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ダンゲロスSS上海 応援スレ

82とある商人:2026/01/03(土) 02:16:16
断章《Monkey Business》

上海の街に聳える摩天楼の中でも、一際高いビル――
上海随一の巨大商社《響影公社》本社は、真夜中でも明かりが絶えることなく瞬く。

その裏手で、一人の商人がこそこそと露店を開いていた。
襤褸を纏った、いかにも浮浪者といった風体の男である。
顔は皺だらけ、白い無精ひげが伸びている。

「……ちょいとそこのお兄さん、見てかないかい」

通りがかったスーツを来た男に、風呂敷の上に広げた品々を示す。
年季の入った黄金色の銃火器、得体の知れない半透明のカプセル、妙に新しい二枚貝の化石
――
その中でもひときわ目を引くのは、きらりと輝く結晶体だ。

スーツの男が訝しげに、結晶の出所を問う。

「……気になるかい、へっへ。こいつぁ『清王朝のダイヤ』の欠片でしてね」

商人が手もみしながら告げると、男の顔色が変わり……
数瞬後、懐から拳銃を取り出して商人につきつける。

「ひっ! ま、待ってくだせえ……別にアタシが盗みだしたわけじゃねえんだ。
 人から人へ流れ着いたのを、やっとの思いで手に入れた次第でして……」

手を挙げ、完全にホールドアップの体勢に入った商人を男はなおも睨みつける。
『商品の代金はお前の命の安全だ』と言わんばかりに結晶を手に取ると、銃口を向けたまま
数歩後ずさり、そしてそのまま走り去っていった。

男の素性は知れないが、おおかた魔幇の下部組織の者といったところだろう。
欠片を自分の手中に収めるのか、組織に差し出すのか――それは男次第だろう。

大事な商品を力ずくで奪われた商人の顔に、落胆の色は……ない。
肝心なのは――『清王朝のダイヤの欠片』が出回ること。

商人は風呂敷を畳み、店じまいをすると――
そのまま、背後に聳えるビルへと向かった。

「……待て、そこのじじい。ここは関係者以外立入禁止だ」

ビルの入り口前には、屈強な警備員が仁王立ちしている。
素性の知れない不審者を阻むように、警備員が警棒に手をかけた――そのとき。

「――よせ、貴様ら。通して構わん」

ビルの入口から現れた、身の丈2mはあろうかという巨漢が、通る声で警備員を押しとどめる。
鉄仮面に覆われたその表情を読み取るのは困難だが、声色からも威圧感が伝わる。

響影公社の大番頭、轟 俱藍(ごう・ぐらん)――《風險垃圾》(リスクジャンク)の異名を持つ、公社のNo.2である。

「し、しかしこのような不審人物を――」

「――二度言わせるか? 構わん、と言ったはずだ」

食い下がる警備員に対し、俱藍は掌を突き出す。
警備員はその仕草に明確に怯えるかのように「失礼しました!」と姿勢を正した。

彼の異名であり魔人能力名――《風險垃圾》(リスクジャンク)。
俱藍が視界に捉えた『危険』と判断したものをガラクタ同然にする、凶悪極まりない破壊粉砕能力。
『指示を無視する警備員』はいずれ警備という職務を無視し、侵入者を許す危険性につながる――
そう俱藍が判断すれば、空掌を握り込むだけで警備員は物言わぬ肉塊となる。
そのことがわかっているからこそ、警備員も食い下がるのをやめたのである。

「……こちらへ」

俱藍はみずぼらしい商人を連れて、エレベーターホールへと消えた。

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