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[SS]壊れた大学生の追憶

1ハイドンピー (ワッチョイ 9602-6259):2021/04/10(土) 21:00:23 ID:dTDZPd7A00
7作目です。
これまで同様、世界観は前作までと共通です。
かなり長編になると思いますが、どうかお付き合いください。
よろしくお願いします。

312ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:21:33 ID:KDCwCrrY00

ゲン「気持ちは分かる。皆から頼られ、讃えられるのはすごく気分がいいからな」

ヒーロー「……たしかに…そうだったかもしれない…俺は満たされていたのかもしれない…」

ゲン「それでいいのさ!子供のうちはやりたいようにやればいい!言っただろ?気負いすぎるな。あまり根を詰めすぎるといつかポキッと折れてしまうかもしれない。大人になるまで、いや、大人になってからも、自分の本当にやりたいことなんて分からないもんだ」

ヒーロー「ゲンさんもか?」

ゲン「そうさ!キャプテン・ファルコンの復活なんて本当に俺が望んでいるのか?疑問に思うことはある。誰だってそうさ。それでいいんだ。気楽にいこう」

ヒーロー「気楽にか……ヒーローはそんな簡単な気持ちで名乗っていいものなのか…?いや、違う…ヒーローはもっと気高くなければ…」

ゲン「はっはっは!まあそうやって悩むのもたまにはいいことだ!存分に考えるといい!」

ヒーロー「…ああ…」

ゲン「それじゃあな!程々に頑張れヒーロー!」

バタン

ゲンは家の中に入った。

ヒーロー「…ゲンさんの言っていたことは正しい…この平和な国よりも、紛争地帯や治安の悪い国へ行ったほうがもっと多くの人を救えるだろう…だが…」

ブツブツ言いながらヒーローもパトロールを再開した。

住民「おーい!!ヒーロー!!」

ヒーロー「!!なんだ!?」

住民「橋の下に子供が倒れてるんだ!!来てくれ!!」

ヒーロー「何!?救急車を呼べ!!」

住民「ヒーローが運んだほうが早い!!」

ヒーロー「まったくしょうがないな!!」


ダダダダダダダッ!!


ガシッ!!


ダダダダダダダッ!!


ヒーローは一瞬で倒れていた子供を病院へ運んだ。

313ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:23:03 ID:KDCwCrrY00




少女「…………ん……」

病室のベッドで金髪の少女は目を覚ます。

ヒーロー「目が覚めたか、少女」

少女「!!」

ヒーロー「キミは橋の下で倒れていたんだ」

少女「……」

ヒーロー「なぜあんなところにいたんだ?濡れてなかったから川に溺れたわけでもなさそうだし…」

少女「…あ…」

ヒーロー「…まだ意識が朦朧としてるのか?無理に答えなくても大丈夫だ」

少女「…う…?」

ヒーロー「…もしかして喋れないのか?」

少女「………?」

ヒーロー「言葉が分からないのか…?」

少女「…あ……?」

少女は首を傾げる。

ヒーロー「…参ったな…」

ヒーローは帽子のつばを深くかぶる。

看護師「あ!起きてたんですね!呼んでくださいよ!」

病室に看護師が入ってくる。

ヒーロー「ああ、すまない、忘れていた。でも特に体に悪いところはなかったんだろう?」

看護師「ええ。すぐに退院できるはずです」

ヒーロー「しかし看護師さん、この子言葉が分からないようなんだ」

看護師「えっ!」

少女「あぅ…?」

314ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:24:03 ID:KDCwCrrY00



それから警察を呼び、少女のことを調べたが、情報はなかった。

看護師「とりあえず今夜は病院に泊まってもらいます。ベッドも空いてますし」

ヒーロー「ああ、頼む」

そしてヒーローは病院を後にした。


ヒーロー「さて…今日はもう遅いし帰るとするか」

少女「う…」

ヒーロー「…!?なぜキミがここに…」

振り返ると、少女がマントをつまんで立っていた。

看護師「ま、待って〜!」

ヒーロー「一体どうしたんだ…」

看護師「どうしたもこうしたも、ヒーローくんを追いかけていっちゃって…ほら、戻りますよ」

看護師は少女の手を引くが。

ギュウウゥゥ…!

ヒーロー「うぐっ…て、手を離せ少女!」

少女「…」

少女はマントを掴んで離さない。

看護師「離しなさーい!」

看護師は更に強く手を引っ張る。

ヒーロー「ゔっ…!く、首が締まる…!」

看護師「あ、ごめんなさい!」

ヒーロー「…はぁ…そんなにこのマントが気に入ったのか?仕方ないな。替えはうちにたくさんあるし、貸してやる。病院にいる間だけだぞ」

とヒーローはマントを脱いだ。

少女「…あー…」

少女はしばらくそのマントを見つめると。

ポイッ

ヒーロー「な!?なぜ捨てる!?」

ぎゅっ…

ヒーロー「なぜ俺の手を握る!?」

看護師「…も、もしかしたら、ヒーローくんを親だと思っているのかも…」

ヒーロー「目覚めた時に最初に見たからか!?いやそんな雛鳥じゃあるまいし!」

看護師「でも言葉も分からないんですよ?まるで赤ちゃんみたいです…」

ヒーロー「それは…」

少女「うー…」

少女はうるうるとした目でヒーローの顔を見つめる。

ヒーロー「…くっ!分かった!この子はうちで預かる!」

看護師「ええ!?」

ヒーロー「離れてくれないんじゃあ仕方ない。無理やり引き剥がしても、また抜け出してきてしまうだろう…」

看護師「そうですけど…ヒーローくんのご両親の許可は?」

ヒーロー「大丈夫だ。うちの両親はめちゃくちゃオープンだからな」

という感じで少女はヒーローが連れ帰ることになった。

315ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:24:45 ID:KDCwCrrY00



ヒーロー「少女、ここが俺の家だ」

少女「う…?」

ヒーロー「そうだった。言葉が分からないんだった」

ガチャリ

ヒーロー「ただいま」

ヒー父母「おかえり!」

ヒーロー「さっき病院から電話があったと思うけど、この子が…」

ヒー父「おお!その子が例の少女か!」

ヒー母「きゃー!かわいー!さあ、入って入って!」

ヒーローの両親はすぐに少女を受け入れた。

少女「…?」

ヒーロー「ほら、こっちだよ」

ヒーローに手を引かれ、少女は戸惑いながらも家の中へ入った。

ヒーロー「あっ、こら!靴は脱いで!」

少女「…う…?」

ヒーロー「やれやれ…」

ヒーローは少女の脚を持って、靴を脱がせた。

ヒー母「うふふふ、まるで兄妹ね!」

ヒー父「わっはっは!それにしちゃあ似てなさすぎるだろう!」

ヒー母「ホントね!お人形さんみたいに可愛いからびっくりしちゃったわぁ!」

ヒーロー「うるさいなぁ…」

少女「…?」

こうしてヒーローと少女の共同生活が始まった。

316ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:25:35 ID:KDCwCrrY00




翌日。

ヒーロー「さて、今日もパトロールだ」

少女「あぅー…」

ヒーロー「キミも来るか?」

少女「…?」

ヒーロー「まあ勝手についてくるんだろうけど…」


ヒーローが家を出ると、やはり少女はついてきた。

住民「ん?ヒーロー、どうしたんだその子。迷子か?」

ヒーロー「まあ、そんなところだ」

住民「ここらじゃ見かけない顔だね」

ヒーロー「ああ。だから困っているんだ。警察が調査してくれているし大丈夫だとは思うが…」

住民「そうか…名前はなんて言うんだ?」

ヒーロー「それが分からないんだ。恐らく記憶喪失のようで、言葉も喋れない」

住民「言葉も!?それはかわいそうに…不便だろう…」

少女「むぇぇー…」

少女はヒーローの後ろに隠れた。

住民「あら、隠れちゃった」

ヒーロー「まだ他人が怖いようだ。なぜか俺は懐かれてしまったが…」

住民「ははは、ヒーローの優しさは言葉じゃなくても通じるってことか」

ヒーロー「そんなんじゃないだろう、たぶん…」

317ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:26:10 ID:KDCwCrrY00


住民「おーいヒーロー!!来てくれ!!」

遠くの方から住民が手を振って走ってきた。

ヒーロー「どうした!」

住民「車がガス欠になっちゃって!ガソリンスタンドまで頼むよ!」

ヒーロー「だからそれ俺の仕事じゃないだろう!」


ダダダダダダ…!!


そう言いつつも一瞬で車をガソスタまで押し運んだ。

住民「ありがとう!助かったよ」

ヒーロー「気にするな…あ、しまった。少女を置いてきてしまった」

戻ろうと振り返ると。

少女「うあ?」

ヒーロー「うわっ!?」

すぐ後ろに少女はマントをつまんで立っていた。

ヒーロー「な、なんでついてこれるんだ…?普通の人間じゃありえない…まさかキミもファイターなのか?」

少女「…ぅあぅ?」

ヒーロー「答えが返ってくるわけもなし…か。パトロールを続けよう」

少女「ぁとーる?」

ヒーロー「…パトロール」

少女「あとーる」

ヒーロー「はは…言葉はまだ難しいか…」

318ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:26:56 ID:KDCwCrrY00





それから数週間が過ぎた。

ヒーロー「さて、今日もパトロールだ」

少女「ぱとろーる!」

ヒー父「よく飽きないなぁ。毎日毎日」

ヒーロー「それがヒーローの仕事だからな。いついかなる悪が現れても即座に現れみんなを守るのが俺の役目だ」

少女「ひーろー、やくめ」

ヒー母「よく言ったわ!さすがは母さんの息子!」

ヒー父「そうだなぁ、たしかに昔の母さんによく似てるよ。不良だった父さんにビビリもせずに注意してきて」

ヒー母「うふふ、まあ今思うと我ながら恐ろしいわ。当時は全然知らなかったけど、マリオ族に殴られでもしたら一発であの世行きだもの」

ヒー父「わははは!それはさすがに言い過ぎだろう!でも父さんはそんな勇気ある母さんに惚れてしまったんだなぁこれが!」

ヒーロー「息子の前でのろけないでくれ、まったく…じゃあ行ってくるよ」

少女「いってくる!」

ヒー父母「いってらっしゃーい!」

319ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:27:36 ID:KDCwCrrY00



ヒーロー「しかし少女も随分と喋れるようになったな。意味を理解できてるかは分からないが…」

少女「りかい、できてる。わたし、しょうじょ。あなた、ひーろー。ひーろー、みんな、まもる、えらい」

ヒーロー「はは…すごいな。少女は頭が良いんだな」

ヒーローは少女の頭を撫でる。

少女「えへへ〜」

それから二人はいつものように手を繋ぎ、町を歩いて回った。



そして数時間後。

ヒーロー「今日もとてつもなく平和だな、この町は…」

少女「へいわ!すばらしい!」

ヒーロー「ああ、そうだな。平和が一番だ」

少女「へへへ」

ヒーロー「今日はパトロールは終わりにして、少し遊ぶか」

少女「あそぶ?」

ヒーロー「最近隣の町に遊園地ができたんだ。この間人を助けた時に、そのお礼でチケットを貰ってな」

少女「ゆーえんち、ちけっと、なに?」

ヒーロー「まあ、行けば分かるさ」

320ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:28:23 ID:KDCwCrrY00



そして二人は遊園地へやってきた。

少女「これ、ゆううんち?」

ヒーロー「ゆうえんち、な」

少女「あれ、なに?」

ヒーロー「あれはジェットコースター」

少女「あれは?」

ヒーロー「観覧車だ。あれはコーヒーカップ。あれはゴーカート。あっちはメリーゴーランドだ」

少女「な、なんか、いっぱい…」

少女は見ているだけで目を回していた。

ヒーロー「ははは!どれに乗りたい?」

少女「ど、どれ、わからない」

ヒーロー「そうか。初めてだもんな。よし、それじゃあ最初はジェットコースターだ」

少女「じぇっとこーすたー!」

321ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:29:29 ID:KDCwCrrY00



数分後。

ヒーロー「オエェェ…」

少女「ひーろー、だいじょうぶ?」

ヒーロー「は…ははは…心配するな…そんなことより、楽しかったか?」

少女「うん!はやい、ぐるぐる、おもしろい!」

ヒーロー「そうか…それはよかった」

ゲン「はっはっは!デートか?ヒーロー!」

ヒーロー「ゲンさん!?なんでここに!」

ゲン「なんでも何も、ここは俺が出資してプロデュースしている遊園地だからな!」

ヒーロー「何!?そうだったのか!?」

ゲン「ほら、あの観覧車の真ん中を見ろ。俺のこのファルコンマークがついてるだろ?」

ヒーロー「あ、本当だ…どうりでジェットコースターが速すぎると思った…」

少女「あなた、だれ…?」

少女はヒーローの後ろに隠れながら恐る恐る尋ねた。

ゲン「俺は[世界第1位]ゲンだ!君のことは聞いてるよ!ヒーローの家で居候している迷子の少女だな!」

少女「げん…よろしく」

ゲン「ああ、こちらこそ!ヒーロー、少女の身元はまだ分かっていないのか?」

ヒーロー「ああ…まだ何の情報も見つかっていない」

ゲン「そうか。早く見つかるといいな」

ヒーロー「ああ。しかし…もし身元が判明しても、この子がちゃんと帰ってくれるかどうか…見ての通り、俺以外にはあまり懐かないんだ」

ゲン「フム。たしかに記憶もないとなると、今の少女からすれば両親すら他人と変わらないかもしれない。困りものだな」

少女「わたし、かぞく、ひーろー」

少女はヒーローの服をぎゅっと掴む。

ヒーロー「もちろん、少女はもう俺の家族だ。だがどこかで少女を捜している本当の家族がいるかもしれないだろう?」

少女「……」

少女はぶんぶんと首を振る。

ヒーロー「少女…」

322ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:31:15 ID:KDCwCrrY00

ゲン「この感じ…元の家で何かあったんじゃないか?虐待を受けていたとか…記憶を失ったというのも帰りたくないがための嘘ということはないか?」

ゲンはヒーローにだけ聞こえるくらいの小声で言う。

ヒーロー「その可能性も考えたが、体に傷はないし、一度警察の方で脈拍を測りながらの取り調べもあったが、特に怪しい点は見られなかった」

ゲン「そうか。だとしたら帰りたくないというより、本当にヒーローと別れたくないんだな」

ヒーロー「まあ…そう思ってくれるのは嬉しいが、このままでは良くないよな…」

ゲン「…ところで少女。君はもしかして、サムス族じゃないか?」

少女「さむす…?」

ヒーロー「サムス族?」

ゲン「ファイターの一族だ。前に海外でサムス族と会ったことがあってな。彼女らによく似ている」

ヒーロー「ファイター…やはり少女の身体能力の高さはそのせいだったのか」

少女「ふぁいたー…ひーろー、おなじ?」

ゲン「そうだ」

ヒーロー「詳しく聞かせてくれゲンさん」

ゲン「俺もあまり詳しくはないが…先祖の名はサムス・アラン。キャプテン・ファルコンと同じく宇宙船を持ち、宇宙海賊などと戦うバウンティハンターだったそうだ」

少女「…さむす…あらん…」

ゲン「その最たる特徴は、サムスにしか扱えないとされるパワードスーツだな。強力な破壊力を持つアームキャノンによって多くの敵を倒し、宇宙中の悪党に恐れられていたという」

