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1
:
◆vjke6TKyHk
:2017/01/29(日) 03:12:53
あなたはふと目を覚ますと、見知らぬ町に佇んでいました。
何故自分がここにいるのかと記憶を巡らせれば、最後に記憶していた光景は、もしかすれば日常を謳歌していたかもしれませんし、もしかすれば死闘を繰り広げていたかもしれませんし、もしかすれば死の間際だったかもしれません。
それらいずれにせよ、少なくとも自分がここに立っている理由にはなりません。
あなたがそう思案していると、電子音が鳴り響きます。
音源を探すと、いつ持たされたのか、スマートフォンのようなタブレットを持っており、そこから音がしているのがわかります。
中を見てみると、こう書かれていました。
『おまえたちのせかいは ほろびました』
『ざんねんなことに かみにみすてられました』
『でも めがさめたということは かみにおもいだしてもらえたということです』
『おまえたちは しにません』
『おまえたちは かみにあきられるまで しにません』
あなたはそのような怪文書を読み、はたしてここからどうするかを思案するのでした。
オープン前のテストロールスレです。
このまましたらば出続けるか、それともパー速に乗り換えるかはさておき、まずはここで手応えを確かめましょう。
2
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/02(木) 21:12:08 ID:P7CcLy7.
ニュータウンゾーン、夜の公園。
静まり返ったその空間に、闇に融けるような暗い色合いの人影がひとつ在った。
「……ふうん、かみさま、神様ねえ……。
信じてないわけではないですけれど、私の知ってる神様とはまた別物のような……」
それは紺地に赤のラインが走るセーラー服を着た、東洋人の少女だった。
ブランコに腰かけて、タブレット端末をすいすい撫でる指先は白。
人工的なライトに照らし出される双峰は、目に痛いほど鮮やかな血の色。
「……それに、なんでしょうこれ。『死にません』?
本当なんだとしたら、ここってつまり、死後の世界ってやつ……?」
むむむ、と唸りながら、少女は首を傾げていた。
3
:
九条恵子
◆vjke6TKyHk
:2017/02/02(木) 21:30:52 ID:Eeemc8nc
>>2
貴女がそのように首を傾げていますと、不意に後ろから、声をかけられます。
「ううん? そのタブレット……。あんた、こっち側の人間かい?」
貴女が振り返るなら、その声の主を目撃することでしょう。
身長は160cm中頃、特徴的な赤髪を後ろにまとめた女性は、なぜか紙袋にパンパンに詰まった缶詰を抱えています。
「だけど瀬平戸じゃあ少なくともみたことないし、やっぱり一般人かねぇ?」
彼女は、まるで何かを見定めるかのように貴女をまじまじと観察しています。
4
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/02(木) 21:38:59 ID:P7CcLy7.
>>3
声を掛けられれば、そちらに振り向いて。
貴女の姿を、頭からつま先までいっぺん眺めてから――視線は紙袋へ。
再度首を傾げながらも、問いかけに対して口を開く。
「こっち側、と言いますと。
貴女もこの、『かみさま』とやらに魅入られた方ですか?」
神の宣告が無機質なゴシック体として並べられた、タブレットの画面をそちらに向けて。
「瀬平戸……という地名に、確かに聞き覚えはありません。
けれどこの世界の人間でもありませんよ。私、気が付いたらこの世界に居たんです」
5
:
九条恵子
◆vjke6TKyHk
:2017/02/02(木) 21:51:35 ID:Eeemc8nc
>>4
「ああ、やっぱりこっち側だったのか。ほれ、アタシも魅入られた人間とやらの一員さ」
そう言って目の前の女性は、貴女が先ほどまで見ていたのと同じ画面を、彼女のタブレットから見せてくれます。
「しっかし、よくわからんねぇ。いやさ、瀬平戸自体はそこまで有名な都市ってわけじゃあないから知らなくてもおかしかないが、そうなると一般人か……」
「こんな不思議現象に巻き込まれるなんざ同業者くらいかと思ってたが、そうでない人間も巻き込まれてるってことかねぇ」
そして、彼女はしばらくなにかを考えるようなそぶりを見せます。
「んー、わからん。腹の読み合いは得意な方だと思っていたが、相手がなに考えてるのかさっぱりだ。お嬢ちゃん、なんか心当たりあるかい? 変な奴が絡んで来たとか、何か不思議な前兆があったとか」
そう、貴女に問いかけて来ます。
6
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/02(木) 21:58:55 ID:P7CcLy7.
>>5
「一般人、同業者。まるで貴女、なんだか特殊なお仕事してるみたいな口振りですね」
同じ文面を並び立てる貴女のタブレットを眺めてから、ふむ、と呟いて。
「同じく私もなんにも分かりませんよ。心当たり、心当たり……ねえ、
実は私、いろんな世界を行ったり来たりしたことのある人間なんですけれどもね。
こんな、ふざけたこと言うカミサマに支配されてる世界に来たのは初めてのことです」
自身のタブレット端末を、制服の胸ポケットに入れる。
ブランコから立ち上がって胸に手を置きながら喋る、その手首にはうっすら血の滲んだ包帯が巻かれていた。
「本当に、寝て起きたらいつの間にかこの世界に……、……あれ、寝たのって……
……おかしいですね、私、いつ『寝た』んでしょう。そこら辺からあやふやで、ああもう……」
7
:
九条恵子
◆vjke6TKyHk
:2017/02/02(木) 23:20:19 ID:Eeemc8nc
>>6
「お仕事は特殊だが、それを口にするのは憚れるわな」
どこかばつが悪そうに、そう答えます。貴女が洞察力に優れるならば、それは秘密主義によるものではなくただただ単純に言いたくないために口にしないように感じ取ることでしょう。
そして、貴女のいうことを一通り聞いた彼女は、静かにこう告げました。
「うん、やっぱりわからん」
「アタシだってここに来るまでの記憶は曖昧なんだよ。同業者と同盟組んだのは覚えてるんだが、その後ギャンブルに出かける直前から微妙なんだよなぁ。いや、運が巡ってきてたのに……」
「んで、あんたなにもんだい? 世界を渡るなんて大魔法、聞いたこともないんだが」
8
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/02(木) 23:58:02 ID:P7CcLy7.
