついた。
どうやら順調にDQNへとお育ちにおなり遊ばしている模様。
「これが神器なこと位はボクだって判ってる!
けど、コイツの前の持ち主はボクに役目とともにこれを譲ったんだ!
ボクの言うこと聞かないのはこれが悪い!」
いくら巴津火が見た目によらぬ腕力を持つとは言っても、体格が秋牙羅未とは圧倒的に違うのだ。
大剣の太すぎるその柄を握るだけでも、巴津火の手には余る。
駄々をこねる半邪神の手の中で、夕陽を浴びてその長い刀身が橙色に輝いた。
495
:
天狗
:2011/11/05(土) 23:21:01 ID:bJBnsqT6
>>494
あたりを突然に騒々しくした暴風は止んでいき、
彼の姿を隠している砂ぼこりも静まって少し落ち着きを取り戻す。
丁度風の渦巻きの中央にいたこの天狗の姿も、
巴津火の前に堂々と腰に両手をやった、俗に言うえばる格好で現れた。
「ふむ、若干失望的だ。
あの骨から生意気だが実力は相当、と聞いてやってきてみたのだが存外、
いややはりまだまだ未熟的だな」
どうやら、勝手に期待を抱いて飛んできて、
勝手にこの天狗は巴津火の姿を見、そしてがっかりしたようである。
顔の片面でかぶられた、赤い天狗の面がない方の頬をぽりぽり掻きながら、
天狗はゆっくりとした足取りで巴津火に近づく。
「無知的だ。言うこと聞く聞かんなど、神格を纏った神器相手の言い草ではない。
貴様はそもそもを間違っておるのだ」
振り回される大剣に恐れる風もなく近づいた天狗は、
にやっとその中年男性の口角を上げて、見下ろし笑った。
496
:
巴津火
:2011/11/05(土) 23:29:54 ID:1gBuqmPQ
>>495
「骨?ああ、あいつか」
既に消耗している巴津火は、大剣とともに落ち葉の吹き溜まりにどさりと腰を落ち着ける。
散り落ちた錦秋の名残が橙色に輝く刀身と、青い服の子供とを柔らかく包んだ。
「だってコイツ、破邪の剣なんだもん。邪神のボクを嫌ってるのは嫌でも感じるし」
巴津火は口を尖らせて、膝の上に大剣を横たえた。滑らかな刀身には紫濁の瞳が映る。
大剣相手に十二分に暴れ疲れて、今の巴津火は少々大人しい。
神崩れとなった穂産姉妹神を守護する神格であった秋牙羅未は、本来なら神崩れの責を追う立場ではない。
その神器であるこの大剣もまた、その持ち主の役割と破邪の力を正しく受け継いだままである。
それ故に半邪神の巴津火と、この神器とは相性がとことん悪いのだ。
497
:
天狗
:2011/11/05(土) 23:38:29 ID:bJBnsqT6
>>496
巴津火の言葉を聞いた、この中年男は口をつぐみ、
何かを考え込むように視線を斜め上へと放り投げていた。
しかし答えが出たのかふむ、と一言呟いて天狗はいきなり、
どかっと巴津火の目の前に胡坐をかいて座った。
「唐突的だが、少しのヒント、むしろ答えを教えてやろう」
どうやらこの天狗は気まぐれで、巴津火に何かを教えようとしているらしい。
だが、気まぐれとは言っても恐らく、
その発想の裏で仲間穂産姉妹の守護神の形見、彼が預けた理由が脳裏をよぎったと思われる。
「まず貴様がこいつを扱えん最大の理由は、
貴様がこいつを扱おうとしておるからじゃ」
そして天狗の口から出たそのヒントとやらは、
到底参考にもできないような荒唐無稽なものであった。
498
:
巴津火
:2011/11/05(土) 23:46:13 ID:1gBuqmPQ
>>497
「扱おうとするのは駄目なの?」
天狗の言葉にもう一度じっと刀身を見つめて、その神器としての能力に触れなおす。
どこかぴりりとした緊張感のある、剃刀のように鋭い反応が、巴津火の意識に返ってきている。
「でも扱おうとしないと、こいつはボクを切るつもりなんだ」
破邪の刃を半分とは言え邪神が握る、その矛盾を簡単に受け入れるような神器ではない。
この刃に切られれば巴津火でも無事には済まないのだ。
「…無理もないけど、な」
そして巴津火は穂産姉妹を討つ名目の神代にも与している。
499
:
天狗
:2011/11/06(日) 00:00:40 ID:bJBnsqT6
>>498
答えるように巴津火を指差して、
天狗はのそのそと懐から酒の入った酒瓶を取り出した。
「当然的。刃が物切るのは最初からではないか?」
真面目な話をしているはずなのに、躊躇する素振りも見せずそれの栓を開け、
ぐいっと傾けて豪快に天狗は酒をかっ食らい始める。
しかし巴津火に向かったその瞳孔は、
酒にわくわくと喜び弾むような爺の気配なく、どこか戦士の持つ光を感じさせていた。
「確かにそれは破邪の力。だが、穂産姉妹の守護神ともなるような輩だ、
多分こいつにとっての邪は、恐らく神々の認めるところのそれとは違うのだろう。
まあ僕がそのまま無粋に答えを教えるならば、
邪とは邪神の邪でなく、禍々しき、邪心の邪なのじゃろう。
大事なのは貴様じゃ。託されたのはマンドラゴラや燈篭でなく、貴様なのじゃろう?」
その自分の行いによって、今まさにむざむざと殺される運命を選ぶような、
強烈で苛烈すぎる意思の強さを持った穂産姉妹。
姉妹の守護神なのだから、では彼らも、
独自に惨すぎるほどに愚直な正義を持っている、天狗はそう考えたのだ。
500
:
巴津火
:2011/11/06(日) 00:18:32 ID:1gBuqmPQ
>>499
「そりゃ、こいつは剣だし託されたのもボクだけどさ…」
この時の巴津火は何時になく不安気だった。
穂産姉妹を守るための剣なのだから、そのために巴津火が動くならばこの刃は
巴津火を狙わずにこの手にも扱われるだろう。しかしそのためには
「そうなるとボクはこれで、神代を斬らなくちゃならなくなる。あいつには何の非もないのに」
そして神格の役割として、穂産姉妹を討つこともしなくてはならない。
「でも、神格の役目だからと双子を討つのもボクにはちょっと腹立たしいんだ。
理由をぼかされたままで、天界の言うことにボクが黙って従ってやる義理はないからな」
天界への怒りが思い出されると同時に、暴れ神の性も復活してきたようだ。
不穏で不敵な笑みが、徐々に疲労の表情に取って代わった。
「いっそ、どっちもぶち壊してやるのも面白いと思う」
501
:
天狗
:2011/11/06(日) 00:32:06 ID:bJBnsqT6
>>500
「不可避的。貴様も縛られておるのだな」
目線を伏せて、また酒瓶を傾ける。
そして瓶から口を離して天狗は、やれやれと溜息をついた。
「当然的、わしの方でも天の意向に探りを入れておるが、
何故か天のこの件に関しては、異常なほどに情報の規制が厳禁となっておる」
どうやら天狗にもそのぼやけた部分は分からないようで、
仲間、僕、全てに情報を探らせているが、
深く天と関わりのある神格持ちまでもが、神代の件の情報は得られなかった。
「壊してやる、不遜的だ。
だが、俺も貴様のそれには賛成しよう。
骨もあの桔梗も言っておったが、実はそれぐらいの妨害が、
この流れは必要なのかもしれん。場合によっては神代を殺める程でな」
巴津火の不敵さに呼応するように、
天狗も機嫌よさそうにニカっと顔を輝かせて笑った。
しかし最後の言葉に関しては、目に映るものは非情、である。
502
:
巴津火
:2011/11/06(日) 00:47:14 ID:1gBuqmPQ
>>501
「本当にぶち壊してもいいのか?
この件にボクが関わっていることは天界に隠しようがない。
お前達、夜行集団は双子の為なら天界に喧嘩を吹っかけてもいい、と?」
沈み行く太陽がその影響力を失いつつある中で、紫濁の瞳は俄然輝きだす。
しかし神代のことに触れられると、ごく僅かその視線が伏せられた。
「神代を…」
しかし、その口元は企みを含んだ笑みを浮かべ、機嫌よさそうな天狗に笑い返した。
「そうだな、どうせぶち壊すんだ。覚悟は何時でもして居よう」
しかしこの時の腹の底で、巴津火は全く違うことを考えていた。
(天界だけでなく、どうせなら竜宮にも一泡吹かせてやろうか。折角コイツがあるんだ)
言うことを聞かない大剣を値踏みするように見て、使い道を思いついた暴れ神は
夕闇の迫る中一つ深呼吸をして伸びをした。そろそろ汗も冷えて体が冷たくなってきたのだ。
503
:
天狗
:2011/11/06(日) 01:02:56 ID:bJBnsqT6
>>502
堂々と座って巴津火を見つめる。
そして彼のその質問に答える前に、天狗は手に持った酒瓶の中身をぐいっと傾け、
全てを喉を鳴らしながら飲み干して見せた。
息継ぎとして、大きくそして深いため息。
「はっはっはっはっは!!滑稽的!!
それは、吾輩たちに向けられるべき疑問では到底ないぞ!!」
だが突如、天狗は大口を開けて笑いだすのだ。
「我ら夜行は、天を恐れん。地も恐れなければ海も恐れん。
光も闇も、善も悪も、仲間のためとあらば全てに、拙者らは牙をむく。
滝澪王に関しても波旬に対してもそうであったようにな」
巴津火のした笑みにも負けないほどに、
不敵に天狗は口角を大きく釣りあげて見せる。
夜行に対するそう言った心配は、まったくの必要はないようだ。
「くっく、有望的。貴様、私が思った以上に見込みがある。
それだけ貴様に何かの筋があるのだ、
秋牙羅未の託したその刃も応えて、貴様とともに道を切り裂いてみせるだろう。
扱うのではない、自身の後に前にはべらし付き従わせるのだ」
504
:
巴津火
:2011/11/06(日) 01:20:40 ID:1gBuqmPQ
>>503
「それなら安心してボクのすることをお前達に手伝わせていいんだな。
言っておくが、ボクは妖怪遣いが荒いぞ?」
体格はともかく、態度のデカさでは天狗に引けをとらない巴津火。
見込みがある、と偉そうな天狗に上から言われて少々カチンときたために、
ニヤニヤと笑いながらもそう言い返した。
しかしその直後。
「付き従わせる、か。実は面倒なんだよなー、それ」
その言葉にいつも後をついてくる竜宮の守役達を連想し、ちょっぴり苦い顔となる。
「確かさっきこの辺に置いてた……あった」
気分を振り払うように落ち葉の中に立ち上がると、その下から金具の埋め込まれた
真新しい木の鞘とそれを収める布袋を掘り出した。
その鞘からごく僅かに神気が漂っているのは、あの牛神神社の旧神木から材を貰っているためだ。
秋牙羅未の大剣をそこに収めて斜めに背負おうとしたその時、山中に隠しようの無い音が響き、
巴津火がちょっぴり苦い表情になる。
空腹を訴えて、巴津火の腹の虫が鳴いたのだ。
505
:
天狗
:2011/11/06(日) 01:31:53 ID:bJBnsqT6
>>504
「無問題的。貴様程度のわがまま、
あの骨に振り回されている己たちにとっては乳飲み子の泣きべそじゃ」
巴津火に対してよほど気に入ったのだろう、
態度に関して何を言うこともなく、こちらもお前が言うなな内容で返した。
「初歩的。
流れを纏う者が、自分の流れに巻き込まれたものに気を取られてどうする。
貴様も水の流れを宿しているのだろう?」
風も水も、属性を異なる物としている様でいて実は、
流動、という二字においてはとても近しい性質を有している。
だから天狗は全てを介さず巻き込め、と知った者の立場として助言したのだ。
「はっは、空腹的か。
よかろう、自分も丁度腹が空いてきた。話はこれで終いじゃ。
そうじゃ、貴様はどうやって帰るのだ?」
鳴き声を聞いて笑い、天狗は大儀なふうで立ち上がった。
506
:
巴津火
:2011/11/06(日) 01:47:20 ID:1gBuqmPQ
>>505
「でもボクは流れの中のものに纏わりつかれずに、もっと自由に流れたいの」
流れの持つ力は水のほうが大きいが、ずっと自由なのは風のほうなのだ。
力の大きさ故に巴津火には、色々な形の束縛がある。
だから巴津火は頬っぺたを膨らませてそんな我侭を言った。
「歩いてここまで来たから歩いて帰るんだ。ノワールでご飯が待ってる」
低級の水神達のように、自由に水を渡る能力が無いのもその縛りの一つ。
大きな力の神格に気まぐれに動かれては困るのだ。
腹の虫の声を笑われて、気まずい巴津火は俯いて山道へ踏み出した。
その頬の赤みを、夕闇が隠させてくれるだろうか。
507
:
天狗
:2011/11/06(日) 01:58:21 ID:bJBnsqT6
>>506
膨らむほっぺに向かって、
面を半分かぶった男は腕を組み、胸を張ってさらにどんと威張りだした。
「容易的。自由に流れたくば、もっと強くなることだ。
それができれば、纏わる者も纏わりきれずに後を付き従い巻き込まれるしかなくなるからな」
自分はそれができる、そう言いたかった天狗は鼻息を荒くする。
そしてそんな威張り腐った態度のまま、
恥ずかしさを隠して去っていく巴津火を見つめ見送った。
「終着的、どうせ流れるしかないのだ。
ならば、無理やり自分の流れを生み出しても誰も文句は言うまい?」
しばらく巴津火の姿を見つめてから、
天狗は自身の黒翼を大きく広げ、そして雄大に羽ばたいた。
その彼の団扇とともに煽がれた風はとても強大で、
あたりに再び突風を起こしたかと思うと、天狗の姿は一瞬にして消え去った。
/僕の方はこれで落ちにさせてもらいます
/絡みありがとうございました
508
:
巴津火
:2011/11/06(日) 02:09:45 ID:1gBuqmPQ
>>507
「風はいいよな、重いものが纏わって来ないんだもん」
自由に水を渡れないのが恨めしい。
空腹を抱え剣の重みを背負い、
天狗に見送られた巴津火は山の冷気に身をすくめながら夕闇のなかを下りてゆく。
(秋牙羅未の場合は、流されたほうなんだろうか?)
肩に食い込む大剣は、その疑問に答えてはくれなかった。
//絡みありがとうございました!
509
:
夜行集団
:2011/11/10(木) 22:15:38 ID:bJBnsqT6
>>229
,
>>230
,
>>231
黒龍が記憶をゆっくり辿っていき、
突然、虚冥の顔からは血の気が引いていた。
今年はあまり日焼けをしていないこともあるが、それとは無関係に、
今の彼の顔色は、土気色である。
「お・・・おい黒龍・・・。
無?・・・無って言ったか・・・?」
そんな虚冥の言葉は途切れ途切れで掠れ、
見るからにいつもとは違っていた。
「おい・・・おい黒龍・・・
も、もしかしてだが・・・違ったら違うでいいんだが・・・・
そいつは」
手がかすかに震え、目はどうしようもなく泳いでいる。
冷や汗は、既に顔のそこら中から。
「榊、紫陽花って言ったか?」
510
:
田中姉弟
:2011/11/10(木) 22:35:30 ID:c1.PBF/s
本スレ
>>230
本スレ
>>231
>>509
夜「………なんか厄介そうね〜
貴方はその相手に心当たりあるみたいだけど…」
澪に撫でられ落ち着いたようだが、やはり澪の手を握ったまま
虚冥の様子を見て、何か知ってると思いそう聞いた。
夕「零に会ったなら良かった
……って彼女じゃなくって彼氏でいいんじゃない?」
そんな周りのシリアスな空気に関わらず、田中くんは《普通》に黒龍の発言につっこむ。だが虚冥の様子をみて、黒龍が生き返ったのに何かヤバイのが絡んでるかと思ってしまった。
真剣な顔つきで虚冥を見る。
511
:
澪『』&黒龍「」
:2011/11/10(木) 22:46:07 ID:HbHPxpxY
>>509-510
『お前、急にどうした。雰囲気変えて。そんなにも、その榊と言う奴が危険なのか?黒龍さん、どうなの?』
いつもと違って、どうかしている虚冥に問い掛ける。
「彼氏か!そうだアイツ男だ・・・・・・。
すまぬ、話を戻す。・・・・・・確かに本人は名乗っていた、榊と。
本当に無なんだ、無で、何もかも見え透いてるような。」
実際、黒龍が魔法神と言うことも彼女は知っていた。やはり、虚冥は知っているのだろうか。
512
:
虚冥
:2011/11/10(木) 22:54:30 ID:bJBnsqT6
>>510
「い、いや。
多分ただの気のせいだから、俺の思ってる奴と違うと思うし」
虚冥は何故か危うく、焦りが過ぎて取り乱すところであったが、
隣の夜の言葉で我に返り少し落ち着きを取り戻す。
しかし、それがかりそめの安心であることは虚冥の顔を見れば明らかで、
まだ目には怯えに似た光が灯っていた。
「た、ただの気のせいだ・・・・ていう。」
苦笑いをしながら、半ば祈るように俯いてそう呟く。
>>511
それでもなんとか平静を保とうとしていた虚冥は、
黒龍の返答によってまるで雷に打たれたかのように固まり、しばらく何も喋ることができなかった。
どうやら虚冥には、澪の声も聞こえてはいないようで、
先ほどは手にだけであった震えが、今は全身を駆け巡っている。
「な、なあおい!!
嘘だよな!?ただの悪い冗談だよな!?
氷亜か姫か、それか他のに聞いたんだよな!?
ちょっと俺の反応が変わるとか言われて、カラかってみたかっただけだよな!?」
そして突如虚冥は、黒龍に弾かれたような速さで近づき、
乱暴に彼の両肩を掴んで全身をゆすった。爪が黒龍の肉に食い込む。
その様はまるで、子供が駄々をこねている様であった。
目に浮かんでいるのは、もはや驚きなどではなく、
三白眼にも見える状態の目には、涙すら浮かんでいる。
513
:
田中姉弟
:2011/11/10(木) 23:07:57 ID:c1.PBF/s
>>512
>>513
虚冥が黒龍つかみ掛かった瞬間、田中姉弟が動いた。
夕「ちょっとメリーのおじさん!落ち着いて!!」
夜「落ち着いてください!!
澪!!ちょっと離すの手伝って!!」
夕が《八握剣》の右手で黒龍に食い込む爪を外そうと
夜が革手袋からでる無数の妖気を含んだ特殊ワイヤーで虚冥の腕に絡ませ止めようと
店員雪女も慌ててそちらに近づいてくる。
それだけ虚冥の動揺はただごとではなかった……
514
:
黒龍「」&澪『』
:2011/11/10(木) 23:14:41 ID:HbHPxpxY
>>512-513
「い、痛っ・・・、違うって!俺の人間体、柔らかいからあんまり強く触るなっ!」
『お前、どうしたんだ!?早く黒龍さんから離れて!』
澪は微弱ながらの電流で、虚冥を痺れさせようとする。
黒龍が解放されれば、黒龍は元の姿へと戻る。
「そんなに信じられないなら、これを見てからにしろ!!」
虚冥の額へと、手をやり、何やら呪文を唱えだした。どうやら、その時の事を脳波に伝えるようだ。
515
:
虚冥
:2011/11/10(木) 23:25:09 ID:bJBnsqT6
>>513
息荒く、目には血走りが窺える虚冥は、
彼自身があまり強靭な肉体ではないにも関わらず、黒龍に掴みかかるその力はやけに強かった。
まるで溺れる者が手当たり次第何かをつかむ時、強烈な握力を発揮するように。
しかし、それでもあの田中姉弟の力は強く、そして澪の電流は今回は力とならず
虚冥から力を奪い去ることに成功し、
なんとかながらも虚冥は黒龍から離された。
「・・・はぁ・・・・はぁ・・・・!!」
まだ興奮か恐怖か、激情が抜けきらない虚冥は黒龍に、
離されてからでも睨むような視線を向けている。
>>514
息を荒げながら近づく黒龍を睨みつけ、
しかし抵抗はせずに黒龍の術を、虚冥は大人しく受けた。
黒龍の力は強大で、錯乱気味の彼の脳内にも術は問題なく投影される。
そして彼が見るのは、
復活する黒龍から見た黒龍自身の姿と、
全てを無と呼ばせる漆黒を携えた、黒いあの女であった。
「あ・・・あぁ・・・・」
投影が終わり、状況を全て把握した虚冥は、
気の抜けた声を発して、突如膝から崩れ落ちた。
「・・・させろ」
女性が座りこんだような体勢のまま、
虚冥は何かをぼそっと呟く。
顔は俯いて表情は窺えず、震えは先ほどよりも強くなっていた。
516
:
田中姉弟
:2011/11/10(木) 23:38:18 ID:c1.PBF/s
>>514
>>515
夕「はぁ……はぁ………どうしたんですか?一体?」
夜「霙。大丈夫だから仕事に戻って」
店員雪女「は…はい(店長が真面目モードだ)」
なんとか引き離し、田中くんは龍化した隣にいき、夜はその場で様子を見ながら雪女に仕事に戻るよう言う。
517
:
黒龍「」&澪『』
:2011/11/10(木) 23:48:13 ID:HbHPxpxY
>>516
「・・・・・・もしかして、俺が生き返ったのが悪かったのか?」
崩れた虚冥、それを黒龍は黙って見ていた。
先程よりも震えている虚冥を、宥めさせる為、澪は夜を呼ぶ。
『とりあえず彼を落ち着かせるから、何か飲み物を。』
頼んだコーヒーは冷めてしまっただろうから、また何か持ってくらしい。
「なぁ、何があった。無理にとは言わない、だけど奴と関わった以上、俺も他人の振りは出来ない。」
518
:
虚冥
:2011/11/10(木) 23:59:46 ID:bJBnsqT6
>>516
、
>>517
「神代に止めさせろ・・・」
先ほどまであれだけ荒れ狂っていた彼の口から出た言葉は、
驚くほど弱く、か細い雰囲気を帯びていた。
虚冥は脱力、いや虚脱してしまっていて、
目や体には力が一切抜け落ちて一瞬で彼がやつれた様であった。
「お前は生き返ってよかった・・・
本当は・・・駄目だが・・・良かった」
しかしなんとか黒龍の質問に関して、首をゆっくりと横に振る。
状況がどうあれ、黒龍が復活したのは喜ばしいことで、
後輩の零がまた彼に会えるという事実は、
虚冥にとっても心幸せにさせるものであるのだ。
「問題は・・・むしろ・・・
いや全てが、榊だ。あいつが・・・あいつが・・・」
途切れ途切れとなった彼の言葉が続く、が、
何かを言い掛けたとき虚冥は、胸に溢れた思いに遮られ言葉を詰まらせる。
なんどか言おうとするもできず、虚冥はついに諦めまた俯いた。
「と、取り敢えず・・・神代。
神代を止めろ。最悪息の根を・・・あいつのためにも・・・」
そして俯いたままの虚冥から発せられた言葉は、
あまりにも乱暴でおそろしいものであった。
519
:
田中姉弟
:2011/11/11(金) 00:22:28 ID:c1.PBF/s
>>517
>>518
夜「わかったわ〜〜」
澪にそう言われ、カウンターに入り新しくコーヒー1:ミルク1のコーヒーを作り始めた。
夕「ちょっと待って!メリーのおじさん!いきなり物騒な事を言って
神代って誰かわからないけど、理由を教えて?おじさんと榊ってどんな関係か教えてください。そして、榊って人が何を企んでるのかを」
夕は坊ちゃんの件に多少なりと関わってるも、坊ちゃんの本名が神代ってのを知らない。
彼の右手の甲に《丸い円に八つの棒生えた模様》が光り輝いた。
夜「とりあえずコレでも飲んでくださ〜〜い
………神代って坊ちゃんって言われてる妖怪と人間の間に産まれた子よね〜?夕…貴方とメリーと牛神神社が首突っ込んでる問題よ」
夕「え?もしかして神殺しの件の?」
夜は戻り、その話を聞き渋い顔をしながら虚冥に入れ直したコーヒーを渡そうとする。
澪はなんとなく夜の渋い顔をした理由がわかるだろう。
妖怪と人間の間に産まれ人生を狂わされた坊ちゃん―――それが…………
520
:
黒龍「」&澪『』
:2011/11/11(金) 00:33:01 ID:HbHPxpxY
>>518-519
「・・・神代とは?
息の根を?なぜだ!?」
今度は黒龍が、虚冥を揺さぶる。
たくさんの疑問が入り混じるなか、榊と神代、どんな繋がりがあるのかが知りたかった。
『人間と妖怪の子供、言わば・・・半妖。』
ちらりと夜を見て、一度俯いてしまった澪。
話はある程度、知ってるようで、何か突っ掛かる物があるらしい。
521
:
虚冥
:2011/11/11(金) 00:41:06 ID:bJBnsqT6
>>519
「まず・・・榊が、あの女が、
何かを企んでるという発想は止めた方が良い・・・」
虚冥は疲弊しきっているようでありながらも、
ゆっくりと夕の質問に答える。
首を振りながら話し始める虚冥は最初に、彼の質問の内容を訂正した。
「あいつが何かの目的のために何かをしている・・・
そう考えると何もかもがつじつまが合わなくなるんだ・・・
俺の時だって多分神代のだって、あいつはきっと得などしない・・・」
小さく会釈とともにコーヒーを受け取り、
そっと彼はカップを傾けた。
そしてこんな状況でもしっかりとこだわりが加わっている苦みは、
虚冥の心をいくばくか和らげたのである。
「取り敢えず・・・俺にも神代が計画を成し遂げて、
榊がそれに関わって何が起こるのかは分からない・・・
ただ一つだけ確証を持てるのは、
神代の討伐が例えどんな大義で行われようとあれが関わった時点で、
最後に存在しているのは、無、だ」
>>520
理由のわかっていなかった黒龍とは対照的に、
虚冥は彼のされるがままで、体を大きく揺さぶられた。
しかし、そこに彼の反応はなく、感情もどこか乏しくなっている。
「神代は・・・アネさんアニさんを討伐する命を受けた、
神話では怪物と称された存在らしい・・・。
俺達が今手に持っている情報だと、
その神代が率いている謎の集団の中に、榊が紛れ込んでいる」
でもこんな情報、榊の前ではどうしようもないがな、
虚冥はそう呟いて自嘲的に笑った。
522
:
田中姉弟
:2011/11/11(金) 01:03:34 ID:c1.PBF/s
>>520
>>521
夕「………えっ?目的がない?残るのは《無》って…?」
夜「……メリーが言うにはハツビーと稀璃華っていう人が内部調査の為に坊ちゃんの仲間に入ってたって………今すぐハツビー……いや叡肖さんにこの事連絡しないと…稀璃華っていう人にも連絡できれば……」
夕は呆気になるのも、夜は何かヤバイ事があると思い考えを巡らせ
夜「榊の種族か能力はわかる?
坊ちゃんの能力は牛神の暴れ姫から聞いた話だと触れたモノを死にいたらしめる呪いみたいなのって聞いたわ〜
神殺しが可能なマンドラゴラとミイラ男みたいの……それだけでも厄介そうだから…せめて榊の手札はわからない?」
523
:
黒龍「」&澪『』
:2011/11/11(金) 01:17:04 ID:HbHPxpxY
>>521-522
「・・・・・・もしも榊単独なら、俺らで勝てる気もしなくないが・・・。
やはり怪物と言われるだけの力はあるようだな。
アネさん、アニさんを助ける為には・・・。殺す、だな。」
導き出した答えはこれくらいしかない。
夜がタイミング良く、敵の情報を聞いてくれているので、それを参考にするようだ。
『人数ならこっちの方が上、あとは実力か。』
524
:
虚冥
:2011/11/11(金) 01:29:53 ID:bJBnsqT6
>>522
、
>>523
「その方がいい・・・
榊がどれだけ二人のことを知っているかは分からないが、
こちらは万全を期さないと駄目だ。万全であっても駄目なんだしな」
夜に小さく頷いて言葉を繋いだ。
虚冥はその裏で、ひどく後悔していた。
巴津火や稀璃華が潜入しているのは知っていたし、危険だが必要であることも。
だが、それは榊が関係していないという大前提があってのことで、
彼はいち早く榊が神代と関わっていることを知っていれば、
二人を偵察に送ることは絶対なかったからである。
「種族は、分からない・・・
あいつはそうなんだ。向こうはいつだって知っているくせに、こちらの情報は無い。
でもあいつがどんな種族だろうが、たとえ上級の神格持ちであろうが、
どんな空前絶後の種族だった所であいつには関係ない。
問題なのは、あいつがなにより榊 紫陽花であることなんだ・・・
でも、あいつの手札、はない。」
虚冥はこう言う。
榊が、呪詛や妖術の類を使った所を見たことは一度もない。
そしてなにより、あいつは多分田中夕の左手でも簡単に殺せる強度の肉体しか持っていない。
「それと黒龍。
これは絶対に覚えて忘れないでいてほしいことだけどな、
榊は勝てる気がする、で絶対に戦うな」
虚冥は突然そう言って、
一瞬力が戻ったのか黒龍に対してとても真剣で、それでも怯えた目つきで見つめた。
「これは勝負じゃない・・・戦闘でもない・・・
神代に対してはそれでよくても、榊に対しては、
絶対的に殺意をこめて対応してくれ。頼む。」
525
:
田中 夜
:2011/11/11(金) 01:49:47 ID:c1.PBF/s
>>524
>>525
夕「……」
夜「夕……貴方の言いたい事はわかるけど〜、一旦帰りなさ〜い」
夕「…わかった」
黒龍も殺す意見に賛成なのに反対しようとするも場の雰囲気に負け言えない。
それに気付き夜は夕に一旦帰るよう言った。
彼は浮かない表情で喫茶店を出た。
夜「……なにもかも不明。目的はない。手札もない。けど、戦っても勝てる気はする。だけど…戦っちゃいけない
わからない相手ね〜……ただ、坊ちゃんより……いや誰よりも危険だってのはわかったわ〜」
それを考えるとハツビーは大丈夫なのか?と彼女は心配した。
526
:
黒龍「」&澪『』
:2011/11/11(金) 02:10:24 ID:HbHPxpxY
>>523-524
「・・・解った。覚えておく。あ、零にも言った方がいいか?」
ほんの一瞬だが、黒龍のものとは思えぬ殺気を虚冥に見せ付けた。
やるときはやる、それが黒龍のプライドらしい。
『夕、夜、今まで以上に、一致団結しようね。
もう、何があってもおかしくない状況だから。』
真面目過ぎる雰囲気をちょっぴり和ませるように、澪はやんわりと笑って見せた。
『虚冥、僕も出来ることは少ないだろうけど協力する。』
「・・・っし、さてと。夕にも会えたし、今日はおいとまするかな。
店長さん、お代は置いておく。虚冥のこと、落ち着くまでよろしくな。」
『ご来店、ありがとうございました。黒龍さん。』
会計を虚冥の分も済ませた黒龍は、ノワールを後にした。
//私はここで落ちます!
三日間、絡みお疲れ様でした!!!
527
:
虚冥
:2011/11/11(金) 02:24:27 ID:bJBnsqT6
>>525
、
>>526
黒龍の問いに、虚冥は首を横に振った。
その顔は苦々しげで、目は自然と細められている。
「いや、できる限りこれ以上、
誰かを巻き込みたくは無い。どちらかというなら黙っていてくれ」
この事態は、想像以上にまずい状態なのだ。
その為、全員がバッドエンドともなりかねないこの中では、
もしもがないように、虚冥はあまり仲間を増やしたくは無いらしい。
「ありがとうな、澪」
おそらく、普段ならば口が十文字に割かれようが決して言わない台詞を、
無意識に出なく心から、虚冥は澪に対して告げた。
「・・・店長。
少しここで休ませてくれないか?
本当なら今すぐにでも夜行に戻りたいんだが、
いかんせん力が入らない。まだ感情が上手くコントロールできてないみてえだ」
よろよろと近くのテーブルまで歩いて座り、
顔を片手で隠しながら、虚冥は夜に対してお願いした。
確かに、榊の単語を聞いてからの虚冥は、ひどく疲弊しているようである。
虚冥にとって榊とは、形容できないほどの傷の別称なのだ。
/僕の方もこれで落ちにします
/長くロールお疲れ様&ありがとうございました
528
:
田中 夜
:2011/11/11(金) 02:36:25 ID:c1.PBF/s
>>526
>>527
夜「……そうね〜。澪〜」ニコッ
澪に笑いかけられ、夜も自然に落ち着き癒され笑顔になった。
夜「いいですよ〜。好きなだけ休んでくださ〜い」ニコニコ
虚冥を癒すかのように、店内に穏やかなジャズの音が響き渡った。
/三日間お疲れ様でしたー
/絡みありがとうございます
529
:
零「」&黒龍『』
:2011/11/11(金) 23:11:06 ID:BQ990e1A
ここはとある山の上り坂。
この坂を昇りきったところには、澪の湖がある。
『えぇと、サンドイッチとかデザートとか買ったからさ、
とりあえずお互い、仲良くなろう、な?
(ああ…俺、凄い帰りたい……。)』
「」ニコニコ
実は黒龍が提案したのだ。
いい場所があるから、そこでゆっくりと話しあおうと言う。
…宛誄達を半ば無理矢理連れてきたのも黒龍である。
530
:
宛誄&蜂比礼
:2011/11/11(金) 23:20:49 ID:tElbSrz.
>>529
「あぁ、これはご丁寧にどうも。
本当に誰かさんは見習っていただきたいですよね。
いや、誰とは言いませんけどね」
宛誄、ピキッてる。
傍らに浮かぶ蜂比礼も居心地悪そうである。
「あ、あのさー。あとどれぐらいで着くのかなー?
ほらオレって虫だから寒いの苦手じゃん?だからしばらく引っ込んでても・・・」
「いやいやそんなに厚着してるんですし、大丈夫でしょ。
せっかくのハイキングじゃないですか」
蜂比礼、すごく実体化解きたそう。
かくして針の筵のような雰囲気を流しながら、一向は晩秋の山を登って行くのだった。
531
:
零「」&黒龍『』&フェルニゲシュ(俺様)
:2011/11/11(金) 23:33:22 ID:BQ990e1A
>>530
『(だーっ!少しは手伝えよ蜂!!
そんなに寒いなら燃やしてやろうかぁ!?)』
「いや、寒いんならしょうがないよね。
ハイキングっていっても、風邪ひいちゃまずいしね。」
余りにも酷い雰囲気を保ちながら、湖へと着いた。
秋もかなり深まり(というか冬に近いけど)紅葉などが良いグラデーションを出している。
黒龍はレジャーシートを広げると、宛誄達に座るよう言う。
ランチタイムが始まろうとしたその時だった。
俺様「ひゃっほーう、言うとおりに来てやったぜっていねぇよ!!!」
やけにテンションの高い人が一人。
少し癖っ毛で、へらへらした男が宛誄達のところへ寄って来た。
俺様「おいおい、おチビさん、この辺で白い女、見なかったかぁ!?
あと上手そうなサンドイッチ、俺様にくれたっていいんだぜ?」
もしも宛誄がサンドイッチを手に持っているなら奪って食べる筈だ。
532
:
宛誄&蜂比礼
:2011/11/11(金) 23:44:56 ID:tElbSrz.
>>531
「は?」
明らかにイラッと来てる宛誄。
(そこそこ強い妖気・・・)
しかし安っぽい雰囲気とは裏腹のフェルニゲシュの妖気を感じ取ると、
鋭く目を光らせ、語りかける。手に持つサンドイッチはノーガードである。
「見ませんでしたね、知り合いか何かだったんですか」
「なんなんだよー、お前。見るからに登山者じゃあなさそうだしさー」
蜂比礼も重苦しい雰囲気が破れて幸いとばかりに口を開く。
零をサンドイッチを持たない左手でつついて警戒を呼びかける。
533
:
零&黒龍&フェルニゲシュ(俺様)&白龍
:2011/11/12(土) 00:00:32 ID:BQ990e1A
>>532
俺様「は?じゃねーよ、は?ってなんだよ?
まさか、俺様の登場に何処かジェラシー心燃やしてんのかぁ?
しかも何怒ってんだよー。俺様、マジ何もしてねぇし?」
サンドイッチを奪い取り、もしゃもしゃと食べ始める俺様。
そんな俺様に気を取られて、唖然としていたが、次の瞬間には表情が一変した。
巨大な爆発音と共に奥の湖から大きな水飛沫が上がった…かと思えば、
そこからは白き神龍、バラウールが現れたのだ。
白龍「……まさか、な。こんなところで出くわすとは、我も思わなかった。
宛誄、そして…ジルニトラ。」
黒龍「お前…生きていたのか…?」
零「………っ。」
俺様「お、来たな?紹介するぜ。奴がこの、俺様の心強い味方。
白き神龍こと、白龍。又の名をバラウール、だ。フヒヒww」
534
:
宛誄&蜂比礼
:2011/11/12(土) 00:12:38 ID:tElbSrz.