少女「ぱわぁど…すーつ………ぅ…ぅぅう…!」

ヒーロー「!?ど、どうした!?」

急に少女が頭を抱えて、呻き声を上げ始めた。

少女「あぁぅ…うぁああああああああ!!」

ヒーロー「な、なんだ!?頭が痛いのか!?」

ゲン「少女!」

少女「…………………」

ヒーロー「お、おい…」

少女「あ……あたま……」

ヒーロー「大丈夫か!すぐに病院に連れて行く!」

少女「…あたまに…わからない…きおく…」

ヒーロー「記憶…!?それはまさかファイターとしての記憶か…?」

少女「ふぁいたー…?」

323ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:32:07 ID:KDCwCrrY00

ゲン「少女の見た記憶は、パワードスーツを着て敵と戦っていたんじゃないか?」

少女「ぱわーどすーつ…わからない…けど、たたかった。へんな、りゅうみたいなの…」

ゲン「竜…サムスの宿敵と言われるリドリーのことかもしれないな」

ヒーロー「やはりそうか…きっとサムス ・アランのことを聞いたのが引き金となって、記憶が呼び覚まされたんだ」

少女「むーん…」

ヒーロー「こんなこと言ってもよく分からないか」

ゲン「はっはっは!まあ、あまり気にすることはない。頭が痛いわけじゃないんだろ?」

少女「うん、だいじょうぶ」

ヒーロー「ファイターと呼ばれる種族にはよくあることなんだそうだ。俺もマリオの記憶を見たことがある」

少女「まりお?」

ヒーロー「俺や父さんのご先祖様だ。カメの大王と戦っていたらしい」

少女「かめのだいおう、なに?」

ヒーロー「クッパと言ってな、お姫様をさらって悪さをしていた。マリオはそのお姫様を助けるために戦っていたんだ」

少女「まりお、ひーろーみたい」

ヒーロー「何を隠そう、俺がヒーローを志したのはその記憶を見てからだからな。悪と戦うご先祖様に憧れて、俺もそうなりたいと思った」

少女「ひーろー、えらい!」

ヒーロー「はは…ありがとう少女。だがまだまださ。一度も悪とは戦えてないんだ」

少女「あく、ほしい?」

ヒーロー「…勿論平和が一番だ。だけど俺の目指すヒーロー像には、戦うべき相手が必要なんだ。前にゲンさんにも助言をしてもらったが…どうするべきか、まだ迷っているよ…」

ゲン「はっはっは、答えを焦る必要はない。人生はまだまだこれからだ」

ヒーロー「そうだな…」

ゲン「それじゃあ俺はもう行く。君たちの幸運を祈る!」

ヒーロー「ありがとう、ゲンさん」

少女「げん、ありがとう」

ゲン「それと、デート、楽しんでくれたまえ!はっはっは!」

ヒーロー「って、そういうのじゃないからな!」

ゲンは去っていった。

少女「でーと、なに?」

ヒーロー「しょ、少女にはまだ早い!」

少女「むー…」

それから二人はデートを楽しんだ。

324ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:32:59 ID:KDCwCrrY00




翌日。

ジリリリリリリ!!

カチャッ

ヒーローは目覚まし時計を止めて起きると、隣のベッドに寝る少女を起こしに行く。

少女は朝が弱く、ちょっとやそっとじゃ起きてこない。

ヒーロー「朝だぞ。おはよう、少…あれ?いない」

ベッドには誰もいなかった。

ヒーロー「目覚ましより早く起きるなんて珍しいな。トイレか?」

ヒーローはトイレを見に行く。

ヒーロー「いない…」

それから家中を捜すが。

ヒーロー「いない…いない…!なんで…」

ヒー父「どうしたんだ?」

ヒーロー「少女がいないんだ!」

ヒー父「え!?母さん、何か知ってるか!?」

ヒー母「い、いえ、何も聞いてないわよ!」

ヒーロー「な…!」

ヒー父「と、とにかく捜そう!母さんはうちの中をもう一回ちゃんと捜してみてくれ!俺たちは外だ!」

ヒーロー「ああ!」

ガチャッ!

そしてヒーローは勢いよく外へ出た。

325ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:33:56 ID:KDCwCrrY00

ヒーロー「しょ、少女!」

家のすぐ前に少女は立っていた。

ヒー父「なんだ、こんなところにいたのか!まったく、焦ったじゃないか!わははは!」


少女「ごめんね…」


ヒーロー「え…?」

その顔は今まで見たことのない悲しげな表情だった。

少女「私…わからなくなっちゃったよ…ヒーロー…」

ヒーロー「何を…言って…」

そして昨日までとはまるで違う流暢な喋り方だった。

ヒー父「ど、どうしたんだ…?様子がおかしくないか…」

ヒーロー「ああ…」

少女「昨日、ファイターの記憶を見たでしょ?その時に…自分の失くしてた記憶も戻ったみたい」

ヒーロー「何!?それなら早く言ってくれよ!」

少女「ごめんね…混乱して…頭の中がぐちゃぐちゃで…すぐには自分でも理解できなかったの」

ヒーロー「そ、そうか…でも、良かったじゃないか!これでキミの身元が分かる…帰れるんだ、本当の家族のところに!」

少女「……」

少女は首を横に振る。

ヒーロー「な、なぜだ…?」

少女「…言えないよ…こんなの…」

ヒーロー「え…!?」

少女「ううん、なんでもない…でももう…ここにはいられない」

ヒーロー「な、何を言ってるんだ…?話してくれよ!俺たちはみんな、キミの味方だぞ!過去に何があったって、俺たちは家族だ!」

少女「…ありがとう、ヒーロー…」

ヒーロー「少女…」

少女「…愛してる」

次の瞬間。

326ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:34:35 ID:KDCwCrrY00



カッ!!!!



眩い光が辺りを包み込んだ。

ヒーロー「ぐっ…!なんだ!?」

そして光はすぐに消えた。

ヒー父「な、何が起きてるんだ!?」

ヒーロー「少女!!無事か!!」

光を受けて目の前が見えないまま、ヒーローはさっきまで少女がいたところへ駆け寄る。

ヒーロー「どこだ!?少女!」

手探りで少女を捜す。

徐々に目が慣れてきて、周囲を見回す。

ヒーロー「少女…」

だが少女はどこにもいなかった。

ヒーロー「少女ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


それからすぐに警察に捜索願を出し、ヒーローたちも国中を走り回り、目撃情報を聞いて回った。

だがその後誰一人として少女のことを見た者は現れなかった。

327ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:36:10 ID:KDCwCrrY00





およそ一年後、魔法学校では。

夕陽に照らされる修練場にて、小学生と召喚士、空間魔法研究室の生徒たちが集まっていた。

小学生「いきます!!」

生徒たち「おう!」「がんばれ!」「君ならできる!」

小学生はブーメランを構える。

そのブーメランの表面には、びっしりと緻密な魔法陣が描かれていた。

小学生「とうっ!」


ブンッ!!


小学生がブーメランを投げる。


キュルキュルキュル…


するとブーメランが修練場のある一点で止まり、その宙に円を描く。

すると。


ボフッ!!


その円の中心が小さな爆発を起こし、同時に、空間に穴が開いた。

生徒たち「おおっ!!」

小学生「や…やった…!完成だ…!」

328ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:37:07 ID:KDCwCrrY00

昼間「すごい…!魔法史に名が残る偉業ですよこれは…!」

小学生「マジで!?」

昼間「マジです!完全に封鎖された空間を見つけ出す魔法…!今まで誰一人としてできなかったことを成し遂げたのですから…!」

生徒たち「やったなおい!」「本当にすごいよ!おめでとう!」

小学生「みんな…!ありがとう!みんながいっぱい研究手伝ってくれたお陰だ!」

校長「ほっほっほ、さすがはリンク族と言ったところじゃのう。珍しく昼間先生も興奮しておるわ」

小学生「校長先生!」

昼間「こ、これは、お恥ずかしいところを…」

小学生「見ててくれたんですか!?」

校長「もちろん。君には是非この空間魔法研究のリーダーとしてこれからも…」

小学生「ごめんなさい!」

校長「え?」

昼間「校長先生。転入手続きの時に説明したと思いますが…彼の目的は魔力暴走体質によって消えた少女を見つけ出し、助けることです」

校長「おお、そうじゃったな」

小学生「俺行かねーと!この魔法があればきっとアイツを救ってやれる!」

ダッ!!

小学生は走り出す。

昼間「落ち着きなさい」

パチンッ

召喚士が指を鳴らすと。

小学生「どわっ!?」

ドサッ!

小学生の両足が光の紐で結ばれ、バランスを崩して尻餅をついた。

小学生「な、何するんですか先生!」

昼間「この程度の魔法を即座に無効化できないようでは、彼女を見つけても返り討ちに遭うでしょう。魔力が暴走した時の彼女の強さを忘れたのですか?」

小学生「そ、それは…」

329ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:37:34 ID:KDCwCrrY00

昼間「このままでは無駄死にするだけです。ですから初等部卒業までの間、私が死ぬ気で鍛えます」

小学生「召喚士先生が、死ぬ気で…?」

昼間「君は一つの明確な目標が見えると、驚異的な集中力を発揮して、爆発的に伸びるタイプだと思います。君ならきっと短期間で私よりも強くなれるでしょう」

小学生「先生よりも!?それはさすがに言い過ぎじゃ…」

昼間「すみません、言い過ぎました」

小学生「本当に言い過ぎなの!?」

昼間「しかし間違いなく、今より数段強くなれます。私が保証します」

小学生「先生…!」

校長「うむ、それがよいな。がんばりたまえ」

小学生「よ、よろしくお願いします!」

昼間「はい、よろしくお願いします。来週から早速修行を始めますよ」

小学生「来週と言わず今日からでもいいですよ俺は!」

昼間「無理ですよ。足結びの魔法はとっくに解いていますが、立てないでしょう」

小学生「え?…あれ…ホントだ。なんで…」

生徒「アホ、ここ数日研究漬けでろくに寝てなかったろお前」

昼間「いかに高い身体能力を持っていても、ファイターだって人間です。しっかり食事と睡眠を取らなければそうなって当然ですよ。まして君はまだ子供だ。来週までしっかり体を休めてきなさい」

小学生「はーい」

330ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:38:23 ID:KDCwCrrY00



それから小学生は生徒たちに助けられながら、教室へ帰り支度をしに戻った。

おこめ「すごかったな!」

教室にはおこめがいた。

小学生「何が?」

おこめ「さっきの魔法!」

小学生「え?見てたのか?」

おこめ「ここの窓から修練場見えるからなー」

小学生「あホントだ。全然気付かなかったぜ…」

おこめ「隠された空間を見つけ出す…空間探査魔法とでも名付けるか。ほんとすごいぜ」

小学生「いや待てなぜお前が名付ける。まあいけど、分かりやすいし」

おこめ「ふっふっふ。㌦ポッターにもみせてやりたかった」

小学生「はは、アイツは更に飛び級して高等部まで行っちまったからな。もう俺らなんて眼中にもねーだろ」

おこめ「ぼくも!?」

小学生「そうだよ。いや、最初からだ。俺ら三人、一緒に入学したあの時からすでに、アイツの目指すところは俺らとは違った」

おこめ「㌦ポッターの目指すところ?」

小学生「召喚士先生だよ」

おこめ「まじ?」

小学生「正確には召喚士先生超え」

おこめ「まじのまじ?」

小学生「まあ直接聞いたわけじゃねーけどさ」

おこめ「なーんだ」

小学生「だけどアイツ授業中、召喚士先生にいつも対抗意識燃やしてただろ?先生より早く魔法陣描こうとしたり、先生よりでっけー使い魔呼び出したり」

おこめ「…あー、たしかに」

小学生「へへ…アイツはきっとすげー魔法使いになるよ。そんな気がする」

おこめ「そうだな!」

そして二人は下校した。

331ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:39:06 ID:KDCwCrrY00




翌週。

昼間「来ましたね」

小学生「はい!よろしくお願いします!」

小学生と召喚士の二人は、修練場で向かい合っていた。

昼間「いつでもどうぞ」

二人は戦いの構えをとる。


ダッ!!


小学生「はあああっ!!」


ブンッ!!


小学生は思いっきり剣を振り下ろす。

が、召喚士はすでに消えていた。


ギャリンッ!


昼間「むっ!」

小学生は背後に移動していた召喚士をクローショットで捕らえた。

小学生「とぉっ!!」


ドガッ!!


引き寄せた召喚士をそのまま蹴り飛ばす。

ズザザザ…

昼間「私が背後に回ることを読んでの攻撃…いいですね」

332ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:39:39 ID:KDCwCrrY00

小学生「あの時の俺とは違いますよ!」

昼間「…たしかにリンク族だけあって戦闘のセンスはあります。ですがまだ甘い。魔力の集中が足りていません。君の魔力総量は私以下…それで戦うとなれば、魔力コントロールの高速化が必要でしょう」

小学生「はい!」

昼間「さあ、どんどん来なさい」

再び二人は構え直す。

小学生「はああっ!!」


ドガッ!!

バキッ!!

ドガッ!!


小学生「くそっ!」

小学生の攻撃は全て召喚士に相殺される。


トンッ…


小学生「ごはっ!?」

腹を軽く小突かれて小学生は膝をついた。

昼間「もっと相手の動きを見るのです。魔力の防御が遅れれば、このように生身で攻撃を受けることになります」

小学生「は、はい…」

昼間「今は手加減しているからいいものの、あの少女の暴走状態で殴られたら怪我じゃ済みませんよ。できる限り最強の攻撃と、できる限り最大の防御。この二つを瞬時に切り換えられるようになってもらいます」

小学生「はい…!」

それから暗くなるまで二人は特訓を続けた。

333ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:40:39 ID:KDCwCrrY00





数ヶ月後。


ドガガガッ!!


