したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【不倫じゃなく】エルトシャン×エスリン【純愛だよ】

3うさんくさい名無し:2010/04/06(火) 16:03:05 ID:AWHY.H.M0
エスリンのまるい額に唇を這わせる。唇の先の膚は、熱い。暗闇で紅潮する頬は見えなくとも、呼吸や、鼓動や、膚の熱さから、触れる指先の冷たさから、エスリンの緊張が伝わってくる。

 胸の底が、ざわついた。聞き分け悪く、暴れ出そうとしていた。彼女の優しい膨らみが胸に触れ、その衝動はさらに強くなる。



エスリンがエスリンでなければ。シアルフィの公女でなければ。シグルドの妹でなければ。キュアンの想い人でなければ。

いっそ、このまま……



『エルトシャン様……』



耳朶に触れる吐息の熱さに忍ばせて、エスリンが囁く。声を潜めているせいか、ささやきは熱っぽく、いつもに増して甘く聴こえた。

桟敷の闇の奥で、追われる罪人のように声を潜めた、吐息のような囁き。

頬を押し当て、細い腕を首に回して絡める。いつもの愛くるしいエスリンとは違う、情熱的な艶めいた仕草に、息苦しいほどの切なさを覚える。



離さなくてはいけない。

エルトシャンは、キュアンの提案を撥ねつけた。それは、つまりこの少女を諦めなければならないということだ。

自分の妹の幸せの為に、親友の妹の……自分の恋人のあどけない恋を毟り取っていくのだ。これ以上、彼女を愛してはいけないし、彼女から愛されることもエルトシャンには許されない。

冷たく拒絶して、身勝手な、酷薄な男として振舞わなければならない。彼女が新しい恋に気づくために、彼女を真実の愛情で包み込んでくれる相手に気づくために、エルトシャンは軽蔑され、憎まれなくてはならない。

このあまりにも愛しく、魅力的なものを、腕の中から引き剥がさなくてはいけない。

なのに、乙女の初々しさと女の妖しさの混在するバランスの悪さは、あまりにも男の心を揺さぶりすぎる。



理性は警鐘を鳴らすのに、体が従おうとしない。エルトシャンは、エスリンの顔に口づけの雨を降らせる。その丸み、柔らかさ、温かさを、唇で思い出せるように。



『エルトシャン様……』



桟敷のカーテンの陰に、逃げるように身を隠した。二人、永遠にこの陰の中にいられればと願った。

エルトシャンは、紅を刷いてなお瑞々しい唇に、そっと唇を重ねた。彼女の吐息を盗むように。
触れ合った胸の奥で、エスリンの心臓がどきんと跳ねた。そのあどけなさに抗うかのように、一途な腕がエルトシャンをぎゅっと抱き締めた。

『エスリンを、抱いてくださいませ』


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板