>>533
サンドイッチを奪われ、気をとられていたその直後であった。
耳を劈き、腹に響くような爆発音が駆け巡る。
「!?」
山彦が反響する。
現れたのは、白竜・バラウール。
「・・・あなたの事だったんですか」
(まずいな、この前よりも幾分か妖気が上がっている)
強がって見せるものの、宛誄の内心では腰が引けていた。
戦えない
その歴然とした事実が重く圧し掛かる。
いかに蜂比礼の力、病魔の力を持つとはいえ。
所詮は暗殺術、最も必要な正面から戦う能力は無かった。
(・・・まったく、逆心がいかに便利な力だったか思い知らされる)
「で、フェルニゲシュさんでしたっけ。
バラウールさんと黒竜は知り合いのようですが、あなたは一体なんなんですか?」
535
:
零&黒龍&フェルニゲシュ(俺様)&白龍
:2011/11/12(土) 00:34:26 ID:BQ990e1A
>>534
白龍「宛誄、ジルニトラ。なぜ貴様らが一緒に居るんだ。
殺すのにはちょうどいい機会だが、あえて問う。」
黒龍「くっ……。(バラウールの力が読めない…戦ったら殺される、全員。)」
白龍は宛誄と黒龍を殺す気だ。
それは妖気だけでなく、言動からも読める物だった。
黒龍も負けを悟った今、どう勝てばいいのだ。
その空間を、絶望と笑い声が支配した。
俺様「俺様はな……グハハハハハハハハハ!!!!!!
かつて王と称され、あげく人間や仲間共から追放された…竜王だ!!!!」
フェルニゲシュ、態度はでかくとも、並みの強さではないことは
宛誄は分かっているらしい。
零「………」ニコニコ
だが、まだ終わっちゃいない。
逃げればいいのだ。零はその要点だけを理解していた。
今は白龍が生きていたと言うことより、宛誄達と逃げる事を優先させる。
零「(宛誄、はっちーを連れて、走れ!!)」
536
:
宛誄&蜂比礼
:2011/11/12(土) 00:54:50 ID:tElbSrz.
>>535
「・・・」ガクガク
「不本意ながら同行を強制されてましてね」
蜂比礼は怪しい妖気の渦に顔を青くしていたが、
宛誄はギュッと蜂比礼の手を握り締めて落ち着かせる。
バラウールに語りかける宛誄は零の瞳をチラリと流し見た。
(逃げろ、か)
わかっている。
相手は上位の神格持ちクラスの力を持っている。
白竜と黒竜に何があったかは知らないが、自分には関係ないこと。
逃げてしまえばいい、虫を遮蔽にして。
そのまま一目散に後ろを向いて駆け出せばいい。
僕は戦えないから。
「フェルニゲシュ、竜王とまで言われたあなたがこの国になんの用ですか?
バラウール、僕や黒竜をなぜ殺す気かは知らないが、僕はそう簡単には殺されません」
宛誄は逃げる様子も無く、真っ直ぐに2匹の竜を見据えていた。
逃げる様子も無く、その手には刃は無く、それでも瞳は揺らがなかった。
戦えないことは、逃げていいことにはならない。
ここで逃げ出すようじゃ、到底七罪者は救えない。
なにより・・・僕が成りたかった“幸せな人”は。
刃を持つ者を絶対に見捨てたりはしなかった。
537
:
零&黒龍&フェルニゲシュ(俺様)&白龍
:2011/11/12(土) 01:17:27 ID:BQ990e1A
>>536
俺様「何の用。言えないな。いくら俺様でも。」
白龍「蜂比礼、我に従えば命は助けてやる。
宛誄、貴様のその言動が命取りにだってなる。
始末はジルニトラの後だ。」
フェルニゲシュとバラウールの表情が一変した。
視線の先にはジルニトラ。…殺す気だ。
バラウールは水龍の分身を作りだし
フェルニゲシュは陰からいくつもの刃を作りだす。
白龍「我の為に黄泉の国で償え、ジルニトラ。」
黒龍「……俺は死なない。」
攻撃が一斉に黒龍へと放たれた時、白龍とフェルニゲシュ以外の4人は亜空間へ吸い込まれた。
再び目を開ければ、零のマンションの一室にいるであろう。
黒龍「はぁっ、はぁっ……。」
零「あ、宛誄、はっちー、大丈夫!?怪我とかしてない?」
538
:
宛誄&蜂比礼
:2011/11/12(土) 01:29:53 ID:tElbSrz.
>>537
「そうですね、どうやら僕は頭の回る冷静なキャラじゃなくて。
馬鹿馬鹿しい事ですぐ熱くなるキャラだったようです」
ミシリ、と宛誄の腕から何かが軋る音がした。
戦えない宛誄が、戦う為の秘策・・・。
黒竜へ向けて攻撃が放たれたとき、宛誄もまた同時に駆け出した。
しかしその瞬間、
「!?」
気がつくと、マンションの一室へと転移していた。
黒竜が荒い息で、疲労していたのを見ると状況を把握する。
「空間転移術・・・」
零が駆け寄ったとき、宛誄は頭を下げた。
「すいませんでした、勝ち目も無く向かっていってしまって」
無謀、蛮勇。愚かな行為。
それはヒシヒシと感じている。
「・・・よければ聞かせてください、バラウールはどうして。
あそこまであなたを殺したがっていたのですか?」
539
:
零「」&黒龍『』
:2011/11/12(土) 01:44:31 ID:BQ990e1A
>>537
「いや、黒龍がこれをしてくれなかったら、私たちは負けてたよ。
あの、俺様、とかって言ってる奴一人にね。
だから、勇気を出して行った宛誄君は凄いと思うよ、ありがとう。」
小さく微笑んだ零は、黒龍をソファへ寝かせようとした。
しかし頭の中では、白龍のことを露希に言うべきかと考えていた。
『俺だけじゃないよ、アイツは。
零も、宛誄も、もしかしたらフェルニゲシュも。すべてがバラウールの敵なんだろう。
宛誄、しょうもないことに巻き込んで悪かったな。』
ぽんと宛誄の頭に手を載せると、すやすやと寝息を立てて、寝てしまった。
540
:
宛誄&蜂比礼
:2011/11/12(土) 01:57:51 ID:tElbSrz.
>>539
「・・・」
(教える気はない、ということか)
頭に手を載せられながら、宛誄は内心でため息をつく。
無理にでも聞き出してやろうと思ったが、相手が寝込んでしまっては仕方がない。
「えぇ、それではまた」
それだけ言うと、宛誄は部屋から退出した。
「・・・」
「今日は随分大人しいですね」
二人で歩くマンションの廊下。
宛誄がポツリと尋ねる。
「・・・まぁね。今日に始まったことじゃないけどさ、色々と巻き込まれすぎでしょ」
「そうですね、まったく面倒なことになりました」
いきなり現れて自分の命を狙う竜・バラウール。
宛誄にとってこの上なく理不尽で、酷い相手である。
おまけに何かを知っている黒竜も自分には話したくないときたものだ。
「やれやれ」
不安に押しつぶされそうな憂鬱なため息をついて、
寒風の中宛誄は帰路を急いでいた。
541
:
白龍「」&フェルニゲシュ『』
:2011/11/12(土) 02:07:09 ID:BQ990e1A
一方で、取り逃がした二人はどうなっていたか。
『なんだし、逃げるとか。今からでも追撃すれば間に合うんじゃね?』
「いいや、これも手のうちだ。逃げる他、奴らは手段が無かったから。
しかし、こんなにも早く会えるとは。ふふっ。」
その後、二人がどこへ向かったのかは分からない。
542
:
東雲 犬御&小鳥遊 療介
:2011/11/12(土) 08:25:26 ID:???
本スレ
>>256
にこにこ、にこにこ。
幼児がお菓子を頬張る微笑ましい姿を見つめる。
口の周りにお菓子の屑がたくさんつきはじめると、ハンカチで拭いてあげたり。
なにかと満喫中だ。
そして、犬御ちゃんはというと。
黒蔵に組みつくと、手加減も忘れて頭を殴ろうとする。酷い。
「忘れ……うわァァ!?」
しかし、その前に黒蔵が鼻血を噴出した。
驚いた東雲が、慌てて尻餅をつく。
その態勢は非常にまずい。なにがまずいって、ばっちり黒蔵には見えたはずである。
絶対領域の内に潜む、誰の趣味かわからない黒い下着が……。
「叡肖さんからの粋な贈り物っすよ♪」
とっても楽しそうな小鳥遊がいう。
「今日一日はその姿でいましょうか?」
「嫌に決まってンだろうがァァ!」
543
:
巴津火『』 黒蔵「」
:2011/11/12(土) 09:49:14 ID:1gBuqmPQ
>>542
『けふっ…』
胃袋が満たされると幼児はげっぷを一つして、今度はうとうとし始めた。
あくびの拍子に柔らかそうな頬の内側がちらりと覗く。
さっきまでお菓子を握り締めていた小さな右手は、小鳥遊医師の白衣の袖をきゅっと掴んだままだ。
その傍らでは鼻血が飛び散っていた。犬御に殴られたわけではない。
黒いレースに装飾されたそれは、鼻血をさらに派手に散らさせる程度の追加ダメージを
黒蔵に与えていた。
「うっわ…うーっわー……」
犬御ちゃんが飛びのいて尻餅をついたため、上体を起こせるようになった黒蔵は袖を鼻に当てる。
そして灰色の作業服の袖へ染みが広がっていく速度に、今更ながら焦った。
同時に、その事実に自分でもショックを受けている。
(無いよ、幾らなんでもこれは無い。だって狼だよ?それに俺には四十萬陀が…)
しかしあの白い太ももを思い出そうとしても、今しがた記憶された黒のレースのイメージは強烈だ。
背中を丸め頭を抱えた悩める青少年な黒蔵に、小鳥遊医師からの追撃が来る。
「叡肖、さん?…来てるのかあの人?」
跳ねるように上げた顔が蒼白なのは出血量のせいだけじゃない。
「まずい、まずいよ隠れなきゃ…」
泡を食った黒蔵は、箒を掴み上げるとふらふらと階段のほうへ逃れてゆこうとする。
流石に地下ならば、あの衣蛸も入ってはくるまい。
そう思って以前から地下の物置には、簡易ベッドやら毛布やらを隠しておいたのだ。
「先生、叡肖さんには俺が居るの内緒だからねっ!でないと借金返せなくなるからね?頼むよ?」
駄目押ししながら地下の「巣」に潜りに行く黒蔵の顔も作業服も、鼻血で酷いことになっている。
後で色々と複雑な気持ちになりながら洗濯することだろう。
(ダメだ今は四十萬陀の太もも思い出すんだ、黒いのは違うんだ)
階段の下に黒蔵の姿が消えて少ししてから、変な音が響いたのはきっと段を踏み外したのに違いない。
544
:
東雲 犬御&小鳥遊 療介
:2011/11/12(土) 16:31:12 ID:/AfNAO.Q
>>543
「眠たいすか? ふふ」
うつらうつら、眠たい目をした巴津火を抱き上げる。
それから、あやすようにぽんぽんとリズムよく背中を叩き、ゆりかごのように、ゆっくりと揺らしはじめた。
巴津火の柔らかい髪を、さらさらと撫でる。
眠り心地はさぞいいだろう。
「痛ゥ……、っ!」
東雲が自身の体勢に気付いた時は、既にばっちりと黒蔵に見られた後であった。
慌てて体を起こし、両腕で前を隠す。
まるで本当の女のような体勢に、東雲は羞恥心とずたずたの自尊心で泣きそうになってくる。
可愛くなってしまった赤い目で黒蔵を睨み付けると、相手は顔面蒼白していた。
「あァ?」
「……ええ、分かりました」
察したらしい小鳥遊は、巴津火をあやしながら、素直に頷く。
東雲も何かあることくらい察しはつくが、あれを見られてすたこら去ってしまわれては、腹の虫も収まらなかった。
「あのヤロウ、今度会ったらブッ殺す……!! 」
現在人間体の黒蔵には厳しい言葉ではないだろうか。
しかし黒蔵が過ぎ去っても、まだあの蛸も、というか一日この体でいなければいけない危機を思うと、胃に穴が開きそうな気分になるのだった。
545
:
叡肖「」 巴津火『』
:2011/11/12(土) 18:19:29 ID:1gBuqmPQ
>>544
黒蔵が居なくなったエントランスに磯の香りが戻ってくる。
「おや、眠っちまいましたか。いつもこう大人しくしてくれれば有難いんですがね」
小鳥遊医師の腕の中ですうすうと寝息を立てている幼い主をみて、磯臭い男、
叡肖は携帯電話を取り出す。
「今のうちにこれ撮っておきましょう。また次にこの坊ちゃんが暴れた時、弄るネタに使えますから」
『んー…』モゾモゾ
そして巴津火の寝顔だけでなくミニスカナースの犬御ちゃんにも携帯電話のカメラを向ける。
こっちも撮影するつもりのようだ。
(丑三にこの動画送ってやろうかな)
「良くこの衣装に着替えさせられましたね先生。もっと抵抗するかと思いましたよははは。
また今度、他の衣装でも試してみたいもんです」
和やかに小鳥遊と談笑しながら、叡肖のやってることは非道。
このエロ蛸の発言からすると、小鳥遊先生がノリノリであればいつでも犬御ちゃん化は叶うらしい。
今日は診療所に新たな客寄せパンダが誕生した記念すべき日、となるのだろうか。
546
:
東雲 犬御&小鳥遊 療介
:2011/11/12(土) 21:39:03 ID:/AfNAO.Q
>>545
「どうも、叡肖さん」
(戻ってきた……)
エントランスに戻ってきた叡肖を見て、笑顔で迎える小鳥遊に対し、東雲は心底憂鬱そうな顔で体を丸めた。
すやすや夢見心地の巴津火の頬を軽くつつき、「寝顔が可愛いっすねえ」「どこが」と東雲は悪態をつく。
携帯のムービーカメラがこちらに向けられると、東雲は威嚇するようにカメラを睨み付けた。しかし今の顔ではあまり怖くない。
「撮ンな!!」
「あ、それ後で僕にも送ってください」
「だから何でテメェはノリノリなんだよ!!」ウガー!
わなわなと震えるも小鳥遊はニコニコしたまま。
でも欲しいのは割と本気だったりするのだ。
かわいい巴津火と可愛くなった助手が映った動画、これをもらわない手はない。
「いやあ、纏さんに抑えつけ……ゴホン、手伝ってもらって」
(おかげで骨が折れるかと思ったわ)ゲンナリ
衣装を選んだのは黄道。下着を選んだのは小ry。……どこから引っ張りだしてきた、とかは言わない約束だ。
非道なる叡肖の発言に、東雲がカッと目を見開く。
「はァァ!?」
「いいっすねえ。今度いずみさんに服を選んでもらいますか」
「やーめーろォオ!!」
哀れ、犬御ちゃんは遊び道具にされてしまった!
小鳥遊だって男である。目の保養は必要なのだ。
547
:
叡肖「」 巴津火『』
:2011/11/12(土) 22:20:16 ID:1gBuqmPQ
>>546
「うーむ、寝顔だけなら可愛いかもしれんのですがね」
喋ったり動いたりしたらきっと可愛くない、と言外に滲ませつつ、叡肖は幼児巴津火と犬御ちゃんを撮影終了。
そして動画送信も完了したようだ。
「先生のアドレスにも送っときましたよ。そうですか、纏さんはそんなところでも
先生のお役に立ててますかははは」
医師が自分の携帯を確認できるように、寝付いた巴津火を小鳥遊から受け取ろうと叡肖は手を伸ばした。
それは一見、小児科に子供を連れて来たパパの様相ではあるが、割り込んできた抗議の叫びに蛸の視線は
犬御ちゃんへと粘っこく絡む。
「どうやら彼女はあの服がお気に召さないようですね…?」
エロ蛸は流し目で小鳥遊に意味深な問いかけをした。
気に入りの女性に可愛い服を着せるのも好きだが、脱がせるほうはもっと大好きという輩は
それなりの数居るものである。
叡肖はもちろんその範疇、さて小鳥遊医師はどうだろうか?
「今日のところはこの坊ちゃん連れてかえらなくちゃならないんで、後は先生にお任せしますよ。
それじゃ可愛いお嬢さん、俺とのデートは邪魔が入らない時にでもまたよろしく☆」
犬御ちゃんが嫌がるのを知っていて、わざと気障ったらしい文句で囁いた叡肖。
この蛸はエロ好き女好きとは言え、女性の扱い方にもそれなりの拘りがある。
それが幸いして今日の犬御ちゃんはこの程度で済んだようだ。
小鳥遊医師から眠ったままの巴津火を受け取ったら、夷磨璃の部屋で談笑している瞳と合流して
叡肖は帰ってゆくだろう。
548
:
東雲 犬御&小鳥遊 療介
:2011/11/12(土) 22:56:25 ID:/AfNAO.Q
>>547
「纏さんにはいつも助かってますよ」
(あの女河童、力だけは有り得ねえくらい強いしな……)
それなりに力の強いはずの東雲でも、純粋な腕力だけでは全く歯が立たない。
それゆえ彼女の不器用さは凶器になりえるのだが。
小鳥遊の携帯がブブブと震える。
添付されたムービーを見て口元を釣り上げると、にこにこしながら東雲を見る。
(あれ? 俺またコイツに弱み握られたンじゃね?)と思っても時すでに遅し、である。
粘っこい叡肖の視線に背筋がぶるっと震える。
やばい。嫌な予感しかしない。
意味深げな問いかけに対し、小鳥遊はふっとその表情を「悪く」変えた。
一瞬で視線の意図を読み取ったらしい。なんだこいつら。
「ええ、巴津火さんにもよろしくお願いします」
「早く帰れッ!!」
「さ、東雲さんも行きましょうか?」
「……えっ」
その後、診療所の奥の院長室にて、高い女性の叫び声が聞こえたという。
549
:
巴津火
:2011/11/21(月) 23:34:07 ID:1gBuqmPQ
退屈しきった我侭なお子様は、白いベッドの上で泣き言を言っていた。
「こざると一緒の部屋がいい!お菓子欲しい!暑い、痒い、蛸、どこ行った!」
しかし、誰も応答しない。
ナースコールはとっくに鳴らせないようにされてしまった。
ベッドの傍らには水を注いだガラスボトルが置かれ、監視役の水神は水を通して
何時でもこの子供の様子を見ることが出来る。
「うーーっ!!」
右の肩から腕には分厚く包帯が巻かれ、その長さは上腕の半分しかない。
今の巴津火は唯一自由になる左手で、上掛けをばたばたと叩くことしかできないのだ。
それもやりすぎると、他の傷に響く。
病室の扉の前に誰かが来た時、一瞬、期待するようにその子供の表情が輝いた。
550
:
夜行集団
:2011/11/21(月) 23:45:51 ID:EK/9fLvc
>>549
満身創痍のその少年の、期待に添えるのかは分からないが、
少なくともこの姉妹にとっては、
巴津火が我儘に動き回らないこの状況は好ましかった。
「・・・どうも」
『・・・外まで声が・・・聞こえてたよ』
先日のあれだけの激闘。
上位神格の卵の巴津火でも、意外なほどにけがを負っているのに、
当事者のこの姉妹は何事もなかったかのように、無傷そのものである。
「・・・これ、好き?」
状況が状況なだけに何と話しかけてよいものか、
姉妹は扉の前にしばらく二人で相談をしていた。
だがやはり実際会ってしまうと、言葉は思った以上に白紙状態だ。
551
:
夜行集団
:2011/11/21(月) 23:47:21 ID:EK/9fLvc
>>550
に追加です
その為のご機嫌とりなのだろう。
日子神が小さく上げたスーパーの袋に入っているのは、
複数の菓子類と、オレンジジュースであった。
552
:
巴津火
:2011/11/21(月) 23:54:57 ID:1gBuqmPQ
>>550
「……。無事か」
思った相手ではなかったので、恥ずかしいせいで何ともいえない表情をして、
ごそごそと上掛けを顎まで引っ張りあげた巴津火は姉妹にぽつりとそう言った。
しばらくつづく無言に、居心地悪くなったのだろう。目をそらす。
「痛かったろ。黙ってああして悪かった」
姉妹に何も伝えずに剣を刺したことを詫びているのだ。
好きかどうか尋ねられたことには、無言でこくりと頷く。
553
:
穂産姉妹神
:2011/11/22(火) 00:04:38 ID:EK/9fLvc
>>552
『・・・うん』
死ぬという啖呵を切ったのに現にまだ生きている穂産姉妹。
本当に強引なままで全てを振り切っていこうと啖呵を切った相手に、
自らの意思を見事に阻止、救出されなおかつ神代も救おうとした。
心得ずにそんな大恩人かつ、後ろめたさを常に抱えさせる巴津火と、
一緒のこの狭い空間に三人だけというのは、なんとも気まずいものだ。
「い、いえ・・・おかげで助かったのですし」
『・・・ありがとう・・・ごめん』
気まずくなっているのを悟られないようになのか、
ゆっくりとした足取りで巴津火のベッドに歩み寄り、
そっとジュースの栓を開け、近くに備えてあったコップに注ぐ。
「あれから、彼には会っていますか?」
無言も不味い、巴津火のまだ手の動く方へそれを置いて、
日子神はそっと神代の消息を聞いた。
554
:
巴津火
:2011/11/22(火) 00:17:46 ID:1gBuqmPQ
>>553
「助けたわけじゃないよ。状況によってはボク、二人の神体を食べるつもりだったから」
付喪神である彼女らの神体は無機物。
それを咀嚼しない蛇が呑み込んだところで壊れたりはしない。
神代を試すために呑み、後で吐き出して返すことを想定してはいたが、
状況によっては呑んだ神体を返さないままであるつもりは十分に有った。
「神代に?ううん。ずっとここにいたから」
会いに行けたとしても、会いにはいかなかっただろう。
次に会うときは、おそらく穏便にあうことは出来まいと判っているのだ。
「二人は、会ってやってよ。お願い」
ようやく日子神のほうに顔をあげたのは、ジュースを受け取るためではなくて
そう頼むためだった。
555
:
穂産姉妹神
:2011/11/22(火) 00:29:15 ID:EK/9fLvc
>>554
近くにあった椅子に腰かけて、巴津火に返答に声は出さず頷いた。
おそらく巴津火が咀嚼できるか本当に食べたのか、
答えはこの姉妹は知らないのだろうが、それでもその報いは受けるべきだ、
とまだ穂産姉妹の心には夜行、巴津火たちへの背徳の念があった。
「会う、ですか」
『確かに・・・会いに行くべきだと思う・・・
また機会を得たら・・・会うと約束する』
思わず巴津火に視線を向けられて、
まだ心は後退気味の日子神は思わず目を彼から逸らしてしまう。
しかし穂産姉妹は、それだけはしっかりと言った。
だが本来ならば、姉妹はいつも神代の件に関して口に出す時、
こうもはきはきと薄暗い念を出さずに話す事はなかった。
いつもは常に哀しげに言葉を詰まらすどころか、鼻から話題に出さないはずなのだ。
しかしこの姉妹には今、そう言った感情は感じられない。
「巴津火君、私たちの因果を請け負ったのは本当ですか?」
しばらく躊躇うように黙った日子神は意を決し、
今度は目を逸らさずに巴津火を見据えた。
556
:
巴津火
:2011/11/22(火) 00:39:19 ID:1gBuqmPQ
>>555
「…ありがと」
約束すると聞いて、じわりと巴津火の心に鈍い痛みが広がった。
自分では神代に何もしてやれないことを、改めて感じるのだ。
いらないものを取り除いてやることは出来ても、正の感情は与えられない。
ため息を付いてジュースに伸ばした左手が、日子神の問いに止まった。
「請け負ったよ。天が神代と戦うように仕向けた因果だけだけど」
この未熟なヤマタノオロチの半分しかない神格が背負うには、それでも十分に重かった。
その重みで神格が潰れた時、残った半分の邪神格が天への怒りと神代への同情とを
持たなかったら、事はどうなっていたか判らないのだ。
「剣で刺した時に、その因果を漱いだ」
神代の意とも姉妹の意とも違う、巴津火の意思でそうしたのだ。
いかなる責めでも巴津火は受けるつもりだ。
557
:
穂産姉妹神
:2011/11/22(火) 00:53:49 ID:EK/9fLvc
>>556
『あの時・・・か・・・
僕は・・・何も理解できていなかったから・・・ただ刺されただけだと思っていたけど』
穂産姉妹にも思うところがあるのだろう。
どこか雨子神の言葉には歯切れが無く、巴津火に気を使っているようであった。
「あの因果は、少なくともあの因果の一角は、
明確な言葉で言うと神話を完成させるための、天の絶対的な命令」
『あの子も・・・巴津火も・・・
きっと分かっているだろうけど・・・次は宿敵・・・』
「でも、あなたがその因果を請け負って、本質が変容したんです」
『多分・・・物事の整合性を失くしたあの天命は・・・弱体化している・・・
あなた達が感情に呑みこまれなければ・・・無効化できるはず』
元は穂産姉妹神の自責や罪悪感につけこんだ、
天界の半ば言いがかりに近いペテンなのである。
そして巴津火が神代にとっての討伐すべき相手となった時、
神話の流れとは逸脱した矛盾が生じたので、その強制力は弱まったはずなのだ。
「でも、あの子は他にも逃れられない因果にまだ絡めとられています」
『だから巴津火も・・・あの子が因果に呑まれてしまう前に・・・
友達としてまた会ってほしい・・・』
558
:
巴津火
:2011/11/22(火) 01:09:53 ID:1gBuqmPQ
>>557
「うん。あの時は、あらかじめ伝えることは出来なかったから」
巴津火はあの場に討伐する側として居たのだ。
しかも、依頼主である夜行集団との繋がりは神代に隠しておかねばならない。
「あの因果、半分までは漱げたんだ。
あの時神代が怒ってボクに攻撃を仕掛け、ボクがそれを受けて力尽きたから。
…でも、もう半分が残っている」
本来ならその因果は、一度神代が巴津火を打ち負かした時点で全て水に流されるはずだった。
そのために巴津火は直前まで血を流し、神代の本気を受け止めた時点で力尽きねばならなかったのだ。
しかし、双子のそれぞれが負っていた因果を、巴津火が一人で請け負ったのだ。
もう一度神代と戦い、しかも全力を尽くした結果として巴津火は負けなくてはならない。
「無効化できるんだ。よかった。
できればボク、早いうちにもう一度神代とあいたいんだ」
この傷が癒えてしまう前に、神代の勝ち目がなるべく多く見込めるうちに、再戦しなくてはならない。
「一つ頼みがあるんだけど。
ボクが立てるようになったら、ここを抜け出すの手伝ってくれる?」
巴津火の傷が癒えないうちに病院を抜け出すことは、誰かの手引きがなくては無理だろう。
そして竜宮の者たちは、なんとしても巴津火の一人歩きは阻止する筈なのだ。
559
:
穂産姉妹神
:2011/11/22(火) 01:21:04 ID:EK/9fLvc
>>558
「無効化ができなくても弱体くらいでしたら、
もう既に進んでいると思います」
『天界も・・・この件はあまりにも繊細なことだから・・・
あまり強引な縛りはしていない筈だし・・・』
巴津火がまだ神代と仲を絶たないでいてくれることに、
穂産姉妹は安心して、思わず両方とも静かにだが溜息をついていた。
祝福した子供であり死んででも守ろうとした子供なのだ。
姉妹の神代への愛は、今はそれがほとんど失せてしまっていてもやはり、
あの両親に勝ることはなくとも差がないほどに大きいのである。
「当然です!」
『水が駄目なら・・・僕達の土の力で地下も進める・・・』
その為ならば巴津火逃亡で多少竜宮に慌ててもらっても、穂産姉妹は構わない。
胸を張る穂産姉妹は、巴津火に確かな約束をした。
560
:
巴津火
:2011/11/22(火) 01:32:51 ID:1gBuqmPQ
>>559
もしも因果がどうやっても完全に漱げず無効化もできないものならば、
ずっと神代会わずにいることも巴津火は考えていた。
そうすれば、神代は思い残すことが消えず死ぬ気にもならないですむ。
「無効化できるのならば、あともう一度でこの残り半分の因果を片付けられるんだ」
しかし姉妹の思いと巴津火の目的は少々異なる。
巴津火は神代に憎まれるために会いに行くのだ。
巴津火に触れるのさえも嫌がる神代の怒りを掻き立て、攻撃させねばならない。
(あいつの泣きべそ見れたらそれで満足しよう。それ以上は期待しない)
「ありがと。そのときが来たら頼む。
あと、出来れば時々神代のこと知らせてくれると嬉しい」
そしてようやく、安心したように双子に笑って見せた。
561
:
穂産姉妹神
:2011/11/22(火) 01:42:12 ID:EK/9fLvc
>>560
『でも無効化は・・・天命・・・
つまり天界の神のどれかを上回る程の・・・力が必要になる』
事実上、神代はともかく天にまだ昇れない巴津火には、
まだ因果を消滅させる見込みは立っていないということである。
しかし、穂産姉妹に不安な色は無い。
夜行に帰った時、虚冥がいの一番に言った言葉
―あいつの予想を打ち砕いたんだよな!?
なら多分最悪の終わりはねえっていう―
巴津火がこうも見事に、崩壊の危機を拭いさってくれたのだ。
「分かりました。これからどんなことを話すかでわくわくします」
『こちらもできることは探しておく・・・巴津火も・・・お願い』
不安よりも彼らへの信頼を熱くして、元気溢れるように立ち上がり、
日子神はベッドのわきにお菓子の山を置いた。
それから二人はもう時間だと、病室の戸を開け去って行った。
562
:
巴津火
:2011/11/22(火) 01:51:13 ID:1gBuqmPQ
>>561
「天界の神を上回る力、か」
巴津火は難しい顔になる。
それほど強大な力を持ち、尚且つ神代よりは弱っていなければならない。
そんな都合の良い方法はあるのだろうか。
(蛸に聞いてみるのは……駄目だ。あいつに話したら何をどう察知されるか判らん)
竜宮の手を使わないとなると、自分で知恵者を訪ね歩くしかないが
そもそもそれが出来たら入院などしていない。
「頼む。この件で頼れるのは、二人しかいないんだ」
今何も出来ない巴津火には、姉妹にそう言うことしかできなかった。
そして、お菓子の山はまだ眺めるだけで、欲しいだけ食べられる訳ではないけれど
これからたっぷりつづく悩み時間の慰めにはなるのだった。
563
:
竜宮
:2011/11/26(土) 22:56:45 ID:3FBgi9l6
(主様の居ない竜宮の仕事がこれほど虚しいとは思わなんだ……)
伊吹の一喜一憂する表情が、それだけで自分の仕事への報いであり
やりがいであったのだとアッコロカムイは今更に思った。
そして政務には終わりが無い。
執務室の窓から水晶の塔を眺めながら、蛸の大臣は今日も政務の合間にため息をつく。
海の中は今この時まで、今日も変わらず静かであった。
564
:
天界使節
:2011/11/26(土) 23:21:30 ID:tElbSrz.
しかしそんな竜宮の内部に。
小さな具象が現れる。
その小さな具象はやがて大きな変異へと転じる。
突如として空間にゆがみが現れ、膨大な妖気が竜宮を包み込んだ!
それはただひたすらに大きく、ただそこに現れただけで建造物は振るえ、水面は白く泡立つ!
信じがたい大きさである、これは竜宮だけでなく下手すれば世界地図が書き換えられる!
しかしその中に白い靄が現れた。
白い靄は徐々に濃くなっていく。
妖気は急激に小さくなっていき、反比礼して質量が増加していく。
「やれやれ、やはり人の姿は窮屈じゃのう」
「ギシシシシシシ、勘弁してください。あなたが原型に成ったら竜宮どころか瀬戸内海を器にしても足りない」
「・・・」
霞の中から現れた、2つの人の姿をした“なにか”と霞を吐く巨大な二枚貝。
1人は黒いスーツに身を包み、革の手袋をした髭の老人の姿。
1人は白い喪服を着て、紅い布を頭に巻いて目隠しをした女性の姿。
妖気はすっかり小さくなっていた。
霞が消えると巨大な2枚貝はアメリカンカジュアルな格好の青年へと変化する。
「ギシシシ、お邪魔しますよー」
「これ、人の形でももっとちゃんとした格好をせい」
「えー、いーじゃねーですか! 窮屈なのにもっと窮屈な格好するこたぁないでしょうよぉ!」
アメカジな青年は老人に杖で小突かれると、反省してなさげに笑った。
〜妖怪目録〜
【蜃竜】
蜃気楼図、竜宮図など多くの絵巻や幻想譚に登場する大蛤。
春から夏にかけて海底から霞を吐き出し、
海原に天界の楼閣を描き出すと謂われ、蜃気楼の語源となった。
565
:
竜宮
:2011/11/26(土) 23:39:21 ID:3FBgi9l6
>>564
『大臣。もしやお部屋にどなたかいらっしゃいましたか』
白くなった髪を高く結い上げ凛と背筋を伸ばした女が、部屋の扉の外から
見た目の年齢にそぐわない張りのある声で尋ねた。
その衣は宮女にしては袖も裾も短く、従えている黒蟹の衛士達と同じく袴姿である。
しかし赤い上衣に施された丁寧な刺繍がそれなりに高位であることを示していた。
「白累殿、心配は要らぬよ」
執務室の中から、蛸の大臣はこの白髪の老女に普段どおりの声にて答える。
「門を通る間も惜しいほどの急ぎのお客人じゃ。もてなしの支度を」
赤い衣の禿頭の老蛸は、執務室の中央に現れた3人に悠然と立ち上がって一礼する。
「わしはアッコロカムイ。竜宮へのご用向きは大臣であるわしが承りましょう」
そして蛸の大臣は、自分の袖から伸びる見えるか見えないかほどに細い蜘蛛の糸を一本、
ついと引きぬいた。
566
:
天界使節
:2011/11/26(土) 23:54:01 ID:tElbSrz.
>>565
「ギシシシシシ、ご丁寧にどうもぉ」
下賎な笑い声を上げる辰竜にあきれ果て、杖を突く老人が歩み出る。
「御門をくぐらぬ無礼を失礼仕る。
何分私は体格が大柄でして、御門の前でも変化するに難い次第」
深く一礼をして顔を上げる老人。
目隠しをした女性も辰竜に手を引かれて前に出る。
「我々は天界の神性、今回はある事件についてお聞きしたくて参上しました。
・・・できればあなたでなく竜宮の主殿と直接お話をさせていただきたく存じます」
老人の目が鋭く光った。
567
:
竜宮
:2011/11/27(日) 00:05:54 ID:3FBgi9l6
>>566
その頃、竜宮の下層階の一室で謹慎中の叡肖は、
部屋の扉が開いたのに気づいて手にした筆を置いた。
「謹慎中のこの俺に、どこの誰が用事だい?
爺ィの許可が降りたって事は、今の妖気の揺らぎはやっぱり何かあったんだろうな」
扉のほうへ顔を上げたが、部屋には誰も入ってこない。
この部屋の扉は叡肖が勝手に出歩くのを防ぐために、祖父のアッコロカムイが
蜘蛛の糸で封じていた筈なのだ。
(妙だな?)
このまま出て行くべきか否か、迷う叡肖の前には書きかけの美人画が置かれている。
三次元で遊べない憂さを二次元にぶつけていたこの衣蛸は結局、
絵を片付けて部屋の外へと出ることにした。
(ここは真っ直ぐ爺ィの所へ行くのが、後々を考えると無難だな)
のらりくらりとこの孫蛸が執務室へ向かうまでの間、蛸の大臣は一人で客人の相手をしていた。
「天界より折角のお運びを頂いたところ相すみませぬが、
只今この竜宮に主は不在で御座います。わしがお話を伺うことは難しいですかな?」
三人に椅子をすすめながら、アッコロカムイは尋ねる。
客人の様子に、どうやら事は難しい局面であると感じながらも
正直なところ、いつ終わるとも知れぬ政務からほんの一時でも解放されるのは
有難いことでもあった。
568
:
天界使節
:2011/11/27(日) 00:15:58 ID:tElbSrz.