ガクッ…

激しい打ち合いの末、召喚士は膝をつく。

昼間「はあ…はあ…君の勝ちですよ…」

小学生「や……やった…!!」

昼間「よく…頑張りましたね…この短期間で、本当にここまで強くなるとは…」

小学生「はい…!」

昼間「魔力コントロールも完璧に近い…これなら、少女が暴走しても止められるはずです」

小学生「ホントですか!?」

昼間「ええ。彼女の魔力量は多いと言っても、コントロールは未熟そのもの。教える者がいない以上、それはあの時から変わっていないでしょう。今の君ならば、きっと大丈夫です」

小学生「ありがとうございます!」

昼間「あ、でもまだ行かないでくださいよ」

小学生「はは、分かってますよ。修行の疲れを残したまま行ってもしょうがないでしょ。それに、明日の卒業式にはちゃんと出るつもりですから」

昼間「良かった…成長しましたね。強さだけじゃない。精神的にも…」

小学生「召喚士先生のお陰です。本当に、ありがとうございました…!」

小学生は深々と頭を下げる。

昼間「どういたしまして。ですが、大事なのはここからですよ」

小学生「はい、分かってます。俺の空間探査魔法の範囲は半径百十五メートル…この修練場と同じくらいだ。アイツを見つけるにはそれを何百回、何千回と繰り返していかなきゃならない」

昼間「長い旅路になるでしょう。でも君はきっと諦めないのでしょうね」

小学生「当たり前です!こんだけいろんな人たちに手伝ってもらったんだ…絶対にアイツ見つけて、助けて…そしたらまたここに戻ってきます」

昼間「ええ、待っていますよ」

334ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:41:52 ID:KDCwCrrY00




翌日。

講堂では魔法学校初等部の卒業式が行われていた。

校長「えーー、ワシは校長じゃ。ここにいる者は皆、素晴らしい魔法使いとしての資質を備えておる。初等部はまだ長き魔道の始まりに過ぎん。中等部でも頑張ってほしい。以上じゃ」

パチパチパチパチ…

校長は降壇する。

司会「校長先生、ありがとうございました。続いては…」


おこめ「㌦はやっぱいないな」

小学生「そりゃそーだろ、高等部だぜ」

並んだ席に座る二人は小声で話す。

おこめ「でもざんねんだ。あいつもぼくたちのライバルのハズなのにさ。一緒に卒業式にも出ないなんて」

小学生「しょうがねーさ。ぶっちぎりで凄い才能持ってたんだ。でもおこめ、お前ならきっとアイツに追いつけるぜ」

おこめ「なに?」

小学生「お前の米魔法もずいぶん完成に近づいてるんだろ?」

おこめ「まだまだだ。それにもし完成したとしても、飛び級するには他のいろんな分野でもトップの成績をとらなきゃいけないんだぞ」

小学生「はは、飛び級なんかしなくていーだろ」

おこめ「はー?どゆこと」

小学生「夢なんだろ?米魔法はお前の。だったら先に夢を叶えた方の勝ちじゃねーか。㌦はたしかにすげーけど、まだ夢を叶えちゃいない」

おこめ「…なるほど!」

小学生「頑張れよおこめ。俺は㌦より、付き合いの長いお前を応援するぜ」

おこめ「おう!…ん?なんだそれ」

小学生「何が?」

おこめ「まるで自分は競争から降りるみたいな言い方じゃんか」

小学生「ああ、言ってなかったっけ?俺はこの卒業式を最後に、この学校を去る」

おこめ「ええ!?」

おこめは思わず大声でリアクションをとった。

教師「そこ!静かに!」

二人「ごめんなさい」

335ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:43:24 ID:KDCwCrrY00

おこめ「ど…どゆこと〜!?」

再び小声に戻り、小学生に問う。

小学生「やらなきゃいけねーことがあるんだ」

おこめ「…そういえば入学のときにも言ってたな。それってなんだ?」

小学生「言えねーことだ」

おこめ「え〜。空間魔法とか、センセーとの修行も全部そのためか?」

小学生「まあな。ま、いつまでかかるか分かんねーけど、やること済んだらまた顔出すからよ。そん時までにお前もしっかり夢叶えとけよな!」

おこめ「へへ…んじゃあそれでいいじゃん」

小学生「あ、そうだな!俺のやることと、おこめの夢と」

おこめ「どっちが先に叶えられるか」

二人「勝負だ!」

ザワザワ…

小学生「…ん?なんか注目されてね?まだ声デカかった…?」

おこめ「それはすまんことをした…」

司会「何してるんですか。早く登壇してください」

小学生「え…?え?俺!?」

小学生はスポットライトで照らされていた。

昼間『お喋りに夢中で何も聞いてませんでしたね?』

小学生(おわっ、先生…!いきなり念話すんのやめてくださいよ…)

昼間『君は首席に選ばれたんですよ』

小学生(えぇっ!?)

昼間『当然ですよ。新たな魔法の開発や、私にも匹敵する魔力コントロール、他の授業でもそれらを上手く応用して好成績を残してきましたからね。さあ、登壇してください』

小学生(は、はい)

小学生は戸惑いながら、校長の待つ壇上に向かう。

校長「表彰状。君はこの学年で最も優秀な生徒じゃったので、これを進呈する。魔法学校校長」

小学生「ありがとうございます」

小学生は校長から賞状をもらう。

パチパチパチパチ…

336ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:43:58 ID:KDCwCrrY00

司会「ではそのまま代表挨拶をお願いします」

小学生「え!?」

校長「我が校ではそういう決まりになっておるのじゃ」

小学生「いや、でもなんも準備してねーけど…!」

校長「今の気持ちを、素直に皆に伝えてほしい。事前に準備して着飾った言葉より、本心を聞きたいのじゃよ」

小学生「…わ、分かりました…」

校長は小学生を残して降壇した。

小学生「えー…と…素直に今の気持ちを言うと、いきなり壇上で喋れって無茶振りやめてくれよって感じなんですけど…」

ハハハハ…

小学生「でもこれだけは言える…俺がここに立てたのは、支えてくれたみんなのお陰です。召喚士先生、研究室のみんな、父ちゃん、母ちゃん、そしてライバルたち。今まで本当にありがとうございました!」

小学生は深く頭を下げる。

パチパチパチパチ…

そして小学生は降壇した。

おこめ「わはは、優等生みたいなコメントだったな」

小学生「うっせー」

そして卒業式は無事終わった。

337ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:45:31 ID:KDCwCrrY00



そして。

おこめ「これでお別れか」

小学生「ああ」

表の空間へと続くゲートの前で、小学生とおこめ、召喚士が集まっていた。

おこめ「さびしくなるな」

小学生「まあ二度と会えないわけじゃねーし、お互い頑張ろうぜ!」

おこめ「おう」

昼間「何か困ったことがあれば遠慮なく頼ってくださいね。よほど離れた場所でなければ魔法書で手助けできますから」

小学生「はい!ありがとうございます!あ、それと魔法動物科の先生に、しょーくんとドルボリドルのこと、よろしくお願いしますって伝えてください」

昼間「分かりました」

おこめ「ぼくもちゃんと面倒みるよ」

小学生「おう、サンキュー。じゃあ…俺、行きますね」

生徒たち「おーい!」

小学生「!」

走ってきたのは、空間魔法研究室の生徒たちだった。

小学生「みんな…」

先輩「ほら、これ」

そのリーダーを務める先輩が、ブーメランを渡した。

小学生「え?いや、自分のちゃんと持ってますけど…」

先輩「違うよ。お前が研究室に来なくなってからも、俺らは当然研究を続けてた。お前のお陰で空間魔法の研究は更に上の段階へと進んだ。これはお礼だ」

小学生「お礼って…」

先輩「お前の空間探査魔法に更に改良を加えたんだ。探査距離は元の三倍になってる」

小学生「三倍!?まじか!」

先輩「へへ、驚いたか。俺にも先輩の意地があるからな。つっても研究室のみんなで協力したんだけど」

小学生「みんな…ありがとう!」

生徒たち「おう!」「がんばれよ!」

小学生「ああ!じゃあ、行ってきます!」

そして小学生は魔法学校を去った。


小学生「待ってろ…絶対に助けてやるからな…!!」





第一章 完

338ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/01(水) 02:57:20 ID:KDCwCrrY00
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
第一章は小学生編でした!
構想と書き溜めをするためにしばらく更新は休みますが、第二章も乞うご期待!
感想等頂けると喜びます!

339はいどうも名無しです (ワッチョイ a871-cfb3):2021/12/01(水) 19:55:45 ID:L7RdwBT600
第一章乙でした!
いつも楽しく読ませていただきました
続きも楽しみにお待ちしています!

340ハイドンピー (ワッチョイ af96-3bd2):2021/12/06(月) 07:03:59 ID:27bQicF.00
>>339
ありがとうございます!
頑張ります!

342はいどうも名無しです (ワッチョイ 7dbb-bb58):2021/12/10(金) 11:57:20 ID:XjrDsy/o00
次の出番はいつになるか分からないANSをすこれ

343はいどうも名無しです (スプー 635f-bb58):2021/12/10(金) 12:21:40 ID:Cdgqs5jwSd
>>342
ここANSスレじゃなかったすまそ

346動画なら (ワッチョイ 567a-c5e3):2021/12/16(木) 22:17:54 ID:bdWp7u1U00
ふー、うっかり二週してたから感想忘れてた。
執筆お疲れ様でした。2部も楽しみにしてます。
フォックス勢モブキャラ含めて皆面白くて寿司!

347ハイドンピー (ワッチョイ 4b69-bbb2):2022/01/16(日) 08:30:09 ID:rMCOyq6200
>>346
ありがとうございます!
二章も楽しんで頂けるようにがんばります!

348ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:11:03 ID:WwT6cbl.00

〜ここまでのあらすじ〜

小学生(大学生)は少女と出会い、いなくなったペットの衝撃を一緒に探すことに。
そのうちに二人はとても仲良くなったが、少女は愛によって魔力が暴走し荒ぶってしまう「魔力暴走体質」を持っていた。
少女は小学生をボコした後、消息不明に。

小学生は少女を見つけるため、召喚士が教師を務める魔法学校に入学。
そこで㌦ポッターやおこめと出会い、互いに認め合うライバルに。


その頃、世界各地では謎の緑フォックスたちやら、魔族やらが暗躍し、フォックスの村が壊滅したり、リカエリスが消息不明になったり、ナザレンコが泣いたり。

片割れが町の平和を守るためにヤクザたちとバトったり、ちょっと打ち解けたり。

味方殺しとエーレヒトが出会って殺しあったり、友達になったり。

ちょこにゃが産まれたり。

空色十字軍が国に戦争しかけたり、エーレヒトや人喰い軍曹まで乱入してきたり、十字軍は負けて捕まったり、エーレヒトは軍曹に喰われそうになったり。

ヒーローが記憶を失った少女と出会ったり、一緒に暮らしたり、少女が記憶を取り戻したと思ったらまた消息不明になったりしていた。

宇宙各地でも、謎の緑フォックスたちやら、魔族やらが暗躍し、アルザークやエースのパパが奮闘したり、アメリーナが闇堕ちしたりしていた。

魔界では、黒猫とおしりが奈落のヨシオに捕まったり、脱走したり、和解したりしていた。


そんなこんなで数年経ち、小学生たちは別空間から突然現れたサルにドルボリドルと名付けたり、㌦ポッターだけ飛び級して疎遠になったり。
なんやかんやありながらも、無事初等部を卒業。

小学生は魔法学校で身につけた「空間探査魔法」を使い、消えた少女を探す旅に出たのであった。

349ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:13:59 ID:WwT6cbl.00
第二章




ここはとある田舎町。

ドガッ!!

ずざざざ…

???「くそっ…何なんだよてめえら!いきなり変な穴から出てきやがって…!」

魔物「クケケケケケ…」

四足歩行の黒い魔物に囲まれている、ピンクルイージの少年がいた。

だんっ!!

魔物たちが一斉に飛びかかる。

???「く…ここまでか…!」

ルイージは目を瞑る。


ギュルルルルッ!!


ドガガガガガガ!!


魔物「グギャアアアア!!」

???「え…」

???「大丈夫か?」

目を開けると、そこには青マリオの少年が立っていて、魔物たちは倒れていた。

???「た、助けてくれたのか…!ありがとう!あんた、名前は?」

???「俺はリア・リエ。マリオ族だ」

???「マリオ族!そうか、強いはずだぜ。俺はレイア、ルイージ族だ!」

350ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:15:30 ID:WwT6cbl.00

リア「ルイージ…にしては弱いな。こんな奴らに手こずるとは」

レイア「…悔しいがその通りだ…俺は強くなりてえ。どうやったらそんなに強くなれるんだ?」

リア「修行するしかねえだろ」

レイア「修行か!ありがとう!よぉし!やってやるぜ!」

リア「おい、待てよ」

レイア「え?」

今にも走り出しそうだったレイアをリア・リエは引き止めた。

リア「闇雲にやったって意味はない。目標を決めてメニューを組まないとな」

レイア「なるほど」

リア「それに修行には修行相手がいたほうが効率がいい」

レイア「そうか!じゃあ俺とやろうぜ!」

リア「フッ、だからそう言ってんだよ」

レイア「おぉ、そうか!よろしく頼むぜ!」

リア「俺の修行はキツイぞ。死ぬ気でついてこい」

レイア「望むところだ!」

そんな感じで、後に"熱望ブラザーズ"と呼ばれる二人は共に修行をすることになった。

351ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:16:52 ID:WwT6cbl.00



そのすぐ近くでは。

ダダダダダダダ…!

魔物「ギィッ!グギッ!」

先程の魔物が一匹だけ逃げ延びていた。

そしてその先には一人の金髪少女がいた。

???「え…?うわっ!何!?」

魔物「グギャーッ!」

魔物はその勢いのまま、少女に飛びかかる。

???「伏せろっ!」

???「えっ!?」

後ろからの声に、少女は咄嗟にしゃがむ。


ドウッ!!!!