>>7
「あら……言えないタイプのお仕事ですか。殺し屋さんとか?」
雰囲気を読み取るのは得意ではないのか、それとも面白がって敢えて訊いているのか。
くすくす、笑い声混じりに言っている辺り、おそらく後者なのだろう
「お互い、わからない同士ですね。困った神様も居たものです。
大魔法……というか、何というか。運命、と言ったほうが正しいのかもしれませんね」
ちょっとばかし説明が難しいな、そう小さく呟きながら、語り始める。
「私は、ありとあらゆる世界の戦場に喚ばれる運命を背負った存在。
自分の意思で世界を渡ったことはなくて、誰かによって戦場に送り出されるんです。
そんな、戦う為だけに生まれてきたような私なんですけど……」
「今回みたいに、私を何処かへ送り出す役目の人――ここで言う、カミサマとやら?
そういう存在から、直接お言葉を賜ったのはこれが初めてです。
いつもなら何も言われなくて、それでも『ああ、今回はここで戦えばいいんだな』ってぼんやり理解できる、ん、ですけど……」
今回ばかりはよくわからない。そう言いたげに、寂しそうに目線を下げた。
「……そういう貴女は、何者ですか? 貴女もカミサマに呼ばれたんなら、普通の人じゃあないんでしょう」
9
:
九条恵子
◆vjke6TKyHk
:2017/02/03(金) 07:44:21 ID:UjtmHVnY
>>8
「ふぅん、なるほどねぇ。どうやら、勘違いしていたみたいだ。そもそも根本的に、あんたは魔法に関わり合いがなかったようだ」
と、妙に納得したようなふうに言います。
「ご察しの通り、アタシもただの人間とはちょいと違ってね。手札は見せないが、まあチンピラ程度なら軽くあしらえるだけの実力はあるとだけ言っとくよ」
そう言って、彼女は笑ってみせます。
その発言は言葉通りかもしれないし、あるいは嘘かもしれない。もしかすれば、何かを隠した上での発言かもしれないと思うかもしれません。
しかしある程度洞察力を持つのなら、少なくとも嘘はついておらず、チンピラ程度はそもそも歯牙にすらかけない実力だということがわかるでしょう。
「そんで、これからどうするんだい? アタシとしちゃあギャンブルさえできりゃどこでも構わないが、あんたはどうしたい?」
貴女の発言を待つように、彼女は貴女を見ています。
10
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/03(金) 20:59:47 ID:N0Nd0bs.
>>9
「そうですねえ、先にそう言えばよかったですね、すみません。
そういう貴女は、魔法使いさんなんですか? あんまりそうは見えませんけど」
実力がある、との言葉を聞けば、もう一度貴女の全身を眺めて。
「……ま、いきなりこんな世界に飛ばされたのにその余裕ありげな立ち振る舞い。
確かに実力はあるんでしょうね、ええ……ギャンブル?」
まるで品定めするようにゆっくり動いていた視線が、聞きなれない言葉を受けてきょとんと丸くなる。
そのままの視線で、もう一度貴女の抱える紙袋を見た。……景品なんだろうか、なんて考えて。
「これから、そうですね……特には決めてなかったですけど、私も戦えれば何でもいいですし。
その上でそこそこの暮らしを続けていけるなら、ここにずっと居たっていいですよ」
「そう考えるなら、『コレ』ってとっても便利な仕組みだと思うんですけど……
本当なのかイマイチ信用できませんよねえ。貴女、どう思います?」
コレ、と言いながら指差したのは、再び取り出したタブレット、光り輝く液晶の上に並ぶ文字。
『おまえたちは しにません』。この一文が少女にとっては引っ掛かるようで、むうとした顔をしていた。
11
:
九条恵子
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 01:10:50 ID:18voWeoY
>>10
「魔法使いというか……まあ、親戚みたいなもんさね。一応魔法は使えるよ。あんたの思う魔法とはかけ離れてるだろうがね」
「それで、そういうあんたはなかなかに物騒な輩のようだねぇ。戦闘狂ってやつかい? 死んでも生き返るを、便利ととらえるたあ、少し奇特な感性してるじゃあないか」
そうは言いつつも、彼女は別段態度を変えようとはしない。それもまた良し、と貴女のあり方を認めているのかもしれない。
「アタシとしちゃあ死ぬなんざ死んでもごめんだがね、それでも死んでも生き返るってのは魅力的に見えるわな。賭け金はあればあるほどいい。それだけ繰り返し命をかけたギャンブルができるってものさ」
それを笑いながら言うあたり、彼女の感性もまともとは程遠いのかもしれない。
「とにかく、アタシはアタシで死なない程度に死ぬほどのギャンブルを楽しむために、この街に住むよ」
「あんたは、どうしたい? 見たところこんな平和そうな街であんたを満足させるような戦いがあるとは思えないが……ああでも、ちょうどいいのが目の前にいるかもねぇ」
12
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/04(土) 01:21:37 ID:aD6aKeGk
>>11
「親戚、ですか。ますますよくわからないような……。
ま、そこまで遠回しに言うってことはあんまり口に出したくないことなんでしょう?