>>567
「左様ですか・・・」
椅子に腰掛けると難しそうな顔をして老人が唸る。
「あぁ、申し送れました。
私は天界の神格・燭陰、こちらの方は徳叉迦」
「・・・ども」
目隠しの女性はペコリと頭を下げる。
「こちらは辰竜といいます」
「よろしくなぁ〜」
さて、と。息をつき燭陰の声が重々しくなる。
「事は重大にして急を要する事態でしてな。
できれば主殿以外の者に漏れることは避けたいのですよ」
やがて脅しを含んだ響きに成る。
「主殿はいったい何用なのでしょうな、できれば早急にお呼びしていただきたいのですが」
〜妖怪目録〜
【徳叉迦竜王】
西洋のバシリスクに当たる存在であり、八大竜王の一角。
その視線によってあらゆる生命を腐らせ、一瞬で絶命させることが出来る。
多くの竜や水の神性は浄化や大流など禊の面を持っているに対し、
この竜王は水の陰の特性である“腐食”を司っている。
海水は金属を冒し、長雨は木を朽ちさせ、深き霧は疫病を呼ぶ。
【燭陰】
その瞳を空ければ朝となり、閉じれば夜となり、
その息を吹きかければ嵐となって地上を蹂躙し、
その身の丈は数多の山を覆ってしまうと謂われる巨大な神性。
その正体は天を覆う雲やオーロラの擬人化だという。
自然界において最も雄大で神聖な水の動きを司り、
最も天道に近い龍神。
569
:
竜宮
:2011/11/27(日) 00:45:24 ID:3FBgi9l6
>>568
祖父の執務室の前で、衣蛸は白髪の老女に尋ねた。
途中で出会った蟹も蛸も魚も海老も、どこかきりきりとした緊張感に溢れていた。
「白累様〜。一体どうしたんです?」
のほほんと尋ねる叡肖に、この白髪の老女は妙に鋭い黒い瞳を向けた。
『叡肖。良いところに来てくれました。貴方、これ持ってちょっと中へ行って来なさい』
押し付けられた盆には酒と盃。
「え?…こういうのって普通、綺麗どころがやることでしょ?ねぇ?」
あれよあれよと言う間に、適当だった衣装はきっちり調えられて、文官の位を示す冠が叡肖の頭に載せられる。
『門を通らぬ謎のお客人で、かなりの大物らしいのですよ』
(まじで?)
嫌な予感しかしない叡肖。
(この婆さんが張り切ってるときって、俺良い思い出ないんだよ)
竜宮一の年寄りである出世法螺のお累婆さんにうながされ、執務室の扉の前に立たされた叡肖は腹を括って中へ入った。
中では丁度、面々の紹介が済んだところらしい。
蛸の大臣は入室した叡肖へ無言で頷くと、客人に応えた。
「我が主は既に身罷っており、次期当主は未だ幼く今は陸にて療養中の身に御座います。
なにとぞ天界にはご配慮のほどを願いたい。
……杯が参りましたので、まずは一献如何でしょうか」
客人と祖父へ一礼して、叡肖は面を伏せたまま盆を捧げて控える。
(なるほど、婆さんが張り切ってるわけだ)
おそらく出世法螺は杯が跳ね除けられると見越して、綺麗どころではなく叡肖をここへ送り込んだのだろう。
そして今背後で締まり行く扉の向こうへも、祖父の「天界」の言葉は届いたはずだ。
(あーあ。俺終わった)
570
:
天界使節
:2011/11/27(日) 01:07:01 ID:tElbSrz.
>>569
「ふむ・・・、それは申し訳ない。
おぉ、それでは頂きますかな」
燭陰は難しそうな顔をして髭を擦ると、杯を受け取る。
隣で辰竜がニヤニヤ笑い始めた。
「燭陰さ〜ん、これもう話出した方が早くないですかぁ〜?」
「これ、お前という奴は・・・」
「いーじゃねぇーですか、別にやったと決まったわけじゃねぇーんでしょー?」
「うむぅ・・・」
燭陰の沈黙を許可と受け取ったのか、辰竜は語り始めた。
「実はウチの身内が下界(した)からなんらかの方法で殺されましてねぇー。
天界(こっち)で色々調べまわったところ、
どーやら容疑者とそちらの主が何度か接触しているらしいんですわー」
「もう少し言葉を選ばんか・・・」
燭陰の眉間の皺が濃くなっていく。
「まぁ、極論で言っちゃうと。
もしかして共犯(グル)なんじゃないかなー、って疑ってるわけですよ」
「これっ!!」
「あいたー!」
カツーン、といい音が部屋に響いた。
燭陰はやれやれとため息をついて、辰竜の頭から杖を下ろす。
「まだ確証も証拠も無い話でございますよ。
共犯かどうかなどはこちらは露とも思っておりません。
とりあえず犯人の動機や特徴でもお聞きできれば、という次第なのですよ」
燭陰は「失礼な言い方をしてすみませんな」と、笑いながら杯に酒を受けていた。
571
:
竜宮
:2011/11/27(日) 01:32:50 ID:3FBgi9l6
>>570
蛸の大臣は、客人の言葉に得心したように頷いた。
「なるほど。その件でしたら、こちらの叡肖が詳しいでしょう。
わしもまだ、報告書の全てには目を通しきって居らぬのです」
話を振られて叡肖は今更、部屋を出たことを後悔していた。
糸も餌も無く、祖父には上手いこと釣られてしまった。
「私の発言をお許し頂けるでしょうか」
まず燭陰へ、次いで辰竜へと確認すると、衣蛸は説明をし始めた。
「全ては我が竜宮が、かつて窮奇の討伐の為に陸のとある集団と同盟を結んだことに端を発します。
窮奇により前の主が殺害されし後に、その同盟相手の重要人物が失踪する事件が持ち上がりました。
集団からの協力要請に応じた次期当主は、その失踪に関与すると思われる神代なる少年の一派を
探っている過程で、神代少年が天界より上位神を打ち落とす場面に遭遇したのです。
その直後に次期当主は神代と戦い、その傷から臥せったままで御座います。
これが次期当主が天界よりのお客人を直々にお迎えできぬ理由に御座います。どうかご容赦を」
次期当主が天神殺しの共犯かそうでないか、全ては暈してありながらも、嘘ではない。
衣蛸の黒い舌先は、嘘をつかずに真実を隠した。
572
:
天界使節
:2011/11/27(日) 01:42:46 ID:tElbSrz.
>>571
「ほぅ・・・それはなかなか殊勝なことですな。
疑ったようなことを言って、大変失礼仕った」
燭陰は杯の酒をぐぃ、と飲み干すと言葉を繋ぐ。
「しかし何処かぼんやりした物言いですな。
失礼ですがご確認させていただきたい」
叡肖のぼんやりとした言い方は逆に燭陰のほんの僅かな不審を買ってしまった。
横で辰竜がニヤニヤとし始める。
「つまり竜宮の主は共犯などで無く、
神代なる者の凶行を止める為に紛争していただいたということですかな?」
573
:
竜宮
:2011/11/27(日) 01:53:13 ID:3FBgi9l6
>>572
「共犯と言うわけでも、さらに言えば凶行を止める為に戦ったのでもありません。
窮奇の件で我ら竜宮に協力してくれた集団へ恩義を返すために、
失踪した人物を神代の手から救おうとしたまでのことに御座います」
天界とも神代少年とも別の思惑で動いた結果、たまたまそうなったに過ぎない、と
糞真面目に取り繕った顔で衣蛸は答えた。
その芝居っぷりを面白く思いながら見ているのは蛸の大臣、
逆につまらなそうに扉の向こうで聞き耳を立てているのは出世法螺の婆である。
574
:
天界使節
:2011/11/27(日) 02:01:30 ID:tElbSrz.
>>573
「それではわかりませんな・・・」
逆に燭陰の顔色が徐々に思わしくなくなってくる。
あからさまに不審の色が濃くなり始めた。
「できればその場面の事を詳細に教えていただけますかな、
特に天界の神が打ち落とされた状況など――
「ギシシシシシシシッ、燭陰さ〜〜ん、
そんなことより当時の場面見せてもらったほうが早いですってぇ〜〜〜」
ニヤニヤ笑っている辰竜が口を挟む。
どうやら聞けば聞くほど話がややこしくなっているのに気づいているようだ。
「ねぇ、なんかその場所の雫とかありませんかぁ?
それさえありゃあ、俺は映しちゃえるんでぇー」
「むぅ・・・確かに聞き込むだけでは把握しきれないほど複雑な事態のようですな」
場の空気が思わしくなくなる。
どうやらその場面を見せないようであれば、一気に不信感が爆発するだろう。
575
:
竜宮
:2011/11/27(日) 02:12:30 ID:3FBgi9l6
>>574
「直ちに用意いたしましょう。」
蛸の大臣がその手を二拍すると、出世法螺の婆が満面の笑みを浮かべて新しい酒壷を手に入ってきた。
叡肖のこれまでの努力は、彼女によって無駄にされるのである。
「では、どうぞご覧下さいますように」
空になった客人の杯に、老女が壷の中身を注いで回る。
それぞれの杯は、あの時の全てを余さずに映し出すだろう。
そして叡肖は、祖父の青い目に期待の光があることに遅まきながら気づいて絶望した。
彼の舌先三寸の働きは、天界との諍いを恐れるのではなく、
この老人達の思惑通りになりたくないが為の働きだったからである。
(爺ィも婆ァもたかが退屈をしのぐためにどんだけ貪欲なんだ)
酒盃の中身は、政務に飽きたアッコロカムイと戦好きの出世法螺とに、
暴れるに都合のいい口実を与えるに過ぎないのだ。
576
:
天界使節
:2011/11/27(日) 02:27:43 ID:tElbSrz.
>>575
「」
「」
「」
天界陣、絶句。
燭陰はワナワナと震えだし、辰竜も想像以上の事態に乾いた笑いしか出てこない。
声しか聞こえぬ徳叉迦も口あんぐりである。
「・・・あなた方への見方が変わりました。ええ。
止めないのはまぁあの場面だから致し方ないとしましょう。
しかし私の目にはどうも竜宮の主と神代なる者が共犯に見える。
というか終ったらあの建物を立てる約束とかこれは賄賂ですか?
それ以前に丸呑みってなんだよ!?」
ばぁん!! とテーブルを殴りつける。
テーブルは木っ端微塵に大破し、衝撃が床を突き抜けて建物全体を揺らす。
ふぅふぅと肩で息する燭陰を辰竜があわてて宥めに入る。
「お、落ち着いてください! こんなところで原形に戻ったら竜宮どころか海が滅びます!!」
577
:
竜宮
:2011/11/27(日) 02:43:30 ID:3FBgi9l6
>>576
「だって食べたほうが浮かばれるし?」
「食べなきゃもったいないですよ」
「むしろお残しは許されませんな」
天界の3人と対照的に、水界の3人の意見はこうである。
命ひしめく海では、死者に墓など立てていたら海底の土地が幾らあっても足りない。
「わしらにとっちゃ弔いってのは、基本人間がすることですよ」
人間の手本となる天界と、化け物の住処の水界とでは、その認識にまさしく雲泥の差があった。
そして、怒れる燭陰の一撃で建物が揺れたとき。
ぼうぼうと戦いを知らせる法螺貝の音が、待ちかねていたように鳴り渡る。
途端に竜宮を囲む結界がその性質を変えた。
政務室も、調度品も全て水に溶け込むかのように消えてゆく。
結界内側の空間が丸ごと異界へと滑り込んだのだ。
(壁も天井も無くなった、って事は人の姿でなくても良いのか)
辺りを揺らぐ水はどこまでも澄んで、見下ろせば海底までの間には
多くの兵士や文官、海妖や下級神格達がひしめいている。
竜宮の丸ごとが戦うのは、叡肖にも始めての体験だ。
「天地が続く限り、この海も滅びませぬよ。ご安心なされい」
アッコロカムイも楽しげに赤い衣を靡かせて、水中をたゆたう。
578
:
天界使節
:2011/11/27(日) 02:54:39 ID:tElbSrz.
>>577
「そこじゃねぇよ! むしろ食べる為に共謀したのかと思ったわ!
というか共謀したのが問題なのであってあぁーーーー、この海洋生物共がぁあああああ!!」
「落ち着いてください! 俺と若干キャラ被ってます!!」
「・・・」
突如、空間が性質を変え一面見渡す限りの海原となる。
当たりに犇く雰囲気に、徳叉迦が身を乗り出す。
「戦る気か・・・?」
「えぇーーー! 戦いになるなんて聞いてないッスよぉおおお!!」
579
:
竜宮
:2011/11/27(日) 03:21:06 ID:3FBgi9l6
>>578
「お累さんや。どうやらお客人にも選択の余地があるようですな」
「あれま、それは残念」
大きな法螺貝から、赤い龍の頭が覗く。
アッコロカムイは禿頭の老人の姿を保ったままで、天界の3人に妥協案を提示した。
「こちらの言い分も、文化の違いもお分かり頂いた上でここまでの手打ちとするのは如何かな?
舌先三寸で解けぬもつれは牙で持って解くというなら、それも皆様方の自由。
この通り、広い場所もご用意できますので何時でもお越しくだされ」
暗に武力をちらつかせて数で劣る使者を脅す、というのはよくある話だ。
「今後何かそちらのご不興を買うことがあれば、それが理不尽なことでない限りは
その時は竜宮として責任は取りましょうぞ」
今は一度引くほうが戦うにしても準備が出来る筈、と回避策を示して蛸の大臣は上を示した。
天からの光は輝く道のように海中を上から降りてきている。
その光の道を登ってゆく天界からの客人を見送って、また元の竜宮へと戻った時に、
その場に居た誰よりも叡肖はほっとしたのであった。
580
:
天界使節
:2011/11/27(日) 15:42:53 ID:tElbSrz.
>>579
「・・・」
「よされいっ!! 殺生はご法度ですぞ!!」
目隠しを外そうとする徳叉迦を正気に戻った燭陰が制する。
にわかに騒々しくなった中で、燭陰はアッコロカムイの妥協案を呑むことにする。
「確かにまるで話が通じないようだ。
今回の件は“竜宮の主が加担していた”と天界で報告させていただきますよ」
よろよろと立ち上がる燭陰とそれに辰竜と徳叉迦が追随する。
「それと・・・我々と対等に渡り合おうなどと考えなさらない方がいい。
殺生はご法度であるが、あなた方を物も言えぬ元の海洋生物に戻す事だってできるのですよ?
最悪、ここを取り潰して新しい竜宮の新設も考えなければ成りますまいな」
もはや隠す気も無くなった脅迫を捨て台詞のように言うと、
天界の一行は光の道へと昇って行った。
581
:
???
:2011/11/27(日) 23:32:42 ID:EK/9fLvc
ニコニコニコニコ。
雨好きで日光が嫌いで泥が跳ねようとも気にしない、
そのような奇特な者でないと今日の間は基本ぶっちょづらであろう。
しかしそんな夜になっても止まない大雨の中、
泥の跳ねる回数、量ともにおそらく群を抜くであろう公園という施設の中、
この黒いローブに包まれた少年は笑っていた。
顔は見えない。
以前は分け合ってフードを外したが、この顔を他者に見られる事に関してまだ、
あまりいい気はしないし良い気もさせないだろうと考えていたから。
そんな謎な恰好の少年は一人、
人もおらず日も暮れたため遊べなくなった公園の、
すっかり雨に湿気たベンチに座っていた。
582
:
雨邑
:2011/11/27(日) 23:45:44 ID:tElbSrz.
>>581
そんな雨の中、傘を差して近づく影が1つ。
青い着物は豪雨なのにどこも濡れておらず、淡い色が街灯の明かりに映し出されている。
エクスクレメントル
「隣いいかな、 クソ野郎 」
ドライな声と共に雨邑が現れ、濡れたベンチの隣に腰掛けた。
「水晶の眼で一部始終は見させて貰った、大変なことをしてくれたな」
はぁ、とため息をつくと。
雨邑はトゲのある声で責めるように語り掛ける。
「あなたの事情に口出しする気はない。
だがなぜよりにもよって天界の神格に牙を剥いた、なぜ殺した」
言葉は更に鋭くなる。
「あなたのせいで私のダンナは・・・。
あなたの初めての友達は大変なことになっているんだけれど?」
583
:
神代
:2011/11/27(日) 23:58:26 ID:EK/9fLvc
>>582
そもそも神代がなぜ、こんな何もない公園に腰掛けているのか。
本来ならば外出すらも憚られる身の彼にとっては、
今この状態はこれ以上も無いくらいにそこら中から狙われ放題なのだ。
だが神代はそんな中、榊の助言を聞いてやってきた。
榊の―きっとこれからなにがしかのきっかけとなる、
上手くいけば巴津火を切り離すことのできる者と出会える筈だ―
の言葉を信じて今ここにいる。
「ふふ、これは随分と酷く罵られました。
こう見えても傷ついているんですよ?でもまあ、どうぞ」
それ故、彼女の来る事も想定できていた神代はそちらへ顔を向けることなく、
座る場所を確保するように端に退いた。
「くすくす、何故と言われましても、僕の牙は天界に向ける為だけに、
こうして胸の奥に鋭く生えているのですから。向けない手はないでしょ?
それと、あなたのダンナ様がこれに関わっているのですか?
この場合普通に考えて旦那は、天界の神か巴津火君なのでしょうが」
いくら言葉汚く罵声が降りかかろうと、笑顔がぶれる様子は全くない。
自身を彼女の言葉以上に低く置いている神代にとっては、
むしろ買いかぶりな程に聞こえてしまうからである。
584
:
雨邑
:2011/11/28(月) 00:08:54 ID:tElbSrz.
>>583
バシッ!!
濡れた音が公園に響く。
雨邑の傘が足下で転がっていた。
「何が可笑しい、ヘラヘラ笑ってるんじゃないわよ」
急に飛んできたビンタが神代の頬を捉えていた。
振りぬいた雨邑の手からは黒い煙がブスブスと燻っている。
雨邑は泣きそうな目になって、怒鳴りつける。
「なんで差し出された手を素直に取れなかった。
なんでそんなに卑屈にしかものを考えられない。
その末にあんたが一体なにをやったかわかっているのか!?」
ギリリと軋むほどに奥歯を噛み締め、豪雨に着物が見る見る濃い青色に変化していく。
「天界の神殺しになんで巴津火を巻き込んだ!!!」
585
:
神代
:2011/11/28(月) 00:21:21 ID:EK/9fLvc
>>584
雨邑の頬を叩こうとする手を神代は見えていた。
相手を打倒せんがために振るわれるそれとは違いこの彼女の平手は、
並みの者でもなければ避けられたのだろう。
「ふふ、それでも僕は笑わせていただきます。
流石にほっぺは痛いですが」
力は天へと届く神代であっても体は未発達の少年。
体重のあまりない彼は容易に態勢を崩し、水で泥となった地面に倒れ伏せた。
「くすくす、卑屈ですか、仲間にもよく言われます。
今でなら言えますが、巴津火さんに申し訳なかったと言っておいてください」
黒いローブの神代はよろよろと立ちあがって笑みを浮かべ、
雨邑をぼんやりとした瞳で見つめ返した。フードは今ので脱げてしまったのだ。
「だから僕は巴津火さんに言っていたのですよ。
釘を何本も刺すように、僕は下劣だと。
天に唾する愚行、生みの親を愚弄する高慢、宿命を理解できない無知、
それらを全てしてしまうような程、僕は同情に値しない者だと。
確かに言ったのですよ。」
586
:
雨邑
:2011/11/28(月) 00:34:09 ID:tElbSrz.
>>585
「クソ野郎が・・・」
雨邑は鋭く憎悪の篭った目で睨みつけた。
「穂産姉妹にも愛されていた、産みの親にも愛されていた。
それにも拘らずなにもかも生まれのせいにして、勝手に卑屈になって愚考に走る。
確かに同情のしようがないクズだな」
雨邑は傘を拾うと、そのまま背を向け歩き出す。
「もうこれ以上、あなたには話すことも興味も無い」
雨が降りしきる帳の中へと雨邑は消えていった。
587
:
神代
:2011/11/28(月) 00:42:11 ID:EK/9fLvc
>>586
立ち上がっても、体中を泥まみれにして立ち尽くしながら、
更に罵られた神代は静かに口角を上げて笑った。
苦笑いとすら呼べる笑みを浮かべて、去っていく雨邑を見つめている。
「ふふ、もちろん、僕は確かに愛されていましたよ。
穂産姉妹さん達にも、多分お母さんお父さんにも惜しみなく。
だからこそ、僕からあの人達との繋がりを奪った、
天に今も聖人面して、邪すらも生と言いきりながら鎮座している、
天界の神共が例えようもなく憎いのです」
ぼそりと、雨邑には聞こえなかったような声で、
神代は自分の心を確かめるかのように一人笑いながら呟いた。
588
:
零
:2011/11/29(火) 23:50:46 ID:HbHPxpxY
「・・・・・・疲れた!」
ここはとある山道。
通行人も夜な為、全くいない。
そんななか、制服姿の少年一人歩いていた。
どうやら、くったりした様子。
「帰って黒龍に慰めて貰おう。」
589
:
現人
:2011/11/29(火) 23:59:42 ID:rRrCSwK.
>>588
そんな人気のない山道に響く足音、音源は後方
その足音はゆっくりだが確実に近づいてくる
人なのかそうでないのかは今はわからない
590
:
名無しさん
:2011/11/30(水) 00:03:11 ID:HbHPxpxY
>>589
「・・・っ?」
何これストーカーなの!?と思いながら、木陰に隠れる少年。
どうやら後方を確認するためらしい。
ちなみにこの少年、人間ではない。
591
:
現人
:2011/11/30(水) 00:17:41 ID:???
>>590
振り返って見ればそこには誰も居ない?
いや、居るのではあるがあまりにも気配がない
「・・・んー?」
少年が身を隠すのを見て首をかしげるそいつは、帽子を目が完全に隠れる程に深く被った
しかし、それが何故か不自然に見えない、高校生ぐらいに見える青年だった
592
:
零
:2011/11/30(水) 00:28:19 ID:HbHPxpxY
>>591
(ばれてるよね、絶対。)
恥ずかしげに出て来た少年はマフラーを首に巻きながらニコニコ笑っていた。
「こんばんは、こんな夜中ですから、不審者かと思いましたよ。」
この少年は誰なのだろう、と零は内心思った。
普通の人間なら良いが、これが妖怪ならどうしようとも考えていた。
593
:
現人
:2011/11/30(水) 00:39:54 ID:???
>>592
「あぁ、なるほど驚かせてすまんかった。あと、こんばんはだな」
隠れた理由を知り、納得したらしく以外にも素直に頭を下げる
「しかし、お前さん一人でこんなところにいたら危ないんじゃないのか?」
「しかも、まだ子供に見える。つい不思議に思って近づいちまったぞ」
見た目で言えばさして年の差ないようにみえるが棚に上げている
気配の無さからいっても、普通の人間では無いだろうが
594
:
零
:2011/11/30(水) 00:50:19 ID:HbHPxpxY
>>593
「いえいえ、こちらこそ疑ってすみませんでした。」
瞳はやんわりと青年を見ている。
して間もなく、零は口を開く。
「今は高校1年生です、今日は山の生物を探索してましてね。気づけばもうこんな時間です。」
そして零は急に目を見開き、青年の肩を掴む。
「ところで貴方も何してたんですか?この山、【妖怪】が出るって噂ですからね?」ニコニコ
595
:
現人
:2011/11/30(水) 01:01:22 ID:rRrCSwK.
>>594
「いやいや、きにすんな」
手を振り、気にするなのサイン
「はぁ〜、そりゃまたずいぶん長いこと熱中してたんだなぁ」
感心したように声を出す
「うぉ!?っと・・・何をしてたと言われても何もしてないと言うか何も考えてすらないと言うか」
急に肩を捕まれ驚いたが、すぐに元の調子になり返答する
「しかし、【妖怪】ねぇ・・・、ひょっとしてお前さんがその【妖怪】だとか?」
あからさまに冗談めかして言う
596
:
零
:2011/11/30(水) 01:10:16 ID:HbHPxpxY
>>595
くすり、と零は笑った。
「何も考えず、ですか・・・。
妖怪だったら・・・貴方はどうしますか?何かしらは考えますか?逃げますか?
まあ・・・どちらとも言えませんけどね☆」
妖怪と言えない訳でもないが、相手はまだ知り合ったばかりの人間だ。
まだ相手を探る必要がある。
597
:
現人
:2011/11/30(水) 01:15:12 ID:rRrCSwK.
>>596
「お前さんが妖怪だったら、ねぇ・・・」
その質問を聞き、少し考える
「そうだな、"同じたな"っていうな」
いとも簡単にそう口にする
しかし、それだけに冗談なのか真実なのかが分かりにくい
598
:
零
:2011/11/30(水) 01:26:38 ID:HbHPxpxY
>>597
「・・・・・・!」
一瞬驚いたそぶりを見せたが、零は直ぐに笑顔を戻した。
自分の予想を上回る返事で、緊張感が少し高まるのが解った。
「そうですか、貴方が妖怪なら私は貴方を尊敬します。
もし、次に会う機会があればお会いしましょう。
その時には、私のこと明かしますから。」
だが今日は疲れているのだ、凄く。この【悪魔】は次に彼と会うのを楽しみにしながら帰って行った。
//絡みはこのような流れです。
新人さん、絡みお疲れ様でした&ありがとうございました!
599
:
現人
:2011/11/30(水) 01:33:01 ID:rRrCSwK.
>>598
「ふむ、なら俺もお前さんの正体を聞くのを楽しみに待つことにする」
「じゃあな、また会おうぜ」
少年の姿が見えなくなったら、自身もゆっくりとその場を後にした
//色々拙かったと思いますが付き合っていただきありがとうございました、お疲れ様でした!
600
:
宛誄&蜂比礼
:2011/11/30(水) 22:52:10 ID:tElbSrz.
零のマンションにて。
宛誄は零に真剣な面持ちで話しかけている。
「さて、コンビを組むに当たってこれ以上隠し事はナシにして貰えますよね?」
どこか問い詰めるようなキツめの口調で続ける。
「教えてください、あの白竜は一体何者なんですか?
なぜ貴方や僕を執拗に追い掛け回すのです?」
蜂比礼はやはり居心地悪げにふよふよしていた。
601
:
零&黒龍
:2011/11/30(水) 23:04:54 ID:HbHPxpxY
>>600
「・・・解った、宛誄には言わなきゃね。あの白龍は・・・」
『俺の妹だ。』
零が言おうとしたとき、ヘッドホンを外した黒龍がかなり真面目な顔で話に入って来た。
『なぜ宛誄を襲うかは解らないが、白龍は俺を狙っているはずだ。
白龍は俺を酷く怨んでるから。もういいだろ?』
カシャン、とヘッドホンを投げ捨てて黒龍は家を飛び出した。
「ごめんね、宛誄。黒龍、結構ああ見えて色々悩んでるから。黒龍の言う通り、白龍は妹だよ。【バラウール】っていう神様。」
602
:
宛誄&蜂比礼
:2011/11/30(水) 23:21:08 ID:tElbSrz.
>>601
「なるほどね・・・、やっぱり教える気は無いと」
宛誄は呆れかえったようにため息をつく。
零の言葉に宛誄は目を光らせる。
「そのことについては僕も調べてみましたよ。
あのなんかウザいのが言っていたバラウールという名と、
白竜が貴方を呼んでいたジルニトラという名について文献でね」
どこか挑発するような響きを込めて、宛誄は続ける。
「女の竜は邪悪で水を操る、男の竜は善良で炎を操る。
これってつまり貴方達2人のことにあてはまりますよね」
603
:
零
:2011/11/30(水) 23:35:46 ID:HbHPxpxY
>>602
「そう、あの二匹こそが宛誄の読んだ文献の龍。
昔は仲が良くて対立とかしてなかったんだけどね。
・・・神話によって定められた事があの二人を裂いた原因。
だって白龍、本来は神聖な生き物だから。邪悪なんて言うのは全く嘘。
逆に黒龍だって、常に良心かと言えばそれは違う。万が一逆鱗なんかに触れたらね、殺しちゃうよ。」
「そしてその神話を人々は信じ、悪と善を決めつけた。結果、戦争に発展した。
・・・どう、宛誄君。解らないとこあるかな。私の知る範囲は言うよ。」
はっちーに何か飲むかと声をかけ、宛誄に笑いかける。
604
:
宛誄&蜂比礼
:2011/11/30(水) 23:47:21 ID:tElbSrz.
>>603
「そうだったんですか・・・そうとは知らず、
不配慮なことを言ってしまってすいませんでした」
「あ! ハチミツレモンがいいし!!」
待ってましたとばかりに飛びつく蜂比礼。
宛誄がしばしの間考えにふける。
「実は僕達兄妹はあの女・・・窮奇の記憶を三分割で引き継いでましてね。
零さんの頭を覗いた記憶を僕は引き継いでいるんですよ。
神話に定められていたとはいえ、ほんの少し前・・・。
少なくとも窮奇が生きていた頃はバラウールもジルニトラも仲良く触れ合っていたはずです。
教えてください。神話でいがみ合った二人が何故仲良くなったのですか?
そして仲が良かったはずの二人が何故今更になって神話の時のように殺し合いを始めているんです?
窮奇が貴方の記憶を覗いた時と今現在までの間に、黒竜さんに一体何があったんですか」
605
:
零
:2011/12/01(木) 00:04:01 ID:HbHPxpxY
>>604
「戦争が終わった理由が関連してくるんだ。
二人を止めたのは天界の神様、人や妖怪を多く巻き込んでその村を滅ぼしちゃったから神様は怒ったんだろうね。
そこで神様は、二人を殺そうとしたんだけど・・・。」
蜂蜜レモンを作りながら、話続ける零。
・・・ん?零に作らせていいのかはっちー?
「黒龍が庇ったの。そうしたら神様、同情したらしく、殺すことは止めた。
代わりに、白龍の人格を封印して新たな白龍の人格を入れた訳。
だから、窮奇さんの記憶の白龍は作られた白龍、というわけ。
・・・なぜ今襲うかは解るね?封印された白龍が蘇った・・・」
紫色に光る蜂蜜レモンを出して、宛誄の隣に座った。ほら、変な物出てきた。
606
:
宛誄&蜂比礼
:2011/12/01(木) 00:19:17 ID:tElbSrz.
>>605
「・・・そういうことだったんですか」
それなら全て納得がいく。
仮初の人格を入れられた妹と仲良く暮らしてきて、
そして蘇った“本物の妹”は自分を殺そうとする。
黒竜の痛みは、苦しみは。
想像することもできない。
「皮肉ですね・・・、
封印なんてされずにそのまま仲直りできたらよかったのに」
ワクワクとして待っていた蜂比礼の表情が絶望に染まる。
『こ、これいったいなんなんだし・・・!』
「しかしそうなると気になるのはなぜ、今更になって封印が解けたのかです。
少なくとも数百年単位で続いていた人格が今更になって解けるなんて・・・。
なにかきっかけでもありましたか?」
ぼんやりとしていた敵の動きと、バラウールと名乗る白竜の正体が。
だんだんと輪郭を伴ってはっきり見えていくような気がした。
607
:
名無しさん
:2011/12/01(木) 00:34:40 ID:HbHPxpxY
>>606
『宛るん、今日も来てたんだ!』モフッ
「あ、露希、お帰り。」
『ただいm、おいなんださの紫の。』
「蜂蜜レm『はぁぁ!?』」
ここでまさかの露希登場。宛誄は前にも家に来ていたので知っている。
そんな宛誄達に危険物を渡す零をひっぱたき、ちゃんとした蜂蜜レモンを作ってあげた。
『ボクも混ぜてー。』
「・・・・・・。まあいいや。宛誄、いいところに気づいたね。
それは天界側の命令で密かに生活することを約束したんだって。だけど破ったら、白龍は封印を解かれ、再び戦争を勃発させ、再び悲劇を起こさせるとかなんとか。
だけど、その後が不可解なんだよね。
だって黒龍白龍、つい最近、死んだから。なのに二匹とも生きてる。」
『・・・・・・』
露希の表情が固まった
608
:
宛誄&蜂比礼
:2011/12/01(木) 00:51:20 ID:tElbSrz.
>>607
「うわっ!」
いきなり抱きつかれる宛誄。
思わぬ不意打ちだった為思う存分モフられてしまうだろう。
紫色の液体を前にぷるぷる震えていた蜂比礼の顔が笑顔に染まる。
『わーい! ありがとうだしー!!』
「天界側の命令・・・、ちょっと不可解ですね。
戦争の罰で殺そうとしたのにわざわざもう一度戦争を起こさせるなんて」
「まぁ天界の考えることなんてわからない」と、宛誄は呟く。
何よりその後の言葉に戦慄した。
「死んだ・・・? いや、それが生き返るなんて・・・」
死者蘇生は不可能の代名詞のようなもののハズ。
夜行神のようにまったく同じモノを作り出せたとしても、
その中身はまったくの“別物”。
道返玉のように魂を引き戻して完全に蘇らせるなど“できるはずがない”。
「・・・おそらく、それがきっかけでしょうね。
となると気になるのは“誰が復活させたか”、です」
宛誄は考えこむ。
「僕の命を狙っていたことから単純に考えて、青行燈。
しかし奴はそんなことしそうもないような愉快犯だ、
なにより僕の妨害を阻止するだけなら他にいくらでも手は有る。
・・・となると、別の誰か。
おそらく戦争を再開させたくて、かつ僕を殺したがる者」
609
:
零&露希
:2011/12/01(木) 01:04:47 ID:HbHPxpxY
>>608
「黒龍もあのジルニトラ、死者蘇生も不可能じゃないけどね。ん?露希?」
『白龍が・・・?』
「(露希には言わないでおこうと思ってたのに)」
「宛誄、何はともあれ、もう私たちは仲間。大丈夫だよ。」
宛誄を安心させようと一言言った零は直ぐに露希へと対応した。
「今は会えないけど」
『なんで!?零はいつも隠しことばっかり!酷いよ!!』
「いや、だから『氷亜さんに頼んで零のこと凍らす!とにかく白龍探すから!』」
610
:
宛誄&蜂比礼
:2011/12/01(木) 01:14:33 ID:tElbSrz.
>>609
「待ってください!
・・・厳密にはアレは貴方の知る白竜の姿をした別物です。
零さんが隠し事ばっかりでめんどくさいのは同意ですが落ち着いて!」
大声で露希を呼び止める。
しかしその言葉に、宛誄は少しピンとしたような表情になる。
「・・・待てよ、もしバラウールが“白竜”だった頃の記憶を呼び覚ませるとしたら・・・?」
そこまで考えて、ふぅとため息をつく。
「まぁそれができたら苦労はしないんですけどね・・・」
611
:
零&露希
:2011/12/01(木) 01:24:07 ID:HbHPxpxY
>>610
「あーうん、なんで私はそこまで。
白龍の記憶出せるのかな?」
『だよね宛るん、コイツ焼こうか!それとも苦手な虫ぶつけようか!
・・・でも生きててくれたんだ。白龍。』
「宛誄、今日の事はあんまり人には言わないで。それから白龍に会ったら、直ぐに逃げて。いいね?」ニコニコ
すっと立ち上がり、ニコニコと玄関へ向かう。
どうやら、黒龍を迎えに行くらしい。
ほんとめんどくさい、こいつら。
部屋に残れば、はっちーも露希になでもふされてしまうだろう。
//眠気やばいので、この辺で落ちます。
絡み乙&ありがとうございました!
612
:
宛誄&蜂比礼
:2011/12/01(木) 01:40:13 ID:tElbSrz.
>>611
「えぇ・・・、言われずもがな」
敵の正体は掴めた。
どうやら相手は予想以上に厄介な奴らしい。
『ごちそうさまだしー!』
「それじゃあ失礼しますよ・・・、
あとで黒竜さんに謝っておいてください」
なでもふされる未来を予見してか、
宛誄と蜂比礼はそそくさと部屋から立ち去っていった。
613
:
白龍
:2011/12/02(金) 23:04:18 ID:HbHPxpxY
とある山奥、季節も冬で、辺りには積もった雪で白銀の世界。
そんな月夜、雪の上に仰向けで倒れている者がいた。
「ま、また・・・体に血が着いてた・・・・・・。私はまた誰かを殺してしまった・・・。」
元々は白銀の毛並みを持つであろう龍は、少し汚れていた。
614
:
名前未定
:2011/12/02(金) 23:15:25 ID:rRrCSwK.
>>613
どこからか聞こえてくる足音、ふらふらと目的もなく移動するが結果的に近づいてくる
奇妙な点は足音はするのに気配が全くないことだ
「ん?なんか血の臭いが?」
その奇妙な足音の主、帽子を目が完全に隠れる程に深く被った高校生ぐらいに見える青年は
鼻をひくつかせ、今度はしっかり目的を持って近づいて行く
615
:
クロコ
:2011/12/02(金) 23:19:57 ID:c1.PBF/s
>>613
>>614
「寒いな…もう冬か」
その雪の中を歩いてる一人の影。
尖った犬耳を生やし、茶色のロングヘアーで、尖った犬歯がチャームポイントの、赤い首輪をつけて着物を着た女性。
ぶるぶると身体を震わせてると、獣みたいな嗅覚が何かを嗅ぎ付ける。
「………この匂いは血と…龍か?あとなんか別の匂いも近づいてきてるが」
匂いにつられ、彼女はその場へ近づいてくる。
「何してんだっ!?そこの龍。あんっ?
あと、テメーも匂いに釣られて来たのかっ?」
なんかヤンキーみたいな態度で睨みながら龍と青年に言う。
もうその犬耳を見てもわかるが妖怪である。
616
:
白龍
:2011/12/02(金) 23:26:55 ID:HbHPxpxY
>>614-615
誰も来ないと思っていたために、雪に体を預けていた白龍は慌てた。
「(ど、どうしましょう)」オロオロ
体には血と雪が着いてるし、凄いあわてっぷりである。
あげく、ドスの聞いた声で呼び止められ、縮み上がった。
「ひゃっ!わ、わたわた、わたしはただねてただけですっっ、ごめんなさい!」
頭を手で覆い、ふるふると奮え出した。
クロコちゃん、怖いらしい。
617
:
現人
:2011/12/02(金) 23:34:52 ID:rRrCSwK.
