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【思いを】日記スレ【綴れ】

515随筆「ルシアン」第八段:2005/05/25(水) 23:10:38 ID:MxHInNTQ
遺跡

セルバス平原のワープポイントへ降り立った。
目の前に広がる景色は既に平原という印象薄く、遠くに望める白い砂と青く透き通った水は、
あたかもそれまでの深い緑に覆われた平原とは別世界であることを示しているようである。
優雅な海岸散策は魅力的だが、残念なことに今回の目的は反対側の深緑の奥にあるのだ。

一歩踏み出すと道の両脇に延々と木々が生い茂っており、それはおよそ平原とは呼べず、むしろ森というに相応しかった。
さっと走り去りたいところだが、木の陰草の陰から大量に巣くっているモンスターたちがちょっかいを出す度に、
我がルシアンは未練がましく後ろを向いてはなかなか前へ進んでくれない。
うっとうしく感じつつもしばらく走っていくときふと思いつくことがあったので、道も半ばで一旦休憩をとることにした。
再び画面を見たときに群がるザコどもを範囲攻撃で一掃してやろうなどと、
黒い野望を秘めつつ席を立った足どりは軽い。

西側のフリマこそある程度の賑わいを見せているが、
住民の排他的な性格と施設の少なさがネックとなっているのだろうか、東側にはほとんど人影が見られない。
ワープポイントの登録を終えてから改めて中央の復活エリア近くに腰を下ろしたときに気がついたが、
クラドは他の街に比べ障害物のない空間が多く、街全体も秋を連想させるような落ち着いた色調に包まれた、
それはまさに憩いの場所といえるところだろう。
しかし安らげるはずの場所に人の姿が見られないのは、
人々が憩うことを求めていないからなのかと思うと少し寂しい気持ちになった。
賑わいのない秋からは、哀愁の二文字が感じられるようである。

クラドの近くにはもうひとつひっそりと翳りの横たわる場所があった。
クラドフリマを抜けて出るセルバス平原を、いくらか奥へと進んだところにふたつほど橋が架かっている。
実際に当時の様子を見たわけではないのだが、
聞いた話によればここが前に書いたような"ふれあいの起源"である者が少なからずいるようだ。
人が人を呼んで、やがて橋に集まった人々がその橋を「カニボレの橋」と呼ぶようになったかどうかは定かではないが、
それこそMMOならではの現象であり感動であるように思う。

遺跡。
水と木々と0006:Take a step fowardと、その橋だけは当時とはなにも変わらないのだろう。




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