この話はここら辺でやめておきましょうか」
ふふふ、と小さく笑いながら。どうやらやたら突っ込んで訊いていたのはからかい半分だったらしい。
「ご名答。戦闘狂の血筋を引いておりましてね――あ、殺人鬼ではないのでご安心を。
戦う意志のない人を無理矢理相手にさせる趣味は、ありませんので。
ふむ、貴女も貴女で……結構血の気の多い方なんですね?」
死ぬか死なないか、ギリギリの境界線を辿るスリルを望んでいるのだろうと。そう考えた。
どうしたいかと訊ねられれば、小さく俯き唇に指をあてて。
「そうですねえ……まあ、この世界のすべてを知っているわけではないですし。
しばらくはうろうろ、旅にでも出てみようかとも考えていますけど。
……丁度いい、というのは?」
13
:
九条恵子
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 02:01:07 ID:18voWeoY
>>12
「いやなに、アタシもパチンコだけじゃあ味気なくてねえ」
そう言って抱えていた荷物を地面に下ろすと、ポロリとパチンコ玉が転がった。
どうやら大方の予想通り、本当にギャンブルに出かけていたようだ。
「レバーを固定して跳ぶ球を目で追い、勝手に回るスロットを眺めるだけじゃさすがに飽きてくるのさ。ギャンブルってのは、相手がいるから燃えるんだよ」
「かといって、きたばかりの街で裏カジノを探すのにはちと時間がかかる。このジレンマを癒すために、ちょいと相手してもらおうと思ってねぇ」
転がるパチンコ玉を拾い上げ、彼女はこう告げた。
「旅に出るまでの腕試しさ。お互い未知の能力を体験しておこうじゃないか」
14
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/04(土) 02:10:53 ID:aD6aKeGk
>>13
「パチンコ……そんなものまで用意されてるんですね、この街。
どこまでも住みよい街なことで」
ふっと息を吐くようにして笑いながら、もう一度貴女を見定める。
相手にとって不足はないだろうと判断したのか、緋色の瞳が愉快そうに細められた。
「一理ありますね。私はギャンブルはやりませんけれど、相手がいるから燃えるというのはようく分かります。
そういうお相手ということでしたら――喜んでお引き受けいたしますよ」
「貴女、お名前は? 私は緋那子、ほおずき・ひなこと申します」
貴女がパチンコ玉を拾い上げるのと同じくらいのタイミング。
セーラー服の左袖を捲り上げ、その下に巻かれた血の滲む包帯を静かに解いていく。
現れたのは自傷痕、幾重にも幾重にも刻まれたそれは、結構な深さで切り付けられているようだった。
15
:
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 02:24:25 ID:18voWeoY
>>14
「そういや、まだ名乗ってなかったねぇ。アタシの本名は九条恵子。だがまあ、この場面なら、こっちの名前のが正しい」
そう言うと、彼女はくるりとその場で回ります。
そしてそれと同時に、彼女の身体を光が包みました。
どこかから照らしているわけでも、彼女自身が発光しているわけでもなく、まさしく光が、彼女を包んでいるのです。
そして、次第にその光は薄れ、彼女、九条恵子の姿が露わとなりました。
「アンラッキーフォルトゥーナ。魔法少女なんていうけったいな仕事をさせてもらってるものさ」
その姿は、カジノのディーラーのようでした。しかしながら、ところどころにフリルなどの少女らしい意匠がある。
なるほど、確かにそれはアニメでみる魔法少女というものに当てはまるでしょう。
「ベット・オア・フォールド。楽しい楽しいギャンブルの始まりだッ!」
そして、彼女の腕に装着されたモニターが動き出す。
当たりなら即座に発動。ハズレなら即座に指弾で飛ばす。
はたして結果はいかに。
リスト
1.強力な炎を発射
2.猛烈な吹雪が相手を襲う
3.雷に匹敵する雷撃
4.地面から岩の棘が生えてくる。自分の目の前から相手までまっすぐに進む形(つまりハガレンのアレ)
5.オート制御の剣が相手を襲う
6.地面からイバラが生え、相手を縛ろうとする。
7.フィーバー(5レスの間、この表の中からフィーバーを除く任意の能力を使用できる)
8.洪水を起こし相手を押し流す。
9.超重力を起こし相手の動きを鈍らせる。
0.強烈な光が相手の視界を一時的に不能にする。
16
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/04(土) 02:37:28 ID:aD6aKeGk
>>15
まばゆい光に焼かれ、思わず腕で目を覆う。
それが消え失せた頃に現れる、可憐な少女に似合う衣装を纏った貴女――
緋那子はそれを見て、にやりと笑った。
「――――なるほど、魔法少女。語りたがらないのも、無理はないですね」
バカにしているわけではない。ただ、貴女のことを――敵ではなく、『相手』として認識しただけのこと。
それだけでもこの戦狂いの少女には、十分な興奮材料となったようだった。
対抗するように右手をスカートのポケットの中に探らせて、何かを引き摺り出す。
何の変哲もないカッターナイフ。それを、包帯を解いた手首に押し当てて、一気に線を曳く。
勢いよく溢れ出す血液は、しばらくの間万有引力に従って下に落ちていたが――
「よろしくお願い致します、恵子さん――いいえ、アンラッキーフォルトゥーナ。
貴女がそう呼ばれる存在であるのなら、私は――“血戦兵鬼”とでも、名乗りましょうか」
――ぐにゃり。踊るみたいに曲がりくねって形を作り、固体へと変容していく血液。
それはやがて一本の刀となって、緋那子の手に握られた。
「忌刀“崩月”――――さあ、いざ尋常に!」
放たれた弾、それを刀で弾けばきいんと高い音。
ゴングのように打ち鳴らされたそれを合図に、緋那子は貴女のもとへと駆けだした。
17
:
アンラッキーフォルトゥーナ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 02:54:00 ID:18voWeoY
>>16
「ま、一発目からあたりはきちゃくれないか」
そういう彼女だが、まだ焦りは見えない。
あるいは、焦りを押し殺して余裕を見せているのか。
「それにしても厄介だねぇ。鬼灯、いや、血戦兵鬼。アタシの手札はご覧の通り貧弱でねぇ。しかもある程度の実力者には牽制にしかなりやしない。だからこそ、頭使って少しでもダメージを重ねてかなきゃいけないのさ」
そして彼女は距離を取るべく後退しながら、またルーレットを回す。
当たりならばそのまま発射。
ハズレならばコインは適当な電灯を狙い飛ばす。
一見それは的外れな場所を狙ってるように見えるだろう。
しかし、これはれっきとした戦術。跳弾による死角からの魔弾を狙ったものだ。
今はこれを駆使して、時間を稼ぐ。
18
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/04(土) 03:07:56 ID:aD6aKeGk
>>17
「うふふ、厄介とは言われ慣れております、が…………ッ!?」
かちり。貴女のルーレットはアタリを引いて、勝利の女神がそちらへ視線を向けたらしい。
夜闇を消し飛ばすほどの眩い閃光、手で目を覆ったところでなお眩しさを覚えるだろうが、
今の緋那子はその手に刀を握っているのだ。防ぐ手立てなど、もとより無い。
反射的にぎゅうっと目を瞑り、その場に立ち尽くす。
行先の定まらないふらふらとした足取りは、貴女へ近付くチャンスをまるきり逃してしまった。
うう、と呻きながら眼を擦り――それでも刀は手放さない。
19
:
アンラッキーフォルトゥーナ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 03:21:28 ID:qMpqzyt6
>>18
(早速きた! どうやら勝利の女神はこっちに微笑んでるみたいだぜ? 血戦兵鬼……!)