魔物「ギャッ」

そこへ飛んできた光の球によって、魔物は木っ端微塵になった。

???「た、助かった…?」

???「怪我はないか?」

???「は、はい…あ、ありがとうございます…」

魔物を仕留めたのは黒いパワードスーツのサムス族だった。

352ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:18:12 ID:WwT6cbl.00

ガション

サムスは頭部の装甲を取り、褐色の素顔を見せた。

???「俺は卍黒きムッコロズ。お前は?」

???「バ…バロンムッコロスです」

卍「ムッコロス?」
バロン「ムッコロズ?」

卍「……似てるな」

バロン「はい…」

卍「それにその顔、お前もサムス族か?」

バロン「は、はい」

卍「歳も近そうだな。フ…運命など信じていなかったが、これがそうなのかもしれないな」

バロン「た、たまたまですよ!僕はムッコロズさんみたいに強くないですし!」

卍「パワードスーツ無しじゃそりゃそうだろ」

バロン「そ、そうなんですかね…?正直、着ても使いこなせる気がしませんけど…」

卍「自分のパワードスーツは持ってないのか?」

バロン「一応家に祖母のお古がありますけど…まだサイズが合わなくて着れないんです」

卍「そうか…まあ、ここで会ったのも何かの縁だ。少し修行をつけてやる」

バロン「えっ!?」

卍「スーツが無くても戦闘技術は向上できる。肉弾戦や射撃精度、戦闘中の細やかな判断はスーツを着たからといって変わるものじゃないからな」

バロン「で、でもいいんですか?」

卍「ああ。人に教えることで自分の向上にも繋がる」

バロン「ありがとうございます…!」

そうしてこの二人もまた、修行仲間として行動を共にするようになった。

353ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:20:30 ID:WwT6cbl.00



さらにそのすぐ近くでは。

中学生「魔力が消えた…アイツらが倒してくれたみたいだな」

魔法学校を卒業し、中学生になった大学生がいた。

中学生とは言っても学校には通わず、少女を捜す旅を続けているのだが。

中学生「魔界から来た魔物…召喚士先生からも連絡来たけど、最近ホント多いな…どうなってんだ?一体」

???「やあそこのキミ」

中学生「…?俺?」

???「ああ」

中学生に話しかけてきたのは、白ルイージだった。

中学生「何だ?」

???「キミ、魔法使いだね?」

中学生「な!なんで分かった!?もしかしてアンタも…」

???「いや、ボクは魔法は使えないよ。ただその存在は知っている。キミの背負っているそのブーメランに描かれているのは、魔法陣だろう?」

中学生「……ナニモンだ…?」

???「ボクはパジャマ。パジャマの革命軍の総帥だ」

中学生「パ、パジャマの革命軍…?」

354ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:21:42 ID:WwT6cbl.00

パジャマ「まだ公には出てないから、知らなくても無理はない。この世に永遠の夜をもたらす団体さ」

中学生「な、なんかアブなそーなヤツらだな…」

パジャマ「とんでもない。闇に包まれた世界はとても美しい…きっとボクらの目的を果たした世界は、キミも気に入ってくれることだろうね」

中学生「その考え方がもうアブねーんだよ!」

パジャマ「やれやれ。とにかくボクらは今、魔法使いの力を借りたいんだ」

中学生「永遠の夜をもたらす魔法なんか知らねーけど…」

パジャマ「ああ、そこは問題ないよ。ただ我々の開発した道具に魔力を必要としていてね」

中学生「なるほど…でもやっぱ怪しいし…悪いけど他を当たってくれ」

パジャマ「本当にいいのかい?」

中学生「どういうことだよ」

パジャマ「知っているんだよ、キミが魔法学校を首席で卒業した天才だということはね」

中学生「!!」

パジャマ「なぜ知っているのかって?実は魔法学校出身の魔法使いは、ウチにも何人かいるのさ」

中学生「じゃあそいつらに手伝ってもらえばいいじゃねーか…」

パジャマ「それが残念ながら、彼らでは無理なんだ。その道具を使うには魔力を一点に集中しなければならない。それほどの魔力操作をできる魔法使いはほとんどいない」

中学生「それで俺を狙ったわけか…」

パジャマ「さあ、ついてくるんだ。ボクらのアジトへ案内するよ」

中学生「待てよ、協力するなんて一言も…」

パジャマ「キミなら気付いてるでしょ?ボクらがキミについての情報を握っているということが、何を意味するか」

中学生「…ひ、卑怯だぞてめー!」

パジャマ「大人しく協力すれば無事は保証するよ…キミの仲間のね」

中学生「くそっ…分かった…」

パジャマ「ふふふ、ありがとう。こっちだよ」

中学生(ちっ…面倒そうなのに捕まっちまった…まあ永遠の夜なんて絶対ありえねーし、適当に済ませて、とっととおさらばしてやる)

中学生はパジャマについていった。

355ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:23:10 ID:WwT6cbl.00



中学生「ここがてめーらのアジトか」

そこは教会のような場所だった。

椅子が並べられ、中心部には翼の生えた女神のような石像が立っている。

パジャマ「ああ。みんな来てくれ!ボクらに協力してくれる新たな仲間を紹介するよ!」

中学生「仲間じゃねーよ」

パジャマ「まあいいじゃないか、細かいことは」

すると、アジトの奥からぞろぞろとメンバーが現れた。

中学生「…!?」

パジャマ「どうした?」

中学生「ど、どうしたって…なんでみんな…そんな…」

メンバーたちの多くは、体の一部が欠損していたり、障害を患っていた。

中学生はまだ大きな障害をもった人をあまり見たことがなかったので、衝撃を受けた。

パジャマ「…ショッキングな光景だろう?」

中学生「……」

パジャマ「そうだ。差別というのは、見えるから起こるんだ」

中学生「さ、差別ってわけじゃ…」

パジャマ「ああ、キミにとってはそうだろう。でも彼らは生きているだけなんだ」

中学生「生きているだけ?」

パジャマ「腕が無くても、脚がなくても、彼らにとってはそれが当たり前で、ただ生きているだけ…なのに、人々は無意識にそうやって彼らを奇異な目で見るでしょ?それが彼らには辛いんだよ」

中学生「…」

パジャマ「障害だけじゃない。形、色、種族による差別も…全ては見えるから起きる。ボクらパジャマの革命軍の目的は、世界を夜の闇に包み込み、世界を本当の意味で一つにすることだ」

中学生「何も見えない、光のない世界なら、差別は起きないってことか…そんな無理やりな方法、俺はよくないと思う」

パジャマ「へぇ、じゃあキミならどうする?」

中学生「分かんねーけど…少なくともずっと夜の世界じゃすげー健康によくないってことは分かるぜ」

パジャマ「そこは心配ないさ。大丈夫なようにするからね」

中学生「どういうことだよ」

356ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:25:31 ID:WwT6cbl.00

パジャマ「世界を夜にするための道具、それはただ夜にするだけじゃないってことさ。陽の光など浴びずとも心身ともに健康を保つことができるよう、すべての生物の肉体を改変する」

中学生「んなっ…!そんなことできるわけねーだろ!」

パジャマ「それはどうかな?現にボクは人体改造を施され、陽の光を必要にしない体となっているよ」

中学生「マジで!?」

パジャマ「うん。ボクがまだ赤ちゃんの頃だ。ボクは日光によって火傷を負ってしまう肌の病を患った。絶対に治らない病気だ。そこで、パパがボクをとある男の元へ連れて行き、改造された」

中学生「う…うさんくせーな…」

パジャマ「本当の話だよ。その男はクローン研究のスペシャリストでね、そのクローンの細胞をボクの体に混ぜ、不安定になっていたDNAのバランスを保ったんだ」

中学生「そんなことできんのか…?」

パジャマ「できたからボクはここにいる」

中学生「…」

パジャマ「さあ、こっちだよ」

パジャマは奥へ進む。

パジャマ「これが、ボクらの望みを叶えてくれる装置だ」

中学生「…え?それ?てめーらの崇める神様かなんかかと思ってたんだけど…」

それはアジト内に入ってすぐに目に入った、女神像だった。

パジャマ「神なんていないよ。もしそんなものがいるならボクたちが殺す。これはたまたまそういう形になっただけさ」

中学生「そーすか…で、これをどうすりゃいいんだ」

パジャマ「脚のところに魔力を吸収する珠が付いてる」

中学生「…え?どれ?」

パジャマ「これ」

パジャマが指差したところをよく見ると、BB弾くらいの小さな水晶玉のようなものが埋め込んであった。

中学生「ちっさ!!」

パジャマ「ああ、だから繊細な魔力操作が必要なのさ」

中学生「もっとデカいの使えばいいじゃねーか」

パジャマ「これ以上大きくしては魔力が僅かに拡散してしまい失敗する。言ったろう?ウチにも魔法使いはいるんだ。何度も何度も失敗を繰り返して、ようやくこの形にたどり着いたんだよ。さあ、頼むよ、ありったけの魔力をその珠に注ぎ込んでくれ」

中学生「分かったよ…」

中学生はその珠に手をかざす。

357ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:26:47 ID:WwT6cbl.00

中学生「はあああああっ!!」


ピカーーン!!


魔力を込めると、女神像が光り始めた。

パジャマ「おおっ!素晴らしい!」

台座に取り付けられたメーターがグルグルと回転する。

パジャマ「…いいぞ…これなら本当に…!」


ボンッ!!


中学生「おわっ!」

珠が爆発した。

パジャマ「…え?」

ざわざわ…

アジト内がざわつく。

中学生「…な…なんかやっちゃった?」

パジャマ「…ど…」

中学生「?」


パジャマ「どうしてくれるんだああああああ!!」


中学生「!?」

358ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:28:06 ID:WwT6cbl.00

パジャマ「その珠めちゃくちゃ貴重なんだよ!?」

中学生「いや知らねーよ!!」

パジャマ「知らないじゃ済まないんだよ!!魔力込めすぎ!!」

中学生「だから知らねーって!!そんな大事なら先に説明しろや!!」

パジャマ「普通そんな一気に注ぎ込まないでしょぉ!?こんな小さい珠なんだから慎重に少しずつやるもんでしょぉ!?」

中学生「ありったけの魔力を注ぎ込めって、てめーが言ったんだろーがっ!!」

パジャマ「そりゃキミが優秀な魔法使いだから信頼してたんだよ!!そんな基本的なところでミスするなんて思わないでしょ!!ガッカリだよ!!」

中学生「うるせーー!!勝手に信頼すんな!!」

パジャマ「……ハァ…ハァ…」

中学生「…」

パジャマ「…くっ………過ぎたことは仕方ない…声を荒げてすまなかったね…」

中学生「ホントだよ」

パジャマ「…あぁ…たしかにキミの言う通りだ…ちゃんと説明するべきだったね…」

ゴゴゴゴゴゴ…

中学生「……ちょっと待て、なんだこの揺れ」

パジャマ「この装置はあの珠で制御する筈だったんだ…それが壊れた今、キミの注ぎ込んだ魔力は装置の回路内で暴走し…増幅機関で反復して巨大化する…」

中学生「つまりどういうことだよ!」

パジャマ「あと数十秒で爆発する…」

中学生「はぁっ!?早く言えバカヤロー!!」

中学生は即行で逃げ出す。

中学生「…おい!お前ら何やってんだ!お前らも早く逃げろ!」

振り返ると革命軍たちはその場で立ち止まっていた。

パジャマ「フッ…もう終わりさ…ボクらはこの作戦に命をかけていたんだよ…もう生きている意味はない…」

359ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:29:18 ID:WwT6cbl.00

中学生「バカヤローーー!!」

ダダダダダ…

中学生はすぐに引き返し、革命軍たちの手を引っ張った。

パジャマ「なぜ助ける…?ああ、人質が心配なのかい?安心してよ…ボクの命令がない限り危害は加えない…ここでボクが死ねば、全て丸く収まるさ…」

中学生「マジでバカヤローだな!!こんなアホみてーな失敗したぐれえで諦めてんじゃねーよ!!てか目の前で死のうとしてるヤツいたらそんなん関係なく助けるっつーの!!」

パジャマ「…」

そうして中学生は革命軍たちをアジトの外へと引っ張り出していく。

タタタタタ…

中学生「よし!お前で最後だ!来い!」

ガシッ!

最後まで突っ立っていたパジャマの手を掴む。

パジャマ「離せ!ボクはここで死ぬ!」

中学生「俺の目の前で死なせてたまるかボケ!助けた後で勝手に死ね!」

キュゥゥゥ…!!

女神像がひび割れ、そこから光が溢れ出す。

中学生「くっ!もうヤバそうだな!ほら早く行くぞ!」

パジャマ「やめろ!離せ!」

中学生「暴れんな!」

中学生は無理やりパジャマを引きずっていく。

そして…



ドドォォオオオオオオオオン!!!!



大爆発が起きた。

中学生「どへえ!」

ギリギリでアジトの外へ出た二人は、その爆風で吹っ飛ばされ、

ゴロゴロゴロゴロ…

びたーん!!

転がって、壁に激突した。

中学生「あ、危なかったぜ…」

パジャマ「…くそっ…余計なことを…」

中学生「ちっ!ホント陰気くせーな!生きてりゃいいことあんだろ!」

パジャマ「そんなもの…」

360ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/02(木) 21:30:55 ID:WwT6cbl.00

「「総帥!」」

パジャマ「!!」

パジャマの元へ、革命軍のメンバーたちが駆け寄ってきた。

「よかった…ご無事で…」
「お怪我はありませんか!?」

パジャマ「み…みんな…」

中学生「…ほらな、お前はもうかけがえのないモンを手に入れてるじゃねーか」

パジャマ「……くっ……」

中学生「もう変なことしねーで真っ当に生きろよ。こんなに仲間がいるんだ。それでも諦めきれねーならまたやり直しゃあいい。みんながきっと支えてくれるだろうよ」

「ああ!その通りだ!」
「私たちは総帥にどこまでもついてゆきます!」
「総帥!」

パジャマ「……ふふ…そうか…ありがとう」

中学生「んじゃあな!」

パジャマ「…待ってくれ」

中学生「なんだよ」

パジャマ「……すまなかったね。キミの仲間には今後一切関わらないと誓うよ」

中学生「ああ、分かりゃいいんだよ。んじゃ…」

パジャマ「キミはボクたちに協力してくれた。だから今度はボクたちがキミに協力させてほしい」

中学生「え?」

パジャマ「キミが幼なじみの少女を捜していることは、キミの身辺を調べた時に知っている。彼女についての情報を提供したい」

中学生「何!?なんか知ってんのか!?」

パジャマ「ああ。…と言ってもそれが同一人物かどうか、確証はないけど…」

中学生「何でもいい!!教えてくれ!!」

パジャマ「二年ほど前…ここから南西へ行ったところにある王国に、サムス族の子供の目撃情報があったんだ」

中学生「マジか!」

パジャマ「でもその子は記憶を失っていたらしい。そしておよそ一ヶ月の間、とある家族に引き取られ暮らしていた」

中学生「…過去形ってことは…」

パジャマ「ああ、彼女はまた姿を消している。引き取った家族の目の前で、突然光を放って、次の瞬間にはいなくなっていたそうだ。そしてその後一切の目撃情報はない…」

中学生「…やっぱり……アイツは別の空間を通って移動したんだ…!」

パジャマ「空間移動…魔法の類か」

中学生「その家族に会って話を聞いてみたい。なんて人たちか分かるか?」

パジャマ「ああ」

パジャマはその名前と住所を伝えた。

中学生「ありがとう!とりあえず行ってみる!」

パジャマ「ああ…彼女が見つかるといいね」

そして中学生はパジャマの革命軍たちと別れ、王国へと向かった。

361ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/03(金) 21:18:28 ID:5KDco17I00





