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民明書房〜FF編

251(・ω・):2004/11/13(土) 07:44 ID:PWKVa.so
「寝戦地」

 時は戦国。この時代に兵の訓練方法として一部で採用されたのが、兵闘である。
 兵闘は、実戦形式の模擬戦であるが、剛勇と知られる武将を、一人が注意を引きつけ、
背後から弓矢などで討ち取ることを、想定している点が特徴的である。

 あるとき、一人の内藤弘道という武将が、引きつけ役を命じられた。通常は、大きな声で敵将を
罵倒し、あるいは雄叫びを上げるなどして、注意をひきつけるものであるが、内藤は生まれつき、
声が小さかった。
 そこで彼は敵将を引きつける為、訓練の相手の眼前でいきなり、寝て見せたのだ。訓練相手は、
訓練であるとわかりながら、その態度に激昂し、彼に向かっていき、この策は大成功と思われた。

 ところが、いざ戦になってみると、目標とする敵将以外の怒りも買ってしまい、内藤は、
あっという間に殺されてしまった。
 もちろん、鎧の下に鎖帷子をさらに着込むなどして、多少の攻撃には耐えるよう備えていたが、
役には立つわけもなかった。

 これを見た味方は、戦の後に兵闘の注意書に一文を付け加えた。
 「寝戦地、是死也」(せんちねる、これしなり)

 なお、この兵闘(へいとう)の有様が、遠く英語のHate(人を嫌う意)の語源となったわけ
ではないことは、賢明なる読者の推察するとおりである。

 曙蓬莱新聞社刊 「布団がふっとんでも」 第三章 死ぬまで寝よう から抜粋


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