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【見るのは】ヤバイ物置き場、(18禁?)【自己責任】

196リーチ一発駄コテさん:2006/05/17(水) 00:04:19
 「うわっ。乙女心が傷つくなぁ、なんて張り合いのない反応!」
 彼女はその返事にいたく傷ついた様に、口を尖らせて怒る。拗ねる。涙声
は途中で引っ込めたようだ。器用な生き物だ、とダガーは思う。
「だってそれ嘘だし。部長嘘つきだからなぁ」
 だから、ことさらにあっさりと切り返す。
「そりゃぁ、一人暮らしで女の子でライターだもん。つくよぉ。お仕事で嘘
つくしお仕事貰うために嘘つくし笑うために嘘つくし泣くために嘘つくし、
生きるために嘘をつくよ」
「嘘まみれですね」
 口を尖らせた抗議の声のまま続ける彼女。嘘をつくつくと連呼している様
が、滑稽で可愛らしい。――だからダガーにはちっとも笑えない。
 言葉の外側にある茫洋とした広がりを想像する。東京に出て忙しい仕事の
日々を送っているはずの彼女の。
「もちろんだよぉ。だいたい、言葉なんて唇の外に零れた時から本体との接
触を失って嘘の羅列になるのよ。そもそも言葉っていうモノは真実のために
あるんじゃなくて、嘘のためにあるのっ」
 話しているうちに自分の言葉に乗せられてきたのか、彼女の声にだんだん
と力がもどってくる。話しているうちにもどんどん表情を変えて行く彼女の
声は、ある意味鮮やかで。ダガーはいつもそれに感心するような苦笑するよ
うな気持ちを持ってしまう。
「言い切りましたね」
「言い切るよ。言い切りまくりですよ」
 無駄に自信を持って断言する様子が子供っぽい。
「でも」
 でも。
「でも、だから。わたしは、真実に見えても結局は嘘でしかないのなら、誰
かが何かを支払ってでも手に入れたいと望むような……。そんな物語[うそ]
を書[つ]きたいな」
 彼女はつぶやくように声の調子を落とす。それはまるでダガーというより
も、自分自身に向かって告げるような。電話を通してささやかれた独り言。


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