魔法学校では。

ドルボ「ウキャーッ!」

おこめ「おはようドルボリドル!」

おこめは魔法動物科の飼育施設を訪れていた。

中学生との約束通り、おこめは毎日ドルボリドルと衝撃の世話をしているのだ。

ドルボ「オハヨー!」

おこめ「うわ!!喋った!?」

ドルボ「シャベッタ!」

おこめ「すごい!天才サルだ!」

昼間「元々喋れる種族なのかもしれませんね」

おこめ「センセー!」

昼間「おこめくん、おはようございます」

おこめ「おはよーっす」

昼間「ドルボリドルに似た種族に、ドンキー族というゴリラの姿をした種族がいます。彼らはとても頭が良く、喋る事もできます」

おこめ「でもドルボリドルは今まで喋らなかったのに…」

362ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/03(金) 21:18:58 ID:5KDco17I00

昼間「それはどんな種族でも同じですよ。赤ちゃんが初めから流暢に喋れるわけではないでしょう?」

おこめ「なるほど…成長したんだな」

昼間「ええ。君が毎日世話をしている成果と言えるでしょう。このまま意思疎通ができるまでになれば、もしかしたら元いた世界に帰してあげられるかもしれません」

おこめ「まじ!?」

昼間「赤ん坊の頃の記憶ですから保証はできませんが…可能性はあります」

おこめ「そうか…じゃあこれからもっと話しかけるようにするぞ!」

昼間「フフ、よろしくお願いします。私もできる限り対話を試みることにします」

おこめ「おお、センセーもよろしくな!」

衝撃「ガルルル…!」

昼間「衝撃くんの方は相変わらずですね…」

おこめ「でも最近ぼくに電撃しなくなった!手渡しでエサもあげてるぞ!」

昼間「ほう…少しは人に慣れてきたのでしょうか」

おこめ「毎日世話をしている成果!」

昼間「そうですね。魔法動物科の先生もすごく助かってると言っていましたよ。ただ、自分の研究も疎かにしてはいけませんよ、おこめくん」

おこめ「モチのロン!」

363ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/03(金) 21:19:40 ID:5KDco17I00




翌日。

おこめ「おはようドルボリドル!」

ドルボ「おはよう」

おこめ「ぼくおこめ!」

ドルボ「知っている。お前はおこめ…私はドルボリドル」

おこめ「すげー!じゃあドルボリドルを見つけたヒトわかる?」

ドルボ「昼間の召喚士だな。召喚魔術のエキスパート。現状は魔法学校一の魔法使いだ」

おこめ「うおー!めっちゃ喋れるようになってる!!」

ドルボ「そう騒ぐな。まずは私をこの狭苦しい檻から出してもらおう」

おこめ「おー、そうだな。そこまで喋れたらもうほとんど人みたいなもんだ。センセーにカギもらってくるぞ!」

364ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/03(金) 21:20:23 ID:5KDco17I00



数分後。

おこめ「カギもらってきたぞー」

女教師「本当なの?ドルボリドルが喋ったって」

おこめ「まじ!めっちゃ流暢よ!ほらドルボリドル、なんか喋って!」

ドルボ「命令するな。私はドルボリドル。お前はいつも私の世話をしている者だな。礼を言う」

女教師「あらほんと…なんかちょっとエラそうだけど…すごいわねぇ」

おこめ「ねえ、出していい?」

女教師「そうねぇ、まだダメよ」

ドルボ「何?」

女教師「知性を持った魔法動物は危険だからね。それもつい先日まで一言も喋らなかったのに、突然流暢に喋るなんて…明らかに不自然よ」

おこめ「ドルボリドルがあぶないヤツなわけないぞ!」

女教師「それはどうかしらねぇ。とにかく安全が確認できるまでは出しちゃダメ。昼間先生、聞こえますか?」

女教師は昼間の召喚士に念話を繋いだ。

昼間『はい』

女教師「ちょっとこっちまで来れるかしら」

昼間『分かりました」

と、言い終わる前に召喚士は空間移動で飛んできた。

365ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/03(金) 21:21:52 ID:5KDco17I00

おこめ「センセー、おはよー」

昼間「おはようございます。ドルボリドルの件ですね」

女教師「ええ」

ドルボ「昼間の召喚士、お前はこの世界に迷い込んだ私を拾ってくれた男だ。感謝している。だが私は狭い場所が嫌いなのだ。この檻から出せ」

おこめ「かわいそうだ!ねえセンセー、出していいでしょ!」

昼間「…あの時から記憶は残っているようですね。ならば質問します。ドルボリドル、君は一体どこから来たのですか?」

ドルボ「それは分からない。記憶があるのはこの世界に来た時からだ。光に包まれ、次の瞬間にはこの地にいた」

昼間「なぜ今になって喋り出したのです?一朝一夕でそこまで喋れるはずはない。つまり喋れるのにあえて喋らなかった…違いますか?」

ドルボ「違うな。私は恐らくこの世界に来た時の衝撃で、脳の回路が破壊されていた。それがようやく治っただけだ」

昼間「治った…?脳が自然に…」

女教師「有り得ないわね。脳はとても繊細な部位…破壊された言語野の回路が治るはずないわ」

ドルボ「自然にではない。治したのだ」

昼間「治した…!?どうやって…」

ドルボ「お前たちのよく知る方法だ」

昼間「まさか…魔法…?」

ドルボ「そうだ」

ドルボリドルは手のひらをおこめに向ける。

昼間「何をする気だ!」

おこめ「!!」

ドルボ「 私を檻の外へ出せ 」

昼間「な!?」

おこめ「はい」

おこめの瞳は赤くなり、操り人形のように動き出す。

366ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/03(金) 21:23:02 ID:5KDco17I00

ガチャッ…

ギィィィ…

ドルボ「よくやった」

ドルボリドルが檻を開けて出てきた。

昼間「馬鹿な…」

おこめ「はっ!…あれ、ぼく今なにしてた?」

ドルボ「お前たちの魔法とやら、学習させてもらった」

昼間「なるほど…」

パチンッ!

ドルボ「!!」

召喚士が指を鳴らすと、ドルボリドルの体を光る輪が拘束する。

おこめ「えっ!?なになに?!」

昼間「学習したということは、元々使えたわけではないようですね」

女教師「でも直接教えたわけでも魔法書を読ませたわけでもないし…どうやって習得したの…?催眠魔法なんて、そう簡単に覚えられる魔法じゃないわ…」

昼間「……耳…でしょうか」

ドルボ「その通り。この数年…私は、生まれながらに備わった高い聴力、そしてお前たち人間を遥かに上回る知能によって、施設外部の情報を少しずつ集めてきた」

女教師「なるほど…サルは人間の七倍もの聴力を持っている…」

ドルボ「そうだ…そして…身体能力も…」

パキ…パキ…ッ!

ドルボリドルを拘束する光輪がひび割れていく。

ドルボ「人間のそれとは次元が違うのだよ」

バキィン!!

女教師「な…光輪を腕力だけで……!?」

おこめ「カッケー!」

昼間「何を企んでいるのです?ドルボリドル」

367ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/03(金) 21:24:28 ID:5KDco17I00

ドルボ「…私の名の意味を知っているか?」

女教師「え…?何、急に…」

おこめ「知ってる知ってるー!㌦ポッターの㌦に、シャイニングボンバーのボ、トムリドルのリドルで、ドルボリドル!誰が名付けたと思ってんのー!」

昼間「私です」

ドルボ「そう、私は闇の魔法使いの名を継ぐ者。ドルボリドルの名において私は…この世界を支配する」

昼間「…何故そうなるんですか…」

おこめ「なにいってんだドルボリドル!」

ドルボ「言っただろう。私は狭い場所が嫌いなのだ。人間どもが私を管理する世界は窮屈だ。上に立つのは、私でなければならない」

昼間「そうですか…残念ですが…全力で阻止します」

ドルボ「それは困るな、昼間の召喚士。今のレベルでお前に勝てると思い上がるほど私は馬鹿ではない…」

ズズズズ…

おこめ「なんだ!?」

ドルボリドルの足元から黒いもやが溢れ出し、ドルボリドルの体を包んでいく。

ドルボ「また会おう」

そして黒いもやと共に、ドルボリドルは姿を消した。

おこめ「きえた…」

女教師「…そんな…魔力が追えない…!」

昼間「…私もです。魔力を隠すのがかなり上手いようですね…」

おこめ「ど、どうすんの!?」

昼間「魔力は感知できませんが、予想はできます。空間移動は難しい魔法ですから…行ったことのない場所に移動するのは至難の技です。つまり、今までにドルボリドルの行ったことのある場所…」

おこめ「それってもしかして、魔の森!?」

昼間「はい。ドルボリドルが初めてこの世界に現れた場所…そして誰も寄り付かない場所でもあります。身を隠すにはもってこいでしょう」

おこめ「ふっふっふ、相手がわるかったなドルボリドル!センセーにかかればお前の考えなんてお見通しってわけだ」

昼間「おこめくんはそろそろ教室へ行きなさい。授業始まりますよ」

おこめ「うわホントだやば!!あ、でもドルボリドルが…」

昼間「こっちは私に任せてください」

おこめ「まあ、センセーなら大丈夫か…じゃあドルボリドルをおねがいします!」

おこめはお辞儀をして、授業へ向かった。

女教師「本当に大丈夫ですか?昼間先生。あんなサルは見たことありません…」

昼間「確かに恐るべき知能です。だからこそ、早めに手を打たなければ」

368ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/03(金) 21:25:54 ID:5KDco17I00



それから召喚士は魔の森へ。

昼間「この森は相変わらずとてつもない魔力を放っていますね…こんな魔力に紛れられたら、そう簡単には見つけられません」

すると召喚士は魔法書を開き、ブツブツと詠唱を始める。

そして数秒後。

昼間「いでよ使い魔!」


ボボボボボ!!


召喚士の前に、犬のような魔物が五体出現した。

昼間「魔の森を探ってください。ドルボリドルを見つけるのです」

犬「わん!」

使い魔たちは一斉に魔の森へ放たれた。

昼間「な…!?」

しかし、その使い魔の反応が一瞬で消滅した。

昼間「馬鹿な…!いくら魔獣が棲んでいるとはいえここまで早くやられるなんて…!ありえない…まさか…」

ドルボ『お前の想像通りだ、昼間の召喚士』

昼間「ドルボリドル!」

ドルボリドルは念話によって召喚士に話しかける。

ドルボ『この森の魔獣は全て私のしもべとなった。魔獣を操ってお前の使い魔は潰させてもらったぞ』

昼間(この森の魔獣はそこらの魔物とは訳が違う…!本当に全ての魔獣を従えているとしたら、魔法学校はすぐにヤツの手に落ちてしまう…!!)

ドルボ『さあ、次はお前だ』

ガサガサッ

昼間「!!」

魔獣「ギャオォォッ!!」

四体の魔獣が一斉に召喚士を襲う。

昼間「はっ!」


ドガガッ!!


召喚士はそれを蹴り飛ばした。

昼間「くっ」

魔獣はさらに増えて襲いかかる。

昼間(この数…流石に一人では分が悪い…!)

369ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/03(金) 21:26:41 ID:5KDco17I00


パチンッ!


次の瞬間、召喚士は自分の職務室にいた。

昼間「ふぅ…危険ですね…なんとか対策を打たなくては」

㌦「何がですか?」

昼間「㌦くん!」

そこには㌦ポッターがいた。

㌦「どうしたんですか召喚士先生」

昼間「君こそどうして私の職務室に?まだ授業中のはずですが?」

㌦「いや、この時間は先生に召喚魔法の新たな研究について発表する予定でしたけど?」

昼間「あ……すみません、忘れていました」

㌦「えぇ!?」

昼間「実は急用ができましてね…」

㌦「急用?」

昼間「実はかくかくしかじかで…」

召喚士はドルボリドルのことを話した。

㌦「そんな…!ドルボリドルが…!?」

昼間「はい。魔の森の魔獣を相手に正面から戦えるのは恐らくファイターである私たちだけです。㌦くん、協力してもらえますか?」

㌦「わ、分かりました…おこめくんは?」

昼間「彼はまだこの戦いにはついて来れないでしょう。代わりに射撃魔法の部隊を編成し、遠距離から私たちの援護をしてもらいます」

㌦「はい」

370ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:16:41 ID:FqmhGX0Q00



それから召喚士は戦闘に秀でた魔法使いたちを招集し、作戦を説明した。

そして再び、魔の森の前へとやってきた。

昼間「…では、これより魔の森に突入します。準備はよろしいですか?」

魔法使いたち「はい!」

昼間「よし…行きますよ、㌦くん!」

㌦「はい!」

ドルボ『懲りずにまた来たようだな、昼間の召喚士。今度は手下を引き連れているようだが…』

㌦「こ、この声、ドルボリドル…!?本当に喋ってる…」

昼間「手下ではなく仲間です。全てを催眠魔法で従えている君には分からないでしょうがね」

ドルボ『弱者が強者に従うのは当然の事だろう。さあゆけ、我がしもべたちよ!!愚かな人間どもを駆逐するのだ!!』


ドドドドドドドド!!


地響きと共に、大量の魔獣が森から飛び出してきた。

昼間「はあっ!」

㌦「とうっ!」


ズドッ!!

ドガッ!!

バキッ!!


㌦「くっ…!強い…!」

二人はなんとか応戦するが、数の多さに苦戦する。

371ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:17:18 ID:FqmhGX0Q00

昼間「みなさん、一匹そっちへ行きました!防御魔法を展開してください!」

魔法使いたち「はい!」


フォンッ…


魔法使いたちは一斉に杖を前に出し、透明な壁を作り出した。

ドガッ!

魔獣「グオッ!」

魔獣は壁に激突し、はじき返される。

㌦「はあっ!!」


グシャッ!!


追ってきた㌦ポッターのパンチで魔獣の体は砕け散った。

昼間「㌦くん、ここは頼みます!私は森の奥へ向かいます!」

㌦「了解!」

召喚士は森の中へ入っていった。

魔獣「ガルルル…」

魔獣はさらに数十体増えていた。

㌦「…頼むって、この量を…?まったく、先生は人使いが荒いんだから…」

372ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:18:13 ID:FqmhGX0Q00



ダダダダダダダ…

召喚士は森の奥へと駆け抜けていく。

昼間(ここまで近づけば、微かにドルボリドルの魔力を感じ取れますね…この先にいる…!)

ズザッ!!

そこには不自然に木が生えていない空間が作られていた。

そしてその中心にある切り株に、ドルボリドルが腰を掛けていた。

ドルボ「早かったな、昼間の召喚士」

昼間「ドルボリドル…」

ドルボ「だが私の成長の方が早かったようだ」

昼間「何…?」


パチンッ!


ドルボリドルが指を鳴らすと、木でできた銃のようなものがその手に召喚された。

昼間「何ですか?それは…」

ドルボ「見れば分かるだろう」


ギュゥゥゥ…


ドルボリドルは銃を掲げ、徐々に銃口を召喚士へと下ろす。


ドンッ!!