>>616
>>615
「んー?まぁ一応そうだが?」
女性へと顔を向け軽く頷く青年、臭いで言えば凄まじく人間にちかい
とはいっても龍や犬耳を見て平然としているのでまず人間ではないことがわかる
「しかし、お前さん女の子ならもう少し言葉遣いに気をつけたほうがいいんじゃないか?」
そして一昔前のご老人みたいな事を言ってきた
「んで、お前さんは少しは落ち着け、別に取って食おうっって訳じゃない」
今度は龍の方に顔を向け語りかける
618
:
クロコ
:2011/12/02(金) 23:47:45 ID:c1.PBF/s
>>616
>>617
「オドオドすんなぁっ!!!!!!ちゃんと喋ろやぁ!!ゴラァッ!!!」ガァー
白龍の態度が気にくわないのか怒った…理不尽だ……理不尽すぎる怒りだ…
「(……コイツの匂い…白龍だよな?だが、主の話だと死んだとか…)」
白龍とは実は犬(狼)の姿で一回会った事あるのだが…気がつかないかもしれない…
「ハッ!?私は女の子って歳じゃねえんだよ!
…………つうか、人間じゃないよな?なんだ?人に近い匂いだが…妖怪か?」
そして青年の言葉に鼻で笑いながら返事をするが、なんかばちが悪そうに頭をかきながらそう聞く。
「………ああ!とりあえず深呼吸しろ!話はそれからだ!」
あっ…なんか自分が悪いのか?的な雰囲気になって、白龍にそう言うとプイッと横を向きやがった。
コイツ…不器用だ……
619
:
白龍
:2011/12/02(金) 23:59:40 ID:HbHPxpxY
>>617-618
「ぁ、ぁ・・・・・・・・・(怖いですっ・・・)」プルプル
そして更に奮えながら余計に縮こまった。マシュマロみたいに。
「・・・し、しかしそちらの男性の方は・・・あ、あら・・・現人神様・・・では・・・。
ひぃっ、し、深呼吸ですか?!(涙出てきます・・・)」スーハー
まだ若干震えているが、あまり釣れない顔でクロコをみた。
口の端には、真っ赤な血で赤く染まり、翼も所々に傷があるのがわかる。
ちなみに白龍はクロコを覚えていないのだ。
620
:
現人
:2011/12/03(土) 00:11:22 ID:rRrCSwK.
>>618
>>619
「なに、俺からしたら大抵の場合まだ女の子さ・・・多分!」
高校生ぐらいに見えるが、まぁ見た目はあてにならない
「妖怪扱いされる事も最近は多いが一応違う、人間ではねぇことは確かだから安心してくれ」
はっはっは、と笑い声をあげる
結局答えはあいまいだ
「あー、違う違う。いや人の姿をした神という定義なら間違いではないが」
ぽりぽりと頭を帽子の上からかく
「俺は座敷童子、大層なもんじゃないちっぽけな守り神だよ」
そして自分の正体を告げる、以外と知名度のある名前だ
しかし、高校生ぐらいの見た目で座敷童子はどうなのだろう
621
:
クロコ
:2011/12/03(土) 00:29:22 ID:c1.PBF/s
>>619
>>620
「………ああああっ!じれったい!!
とりあえず口の血をふけ!
(聞くに聞けねえし!そう怯えるな!!!私が悪いみたいじゃねえか!!!)」
なんだかんだヤンキーみたいな態度をとるが、自分の着物の袖を切り、それを白龍の口をふこうとする。
……根は良い奴なのに口と性格で損する奴だ……
「座敷童子?……神格の方か?
まあ、なんか訳ありっぽいな
私はクロコ。《真神》だ。今は神格はねえ、ただの飼い犬だがな」
真神――かつて大口真神と呼ばれた山の神と崇められていた妖怪。日本狼が神格化したものといわれている。
しかし、狼は人と家畜を襲うものと言われ、現在までその神聖さは落ちている。
「にしてもデケーな…」
彼女のイメージだと座敷童子は小さな子供の姿と思ってるせいで、ちょっと驚いたようにそう言う。
622
:
白龍
:2011/12/03(土) 00:41:50 ID:HbHPxpxY
>>619-620
「むぐ・・・・・・」
大人しく血を拭かれながら、何を思ったのかペタンと座り込んだ。
「(こ、怖い方ですけれど・・・)」ドゲザッ!
無言な所から、彼女の恐さに慣れるにはかなり時間はかかりそうだが、少しなら慣れた。
「座敷・・・。・・・・・・守り神?願いなど叶えられるのですか・・・?」
いかなり彼の肩を掴む白龍。今は神頼みでもなんでも、とにかくあることをお願いしたいのだ。
623
:
現人
:2011/12/03(土) 00:54:45 ID:rRrCSwK.
>>622
>>621
「ま、一応そうなる」
クロコの問いの神格という点に頷き
「ま、俺も俺で幸福を与える力なんかは完全に使い方を忘れてるけどな
とりあえず宜しくな、俺の名前は現人だ」
座敷童子なのに現人という非常に紛らわしい名前を告げつつニカッ笑う
「子供の姿もあるが今の時代こっちのほうが生きやすいからな」
はっはっはっと笑う、先ほどの幸福に出来ない発言とあわせると
既に座敷童子としての色々なものが破綻していると言えなくもない
「という訳で、昔ならいざ知らず今の俺には多分無理だ、申し訳ない」
肩を掴む龍に向け、急に真面目な顔つきになり頭を下げる
「手っ取り早く願いを叶えることは出来ないが、協力出来ることがあれば協力する」
代わりといったらなんだけどな、と付け加え
ずいぶんとお人好しなのかもしれない
624
:
クロコ
:2011/12/03(土) 01:13:59 ID:c1.PBF/s
>>623
>>624
「…こんなんで、いいだろ」
血を拭き終わると、プイッとそっぽを向き照れ隠しをし後ろに下がる。
「お前も神格落ちか……まあ、よろしく頼むわ。現人
確かにこの格好なら動きやすいしな」
少しばつの悪そうな表情をするも、ニカッと笑いそう言う。
「……おいっ!とりあえず落ち着け」
そしていきなり白龍が現人の肩を掴んだのを見てそう言い。
「まあ、なんだ…私も協力するぞ。現人。白龍。
白龍には主が世話になったしな…」
頭をかき、そっぽを向きながらそう言う。
625
:
白龍
:2011/12/03(土) 01:26:27 ID:HbHPxpxY
>>623-624
「〜〜〜ッ////」
凄く嬉しい言葉だった。
例え神格落ちであれど、自分を助けてくれる二人にはとても感謝の気持ちで一杯だった。
しかし、今すぐに叶えられないとなると、それは駄目なのだ。
本物である白龍と、この白龍の人格はいつ変わるか分からない。
それに、血の着いた原因である本物の姿を、彼等には見せたくなかった。
「では、いくつかお願いがあります。
まず今日、私と会ったことは内密にお願いします・・・。それから、それから・・・・・・。
私とは関わらないでください・・・・・。」
顔を俯かせ、何か考えながら言った。
626
:
現人
:2011/12/03(土) 01:34:42 ID:rRrCSwK.
>>625
>>624
「いや、一応神格はたもっているぞ!使い方を忘れてるだけで能力は残っているからな」
取り繕うようにクロコに言うが、使えない能力は無いのと同じだと思われる
「そうか、お前さんも協力してくれるか・・・ありがとう」
自分も協力する側のはずなのに呆れる程純粋に微笑む
「・・・どういうことだ?」
しかし、白龍の返答を聞いた途端不思議そうな顔になる
何故そんなことをいうのか、という疑問が顔にも出ている
627
:
クロコ
:2011/12/03(土) 01:44:58 ID:c1.PBF/s
>>625
>>626
「それないのと一緒だろ…」
呆れたように、そう現人に言う。
「最後は断る!関わるな!あいにく私は関わるなと言われ、『はい。そうですか』っていかねえんだよ!!
………そのお前の口についてた血の持ち主の《誰か》みたいになるからか?」
クロコは匂いで彼女の口についてる血は別の誰かの血とわかった。
理由は知らないが、自分たちを巻き込みたくないからなのかと思いそう聞いた。
628
:
白龍
:2011/12/03(土) 01:59:30 ID:HbHPxpxY
>>626-627
「ク、クロコ様・・・。」
彼女の予想は的中している。違い合う白龍は平行線のようなもの、互いがすれ違うことなど一切ない。
だから、自分とは逆のもう片方を制御するのは不可能なのだ。
「この体に潜むもう一つの龍は、本物です・・・。
ですが私にはどうすることも出来ないのです・・・・・
知らぬ間に、親しい友人を殺してしまうなど、そんなの・・・・・・。」
雪に顔を伏せ、泣き出す。クロコが否定すればするだけ、白龍の辛さが増す。
629
:
現人
:2011/12/03(土) 02:11:44 ID:rRrCSwK.
>>628
>>627
「ふっ・・・反論が出来ねえ」
何故か自信満々に、完全に開き直りである
「・・・ふむ、聞けば聞くほどはいそうですかと引き下がりたくなくなる」
白龍とクロコの会話を聞き、感想を口に出す
「誰かの為に辛そうに、涙まで流せる奴をほうっておけるはずないだろう
守り神としても、1つの魂としてもな」
やれやれと言うように肩をすくめる、名前だけ守り神の癖に
630
:
クロコ
:2011/12/03(土) 02:24:25 ID:c1.PBF/s
>>628
>>629
「……ちっ!泣くな!馬鹿!」
白龍が泣いたのを見てそう言い。
「現人の言う通りだ!そこまで聞いてほって置くのは女がすたる!!
だが私は馬鹿だから何も思い付かないがな!」
……ダメだ。コイツ
「…おいっ!現人。私はとりあえず帰って考える。何かアイデア思いついたら、山を下りたこの街の商店街にある《喫茶店・ノワール》って場所に来い。店長に私の名を出せばわかるはずだ」
「あと白龍……あがけ!!ダメでも必死に死ぬ気であがけ!!あがいてあがいて無理でもあがけ!
私は諦めねえからな!!」
彼女なりに励ますような事を言うと彼女は
バキボキメキッ!!!
と音を立て、大きな茶色の犬(狼)の姿になり去っていった。
/スイマセン…一先ず先に落ちます
/二人ともお疲れ様でした!絡みありがとうございます
631
:
白龍
:2011/12/03(土) 02:36:14 ID:HbHPxpxY
>>629-630
「お二人様・・・私のことはいいですから・・・。」
しばらくの間、泣き崩れていたが、クロコに勇気づけられ、一瞬だけ何か見えた気がした。だが。
「ーーー殺してやろう」
心の中でなにかが聞こえたような気がした。
「現人様・・・今日は、こんな私と会話して下さってありがとうございました。
さようなら・・・」
残った現人に一言残し、白龍は黒い空へと飛び去った。
「・・・あのような良い方々に頼める訳、ないじゃないですか・・・・・・。」
//私もこの辺で。
お二人様、絡みお疲れ様でした&ありがとうございました!
632
:
現人
:2011/12/03(土) 02:42:59 ID:rRrCSwK.
>>631
>>630
「OK、『喫茶店・ノワール』だな!了解だ!
なにもしないで諦めるのはお断りだ、必ず何か見つけてやる」
クロコの言葉に力強く頷き、親指を立てて答える
「会話ぐらいいつでも相手になるっての」
白龍の言葉に思わず苦笑いする
「それじゃ、お前ら『またな』!」
絶対にこれっきりでは終わらせない、そういう気構えだからさよならは言わない
二人の姿が見えなくなったら、自身も風景に溶け込むように去って行く
//お二人ともお疲れ様でした!&ありがとうございました!
633
:
現人
:2011/12/07(水) 23:58:45 ID:rRrCSwK.
「・・・うーん・・・」
とある山の中、人の気配などとうにないよるだというのに
一際大きな岩の上で腕を組み座り唸るような声をあげる帽子を目が完全に隠れる程に深く被った青年
「うぅーん・・・!」
だんだんとその唸り声は大きくなっていく、若干の憤りも含ませて
「だー!!もう、わかんねぇ!!!」
終いには大きな声で叫び、頭をかきむしり始めたここが人里なら確実に近所迷惑だ
634
:
児佐々 美雪
:2011/12/08(木) 00:04:56 ID:3FBgi9l6
>>633
「珍しいわねー、こんな所にいるなんて妖怪?」
お前が言うなと言われそうな言葉を、青年に掛けたのは一人の女子高生。
赤いマフラーと紺色のコート、その下の制服はブレザーとプリーツスカートだ。
「あー、寒い。ニーソックスじゃなくてタイツ履いてくれば良かった」
大岩の隣の岩に、ちょんと腰掛けて鞄からボトルマグを取り出す。
635
:
水町
:2011/12/08(木) 00:06:00 ID:tElbSrz.
>>633
「なにをしているのですか貴方は」
ひょっこりと太い首を伸ばしたスッポンがのそりのそりと近づいてくる。
三角のチョン、と尖った鼻がスンスンと現人の臭いをかぐ。
「ふむ・・・人の香りと妖の香りが半々で混ざり合っている。
貴方は半妖の類か、元は人だった名残を強く残している妖怪ですね」
スッポンは岩をよじ登り、現人の隣に座り込む。
「私は水町、こんな姿をしていますが河童の妖怪です。
あなたは一体なにをそんなに悩んでおいでなのですか?」
水町は冷泉のように静かな声で語りかけてきた。
(む・・・、近づいてくるこの臭いは・・・)
636
:
現人
:2011/12/08(木) 00:22:19 ID:rRrCSwK.
>>635
>>634
「何をしているって、考えているんだよ」
スッポンへ向け、答える何を考えているかは答えない
「残念ながら両方ハズレ、一応神様だよ俺は。名前は現人だ」
そう、一応この青年は守り神である。力をほとんど忘れてるので普段ならほとんど人間の臭いがするが
妖怪の臭いがするのなら知り合いの縄張りにでも行っていたのだろう
「なんだ、急にぎやかになったな、そういうお前さんはどうなんだ」
現れた女子高生に向けて逆に問いかけた
「何を悩んでいるかねぇ、それがわかりゃいいんだが・・・」
最後のスッポンの問いにぼやくように小さく呟いた
637
:
児佐々 美雪
:2011/12/08(木) 00:26:10 ID:3FBgi9l6
>>635-636
「妖怪の水町さんに、帽子の神様の現人さんかー。あ、あたしは普通の人間よ。美雪って呼んで」
さらにひざ掛けを鞄から引っ張り出しながら、女子高生は水町の言葉に耳を傾ける。
蓋の開いたボトルマグからは湯気とコーヒーの匂いが立ち上った。
「その岩、いつもうちの父と待ち合わせする場所なのよね。帰り道に拾ってってもらうんだ」
あたしん家、この先だから。と少女が指差すのは山のさらに上の方である。
「で、お兄さんは何が悩みなのかわかんないのが悩み?哲学してるーぅwww」
きゃらきゃらと笑いながら、美雪はコーヒーをすすり始めた。
638
:
水町
:2011/12/08(木) 00:27:13 ID:tElbSrz.
>>634
(獣の臭い・・・、そして微かに残った麝香の香り・・・)
水町は小さな目を細める。
(もしかすると鹿南のですか・・・、いやはや子沢山とは聞いていたが)
「えぇ、最近は爬虫類には特に応えますよ。
コタツの中から出たくないくらいです」
それでも寒さを堪えて散歩に行ってしまうのは、
ジッとしているとどうしても病院の悩みが付きまとって消えないからである。
>>635
「神も妖も私にとっては紙一重ですよ、私だってこう見えて神崩れです」
苦々しく笑いかける水町。
「随分曖昧な言い方ですな、神格持ちでしたら己の存在と役目に悩む事など無いというのに」
引っかかるような、何処か後ろめたいような言葉で呟く。
「あなたが羨ましいですよ、神格を持つものなら。
人と共に生きることも、己に迷うことも無い・・・。
私は神格を失って以来、すっかり居場所も生きている意味も無くしてしまった」
639
:
水町
:2011/12/08(木) 00:29:24 ID:tElbSrz.
//修正
×人と共に生きることも、己に迷うことも無い・・・。
○人と共に生きることもでき、己に迷うことも無い・・・。
640
:
現人
:2011/12/08(木) 00:50:32 ID:rRrCSwK.
>>638
>>637
「OK、まぁ宜しくな美雪とやら」
適当に手をひらひらと降る
「なんだ、お前さんもか」
水平の言葉にへぇー、と感心したように息を吐き
「随分と長いこと人の世で生きているんでな、考え方も人に似ちまったんだよ」
からからと楽しげに笑う、似てきたとか言うがこいつに限ればもとからこうだったと考えたほうがしっくりくる
「んー、そうだな、お前さんの生きる意味や居場所になるかはわからんが
今日からお前さんは俺の友達ってことにしよう、んでな、その次は俺の知り合いでも紹介する
そうやって人の和を広げればその内お前さんの生きる意味も場所も出来るさ」
どこからこの発思が出てきたのかさっぱりだが、青年のゆったり微笑む顔をみたら案外本気なのかもしれない
「おぉ、まさにそれだ」
そして美雪の最後の問いに指差し答える
641
:
児佐々 美雪
:2011/12/08(木) 00:57:28 ID:3FBgi9l6
>>638-639
「そうだこれ二人にあげる。
いつもは一つだけど、今日はテストだったから予備を2つ持ってきてたんだ。
教室が寒いと考えるのも捗らないじゃない?」
思い出したように女子高生がポケットから出したのはホッカイロ。
今日は期末試験日だったので、ひざ掛けやカイロ、飲み物などの寒さ対策はばっちりなのだ。
「亀さんはちょっと待ってね。低温火傷しないように包んであげるから」
肩で切りそろえられた髪をさらりと揺らして、女子高生は身軽に大岩へ飛び移ってきた。
まず青年にカイロを一つ渡し、麝香の移り香がもう少しだけ強く香る桃色のハンカチにカイロを包み、
老いた元神格にも温かさを分けようとする。
「で、お兄さんのその悩みって何時からなのー?」
何時ごろから悩み始めたのか、それすら覚えていなかったらもう考えるだけ無駄かもしんない、と
二人の神格には少々失礼なことを女子高生は考えていた。
642
:
水町
:2011/12/08(木) 01:04:31 ID:tElbSrz.
>>637
(この道、やはり・・・)
水町が指された道のほうを眺める。
「随分仲のよろしいようで、大変結構ですな」
表情の無い爬虫類の顔が少し綻んで見えた。
>>638
「そんな風に考えられるのは人だけですよ。
ノコギリとして生まれたものが、飾り物として生きても。
それはただ錆び付いていくだけとなんら変わりありません。
私達妖怪は生まれた意味が定まりすぎているんですよ。
その務めが果たせないのなら、ただ死んでいくことと変わりありません」
水町はああやはり、この者は妖怪ではないのだなと考え込んだ。
「悩みが無いのが悩みですか、随分楽しいことです」
>>639
「あぁ、ありがとうございます」
冷えた身体に布越しの温もりが伝わってくる。
水町は目を閉じて抱きかかえるように、カイロに覆い被さった。
「いい、香りですね」
643
:
現人
:2011/12/08(木) 01:12:17 ID:rRrCSwK.
>>642
>>641
「おぉ、ありがとうな。いやー、何時の世も人の人情はあったけぇな」
カイロを受け取り、ニカッと嬉しそうに笑う。言ってることは爺むさいけど
「さあな?それもよくわからん、不自然なまでにな」
美雪の問いに首をかしげる、この反応だと忘れてると思われても仕方がない
「ふぅん、そういうものなのかね?」
首をかしげる、案の定あまり理解していないらしい
「あんまり楽しくはねーよ、ずっと喉に小骨が刺さった感じだ」
644
:
児佐々 美雪
:2011/12/08(木) 01:15:08 ID:3FBgi9l6
>>642
>>643
「そのハンカチあげるから、帰りには首の後ろに結んで行くと温かくていいと思うよ」
すっぽんの表情が温かさを得たのをみて、少女の色白の頬にえくぼが浮かんだ。
(話を聞いてると、この二人は居場所の無くなった神様、なのかな。
二人のどっちかがこの山の神様になってくれたら、お父さん喜ぶんじゃないかな?
でも、辞めた神様が別の場所の神様になることって、できるものなの?)
以前に養父の鹿南が、山の神の死を悲しんでいたことを美雪は覚えている。
しかし神格についてあまり詳しくは無いこの人間の少女は、その想いを言葉に出すことはせず、
まずは二人の会話をしっかり聞いておくことにしたようだ。
持ち物を取りにもう一度、岩から岩へと飛び移る少女は、人間でありながらも酷く身軽であった。
645
:
水町
:2011/12/08(木) 01:22:23 ID:tElbSrz.
>>643
「そうですか」
水町はそれだけ言って思い返す。
(思えば私もあれ以来、悩んでばかりでしたなぁ)
>>644
「随分身軽ですな、私もこの姿であれだけよく動ければよかったのに」
カラカラと水町は美雪を見て笑っていた。
「それでは、お悩みに力に成れそうにありませんし私は帰るとしますよ。
さようなら現人さん、ありがとうございました美雪さん」
そういうと、水町の身体は不可視の膜を纏い。
徐々に透けて、消えていった。
646
:
現人
:2011/12/08(木) 01:35:58 ID:rRrCSwK.
>>645
>>644
「おぉ、随分と身軽だな」
岩を跳ぶ美雪の姿をみて、感心したような声をあげる
その内心で考えていることには気づかずに
「ん、もう帰るのかじゃあな、また会おうぜ水町」
手をひらひらと振り姿が消えていくのを見送る
647
:
児佐々 美雪「」 鹿南『』
:2011/12/08(木) 01:41:21 ID:3FBgi9l6
>>645-646
「姉さんたちと散々駆け回ったから、この山の中なら目を瞑ってても走り回れるんだ」
えへへ、と美雪は軽やかに跳ねてみせた。
ローファーの靴底とは思えない確かさで、この少女は岩の上の足場を確保している。
「私にもお父さんが迎えに来た!またね、水町さん、現人さん」
木々の向こうにちらりと赤い煌きが見えたのは、迎えに来た養父の目の輝きだろう。
それを確かめて美雪が振り返った時、既に水町の身体は透けて消えていった。
「お父ーさーん♪」
岩から飛び降りて掛けてゆきながら、丸めたひざ掛けをぶんぶんと頭上で振る少女に
金色の牡鹿が駆け寄ってきた。
大きく開く角は左右に8本づつの枝角を持ち、その左目は既に失われている。
『遅くなってごめんねぇ。明日も学校あるのにねぇ』
「ううん、久しぶりに山の家のお風呂とご飯だもん。気にならないよ」
そして片目の牡鹿は、現人にもオネェ言葉で声をかけた。
『うちの子の相手しててくれたのね、礼を言うわ。アタシはガンゴジの鹿南。
何か助けが必要な時は、この岩でアタシを呼びなさいな』
そしてその背に手を振る美雪を乗せて、木々の間を軽やかに駆け去っていった。
648
:
現人
:2011/12/08(木) 01:47:17 ID:rRrCSwK.
>>647
「ほぉ、そいつはすげえな」
素直に感心しているようだ
「鹿南ね、まぁ宜しくな、んでお二人さんもまたな!」
そして去って行く姿を見送る、その後また唸り始めたとか
649
:
纏 患奈
:2011/12/08(木) 08:15:19 ID:/AfNAO.Q
>>488
「おや? 案外大したことありませんね」
フェルゲニシュを地面に叩きつけた纏は、涼しい顔をしてその場から離れると、
超有名な某アクション俳優のまねをしてエセ憲法の構えを取り、くいくいっと指先で相手を挑発する。
男の強靭な体はネックだ。しかし纏の力は、それに勝らずとも彼に対するダメージの蓄積は可能。
加えてフェルゲニシュには致命的なディスアドバンテージがある。纏もそれに気付きつつあった。
(明らかに動きが鈍った……能力は制限付きでしょうか)
断定はできないが、しかしそうならば時間が経過すればするほどこちらが有利。
ならば逃げられる前に首謀者を吐かせ、始末するべきか。
それとも――……。
「……何だ、といわれましても。私は纏 患奈。研究好きなただの河童です。
時にあなた、人に尋ねたのですから、自らも名乗ってはどうですか?」
650
:
名無しさん
:2011/12/08(木) 16:05:52 ID:HbHPxpxY
>>649
「っくくくくくく、んふふふふふふ・・・・・・・・・っ!
いいだろう、教えてやる、俺様の名はフェルニゲシュ、かつて竜王と証されていたぁ・・・。」
ずりずりと、フェルニゲシュの体の肉が崩れ落ちていく。
そのグロテスクな光景を目の前に、彼女は何を思うだろうか。
紫の鱗に包まれ、強靭な4つの翼を持ったフェルニゲシュが姿を現した。
「大人しくしていれば調子に乗りやがって、俺様がリアルに怒ったら強いんだぞぉ?」
軽く3メートルを超えるその巨体が、纏へと距離を一気に詰めた。
その竜王の怒りへ触れた物、生きて帰る保障はない。
「一閃・無光有闇(ステルス)」
先程とは比べられないほどにまで大きくなった妖爪が纏を切ろうとする
651
:
纏 患奈
:2011/12/08(木) 17:16:25 ID:/AfNAO.Q
>>650
「……」
纏は表情を変えないまま、元の面影を残さぬ変化を遂げていくフェルゲニシュを見上げる。
その瞳の奥に何を思うのか、それは本人以外知る由はない。
竜の姿になったフェルゲニシュを見、纏は納得したというように目を伏せる。
「あれで終わるはずがないとは思っていましたが。なるほど、竜王の名に相応しい」
強靭な紫の鱗に覆われた巨体より溢れ出でる妖力。
やはり一筋縄ではいかないらしい。
巨大な翼が動き、一気に距離を詰められる。
人間体を捨てたその姿。やはりスピードも増している。その巨体を補う程に。
「!!」
襲い掛かる一閃。まともに食らえば一撃でゲームオーバーだろう。
その爪が振りかざされる前に、背後に跳躍する。
しかし――
「く、っ!」
巨大な妖爪のリーチは想像を超えていた。
後退し着地した直後、しかし妖爪は眼前に迫っていたのだ。
纏は慌てて水術を用いて盾を生み出す。
しかし妖爪は中途半端な水盾ごと、纏の胸を切り裂いた。
「……!!」
傷は――浅くはないが、深くもない。
纏は痛みを無視し、更にフェルゲニシュから距離を取る。
じわり。胸から腹までに引かれた一本の引き裂き傷から、血が溢れはじめた。
652
:
フェルニゲシュ
:2011/12/08(木) 18:34:50 ID:HbHPxpxY
>>651
「あっ、あ〜〜、ヤバいんじゃないのぉー?
さぁて、次はどうしようかなー?あの小僧の飲んだ薬、お前も飲むかぁ?
死なないよう調合はしてある、研究好きなお前には調度いいんじゃん?ん?」
纏の血がうっすらと着いた妖爪をペロッと舐め、ニヤニヤと笑う。
その歪んだ瞳が、纏を見据えていた。
「お?おい、お前の姿をあの小僧が見てるぞぉ?」
不意に病院の辺りを見渡し始めたフェルニゲシュが、窓越しに夷磨璃が見ているのを見つけた。
夷磨璃はその一部始終をすべて見ており、今にも戦いに行ける状態。
だが相手がフェルニゲシュ、生きる本能が、夷磨璃を止めていたのだ。
「あいつの前で、お前が酷く死んだら面白そうだなぁ!?」
653
:
纏 患奈
:2011/12/08(木) 20:13:57 ID:/AfNAO.Q
>>652
「その癇に障る喋り方止めてもらえませんか……」
言いながら、纏が赤く染まったシャツを脱ぎ去ると、所々鱗に覆われた緑の肌と同時に、赤い傷が露になった。
そして纏が、指先で傷をゆっくりとなぞる。
「《回復術式》……」
青い光が傷を癒し血が凝結していく。
この程度の傷ならば、応急措置で十分止血することができる。
しかし、確かに相手の言う通り、状況は良いとはいえない。
(黄道いずみや日野山幽二郎が戦闘に気付けば……、いや、援軍など期待しないほうがいいでしょう。フェルニゲシュ、といいましたか、奴には恐らく能力に対する反動がある。そして強大な力故の油断。そこを突けば――)
その時、フェルニゲシュの言葉に、纏が顔を上げた。
男の視線の先には、窓越しにこちらを伺う夷磨璃の姿。
かちあう目線を、夷磨璃はすぐ逸らしてしまうだろう。
纏の瞳が――一瞬、見開いたようにみえた。
しかし、すぐに俯いてしまい、前髪で顔が隠れてしまう。
「何をやっているのですか……」
呟くような声。
すう、と深く息を吸い込み、
「そこを離れなさい、夷磨璃ッッ!!!」
俯いたままの纏が、ビリビリと震えるような怒声を上げた。
窓越しであってもその声は十分に届いただろう。
あんなところにいれば、いつ戦闘に巻き込まれるか分からない。
顔を上げた纏の瞳には、ただ一つだけの感情が浮かび上がっていた。
――激しく、強い怒り。
彼女も命を救う者の一人。
夷磨璃を前に、その感情が爆発した。
「私を怒らせましたね……フェルニゲシュ」
654
:
フェルニゲシュ
:2011/12/08(木) 20:58:48 ID:HbHPxpxY
>>653
『え・・・纏お姉ちゃん?』ビクッ
夷磨璃の表情が困惑した。いきなりこのようなことを言われるなんて思わなかったし、纏をほおっておくことも出来ない。
せめて、誰かの助けを呼ぼうと、院内を探し始めるだろう。
「回復だぁ?ぷっ、馬鹿らしいな。そんなの無意味だぁっ!!!
怒った?ざまあねぇな!!つかそれで俺様に勝つとか、脳内沸いてるんだな、お前っ!」
フェルニゲシュは油断しているように見える。
なんせ戦いに集中しているそぶりがあまりないからである。それに、こちらからも攻撃しようとはしない。
・・・だか、それは纏を待ち伏せしている。彼女は気づくだろうか?
655
:
纏 患無
:2011/12/08(木) 21:19:56 ID:???
>>654
纏は怒っていた。しかし状況の判断に影響を及ぼす程、頭に血が昇っているわけではない。
あくまで冷静に、冷徹に――怒っているのだ。
窓際から夷磨璃がいなくなったのを横目に見て、纏の刺々しい殺気が少し収まった。
フェルニゲシュに言われるまでもなく、怒ったところで状況が変わる訳ではないのは、纏もよく理解している。
自分は東雲のように、怒りが引き金で妖力が増すわけでも技が出せるわけでもない。
「脳内が沸いているのはあなたのほうでしょう」
(とはいえ……このままでは状況が進展しない)
フェルニゲシュは油断している。纏はそう思っている。
現時点では待ち伏せにも気付いていないだろう。
「水術」
纏が頬を膨らませる。
どこからか聞こえてくる、水の音。
膨らませた頬から、纏は小さな水の球を作り出した。
その直径10cm程度の水球を、数十個作り出す。
纏はそれをフェルニゲシュにむけて一斉に解き放った。
スーパーボールが跳弾したような勢いで、水球はフェルニゲシュに向かっていく。
それらの球は一つ一つ、触れた瞬間爆発する仕組みになっている。
爆発と言っても威力は少ない。フェルニゲシュ相手ならほとんどダメージはないだろう。
656
:
フェルニゲシュ
:2011/12/08(木) 21:36:10 ID:HbHPxpxY
>>655
妖爪でその弾を引き裂こうと、フェルニゲシュが振りかざす。
・・・が、引き裂いた瞬間に爆発した水弾は、フェルニゲシュの、一瞬だが視界を奪うことに成功した。
視界を奪えば、こちらからは何も出来ないため、追撃ができる。
『も、もしもし?露希お姉ちゃん?病院に・・・え?うん・・・っ!』
一方、夷磨璃は公衆電話から助けを求めていた。
どうやら、異変を感じた露希が直ぐに向かっているとのこと。
657
:
纏 患無
:2011/12/08(木) 21:52:51 ID:???
>>656
爆発した水球で視界を隠すと同時、纏は駆け出した。
フェルニゲシュの視界が晴れたとき、彼の眼前にすでに纏はいないだろう。
左右、背後、見渡したところで彼女はいない。
纏は跳躍し、フェルニゲシュの頭上に飛び上がったのだから。
油断していようがしていなかろうが。
待ち伏せがあろうがなかろうが。
今は関係ない。纏にできることは限られていた。
「すうううっ――」
大きく息を吸い込み、纏は上空に大量の水を吐き出した。
圧倒的な水は凝結し、巨大な槌の形に変形する。
その水量は、1トンを超える。
纏の怪力だからこそ、それを扱えるのだ。
振りかざし、遠心力を用いて、超重量の槌をフェルニゲシュに振り下ろす。
658
:
フェルニゲシュ
:2011/12/08(木) 22:04:46 ID:HbHPxpxY
>>657
「ぐあああっ!お前っ、ぐはっ!?」
その槌の威力は、フェルニゲシュをも怯ませた。
これがもし人間時に受けたのなら、大ダメージは免れまい。
槌の攻撃が終わると同時に、左右からフェルニゲシュの脇腹を引き裂く者の姿が見えるだろう。
片方は蒼い着物と長刀の子供、もう片方は白い翼と直剣の少女。
夷磨璃「纏お姉ちゃん、僕だって戦えるよ!(怖いけど)」
露希「河童さん、助太刀します!!」
フェルニゲシュ「こ、この・・・ふざけんなぁっ!」
ついにぶちギレたフェルニゲシュは纏達目掛け、手からレーザーを放った。
反動なんて無意味のように、フェルニゲシュはただ標的を殺そうと、必死だった。
659
:
纏 患無
:2011/12/08(木) 22:11:49 ID:???
>>658
(効いている――これならば)
「!!」
視界の両脇に現れるのは、二人の影。
少女に見覚えはなかったが、子供の顔は見慣れたものだ。
患者だというのに。仕置きはあとでするとして、今先決すべきは目の前の敵だ。
「お二人とも、離れて」
無作為に放たれるレーザーを避けながら、槌を足場に再び空中に跳ねる。
「水術の有効利用法を教えてあげましょう」
そういった途端、突然巨大な槌が弾けた。
凝結した槌は再び水になり、フェルニゲシュの周囲を包む。
そして纏が手のひらを握りしめると、水は円を描き、フェルニゲシュを拘束しようと凝結しようとする。
「捕まえましたよ、竜王」
660
:
フェルニゲシュ
:2011/12/08(木) 22:27:34 ID:HbHPxpxY
>>659
「捕まる、はぁっ、訳、ないだろう、フハハハハッ!」
突如現れた、フェルニゲシュの回りを囲む水。
しかしフェルニゲシュに近づいた瞬間、水は地面にこぼれ落ちる。
「龍は追い詰められるほど強くなるんだよなぁ?」
露希「夷磨璃君、逃げて!河童さん、水術を続けて下さい!」
夷磨璃「う、うん!」
露希が直ぐさま接近するが、フェルニゲシュの手前で弾かれる。
どうやらフェルニゲシュから流れ出した血が危険を察知したのか、フェルニゲシュの回りには見えないバリアが張られたようだ。
661
:
纏 患無
:2011/12/08(木) 22:36:11 ID:???
>>660
「障壁……ですか」
地面に着地した纏は、再び大きく息を吸い込む。
しかし今度は、水を吐き出し形にするわけではない。
(耐久性の程を見せていただきましょう)
それはまさに、巨大な滝の勢いを一点に集中させたような、水撃砲。
レーザービームのような水流を、障壁の一点に集中させる。
(障壁のようなものの場合、広範囲攻撃よりも一点集中攻撃に弱いはず。
それにフェルニゲシュには致命的なディスアドバンテージがある……さあ、壊れてくれますか?)
662
:
フェルニゲシュ&露希
:2011/12/08(木) 22:49:04 ID:HbHPxpxY
>>661
「甘いなぁ・・・効かねぇよ、そんなの!」
フェルニゲシュのバリアは特殊な物であった。
普通ならば、一点集中ならば貫通も可能だろう。
だがそのバリアは破られぬよう、一点集中に対応するかのよう、そこの部分が固くなる。
よって、その攻撃はほぼ効果は無かった。
「く・・・、そろそろ体が持たないなぁっ・・・!次の一撃で撤退させてもらう!!」
フェルニゲシュの体の鱗が、刃のようになりながら、一気に飛び散る。
その数えきれない鱗が、花びらのように舞い、そしてフェルニゲシュは消えるだろう。
露希「ぐっ、消えた・・・?あの、河童さん、あいつは一体誰ですか?」
数枚の刃が露希の体をかすり、所々出血している。
663
:
纏 患無
:2011/12/08(木) 23:04:21 ID:???