ルーレットが指し示した絵柄は0の電球。
その結果生成された閃光は、相手の目を一時的に封じてくれたようだ。
「しっかし、武器は手放さないか。あわよくばと思ったんだがねぇ。まあいいさ。それならそれで、次はかくれんぼと洒落込もうか」
今回のバトルフィールドは公園。少なくともかくれんぼにはうってつけだ。
しかも今は夜の帳が下りている。簡単には見つけられまい。
彼女はこれに乗じて、弾の補充を狙っているようだ。
当たりならそのまま発射。
ハズレならそのコインは使わずに一旦取っておく。
チェスでいう一手分、アドバンテージを取ることができたはずだと彼女は考える。
20
:
アンラッキーフォルトゥーナ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 03:25:30 ID:qMpqzyt6
>>19
書き忘れてましたが、彼女は近くの茂みに隠れています
21
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/04(土) 03:32:24 ID:aD6aKeGk
>>19
「なるほど、有利になるか不利になるかのスリルも、ギャンブルのお楽しみのひとつ……ですか?」
憎まれ口を叩けども、未だ視界は翳んだままだ。
しかしどうにか、モノの輪郭を捉えることができる程度には視力が回復してきた。
ぎゅっと刀を握り直して、辺りを見渡す――
「放しませんよ、“崩月”は私の体の一部ですから。
……へえ、かくれんぼ。良いでしょう、ただし鬼が『ひとりだけ』とは思いこまないことです――」
刀を生成し終えてから、血液を固めてそれ以上の流出を防いでいた傷口。
それを塞ぐ凝固した血が、ふいに液体へと戻る。それは緋那子の白い肌を伝い――
「――――“夕霧”。私の武器は、ひとつだけじゃない」
――赤い霧となって中空に浮かび上がり、緋那子の周囲を薄く煙らせる。
まだ視力を完全に取り戻すには至らない、そんな中で取った行動は、奇しくもあなたと同じ「一手の準備」だった。
22
:
アンラッキーフォルトゥーナ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 03:47:44 ID:qMpqzyt6
>>21
(氷の2が二つに、水の8が一つ。さすがに連続で当たりというのも難しいか)
しかしそれでもルーレットを回したことに変わりはない。ハズレとはいえ、コインが一枚排出される。
(まあいいさ。当たりは出なかったが、有利不利でいえばこっちが一手有……利……)
しかし彼女はその光景を目撃する。あたりに広がりつつある、その赤い霧を。
とっさに袖を口と鼻に押し当てるが、はたしてあれが毒とすれば通用するのかどうか。
(参ったねぇ、相手は近接型だと思ってたが、どうにも器用らしい。読みが外れっぱなしだねえこりゃ)
だからと言って、今この瞬間外に飛び出すのは自殺行為に他ならない。
あの夕霧という赤い何かが毒にせよ何かの布石にせよ、自分が正面切って戦うにはあまり相性が良くない。
彼女はこの場を打開するべく再びルーレットを回す。
アタリならばそのまま発射。
ハズレならば先ほど考えていたのと同じように、跳弾を利用して死角から攻撃を放つ。
場所を悟らせず、準備にだけ気を配っていてはまずいと思わせるための牽制だ。
23
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/04(土) 04:01:24 ID:aD6aKeGk
>>22
緋那子が操るものは純然たる「血液」のみであり、そこに害は含まれない。
吸い込んだとして、中から操って腹を裂く――なんて芸当も出来はしないが、
それを態々教えてやるほど、優しい性格はしていなかった。
かちり。貴女にとって二度目のアタリ。
轟と音を立てて迫りくる岩の棘。視界が不十分であっても、その気配を察することは出来たらしい。
身体を捻って回避するも、鋭い棘が緋那子の脇腹を掠り、セーラー服の布地ごと幾許かの肉を削り取った。
「ぐ、ぅ…………でも、見つけ――ましたよッ!