ドルボ「ディディー族に伝わる伝説の銃…ピーナッツ・ポップガンだ」

シュゥゥゥ…

昼間「…!」

召喚士は銃口の動きを読んでかわしたが、後ろにあった木が消し飛んでいた。

373ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:19:13 ID:FqmhGX0Q00

昼間「な、なんという威力…それにディディー族とは一体…」

ドルボ「何…?知らぬのか?この世界にドンキーが存在する以上、ディディーもいると思ったのだがな」

昼間「やはりドンキー族と関係が…?」

ドルボ「私の祖であるディディーコングは、ドンキーコングと同じジャングルで育ち、共に戦った…お前の言うところの、仲間だったのだ」

昼間「なるほど…しかしこの世界にディディー族はいませんよ。ディディーコングがいたかは定かではありませんが、どちらにせよ"種族"となるまでには繁栄できなかったようですね」

ドルボ「ふん、まあどうでもよい。私のファイターとしての能力を知られていないのであれば、その方が好都合だ」

昼間「しかし君はその情報をどこで…?ディディー族という名がこの世界に存在しないなら、どれだけ聴力が優れていようと聴くことはできないはず…」

ドルボ「記憶を見たのだ」

昼間「!…そうか、ファイターの記憶が…いや、しかし何かトリガーとなるものがなければ記憶は見られない…」

ドルボ「ああ。そのトリガーはこれだ」

パチンッ!

ドルボリドルは再び指を鳴らす。

昼間「…?」


ヒュゥゥゥゥ……


ドゴォン!!!


上から降ってきたのは、青く巨大なゴリラだった。

昼間「な…!まさかこれは…魔の森の…ヌシ…!?」

374ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:20:16 ID:FqmhGX0Q00

ドルボ「さあ…何者かは知らぬが、私がこの森に来た時に襲いかかってきたのだ。同時に私は祖の記憶を見た。そして此奴は最強のしもべとして従えることにした」

昼間「ヌシまでも容易く操るとは…!」

ドルボ「やれ」

ヌシ「グオオオオオオッ!!」


ドゴォォッ!!


昼間「くっ!」

召喚士はヌシのパンチを緊急回避するが。

ドルボ「こちらも忘れるなよ?」


ドンッ!!


昼間「ぐあっ…!」

ピーナッツが召喚士の肩を直撃した。

ヌシ「グオオオオ!!」


バチィン!!!


ヌシが放ったビンタをなんとかガードするが。

昼間「くっ…重い…!」


ドガァッ!!


耐えきれず吹っ飛ばされ、木に激突した。

昼間(なんという攻撃力…!一対一ならともかく、ドルボリドルもいる状況ではヌシの攻撃はかなりの脅威になりますね…どう切り抜ける…)

召喚士はすぐに立ち上がり、二人を視界に捉える。

ドルボ「ふむ…この状況でも冷静に戦略を練る胆力…殺すには惜しいな。人間など配下に加える必要はないと思ったが、気が変わったぞ」

昼間「!!」

ドルボリドルは召喚士に手のひらを向ける。

ドルボ「私のしもべとなれ、昼間の召喚士」

375ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:21:19 ID:FqmhGX0Q00

昼間「……無駄です」

ドルボ「…そうか。お前を操ることはできぬのか。優れた魔法使いともなれば、催眠魔法へのプロテクトは常時張っているという訳だな?」

昼間「理解が早いですね」

ドルボ「大人しく操られておけば命は助かったものを」

昼間「操られて仲間を攻撃するくらいなら死んだ方がマシです」

ドルボ「ならば死ぬがいい」

昼間「それも御免ですね」

ヌシ「グオオオオオオッ!!」


ドゴッ!!!!


昼間「遅い!」

召喚士はヌシの攻撃をかわし。


ズドドッ!!


反撃の連続攻撃をくらわせた。

ヌシ「グガァァ!」

昼間(まず先にヌシを仕留める…!)

召喚士はさらに追撃をしようと踏み込む。

が。


ズルッ!


昼間「何っ…!?」


ズコッ!!


召喚士は地面に転がっていたバナナの皮で滑って転んだ。

そしてそこへドルボリドルがピーナッツ・ポップガンの銃口を向ける。

ドルボ「終わりだ、昼間の召喚士」


ドンッ!!!!

376ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:35:40 ID:FqmhGX0Q00



㌦「はぁ…はぁ…数が多すぎる…!射撃部隊ももう魔力が限界だ…!」

魔獣「グオオオオッ!!」

㌦「たあっ!!」


ドガァッ!!


魔獣「グァァ…」

㌦「くそっ…もし森の中にこれ以上の数の魔獣がいるとしたら、先生だって危ないぞ…!」

魔獣「ガァァアッ!!」

㌦「!!」

㌦を背後から魔獣が襲った。

㌦(くっ!ガードが間に合わないっ…)


スワーッ!!


㌦「えっ!?」

突然魔獣は後ろから何かに吸い込まれた。


バチバチバチバチ!!


魔獣「グギャァァァ!!」

さらに、他の魔獣も突然感電し、焼け焦げて倒れる。

㌦「な…なぜ君がここに…!」

377ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:36:32 ID:FqmhGX0Q00

おこめ「えっへん!助けにきてやった!」

衝撃「ガルルルルル…」

そこに現れたのはおこめと衝撃だった。

おこめ「ドルボリドルがこの森にいるのはわかってたからな!センセーたちだけじゃ力不足だとおもったんだ」

㌦「失礼な!僕はともかく召喚士先生は大丈夫だよ!」

おこめ「フフフ、どーかな」

㌦「…まあ僕も少し心配になってきてたとこだけど…ていうか衝撃くん連れてきて大丈夫なの…!?」

おこめ「問題ナシ!なぜならぼくには懐いてきてるからだ!もうほとんどビリビリされなくなったし、言うこともそこそこ聞いてくれるぞ」

㌦「若干怪しいな」

おこめ「ちなみに㌦は近づいたら即ビリビリの刑だから気をつけろ」

㌦「全然大丈夫じゃないじゃん!…って喋ってる場合じゃないや!」

おこめ「いくぞー!」

魔獣「グオオオッ!!」


ズドドド!!!


ドガガガガ!!!


三人は一気に攻めて、魔獣をどんどん倒していく。

㌦「はぁ…はぁ…召喚士先生は先に森の中に入ってる…僕たちもここを片付けたらすぐに追わなきゃ!」

おこめ「それなら心配いらない」

㌦「え?いや、確かに先生はめちゃくちゃ強いけど…」

おこめ「そうじゃなくて、実はもう一人助っ人をよんである!その人がセンセーのとこにもう向かってる!」

㌦「助っ人…?僕らの他にファイターなんていたっけ…」

おこめ「ファイターじゃない、フツーの人!でもぼくたちよりつよい人!」

㌦「えっと…それって…」

378ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:37:26 ID:FqmhGX0Q00



ドルボ「…誰だ?お前は…」

召喚士に向けて放たれたピーナッツ弾は、防御魔法によって弾かれていた。

昼間「…こ…校長先生…!」

校長「ほっほっほ、おこめくんに頼まれましてな」

ドルボ「校長…?なるほど、この空間の頂点に君臨する者か」

校長「買い被りすぎじゃよ。昼間先生のほうがずっと強いわい」

ドルボ「…なるほど、確かに感じる魔力の量は昼間の召喚士のほうが上だ。だがその異様な雰囲気…只者でないことは分かる」

ドルボリドルはそう言いながら手のひらを校長に向ける。

校長「ん?何かな?」

ドルボ「…やはりか。私の催眠魔法も意に介していない」

校長「ほっほっほ、こちらもお返しするとしようかのう」

ドルボ「何?」

次の瞬間。


ギンッ!!


何の予備動作もなく、校長が大きく目を見開く。

校長「…」

ドルボ「……」

昼間「…こ、これは…催眠魔法の攻防が行われている…?」

しばらく沈黙が続く。

両者動かず。

379ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:38:17 ID:FqmhGX0Q00

そして沈黙を破ったのは。

ドルボ「ぶはっ…!」

昼間「!!」

ドルボ「はあっ…はあっ…この私を操ろうとは…!」

校長「うぅむ、防がれたか…こりゃ困ったのう」

ドルボ「厄介だ…こういう相手は力で叩き潰すに限る…!やれ!!」

ヌシ「グオオオオオオッ!!」

召喚士の前に立ち塞がっていたヌシが標的を変え、校長の方へと走り出す。

昼間「行かせません!」


ボボボッ!


召喚士はファイアボールを放つ。

ヌシはそれを物ともせず突き進む。

昼間「校長先生!」

校長「そう慌てなさんな」

クイッ!

校長は杖を小さく振る。

ヌシ「グオオオッ!!」

と、ヌシは進路を変え、ドルボリドルのほうへと走り出した。

ドルボ「何だと!?」

昼間(すごい…!催眠を上書きした…!)

380ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:39:08 ID:FqmhGX0Q00


ドゴォン!!!


ドルボ「チッ…!」

ドルボリドルはジャンプして木に飛び乗ることでその突進をかわしていた。

ヌシはそのまま木に頭を強打し、目を回している。

校長「おや、催眠が解けてしまったか。まあよい。これで二対一じゃな」

ドルボ「二対一?何の話だ?」

昼間「!!これは…!囲まれています!」

校長「…そのようじゃのう…」

気づけば周りに魔獣の群れが集まってきていた。

魔獣「グルルル…」

ドルボ「其奴らの相手でもしていろ。その間に私は更に力を付ける。さらばだ」

校長「逃がさんぞっ!」


バッ!!


校長は素早く両手をドルボリドルに向けて突き出す。

校長「封印ッ!!」

掛け声とともに両手を合わせる。

ドルボ「なっ…何だこれは…!」

ドルボリドルの体は動かなくなり、足元から少しずつ黒い布が巻きついていく。

校長「ほっほっほ、ワシはこう見えても大昔に封印魔法を開発した張本人でな…!」

381ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:40:18 ID:FqmhGX0Q00

ドルボ「クソッ…こんなところで私が封印など…されるものかァァ!!」

校長「暴れようとしても無駄じゃ…!封印は力でどうにかなるものではない!」

ドルボ「うおおおおおオオオオオオオオ!!」

昼間「な…何かおかしい…!私も手伝います!」

召喚士もドルボリドルに手を向け、封印魔法を放つ。

ギュルルルルルル…!!

黒い布が巻きつくスピードが更に上がり、一気にドルボリドルの体は見えなくなっていく。

ドルボ「オオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」


ゴプッ…


校長「何じゃ…!?」

ドルボリドルの口から、黒いスライムのようなものが溢れ出た。

そして次の瞬間、ドルボリドルの体は完全に黒い布で包み込まれた。

昼間「封印…できたのか…?」

校長「いや…あの黒いものからとてつもない魔力を感じますぞ…」

ドルボ『クク…フハハハハハハ!!』

昼間「なっ!?」

ドルボ『残念だったな、昼間の召喚士!!そして校長とやら!!私は肉体を捨てた!!』

校長「肉体を捨てたじゃと…?」

ドルボ『固形化した魔力に思念を乗せ、体外に排出したのだ!!一か八かの賭けではあったが…クク…上手くいったようだな!!』

昼間「馬鹿な…!」

校長「言わば自身を魔物化したという訳か…!」

ドルボ『フハハハハハハ!!さらばだ!!』

そして謎の黒い物体と化したドルボリドルは姿を消した。

382ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:41:08 ID:FqmhGX0Q00

昼間「くっ…!」

校長「追いたいところじゃが…魔獣が来ますぞ、昼間先生!」

昼間「はい!」


ズドッ!!

バキッ!!


二人は攻撃魔法を駆使して魔獣たちを倒していく。

校長「はあ…はあ…キリがありませんな…ドルボリドルの魔力ももう感じんし、一度退くとしましょう」

昼間「そうですね…」

魔獣「グオオオッ!!」

魔獣が校長の背後から飛びかかる。

校長はすぐに杖を振り、防御魔法を使おうとしたが。

校長「ゴフッ…」

突然吐血した。

昼間「校長先生!!」

ドガッ!!

咄嗟に召喚士が割って入り、魔獣を蹴り飛ばした。

昼間「だ、大丈夫ですか!?」

校長「ほっほっほ…久しぶりの運動で疲れましたな…ゴホッ…ワシは気にせんでよい…それより…魔獣に気を付けなさい…」

昼間「は、はい…!」

魔獣「グオオオオオオオ!!」

さらなる魔獣たちが二人を襲う。

昼間(くっ…全方向から…!これでは校長先生を守り切れない…!)

383ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:41:48 ID:FqmhGX0Q00


㌦「はあっ!!」

おこめ「とおっ!」

衝撃「デガワァ!!」


ドガガガガ!!

ドゴォォン!!


そこへ駆けつけた三人によって、魔獣たちは一気に半分ほど蹴散らされた。

昼間「君たち!」

おこめ「だいじょーぶ?センセー」

㌦「急に魔獣たちが森の奥へ戻っていったので、もしかしたらと思って追いかけたら、案の定でした」

衝撃「ガルルルルル…!」

昼間「助かりました。ありがとうございます」

おこめ「あれ、ドルボリドルは?」

昼間「…すみません…肉体は校長先生が封印したのですが、逃げられました」

おこめ「ど、どゆこと…?」

昼間「詳しくは後で。今はとにかく、森を抜けましょう!」

㌦「はい!」

そして五人は魔獣たちを退けながら、魔の森から出た。

384ハイドンピー (ワッチョイ d3da-1327):2022/06/04(土) 21:42:43 ID:FqmhGX0Q00



五人は森の外で待機していた射撃部隊と合流した後、校舎へと戻ってきた。

そして衝撃は飼育施設へ、校長は医務室へと送り届けられた。

おこめ「ふいーーっ!」

㌦「なんとか無事帰れたね。校長先生、大丈夫かな…」

昼間「疲れが出ただけみたいです。もうお年ですからね。魔法薬を飲めばすぐに良くなりますよ」

㌦「そうですか…それならいいんですが。あ、それでドルボリドルは…」

昼間「それが、かくかくしかじかで…」


㌦「…なるほど…自らを魔物化…そんなことが…」

おこめ「でも、どこいったんだろ…魔の森以外にかくれるとこある?」

昼間「正直分かりません…最悪、魔法学校の外…表の空間へ行った可能性もあります」

おこめ「えー!?行ったことない場所に行くのはムズイって言ってたじゃん!」

昼間「はい…ですがドルボリドルは我々の想像を遥かに上回るスピードで成長していました。表の空間の存在自体は恐らくあの聴力で知っているでしょう…ならば狭い場所を嫌う性格上、より広い外へと行こうとするのも自然な流れです」

おこめ「そうか…たしかに…」

昼間「私はすぐにドルボリドルを捜索します。あの体では魔力を隠すのは難しいでしょうし、魔法書を使えば余程遠くへ離れていなければ見つからないことはないはずです」

㌦「僕たちは?」

昼間「通常通り授業に行ってください。何か分かれば知らせます」

㌦「はい」
おこめ「はーい」

二人は各々の教室へと向かった。


昼間「ふぅ…困りましたね…収穫もありましたが…それ以上にまずい状況になってしまった…ドルボリドルは何をしでかすか分からない…早く見つけ出さなければ…!」

385はいどうも名無しです (ササクッテロ 0529-9674):2022/06/06(月) 21:21:06 ID:EYCU31xoSp
続ききてるやん!支援!