>>662
「無駄、でしたか」
半分分かっていたかのように、纏はあっさりと結果を認める。
しかし障壁の性質は分かった。
性質が「あれ」のみならば、おそらく破る方法はあるだろう。
「最後っ屁にしては弱いですね」
鱗の一枚が頬をかすり、つうっと頬を伝う。
金色の瞳にはまだ怒りが宿っているものの、若干薄れつつあった。
フェルニゲシュは消えた。追うことは不可能だろう。鼻が利くわけでもない。
「あなたは……ああ、思い出しました。確か夷磨璃の病室にも来ていましたね。
こちらへ、止血しましょう」
露希を呼び寄せ、出血した個所に触れていく。
すると出血は止まり、傷がすぐに塞がり始めた。
「私にも分かりません。夷磨璃を殺せと私に劇薬を渡した頭の悪いキチガイです」
若干口が悪いのは気のせいではないだろう。
「ですから捕まえて目的を吐かせようと思ったのですが……失敗しましたね。
物分りのいいやつなら診療所の用心棒にでも引き抜こうと思いましたが、それも失策のようです」
664
:
名無しさん
:2011/12/08(木) 23:12:44 ID:HbHPxpxY
>>663
露希「あ、ありがとうございます、河童さん。ボクの名前は露希です。」
ペコッと軽く自己紹介。フェルニゲシュの散々な言われようから、余程酷い奴なのだと思った。
露希「・・・も、もしかしたらボク、そいつに会ったことあるかも・・・夷磨璃君がズタズタにされた時の・・・。目的はいかにしても、無事で何よりです。」
夷磨璃「纏お姉ちゃん、大丈夫?心配してたの、僕・・・」
この後、お仕置きがあることも知らない夷磨璃は、ひょっこり顔を出した。
665
:
纏 患無
:2011/12/08(木) 23:27:07 ID:???
>>664
「露希ですね。遅くなりましたが、助太刀ありがとうございます」
纏はぺこりと頭を下げると、血まみれのシャツを拾い上げた。
妖怪の状態なので分かりにくいが、今の纏はいわゆる上半身裸の状態である。
前を閉じると、纏は人間の状態に変化した。
緑色から肌色へ。
妖怪から人間の色へ。
「……夷磨璃」
なぜわざわざ人間の状態にもどったか。
答えは簡単。手加減できなかったら困るからだ。
「――なぜあの時、あそこから見ていたのですか?」
ぎろり。
黒色の光の無い瞳が、夷磨璃を睨みつける。
666
:
名無しさん
:2011/12/08(木) 23:36:13 ID:HbHPxpxY
>>665
「でも河童っていたんだー、なんか可愛いなぁ。
ていうか河童さんシリアス過ぎる見た目と性格にギャップなさすぎて、マジボクの好み。もうなんか河童さん抱きたいな、いやでもry」
そんな妄想をぽわぽわさせてる露希とは逆に、冷や汗ダラダラの夷磨璃。
本人は全く悪いことしたとは思ってないので、睨まれたことが不思議でしょうがなかった。
「だ、だって外で怖い妖気を感じとって見てみたらあいつと纏お姉ちゃんが戦ってて・・・。
ぼ、僕には見過ごすことができなくて・・・・・・。
」
667
:
纏 患無
:2011/12/08(木) 23:48:04 ID:???
>>666
妄想を暴走させる露希を完全にスルーして、
纏は真っ直ぐに夷磨璃を見つめている。いや、睨んでいる。
その「悪いことをしたと思っていない」目が、余計に纏を煽っていることを、
本人は知る由もないだろう。
「夷磨璃、あなたは自分の立場がわかっていないようですね。
ついこの間まで病床に伏していた体で……しかも逃げることもせずに、あんな危険なところにつったっていた。
それがどれだけ危険なことか、分かっていないのでしょう?」
抑揚のない声だが、少しの間彼女と共に過ごした夷磨璃ならば、
纏が怒っていることが伺えるだろう。
「しかもあげくの果てに戦闘にまで参加していますし……。
これは、お仕置き、ですね」
無表情のまま、冷徹に宣告する。
蛇足しておくと、東雲は小鳥遊のお仕置きの次に、纏のお仕置きが怖いらしい。
668
:
夷磨璃
:2011/12/08(木) 23:59:19 ID:HbHPxpxY
>>667
「纏お姉ちゃん・・・。それは僕が子供だから?
危険性だったら、あいつといた纏お姉ちゃんの方が高いはずだよ。
それにお姉ちゃんを助けたくて戦ったんだよ、僕。余計なお世話だった?」
纏が怒っているのはよく分かった。けど、やはり納得がいかなかったのだ。
その為、纏の怒りを増幅させてしまうようなことを言ってしまった。
露希「河童さんには茄子と胡瓜どっちがいいかな〜?ボクなら間違いなくマヨネーズ胡瓜〜、よし、速攻で買ってこよう!!」
妄想が止まらない、とはこういうことだ。スルー奨励
669
:
纏 患無
:2011/12/09(金) 00:10:47 ID:???
>>668
「子供だからではありません。患者だからですよ」
例え夷磨璃であろうとなかろうと、診療所に入院する患者が同じことをすれば、纏は同じことをいうだろう。
彼女とて、医療の道を行く者なのだから。
纏があの時怒ったのは、フェルニゲシュに対してでもあったが、夷磨璃に対する怒りもあったのだ。
自らを危険にさらすような真似をする、夷磨璃に対して。
「私を助けたいという気持ちはありがたいですが、戦う以外にも道はあったはずです。
あんな所でぼけっとつったってないで、早く助けを呼ぶべきだったのではないですか?
実際フェルニゲシュに見つかった。攻撃されていたかもしれないのですよ、あなたは」
饒舌になりつつあるのは、やはり怒っているからなのだろう。
「茄子に決まっているでしょう。胡瓜など邪道です」
ずばっ。
そこは譲れないらしい。
670
:
夷磨璃
:2011/12/09(金) 00:25:52 ID:HbHPxpxY
>>669
確かにそうである。
あの時、突っ立ってた時間の方が長いし、フェルニゲシュにも見つかっている。
そして何より、纏の患者に対する筋が通っていた。
「ごめんなさい・・・。」
自ら危険を犯したのも事実、ましてやフェルニゲシュに挑むなど自殺行為に等しい物だった。
そして一つ、夷磨璃には疑問が。お仕置きとは何をされるのかということ。
「買ってきました!茄子!だから抱かせろ河童!!」
露希、1レスで茄子買ってきたし。しかも制御効いてないし。
671
:
纏 患無
:2011/12/09(金) 00:33:06 ID:???
>>670
「わかればいいのです。さてお仕置きですが……」
ふむ、と考えるように顎に手を置く纏。
無表情で何を考えているか全く読み取れない。こういう時はこの無表情がとても怖い。
と、そこへ露希がやってきた。
「ほう、気が利きますね」
表情には出さないながらも、茄子を見て嬉しかった様子。
露希の手からすばやく茄子をとり、生でかじりつく。
うまうまと味わいながらも、露希のほうは手で押さえて完全スルーである。
「ふむ……今の私は機嫌がいいですので、特別にお仕置きはなしにしておきましょう」
ここで露希が効いた。茄子を咥える纏はご機嫌なようだ。
672
:
露希&夷磨璃
:2011/12/09(金) 00:47:39 ID:HbHPxpxY
>>671
露希「かっ・・・可愛いっ!!その茄子にかぶりつくクールな河童さん!!
こんな耐性の人は初めて見ました!!」
夷磨璃「なし?わぁい!」
二人とも、纏さんに弄ばれてる・・・・・・。
露希「では、河童さんに会いにくる時には茄子持ってきますね!ではボクはこれで・・・・・・。」
夷磨璃「纏お姉ちゃん、この後、巴津火お兄ちゃんの部屋に行っていいかな?」
夷磨璃、このノリではお仕置きされそうな気がする。
まあ、なんやかんやで、今日と言う一日が幕を閉じた。
//区切りがいいのでこの辺で!二日間、ありがとうございました!楽しかったです!
673
:
巴津火『』 共潜ぎ「」
:2011/12/10(土) 04:08:36 ID:3FBgi9l6
>>ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1318430956/517
『一つ聞く。雨邑を殺すようお前に勧めた者が誰かいるのか?』
紫濁の瞳は、刃の向こう側から静かに神代を見据えていた。
誰かの差し金でもなければ、雨邑を殺す必要など神代には無かった筈なのだ。
雨邑と神代には殆ど接点は無く、その力の差も歴然としていた。
雨邑に罵られた位で動く感情など、神代は持ち合わせていない。
巴津火は最初から、自分の意思で神代も天界も敵に回しているのだから、
神代が敵対するために雨邑を犠牲にする意味も無い。
(神代の筋書きを書いているとかいう、榊の差し金か)
榊の代わりにこの場にいる女へ、巴津火が始めて声を掛けた。
『来たからには名乗るくらいしろ。さもなきゃそいつらのもてなしを強制的に受けさせるぞ』
「貝を食べちゃった人か、この女の人か、どっちかは連れて帰らないと駄目なのよねー」
「美味しいものは十二分にあるしー、二人でも、三人全部でも構わないんだけどねー」
「どっちにしようかー?」
「どっちも引っ張っちゃおうよー」
海中からわらわらと腕が伸びてきて、女も包帯男も等しく引っ張ってゆこうとする。
もてなされたらそれこそ浦島太郎のように、時を忘れて海中に留まってしまうことだろう。
それが嫌なら名乗るしかない。
674
:
神代一派
:2011/12/10(土) 09:46:44 ID:EK/9fLvc
>>673
「いませんよ、そんな方は」
しかし彼のそんな推測を丸っきり、何故か吐き捨てるような笑いを浮かべ否定した。
どこまでもきっぱり言い切るその言葉には、
おそらく躊躇や後悔と言った物は感じる事が巴津火にもできないだろう。
「ただ、これから起きるであろう騒動の中で、
中心となっていると思われる対象を殺めれば僕のなすことは、きっと避ける事の出来ない者とする事が出来る
と榊に言われました」
そして口に出されたのは、この場に何故か姿をあらわさなかった者の名前。
「おそらく榊は、因果の話をしていたのでしょうね。
万が一にも億が一にも、思い人を奪われた巴津火は決してなにがあろうと、
僕と敵対して僕のまだある因果をそそぐ行為が出来なくなるのだと」
それでも、できれば雨邑さんで無い方が僕だって良かったと思っているのですよ、
と神代は槍を振りかぶり、牽制として巴津火へ投擲して愚痴った。
「えぇぇ〜・・・なんであたしにお鉢がまわるんだ・・・
第一最初の最初で自己紹介してなくてタイミング逃したのにこんな満を持して紹介しろなんて、
絶対あたしみたいな奴が今更やっても―ふ〜ん、そうなんだ―
みたいな感じで流されるにきまっているんですよ」
「うんにゃ、ここはこれからのこともあんだ紹介行っとけ」
「なんでなんですか・・・分かりましたよこんなところで力使うなんて、おこがましいし。
あたしは・・・そうですね農夫さんと同じように、織女、というものです」
またもや注目が自分に集まりかける事を知って、彼女はまたも顔をそっぽ向けて、
明らかにキョドッたような反応をした。
しかし農夫の言葉に何故か納得したのか、渋々ながらも紹介を巴津火に向けて言う。
675
:
巴津火『』
:2011/12/10(土) 12:34:33 ID:3FBgi9l6
>>674
『要するに榊に言われたってことじゃないか。
それがボクとの敵対を煽ることくらい判っているだろうに』
(榊はボクに神代を殺させたいのか)
雨邑と因果を漱ぐこととは無関係だった。なのにこれで巴津火は神代と敵対し続けて
因果を漱ぐか、神代を殺すかしなくてはならない。
動きのなかった表情に、初めて動きがあった。
紫濁の瞳は不機嫌そうに細められて、左手の刃に紫電が灯る。
それを斜め下から振り上げて雷光の槍を弾くと、もともと牽制のために力を緩められていた槍は
斜めに天へと飛んでいった。
『その女はいらん、農夫を捕まえろ』
今この場で、最も仔細を知っていそうな者を巴津火は狙った。
共潜ぎの手がわらわらと纏わり付いて農夫の動きを封じ、磯撫での尾びれが迫る。
これを掻い潜ったところで、もう少し沖には磯女が待ち構えている。
ある意味、織女のほうは名乗ることで包帯男ともども難を避けたと言えるだろう。
『お前が雨邑を殺した代償にその男を貰うぞ。そいつの方が色々知っているらしいからな』
今までの巴津火の事を考えれば、捕らえた農夫を悠長に尋問などしないことは予想つくだろう。
波の上にはゆっくりと丸い月が昇り、暗かった海を明るく照らし始めていた。
676
:
神代一派
:2011/12/10(土) 14:06:31 ID:EK/9fLvc
>>675
巴津火が槍を弾くという動作をする中で、
先ほど投擲された雷光の槍を計6本、つまりあの時のあの技の準備を済ましていた。
神代の背中を円を描くようにして、槍たちは全て巴津火へと矛先が向けられていた。
「ふふ、ここで雨邑さんを見た時、僕もそれを理解しました。
僕が巴津火君と敵対するために、殺す相手が誰なのかを。だってあなたは
あわよくば僕を助けようとしていたじゃないですか」
巴津火がどんな思いだったのかはともかくとして、穂産姉妹の約束を守り、
神代を殺して止めるのでなく、因果を取り除こうとした。
しかしその思いは、神代にとってどうしようもなく余計なものなのだった。
体に幾重にも絡みつく因果たちは、どれも生存する神代を目指していないのだ。
「おいおい、どうせ捕まえるならあの馬鹿にしろよ」
包帯男への誘惑が解けてほんの少し安堵で来たところなのに、
今度は自分があれよあれよと言う内に、がっちり拘束されてしまった。
眉間にしわを寄せ機嫌を悪くした農夫は、気のない声を巴津火に投げかける。
「それとあんたらは馬鹿なのか?
このおらにむかって、木端みてえな奴らしか作戦に回さねえとは。
あんま舐めるとおらだって怒るんだぞ?」
すると突然、農夫の体から発する妖気は、一瞬にして強大な、
それこそ神格とも到底引けを取らない程の莫大なものへと変化する。
堪忍袋の尾がそろそろ切れたらしく、農夫の体は突然にして数多くの樹木に包まれた。
そしてその突然の変容に反応できず、避ける、という動作を取ることのできなかった海の者達は、
その樹木たちの成長と言う悪意を持って全身に絡みつかれるだろう。
さらに神格を持つ様な者でなければ、あっというまに絞め殺されてしまう。
677
:
巴津火『』
:2011/12/10(土) 19:37:40 ID:3FBgi9l6
>>676
『お前を助けるなだと?』
訝しげにそう呟いた巴津火は、次の瞬間鼻で笑った。
『何を勘違いしている。助けて欲しくなければそう言えば良い。
そもそもボクに協力を求めてきたのは、お前らのほうじゃないか』
ここで初めて、巴津火に怒りの表情が現れた。
巴津火を選んで引き入れるために声を掛けたのは農夫なのだ。
因果の相手である神代ではなく農夫への怒りならば、神格の縛りを受けない。
『討伐するためだ協力を頼んでいながら、お前らはあの姉妹を殺そうとはしないし、
果ては自分を助けるなと言う。隠し事も嘘も結構だが、ボクを馬鹿にするにも程があるぞ。
あの時ボクがお前らを纏めて食わなかったのは、天界の馬鹿どものお陰だと知れ。
それに友達ではない、望むなら何時でも食ってやると言っただろうが』
巴津火としては、夜行集団との最初の約束である穂産姉妹の因果さえ漱げたら、
後は天界の意の通りさえにならなければ、神代と他の因果がどうなったって良い。
そして、農夫の言葉はさらに巴津火の声を怒りで尖らせた。
『海を舐めているのはお前のほうだ。下っ端』
海面から巨大な柱が持ち上がった。
それはうねりながら岬を跨ぎ、反対側の海面へと突き刺さる。
農夫たちの頭上に、ぬめった橋のような弧が渡されたのだ。
そしてそこから粘っこい油が、農夫たちの頭上に大量に降ってきた。
油は木々に降りかかり、その中に捉えられていた海の妖怪達はそのしなやかな身体を活かして
つるりぬるりと束縛から滑り出し、笑いながら海へと滑り落ちてゆく。
弧を描いて岬を跨ぐのはいくちの身体。船を跨ぎ終えるまでに数日はかかるほど長く、
さらにその身から大量の油を落としてその船を沈めてしまうこともある海蛇である。
『今夜は満月か』
いつの間にか潮は、陸から完全にこの岩島を切り離していた。
海は巴津火の領域である。
この小さな岩島でどれほど農夫が猛ったところで、戦いの場としては圧倒的に不利である。
天界もおそらく、この様子を見ているのであろう。
678
:
神代一派
:2011/12/10(土) 20:41:50 ID:EK/9fLvc
>>677
「ふふ、いえいえ現に僕達は救われたのですよ。
少なくとも僕と、穂産姉妹さんはね。考えうるワーストエンドから逃げ延びさせてくれた」
静かな口調をもって語り神代は、その時の事を思い出すように目を閉じた。
もしあそこで巴津火が神代と穂産姉妹との、繋がりである因果を請け負わなければ、
結局はこの少年と姉妹が、あまたの死者を生み出して命を落としていたのだろう。
なぜなら、どうしても天界に刃向かう神代を、穂産姉妹は神代への児童安全の祈りの制約により、
神代が戦死する最後の最期まで、共に闘って神代の身を守らなければいけなかった。
彼らが共に負った因果は、神話による強制された決闘だけでなく、
それを避けた場合に新たに生まれる、強制された共闘の因果もあったのである。
「おら達がお前に協力を要請したのは、榊の助言があったからだぞ?
多分、あんたはあの榊に、ものの見事まんまと嵌められたんだ。
気付けなかったおらも悪い、スマン」
榊が、特別助けを必要としていない農夫に対して、巴津火の引き入れを提案したその理由は、
今まさに、この状況を作るためであった。
巴津火は神格と邪神格を体に混在させ、その境遇のため神代に分け隔てなく接する。
今までに無い笑みを贈られた神代は当然、巴津火を一方的ながらも友達と思うだろう。
しかし、これだけでは神代の死出の旅への、足枷になってしまう。
だが、そこでこの対立の状況を作ってしまえば、巴津火は竜宮の主の資格を持っている事もあり、
完全な神界と神代の対立の構図を、決して逃れ慣れない因果を、
生み出し神代を縛る事が出来るのだ。心を寄せた巴津火に嫌悪される絶望があるからこそ、
神代は心おきなく、その身を心を因果の流れに投じる事が出来る。
「おらは舐めちゃいねえよ。
大地に恵みをくれる一因は、やっぱり母なる大地だからな」
何の気なしに殺して見ようと思った農夫の攻撃もあっさりと、
新手の奇抜な効力によって防がれてしまう。
改めて自分の地の利の悪さを実感させられて、やはり農夫は深くため息をついた。
「はは、お前は運が悪いな!!とはいっても俺も油まみれだ!!臭い!!」
「あ・・・あたしの服がドロドロ。いくらあたしの作品がつたないからって、
ここまでしないで欲しいと思わなくは無い・・・」
隣で暢気な反応を示す彼らとは対照的に、農夫の樹木は既にリアクションを行なっていた。
樹木は農夫によって、さらに急速な成長活動を活発化させ遂には、
頭上にある水の半円を飲み込むほどの大樹になった。
「地面がありゃあ植物は育つ、海でも生えるように陸となりゃあ、より一層にな」
そこで神代はすぐさま、農夫たちに向って青白い炎の球を飛ばす。
青白い炎は農夫の先ほどの大樹に着弾して、空を焼くほどの大炎上を発生させる。
神性を帯びたその炎による火災の力は凄まじく、例えここが海の神力に包まれようと、
上にそびえる水の輪を蒸発させ、中の海蛇を焼くだろう。
679
:
巴津火『』
:2011/12/10(土) 22:10:30 ID:3FBgi9l6
>>678
『救ってもらったその礼が雨邑の殺害か』
風が強まり雲が沸き始め、月の光が翳り始める。
『代償としてその農夫か榊を寄越せ。お前らの隠している全てを見せてもらうぞ』
その時既に木は育ち始めていた。
いくちの油を受けた大樹はあっさりと炎上し、いくちの身体にも青い炎が燃え移った。
炎を纏ったいくちが苦しげにうねり始め、炎と油は渾然一体となって滴り岩島に降り注ぐ。
(…手間が省けた)
実は巴津火自身、いくちの撒いた油に火を放つつもりで再び左手の刃には紫電を点していたのだ。
炎に包まれたいくちは海中に没して逃れたが、小さな岩島とそこに生えた大樹は
激しく燃え盛っている。そして農夫も織女も包帯男も油まみれ。
延焼するのも時間の問題だ。
さらに農夫が何かしようにも、この小さな岩島の土にはもはや新たな植物を支えられるほどの真水は無い。
『水がなければ植物は育たないだろう』
その水を司る巴津火が、農夫の敵なのだ。
680
:
神代一派
:2011/12/10(土) 22:45:29 ID:EK/9fLvc
>>679
「くすくす、あなただって、仲間のメデゥーサを最大の侮辱を持って殺害したじゃないですか」
あの時包帯男と農夫には笑顔で、弔おう、とだけ言い返したが、
神代は悪魔だが鬼ではない、何も感じなかったと言えば嘘になる。
「ふふ、でも命の重さを天秤に掛けても仕方が無いので、
いいでしょう、榊をそちらへ行かせます。彼女はちゃんと話してくれるでしょう」
攻撃の意識を農夫たちに向けていた巴津火に向けて、出し抜けに神代は雷槍を放った。
数は先ほどの6と後に出した6を合わせて12本。
放射状に射出された槍達の内4本もの数が、雷光の速さで巴津火へと向かう。
「あーあ、やっぱおらは運が悪いんだな」
「そうだな!!お前は常に平吉を引き続ける微妙な幸福度だな!!
心中お察しするぞ!!」
「いや、正直お前よりかは幸運だ」
自身の体のそこら中から、油によるツンとした刺激が彼らの鼻につく。
それはつまり、彼らの先の姿をより鮮明に想像させるものだというのに、
怯え逃げようとする意思は感じられない。
「おら達が考えなしに燃やすと思うか?そんな時このぼっちゃんだ」
【地の凡術・土呑み】
遠くの場所から神代は、素早く両手を使い、印を組んだ。
それは、神性を帯びた者だけが許された術、凡術。あの滝霊王が以前使用した、
水の凡術と並べて扱われる強大で強力な術の一つだ。
強大な巫女の力を継ぐ神代でも、本来ならば凡術などを使えるレベルではない。
しかし、あの時穂産姉妹神の祈りを一身に浴びた時、強大な神性もまた譲渡されたのだ。
穂産姉妹の行使するあの力のように、地面は任意によって突如隆起、変形し、
農夫たち三名を火から防ぐ防護壁を発生させた。
681
:
巴津火『』
:2011/12/10(土) 23:24:22 ID:3FBgi9l6
>>680
『めでぅーさ?…ああ、あの蛙。
でも無駄に殺しては無いぞ。ちゃんと美味しく食ったからな』
神代の一派にそういう仲間意識があったことに驚きつつも、巴津火が記憶を探ると、確かにその名はあった。
『もし榊がちゃんと話さなかったら、ボクが榊を食べる、からなっ!』
言い終わらぬうちに向かってきた4本の雷槍のうち2本を、逆手に握った草薙剣の紫電で弾き、
弾いた2本は方向を変えられて、うち1本はもう一本とぶつかり合った。
最後の1本だけは避け様がなく、紫電の消えた草薙剣で受けたものの、刀身を伝った雷火の影響が
巴津火にも現れる。
「……っ!!がぁぁっ!!」
まだ傷の癒えていない巴津火は、ようやく立てている状態である。
剣を杖に上体を支えたががくりと膝を突き、全身にまとわりついた雷にそれでも干渉しようと
力を込める。
その身を害しようとする雷と、押さえ込もうとする巴津火の妖気が、しばしの間拮抗した。
大樹はたいまつのように燃え盛り、土の防護壁を炙っていた。
月が隠された今、その炎は辺りを明るく照らし、土壁の影は黒々と海面に落ちてゆれている。
しゃくり
防護壁の一部が消えた。
何か、見えない顎に齧りとられたような綺麗な形に土壁は抉れている。
ざくり
今度はもっと大きく抉れた。
しかし防護壁の中の3人からはまだ、海面に長く伸びた影の周りで泳ぐ、影鰐達の姿は見えないだろう。
影鰐は海に落ちた影を食むことで、その影の元を害するのだ。
このまま土壁が消えて火達磨になるのが先か、それとも影鰐に食われてしまうのが先だろうか。
682
:
神代一派
:2011/12/11(日) 00:01:10 ID:EK/9fLvc
>>681
「ふふ、有益に殺したところで、行為の正当化は図れないでしょう?
蛇が蛙へと変えられるというこれほどの皮肉、
やはり神でなければ到底できないような所業だと思います」
ジャッジアンリーゾナブルは思った以上の効果を発揮し、
巴津火を貫き切るという事を含めた成功を収める。
「くすくす、榊は、おそらく話すでしょうね。
彼女はそういう存在なのです、これも僕の勝手な憶測ですが」
大樹炎上の一連の動作を終えて、農夫たちも完全アウェイな空間には緊迫していたのか、
ほんのわずかな間だけ安心してため息を付いていた。
しかし、その直後既に頭上の防護壁からは不可思議な音がし始める。
「おいおい、そんな妖怪いたのか?」
「ああ、いたぞそんなやつ!!特殊な条件下じゃ強敵だ!!
名前は忘れたがな!!」
「やっぱりあたしがあいつ倒そうかな。ああでも先輩無視して頑張るのもおかしいし、
得体のしれない相手できる程あたし派手なキャラじゃないし」
一様に反応をする三名たちは状況の悪化を把握した。
そして彼らは、懐をそれぞれ探り始め、あるものを取り出す。
「ふふ、今度は正式な手段を踏まえたうえで、全力で戦いましょう。
巴津火さんが僕を救ってくれた因果という名の例で、
今回は殺さなくても問題はありませんから」
すると彼らの全身が、あの黒い炎に全身を一瞬で包まれた。
転移の炎。それは竜宮の者たちがリアクションをする前に、彼らをどこかへ転移させるだろう。
しかし、例え神代のそれが高精度の術だったとしても、
今この空間に張られている潮の結界は、入る物拒まず去る者許さず。
絶対的な閉鎖を行なう結界から、彼らが逃げおうせることなど不可能な筈なのだ。
今もまだその結界が、有効のものであるならば、であるが。
「ふふ、さようなら。僕が言っても薄っぺらにしか思ってくれないでしょうが、
本当に雨邑さんの事は、ごめんなさい」
結界は数人の力の行使によって保たれている。
だが、今では結界の主柱である雨邑は討たれ
神代が先ほど、巴津火へと飛んだ4本を除いた計8本が全て、結界の守り手の全ての心臓を射ぬき切ったのだ。
支柱たちを失った結界は脆くも効果を緩めることを強制され、
結果、神代たちはのうのうと、この場から消失することに成功した。
/僕はこれで落ちにさせてもらいます
/二日間絡みありがとうございました&ありがとうございました
&雨邑さんはごめんなさいでした・・・
683
:
巴津火『』
:2011/12/11(日) 00:35:50 ID:3FBgi9l6
>>682
雷火は徐々に弱まりつつあるが、ダメージもあって巴津火は動けない。
神代達が去るのを止める手段もなく、雷火を打ち消しきるとともに力尽きて倒れた。
(雨邑…)
しかしこれで肩代わりした穂産姉妹の因果は漱ぎ終えたのだ。
かわりに雨邑の仇という因果を残されて、巴津火はただ泣いていた。
燃えつづけた大樹がついに焼け落ちて、巴津火の上へと崩れ落ちてこようとしたその時、
岩島に泳ぎよってきた赤えいの魚が跳ねて大波を起こし、炎を消して島を洗い流す。
波に流された巴津火を幾つもの手が受け止めると、海の中へと運んでいった。
//絡みありがとう御座いました&お疲れ様でした!
684
:
零
:2011/12/17(土) 23:01:57 ID:BQ990e1A
しとしとと雨が降り注ぐ、寒い夜。
一人の少年は頭や体から血を流しながら山の中を歩いていた。
「くふふっ、あははっ、もうなんもやる気しない、あははは!!」
片方の手には不気味に光る剣を持ち。
それは目的も無くさまようゾンビのようなものだった。
685
:
現人
:2011/12/17(土) 23:09:18 ID:rRrCSwK.
>>684
「おいおい、なんか血なまぐさいと思ったら・・・」
唐突に現れる声と足音、少しずつだが近づいていく
「お前さん、大丈夫か?病院に行くことを勧めるが?」
その方向を見ると帽子を目が完全に隠れる程に深く被った青年がいた
686
:
零なか
:2011/12/17(土) 23:13:47 ID:BQ990e1A
>>685
「貴方でしたかぁ、どうしました?」
笑みをたやさずに、ゆっくりと現人へ近づいていく零。
それは以前に出会った時の物ではないのは直ぐに分かるはずだ。
「病院?なぜ私が?こんなにも楽しい気分は初めてですよー?くふっ?」
687
:
現人
:2011/12/17(土) 23:24:31 ID:rRrCSwK.
>>686
「どうしたもなにも、そりゃこっちの台詞だ」
頭をかりかりとかいて、若干の呆れ顔をしながら言う
「何を楽しんでるのかは知らんが、怪我治してからにしろ」
悪いことは言わんから、と付け加え傷を指差す
688
:
零なか
:2011/12/17(土) 23:29:15 ID:???
>>687
「痛くも無いのに治す必要がありますか?」
だが見るからに相当な出血量である。
案の定、零はばたりと倒れて気を失う。
だが、現人が激しく呼び起こせば、きっと意識は戻るはずである。
689
:
現人
:2011/12/17(土) 23:34:03 ID:rRrCSwK.
>>688
「痛い痛くないの問題じゃ・・・っておい!」
いきなり倒れた少年に駆け寄る
「言わんこっちゃない、おい!生きてるか!」
近づいて声をかけつつ薬やら包帯やらを取り出していく
しかしどうみても足りそうにはない
690
:
零なか
:2011/12/17(土) 23:38:52 ID:BQ990e1A
>>689
「……痛っ、あ、あれ?」
びくんと反応して意識を取り戻した零は、
先程のように狂気に満ち溢れたような雰囲気は全くなかった。
むしろ痛みを訴えかけ、傷口を手で抑えている。
「そ、そうだ。現人さん、前に会った約束、覚えてますか?
私の正体が何なのかと言うことを。」
691
:
現人
:2011/12/17(土) 23:47:29 ID:rRrCSwK.
>>690
「おう、起きたか?とりあえず応急措置するから動くな」
手早く出来る限りの治療を行う、しかしやはり十分とは言えない
「ん?あぁ、一応は覚えているが・・・」
その傷は大丈夫なのかと言いたげな顔をしている、半分隠れているけど
692
:
零なか
:2011/12/17(土) 23:59:11 ID:BQ990e1A
>>691
治療をしてくれる現人にぺこっと御礼をする。
現人の言うとおり、動かないようにじっとしている。
「私の正体は、ですね…。悪魔なんです。」
はぁっと一つ溜息をついて、再び口を開く。
「先程、現人さんが喋った私は私で、今、喋っているのも私なんです。
雰囲気がお互いに噛み合いませんが、両方とも私なのです。」
一つの個体にパラレルワールドの自分をもう一つ入れた、と言ったイメージだ。
個体は一つしかないが、中身は二人でお互いに意志を持つ、それが零である。
693
:
現人
:2011/12/18(日) 00:07:20 ID:rRrCSwK.
>>692
「よし、OKだ、完全に応急措置だから後でちゃんと病院に行くこと!」
一通り治療して、とりあえず一息
「ほぉ、お前さん悪魔なのか・・・」
へぇーと感心したように声を漏らす
「要するに二重人格ってやつだな」
うん、と納得したように頷き
694
:
零なか
:2011/12/18(日) 00:12:59 ID:BQ990e1A
>>693
「本当に申し訳ございません…。
もしよろしければ、私の家に来ませんか?
こんなところだと現人さんも風邪ひいちゃいますし…。」
おずおずと聞いてみる。
嫌われたりするんじゃないかと、不安だったりもする。
だが見るからにはそんなでもなく、内心ほっとしている。
「二重人格ですか…自分では制御効かなくて…。」
695
:
現人
:2011/12/18(日) 00:18:55 ID:rRrCSwK.
>>694
「お、いいのか?だったらお言葉に甘えさせて貰うぜ」
そんな内心の不安などいざ知らず、純粋にニカッと笑う
「お互いに意識があるのならどっちかがどっちかを制御できないなんて当たり前だと思うがな」
ふむ、と唸って
696
:
零なか
:2011/12/18(日) 00:30:57 ID:BQ990e1A
>>695
「では、案内しますね。」
山道を降りて、しばらく歩いた先にはマンションがある。
エレベーターを使って上までいけば、直ぐそこには零の部屋がある。
零はタオルを二枚ほど現人に手渡し、リビングへと向かった。
部屋にはテーブルとテレビ、ソファーなど、充実した家具が揃っている。
「現人さんって、その帽子の下はどうなってるのですか?」
そういえば、と思って聞いてみた。躊躇してない。
697
:
現人
:2011/12/18(日) 00:39:28 ID:rRrCSwK.
>>696
「お、ありがとうよ」
タオルを受け取り頭以外の水気を吸いとらせていく
よく見ると防水加工でもされているのか帽子は完全に水を弾いている
「ん?帽子の下?」
何故そんなことを聞くのかとでも言いたげな顔をする
「そりゃ普通に顔があるだけだが」
不思議そうな顔をしたまま答える、余談だが鼻と口は整っている
698
:
零なか
:2011/12/18(日) 00:44:25 ID:BQ990e1A
>>697
「え、いやでもその下が気になります。」
なぜに防水!と聞きたくなった。
それだけこの帽子が好きなのだろうか。
じぃっと現人を見て、ねだる様に言った。
「その帽子、取ってみてください、お願いします。」
699
:
現人
:2011/12/18(日) 00:50:00 ID:rRrCSwK.
>>698
「はっはっは、やだよ」
何故か笑いながら拒否、わけがわからない
「お前な人にはアイデンティティという物があってだな」
人じゃないけども、と付け加えながら語る
700
:
零なか
:2011/12/18(日) 00:55:37 ID:BQ990e1A
>>699
「はは、そうですよねってなんでぇ!!」
びしりと突っ込み!
普通なら見せてくれてもいいじゃん!!みたいな。
「まぁそうですよね…。残念です…。」
だがしつこく要求するほどの零でもない。
しょぼんとしつつもその件から話をひいた。
「はぁ、現人さんって面白いですね。」
701
:
現人
:2011/12/18(日) 01:00:19 ID:rRrCSwK.
>>700
「まぁ本当の話をすると、人前だと何故かはずれ無いんだこれが」
からからと笑いながらねたばらし、初めからそういえと
「面白いねぇ・・・意味合いによってどう返すか変わってくるが」
702
:
零なか
:2011/12/18(日) 01:05:48 ID:BQ990e1A
>>701
「ええっ……!?
ああ、いい意味でですよ。」
外れないとはくっついているからなのか?
凄く気になるところである。
現人に変な誤解をさせぬためにも、付け足しておいた。
「現人さん、今日は助かりました、ありがとうございます。
まだ雨は止みそうにないので、ゆっくりしていってくださいね。」ニコニコ
心からの御礼なのだろう。
現人に向けられた笑顔は天使のように清らかな物だった。
//ではこの辺で〆ますね。
遅くまで絡みありがとうございましたっ!
703
:
現人
:2011/12/18(日) 01:15:27 ID:rRrCSwK.
>>702
「OK、なら素直に喜ぶことにしよう」
やったぜ!と無駄なガッツポーズ
「おう、邪魔にならない程度に滞在させて貰うぜ」
ニカッと笑い頷く、雨がやめば恐らく気がつかないうちに去ってしまうだろう
//お疲れ様でした!&ありがとうございました!
704
:
黒龍
:2012/01/01(日) 23:20:03 ID:BQ990e1A
「油揚げ買ったし、飲み物買ったし、クラッカー買ったし。
後は武器を…って違うだろ俺!!
っはぁ、露希も零も結婚式がどうのって、俺一人じゃ行きにくいなァ。」
一人でノリ突っ込みしながら、重そうな袋を持って階段を上がっていく。
冬だと言うのに、夜の風がなぜか心地良い。
それに袂山を覆い尽くすかのような星空もまた良い。
やっとのことで階段を昇り終わり、ぜぇぜぇと息を上げる黒龍は
キョロキョロと辺りを見渡している。すこし挙動不審。
705
:
四十萬陀 七生&狢奈
:2012/01/01(日) 23:28:32 ID:???
>>704
「大丈夫?」
突然どこからか聞こえてくる声。
黒龍が辺りを見渡しても、その声の主は視界に映らないだろう。
なぜなら、声の主は黒い翼の雀であり、木の奥に隠れているからだ。
「こんばんはじゃん、お久し振りだね黒龍君!