降り注ぎなさい、“細雨”!」
痛みに顔を歪めながらも、棘が生えてくる一直線な軌道の先にきっと貴女がいることだけを感じ取り。
命令を掛ければ、赤い霧が数十本の細い針の形を成して、貴女の隠れる茂みの方へ飛んでいく。
一本一本は細くて脆い針、何かを使って防ごうとするならそれは容易だし、喰らったところで大ダメージにもならないだろう。
けれど、この攻撃の脅威点は、「攻撃範囲の広さ」にあった。生半可な距離を移動しただけでは、きっと逃げきれない。
24
:
アンラッキーフォルトゥーナ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 04:17:36 ID:18voWeoY
>>23
「ここでこいつが出ちまうかッ!」
揃ったマークは岩の4。しかしそれは、この環境において自分の位置を知らしてしまうのと同意義。
放たれた岩棘は相手にダメージこそ与えたが、まだ決めてに欠けるようだ。
そしてこのチャンスを逃すほど、相手も甘くはない。
「こいつは、まずいねぇ……!」
こちらの居場所を悟った相手は、細かい針の弾丸を放ってきたようだ。
とっさに岩棘にかくれるが、そもそもこれは身を守るための魔法ではない。
部分的に身を守ることはできたが、完全には防ぎきれない。
針のいくつかは彼女の肌を突き刺し、血を流し始める。
「いっ、つう……。たまらんねこりゃ……!」
せっかく稼いだアドバンテージだったが、相手に準備をさせてしまってこちらが得たものはコイン一枚では流石に釣り合わない。
彼女は針がうち尽くされるのを待ち、そして影から出た。
変にこのまま留まり続けても、ハリネズミにされるだけだろう。
とにかく今は、ルーレットを回す他にない。
アタリが出ればそのまま発射。
ハズレが出れば跳弾による死角からの攻撃を仕掛ける。
25
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/04(土) 04:37:13 ID:aD6aKeGk
>>24
「ふう、ふうっ……」
脇腹の傷を押さえ、血液を凝固させて無駄な流血を防ぐ。
あちこちに飛び散った血液造りの針は、何かに突き刺さるという役目を終えると
液体に戻り、するすると地を這う蛇のように蠢いて緋那子のもとへと戻っていった。
ここから導き出される答えは一つ。緋那子の武器は、緋那子自身の血液そのもの。
つまり使いすぎれば逆に不利になるということ、ばかすか無駄打ちは出来ないということだ。
ならばあえて緋那子に無駄打ちさせるような挙動を貴女がとれば、あるいは――?
「ふうっ……やっと、目も戻ってきた。かくれんぼはもう終わりですか、ッ……!?」
ようやく姿を現した貴女に向かって駆け寄ろうとするも、死角から放たれる弾に足を取られた。
太腿のあたりを容赦なく抉っていくコインのきらめきを睨み付けながら、それでも貴女に向き直り。
「“朽縄”っ――――絡めっ、獲れェ!!」
その場でたたらを踏みながらも、刀を振るう――すると、その刀身がぐにゃりと伸びた。
鞭のように大きく撓りながら、現れた貴女目掛けて、その身を絡め捕らんと猛進する。
ただしその動きは大振りで、回避を試みるならやりやすいはずだ。
26
:
アンラッキーフォルトゥーナ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 04:52:45 ID:18voWeoY
>>25
(最初の包帯から少し疑問には思っていたが、なるほど。血があいつの能力なわけだ)
流れる血を操る姿を見て、彼女はようやくその正体に行き着いた。
(そして、血を流した分人並みに消耗する、と)
満身創痍気味な血戦兵鬼の攻撃は、近接戦をあまり得意としない彼女でもなんとか避けられそうだ。
鞭のようにしなる刀をなるべくギリギリでかわした直後、彼女はあらかじめ用意していたコインを構え、押し付けるように相手に向ける。
「フォールド(降参)するかい?」
この至近距離なら、刀を振るう前に急所に打ち込むことができるだろう。
無論、これは腕試しという名目で行われているため、そこまでするつもりはないが。
勝ち誇ったようなことを言ってはいるが、したたかなのが彼女だ。
もう片方の手には、最初に拾い上げたパチンコ玉を隠し持っている。
何らかの方法でコインがダメになっても、このパチンコ玉が相手を撃ち抜くだろう。
27
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/04(土) 12:12:25 ID:aD6aKeGk
>>26
伸ばされた刀が虚しく空振る、重い風切り音。形状が元に戻る。
ふう、と苦しげに息を吐きながら――押し付けられたコイン越しに、貴女を見つめた。
殺意の籠る刺すような睨みではなく。高揚しきって、爛々と輝く緋色の瞳――表情は、薄らと笑んでいた。
「そんなまさか――――こんなに楽しいのに、ここで終わりにしちゃうなんて」
降参するか、の問いには、否を返す。
確かにもう、刀を振るうには遅すぎる距離に詰めている、が。
「――――乱れ散れ、“徒花”ッ……!」
ふいにそう宣言すれば、持っていた刀が――ぱん、と音を立てて炸裂する。
爆発の熱や衝撃は伴わない、ただ水風船が弾けただけのような現象――
――それによって、大量の血が周囲に撒き散らされた。
周囲の地形、二人の肌や衣服、無差別に飛び散った血痕。そこから緋那子が「何か」をしでかすか、
貴女が緋那子を撃ち抜くのが先か――それこそ、運命のみぞ知る。
28
:
アンラッキーフォルトゥーナ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 13:04:15 ID:18voWeoY
>>27
「ぞっとしないねえこりゃあ……!」
血を自在に操る能力者が、辺り一面に血をまき散らした。
一体何をしでかすかまではわからないが、ここは弾丸を放つしかない。
「手札が揃う前に、終わりにさせてもらうよ!」
向かいくる相手を避けてから構えたのだから、見据えるのは必然相手の背後。
その無防備な後頭部を打ち抜いて、昏倒させるべく、彼女は指に力を込めた。
放たれるが先か、血飛沫が何かをしでかすのが先か。
29
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/04(土) 15:12:04 ID:aD6aKeGk
>>28
「"千紫――――万紅"ッ!!」