386はいどうも名無しです (ワッチョイ 646e-4dd4):2022/06/06(月) 21:36:42 ID:fi2/fnOk00
遂にSP勢も来てたのか

387ハイドンピー (ワッチョイ e490-8010):2022/06/08(水) 21:02:57 ID:IyoCTAVE00





数日後。

表の空間のとある病院にて。

赤ヨッシーがベッドで横たわり、そばに助産師がついている。

母「んぐおあおおおっ!!」

そして。

???「「おぎゃああ!おぎゃああ!」」

カービィ族が生まれた。

助産師「ふ、双子…!?」

母「え?どういうこと?」

母の位置からはカービィは一人にしか見えない。

事前の検査でも、赤子は一人しかいなかったはずだ。

しかし。

助産師「これを…見てください…」

母「…な…!?こ…これは…!!」

赤子の股間…包み隠さずに言うとチンコに顔が付いていた。

母「せ、先生!どういうことなんですか!?これは!」

産婦人科医「うーん。たぶん一卵性双生児が繋がったまま出てきちゃったんだろうねえ。ソーセージだけにね。たまにあるよこういうことは。タマだけにね」

母「そ、そうなんですか…?だ、大丈夫なんですか…?」

産婦人科医「大丈夫なわけないでしょ」

母「はあ!?」

産婦人科医「まあまあ心配しなさんな。ちょうどこの町に私の友達の有名なドクターが来てるんだよ。さくっと治してくれるさ」

母「そ、そんな簡単に治るものなんですか!?」

産婦人科医「フツーは無理よ。でも彼は超絶天才だから。ちょっと待ってな」

と言うと産婦人科医は外へ出てどこかに電話を掛けた。

388ハイドンピー (ワッチョイ e490-8010):2022/06/08(水) 21:03:31 ID:IyoCTAVE00



数分後。

医者「どうも」

母「ほ、本当に治せるんですか!?」

医者「ええ、まあ」

産婦人科医「んじゃあよろしく頼むわー」

医者「適当だな」

そして赤子は手術室へと連れて行かれ。



一時間後。

医者「手術は成功しました」

母「ほ、本当に!?」

医者「はい」

助手の人が手術室の中から赤子を持ってくると、ソーセージは切り離されていた。

本体もソーセージも、穏やかな表情で眠っている。

母「りょ、両方生きてるんですよね!?」

医者「まあそうですね」

母「あ…ありがとうございます!!ありがとうございます!!なんとお礼を言ったらいいか…!!」

医者「お気になさらず」

産婦人科医「相変わらずエグいな。なんでもありじゃん」

医者「呼んどいてエグいはないだろ。医療の神様を目指している私にはこれくらい当然だ」

産婦人科医「そうかー。まあがんばれよ」

医者「じゃあ私はこれで」

ドクターは去っていった。

母「ああ…なんて奇跡なの…奇跡の子よ、あなたたちは」

母は泣きながら息子たちを抱きしめるのであった。

389ハイドンピー (ワッチョイ e490-8010):2022/06/14(火) 20:57:41 ID:YxyOqJgg00





その頃、中学生は。

中学生「着いたー!!」

王国に到着していた。

中学生「ふー、疲れた…ずっとブーメラン投げっぱなしだったからなぁ…」


ワアアアアアアア!!


中学生「な、なんだぁ!?」

突然、町の奥ですごい歓声が沸いた。

中学生が駆け寄ると。

ゲン「はーっはっは!みんな応援ありがとう!今日も俺がブッちぎるところを見ていてくれ!」

観客「キャー!ゲンさーん!」
観客「ステキー!」
観客「あんたサイコーだぜ!」

中学生「なんだありゃ…」

観客「君、知らないのかい?史上最速のF-ZEROレーサー、ゲンさんさ」

中学生「へー。F-ZEROってなんですか?」

観客「この国で一番人気のレース競技だよ。F-ZEROマシンは物凄い速さで走るんだ。見ていくといい」

中学生「ふーん」

390ハイドンピー (ワッチョイ e490-8010):2022/06/14(火) 20:58:07 ID:YxyOqJgg00

観客「君は他の国から来たのかい?」

中学生「はい。最近この辺りで行方不明になった女の子を探してるんです。もしかしたら俺の知り合いかもしれなくて」

観客「ああ、そういえばそんなこともあったねえ。ヒーローんちの…」

中学生「ヒーロー?」

観客「その女の子を預かってた家の子だよ。正義感が強くて、いつも人助けしてるんだ。まあこの国はめちゃくちゃ平和だから、ヒーローらしいことできなくて、本人は不満そうだけどね、ははは」

中学生「そうですか…いい人に助けてもらってたんだ、良かった…それで、その家はどこに?」

観客「えーっと、たしかあっちの方だったかな。ヒーローはいつも町をパトロールしてるから、ひょっとするとその辺で会えるかもな」

中学生「ありがとうございます!」

中学生は礼を言うとすぐにその方向へ走り出した。

観客「えっ、ちょっと!見てかないのかい!?」

中学生「また今度ー!」

391ハイドンピー (ワッチョイ e490-8010):2022/06/14(火) 20:58:55 ID:YxyOqJgg00



そして数分後、中学生は観客の言っていた辺りにやってきた。

中学生「この辺だったよなー…」

中学生はキョロキョロと周りを見回す。

住民「おや、見ない顔だね。何かお探しかな?」

中学生「すいません、ヒーローって人の家を探してて」

住民「ああ、それならそこの角を曲がって真っ直ぐ行ったところだよ」

中学生「ありがとうございます!」

中学生は言われた通りに進んでいく。

そこには普通の一軒家があった。

ピンポーン

インターホンを押すと、しばらくして。

ガチャ

ヒー母「あら、こんにちは」

中学生「こんにちは」

ヒー母「うちの子の友達?ごめんね、今パトロール中なのよ」

中学生「いえ、前に行方不明になった女の子についてちょっと話を聞きたくて…」

ヒー母「えっ!?」

中学生「実は俺も昔、かくかくしかじかで…」

中学生は事情を説明した。

ヒー母「…そう…もしかしたらあの子が、君の友達かもしれないのね?」

中学生「はい」

ヒー母「…ちょっと待っててね」

ヒーローの母は一度家の奥へ行って、しばらくして戻ってきた。

中学生「これは…」

ヒー母「あの子の写真よ」

中学生「…!間違いない…アイツだ…!」

ヒー母「やっぱりそうなのね…もっと詳しく話をしたいわ。中に入って」

中学生「あ、はい…お邪魔します」

392ハイドンピー (ワッチョイ e490-8010):2022/06/14(火) 20:59:42 ID:YxyOqJgg00

リビングでテーブルにつき、二人は話を続けた。

少女の家族事情や魔力暴走体質について。

空間探査魔法で中学生が少女を探していること。

そして少女がなぜ消えたのか。

中学生「…たぶんアイツは暴走してあなたたちを襲ってしまう前に、自分から姿を消したんだと思います」

ヒー母「そっか…私たち家族もあの子が消えた後、国中を捜し回ったの。でも、何の手掛かりも見つからなかった……もしかしたらあの子がいたって記憶が間違ってるんじゃないかって……夢でも見てたんじゃないかって思ったりして…」

ヒーローの母は堪えきれず涙を流し始める。

中学生「…嫌なこと思い出させちゃってごめんなさい…」

ヒー母「あっ、ううん、こっちこそごめんなさい!でもあの子、私たちのためにいなくなったのね。事情くらい話してくれれば良かったのに、まったくもう…」

中学生「きっと俺が見つけてみせます。そしたらここにも連れて来ますから、絶対!」

ヒー母「…ふふ、ありがとね。君のこと、家族にも伝えておくわ」

中学生「はい!じゃあ俺は行きます!」

ヒー母「ええ、頑張って!でも無理しないでね。あの子のためにたくさん頑張ってくれる君も、私の家族みたいなものよ」

中学生「へへ、ありがとうございますおばさん!」

そして中学生はヒーロー家を出立した。

家の前の角を曲がった先で。

ヒーロー「ふぅ…今日も異常無しか。満たされないな…」

中学生は黄色い帽子のマリオ族とすれ違った。

中学生「…ん?今のって…」

中学生は振り返るが、マリオ族は角を曲がったのでもうそこにはいない。

中学生「…まいっか。よっしゃ!旅の続きと行くか!」

中学生はまたブーメランを投げながら、少女の行方を追い続けるのであった。

393ハイドンピー (ワッチョイ e490-8010):2022/06/19(日) 21:09:55 ID:qW5pYw3g00





魔界・第四階層"奈落"。

黒猫「おしり!」

おしり「どうした、黒猫…」

犬のような黒猫と腫れたおしりの二人は、奈落の東側にある洞窟を住処にしていた。

黒猫「にゃんか見つけた!」

おしり「何かってなんだ…」

黒猫「よくわからん!変な穴だ!」

おしり「穴…?最下層への入り口じゃないだろうな…」

黒猫「いや、めっちゃ木生えてたぞ!」

おしり「木…?この奈落に植物など存在するのか…?ここへ落ちてから数年、そんなもの見たことも聞いたこともないが…」

黒猫「とにかく行くぞ!」

おしり「うおっ、引っ張るな!」

黒猫はおしりの手を引き、その穴へと向かった。

394ハイドンピー (ワッチョイ e490-8010):2022/06/19(日) 21:10:29 ID:qW5pYw3g00



そして二人は、住処の洞窟から数百メートル離れた岩場まで来た。

おしり「…なるほど、たしかに穴だ…」

その岩の一つに、穴が開いていた。

黒猫「ほら!覗くと木みたいなのが見えるだろ?」

おしり「ああ…しかしこれは一体どこへ繋がっている穴だ…?岩の内部に木が生えている訳でもあるまい…」

黒猫「木があるってことは、きのみがあるかもしれにゃいぞ!」

おしり「たしかにな…だが罠の可能性もある…」

黒猫「うひょー!」

おしり「っておい待て黒猫!」

黒猫は忠告も聞かずに穴の中へ飛び込んだ。

おしり「まったく…仕方ない…俺も行くか…」

おしりも黒猫を追って穴へと入った。

395ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/23(木) 21:01:45 ID:LlBw6Xg.00





とある小国の、とあるジャングルでは。

???「ぐおおぉぉ…」

黒いゴリラが寝ていた。

???「ティーダ起きて。また"ヤツら"だべ」

ゴリラに向かって話しかけるのは、黄色いヨッシー族。

ティーダ「ウホ…?」

ザッ…

???「お前がジャングルの怪物…モケーレムベンベか」

そしてそこへ現れたのは、五人の緑フォックスたちだった。

ベンベ「しつこい!帰って!」

???「このジャングルの固有種の樹脂が研究に必要なのだ。そこをどいてもらおう」

ベンベ「このジャングルはオラたちの縄張りだべ!何度追っ払えばわかるんだ!」

ティーダ「ウホ」

???「ならば仕方ない」

フォックスたちは一斉にブラスターを構える。

ベンベ「来るべ!ティーダ!」

ティーダ「ウッホ!」


ズドドドドドドッ!!!!


ティーダは圧倒的なパワーと地の利を生かした的確な動きでフォックスたちを瞬殺した。

396ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/23(木) 21:03:27 ID:LlBw6Xg.00

???「…CR-194から197が全滅。一時退却する」

キィィィィン…!

唯一生き残ったフォックスは、少し離れた場所に駐めていたアーウィンに乗り込んで飛び去った。

ベンベ「もう二度と来るんじゃないべー!まったくアイツら…でもティーダはやっぱりすごいべ!あんなコワイヤツらに全然ビビらないしな!」

ティーダ「ウホホ」

ベンベ「そうだ、向こうに新しいバナナの木見つけたんだべ!食べにいこう!」

ティーダ「ウホー!」

二人はジャングルの奥へ走る。


ベンベ「ほら、アレだべ」

そこにはたっぷりとバナナが実った木があった。

ティーダ「ウッホー!」

ベンベ「うまそー!いただきまーす!」


ドゴォッ!!!!


ベンベ「ぐほぉっ!?」

ベンベはブン殴られて吹っ飛んだ。

397ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/23(木) 21:04:59 ID:LlBw6Xg.00

黒猫「これはオイラが先に見つけたんだぞ!横取りするにゃ!!」

ベンベ「誰だべ!?」

おしり「いきなり殴ってすまんな…我々は奈落から来た…」

ベンベ「な、奈落?」

おしり「第四階層だ…まああんな場所に住んでいる奴など、我々か奈落のヨシオぐらいのものだ…知らなくても無理はないか…」

ベンベ「何の話してるかわかんないけど…ティーダ!とりあえずコイツらブッ飛ばすべ!」

ティーダ「ウホ!!」

黒猫「にゃんだ!やんのかこら!」


ドガガガガガ!!!!


ティーダと黒猫は激しく殴り合う。

ベンベ「そ、そんな…嘘だべ…!?ティーダと互角に戦ってる…!?」

おしり「黒猫の戦闘センスはかなりのものだ…それに元々森や岩場の多い"腐敗"に住んでいたからな…この木々の中でも十分に実力を発揮できる…」

ベンベ「フハイってなんだべ…?」

おしり「腐敗も知らないのか…?一体ここはどこなんだ…」

ベンベ「どこって、"コンゴジャングル"に決まってるべ」

おしり「コンゴ…ジャングル…?喧騒にそんな場所あったか…?」

ベンベ「ケンソウ?お前さっきから何言ってるべ」

おしり「いや…コンゴジャングル…どこか聞き馴染みのある……まさか……」

ベンベ「何ブツブツ言ってるんだべ…怖いべ…」

398ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/23(木) 21:06:04 ID:LlBw6Xg.00


ピカッ!!


おしり「!?な、なんだ…!?」

ベンベ「何って…朝が来ただけだべ?」

おしり「朝…まさかあれは太陽か…!?ということは…やはりここは地上…!?」

ベンベ「地上に決まってるべ…」

おしり「そうだったのか…まさかあんなところに開いた穴が地上に繋がっているとは…」

ベンベ「なんだ?お前ら、地下から来たんだべ?」

おしり「地下ではない、魔界だ…言っても分からんだろうがな…」

ベンベ「マカイ?」


ドサァ!