あけましておめでとうじゃんっ!」
ぱたぱたと草を分けて、一本の木から夜雀が飛び出した。
黒龍のことは、露奇から訃報を聞いてから一度も会っていなかったため、
不思議に思ったが……それよりも嬉しさが先行した。
「元気そうじゃん! 狢奈が会いたがってたよっ!」
ぜえはあしている黒龍の頭の上に着地し、つんつんと軽く突く。
706
:
黒龍
:2012/01/01(日) 23:41:44 ID:BQ990e1A
>>705
不意に聞きなれた声が聞こえて来た。
「おおっ!?」
いきなり飛び出してきた七生にびっくりし、ペタンと尻餅。
何がなんだか分からず、3秒程間が会ったが、すぐさま我に返って笑いだした。
「脅かすなよっ、あけおめっ!!
って、いててててt(ry」
ちょっぴり痛いらしいが、『狢奈』と言うワードが脳に入ると
先程以上に笑顔が輝いた。
今直ぐにでも会いたい、とでもいうように。
707
:
四十萬陀 七生&狢奈
:2012/01/01(日) 23:55:10 ID:???
>>706
「にゃはは、ごめんじゃん」
頭の上から飛び立つと、今度は地面に着地する。
何度か毛づくろいしてから、四十萬陀は面白そうにいった。
「そんなに会いたいじゃん?
心配しなくても、もう黒龍君がきてることは送り妖怪中に――…」
「黒龍ーっ!」
ぼがー!
っと、地面から突然送り鼬が飛び出してきた。
そのまま、尻餅をついた黒龍に飛びつく。
「久し振りって!」
708
:
黒龍
:2012/01/02(月) 00:03:49 ID:BQ990e1A
>>707
「どええええーー!?」
あまりのことでペタンと再び尻餅。
「む…じな…?」
自分に飛びついて来る者の名前をゆっくりと言う。
つぅっと一筋の涙が零れると、自分よりも小さい狢奈を力いっぱい引き寄せた。
「ぐすっ、凄い会いたかったよ、ぐすっ、俺、俺ッ」
このままでは狢奈が押し潰されてしまうってくらいに強く。
もう二度と離すまい、とでもいうようにぎゅっと。
709
:
四十萬陀 七生&狢奈
:2012/01/02(月) 00:08:02 ID:???
>>708
「うわわ!? く、黒龍?
大丈夫って……?」
抱きしめられ、あわあわとしながらも、
「……うん! 僕も会いたかったって!」
むぎゅー、と黒龍を小さな体で抱きしめ返す。
四十萬陀はそんな二人を見ながら、にこにことほほ笑んでいた。
(いやー、狢奈はいっつもことあるごとに黒龍君のこと話してたけど、
この二人がこんなに仲良いなんて知らなかったじゃん)
710
:
黒龍
:2012/01/02(月) 00:15:16 ID:BQ990e1A
>>709
「元気そうだなッ、久しぶりに空飛ぶかっ?」
凄い微笑ましい光景である。
内心、ずっとこうしていたいのだが、
なんか変なオーラが漂っているような気がしてならない。
(寒気しかしない…なんだこれ。)
BでL、が大好きなお姉さま方にとってはもう素敵なry
711
:
送り妖怪勢
:2012/01/02(月) 00:26:43 ID:???
>>710
「「……」」ジー
「和戌、五月、何してるじゃん……?」
それを木の影から見守る送り雀と送り狼。
別にBでLが大好きなわけではない。微笑ましい光景を見ているだけである。
多分。
「久し振りだね、黒龍」
「あ、あんたらこんな所で抱き合ってなにしてんのよ!」
二匹がのそのそと表に出てきた。
なぜか五月が照れている。
712
:
黒龍
:2012/01/02(月) 00:35:17 ID:BQ990e1A
>>711
「ひぃっ!(腐女子!?)
え、あ、久しぶり。」
こういうのにも詳しいながらも、自分がまさか
腐女子に出くわすとは思いもしなかった。
ハァ、と一つ溜息一つをし、何を言い出すかと思えば。
「そうだ、見ての通りだ!
俺は狢奈が大好きなんだ、だからこうやってるだけなんだッ。
狢奈、俺なら…いいだろ?」☆ミ(ウインク)
ひとまず釣る!!腐女子を釣る!!
狢奈と見つめ合い、今にも危なげなことをしそうな黒龍。
本気ではないが、狢奈にはどう見えるか。
少なくとも、好感度下がるに違いない。
713
:
送り妖怪勢
:2012/01/02(月) 00:46:42 ID:???
>>712
「え、え……?? 黒龍どうしたって?」
狢奈は頭に「??」と疑問符を浮かべて首を傾げている。
五月はあわあわと口(というか嘴)をぱくぱくさせ、
和戌姉は深いため息をついて呆れている。
四十萬陀は狢奈と同じく状況が飲み込めていないようだ。
「え、えーと……とりあえず!
黒龍君、何か用があってきたんじゃん?」
とりあえず話題を変えてみることにした。
714
:
零なか
:2012/01/02(月) 00:56:47 ID:BQ990e1A
>>713
「………………え。」
冷たい視線を注がれ、顔面真っ青。
下手に動いたあげく自爆である。
「ムジナ ゴメン」
頭に浮かんだ二言を並べ、ロボットのような謝り方。
もう、放っておけば、翌朝に袂山で首つってる奴でも出るんじゃないか。
しかし七生のフォローで少し元気を取り戻した。
「あ、ああそうそう!!
ほら、新年だからさ、露希と零と白龍のお参りだ。
皆ってお酒飲めるんだっけ?お祝いっつったら酒かと思って日本酒買って来た。」
取り出したビニール袋には透明な瓶と茶色の瓶、あわせて4本出て来た。
それからー、と付け足して油揚げやミカン、クラッカー(紐引っ張るとパーンってやつ)
などを取りだした。
「HAPPY NEW YEAR ♪」
715
:
送り妖怪勢
:2012/01/02(月) 01:11:06 ID:???
>>714
「「「「おー!」」」」
黒龍が酒瓶を取り出すと、一気に全員のテンションが上昇した。
さっそく仲間を呼ぼうとやんややんや騒いでいる。
送り妖怪たちも酒好きなようだ。
「はっぴーにゅーいやー? 何よそれ」
「新年あけましておめでとう、って意味じゃん」
英語の意味が解らない五月に、四十萬陀が解説する。
716
:
零なか
:2012/01/02(月) 01:18:35 ID:BQ990e1A
>>715
「〜♪(今年は皆、笑顔でいて欲しいな。俺の年だし。)」
鼻歌を歌いながら、ビニール袋をポケットにしまう。
「んじゃ、狢奈にも会えたことだし、俺は帰るかな。
ちょっくらやりたいことがあってな〜。
陽狐さんにもよろしく頼むぜ。」
人型だった体は形を変えて、気づけば巨大な黒い龍がそこに。
じゃあな、と言い放つと漆黒の翼をはためかせて飛び去った。
//この辺で区切りが良いので。
こちらの御希望聞いて下さってありがとうございました!
絡みお疲れ様でした。
717
:
送り妖怪勢
:2012/01/02(月) 01:22:33 ID:???
>>716
「おおお!」
黒い龍が目の前にあらわれた瞬間、狢奈の瞳がきらきらと輝く。
人型の時よりこちらの姿の方が好きなのだろうか……?
「もう行っちゃうじゃん?
来てくれてありがとうじゃん! またね、黒龍くん」
「じゃあね! って!」
「また来なよ」「もう来るんじゃないわよ!」
四者四様の別れを口にし、黒龍が飛び立つのを見守った。
//ありがとうございました!
718
:
???
:2012/01/05(木) 23:27:21 ID:EK/9fLvc
なぜかあれ以来、坊ちゃんが単独で、
この街からは多少離れた土地のクニツカミを殲滅しに行った以来、
坊ちゃんの近くに誰かが居る時もそうでない時も、どこか全体的に溢れ出る感情を彼は抑えられていない。
普段なら力尽くの笑顔で、それら一切の哀愁は消し去ろうとしているのに、
坊ちゃんの性格にしては珍しく、隠す事もせずに悲哀を垂れ流していた。
一番最初にその事に気付いたのは、農夫であった。
それ故、彼らが何の脈絡もなくピクニックなぞを堪能している理由も、
この男が不意に提案をしたからであった。
「僕たちは使命を帯びているのです。こんな呑気な事をしている場合では」
「まあまあ、どんな英雄悪鬼だろうが歴史上、
誰も生きる中で生き抜きなんてしてない奴なんて居ねえよ。
今日は肩の力を抜いてぼーっと、してもいいじゃないか?」
「・・・。ふふ、そうですね。ではお言葉に甘えて」
確かに彼らは、よくある仲間意識を強く持った集団ではない(神代を除いて)。
しかし農夫は、坊ちゃんである自分のいわば棟梁に当たる人物が、
士気を失っている事実を良しとはできないのである、利己的な意味において。
人気のない、そして更に勿論のこと妖気も神気もない、
そんな山のある中腹で、彼らはレザーシートを引いていた。
719
:
波洵
:2012/01/05(木) 23:40:51 ID:tElbSrz.
>>718
「やぁ、ピクニックとは言い御身分だな」
神経を逆撫でるようなおどろおどろしい貪欲の波長が辺りを支配した。
形ばかりの息抜きに現れた招かれざる客・波洵。
「神代さー、私かなりムカついてるんだよね。
10年かけてゆっくり再生するつもりだったのに無理に起こすようなことしやがって。
おかげで貪欲は相手の特性までも写し取れなくなってしまった・・・。
完全な妖怪どころかとんだ不完全羽化だ」
ゆらり、と揺れる紫のパーカーコート。
ミシミシと軋るような音を立て、手が刃物状に変化する。
「さてそういうわけで・・・、死んでほしいな。私の憂さ晴らしの為に!」
跳躍とともに、神代の座る場所を鋭利な刃物が抉った。
720
:
出世法螺
:2012/01/05(木) 23:50:51 ID:3FBgi9l6
>>718-719
上空を赤く細長いものが小さくひらひらと舞っていた。
それは地上の禍々しい気配に気づくと、様子を伺いながらゆっくりと降りてくる。
次第に大きくなった姿は、尾の先に巨大な法螺貝を引っ掛けた赤い鱗の龍であった。
丁度これから天界へ、命を賭しての掛け合いに行くつもりだった、出世法螺のお累婆である。
降りてみれば、紫狂一の実力の持ち主が、丁度神代の一団に襲い掛かっているところなのだ。
(これはどうしたものかねぇ)
一方は巴津火の姉ながら弟妹と異なり、変質前の紫狂であり窮奇の実の娘、
他方は巴津火の仇とも言えるが友ともみなし得る相手である。
(戦えばどちらも酷く傷つくのは明白。
数多の神格を擁く竜宮として見守るか、殿下に仕える立場として仲裁に入るべきか)
どう転んでも巴津火が泣く事になる。
手を出しあぐねて赤龍は、空からまず様子を伺うことにした。
721
:
???
:2012/01/05(木) 23:58:30 ID:EK/9fLvc
>>719
農夫が不遜な下心を潜ませている事実を知らない神代は、
同じく事実を知らない包帯男の作ったお弁当をつつきながら、静かながらも意気揚々と景色を眺めていた。
だが、突然空が機嫌を損ねたかのように、
神代たちの毛嫌いをする気配がこの空間に割り込み、彼らの顔つきは変わった。
「・・・あれは誰だ?坊ちゃんの因縁にしちゃあ、
随分と筋の通ってない役者じゃないか?」
「ふふ、以前に、僕が射殺した抜け目のない女の子が居たでしょう?
彼女のお姉さんです」
座ったままながらも訝しげな視線を招かれざる客に飛ばす農夫は、
隣で淡々と事情を説明する神代の言葉を聞いて、
やれやれとでもいうように深く、そして気だるいため息をついた。
「くすくす女の子は、まさかそんな事になるとは思っていませんでしたが、生き返ってますけどね」
「なんじゃそら。もはや因果も何にもないやつに絡まれるなんざ、
流石坊ちゃんってところか?
おい、そこの嬢ちゃん。
おら達は色々先客で予約が一杯一杯なんだ、後にしてくれねえか?」
>>720
「そんな話をしてたら新しく来たぞ!!これもまた強そうだな!!
皆そんなにピクニック好きか!!」
少し張りつめた空気の中であっても、包帯男は目ざとく、
端で眺めて部外にいる筈の出世法螺にも叫び呼びかけ手を振っていた。
その余りにもな暢気さに、
隣にいる農夫はまたもや深くため息をつく
722
:
波洵
:2012/01/06(金) 00:08:45 ID:tElbSrz.
>>720
>>721
「因果とかゴタゴタとそんな下らない事ばっかり考えてるから何も作り出せないんだよぉ!」
グシャリ、と丹精込めて作られたであろう弁当を踏み潰しながら波洵は続ける。
「ま、いいか。私がここに来た本当の所は別の意味があってね」
波洵は嫌らしい笑みを浮かべながら片腕を鎌状に変化させる。
「君達は放っておけばいずれ私の弟や妹たちと殺し合いを始めることになるだろう。
可愛い下の子たちが血を浴びるより、嫌われ者の私が汚れ役を引き受けてあげた方がお互いに楽だと思ってね」
しゃべりながらにして、大鎌を全員の喉元へ振りぬく。
波洵は空を見上げ、赤龍を指さす。
「そこの、巴津火は呼ぶなよ。それじゃあ私が来た意味がないからな」
723
:
出世法螺
:2012/01/06(金) 00:17:12 ID:3FBgi9l6
>>721-722
包帯男の暢気さは、今回良いほうに働いたらしい。
というのも話し合いのできる相手が居るらしいと、出世法螺に判断させたからである。
「この、よぼよぼの老体が強そうに見えるのかい?」
降りてきた赤い龍は確かに年老いていた。
角は先が欠け、牙は黄ばみ、身体のあちこちに古い傷跡がある。
「あの子は来ませんよ。今はね」
とん、と地に降り立った赤い龍は、法螺貝を手にした老婆となった。
真っ白な髪をきっちり纏めた老婆は、波洵の言葉に穏やかに答える。
(殿下が留守のうちに天界へねじ込むつもりだったけれど、どうやらそうも行かないようだ)
「私もお邪魔するつもりではなくて、偶然通りがかったのですよ、姉姫さま」
724
:
???
:2012/01/06(金) 00:26:15 ID:EK/9fLvc
>>722
「くすくす、因果を知らなくても何かを作り出せるのは、あなたの能力だけでしょ?」
絶叫を上げる包帯男をほっておいて、神代は笑みを波旬に向ける。
ピクニックを邪魔された事に心が動いた様子は無いが、
能力の超越性にほだされた彼女が因果を知ったように話す事実には、多少感じる物があったらしい。
「なんだ、結構真っ当な、ていうか真面目な理由があんのか。
ならしゃあねえ、殺し合おうか」
取りあえず刃を交わした彼らは、包帯男を除いて全員が波旬を見つめる形になる。
納得がいったのか軽快な笑顔を浮かべて、
農夫は中指を波旬に向けて立て宣戦布告の受理をした。
>>723
「強そうだぞ!!というか雰囲気が!!
俺と言うやつはオーラのある奴に弱い!!」
同じく鎌の脅威を回避したばかりだというのに、
まったく意識を波旬に向ける事をしない包帯男は、腕を組んで自分の言葉に同調し頷いている。
「てかお前は誰だ!!なんだ、やっぱりピクニックしたいのか!!
でも残念!!弁当はぐちゃぐちゃだ、・・・・ぐちゃぐちゃだぞ!!!!!」
警戒心が無いのであろうか、見ず知らずどころか敵対する筈の彼女の下に、
包帯男はまだ生き残っていたお菓子を入れる袋を持参しながら近づいた。
725
:
波洵
:2012/01/06(金) 00:38:08 ID:tElbSrz.
>>723-724
「逆だよ、因果だのなんだのがないと何も作り出せないのはお前らだけだろ?」
波洵は軽くいなした様に見据えて鼻で息をつく。
出世法螺の方を見て話していく。
「ところで竜宮、お前らもずいぶんめんどくさい事やろうとしているねー」
ヘラヘラと笑いを上げて、波洵が高らかに言う。
「ばぁーっかじゃないの! こんなくだらねー奴等のやったことの為に天界が動くわけないじゃん!!
なんでお前らはそんなに天界に支払いをさせることに拘るかなぁ−?
こいつ等がさっさと意志も無く死ねば全部解決する話なのにさぁ!!」
波洵は嘲笑する。
神代一派の意志もやることも全て。
「お前等は今ここで死ぬんだよ!
何も残せないまま! 何も作り出せぬまま!
馬鹿な生涯を悔いながらここで理由もなくね!!」
726
:
出世法螺
:2012/01/06(金) 00:48:27 ID:3FBgi9l6
>>724-725
波洵の最もな問いかけに、累は老獪な笑みを浮かべて答えた。
「私どもは私どもで、天界に交渉したいことがございましてね。
今回の件も、その口実に使わせてもらうまでなのですよ」
竜宮としては伊吹と同様巴津火にも、風伯としての力を天界に許可してもらいたいのだ。
雨師として雨を呼ぶことは出来ても、台風を動かす風の力が巴津火には無く、
伊吹の没後それを補いうるだけの数の龍族が、今の竜宮にはない。
そして、出世法螺としては農夫と波洵の戦いならば邪魔するつもりは無い。
包帯男も参戦するようすがないので、お累婆はそちらに問いかけることにした。
「累と申します。私は竜宮で雨師の育成と、成り上がりの龍の束ね役をしておりましてね。
さして偉い神格ってわけでもない、せいぜい昔話を知っているだけの年寄りですわ」
神代と竜宮は敵対するが、包帯男と累の個人同士には、敵対する理由はまだ無い。
「そして、あなたは?」
自己紹介したお累婆さんは、包帯男にも名乗るよう促した。
727
:
???
:2012/01/06(金) 01:01:11 ID:EK/9fLvc
>>725
途中から半分離脱した状態の包帯男はともかくとして、
神代、農夫、落ち着きのない女達は波旬の罵声を全身にかぶっていた。
幼いころから嘲笑、罵倒、あらゆる悪意をこうむってきた神代であっても、
窮奇の力を微力ながらも継承する波旬の言葉で動揺は隠せず、
笑顔とは対照的に、神代の両手は何かをこらえるように固く握りしめられていた。
「実をいうとな、これがまたお前の言う通りなんだよな。
おら達が死にゃあ、全部が全部丸く収まるんだよ」
しかし、まるで白と黒の対照のように、
農夫と彼女の反応は、波旬の言葉に対してまったくもっての動揺は無かった。
むしろ、何度も聞いて終には飽きてしまった説教を聞いているようでもあった。
「おら達はずっと前から、何にも作り出せてねえよ。多分これからもな。
作ったそばから、おら達は踏みにじらていってたんだからな。
それに、何も残すつもりもねえ。
唯でさえおら達は最大級の不名誉を後世に残しちまってんだ。
だがな娘っ子、おら達は死ぬ気はねえぞ?」
一派の一番槍は、農夫は引き受ける事になった。
小手調べとして、数本の電柱ほどな太さの樹木が波旬の足元から発生して、
それら全てがしなり、鞭のような形状で波旬に襲いかかった。
>>726
「でもあれだろ!!育ててるってのは偉い事だぞ!!
ネグレクトは最低だからな!!」
どうやら農夫の一番槍にも気づいていないらしい。
包帯越しでも分かるはつらつさを発散しながらガンガンと彼女に話しかけている。
そしてついに話の流れで、包帯男の素性を疑い知る質問が繰り出された。
しばらく答えようか悩んでいるのか、
首を傾げて小さな声で呻いていたが、最後は柏手をパンと打って話始める。
「答えてやる!!俺はな、名前はない!!
生まれて名づけられる前に捨てられているからな、申し訳ないが紹介する名前がないんだ!!」
728
:
波洵
:2012/01/06(金) 01:12:06 ID:tElbSrz.
>>726
>>727
「はっ! これがどうした?」
特性を写し取るという絶対的な力を失ったとはいえ、
彼女は大妖怪・天魔波洵。
「貪欲で! テメー等の攻撃の方向なんて!
手に取るようにわかるんだよっ!!」
撓る丸太の鞭をスラリ、スラリと水中の魚のような動きで潜り抜け。
懐に現れる嘲りの表情。
「まず一人!」
鋼鉄の拳が農夫の顔面を捉えた。
「やぁーっぱり、全然恐くないなぁー。何も欲しがらない奴らはさぁ!」
貪欲も逆心も心を捉える特性。
その中に潜む想いが小さいほど、あっさりと手のひらに収まってしまうのだ。
「絶望! 失望! 捻くれ! そんな気持ちは紫狂で飽きるほど見てきた!!
どーしようもない奴等が、くすぶった気持ちのまま動き回っても茶番にしか見えないね!!」
法螺の方を見て、納得したような波洵。
「ふぅん、なかなかどうしてお前らも貪欲だねぇ!」
ニタリと笑う波洵。
「いつか竜宮も乗っ取ってみたいなぁ!!」
尽きぬ欲望、それへとひたすら突き進む情熱。
波洵の恐ろしさはここにあった。
729
:
出世法螺
:2012/01/06(金) 01:25:23 ID:3FBgi9l6
>>727-728
「名が無いなら、これまでずっと何と呼ばれてきたんです?
出会う人にどんな言葉でご自身の説明をしてきたのかしら」
戦いの傍らで、試合を楽しむかのように観ながら、累は包帯男を己が気で包もうとする。
尖ったものでもその形に添うように受け止め、優しくなでるうちに真珠層で包み丸くしてしまう、
貝独特の穏やかな平和ボケの気配であった。
化け物であり神格でもある者の多い竜宮で、皆が無駄に争うことなく穏やかに過ごさせる方便としての
もてなしが発達したのは、累のような貝族のお陰かもしれない。
「姉姫様がいらっしゃったら、殿下も喜ぶことでしょうね。お待ちしておりますよ」
累の穏やかさは、波洵に対しても同様に発揮された。
730
:
???
:2012/01/06(金) 01:35:50 ID:EK/9fLvc
>>728
小手調べだったとしても、明らかに手を抜きすぎていたようで、
何の労力もなくそれらはかわされ、空振りさせられ、役を果たせなかった。
避ける動作もしていない農夫は思いっきりな一撃を、顎に食らってしまう。
衝撃によって体は宙を舞い、しばらくの時間を置いて数歩後ろへと吹き飛ばされた。
「あー、うん痛いなそれ。
やっぱお前も結構強いんだな、あの女の子のお姉さんなだけあって」
受け身も取らずにべしゃっと地面で音を鳴らした農夫は、
一撃をくらった顎を労わって手で押さえながら、ゆっくりと立ち上がった。
打撃が聞いている様子は無く、立つ姿にダメージはあまり窺えていない。
「おらは何にもいらねえよ。
作ったところで、耕したところで、植えたところで、おらはなんの収穫も許されねえ。
待てども暮らせども欲しい物が手に入らねえとな、
欲しかった気持ちも心が自分を守ろうとしているんだろうな、欲しいという気持ちすら手に入らなくなんだ」
今度はある程度、というかちゃんと攻撃をしよう、
そんな事を顎の痛みで決心しながら、農家はまた次の動作に移る。
とは言ってもそれは、動作に移る、というよりも、
動作をしない動作に移る、と言った方が正しいのかもしれない。
「やっぱり土は良いよな?」
何故なら彼は、突然首だけを地面から出して、それ以外は地中に埋まってしまったからだ。
>>729
「だから俺はいつも"おい"とか"おまえ"とかで呼ばれていたぞ?
俺はなんでもないからな!!説明する内容もないから不便はしなかったな!!」
であるならばこの包帯男はまんまと、
出世法螺の作り出す空間に首まですっぽりと使ってしまっているらしい。
口に指をあてる子供のような仕草で考え込む事まで始めた彼は、
むしろ彼女に疑問がわいたのか、とある質問をした。
731
:
???
:2012/01/06(金) 01:40:33 ID:EK/9fLvc
>>730
//包帯男は質問をしてませんでした
//なので下二行は無かったことにしてください
732
:
波洵
:2012/01/06(金) 01:41:32 ID:tElbSrz.
>>729
>>730
「はっ、意味わかんないね。
何も求めないならなんでこんな愚図と行動を共にする?」
波洵は神代を指さし、やはり嘲る。
「そもそも力があるくせに何も許されないとかお前らの考えは全く理解できないね!
力がなくて許されないならまだわかるが、力があるなら許さない奴をねじ伏せればいいだけなのにさぁ!」
単純な波洵は言葉をつなぐ。
農夫の埋まった姿を見て、声をあげて笑う。
「あっはっはっはっは! 私はどっちかっていうと空の方が好きだなぁ!」
733
:
出世法螺
:2012/01/06(金) 02:02:31 ID:3FBgi9l6
>>730-733
(姉姫様もただ神代を叩き潰す気は無く、対話を交えるつもりのようだ)
波洵は波洵のやり方で神代の件を処理しようとしていることを
やり取りの中から感じ取った出世法螺は、幾分安堵した。
巴津火を預かることになってから、紫狂という存在への理解と
ある種の信頼が生じていなかったら、おそらく累もここで戦うことになっていただろう。
(案外、上手く物事は収まるかもしれないね)
後は神代次第である。
「それなら、ご自分が何と呼ばれたいか、考えておいて下さいな。
今は名無しの権兵衛さん、またいつか」
平和ボケに包んだ包帯男をそこへ残し、累は再び赤龍の姿で空を泳ぐ。
「姉姫様も、どうかご無理なさらずに」
赤い龍は法螺貝の中から一塊の五色の雲を噴くと、それを波洵の護りに残して
空を駆けて行った。
必要となれば一度だけ、雲は波洵に従いその身を何処へでも運ぶことだろう。
734
:
???
:2012/01/06(金) 02:08:37 ID:EK/9fLvc
>>732
片や強大な力を持って、更には禍々しい気配を辺りに漂わしていて、
片や体の9割は地面に埋まってしまい、どちらかというと刑罰を喰らっているような状態で、
そんな彼らが威風堂々と対面する様は、限りなく珍妙で滑稽であった。
「そりゃあおら達だって坊ちゃんに負けず劣らず愚図だからな。
おらは、いや広く括っておら達はどうしようもなく愚図だからな。
自由に動き回る事も出来ずに、今も終始の分からん復讐劇を繰り広げるくらいだ」
これだけ真面目に語っても、隣の女性が居た堪れなくなって目を逸らすだけである。
だが、確実に農夫はこの状態に至って、とても幸せそうにしている。
それはきっと、彼が地面を愛しているからなのだろう。
「お前とは違って、おら達は最初無力だったんだぞ?
だから許されなかった、神はいつだって正しく天に鎮座ましましているからな。
それと、意外とお前はおら達の事を理解してくれてんだな。
おら達はお前の言ったその言葉を主義にして、今こうしてここにいるんだよ。
神を皆殺しにするためにな」
そして術は開始した。
最初の動きとして一切の前触れもなく、全員の立つ大地が大きく震え始めた。
まるで共鳴でもしているかのように低く鈍い音を発する地面は徐々に、
特に波旬を起点として亀裂が入り、瞬く間にその亀裂は広がって地割れを起こし始めた。
すぐさまに奈落の谷になった地割れに呑みこまれてしまえば、あっさりと彼女は土に埋められ圧殺されてしまうだろう。
>>733
「俺は"お前"だけでいいぞ!!名前なんて多分覚えにくいし!!
なにより何もない俺が名を冠するなんて耐えられん!!」
大地の鳴動が起き始め、流石の包帯男も反応を示した。
だが彼の元へはその亀裂は走っていないらしく、身の安全を確認した彼は、
すぐさま顔を彼女に向けて、限りなく暢気な調子で別れを告げ手を振っていた。
735
:
波洵
:2012/01/06(金) 02:29:08 ID:tElbSrz.
>>733
>>734
「いーや理解してないさ、なぜなら私はもう“持っている側”だから」
メキメキ、と翼が背中から延び。
波洵の体を地面無き空中で支える。
「殺す為か、じゃあ殺した後はどうする?
殺す事が出来れば、お前らは何か手に入れられるか。
身を焼くほどに殺したい相手が居なくなったらそりゃあつまらないよ」
波洵が語る想いの欠片。
「まったく、なんで私が殺す前に死んじゃうんだか・・・」
翼はゴキゴキと形を変え、波洵の真の姿へと変わっていく。
「理解したよ。お前等のつまらなーくて、くだらなーい復讐劇にはやはり可愛い弟や妹は巻きこめない!
お望み通り、お前は土に還してやるよ!!」
変化・天魔雄神――!!
波洵は原型を現す。
スサノオの悪面の権化と謂われる女神・天魔雄神。
六芒星の刻まれた装束をはためかせ、降り立つ九天の主。
「いくら欲せどこの世に星を落とす魔法はなく。
天を貫く槍も無い・・・神の皆殺しなどできはせぬ。
お前等が見たのは下賤な夢だ。覚ましてやるよ、この彩りを持って!!」
天の主は空をかける。
泥にまみれた土の剣は、空には届かなかった・・・。
農夫の眼前に、射ち落される巨大な六芒星。
それは空を夢見た木を砕き、土に埋めるだろう。
【星を落とす魔法・金剛惑星】
736
:
???
:2012/01/06(金) 02:58:38 ID:EK/9fLvc
>>735
「神を殺したりなんかしたら、そりゃあ世界は滅茶苦茶だろうな。
第一復讐なんて、遂げた達成感以外なんにもないんだ
殺したところで奪われた物が戻ってくるわけじゃねえ、何も変わらねえ
だからおら達は何も要らねえんだ。空虚の終わりを慰めてくれる報酬もねえからな
神を絶滅させれればおら達はそれで良い。
それでおら達の終わりも続きも後も無くても、それでも良い」
復讐を行なう罪など知らない、遂げる難易度など知らない、
遂げた後も知らない、しかし、彼らは止まれないのだ。
この悠久の時を超えてもまだ燻り続けるこの底のない怨恨の念は、
絶えず自分の身も心も焼いて燃料にして全身を続けるのだ。
言い切った農夫の頭上から降るのは、彼のもっとも嫌う天からの攻撃であった。
限りない力を持って落下するその印は、地割れを含めた彼の頭上である。
「それでもおら達は手を伸ばすんだよ、どうしようもなくな。
現に人は、その意思で神だけの世界だった筈の天に、鋼の槍を貫通させたじゃねえか」
彼が地面と体を同一にしたのは、なにも地割れなどを起こす為ではない。
地震はむしろ予兆、これが起こる前触れの現象でしかない。
【ザ・サードデイ】
そして大地はまたもや鈍く低く震え始める。
なにかの産声のように響くその轟音とともに、波旬の足元にも通っている複数の巨大な地割れからそれは生まれた。
突然、何かの堰を切ったかのようにその地割れたちから、
あらゆる大樹、草、樹々がまるで木々の洪水のように溢れだし発生し始めた。
それこそ神が樹海を作り出したあの時のような、もはや神聖な程に膨大な木々が成長を続け、
その夥しい程の量と硬度を以って、彼女の六芒星はやすやすと濁流に呑まれて消えていった。
だが勢いはそれで止まらずに、より成長の早い先端部分が、
それでも大川の川幅ほどもあるそれらが波旬に襲いかかる。
737
:
波洵
:2012/01/06(金) 03:08:12 ID:tElbSrz.
>>736
「おとと・・・」
緑の洪水に、立っている場所がよろめく。
トントンと駆け上がり、空中を駆ける。
「面倒なことになったね」
地割れを起こしそこから植物を氾濫させるとは。
「これが止められるとは・・・まずいね」
波洵の姿が揺らぎ始める。
不完全羽化での原型への変化は身体に凄まじい負荷がかかる・・・。
もとより長持ちはしなかった。
「ここは退散させてもらうよ、まったく一人も潰せないとはとんだ予想外だ」
波洵はそのまま背を向け、退散しようとした。
738
:
???
:2012/01/06(金) 03:23:11 ID:EK/9fLvc
>>737
絶えずおぞましいほどの成長を続ける激流は今も蠢き、
退散を始めようとする波旬に対してまったくの容赦もなく向かっていた。
しかし
「なんだもう止めんのか。
さんざ言いながらお前はまだ、終える事の出来ない激情まではもっていないんだな。
まあ持ってどうのこうのってわけでもねえが」
今までまるで、無機質に全てを飲み込む濁流のようであった木々たちの、
成長によって増えていく攻撃範囲が、一瞬にして終了して動かなくなった。
この技は全てを飲み込もうとする異常な物であるが、
それでもまだこれは、地面と同化した彼の完全な支配下に置かれているのだ。
「おら達をなめねえほうがいいぞ。
言葉で踏み止まれるほど、おら達の年月は短くはねえからな」
戦闘をする気のないらしい農夫は技を停止させたらしく、
波旬は易々と、撤退を置こう名う事が出来るだろう。
739
:
波洵
:2012/01/06(金) 22:15:17 ID:tElbSrz.
>>736
「!?」
突然の反撃に天魔雄神となった波洵は、
にべもなくその緑の濁流に飲み込まれる。
轟々と入り乱れる狂植物の氾濫にその場一帯は緑の爆心地と化した。
静かな、静かな時間が訪れた。
先ほどまでの殺気に満ちた空間は跡形もなく、
ただ成長を終えた植物たちが凄然と揺らめいていた。
740
:
???
:2012/01/06(金) 22:24:24 ID:EK/9fLvc
>>739
「・・・さて」
術も、波旬の反応が見られないことから停止をして、
一段落とばかりに未だ地面に潜ったままの農夫は深くため息をついた。
以前にも彼らはこの力を見ていたのか、これと言って驚く素振りは見えず、
首だけをこちらに振り向かせる農夫の意図を把握して、包帯男がゆっくりと歩みよった。
「なんだか俺が言うのもあれだが!!最初はカッコいいのにいつも最後ぐずぐずだな!!
仲間がいなかったらどうするつもりなんだろうな、この要介護者!!」
「こればっかりは反論できねえな。
でもまあよく考えてみろ?あれだけの術を発動するんだぞ、
反動でこの後動けなくなんのも仕方ねえ事じゃねえか?」
その場にしゃがんだ包帯男は、少しの間農夫の首周りの土を掘り返してから、
彼の肩を掘り起こして引っ張った。
絶大な力を持つこの技には、しばらくの間戦闘不能になるデメリットがあるのだ。
741
:
波洵・植物
:2012/01/06(金) 22:33:28 ID:tElbSrz.
>>740
夜の寒風に吹かれ、木々がさやさやと音を立てる。
凄然と生い上がった緑の残骸は寒空に悲しく泣いているようだった。
いや、この音。
一定間隔で・・・近づいてくる?
「隙み〜〜〜っけぇ! あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
突然間近に生えていた大木が狂気の表情へと豹変し、
ギラギラと星明りに煌めく凶刃が農夫へと振り下ろされる。
植物へと変化した波洵が、すぐ間近まで迫ってきていた。
742
:
???
:2012/01/06(金) 22:46:09 ID:EK/9fLvc
>>741
仲間に掘り出されながらも農夫は、戦闘を終えた時の言い知れぬ疲労感と共に、
目の前の樹木が役目を終えて風になびく音を聞き多少の感慨に浸っていた。
しかし、曲がりなりにも植物の力を行使する為に、
一般の者では到底判別のできない微妙な違和感を彼同時に感じ取る。
「これでも死なねえと、しぶといなんて物じゃねえぞ」
ぼそっと呟く農夫の姿を見て、事情を理解できていない包帯男は首をかしげる。
しかし、その理由は直ぐに彼も知る事となった。
「おお!?おまえ何でも変化できるカメレオンだったのか!?
すごい羨ましいな!!」
農夫は先ほどの反動で身動きが取れない。
であるならば、と包帯男はすぐさまに二人の間に立つ。
そして右手の包帯を緩め始め、波旬の刃が彼らに到達すると、
彼はそこから飛び出した獣の爪で彼女の一撃を防いだ。
743
:
波洵
:2012/01/06(金) 22:57:24 ID:tElbSrz.
>>742
「あん? 次はお前か」
弾かれた凶刃を振り戻し、
大樹からズルリと這い出すように波洵の人の姿が現れる。
「その通り、私は誰にもなれる。
誰かになることで誰の幸福でも享受できる。
残念ながら“私自身”には長時間なれないけどね」
顔には天魔雄神の文様が未だに消えていなかった。
不完全羽化の状態で原型の力を振うのは負担がかかるようだ。
「・・・つまんねー奴だなー、お前!
せっかくだからお前の愛しい者の顔にでもなってやろうと思ったのに、
お前の心の中には誰も居ないじゃないか」
波洵の足がギロチンのようにギラギラと輝き、
風を切る音と共に包帯男の方へと振りかぶられる!
744
:
???
:2012/01/06(金) 23:12:08 ID:EK/9fLvc
>>743
「そうだ俺だ!!ぶっちゃけていうとコイツほど強くないがな!!
イケメン度では俺が圧勝しているぞ!!」
「定番のボケだけどな、そう言うのは包帯取ってからにしろよ?」
武器である爪を使うために一度解かれてから、
彼の全身を満遍なく覆っていた白い包帯ははらりと、それぞれが緩んで解けそうになった。
「気遣いを不意にしてスマンな!!でもこればっかりはどうしようもない!!