そう言い放つと同時、あたり一面に飛び散った血液がぐにゃりと宙に浮かび。
小さな刃の形を成して、飛び立つ鳥の群れのように貴女へ殺到――――
――――する前に。
「………………あだっ」
間抜けな声を上げて、緋那子は昏倒した。
弾が後頭部に綺麗に直撃し、意識を刈り取って行ったのだ。
無数の血の刃は、貴女の肌へ到達する数ミリ前でばしゃりと音を立てて瓦解し、
ただの血液となって地に墜ちた。
10分そこら経った後。
いてて、と漏らしながら起き上がる緋那子の姿があることだろう。
少し悔しそうな、それでも満足したような笑顔。これ以上の闘争は無粋と見たようだ。
30
:
アンラッキーフォルトゥーナ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/04(土) 16:07:47 ID:18voWeoY
>>29
「いや全く、肝を冷やされたよこりゃ……」
後頭部を撃ち抜かれ昏倒する血戦兵鬼を見て、ポツリとこぼした。
あと一瞬放つのが遅れれば、この辺りに散らばる血の海は、果たして誰の血となっていたか。
「……ハハ、これじゃあどっちが負けたのかわかりゃしない」
倒れふす相手よりも血に塗れて、彼女は自嘲するように笑った。
「よっ、寝覚めはどうだい緋那子?」
変身を解いた状態で、彼女は近くのベンチに座っていた。
そして先ほどまで倒れていた緋那子もまた、ベンチに寝かされていた。
「今回は運良く、アタシが勝たせてもらったよ」
そう言いながら、彼女は缶詰を開けていた。
どうやらパイナップルの缶詰だったらしく、あたりには甘酸っぱい匂いが広がる。
「食いな。出したもん補うために、どんどん補充しなきゃいけないからね」
緋那子に笑いかけながら、彼女は開いた缶詰を差し出した。
31
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/04(土) 17:51:23 ID:aD6aKeGk
>>30
「はあ……まだちょっとくらくらしますね……。
なにはともあれ、お相手ありがとうございました。
勝負は時の運とは言いますけれど、運の力なくしても恵子さんはお強いですよ、きっと。
あの見えないところから飛んでくる弾、全然見えませんでしたもの」
後頭部を擦りながら笑う姿は、素直に相手の健闘を讃えるもの。
ぼんやりした眼で差し出された缶詰を見て、それでは、とひとつ摘み上げる。
「パイナップル……。さっぱりしていて、美味しいです。ビタミンもありますし。
……これも、ギャンブルで勝ったうちの景品なんですか?」
32
:
アンラッキーフォルトゥーナ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/05(日) 23:47:34 ID:O12MaFek
>>31
「あれもつまらない騙しの手品さ。明るいうちなら、あんたほどのセンスなら多分通用してなかってさ」
そう言って、彼女もまたパイナップルを一枚、口に頬張る。
そして、この缶詰の出所を問われれば。
「むぐむぐ。んくっ……そうさ、ちょいとパチンコで一稼ぎしてしきてね。未成年なのにってのは、まあ目をつぶっといとくれ」
ひとしきり缶詰をつまみあい、空になったところで、彼女はベンチから立ち上がる。
「そっちも大事ないみたいだし、アタシはそろそろおいとまさせてもらおうかね」
33
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/06(月) 20:39:39 ID:nP9NL.0k
>>32
「ふふふっ。手品は此方も同じことですよ、手の内ばれたらすぐ不利になっちゃいますもの」
見逃してくれ、と言われれば承知しましたと軽く笑って。
「そういえばこの世界、うぃっちくらふと……? だかいう、御伽噺の中みたいな街があるんでしたっけ。
そこなら貴女の好きそうなカジノとかも、あるんじゃあないですか?」
そのうち冒険してみたいところですね、と言いながら。
立ち上がった恵子に、ひらひらと手を振る。
「ええ、またお会いしましょう恵子さん。そうですねえ、次は……
隣に立って一緒に戦うことができれば、面白いかもしれませんね」
笑いながら見送ることだろう。緋那子はまだ、軽い貧血で動けそうになかった。
34
:
九条恵子
◆vjke6TKyHk
:2017/02/07(火) 21:23:40 ID:N8urlafk
>>33
「そういや、そんなのがあるらしいねぇ。一度覗いてみるのもいいかもな」
ウィッチクラフトという言葉に反応し、少しワクワクしたような笑顔を見せる。
ポータルとやらでつながっているらしいが、それを探し出すのも面白いかもしれない。
「アタシもあんたと背中を合わせて戦ってみたいもんだ。次があるなら、私からも頼むよ」
そう言って、手を振りながら彼女は歩き出す。
別れを惜しまないその様子は、再会を確信しているように見えた。
35
:
アルル・ルージュ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/11(土) 23:44:30 ID:aAb3OAic
ヒタ、ヒタ、と。
薄暗い路地裏で、そんな足音が聞こえる。
「うーん、死なないって言ってたはずなのに、おかしいなぁ?」
無邪気に首をかしげる彼女は、真紅の血に染まっていた。
その血は果たして、誰のものなのか。
「ま、そこは仕方ないか。あんな気持ち良さそうな顔して死んじゃったんだもん。最高に生きたって感じだよね!」
話している内容はこんなにも物騒なのに、これ以上にないほど無邪気に笑っていた。
まさしくそれは『無邪気な悪意』。
さて、もしも第三者がこんな異常な光景を目にすれば、無視はできないことだろう。
そしてそれを見られた彼女もまた、相手を無視はしないだろう。
生きてるって感じを感じるために、感じさせるために、彼女は接触を試みるだろう。
36
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/11(土) 23:55:35 ID:B7mf4Yao
>>35
「……血の匂い。嗅ぎ慣れてはいますけど、他人様のものを嗅ぐというのは……」
ふっと、響く声。その主は曲がり角からやって来て、貴女の前に静かに現れた。
暗がりの中でぼうと浮き上がる青白い顔、表情こそ平淡だが、緋色の瞳だけは爛々と輝いて。
「もし、そこの貴女。随分と血に塗れていますけど……どうか致しました?