ティーダ「ウホォ…」

ベンベ「ティ、ティーダ!?」

黒猫「やったー!勝ったぞ!おしり、この黄色いきのみ早く食おう!」

おしり「ああ…」

ベンベ「そんな…ティーダが負けるなんて…」

おしり「悪いがこの世は弱肉強食…お前たちの縄張りのようだが、ここは明け渡してもらおう…」

399ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/23(木) 21:06:47 ID:LlBw6Xg.00

ベンベ「ま、まだオラは負けてないべ!」


ドゴォッ!!


黒猫「にゃっ!?」

ベンベの蹴りがバナナをむさぼる黒猫の顔面にヒット。

おしり「なっ、お前も戦えたのか…!」

ベンベ「オラだってファイターだべ!!うおおおお!!」

ドガガガガガッ!!

ベンベは連続で蹴りを入れまくる。

黒猫「あーもう…邪魔!」


ズドォ!!!!


ベンベ「ぐはっ…!」

黒猫のパンチ一発でベンベは沈んだ。

黒猫「おしり、何してるんにゃ?早く食わにゃいとオイラが全部食っちまうぞ!」

おしり「あ、ああ…容赦ないなお前…」

そして二人はバナナをむさぼり始めた。

400ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/25(土) 21:22:08 ID:IT69AQSs00



それから数十分後。

おしり「ふぅ…これだけあれば数ヶ月は食糧には困らんな…収穫も終わったし、そろそろ帰るぞ黒猫…」

黒猫「うん」

二人はバナナを大量に詰めた袋を背負って、穴へと向かう。

おしり「…あれ?」

黒猫「ん?どうしたにゃ?」

おしり「穴が…無くなっている…」

黒猫「え?」

おしり「無いのだ…!通ってきた穴が…!!ど、どうする!これでは帰れんぞ!」

黒猫「えぇ〜!?」

おしり「我々はゲートを開くこともできんし……詰んだ…」

黒猫「んー、まあいいんじゃにゃいか?ここのほうがいっぱい食えるモンあるし!」

おしり「たしかに…」

ベンベ「う〜ん…うるさいなぁ…なんだべ…?」

ティーダ「ウホ…」

騒いでいるとベンベとティーダが目を覚ました。

黒猫「ほら、非常食もいるし!」

おしり「…自分と似た姿のヤツを食うのはちょっと…」

401ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/25(土) 21:24:33 ID:IT69AQSs00

ティーダ「ウホ?」

ベンベ「ひ、非常食ってオラたちのことだべか…?」

黒猫「安心しろ!オイラはなんでも消化できるからにゃ!」

ベンベ「ひえ〜!」


チュドドドドドドドドド!!!!


ベンベ「どわ〜っ!?」

今度は上空からベンベたちは射撃された。

黒猫「にゃんだありゃ!?飛んでるぞ!」

上空には五機のアーウィンが飛んでいた。

おしり「あれが地上に存在するという、飛行機というヤツか…!木で照準がブレて助かったようだが今度はそうはいかん…ここを離れるぞ…!」

ダッ!

四人はジャングルの中を走り抜ける。

ベンベ「ちくしょーアイツら!さっき来たばっかなのに、ほんと懲りないべ!」

おしり「知っているのか…?」

ベンベ「なんかこのジャングルのコユーシュのジュシ?とかいうのが欲しいらしいんだべ。それで何回も攻めてくるから、毎回ティーダが返り討ちにしてるんだ」

ティーダ「ウホ!」

ベンベ「でも上から撃たれたのは初めてだべ…いつもは他んとこ降りてから、生身で来るからな…」

おしり「その固有種ごと傷つけないようにしていたんだろう…だがティーダの強さに痺れを切らして、こちらの討伐を優先したのだ…」

402ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/25(土) 21:25:40 ID:IT69AQSs00


ドドドドドドドド!!!!


ベンベ「どわわわわ!!お前、もうちょっと速く走れないべ!?」

おしり「すまん…無理だ…!」

おしりは走るのも遅い上に、すでに息を切らしていた。

黒猫「にゃははは!おしりは弱っちいからにゃー!」

ベンベ「…ってよく考えたら別にお前らに合わせる必要もないべ!ティーダ、さっさと行くべ!」

ティーダ「ウホホ!」


ドドドドドドドド!!!!


ベンベ「どわぁー!!なんでこっち撃ってくるんだべ!!そっちのヤツらのほうが狙いやすいべ!?」

おしり「それはそうだろう…元々お前たちを狙ってるんだから…」

黒猫「まったくしょうがないにゃぁ!オイラに感謝しろよ!」


ダンッ!!


黒猫が高くジャンプし、アーウィンに飛び乗った。

???「な、なんだコイツは!」

黒猫「ファルコン・パンチ!!」


ドゴォッ!!!!


燃えるパンチでアーウィンのコックピットを消し飛ばした。

ベンベ「えぇっ!?つよっ!?」

おしり「フ…流石だな…やはり地上の人間ごときでは、いかなる兵器を使ってこようとも相手にならんか…」

403ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/25(土) 21:26:50 ID:IT69AQSs00

???『総員標的変更、奴を撃ち落とせ』

???『了解』

フォックスたちは一斉に向きを変え、黒猫に照準を合わせる。

が。


ダンッ!!


次の瞬間には別のアーウィンに飛び移り。

黒猫「ファルコン・パンチ!!」


ドゴォッ!!!!


黒猫「もういっちょファルコン・パンチ!!」


ドゴォッ!!!!


黒猫「ファルコン・パンチと見せかけてファルコン・キック!!」


バゴォン!!!


瞬く間に三機のアーウィンを撃墜し、残りは一機となった。

???『くっ…何故こうもこのジャングルには厄介なファイターが集まる…』

404ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/25(土) 21:27:27 ID:IT69AQSs00

???『自爆せよ』

そこへ通信してきたのは、老人フォックスだった。

???『了解』

黒猫「ファルコン…」



ドドォォォォォォォォン!!!!



おしり「……!?」

ベンベ「ば、爆発したー!?」

ティーダ「ウホ…」

ヒュゥゥゥ…

ドサッ…

黒猫が爆煙の中から落下する。

おしり「く、黒猫!大丈夫か!?」

黒猫「だ……大丈夫…にゃ……」

ガクッ…

おしり「黒猫ォーーっ!!」

405ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/28(火) 21:02:47 ID:oJYj8oY.00




翌日。

黒猫「ん…」

おしり「目覚めたか、黒猫…」

ベンベ「おお、よかったよかった!生きてたべ!」

ティーダ「ウホ!」

黒猫「にゃんだぁ?ここどこにゃ?」

おしり「このティーダとベンベの隠れ家だ…お前は丸一日眠っていた…まだ全身火傷を負っているから動けないだろうが…」

ベンベ「ふっふーん!感謝してよ!オラが薬草集めてなかったらお前死んでたべ!」

黒猫「にゃんだとぉ!?オイラがあの飛んでるヤツ倒さにゃかったらオマエらこそ死んでたぞ!」

ベンベ「……うん、まあそれは感謝するべ。ありがとう」

黒猫「分かればいいんだ!オイラのほうこそありがとにゃ!」

おしり「あの後またヤツらが来たが…目的の木を明け渡すと来なくなった…ただ樹脂が欲しかっただけで、我々の命には興味がなかったようだ…」

黒猫「そうか、よかったにゃ!」

ベンベ「オラたちがさっさと渡しとけばこんなことにはならなかったべ…ほんとごめんな…」

ティーダ「ウホ…」

黒猫「別にいいぞ。オイラが勝手にやったことだしにゃ。それよりごはんくれ!」

おしり「ああ、ここにある…この黄色いきのみはバナナというらしい…」

黒猫「バニャニャか!いただきまーす!」

ムシャムシャムシャムシャ…

406ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/28(火) 21:03:48 ID:oJYj8oY.00


???「そのバナナ…私も頂こう」


ベンベ「誰だべっ!?」

隠れ家の中にいつの間にか入り込んでいたのは、黒いドロドロの物体。

その物体は少しずつ形が変化していき、ディディーコングの姿になった。

???「私はドルボリドル。この世で唯一のディディー族だ」

黒猫「誰にゃ。知らん。バナナはやらん」

黒猫はバナナを抱え込んでムシャムシャと食べ続ける。

ベンベ「ていうか勝手にウチに入るな!」

怒るベンベ。

しかし二人のゴリラたちは、その光景に開いた口が塞がらなかった。

ベンベ「ん?どうしたべ?二人とも。ティーダ、コイツ追い出すべ!」

ティーダ「……ウホ…」

おしり「ディ…ディディー…まさか…」

ベンベ「ど、どうしたんだべ?」

ドルボ「驚くのも無理はない。ディディーコングはかつてドンキーコングと共に過ごしたサル…この世界では千年以上も前にその血は途絶えているのだから」

407ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/28(火) 21:05:17 ID:oJYj8oY.00

おしり「ディディー!」

ティーダ「ウホォー!」

二人はドルボリドルに抱きついた。

ベンベ「えぇ!?」

おしり「お前と過ごした記憶…何度も見たぞ…!ディディー…お前はもういないと思っていたが…地上にいたのだな…!」

ティーダ「ウホホ!ウホホ!」

ドルボ「残念ながら私はこの世界の住人ではない。お前の言う通り、この世界にディディー族は存在しない」

ドルボリドルは二人の後ろに立っていた。

おしり「え…いつの間に…」

ドルボ「コンゴジャングル…かつて我々の祖が生きた場所。まだ残っていたとはな」

おしり「…あ、ああ…俺もそれには驚いた…」

ドルボ「かつて存在した土地の多くは名を変えていたり、天変地異などにより分裂、崩壊…そして消滅している。各地にその名残りはあるようだがな」

ドルボリドルはしゃべりながら黒猫のバナナを手に取る。

黒猫「あ!こら!取るにゃ!」

ドルボ「黙れ」

ギラッ!!

黒猫「!」

ドルボリドルが睨みつけると、黒猫は動かなくなった。

おしり「…?な、何をした…?」

ドルボ「さあな。私に恐れをなしたんじゃないか?」

そう言ってバナナを食べ始める。

408ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/28(火) 21:06:30 ID:oJYj8oY.00

ベンベ「コ、コイツ…なんかおかしいべ…やっぱり早く追い出したほうがいいべ!ティーダ!」

ティーダ「ウホ…」

ティーダは頭が悪いため自分の親友と先祖の親友を前にどうすればよいか分からず、動けない。

ベンベ「くっ、ティーダがだめならオラがやるべ!うおおおっ!!」

ダッ!!

ベンベはドルボリドルに飛びかかる。

ドルボ「魔法も使えん奴が私に逆らおうとは片腹痛い」

ギラッ!!

ベンベ「!」

またもドルボリドルが睨みつけた途端、ベンベが動きを止めた。

おしり「ま、また…!魔法と言ったな…俺には感じられんが…魔力を使って何かしたのか…?」

ドルボ「フン…催眠魔法を使ったまでだ。視線による発動は初めてだがな。もうコツは掴んだ」

おしり「さ、催眠魔法…だと…?」

ドルボ「此奴らはもう私のしもべだ。お前たちもそうしてやるつもりだが、どうする?催眠によってしもべになるか、自らの意思でしもべとなるか」

ティーダ「ウホ…ウホーッ!!」

ダッ!!

ティーダは葛藤の末に、先祖よりも今の自分の親友を選び、殴りかかった。

409ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/28(火) 21:07:36 ID:oJYj8oY.00

ドルボ「そうか」

ギラッ!!

ティーダ「!」

そしてティーダも催眠に落ち、動かなくなった。

おしり「……!」

ドルボ「やれやれ…催眠魔法は単純な命令しかできんのだ。戦闘時の細やかな判断ができなければ、その実力の半分も発揮できまい。できれば自ら私に従ってもらいたいのだがな」

おしり「な……なんという強さ…!こんなもの…誰も勝てるわけがない…!」

ドルボ「お前はどうする」

おしり「ぐ…」

おしりは恐れ慄き、後退りする。

ドルボ「早く決めろ。でなければ…」

おしり「わ、分かった…!お前に従う…ドルボリドル…」

おしりは跪いた。

ドルボ「フン…それで良い。さて、腹ごしらえも済んだことだ。まずはこの星を手中に収め、次は宇宙へと進出する」

おしり「う、宇宙だと…!?」

ドルボ「私にこの星は狭すぎるのだ。宇宙へ行くには宇宙船が必要だな。お前、宇宙船はどこで手に入る?」

おしり「し、知らん…俺は地上へ来たばかりだ…」

ドルボ「チッ、使えん奴だ…まあいい。私の耳をもってすれば情報など容易く集まる」

ドロッ…

ドルボリドルはまたスライム状に戻り、どこかへ飛んでいった。

おしり「お、おい…!どこへ行くんだ…!俺はどうすれば……!……消えた……」

410ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/28(火) 21:08:58 ID:oJYj8oY.00



数分後。

ドロロッ…

ドルボリドルが隠れ家に戻り、またサルの姿に戻る。

おしり「なんだ…?忘れ物か…?」

ドルボ「フン、もう調べ終わったのだ。宇宙へはアーウィンとやらを使う。奪いに行くぞ」

おしり「ど、どこへ…?」

ドルボ「フォックス族という種族の村だ。奴らがアーウィンを操縦している」

おしり「フォックス…?というと、キツネか…?キツネの顔をした種族なら、つい昨日見たばかりだぞ…奴らこのジャングルに、飛行機に乗って来たのだ…」

ドルボ「何?クク、ならば丁度いい。其奴らのアーウィンを奪うまでだ」

おしり「ただ、目的の樹脂を手に入れるとすぐに帰った…また来るかどうかは分からん…」

ドルボ「…チッ、少しは使える奴かと思ったが、やはりゴミか。それでは意味がないだろう」

ドルボリドルが睨む。

おしり「ひっ!ま、待ってくれ…!たしか黒猫がその、アーウィン?というのを、いくつか破壊した筈だ…!それがまだ使えるかもしれん…!」

ドルボ「何処だ」

おしり「こっちだ…!」

おしりは昨日のところまで案内した。

しかし。

411ハイドンピー (ワッチョイ 95cf-3257):2022/06/28(火) 21:11:10 ID:oJYj8oY.00

おしり「え…?ば、馬鹿な…無くなっている…!?」

ドルボ「どういうことだ?」

おしり「たしかにここで奴らと戦闘になったのだ…!しかし痕跡すら残っていないなど…あ、あり得ん…!」

ドルボ「この私に嘘をついたのか?」

おしり「ち、違う…!信じてくれ…」

ギラッ!!

とうとうおしりも催眠にかけられ、動かなくなった。

ドルボ「フン、どちらせよこの無能は私の駒としては必要ない。奴らがここへ来ないのであれば、予定通りフォックス族の村へ行くまでだ」


キィィィィン…


ドルボ「…その必要もなさそうだな」

そこへ飛んできたのは数十機のアーウィンだった。


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