俺は坊ちゃんとも違って慕う両親がいないからな」
彼も戦闘態勢になったのだろう、一気にその緩んだ包帯を剥ぎ取り脱ぎ捨て、
包帯にいつも包まれていた姿を外に晒した。
その姿は、強烈なまでに異様であった。
頭は猩々であるにも関らず、毛におおわれた首から下は虎のソレ。
いうなればキマイラである彼は、瞳孔に獰猛な光りを放っている。
そして、外からでも感じれる程の獰猛さは伊達ではなく、
野生の獣並み、いやそれ以上の俊敏なフットワークでそれらを回避した。
瞬間爪をくぐりぬけて波旬へ更に急接近した彼は、
攻撃を終えて少しの隙を見せる彼女の顔へ、右の詰めを大きく振りかぶって引き裂こうとする。
745
:
波洵
:2012/01/06(金) 23:26:35 ID:tElbSrz.
>>744
「ちっ!」
波洵の背中から石英の翼が突如生え、閃撃から身を守る。
石の翼はガリガリと音を立て、4本の傷が残された。
(屈辱だ、元とはいえあの女の体に変化させられるなんて・・・!!)
波洵がとっさに思い浮かんだ身を守るものがこれだった。
野生そのものであるキマイラの連撃に息つく間もなく守りで手一杯にされてしまう。
「このっ! ケダモノがぁ!!」
右手を巨大な骸骨に変化させ、
キマイラの眼前を覆い尽くすように掴み掛る。
746
:
???
:2012/01/06(金) 23:37:28 ID:EK/9fLvc
>>745
「坊ちゃん!!農夫!!ここは何も言わず退散してくれ!!」
変容した彼女の片腕が彼に襲いかかるまでの少しの間に、
彼は仲間の方を振り返り、渾身の大声で彼らに撤退を促そうとした。
反撃や防御をせずに仲間を慮ったことで、
先ほどまで回避していた波旬の手を避ける事は出来ずに、顔面を大きく包んで掴まれてしまう。
「言われなくても逃げるわ。ここがお前望んだ場所だろうからな」
「くすくす、僕達だってあなたに敵もろとも口尽くされるなんて御免ですから」
なんとか農夫の回収に成功した神代は、
最後に彼の隣に女性が取り残されている事を確認してから、颯爽と撤退してしまった。
747
:
???
:2012/01/06(金) 23:43:27 ID:EK/9fLvc
>>746
訂正です
口尽くされる×
喰い尽くされる○
748
:
波洵
:2012/01/06(金) 23:46:44 ID:tElbSrz.
>>746
「・・・」
貪欲で彼の心を見透かしていた波洵は目を細める。
骨が軋りながらキマイラの頭部を締め付けた。
「馬鹿な奴」
捻じ切れて手の付けようもないほど腐敗した心を持つ神代や、
純朴な仮面の裏に、残忍な下心と身を焼くような炎を持つ農夫とは異なり。
唯一真っ直ぐで、仲間意識のようなものを持った・・・救いようのある心だった。
「馬鹿な奴」
もう1つ波洵はそう呟くと、左手を研ぎ澄ませ、心臓部を目がけて撃ち放った。
だがまだ何か企んでいるようだな、これで終わりじゃあないようだ。
見せてもらおうじゃないか。
749
:
???
:2012/01/06(金) 23:58:30 ID:EK/9fLvc
>>748
「二度も言う事は無いだろ!!俺も頭が足りない事は把握しているぞ!!
でもここだけは逃げる選択肢を選ぶことは出来ないんでな!!」
近くにいるというのにあいも変わらずな大声で答えた彼のその胸へと、
波旬の容赦のない一撃は放たれる。
しかし、その一閃は彼の胸の数センチ前まで前進しただけで止められてしまう。
だが止めたのは彼ではない。
まるで庇うようにして間に割り込んだ、先ほどまで一言も言葉を発していない彼女であった。
「いや、こんなカッコいい登場で防いでもアンタがこれからする事になんら、
微塵も影響は与えないのは分かってるんだけどさ・・・
でもやっぱ脊髄反射でとめちゃうよね、偉そうな事言って申し訳ないけど」
「いや気持ちは十分理解しているぞ!!なによりもこれはお前の体でもあるからな!!
それに、これからどうせ死ぬんだからと、一回ぐらい目立ってみたかったんだよな!!
俺の愛おしい胴体よ!!」
胸は波旬によって一突きにされ、そこからは血が止めどなく流れていた。
そして庇われた彼はなおも大声で彼女を労わり、
頭から彼女を喰らった。
750
:
波洵
:2012/01/07(土) 00:11:57 ID:tElbSrz.
>>749
「なんだ・・・、こいつ!」
止められた刺突。
割り込まれた突然のイレギュラー。
突然のことに混乱する波洵だが、
やがて心を読み取り全てを悟る。
「そういうことか・・・、面倒な・・・!」
ガツガツと“分離した自分”を貪る光景に奥歯をキリリと噛んで見守る。
「どーせ死ぬ・・・か、死に場を求めていたって訳ね。
・・・下らない。下らないな、全くもって下らない」
それを見つめる波洵の目はどこか物悲しそうだった。
「いーよ、かかってこい。そんなに死にたいんならお望み通り殺してやるよ」
波洵は再び全身の骨格を変えるような変化をする。
その果てに行き着く姿は・・・。
751
:
???
:2012/01/07(土) 00:22:39 ID:EK/9fLvc
>>750
ぐちゃ、ばりっ、
と、肉や骨を牙で咀嚼する嫌な音がこの場に響き渡る。
頭部は一口で飲まれた為に彼女は即死し呻くような声は無く、
数秒で唯の肉塊となった女性の体を、しばらく彼は何も言わずに貪り続けた。
「またせたな!!目の前でこんな酷い事をしてしまって申し訳ないとは思っている!!
だがこれ以外手段はなくてな!!」
全てを食い尽くして、彼女の体は一欠けらたりとも後には残っていない。
むくっと顔を上げた彼の体に、その途端変化が始まる。
「でも悪いが、もう少し待ってもらうぞ!!シッポの部分の奴が以前死んでしまってな!!
今代わりを体に吸収するところだ!!」
肉や骨が突然変化を始める為に発生する水気の含んだ音を立てて、
終に彼の胴体に当たる部分は、狸のそれに変化した。
そして次の動作としてどこからか取り出された物は、蛇の鱗である。
彼は波旬に一言告げてから、それを一飲みにする。
「作業はこれで終了!!取りあえずはこれが俺のフルスタイルだ!!
さっそく戦闘に戻っても良いぞ!!」
そして生えるは蛇の尾。
しかしそれは一匹などではなく、まるで不死鳥の尾羽のように百を超える大群であった。
752
:
波洵ver窮奇
:2012/01/07(土) 00:34:20 ID:tElbSrz.
>>751
「よっと、こっちも準備OKだ」
波洵が変化したのは、なんてことはない。
彼女の人間形態が少し大人になった姿。
「この姿に深い意味はないよ、ただ」
ニヤッと、少女の頃よりも数倍は毒々しい笑みを浮かべる。
「お前が榊よりも先にコイツに会ってたら、
もう少しマシな死に場所が得られたのにねっていう皮肉だ」
両手には六芒星の魔方陣が浮かび上がる。
二の句を告げず、波洵は駆け出しその巨躯の懐へと潜り込む。
「星を落とす魔法」
拳に乗った紫の六芒星が閃光を上げて炸裂する。
753
:
???
:2012/01/07(土) 00:50:25 ID:EK/9fLvc
>>752
彼の姿は、鵺。
先ほどまで隣で付き添っていた女性と、
榊が以前メリーから回収した仲間であったメデゥーサの力の残滓を飲み込み、
終に彼の体は頭は狒々、体は狸、手は虎で尾は蛇の、伝承にも残る物となった。
「言っておくがあいつに罪は無いぞ!!俺はもとからどうせ復讐を夢見てただろうからな!!
生まれてすぐ川に流されるなど、まともに育てるわけがないだろ!!」
目の前では波旬が強烈な力を携えてこちらを狙っている。
それを黒く濡れた目で視認した鵺は、
むしろ避けるのでなくこちらも全速力で、虎の足を生かし急接近を始める。
「ぐっ!?」
だが、あの伝説の悪人の農夫とは違い鵺は所詮まがい物。
更に未完成品である彼に波旬を打倒する力は無く、腹部に重すぎる一撃を喰らい、
弾けるように飛ばされ近くの近く変化によって生まれた岩に叩きつけられる。
「つ・・強いな!それで・・・こそ!!
俺が神世より憎んで憎んで憎みきった天敵だ!!」
衝撃は深くダメージを与え、口からは血がたまらず吐きだされた。
しかし、足がダメージによってわなわなと震えているものの、
目に灯る火は未だに消えていない。
「どうやらお前のその技!!両手が聞かないと発動できないらしいな!!
定石通り攻めさせてもらうぞ!!」
ここが踏ん張り所だと鵺は自身に鞭を打ち、
また虎の足の俊敏なフットワークを生かして、波旬との距離をぐんと縮め、
更に対応の遅れる彼女の両手足を、尾にある蛇の大群によって拘束した。
身動きのとれなくなったであろう彼女を、固定しまま鵺は鋭い爪を振りかぶる。
754
:
波洵ver窮奇
:2012/01/07(土) 01:09:37 ID:tElbSrz.
>>753
「!?」
絡み付く数多の蛇たち。
両の手の動きが封じられ、巨大な爪が眼前に振り下ろされる。
「どうかな・・・?
全くどいつもこいつも男は私にしがみ付きやがる」
波洵は迷うことなく蛇の絡んだ両腕ごと発破する。
蛇の物と波洵の物が混じり合った血飛沫が舞った。
巨大な爪を躱した先には、両手首のなくなって骨をむき出した波洵がいた。
「墓に刻むのに名前がないと不便だから、お前に5秒で考えた名前をやるよ」
骨のむき出した腕の先に紫の六芒星が展開し、
ただ向かってくる狒々の顔へと向けて、撃ち放った。
「檮杌、人面虎足で長い尾を持つ化け物。
酷く馬鹿で人の教えを決して聞かないらしい・・・ぴったりだろ? 檮杌よぉ」
紫の六芒星は眩い光を上げて、炸裂した。
755
:
???
:2012/01/07(土) 01:26:04 ID:EK/9fLvc
>>754
拘束に用いた自らの尾を突然に爆散され、
鵺はその余りにもの痛みに耐えきれず、頭を仰け反らせて宙に吠えた。
痛みは彼の死への恐怖、作戦や思惑を頭から消し去ってしまったのだろう。
何も考えず空白となった自身の世界を、
ひたすら突き進んで目の前の波旬を打倒しようとした。
まんまと死へのギロチンがそこで待ち構えているといのに、
鵺は躊躇も何もなく、ただひたすら飛び込んで、彼女の六芒星を体への通過を許した。
「」
技を喰らっても、先ほどのように体は後ろへ吹き飛ばされなかった。
吹き飛ばされることない程に、彼は全身に全力を以って前進したのだ。
しかし、体に受けるダメージは吹き飛ぶ事によるのエネルギーの発散もできず、
全てを受け止めてしまったばかりに致命的な物となる。
「これほど何もかもを捨てたのに・・・やっぱりお前らには届かないのか・・・
俺の・・・完敗なんだろうな・・・」
そこら中が印によって傷つき、体から溢れ出る血液でどこから出血しているかの判別も出来ない。
全身が赤く染まった彼はゆっくり口を開き、彼らしくもない弱った声を吐く。
「檮杌・・・か悪くはないぞ・・・。でもな・・・やっぱり名前は必要・・・ない・・・
俺には・・・前から名前があった事を・・・呪われた名前があった事を・・・
今更に思いだしてしまったからな・・・」
ずたぼろの捨て布のようになった彼は、
それでもまだ動けない体になった筈なのに、足を止めず波旬へと歩みと進める・
756
:
波洵ver窮奇
:2012/01/07(土) 01:32:52 ID:tElbSrz.
>>755
「逆だ、馬ー鹿。捨てようとするから届かないんだよ。
生まれてきたからには、なんでもかんでも欲しがってなんぼだろうに」
波洵は変化を解いて、先ほどのような少女の姿へと戻る。
爆散した両手首は未だに無いが、肉に包まれ止血された。
「へぇ、私のネーミングセンスを侮下にするとはいい度胸だねぇ。
言ってごらん、呪われた名前とやらを」
波洵は、先ほどよりも毒のない笑みを浮かべながら。
歩み寄る鵺に詰め寄った。
757
:
???
:2012/01/07(土) 01:49:01 ID:EK/9fLvc
>>756
「何を欲しがってもな・・・届かないのだ・・・。他の何を望んでも・・。
これがないと思うだけで・・・途端に何もかもが色褪せる・・・」
体だけでなく、口から咳き込んで吐き出される血液の量も、
確実に彼の終わりは近いのだという事を告げている。
「はっは・・・やはり気づいてはくれないのか・・。確かにここまで・・・変位して・・・
俺を誰だと知ってくれなど・・・土台無理だな・・・
第一名前を・・・今の今まで忘れていたのだ・・・。これは多分・・・榊の仕業だがな
そのせいで俺は・・・不必要に復讐の炎を燃え上がらせた・・・」
獣の喉を低くくぐもって鳴らし鵺は静かに笑う。
そう、せめてもの何かがあれば、きっと彼は多少の踏み止まりを出来たのだ
そして本来、彼は鵺と呼ばれるような存在でもなかった。
そもそも何もなかった、魂の位置も名前も存在もなかった事にされた彼だからこそ、
何もないこの器にあらゆる獣を詰め込み、キマイラの終着点として鵺と成れた。
もし名前の一つでもあれば、彼はその名前の通りにごちゃ混ぜになり、
変遷に変遷を繰り返す必要などなかったのである。
「だが・・・最後に思い出せてよかった・・・。少なくとも俺は・・・名前だけはもらっていたのだ・・・
ヒルコ、と」
何もない神。
不具として生まれ、何かを手に入れる手も、何かを見に行く足もなく、
末路には彼らの子供としての事実すら、なかった事にされた神。
758
:
波洵
:2012/01/07(土) 02:06:02 ID:tElbSrz.
>>757
「・・・」
倒れた骸を見下げて、波洵は不機嫌そうにポツリと呟く。
「檮杌の方がいい名前じゃん、まぁ私が言えたことじゃないけどさ」
波洵は燃え上がり、塵と化していくヒルコを見下ろし。
誰にでもなく問いかける。
「波洵とヒルコの何が違ったんだろうね」
生まれてから108年間、夜行神の中に放置されていた波洵。
生まれてすぐに隠岐へと流されたヒルコ。
両者の間に大きな差はあったのだろうか。
「ほーんとに、榊じゃなくて先にあの女に会っときゃよかったのにねぇ」
私よりよっぽど向いてたよ、と言いながら。
波洵は背後に生い茂る巨木の枝を切り落とし、
刃物に変化させた指で素早く彫刻をする。
「じゃーな、ヒルコ。腹の中の女とも仲良くやれよ」
波洵はポイッと小さな位牌を投げ捨てると、
冷めた目は何か遠くのものを見据えていた。
「予想以上にくだらねぇ女だな、榊。
誰かを幸せにも不幸せにもできないくせに、一丁前に黒幕ぶりやがって」
759
:
波山&おとろし
:2012/02/04(土) 22:31:40 ID:tElbSrz.
町からやや離れた山里の森。
「ああああああああああああああ! 寒みぃ!!
死ね! 冬死ね! 超死ね!!!」
今日も威勢だけはいいニワトリ・波山。
人にもはっきり聞こえる声で堂々としゃべっている。
こんなところを人に聞かれでもしたら、天才志村動物園行である。
「おい! なんか面白い事やれ!!」
「ぐぅお!?」
突如無茶振りされる隣の透明な巨大妖怪・おとろし。
でっかい頭をかきながら、困り果てていた。
「おっ! なんか、人が来るぞ!! へへへ、丁度いい!!」
「うご?」
波山はドロンと巨大なニワトリに変化する。
「妖怪としての本分だ!
あいつ化かしてやろうぜ!!」
760
:
現人中
:2012/02/04(土) 22:37:22 ID:zj2aQgR2
>>759
「なにやら、さわがしいな・・・っと」
にぎやかな話し声を聞き取ってかふらふらと近づいてくる人影
「・・・さてさて、何が起こるかねぇ」
その人影、目が完全に隠れるほど深く帽子をかぶった青年は
のんびりとした足取りで話し声の元へと歩いていく
気配が極端に薄いおかげで時々見失いそうになりそうだ
761
:
波山&おとろし
:2012/02/04(土) 22:43:54 ID:tElbSrz.
>>760
「ヒャッハーーーー、汚物は消毒だぁあああ!!」
突如青年の周りから燃え上がる、火柱が吹き上がり包囲する!
赫々と燃える紅蓮の炎は寒気を吹き飛ばし、ジリジリと肌に照り付ける。
火柱の向こうで巨大なニワトリが羽を散らしていた。
突如、青年の体が宙に浮く。
熱気が上へ昇り、あぶり焼きのようにされるだろう。
そのままグングン空に昇っていき、地上十数メートルまでに上昇。
熱気はだいぶ薄れたが、今度は足がすくみそうなほどに高い場所へ宙吊りだ。
762
:
現人中
:2012/02/04(土) 22:52:46 ID:zj2aQgR2
>>761
「おーおー、冬だっつーのにずいぶんと元気なやつらだな・・・っと」
何かを振り払うような動きで回転し、そのままそこから自由落下
「しかし化かす相手ぐらい一応確かめたほうが無難だな」
すた、ときれいに着地、この一連の動作だけで既に普通の人間ではないことがわかる
「もしこれで俺が凶暴なやつだったら大騒ぎだぜ?」
なぜか確認口調で首をかしげる、目線は鶏・・・ではなくもう一人のほうへ
763
:
波山&おとろし
:2012/02/04(土) 23:03:52 ID:tElbSrz.
>>762
「あん!? あの高さから落ちて平然としてやがる・・・。
こいつ、人間じゃねぇな!!」
波山は翼を広げ、妖気を振りまく。
「だったら、手加減なしだ!! フルバーナーだっ!!!」
地面から巨大な火柱が吹き上がり青年を飲み込む。
幻覚の火災、されど熱は本物のように感じるため、常人ならショックで気絶するほどである。
「ごぉ!!」
状況を察してか突如、空から青年のいる場所へ大質量が落下する!
妖怪・おとろしの落下が迫る。
764
:
零なか
:2012/02/04(土) 23:06:01 ID:BQ990e1A
避難所見て吹いてしまったのは私だけでしょうか←
765
:
現人中
:2012/02/04(土) 23:13:41 ID:zj2aQgR2
>>763
「ふむ、ご名答俺は人間じゃねーよ」
けたけたと笑う青年、緊張感など微塵も無い
「ほうほう、これは幻覚の炎か・・・まずまずだな」
腐りきっても超長生きな守り神、幻覚などに対する耐性は万全らしく割りと平然
「そしてだ、潰そうとするにももうちょっと工夫するべきだな・・・ふんっ!」
まさかの超重量を両手で真っ向から受け止める青年、わずかに残ったアグレッシブな能力のひとつがこの身体能力である
「・・・・・・・・・(さすがに真っ向から受け止めるのはやめとくべきだったなぁ・・・)」
・・・といってもさすがに多少無理はしたらしく微妙に顔色が悪いというか後悔の色
766
:
波山&おとろし
:2012/02/04(土) 23:23:02 ID:tElbSrz.
>>765
「んだとぉ! 体感温度800℃(当社比)だぞ!!」
幻覚の火柱は効果がないとわかるが、
いかんせんこのニワトリ、手数がそれほど多くない。
幻覚に敵味方の判別を付けられるようになっただけ、成長したといえるが。
「クソがぁ!」
性懲りもなくまた火柱、しかし・・・。
(ケケケケケ! 鬼火・雀火!!)
幻覚の中に本物の鬼火の礫を仕込む!
幻術師にはすっかりお馴染みの、幻術で攻撃を隠す手!!
現人の足元の地面は陥没していた。
単純計算でおとろしの体重はマウンテンゴリラ4頭分(当社比)である。
「ぐぉおお!!」
受け止められたおとろしは唸った。
透明な体は徐々に実態が浮き出してくる。
ひどく頭でっかちで黒い長毛の狒々が姿を現した。
767
:
現人中
:2012/02/04(土) 23:34:31 ID:zj2aQgR2
>>766
「はっはっは、もっと驚け」
全く緊張感の無い青年、隙だらけにも見えるが
「おっと、危ない相手ガード!!」
受け止めていた相手を"本物"の炎への盾とするように投げ下ろす
「まぁなんだ・・・そういう不意打ちもよくあるものってこった!!」
そして万全を期すためか木の中へと飛びのく
「年季の差ってやつだよ」
そして森へと入ったとたん僅かにあった気配すら完全に消え、声のみが響くように聞こえる
768
:
波山&おとろし
:2012/02/04(土) 23:41:14 ID:tElbSrz.
>>767
「あんぎゃあああああ!!!」
「あぁっ、クソがぁ!」
おとろしは叫びをあげて、地面を転げまわる。
ぶすぶすと煙を上げて、ぜーはーしていた。
「チキショー・・・隠れやがったな!」
「ぐぅーぶぅー・・・」
肩で息するおとろしに向かって翼を上げる。
「よっしゃ、プランDでいくぞ!!」
「ぐぉ!?」
おとろしは、ギクリとしたが渋々姿を再び消す。
「ケケケ、さぁ出てきな。これでシメーだ!!」
769
:
現人中
:2012/02/04(土) 23:48:11 ID:zj2aQgR2
「とりあえずそこのでかいの、これ付けとけ」
ひゅん、風きり音がしておとろしに向かって傷薬が飛んでくる、どこにでも売っている火傷用の物だ
「付けるだけでも気分的に直りが早くなる」
薬が飛んできた方向には、薬を飛ばすためだけのためと思われる簡単な仕掛け、位置の補足はできそうに無い
「出て来いって言われていく馬鹿がどこにいるんだかね」
笑い声、姿が見えないだけに腹立たしい
「んじゃ、小手調べと行こうかね?」
ごう、と先ほどとは比べ物にならない音と共に高さがことも二人文ほどある岩が投げ込まれる、小手調べとか言うレベルじゃない
770
:
波山&おとろし
:2012/02/04(土) 23:58:42 ID:tElbSrz.
>>769
「おわぁああああああ!!」
波山、岩から不通に逃げる。
「あ、危ねぇじゃねぇかボケぇえええええええ!!
出て来いよこんにゃろーーーーーーっ!!」
プランD、どうやら相手が出てこないと話にならないようだ。
「おい、おとろし!」
「ぐぉ!」
「ケケケ、幻覚が効かねぇならこいつはどうだ!?」
空から突如、岩の飛んで来た方向へ瘴気の弾が数多に撃ち込まれる!
砲弾は当ると爆ぜて地面を抉り、強烈な刺激臭を撒き散らす。
まともに吸い込んでしまえばクロロホルムのような作用を引き起こすだろう。
771
:
現人
:2012/02/05(日) 00:08:09 ID:zj2aQgR2
>>770
「はい、はずれ。」
岩が飛んできた場所には既に青年の姿は無く、微妙に腹の立つ声が響くのみ
「つーかあぶねぇはこっちの台詞だろう、常識的に考えて」
まぁ急に襲われた側なのでごもっともといえばごもっとも
「さて?岩がよけれたなら次はこいつだな」
しゅーー・・・、と不穏な音が響いたと思ったら次々と飛んでくるロケット花火
危険度は大幅に下がったが数と速さは大増量である
772
:
波山&おとろし
:2012/02/05(日) 00:26:01 ID:tElbSrz.
>>771
「ぎにゃああああああああああああ!!」
パンパンと弾けるロケット花火に波山は飛び跳ねながら逃げ回る。
「このヤロー!! 『絶対に人に向けて火をつけないでください』って書いてあるだろうがぁあああ!!」
お前は人じゃないだろ。
この口ぶりからどうやら似たようなことを以前やろうとしたことがあったらしい。
「ぐぬぬぬぬ・・・、出てこねぇって言うんならこっちにだって考えがあるぞこのヤロー!!」
波山はそう言い放つと翼を大きく広げ・・・
「このまま放置して帰る!!」
「ぐおっ!?」
あまりに突飛な提案におとろしは空から滑り落ち、地面にすっ転んだ。
「バーカバーカ! 一生そこに隠れてろーーー!!」
「・・・」
波山は変化を解くと、自信満々なままスタコラサッサと逃げ出した。
773
:
現人
:2012/02/05(日) 00:33:22 ID:zj2aQgR2
>>772
「バカヤロー!ルールと記録と限界は破るためにあるんだよ!」
今言う台詞ではまかり違ってもない
「まぁ、お前が帰ったら俺も普通に帰るがなー」
ごく普通に返してきやがった
「しかしお前も災難だな」
そしてぶっ倒れたおとろしにむかって声がかかった
774
:
宛誄&蜂比礼
:2012/02/10(金) 16:48:38 ID:tElbSrz.
本スレ
>>866
「ははは! そうであることを願いますよ・・・」
宛誄は頭を掻くと、言葉を続ける。
「さて、それでは現実問題どうやって謝りましょうかね」
ニコニコとする零に蜂比礼はおぞぞぞぞと鳥肌を立てる。
「うー、来るんじゃねぇし! あっちいけーーー!!」
775
:
零「」&黒龍『』
:2012/02/10(金) 17:59:04 ID:HbHPxpxY
>>774
『ん?誤り方?それは勿論、スキンシップだろ!?宛誄が蜂にキスなり抱き着くなりすりゃいいんだよww』
外国では仲直りや親しい友人の挨拶などにはそれくらい当たり前らしい。
日本で育った者にはセクハラやらで訴えられそうだが・・・。
『(あー、確か俺のファーストキス奪ったの、白龍だったな。)』
一方・・・。
「なんで行っちゃ駄目です?大丈夫ですよ、痛いようにはしませんから」ニコリ
目を見開いた零。
目つきが少し怖い。
776
:
宛誄&蜂比礼
:2012/02/11(土) 00:43:28 ID:tElbSrz.
>>775
「・・・そんなことして本格的に嫌われなきゃいいんですけどね」
はぁ、とため息をつくと立ち上がる。
「さて、追いますか。確かにいつまでも悩んでいても仕方がない」
「うーーー、キモいキモいキモいキモいーーーーっ!!」
蜂比礼は喚きたてると、そのまま一目散に飛び去ってしまう。
・・・幽体剥離、レッドゾーン!!
777
:
名無しさん
:2012/02/11(土) 11:52:05 ID:HbHPxpxY
>>776
『お?捜す気になったか?じゃ、行こうか!!』
宛誄の手を引っ張り、零の元へと向かう。
「・・・・・・・・・気持ち悪い?」ガーン
零は笑みを引き攣らせ、orzの体勢に。効果は抜群だ。
778
:
宛類&蜂比礼
:2012/02/11(土) 20:39:23 ID:vmn27WQc
>>777
「はい、それでは」
捕まれた手を握り返し、宛類は駆け出す。
そしてうずくまる零を素通りして奥の茂みの方へ。
「うーーっ!」
地団駄を踏む蜂比礼。
そこに宛類は息を切らせて駆け寄っていく。
「ねぇ」
「うわっ! な、なんだし! 今更謝っても遅せーしー!!」
宛類は肩を上下させながら、にっこりと笑いかける。
「もう謝って許して貰おうとは思いません。
ずっとずっと憎んでいていい、嫌ったままでいい」
「だから・・・」
宛類は蜂比礼の雲のようにすり抜ける手を取り、語りかける。
「あなたの友達を七罪者から取り戻すまで、一緒に同じ道を歩いてください。
僕とあなたの目的を果たすまで、形だけでも協力してください。
・・・その後ならどうなっても構いませんから」
宛類の言葉に蜂比礼は複雑そうな表情をすると、そっぽを向いて吐き捨てる。
「あーーー! もうしょうがねぇし!!
今回だけは貸しにしといてやるけど、次はねぇから覚えておくしーーー!!」
負け惜しみのように叫ぶと、蜂比礼は宛類の体内の本体に帰って行った。
「えぇ、肝に銘じておきますよ・・・。ありがとう」
それだけ言うと宛類は去っていった。
//長くなってすいません!
勝手ながらこれで〆にさせていただきます!
乙でした&ありがとうございました!
779
:
零&黒龍
:2012/02/14(火) 16:31:21 ID:HbHPxpxY
>>778
『良かった良かった。これも俺のおかげか!?』
「あ・・・・・・」
『うわああ、零はキモくないから!!くそったれ、あの蜂め・・・・・・!』
去っていく宛誄に軽く黒龍は手を振り、orzな零を慰めるのだった。
//遅くなりました、どうもありがとうございました!
780
:
ハーメルン
:2012/03/25(日) 21:01:26 ID:tElbSrz.
歓楽街を見下ろすハーメルン。
色取り取りのネオンは、暗い夜を煌々と照らしていた。
「けっ! どいつもこいつも・・・好き勝手暴れやがって!」
世界妖怪連合の暴走にハーメルンは少々あきれ返っていた。
隠密に妖怪を減らす計画、誰一人足並み揃うわけもなかったのだ。
「だがこれはこれでまぁいい、目晦ましに俺が好きにできるしな・・・」
赤い目の鼠が町中を駆け廻っていた。
強い妖怪達の情報を集めていくそれは、人を操るべく淡々と牙を研いでいる。
「さぁて、じゃあ始めるか。人を使った妖怪狩りをよ・・・!!」
笛の音が響き渡った途端、路地裏でいきなり人に化けた妖怪が殴り殺された。
鮮血が舞い、頭がい骨が砕け散る音が響き渡ったはずなのに、誰一人振り向く者はいなかった。
路地裏の周囲の人々は、皆赤い目をしていた。
781
:
三凰「」&瞳『』
:2012/03/25(日) 21:13:28 ID:SmXQZqJk
>>780
『どうもこの辺りの人間の様子がおかしい……まるで、人間じゃないみたいだ……』
人間の様子がおかしいことに気づいた瞳。その中の一人の後をつけ、路地裏に入り込んだ。
その瞬間、瞳のすぐ近くで人に化けた妖怪が殺された。
『なっ!?いったいなにが!?』
すぐに気がついた。瞳は、自分が危険な場所にいることを
「あれは……瞳と…人間?」
その上空、電柱の上に立つ三凰。三凰もまた、異常な人々が気になり路地裏に来たのだった。
「しばらく様子を見るか……」
三凰はそのまま、下を眺め始めた。
782
:
ハーメルン
:2012/03/25(日) 21:22:34 ID:tElbSrz.
>>781
ビルの屋上にて。
ハーメルンが笛を止める。
「・・・網にかかったようだな」
鼠達が物陰から瞳を、そして三鳳を見つめている。
ハーメルンがペラペラと、ストーリーテラーから支給されたリストを眺め、
ハッと目を止める。
「あいつは・・・ははっ! こりゃあいい・・・!
強くて誠実で人間好き、俺にぴったりの獲物じゃねぇか!」
【死の舞曲・発熱】
赤い目をした人々が、瞳を取り囲んでいた。
強化され、笛の音で操られた人間達が瞳を両脇から捕まえ、数人がバールやハンマーなどを掲げる。
「さぁて、あいつはどうやって仕留めようかね」
電柱の上に立つ三鳳をハーメルンが挑発的に睨みつけた。
783
:
三凰「」&瞳『』
:2012/03/25(日) 21:36:47 ID:SmXQZqJk
>>782
『な、何をする!』
あっさり捕らえられる瞳。腕を刀にして必死で抵抗すれば、振りほどけるかもしれないが……
瞳にはそれができなかった。何故なら、彼らは人間。瞳には、人間を攻撃するなどできなかったのだ。
「瞳の奴……何をやっている…チッ、奴に死なれてはこまる。まだ、リベンジを果たしていないからな。」
そのまま、蝙蝠の姿になり、瞳の方へ飛ぶ。飛び立つ瞬間、屋上のハーメルンをちらりと見る。
三凰(あいつが司令塔か?瞳を救出したら、次は奴だな。)
「サウザンド・レイピア!」
瞳の真上まで、飛びそこから数人に向け、レイピアの形をした無数のエネルギーを放った。
784
:
ハーメルン
:2012/03/25(日) 21:51:11 ID:tElbSrz.
>>783
三凰の攻撃に数人が吹き飛ばされるが、
すぐに第二波が2人に襲い掛かる。
ハーメルンが苛々とその様子を眺め、舌打ちをする。
「チッ、やっぱり人間じゃあ不意をうたねぇと決定力に欠けやがる」
笛の音が変わる。
【死の舞曲・肥大】!!!
赤い目をした数人の人々の腕に血管が走る。
体の負担を無視した、過剰強化。
人々はバールや自転車、さらにはへし折った電柱まで振り上げ瞳に襲い掛かる!
「・・・死にな」
その背後から、音もなく忍び寄っていたハーメルン。
鈍色に輝く猟銃が三鳳の頭部を捉え、発砲音が鳴り響いた。
785
:
三凰「」&瞳『』
:2012/03/25(日) 22:04:43 ID:SmXQZqJk
>>784
「おい!瞳!貴様は何故攻撃しない!?死にたいのか!?」
瞳に怒声を浴びせながら、光のレイピアで再び人間達を攻撃しようとする。
『ま、待て!!駄目だ!彼らは人間なんだぞ!』
あろうことか、三凰が放った光のレイピアを瞳は右手を刀に変えすべて弾いてしまった。
「なっ!馬鹿が!!死ぬぞ!!
……はっ!?」
瞳に気を取られ、後ろが疎かになっていた三凰。発砲音が聞こえた瞬間、避けようと体をずらす。
結果、頭部は無事だったものの銃弾は羽を貫通。三凰は、飛ぶことが不可能になってしまった。
『くっ…』
一方、瞳はなんとか電柱や自転車は避けれたもののバールで殴られてしまう。
786
:
ハーメルン
:2012/03/25(日) 22:14:04 ID:tElbSrz.
>>785
殴られた瞳に黒い波が集る様に、無数の手が瞳を押さえつけてしまう。
三鳳のレイピアを黒いブーツの足が踏みつけた。
「ははは! お互いに足引っ張りあってざまぁねぇなぁ!! おかげで順調だぜ」
散弾を当てたことに油断したハーメルンは、
ニヤニヤと笑いながら二人に語りかける。
「人間の心配なんかしてる場合かよ、馬鹿共が。
人間と妖怪、どっちが守られるべきかも知らねーで!
そんな調子だから妖怪は消えていくんだよ!」
三鳳の首をハーメルンが締め付ける。
「そういやアンタ、百鬼の主目指してるらしいな。
良かったじゃねぇか、現在絶賛開催中だぜぇ! 優勝賞品は何でも願いがかなうそうだ!」
眉を下げ、ハーメルンが嘲笑う。
「ま、テメーは今ここで死んで、優勝するのは俺だがね」
787
:
三凰「」&瞳『』
:2012/03/25(日) 22:21:19 ID:SmXQZqJk
>>786
『う……あ…あ……』
押さえつけられても、今なお抵抗をしない瞳。
「くっ……貴様ぁ……その薄汚い手を離せ……
百鬼夜行の主になるのは……この僕だ……」
三凰は、強気な態度をやめずに苦しそうな表情をハーメルンに向ける。
788
:
ハーメルン
:2012/03/25(日) 22:42:38 ID:tElbSrz.
>>787
発砲音が響き渡る、が。
散弾は三鳳の横を掠めていた。
「・・・あっけ無さすぎるな、その程度で主目指してんのかよ」
ハーメルンは三鳳を壁に投げつけ、語りかける。
「テメェが百鬼の主を目指す理由はなんなんだよ、
こんな衰退していく妖怪共の主に今更なったところで何の意味がある?」
ハーメルンは自分の望みを語りかけていく。
「俺は優勝のプライズ以外に興味はねぇ!
叶える望みは生物としての強さを得ることだ!!
この百数十年で妖怪の力も! 数も進行も大きく減った!!
沈みかけの船に何の未来がある!?
俺は生物として生きた証を、存在を残していく! ただ衰退して消えていくなんてゴメンだ!!」
三鳳へ向け、散弾が放たれた。
789
:
三凰「」&瞳『』
:2012/03/25(日) 23:02:36 ID:SmXQZqJk
>>788
「ぐはっ!」
壁に激突し、吐血する三凰。その衝撃で、蝙蝠姿の三凰の牙が一本折れてしまう。
「僕が……僕が百鬼夜行の主になる理由は、父上の……いや、宝玉院家のためだ!」
そう言い、人間の姿に戻り、よろよろと立ち上がる三凰。
「衰退しているからなんだ?沈みかけているからなんだ?
そんなもの覆せば良い。父上は、絶望から突き進み栄光を掴んだんだ。宝玉院家は……妖怪は……そんなに弱い生き物じゃない。」
と、語るものの銃弾を避ける体力は三凰に残っていなかった。しかも、三凰のレイピアはハーメルンに踏まれたまま。弾くのも不可能だ。
三凰(くっ……まだだ……何か突破口が……っ!!
これだっ!!)