怪我をしているんでしたら、病院まで案内しますよ。そうでないのでしたら」
「これ以上は、お止めになったほうがよろしいかと」
他人行儀に告げながらゆっくりと近づいていく、カッターナイフを後ろ手に隠しながら。
37
:
アルル・ルージュ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/12(日) 00:10:52 ID:FtkW6Y52
>>36
「病院? もしかして気を使ってくれてるの?」
そう言って、無防備にも彼女はなんの気兼ねもなく目の前の少女に近づく。
「あなたいい人なのね! あ、私アルル・ルージュって言うの。ルが三つ並んで可愛いでしょ?」
その様はまさしく無邪気そのもの。この異様ないでたちでありながら子供のように振る舞うこの少女に、果たして鬼灯はどう対応するのか。
38
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/12(日) 00:22:34 ID:bf1w8ffU
>>37
意外にも人懐っこく絡んでくる少女に多少面食らったのか、目を丸くして。
それでもすぐに目を細めながら、口元だけに笑みを浮かべた。
「ええ、貴女のことが気にかかりまして。アルルさんですね、私は鬼灯緋那子と申します。
それで……私の質問には、どう答えていただけます? その血、どうされました?」
その身に付着している血のありか。そこに対する返答がない以上、警戒は解けない。
ちきっとカッターナイフをノックしながら、笑んだままもう一度訊ねる。
39
:
アルル・ルージュ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/12(日) 00:32:47 ID:FtkW6Y52
>>38
「これ?」
きょとんと、彼女は小首を傾げた。
「そんなに不思議かなぁ。あなたにだってあるでしょ? その包帯の下とかさー。これは血だよ? 生きてる証。生きてるって感じを感じることができる素敵な液体。さっきも男の人と最高に気持ちよくなってたんだー」
そう言ってまた、無邪気に笑う。やはり内容にそぐわない仕草、表情。その全てが不気味さを駆り立てることだろう。
「ねえ、貴女も一緒に遊ばない? おもちゃはまだ全然揃ってないけど、それでもすっごく楽しいことできるよ? だからさ……」
「一緒に気持ちよくなろ?」
無邪気な笑みを浮かべて、少女は右手を差し出した。
それはまさしく彼女のいうとおり、誰かを遊びに誘うかのように気兼ねない仕草であった。
40
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/12(日) 00:45:35 ID:bf1w8ffU
>>39
「ええ血、血はもちろん私にもありますけれど……その出所を私は訊いているんです。
……そう、男の人。その人は今、どちらへ?」
口元の笑みすら、すうっと消えていく。熱いも冷たいもない、温度のない無表情。
微妙に噛み合わない問答に辟易したのか、もうカッターナイフを隠すことはしなくなった。
包帯を解いた下の手首に押し当てて、一本線を曳く。
「気持ち良く。ええ、私にとって闘争は快楽です。
けれども――貴女を気持ちよくさせるのは、きっと、闘争そのものではないんでしょう?」
あまり気乗りしませんね、溜息交じりにそう付け足して。
貴女が差し出す手に、血の滴り始めた手を乗せて――様子見と最初の一手を兼ねた行動。
もし何かされたなら、すぐにその血を刃に変えるつもりだ。
41
:
アルル・ルージュ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/12(日) 00:57:03 ID:FtkW6Y52
>>40
「冷たい土の中。ちゃんと十字架も立ててあげたから、安らかに眠れるんじゃないかな?」
この時の彼女は、うって変わってほんの少し悲しそうな表情を見せた。
しかし、その顔はすぐに破顔したものとなる。
「アハ! その傷! 貴女自分でつけたのね!」
クルクルと回りながら、彼女は全身でその喜びを表した。
彼女にとってそれは初めての出来事。
自らを傷つけて、それを隠しもしない。むしろその傷には、快楽につながる何かを感じ取った。
「いいわ! いいわ! 私たちきっと、いいお友達になれるわよね!」
そう言い、彼女はまるで手品のように、柄のない刀を取り出した。
握りしめる手から血を滴らせ、目の前の少女に振りかぶった。
狙いは脇腹。直接的な致命傷にはつながらず、かと言って与える痛みは絶大なもの。
これこそが、彼女の遊び、彼女の生、彼女の快楽。
痛みを与えることこそ、彼女の喜びなのだ。
42
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/12(日) 01:11:40 ID:bf1w8ffU
>>41
「そうですか。……十字架立てただけで安眠できるほど、人の命は安くはないですよ」
ずるり。滴る血が形を変えて、刀の形に。
次の瞬間には、ぎいんと音を立てて――脇腹に喰いつかんと迫る貴女の刃を、受け止めた。
鍔迫り合いの音。ここで初めて、平淡だった表情に縦皺が走る――眉間。
「お友達ですか? そうですね――――貴女が私にとって、全力を出して狩るに足る相手なのであれば」
緋那子自身の持つ筋力は、少女に毛が生えた程度のそれだ。
もし貴女がそれを上回る筋力を持つのなら、緋那子の血の刀を弾き飛ばすことも出来るだろう。
43
:
アルル・ルージュ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/12(日) 01:29:19 ID:FtkW6Y52
>>42
「そう、貴女戦いが好きなのね! 私も大好き! 切って切られて潰して潰されて、お互いが最高に気持ちよくなれるもの!」
血の刀とギチギチとせめぎ合いながら、彼女は笑う。
その表情は、苦痛と快楽が織り交ぜられたような、奇妙な笑い顔であった。
「それに、私こういうの好きよ? 刀と刀をぶつけあわせてのせめぎ合い。なんだか漫画やアニメの主人公になったみたいだもの。だからここから、もっと主人公になろうね!」
いうなり彼女は、大きく息を吸った。
そして、次の瞬間。
「キィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!」
絶叫。キンキンと耳に響くような絶叫だ。
そしてそれは、まるで断末魔であるかのように苦痛から絞り出されたような声であった。
しかし、その顔は笑顔。狂気の笑顔。
その叫びは、決して相手を怯ませるためのものではない。
己の筋力を増強させる代償なのだ。無論、彼女にとっては快楽以外の何者でもないのだが。
結果今の彼女は日々鍛錬を重ねる軍人よりなお勝るほどの力を得ている。
このままいけば、刀を押し返し斬りつけるまではできるかもしれない。
しかし、その剣筋は素人そのもの。ただ力任せに押し付けているだけにすぎない。
技術か、あるいは戦略か。力に頼らぬそのどちらかがあれば、逆に好機となるかもしれない。
44
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/12(日) 01:43:31 ID:bf1w8ffU
>>43
「気持ち良くなれるのは否定しませんけれど……私、痛いのはあんまり好きではないですよ?」
勘違いさせていたならすみませんけれど。そう言いながらも、眉間の皺を深くしていく。
このままなら押し切れるかもしれない、そう思って刀を握る手に力を籠めた、が。
「――――ッ!?」
路地裏に響く大音量。耳を劈くそれに、思わず盛大に顔を顰めて。
次の瞬間、はっと息を呑む――貴女が刀を押す力が、強くなったのを感じ取ったのだ。
ぐ、と奥歯を噛みしめる。押されていく血の刀、貴女の刃が身に喰いこむまであと数センチ。
(……やばいな、今から『別に』用意してたら、間に合わない。この力加減で一撃もらうのもまずい。
なら、一か八か――――っ)
ざり、と地面を踏みしめるローファー。それを勢いよく蹴り上げて。
地面に残る細かな砂利や小石を、貴女の顔に向けてすっ飛ばした。苦し紛れの、軽い目潰しだ。
45
:
アルル・ルージュ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/12(日) 02:00:31 ID:FtkW6Y52
>>44
「大丈夫! 痛いってことは大好きってことだから!」
彼女の中でしか通らないような理屈をほざきながらも、力は緩めない。
しかし、次の瞬間。
「うみゅっ!?」
突如目に飛び込んだ砂により、彼女の視界は一瞬不能となる。
そして、それに気を取られたことで、刀に込められた力も緩むことだろう。
この隙を前に、鬼灯が出す行動とは。
46
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/12(日) 02:08:36 ID:bf1w8ffU
>>45
「痛いが、大好き……? よく分からない感性ですね、分かりたくもありませんが、っ」
力が緩んだのを感じ取るや否や、すぐに刀を跳ね上げて弾かせる。
刃同士が離れれば、バックステップで距離を取った。
こうも力に差が付けば、正攻法ではやっていられない。
「“逃水”――――これ消費が多いから、あんまり好きではない、ですけれど」
だらん、と手を垂らし、固めていた血を再度液状化させて、地面に垂らす。
小さな血溜まりを作り出してから、再度刀を握り直して。
「さ、仕切り直しです。今度は力任せにやったって、上手くいきませんからね!」
再び距離を詰め、アルルの右肩を狙って――突きを繰り出した。
その動きに追従するように、血溜まりも地を這って移動しているのが、アルルの目には見えただろうか。
47
:
アルル・ルージュ
◆vjke6TKyHk
:2017/02/12(日) 02:30:17 ID:FtkW6Y52
>>46
「うみゅぅ……痛いには痛いけど、こういうのあんまり好きくないなぁ……」
目をこすり、なんとか視界を確保した頃には、再び距離を開けられ、再度刀が握り締められている。
「仕切り直しになっちゃったねぇ。でもいいよ。私も負けないから!」
そう言って、彼女は走り出す。
その軌道はなんと、狙い通り肩に突き刺さるよう道を選んでいる。
向こうにとっては予想外であろうこの動き。
もしもこのまま刀が突き刺さったのなら、彼女は逃さないよう右手で血の刀をつかみ、こういうのだ。
「うん! とってもとっても痛い! 脳みそがとろけちゃいそう! だからこれは、お返しね!」
そう言って、鬼灯の右肩に柄のない刀を突き刺すのだ。
無論、これらの動きはもしも刀が突き刺さったのならの話。
突き刺さらなければ、いくらでも別の未来があるだろう。
それに、地面を蠢く血だまりに、彼女はまだ気づいていないのだから。
48
:
鬼灯 緋那子
◆NaNYuYafv2
:2017/02/12(日) 02:42:41 ID:bf1w8ffU
>>47
「な、っ――――」
大好き、の意味を思い知るのが少しばかり遅かった。
それを理解したのは、貴女の肉を引き裂いて、切っ先が骨まで到達したときのこと。
その頃には既に、逃げられないようがっちりと刃を掴まれていたのだった。
驚愕に目を見開いて――それでもまだ、みっともなく狼狽えはしない。
「――――突き破れ、“鬼哭”っ!!」
地面を這い、緋那子の足元まで移動していた血溜まり。
それが形を変え、地面から突き出す鋭い棘のように――上を向いて、伸びた。
狙うは刃を突き出し返す左腕。血の棘がそれを貫くか、それとも貴女の刃が届くのが先か――。
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