三凰は足下の折れた自分の牙を広い、それをレイピアのように振るい、散弾を弾いたのだった。
790
:
ハーメルン
:2012/03/25(日) 23:11:01 ID:tElbSrz.
>>789
「ぐっ!」
弾かれた弾丸が、頬を掠める。
三鳳の思わぬ反撃に、ハーメルンは歯を軋らせた。
「ムカつくぜ、てめぇ・・・! だったら軽口叩きまくって今この場で死に晒せ!!」
【死の舞曲・黒波】!!!
ハーメルンの妖力が注ぎ込まれ、黒いオーラを纏った人々が腕を振り上げ三鳳に襲い掛かる!
791
:
三凰「」&瞳『』
:2012/03/25(日) 23:19:21 ID:SmXQZqJk
>>790
三凰(まずい!今の状態であの人間共と戦うのは危険だ……せめて、精気を回復出来れば……)
しかし、ハーメルンの妖力を注ぎ込まれた人間から精気を吸収するのは今の三凰では難しい。
三凰(ここは……)
三凰は、ハーメルンに背を向け残った体力を振り絞り走り出した。
「うおおおお!!」
逃げ出したかのように見えた三凰。しかし、彼が向かったのは人々に押さえつけられている瞳の元だった。
「はあっ!」
瞳に群がっている人々に己の折れた牙を振るい、瞳を救出しようとする。
792
:
ハーメルン
:2012/03/25(日) 23:27:48 ID:tElbSrz.
>>791
「!?」
折られた牙で人は薙ぎ払われ、
瞳に覆いかぶさっていた群衆達は吹き飛ばされる。
「はっ! 血迷ったか!!」
黒いオーラを纏った人々が、
恐るべき力で三鳳へと掴み掛り、八つ裂きにしようとした!
793
:
三凰「」&瞳『』
:2012/03/25(日) 23:47:50 ID:SmXQZqJk
>>792
「はぁ…はぁ…予想以上の数だな。
おい!瞳!こんなに追い込まれたのも、元はと言えば貴様のせいだ!」
『なっ!?』
助けに来たと思った相手から、予想外の言葉。
『な、何を言っている!それはあなたが………っ!?』
突如、瞳の腹部に痛みが走る。見てみると、三凰の折れた牙が突き刺さっている。
「責任はとってもらうぞ。」
『な、なにを……』
「命を奪う訳ではない。奪うのは、精気だ!」
瞳を突き刺した牙を抜く。瞳は、そのまま膝から倒れた。
「これならいける筈だ!」
迫り来る黒いオーラを纏った人々に向き直り――
「喰らうが良い!!」
再び無数の光のレイピアを放った。その数、先程の2倍位だ。
「サウザンド・レイピア―――X2!!!」
794
:
ハーメルン
:2012/03/25(日) 23:56:09 ID:???
>>793
「なっ!?」
精気を吸った三鳳の力は凄まじく、
黒いオーラを纏った人々はたちどころに吹き飛ばされてしまう。
「ぐっ、こっの野郎!!」
三鳳へ向けて、笛を剣の様に変化させて三鳳へと突進する。
「死ねぇえええええええええええ!!」
795
:
三凰「」&瞳『』
:2012/03/26(月) 00:04:55 ID:SmXQZqJk
>>794
「くっ!」
己の折れた牙を盾代わりにし、突進を防ぐ。三凰は瞳の精気の影響で、力も強くなっているようだ。
とはいえ、三凰が受けていた肉体的ダメージも軽くはない。あまり長くはもたないだろう。
三凰(まだだ、持ちこたえろ……)
三凰の狙いは、先程黒いオーラの人々に放った光のレイピアの余りを一カ所に集め、肉体的ダメージの少ないハーメルンを一気に叩く事だった。
その一カ所とは、ハーメルンの頭上。上を見れば、光のレイピアが徐々に大きくなっているのが分かるだろう。
796
:
ハーメルン
:2012/03/26(月) 00:17:17 ID:tElbSrz.
>>795
「おらぁ!!」
刃は三鳳の胸を抉り、鮮血を巻き上げ再び振り下ろされる。
「とっとと死にな!!」
ハーメルンは三鳳を突き刺すのに夢中で、
頭上のレイピアには気づかない。
血に塗れた刃は三鳳の喉元へと突き進んだ。
797
:
三凰「」&瞳『』
:2012/03/26(月) 00:27:36 ID:SmXQZqJk
>>796
「ぐうっ!!」
やはり、ダメージが大きく押されている三凰。
三凰(キツいな……傷が深い……だが――)
「終わりだ……」
5メートル程の大きさになった頭上の光のレイピアがハーメルンの背中をめがけ、高速で放たれる。
798
:
ハーメルン
:2012/03/26(月) 00:36:42 ID:tElbSrz.
>>797
「くくく・・俺は生きるぞ! テメェ等とは違う!! 俺は――!!
振り上げた剣で三鳳の心臓を突き刺そうとしたが、
まばゆく輝くレイピアが背後からハーメルンを貫いた。
「がっ! はっ・・・! ち、ちくしょう・・・!!」
光の矢はハーメルンを貫通し、虚空へと抜けていく。
ハーメルンは大穴の開いた胸を押さえ、なおも嘲笑っていた。
「く、くくく! ははははは!!
いいぜぇ、足掻いてみなぁ! この沈みかけの船の上で!
テメー等が惨めにやせ細っていく姿! 笑いながら見ててやるからよぉ!!」
高笑いを浮かべながらハーメルンは倒れ、その遺骸は塵となって消えて行った・・・。
799
:
三凰「」&瞳『』
:2012/03/26(月) 00:49:49 ID:SmXQZqJk
>>798
「……決して、沈ませはしない。宝玉院家がある限り。宝玉院三凰が在る限りな。」
そう決意し、ふらりと倒れている瞳の方へ向かった。
「立てる……筈はないか……意識も無いようだな。
仕方ない、一度屋敷へ運んで手当てをさせるか……くっ!」
瞳を担ぐ三凰だが、傷が深いため辛そうであった。
800
:
名無しさん
:2012/04/19(木) 07:01:56 ID:HbHPxpxY
本スレ
>>91
「なら、話は早いね。三凰が直接頼めば済むからね。でも、三凰パパにもこのことはきちんと言うんだよ?」
念を入れると再び三凰に抱き着く。
会ったのは多分、結婚式以来。
久しぶりに会えてかなり嬉しいようだ。
801
:
宝玉院 三凰
:2012/04/19(木) 10:42:03 ID:SmXQZqJk
>>800
「ああ、わかっている……って、抱きつくのはやめろ……」
再び照れくさそうにする三凰。
802
:
澪「」&露希『』
:2012/04/19(木) 15:47:41 ID:HbHPxpxY
>>801
「ところでさ・・・・・・。ちょっと三凰には言わなきゃいけないことが・・・」
『ボクの瞳に何かしたんだよね、三凰君?今すぐ三凰君に瞳と同じ痛みを味あわせようか?』ニコニコ
突如現れる少女は片手に剣を持ち、三凰の衿元を掴む。
「あー・・・」
唖然とする澪。
803
:
宝玉院 三凰
:2012/04/19(木) 16:42:50 ID:SmXQZqJk
>>802
「き、貴様は!いつの間に!?」
一瞬驚くがすぐに冷静になり。
「ええい、離せ!奴には戦況を不利にされた責任を取らせただけだ。それに、僕が奴の精気を使って切り抜けなければ瞳も死んでいたんだぞ?」
そう言うと、無理やり衿元をつかんだ手を払い、続けて言った。
「それにだ、僕は気を失い傷ついた奴を屋敷まで運んで手当てまでしたんだぞ?感謝こそされても、恨まれる筋合いはない!」
804
:
名無しさん
:2012/04/19(木) 16:58:29 ID:HbHPxpxY
>>803
『それは感謝致します・・・。だけど・・・貴方は何も分かってない・・・・・・。
瞳はホントに・・・可愛そうなんだよ・・・・・・。
なんで皆は瞳を分かってくれないの?瞳は誰よりも優しくて強くて、なのにいつも不幸ばかり・・・。』
へなへなと座り込み、剣を地に指すと、悲しげな表情を見せる。
805
:
宝玉院 三凰
:2012/04/19(木) 17:15:52 ID:SmXQZqJk
>>804
「優しい?甘いの間違いだろう?あいつは、人間を助けたいなんて甘い理想を掲げて、より多くの犠牲を出しそうになったんだ。」
ハァ、とため息をつく三凰。
「……だが、強いというのには同意だ。あいつの言い方で言えば、絆の力か?まさか、そんなものが強さになるなんてな。少し前まで信じられなかった。まぁ、不安定な強さだがな。」
その後、呟くように言う。
「ある意味、あの“甘さ”も“強さ”なのかもしれないな……」
806
:
露希『』&澪「」
:2012/04/19(木) 17:24:33 ID:HbHPxpxY
>>805
「三凰、ちょっと言い過ぎじゃ・・・『レイピアを持て、三凰君。絆の力、見せてあげるよ・・・!』」
ガチャリと剣を構えた。
瞳は強いのだ、ただ上手く力が出せなかっただけなのだ。
三凰に、きちんと分からせる為にも、今の露希は本気だ。
807
:
宝玉院 三凰
:2012/04/19(木) 17:34:01 ID:SmXQZqJk
>>806
「フン、やる気か?いいだろう。」
そう言うと、レイピアを構えだす。
「来い!」
808
:
名無しさん
:2012/04/19(木) 17:43:35 ID:HbHPxpxY
>>807
『・・・・・・(瞳・・・白龍・・・ボクに力を・・・。)』
剣先が三凰の喉にむく。
同時に退魔のオーラと神々しいオーラが露希を纏う。
それは、大切だと思う者の力をそのまま使うことの出来る隠された力。
809
:
宝玉院 三凰
:2012/04/19(木) 17:51:36 ID:SmXQZqJk
>>808
「これは……あいつの…!?」
とっさに後ろにバックステップ。そのまま地面を蹴り、飛び上がる。そして、空中で蝙蝠の姿になった。
「ちっ…あまり精気は使いたくないが、まぁいい……サウザンド・レイピア!」
そのまま空中で無数の光のレイピアを放った。
810
:
名無しさん
:2012/04/19(木) 17:59:51 ID:HbHPxpxY
>>809
『こんなの効かないよっ!!』
距離を置くどころか、レイピアを弾きながら走り出し、そのまま翼で飛ぶ。
『これは瞳の痛みの分だぁぁぁ!!』
白いオーラと退魔のオーラが混ざり、レーザーの様にあちこちに散らばる
811
:
三凰「」&飛葉『』
:2012/04/19(木) 18:22:30 ID:SmXQZqJk
>>810
「ぐっ……!」
素早い三凰でも、広範囲に散らばるオーラは避けられなかった。レーザー状のオーラは三凰の羽に無数の穴を空けていく。
「くっ!まだだっ!」
そのまま、地上に降り人間の姿に戻るがまだ諦めない様子だ。
『おやめください!!』
そこへ飛葉の制止の声が聞こえる。
812
:
名無しさん
:2012/04/19(木) 18:28:48 ID:HbHPxpxY
>>811
『・・・・・・。』
「飛葉さんっ!!どうしてここへ!?」
制止が入ると、露希は直ぐさま攻撃を辞めて降り立つ。
澪は飛葉がタイミングよく現れた為、少し嬉しそうだ。
813
:
三凰「」&飛葉『』
:2012/04/19(木) 18:49:20 ID:SmXQZqJk
>>812
「飛葉!なぜ止めた!」
『申し訳ありません。』
三凰を無視し、露希に頭を下げる飛葉。
「おい!飛葉!どうして謝るんだ!?」
『瞳さんには、後で謝っておきます。』
「おい!」
怒り、飛葉に掴みかかる三凰。
『三凰坊ちゃま。瞳さんの気持ちも考えてあげてください。』
「………」
そんな三凰に優しく語りかける飛葉。
814
:
名無しさん
:2012/04/19(木) 19:04:57 ID:HbHPxpxY
>>813
「三凰、落ち着いて・・・。」
三凰を宥めつつ、露希を見つめる。
「(あの力は一体・・・。)」
『いえ、こちらの方こそやり過ぎました・・・。ただ、瞳を悪く言われるのは悔しくて・・・・・・。』
815
:
三凰「」&飛葉『』
:2012/04/19(木) 19:58:23 ID:SmXQZqJk
>>814
『本当に申し訳ありませんでした。』
もう一度頭を下げ、三凰に向き直る飛葉。
「飛葉!」
『三凰坊ちゃま。お話は、後にしましょう。私は屋敷に戻りますので――それでは、失礼致します。』
最後にそう言い、再び頭を下げ飛葉は帰って行ってしまった。
816
:
名無しさん
:2012/04/19(木) 20:04:39 ID:HbHPxpxY
>>815
『・・・・・・瞳、ごめんね・・・。』
露希は一言呟くと、森の奥へと行ってしまう。
「さ、三凰・・・。飛葉さん怒ってたよ?大丈夫なの?」
817
:
宝玉院 三凰
:2012/04/19(木) 20:18:08 ID:SmXQZqJk
>>816
「はぁ……面倒だな。こんなことなら、奴に一言謝っておくべきだったか……
ああ、飛葉か……大丈夫だろう。多分……」
心底面倒臭そうな顔をし言う。
818
:
名無しさん
:2012/04/19(木) 20:43:17 ID:HbHPxpxY
>>817
「クスッ・・・。僕も謝るからさ、元気出して。」
クスクスと笑っているが、これも澪の気遣いのようだ。
あんまり飛葉さん達に怒られなければ良いのだが・・・。
//区切りがいいのでこの辺りで!絡みありがとうございました!!
819
:
宝玉院 三凰
:2012/04/19(木) 20:48:20 ID:SmXQZqJk
>>818
「ああ、ありがとう澪。」
澪の気遣いがわかったのか、静かに笑い返す三凰だった。
/絡みお疲れ様&ありがとうございましたー
820
:
十夜「」&七郎『』
:2013/03/21(木) 18:33:08 ID:YyssZM8U
「ごめんねーお腹へってるよね。」
キャットフードを持った少年が一人。その肩には一匹の狐が乗っている。
「母さんが動物嫌いだからさ。家じゃ飼えないんだ…」
『俺の姿、十夜の母さんに見えなくて良かったぜ。』
少年は茂みをかき分け何かに話しかける。
『よぅ。お前が十夜が助けたっていう猫か?』
何かの正体は以前、十夜が山で助けた猫だった。
821
:
現人
:2013/03/21(木) 18:46:30 ID:rRrCSwK.
>>820
よぅ猫か・・・可愛いな
【気配が妙に薄い帽子を目が隠れるように被った青年が話しかけてきた】
822
:
十夜「」&七郎『』
:2013/03/21(木) 18:56:26 ID:LO9SDJ8E
>>821
「猫かわいいですよね〜って、いつからそこに!?」
不意に話しかけられて驚き、キャットフードをこぼしてしまう。
『うおっ!?誰だ?人間か?』
七郎の方も驚いたようで声をあげる。
猫は気にせずこぼれたキャットフードを食べ始めたが。
823
:
現人
:2013/03/21(木) 19:01:49 ID:rRrCSwK.
>>822
さっきから、だな
俺は現人
一応神に分類される
824
:
十夜「」&七郎『』
:2013/03/21(木) 19:14:48 ID:NAEOt39w
>>823
「ええっ!?神様!?」
『神がこんなとこで猫見てていいのか?』
神と聞き驚く十夜と呆れたような表情の七郎。
825
:
現人
:2013/03/21(木) 19:23:36 ID:rRrCSwK.
>>824
別に神だからといって大層な使命があるわけじゃ無いしな猫見て和んだりもするさ
【笑いながらさらりと言う】
826
:
現人
:2013/03/21(木) 19:24:45 ID:rRrCSwK.
>>824
827
:
十夜「」&七郎『』
:2013/03/21(木) 19:34:01 ID:.DJOudfo
>>825
「猫、お好きなんですね。あの、それならちょっとお願いがあるんですけど……」
『おいおい、十夜。相手は一応神だぞ。』
そう言われ、七郎の方を向く十夜。
「わかってるよ、七郎。だけど、この神様なら信頼できそうだから。」
『そうか…確かにそうだな。』
そう言うと十夜は現神の方へ向き直り
「この猫の飼い主になってくれませんか?僕の家じゃ飼えなくて…」
猫を抱き抱え頼み込む。
828
:
現人
:2013/03/21(木) 19:39:27 ID:rRrCSwK.
>>827
あぁいいぞ
猫は俺も好きだしな
【あっさりと了承してのける】
829
:
十夜「」&七郎『』
:2013/03/21(木) 19:57:26 ID:9jQuEDUk
>>828
「ありがとうございます!」
『良かったな、十夜。』
嬉しそうな十夜と七郎。猫も心なしか嬉しそうだ。
『そうだ。疑ってるとかそういうわけじゃねぇけど、一応アンタの名前と何の神様だか教えてくれねぇか?おっと、先に名乗るのが礼儀か。俺は七郎。管狐だ。』
「僕は、稲山十夜です。ちょっと霊感が強いだけのただの人間です。」
830
:
現人
:2013/03/21(木) 20:00:03 ID:rRrCSwK.
>>829
現人って名乗ったろ
俺は福の神
座敷わらしだ
831
:
十夜「」&七郎『』
:2013/03/21(木) 20:09:08 ID:.DJOudfo
>>830
『と、悪いそうだったな。』
「座敷わらしって神様だったんだ。」
『十夜よりでかいな…わらしって子供って意味だよな?座敷わらしも成長すんのか?』
と、七郎は疑問符を浮かべる。
832
:
現人
:2013/03/21(木) 20:12:28 ID:rRrCSwK.
>>831
あぁ妖怪扱いされがちだがな
二つの姿を使い分けてるだけだ
ガキの姿にもなれる
833
:
十夜「」&七郎『』
:2013/03/21(木) 20:22:11 ID:688sPXm.
>>832
『使い分けられるのか。なるほどな。』
「でも、よく考えたら座敷わらしが妖怪扱いっておかしいかも」
『確かにな、人々の座敷わらしに対する感情は妖怪に対するものってより神様に対するものだもんな。
そういや、わらし神社だとかいうものもあったな。アンタも神社とか持ってるのか?』
再び質問する七郎。その後に質問ばかりで悪いなと付け足す。
834
:
現人
:2013/03/21(木) 20:30:22 ID:rRrCSwK.
>>833
昔はあったが今は無い
力もほとんど失ってる落ちぶれた神だよ笑いたければ笑っていいぞ
【唐突にネガティブ発言
835
:
十夜「」&七郎『』
:2013/03/21(木) 20:43:25 ID:/k0TEt7E
>>834
『わ、悪い……余計なこと聞いちまったな。けど、笑えるわけねぇよ。それをいったら俺だって落ちぶれた管狐だ。いや、調子に乗って痛い目みた俺なんかと一緒にしちゃ失礼だな。』
「し、七郎…現人さんも……この話はやめましょうよ。」
十夜が慌ててネガティブな雰囲気を払おうとする。
836
:
現人
:2013/03/21(木) 20:49:59 ID:rRrCSwK.
>>835
ま、そうだな
暗い事考えてても仕方ねぇ
【あっさり明るく戻る】
837
:
十夜「」&七郎『』
:2013/03/21(木) 21:09:06 ID:sT8J179Y
>>836
「そうですよ!前を向いていなきゃ、って僕もあんまり前向きって訳じゃないんですけど…」
『そうか?十夜は昔と比べたら随分と前向きになったと思うけどな。お前は間違いなく成長してるよ。』
「あ、ありがとう七郎。
あと、現人さん。その、僕になにかできることがあったら言ってください。僕なんかにできることがあるかわからないけど……現人さんには猫の恩もありますから。」
と言って、連絡先の携帯番号を書いた紙を差し出す十夜。
『十夜が協力するってんなら俺も協力するしかないな。こう見えて俺は顔は広い方だと思ってるし、知り合いをあたれば神格持ちから何か聞けるかも知れねぇからな。』
「それじゃ、僕達はそろそろ。今日は本当にありがとうございました!」
『俺からもサンキューな。』
「また、いつか会いましょう。」
十夜は一礼をし、その場を後にした。
838
:
現人
:2013/03/21(木) 21:16:00 ID:rRrCSwK.
>>837
ま、暗く考えてても何も変わらねぇ
前向きがなによりだ
【最初にネガティブ発言したくせに】
839
:
現人
:2013/03/21(木) 21:30:16 ID:rRrCSwK.
>>838
【追記】
ま、困った事があればよね
相談させて貰う
蘇んときは頼む
んじゃ、俺も帰るぁとするか、じゃあな
【と猫を担いだ】
840
:
黒龍
:2013/04/15(月) 19:55:31 ID:I2jsHmG2
『〜♪』
公園のベンチに腰掛け、ゲームなうな男が一人。
『ストレス解消にはやっぱりゲームだよなっ!』
なーんて独り言ではしゃいでいる。
841
:
叡肖
:2013/04/19(金) 22:30:21 ID:KqdtOXDk
>>840
一見してスーツ姿の人間に見えるように化けた衣蛸が、
ボトル缶コーヒーを左手に下げ眉間に皺を寄せてスマホの画面をにらみながら
遊歩道を歩いてきてベンチのほうをちらりと見た。
「君に溜まるようなストレスがあるとは見えないが」
ゲームに興じている先客に一言そう言うと、衣蛸はベンチの隣にどさりと座り
ボトルキャップを空けてぐいと一飲みした。
ポケットにスマホを突っ込む仕草や足の投げ出し方は幾分ぞんざいで、
火傷跡の残る頬にも皮肉げに歪んだ口元にも
どこか余裕の無さが伺えるかもしれない。
842
:
黒龍
:2013/04/20(土) 13:32:28 ID:c9OJMFg6
>>841
『なっ!んなことないよー!?w
ほら?露希たちの保護者変わりしてるわけだし、家事とか色々と・・・』
ニートと思われがちなオタもやることはやっているらしい。
軽く笑い飛ばしゲームをしまうと、ご機嫌斜めな蛸さんにニヤニヤしながら話しかける。
『そういうアンタはどうなん??
見るからにストレスたまってますよーって感じで。もっと笑って笑ってw』
くいっとほっぺを摘む。
843
:
叡肖
:2013/04/20(土) 18:46:40 ID:KqdtOXDk
>>842
火傷の治りたての頬を引っ張られる痛みに一瞬叡肖の眉間の皺が深くなったが
それは直ぐに好戦的な表情にとって変わり、
「ほー、君はこうすると笑えるのか?」
ベンチの端に飲みかけのコーヒーボトルを置くと、
衣蛸は空いた手で黒龍の頬っぺたを摘み、少しばかり力を込めて引っ張り返す。
「こうしたらもっと笑えるかね?んー?」
さらにぬるりとした光を歪な瞳に浮かべ
ジャケットの裾から人の手に変えた3本目の触腕を出して、その指先で服の上から
黒龍のわき腹をくすぐりにかかる。
この卑怯な蛸は使える手なら全部を使う上に、例え遊びでも手加減する気はないらしい。
(糞坊ちゃんには使えた手だが、同じ眷属のコイツにはさて、どうだかね?)
教育係として巴津火を懲らしめる際は、拳骨よりも時として
泣くまで擽り倒すほうが効き目があったのだが…果たして黒龍にはどうだろうか。
844
:
黒龍
:2013/04/20(土) 18:58:44 ID:c9OJMFg6
>>843
『んにゅ!?にゃにすんだぁw』
不意に掴まれぐにぐにと引っ張られる。
するとすぐに新しい攻撃が!!
『なっ、なななっ!?そこだめー!!ちょ、やめてーw』
地面に倒れこみ助けを請う黒龍w
止めないと涙で水たまりできちゃう!鬼畜さんやめてー!
『ごめん、マジ!!悪気はなかったってwひゃははぁw』
845
:
叡肖
:2013/04/20(土) 20:11:36 ID:KqdtOXDk
>>844
「何って、笑わせてあげようとしてるだけだ。お兄さんってば親切だろぉー?」
ベンチの振動で倒れないうちにと、4本目の手でコーヒーボトルをキープしながら
涼しい顔の蛸はしれっと返答する。
もちろんその間も黒龍を擽り続けていて、水溜りはベンチの下で広がりつつあった。
「いやー、糞坊ちゃんのお守りだけでも厄介なのに、最近海のうるさい爺どもの口が肥えてきやがってなー。
送った陸の物じゃ満足しなくなったり、がめつい骨女が牡丹灯篭のレンタル料を
引き上げてきたところに金価格の暴落と来たもんだ。
仕事忙しい上に人間界の金が思ったほど入らなくなったもんで
このところお兄さんあまり夜に遊べなくってねー。溜まってんのよ色々と」
軽い口調で楽しそうにそんな愚痴をこぼしつつ、
わき腹、背中、首筋、耳からつむじに至るまで満遍なく擽りあげてから、ようやく黒龍を開放した。
(そろそろまた、沈没船の積荷を目立たないように捌くしかないか…)
蛸の祖父にも人間にも見つからない方法を思案できるようになる程度には、
黒龍いじりもストレス解消になったらしい。
846
:
黒龍
:2013/04/20(土) 21:26:40 ID:c9OJMFg6
『はぁはぁ・・・俺はストレスないから無理に笑わなくていいの!!
・・・え?俺、ストレス無かったの!!?』ガビーン
自爆しちゃったよこいつ!
はだけた服に付いた砂埃を落としつつ、よいしょとベンチに腰掛ける。
『このところ不景気だしなぁ・・・
そっか、女とイチャイチャしたいんだな?だな?ならメイド喫茶の無料招待券あるぞー?w』
ドーン!
なんかやばいの出してきたー!!
しかもこのメイド喫茶・・・あからさまにノワールの住所!
847
:
叡肖
:2013/04/27(土) 01:29:08 ID:KqdtOXDk
>>846
どう見ても溜まってるようには見えなかったので、黒龍の自爆に突っ込むのも野暮だろう。
そう判断して華麗にスルーした叡肖は、コーヒーを一口味わった。
「メイド?女中ならばもう間に合ってる」
使用人を雇ってるとメイドさんに夢は見ないらしい。
余分な手はジャケットの中へと引っ込めつつ、黒龍の差し出す「無料招待券」の
見覚えのある住所に蛸はひょいと片方の眉をあげる。
「この店…メイド姿の君にかしづかれるって趣向かな?」
幾分の呆れを滲ませた声音でそう尋ね、目を細めた。
どうやらこの蛸を上手く釣りあげるにはメイド喫茶では餌不足のようだ。
もっと何か重要なもの、例えば零の握っている情報などが良いかもしれない。
848
:
黒龍
:2013/04/27(土) 21:23:08 ID:AQ9upFgI
>>847
ぞぞぞーっと鳥肌が!
『俺はメイドにならんっ!』
と吐き捨て、奪い返す。
何か釣れそうなことはないかと思考を巡らせ、むむーっと顔をしかめる、
不意にポンッと豆電球。
ちょっぴり真面目な顔つきになって問い掛ける。
『白龍のことなんだけど・・・最近アイツと会った?』
849
:
叡肖
:2013/05/01(水) 21:05:22 ID:KqdtOXDk
>>848
「白龍?」
ああ、目の前の相手の片割れで、なかなかの容姿の女性。
「いや。最近は会っていないが」
記憶の中から白龍のイメージを引っ張り出した衣蛸は
奪い取られる招待券を気にもせず、むしろ幾分表情が和らいだ。
いい女の話題であれば機嫌が良くなる、スケベ心のなせる業である。
「君が殊更言うってことは、何かあるんだな?」
ボトルコーヒー越しにじっくりと相手の表情を探りながら、黒龍に先を促した。
850
:
黒龍
:2013/05/02(木) 18:36:23 ID:VZ/Ab6Lk
>>849
『まぁ、な・・・』
自分で振った話題だが、いざ話すとなるとその深刻さ故に表情が強ばる。
その顔をあまり見せないためか不意に空を眺めて口を開く。
『・・・あいつさ、今色々とした問題に巻き込まれててな。俺らに迷惑かけないようにっていなくなっちゃったんだよ。それから姿を現さない。水に関係するアンタなら知ってると思って聞いたんだよ。』
851
:
叡肖
:2013/05/03(金) 23:07:21 ID:KqdtOXDk
>>850
「知らんな」
衣蛸はあっさり答えて興味を失ったように視線を逸らす。
が、しばしの間の後、黒龍を気の毒に思ったのか思い直したように言葉を紡ぎ
「龍族ってのは大概が無駄に気位が高い。神格クラスなら尚のことな。
悩み事があっても相談なんてしないし、出来る状況であってもまずしやがらない」
(それが龍の誇り高さだの高貴さだの言う輩もいるが、俺に言わせりゃ単に意地っ張りでガキっぽいだけだ)
黒龍の手前、思ったことのすべてを口にはせず
「彼女が一人で行動して大丈夫と判断したのなら、そうなんだろう。
俺が水の中を探ることも出来なくはないが、白龍が何か言ってくるまでは
そっとしておいてやるのが一番いいと俺は思うね」
状況がわからないのに周囲が下手に嗅ぎまわっても
かえって白龍に不利になりかねないぞ、と黒龍に釘をさした。
852
:
黒龍
:2013/05/04(土) 00:17:46 ID:onjQNA6U
>>851
(悩み事、くらいで済むならどんなに楽か・・・もうホントはどうしようもないんだけどなぁ・・・
てか俺、この人に本当のこといっていいのかな。)
『ハハ・・・そ、そうだよな!逆に俺が心配したらシスコンとかってキモがられるしな!w』
助けてくれと頼みたい。
本当に誰でもいい、白龍を救ってくれるならどんなやつでも。
でもそれが言えない。
龍族のプライド、なのかもしれない。
853
:
黒龍
:2013/05/04(土) 00:18:34 ID:onjQNA6U
>>851
(悩み事、くらいで済むならどんなに楽か・・・もうホントはどうしようもないんだけどなぁ・・・
てか俺、この人に本当のこといっていいのかな。)
『ハハ・・・そ、そうだよな!逆に俺が心配したらシスコンとかってキモがられるしな!w』
助けてくれと頼みたい。
本当に誰でもいい、白龍を救ってくれるならどんなやつでも。
でもそれが言えない。
龍族のプライド、なのかもしれない。
854
:
叡肖
:2013/05/07(火) 20:39:33 ID:KqdtOXDk
>>853
黒龍の様子に、衣蛸が薄く笑うように目を細める。
「シスコン呼ばわりが嫌ってのは、いかにも龍らしい言い草か」
思案するように口元にやったその手には、いつの間にやら細い筆が握られており
ぺろりと舐められた筆先が黒龍の顔をまっすぐ指した。
「…いっそ認めちまえば楽になるかもしれんよ」
嫌な薄笑いとともに素早く筆を動かして、叡肖は黒龍の口の左端に『本音』と書こうとした。
書かれても墨が乾く前にこすってしまうか、水で洗ってしまえば文字は消えるのだが、
読める状態で残っているうちは、黒龍が何かを喋る度に本音も少しばかり漏れてしまう。
855
:
黒龍
:2013/05/07(火) 23:51:06 ID:dxdU.R3I
>>854
筆で書かれた瞬間、直ぐに何をされたのか理解した。
もう心の中は読まれてるのか、と軽く溜め息を付き一言。
『ありがとう・・・な。ホントはもうなんでもいいんだよ、俺は。
ただ、あいつが・・・白龍が無事なは・・・助けてくれ・・・』
856
:
叡肖
:2013/05/11(土) 03:19:33 ID:KqdtOXDk
>>855
「俺が安く引き受けると思うのか?もっとマシな伝手もあるだろ」
零や露希に頼むことも出来るだろうに、水がらみというだけで持ってこられても、
この海の文官は自分の利益にならないと判断すれば動かない。
冷たく突き放したような表情のまま、うっすらと口角が上がり
「そうだな、報酬は白龍ちゃんで支払ってもらうか」
そういうと黒龍を横目に、くいっと残りのコーヒーを飲み干した。
857
:
黒龍
:2013/05/11(土) 11:06:11 ID:LLyX271.
>>856
『なるべく力がある奴じゃないと頼めなくて・・・俺の知り合い、そんなに力がある奴居ないからな。
下手に弱い奴がでるところで殺されるだけだ。』
冷静な判断の元、頼んだものだ。
七郎や夕などては危険過ぎて連れて行けない。
『零は夜行集団に頼みに行くと思う、それだけ相手は強い。
・・じゃあデートとかでいいか?もし白龍が助かったらデートしていいぞw』
858
:
叡肖
:2013/05/15(水) 05:51:54 ID:KqdtOXDk
>>857
「力ねぇ。それなら俺はお呼びじゃない。
だってほら、お兄さんただの文官だしー?荒事は向いてないしー?」
と、空のコーヒーボトルを手の中で弄びつつ叡肖はわざと茶化してみせる。
そんな黒龍の真剣な気持ちを逆撫でするような言動をころりと一変させると
「夜行集団が表に立つのなら最適だろうな。
例え神格がらみの話になっても、彼らなら立場的に不味いことにはならないだろう」
と、少々まじめくさって思案をしてみせ、
「デートはいらんね。
もし白龍ちゃんが絵のモデル勤めてくれるんなら、お兄さんは裏から協力しよう」
人のよさそうな笑みを口元にだけ作って、衣蛸は黒龍を試すようにその顔をじっと覗き込んだ。
859
:
黒龍
:2013/05/24(金) 00:40:48 ID:d9GCXhf6
>>858
『確かに夜行は強いし、信頼できる奴らばかり。それでも勝てるかどうか・・・
アンタがダメなら子蛇ちゃん連れてくから。
(・・・絵のモデル!?なに、アイツ、そんなに男にモテんの!?ガーン)』
ベンチから立ち上がると、少し楽になったような表情をみせ、じゃあまた、と一言。
そしてその場を後にした。
860
:
現人
:2013/06/07(金) 19:28:54 ID:rRrCSwK.
【草原】
ふーんふふーん♪
【鼻歌歌いながら目が完全に隠れるほど深く帽子を被った青年が歩いている】
861
:
黒龍
:2013/06/07(金) 19:33:07 ID:y0n1DJhg
>>860
『疲れた・・・オトゲー未だに慣れないんだよなぁ・・・』
どうやらゲーセン帰りの様子。
『お?あれは・・・』
862
:
現人
:2013/06/07(金) 19:36:41 ID:rRrCSwK.
>>861
ん?いよう
【軽く手を上げ挨拶】
863
:
黒龍
:2013/06/07(金) 19:45:23 ID:y0n1DJhg
>>862
『現人!久しぶりだなあ!』
さっそくハグ!
スキンシップ好きだぞー!
864
:
現人
:2013/06/07(金) 19:52:50 ID:rRrCSwK.
>>863
おう、黒龍久しぶり
【ハグしかえし】
865
:
黒龍
:2013/06/07(金) 19:55:55 ID:y0n1DJhg
>>864
『んでこの帽子の下はなんなんだ!?』
ひっぺがそうと掴んでみる。
はずれるのか!?
866
:
現人
:2013/06/07(金) 19:58:44 ID:rRrCSwK.
>>865
何もねぇよ
【張り付いたように取れない】
867
:
黒龍
:2013/06/07(金) 20:09:35 ID:y0n1DJhg
>>866
『なあ、魔法使ったら剥がせるか?』ワクワク
すっごい気になる!
868
:
現人
:2013/06/07(金) 20:20:07 ID:???
>>867
俺の知り合いの神が張り付けてるからな
そう簡単には取れないぞ【なん・・・だと…】
869
:
黒龍
:2013/06/07(金) 20:27:52 ID:y0n1DJhg
>>868
『神格持ちかw
ん?現人も持ってたんだよな?
それにしてはヒッキーとかオタクに見えるぞ!?ww』
少なくともゲーマーなコイツには言われたくないであろう。
870
:
現人
:2013/06/07(金) 20:33:02 ID:rRrCSwK.
>>869
まぁ、一応俺も神格持ちだな
【あっさり同意した】
871
:
黒龍
:2013/06/07(金) 20:51:19 ID:y0n1DJhg
>>870
『でもさーマジで気になるんだけど。なんでそーなったん?』
知り合いにされたと言っていたがなにかやらかしたんだろうか?
872
:
現人
:2013/06/07(金) 20:58:03 ID:rRrCSwK.
>>871
色々複雑な事情があるんだよ
【少し表情を暗くして】
あ、すまん、用事があるんでそろそろ失礼する
【手を振り去っていった】
手を振り去っていった
873
:
黒龍
:2013/06/07(金) 21:01:28 ID:y0n1DJhg
>>872
『悩みなら聞くぜ?お、そうか・・・またな!』
手を振り替えし草原を後にした
874
:
叡肖
:2013/06/08(土) 05:08:25 ID:KqdtOXDk
>>859
「巴津火を呼ぶつもりか?」
黒龍と対照的に眉根を寄せて、幾分渋い表情になり
「・・・・・・」
やめておけ、と言おうとしたが思い直して口を噤むと、肩をすくめ
「・・・俺が言っても仕方ないか」
なぜか気乗りのしない様子で立ち上がり、承諾のしるしに頷くと黒龍の去った方向とは
別のほうへと歩き出していった。
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